敢えてご存知なのにお書きなのだと思いますが、
現行の憲法の12条は（ついでに言えば13条も）「義務を果たしていれば権利を主張して良い」という発言の根拠にはなりません。この条文は（というか現行憲法は）、そういう考え方に基づいているわけではありません。

世の人々は、杉田氏や小野田氏の発言の根底にある「義務の履行が基本的人権の享受に優先する」というような考え方の危険性を指摘しているのです。そしてその考え方は自民党の憲法改正案にも共通しているのではないか、と懸念しているのです。

具体的には、杉田氏の考え方を少し推し進めると「子どもを産まない人間の基本的人権は制限されるべき」となる可能性があるし、津久井やまゆり園の事件の犯人の主張のように「障害者は義務を果たせない不完全な人間なので殺してしまえ」という考えの根拠になってしまうかもしれないことを懸念しているわけです。そしてどちらも「義務を果たしていれば権利を主張して良い」という考え方がその出発点であることは言うまでもありません。

小野田氏の杉田氏発言批判も、杉田氏の発言の直接的な部分では批判しているけれど、その一方で「義務を果たしていれば権利を主張して良い」と言ってしまうようではやっぱり上記のような懸念の対象になってしまうことは仕方ないと思います。というか、杉田氏の発言よりも「応用がきく」ぶんだけ、本当は恐ろしい発言だと思います。

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