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[政治・選挙・NHK206] 沖縄・20歳女性“強姦”殺害 中谷防衛相が葬儀でひんしゅく(週刊朝日)/中谷防衛大臣はどこの国の大臣だ? gataro
42. 2016年5月28日 11:10:32 : Cs3pCPTkT2 : tC5_8GaMo6U[1]
アメリカ戦略爆撃機が中国の湾岸施設を狙う 

アメリカ本土の南部、大西洋とメキシコ湾を分ける形で延びているフロリダ半島のほぼ中ほどにあるタンパ市の郊外に、アメリカの世界戦略の重要な拠点になっているアメリカ中央軍の司令部がある。アメリカ中央軍は現在、イラク、アフガニスタン、シリアで展開されているアメリカ軍の戦争を指揮、監督している。その中核はアメリカ空軍戦闘司令部である。

2015年4月、大きなシュロの樹々とグレープフルーツの林に囲まれたアメリカ中央軍の建物は、夏の到来を思わせる陽射しを浴びて輝き、近くの沼地では大きなワニが目を光らせていた。その日、アメリカ中央軍司令部の地下にある会議室では、アメリカ空軍の首脳たちが、東シナ海と南シナ海で軍事行動を強化している中国といかに戦うべきかについて話し合う会議を開いていた。

集まったアメリカ空軍の首脳たちは、急速に高まりつつある中国の脅威を懸念するとともに、オバマ大統領の現在の中国に対する弱腰の政策にハラを立てていた。アメリカ空軍の実質的な指導者となっているマーク・ウエルシュ空軍総司令官(日本語訳で参謀総長とも訳されている)は、この会議の前にワシントンで開かれた空軍協会のシンポジウムで次のように述べていた。

「中国は新しい兵器をロシアから買い入れ、急速に空軍力を増強してアメリカを攻撃する能力を高めつつある。だが最も重要な航空戦力であるステルス性航空機をつくるまでに至っていない。アメリカは今のうちに中国を叩くための空軍力と戦略を持たねばならない」

ウエルシュ空軍総司令官は、オバマ大統領の政策のもとでアメリカ空軍が著しく冷遇されたことに強い不満を抱いてきた。ゲーツ国防長官時代には、最新鋭のステルス戦闘爆撃機F22の飛行が停止された。オバマ政権の政策が一挙に転換されて、空軍戦力の中心が無人偵察爆撃機になってしまったからである。プレディターをはじめとする4百数十機を持つ無人航空機部隊がつくられ、オバマ大統領は空軍首脳の力を借りずに、玩具のように無人航空機を動かして中東のゲリラや過激派との戦闘にのめり込んだ。

アメリカ空軍が、200機近い最強のF22ラプターを虚しく駐機させている間に、ロシアのプーチン大統領が核戦力を含む空軍力を増強し、中国もまた、新しい核兵器やミサイルを増やし続けた。

このような、アメリカだけでなく世界にとって危険な状況を転換させたのが、2010年にアメリカ議会で勢力を取り戻した野党共和党の軍事専門家たちで、その中心はアメリカ海軍のパイロットだったマケイン上院議員らだった。ウエルシュ将軍はじめアメリカ空軍の指導者たちは、そうした政治力を背景に静かな軍事クーデターを敢行し、無人航空機を中心とするオバマ大統領の素人じみた戦術を覆したのである。

アメリカ中央軍の戦闘司令部地下で開かれたアメリカ空軍の会議には、アメリカ空軍を担う多くの指導者が集まっていたが、その代表がウエルシュ空軍総司令官であったのは当然である。そのほかにアメリカ空軍戦闘司令部のハーバード・ジェイ・ホーク・カールスアイル司令官、戦略打撃軍のステファン・W・サーブ・ウイルソン司令官、空軍宇宙攻撃軍のジョン・E・ハイテン司令官、それに太平洋空軍のロリー・ロビンソン司令官などが出席していた。

この日の会議の内容はアメリカ空軍の最高機密になっているが、関係者から漏れた情報によれば、アメリカ空軍のタカ派の将軍たちが結集して、アメリカに対する中国の戦略的攻勢に断固として対抗する姿勢を取るとともに、戦略の構築を決めたことは明らかである。ウエルシュ空軍総司令官は会議のあと記者団にこう述べている。

「アメリカ空軍の戦力は予算の削減で伸びきってしまった。新しい兵器と戦略によって、中国の軍事力増強に対抗しなければならない」

空軍戦闘司令部のハーバード・カールスアイル司令官は、「アメリカ空軍にとって必要なのは中国の挑戦に対抗し、今日の戦いに勝つために部下を率いることである」と述べ、アメリカ宇宙攻撃軍のハイテン司令官は、「アメリカの安全を守るために直ちに立ち上がらなければならない」と警告した。また太平洋空軍のロビンソン司令官は次のように述べている。

「我々が今やらねばならないのは、アジアにおける脅威を明確にすることである。アメリカの安全だけでなく同盟諸国の利益を保護するために、新しい軍事戦略を立てる必要がある」

この日の会議の後、アメリカ空軍の各部隊は全力を挙げて、中国に対する新しい戦略の構築と兵器の開発に取り掛かっている。アメリカ空軍の新兵器開発のメッカになっている、ネバダ州空軍基地では第19兵器部隊が、中国の地対空防衛ミサイルに対抗するための新しいミサイルやレーダー攪乱技術の開発を始めている。

アメリカ空軍の兵器開発司令部では、超高空から中国の港湾施設を攻撃する兵器の開発を始めているが、マテリアルコマンドと呼ばれる新兵器開発軍の首脳は次のように述べている。

「現在、アメリカの戦略空軍が最も重視しているのは、数百キロ離れたところから、中国の港湾施設を攻撃できるクルージングミサイルAGM86である。それを1000キロ離れた場所から、正確に中国の港湾施設を狙い撃ちできるように精度を上げなければならない」

アメリカ空軍で始まっている戦力強化の動きの中で、最も重視されているのは、アメリカ戦略攻撃力の中核になるステルス性の優れた戦略爆撃機B2と、兵器などの搭載量の多さを誇るB52HおよびB52Gの能力を飛躍的に高めることである。このための超長距離対地攻撃用ミサイルの開発と生産が急ピッチで進んでいる。

B2やB52は超高空、つまり5万フィート(約1万5000メートル)以上の高空から地上を攻撃する兵器で、目標まで数十キロ離れた位置からミサイルを発射し、攻撃目標を10メートル以内の誤差で爆撃できるが、その能力をさらに高めようとしているのである。

中国側が反撃能力を高めているため、アメリカ空軍は、製造開始から50年経っているB52HとB52Gのエンジンを新しくして、さらに超高空から爆撃を行う機能を与えるとともにミサイルの性能を高めようとしている。また攻撃してくるサムミサイル(地対空ミサイル)を攪乱するための電波攪乱装置や、レーダー基地を的確に攻撃する兵器を開発し搭載しようとしている。中国の港湾施設の周辺に投下する新しい機雷の開発も急ピッチで進められている。

「超高空からこの機雷を、港湾施設のある中国の沿岸地域に投下すれば、中国の艦艇は全く身動きができなくなる。新しい機雷は、海面近くを飛ぶアメリカ軍の戦闘機によって作動させることも可能で、中国の港だけでなく沿岸全体が封鎖されることになる」

アメリカ戦略打撃軍の技術担当幹部が、アメリカ空軍の報告書の中でこう述べているが、アメリカ空軍は中国がとっているAAAD戦略を完全に押し潰す能力を持とうとしているのである。

英語のアンタイアクセス(AA:接近阻止)、エリアディナイアル(AD:領域拒否)の頭文字をとってAAADまたはA2ADと呼ばれる中国軍の戦略は、中国沿岸にアメリカ海軍の戦艦を近づけないという戦略である。その象徴がDF21Dと呼ばれる射程1000キロのクルージングミサイルで、アメリカ第7艦隊や機動艦隊の幹部を脅かしてきた。

アメリカ空軍は中国軍の防衛体制を綿密に調査し続けてきた。レーダーサイトの能力や地対空ミサイルの性能についても分析し終わっている。中国軍のAAAD戦略の中核になってきたミサイル基地は今や、アメリカ空軍の戦略爆撃機が超高空から発射するミサイルと精密爆弾によって破壊される運命にある。

超高空から中国沿岸に機雷を投下すれば、中国軍が大宣伝している潜水艦隊は、港を出ることも基地に帰り着くこともできなくなるのである。中国が東シナ海や南シナ海で繰り広げている不法な軍事行動は、伝統的に強大な破壊力を誇る戦略空軍の強化によって、大きく制約されることになるだろう。

オバマ大統領の中国に対する弱腰政策を懸念する声はアメリカで高まり続けている。「このままオバマ大統領が事態を座視し続ければ、中国側は不法な軍事行動をさらに拡大し、その結果、アメリカは権威も影響力も失うことになる」

つい先頃会った保守系の政治家はこう嘆いていたが、アメリカの軍人たち、特に戦略空軍の指導者は、中国の軍事力増強に対する戦略的な動きをすでに始めている。

アメリカ空軍はさらに、超高空を音速で飛ぶB2戦略爆撃機と緊密な連絡を取るための新しい通信網の開発を進めている。

「アメリカ空軍は、海底深く行動する原子力潜水艦の通信に使う、超低周波による通信体制をすでに開発している。このシステムによって、超高空を音速で飛ぶB2戦略爆撃機を自由に動かすことができる」

アメリカ戦略打撃軍のステファン・ウイルソン司令官はこう述べているが、先に触れたアメリカ戦略空軍のマテリアルコマンドは、あらゆる地上からの攻撃電波を察知して分析し、爆撃機が自動的に最も安全な進入ルートを辿り、中国の軍事基地を攻撃するシステムをつくるあげている。アメリカ空軍の技術担当によると、このシステムはGPSと同じで、B2の人工頭脳が抵抗の最も少ない進入路を自動的に察知して、攻撃目標に接近する。

アメリカ空軍首脳が指摘したように、中国は技術開発でアメリカに大きく後れをとり、現在のところでは、ステルス性戦闘機を実戦配備していない。しかし軍事技術は毎日のように進歩している。中国側はロシアからステルス性戦闘機T50を購入し、それを真似てステルス性戦闘機の製造に取り掛かっているという情報もある。アメリカ空軍は常にその一歩先を行き、中国の挑戦に備えておく必要があると考えている。

地球打撃軍がグアム島に進出する 

2015年9月、南国グアム島の西の空があかね色に染まる頃、アメリカ本土ミズーリ州のホワイトマン基地から飛来した4機のB2爆撃機が、アンダーセン基地に着陸しようとしていた。B2爆撃機はこれまでも本土からグアム島に、ローテーションの形で飛んできていたが、この時は、グアム島のアンダーセン基地を拠点として、常時、作戦行動を取るためにやってきたのである。

レーダーにほとんど映らないステルス性のB2爆撃機は、1995年に実戦配備されて以来、20年、アメリカの最新兵器としてコソボの紛争や、イラクのサダム・フセイン討伐作戦などに密かに使われてきた。私はこのB2Aをホワイトマン基地で取材したことがあるが、その時はパイロットの座る内部まで撮影させてもらった。ところがグアム島ではB2は厳しい警戒のもとに置かれ、機体は新しくつくられた格納庫に仕舞い込まれていた。

「B2AとB2Bの繊細なステルスのコーティングは、南太平洋の激しいスコールに遭うと損傷する心配がある」

グアム島の基地司令官がこう説明してくれたが、アンダーセン基地では明らかに、B2の機密を厳重に保護する方針を取っているようだった。

B2Aと新しいB2Bの性能はほとんど明らかになっていないが、戦略爆撃機の主力であるB52の戦闘高度が5万フィートであるのに比べ、それ以上の高高度を飛べるだけでなく、ほぼ垂直に上昇と下降を行うことも可能である。

「B2AとB2Bは、合わせて20機しか実戦配備されていないが、基本的には核攻撃用の戦略爆撃機で、中国に対する強力な抑止力の切り札になっている」

ホワイトマン基地からグアム島にやってきた戦略空軍の担当者がこう言ったが、中国が核戦力を増強し、核の抑止力をかざしながらアジアで不法な軍事行動を取っている時、アメリカにとって、最も頼りがいのある兵器と言える。

「核抑止力の中核となっているミニットマンミサイルは、いったん発射したら取り戻すのは不可能で、軍事的に見ると極めて不便な兵器と言える。ミサイル原子力潜水艦のトライデントミサイルも破壊力は巨大だが、海底深く行動しているところから、複雑な行動指令を与え続けるのに不便がある。その点、B2AとB2Bは戦略的に極めて使いやすい兵器である」

戦略空軍の幹部がこう述べたことがあるが、核戦力という点ではB1とB52は補助的な役割しか与えられていない。しかしながら、中国に対する戦略攻撃の主力になるのは核戦力ではなく、クル−ジングミサイルや、精密爆弾を大量に搭載できるB52とB1戦略爆撃機なのである。

アメリカ空軍のウエルシュ総司令官は、中国に対する新しい戦闘体制に組み入れるためにアメリカ本土に展開しているB2、B1、B52の主力を、グアム島に進出させたのである。

B2がホワイトマン基地から1万数千キロを一気に飛び、グアム島に到着した翌日、カリフォルニアのバンデンバーグ基地からB1B20機がグアム島に飛来した。B1Bは、第一線配備なって以来、すでに30年を経過しているが、アメリカ空軍はその敏捷な行動能力と、B2に比べて多い搭載能力を重視している。

その数日後、アメリカ戦略空軍の中核となるB52の大飛行隊が、グアム島にやってきた。B52は建造されて以来、すでに50年以上を経過しているが、4つの強力なGE製のエンジンを搭載している。アメリカ空軍の技術者によれば、このエンジンは2040年まで使用に耐えるという。

「B52のエンジンは頑強だが、あまりにも古くなってしまった。故障した時に部品を手に入れることが難しくなっている。このため新しいエンジンを開発、製造してB52に搭載したいと思っている」

アメリカ空軍のウエルシュ総司令官が国防総省の記者団にこう言ったことがあるが、現在の計画では、新しいエンジンを搭載したB52を2053年まで使う予定にしている。

「B52はアップルのアイフォンと同じで、新しい機能をいくらでも付け加えることができる」

地球打撃軍のフェルナンド・ストス司令官が、こう言ったことがある。私はグアム島でB52Gの内外を綿密に取材したことがあるが、大きな鋼鉄製の細長い箱に長い翼が付いているという印象の航空機だった。この長大な箱に、4機の強力なエンジンが載せられているのである。

B52Gの機内には大量の爆弾やミサイルが搭載され、長い翼の下にも兵器が多数取り付けられている。

「B52の特徴は極めて長時間、飛べることだ。中国が軍事行動を開始したことを察知して国防総省がDEFCON2を発動すれば、直ちにアンダーセン基地を発信して東シナ海や南シナ海の超高空を亜音速で航行して空中待機し、攻撃命令が出れば直ちに中国の港湾施設や基地を長距離ミサイルで攻撃する」

地球打撃軍はこう発表している。DEFCON(デフコン)とは、ディフェンス・レディネス・コンディションの略で戦闘準備の5段階で示している。DEFCON1が最高度の戦闘準備状態を表す。

アメリカ空軍は詳しい数を発表していないが、B2、B1、それにB52を合わせて50、60機をグアム島のアンダーセン基地に展開しているはずである。基地には3000メートルの滑走路が2本あるが、新たに3本目がつくられ、島の山岳地帯には、大きな核兵器の貯蔵施設がつくられている。

アンダーセン基地の航空管制塔によると、東西に延びた3本の滑走路と、管制塔近くに新しくつくられたB2と無人偵察機の格納庫、そして遥か彼方ににある核兵器の貯蔵施設を一度に見ることができる。その背景はアメリカ空軍の首脳たちが、オバマ大統領の弱気の姿勢を尻目に、中国に対する攻撃体制を着々と強化していることを示している。

アメリカの戦略体制の根幹である戦略空軍は主として、B2をミズーリ州のホワイトマン基地、B1をカリフォルニア州のバンデンバーグ基地、さらにB52をノースダコタ州のマイノット基地とルイジアナ州のバークスデール基地に配備し、第5戦略爆撃空軍、第2爆撃空軍、509飛行大体が作戦行動を統括してきた。

戦略空軍の戦略爆撃部隊は行動命令が発せられた後、10時間以上飛行して作戦行動に入るのが通例となっている。コソボの戦争の際、ベオグラードの中国大使館を攻撃した時、またサダム・フセインの隠れ家を攻撃した時は、10時間の飛行の後、爆撃を行っている。

グアム島のアンダーセン基地にB2、B1、それにB52が進出したことでアメリカの戦略部隊は、攻撃態勢に突入後、2〜3時間で中国の重要軍事施設や港湾施設を破壊することが可能になった。中国はアメリカの強大な力が目前まで迫ってきたという感じを強く持っているはずである。

オバマ大統領の政治的意向を無視して、アメリカ空軍、特に戦略空軍部隊が、中国に対する軍事的な締め付けを強化し始めたことは、これから中国政府にとって重大な重荷になってくる。

アメリカ政府の基本的な原則に従えば、戦争を始める権限はアメリカ軍の最高司令官である大統領だけが握っている。つまり戦争を始めるか否かは全て大統領にかかっているのである。だが戦争を始めるという大統領の命令を実行に移すのは、国防総省であり軍人たちなのである。

アメリカは、完全なる三権分立のもとで、国家財政の財布のヒモは議会が握っている。大統領は口を挟むことはできるが、財布の口を開けることはできない。

「アメリカ議会の軍事委員会が政治家を動かし、戦争準備をさせるのは、国防総省はじめ統合参謀本部議長、それに軍人たちである」

ワシントンの友人がこう言ったが、大統領の考えとは関わりなく、グアム島をアメリカの軍事拠点にする動きはすでに始まっている。最も注目すべきは、アメリカ軍の首脳やアメリカ議会の政治家が、中国の軍事力強化に対抗するためにグアム島の戦力を強化すると決めていることである。アメリカ空軍総司令官のウエルシュ大将は次のように述べている。

「アメリカ空軍は現在の戦略攻撃力を強化するための予算を議会に提出したところだ。その経費として500億ドルを要求した。向こう10年間、中国の兵力増強に対抗してアメリカ空軍の攻撃力強化を図る」

アメリカの一般国防費は7000億ドルが、向こう10年間見込まれている。その10%が中国に対する戦略力の強化に使われるが、ウエルシュ空軍総司令官が考える戦略強化の柱は以下の3つである。

第1は、現在のB52、B1、B2に代わる新しい戦略爆撃機の開発で、すでに専門家の間で検討が始まっている。速度を上げるだけでなく、高高度を飛行することが可能で、迅速な行動能力を持つ戦略爆撃機を開発することになっている。

第2は、1000キロ離れた地点から、中国の基地や港湾施設を攻撃できるミサイルの開発である。現在、B52に搭載されているクルージングミサイルよりも2倍の距離を飛び、2倍の高高度から超音速で発射できるミサイルを開発する。

第3は、B52が搭載する大量の通常爆弾や機雷の性能を高めることである。これらの兵器を小型化し。レーザーを使うことによって目的をほぼ直撃することが可能になる。

アメリカ戦略空軍の戦力強化という新しい軍事的脅威が中国に迫ろうとしている。中国はオバマ大統領をはじめアメリカの政治家を騙すことによって、自らの影響力を行使してきたが、そうしたやり方を変えざるを得なくなるはずである。

新鋭早期警戒機が中国を制圧する 

グアム島のアンダーセン基地から飛び立ちそのまま北上すれば、戦略爆撃機B2やB52は、簡単に中国沿岸に達することができる。超音速のB2であればわずか2時間たらずで、中国本土を攻撃する空域に到達することができる。B52にしても3時間あまりで中国の沿岸上空に達し、最新鋭の機雷をレーダーで誘導しながら投下することが可能である。

地図を見れば明らかなように、中国の黄海から東シナ海、南シナ海に至る3000キロの沿岸線は、アメリカ戦略空軍の目からすれば軍事的には丸裸同然の状況である。

「中国の3000キロ海岸線には、13カ所に巨大な港湾地域と商業地域が存在している。軍事的に見れば攻撃しやすい標的である」

アメリカ戦略空軍の担当者がこう言ったが、むろん具体的に何を標的にしているかは一切、明らかにしていない。

「攻撃目標は一般に港湾施設だと思われているが、実際に狙っているのは、中国沿岸に隠されている軍事施設だ。潜水艦基地やミサイル基地、通信センター、レーダー基地などが最も重要な標的になる」

ハワイで会ったアメリカ戦略空軍の担当者が私にこう漏らしたことがあるが、アメリカ軍の担当者たちは、中国空軍やミサイルによる防衛体制に強い懸念を持ち、対応策を練っている。

アメリカ空軍担当者によると、中国空軍や地対空ミサイルの能力は技術的には、アメリカより遥かに遅れているものの、ロシアから買い入れた最新鋭の邀撃戦闘機や地対空ミサイルは、アメリカの戦略爆撃機にとって大きな脅威となっている。

「中国がこのほどロシアから取得して実戦配備しようとしているJ31は、ステルス性も高く、急速にアメリカの脅威となりつつある」

アメリカの空軍関係者はこう指摘しているが、こうした中国の脅威に対してアメリカ空軍は本格的な対応策に全力を挙げている。

アメリカ空軍が最も力を入れている戦略空軍の防衛体制は、E3航空警戒制御システムと、その中心となるE3警戒機、そしてE3警戒機に統制されるステルス戦闘爆撃機F22である」

アメリカ空軍のウエルシュ総司令官がこう述べているが、一般に早期警戒管制システムAWACSは、警戒機を飛ばして敵の戦闘機の攻撃を防ごうという戦略である。1950年代の終わりから構想が立てられ、1960年代には、そのシステムの始まりとも言えるEC121が実戦配備につき、ベトナムでアメリカ軍の防空体制の中心になった。

EC121はロッキードが1950年代から開発した警戒機で、ベトナム戦争の時代には、B52が北ベトナムのハノイやハイフォンを爆撃した際に防衛任務についた。そのEC121の後継機で、ボーイング707型の機体をベースに開発されたE3型と呼ばれる現在の早期警戒管制機が、初めて試験飛行に成功したのは1972年2月9日のことだった。

E3型はその後、多くの改良が加えられ、日本やイギリス、サウジアラビアといったアメリカの重要な軍事同盟国に、合わせて40機以上が売り渡されている。早期警戒管制機は冷戦の初め、新しい技術として注目を浴びたが、その後一時期、多くの軍事関係者が関心を失った。空からの脅威が基本的に大陸間弾道弾ミサイル、ICBMになったためである。早期警戒管制機ではICBMを察知したり、撃ち落としたりすることができない。

早期警戒管制機は、冷戦が終わってイランやロシア、中国といった国々の航空戦力が民主主義国家の脅威となるとともに、再び強い関心を集めるようになった。ウエルシュ空軍総司令官が、早期警戒管制機の実戦配備を強化しようとしているのは、アメリカの戦略爆撃機に対する中国の反撃を抑える必要が出てきたからである。

ウエルシュ空軍総司令官は、これまでアメリカ本土オクラホマ州にあるティンカー空軍基地に展開していたE3C早期警戒管制機部隊をハワイのヒッカム、グアム島のアンダーセン、沖縄の嘉手納、韓国の烏山など、アジア極東のアメリカ軍基地に進出させることを決め、すでにその一部が現地に到着している。

現在アメリカ空軍は、34機の早期警戒管制機を保有しているが、そのうち10数機が最新鋭のE3Gである。E3Gの開発に力が入れられたのは、従来のE3型のレーダーでは、地上30メートル前後、つまり地上すれすれに侵入してくる敵の戦闘機やミサイルを探知できないからである。

アメリカ議会などから早期警戒管制機無用論が出たため、アメリカ空軍はレーダーの性能を一挙に高めたE3Gを開発したわけだが、私はハワイのヒッカム基地で、太平洋配備の先駆けとしてやってきたこの新鋭の早期警戒管制機を取材したことがある。

「ジャーナリストを乗せて飛ぶことはできないが、実際にどう運用されているかを見せよう」

太平洋空軍首脳がこう言って私を機内に案内してくれたが、そこはまさに大きなコンピュータールームの様相を呈していた。ボーイング767というかなり大きな機体の、旅客機で言えば中央のビジネスクラスの場所が全てオペレーションルームになっていて、大きな3つの机の上に各種のコンピュータが隙間なく並び、16人の担当者が作業を進めていた。

E3型早期警戒管制機の最も大きな戦力は、機体後方の垂直尾翼の前に据え付けられた回転式のドームと呼ばれる円形のレーダである。直径が10メートル弱の円形で、厚さが2メートルほどあるレーダーは、10秒に1回、回転してレーダー波を発射する。

ドームの中には、IFFと呼ばれる敵味方を識別する最も重要なシグナルを発信し受信する装置、航空機の所在を確認して指令を与える強力な電波装置、敵の戦闘機の所在を見つける装置、飛んでくるミサイルを察知し、妨害電波を送り出す装置などがぎっしり詰まっている。

特に注目されるのは、パルスドップラー方式と呼ばれるレーダーで、レーダー波は400キロ離れた空域まで届き、全ての航空機を敵か味方か識別して味方の航空機を指揮、管制することが可能である。また、エネルギーを最大にした場合に、電波は700キロ先まで届く。

E3Gのレーダーの作動範囲は、極めて広域に渡る。日本で言えば通常でも東京から大阪に至る空域の飛行物体は全て識別、管制することが可能である。エネルギーを最大にすれば、それが広島まで伸びることになる。

ドップラー・レーダー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC

太平洋空軍の首脳が誇らしげに私に言ったことがある。

「アメリカ空軍のハワイ沖での訓練の際には、味方の戦闘機150機を、前方に展開する敵の攻撃機475機と戦わせ、敵の飛行機を全て撃墜したという記録がある」

中国でも同じような早期警戒管制機を開発していると言われるが、それと同じ能力を持つアメリカ海軍のEB57電子攻撃機が、E3Gの邀撃拡散レーダーによって無力されたという記録もある。

アメリカ空軍の情報によると、中国は台湾海峡対岸の福建省にほぼ500機の戦闘機を配備し、アメリカ空軍の戦略爆撃機部隊に備えていると言われている。だがアメリカ空軍の訓練のデータによれば、中国空軍はE3C早期警戒管制機を中心とする邀撃体制によって、簡単に撃滅されてしまうことになる。

現在のところアメリカのAWACS体制が、中国の防空能力を大きく上回っていることは間違いない。しかも今後、アメリカ空軍の戦闘機の主力はステルス性、つまりレーダーに映らない能力がさらに強化される。

オバマ大統領と第1期政権のゲーツ国防長官は、有人戦闘機の時代は終わったと決めつけて、無人偵察爆撃機の能力に頼ろうとした。このためステルス戦闘爆撃機F22や優れたパイロットが退役させられた。

こうしたアメリカ空軍の「冬の時代」は、中国の不法な侵略的行動に反発するアメリカ議会の力と、その後押しで、静かな軍事クーデターを敢行した将軍たちによって終わりを告げた。レーダーに映らない最新鋭のステルス戦闘爆撃機F22が、再び第一線に復活した。

オバマ大統領とゲーツ国防長官は、「2020年にはステルス戦闘機としてF35を配備する」と述べていたが、アメリカ空軍の現場は10年間の空白を放置するわけにはいかないと考えている。アメリカ空軍はこれからF22をアジア極東の各地に実戦配備し、E3型早期警戒管制機の指揮のもとに、中国の防空体制に正面から立ち向かうことにしている。

E3型早期警戒管制機を中心とする組織的な邀撃体制、さらにステルス性を向上させた戦闘機、レーダーの能力とそれに呼応する強力な戦略爆撃機の攻勢を受ければ、中国側にとって対応することは極めて難しい。

「中国はアメリカやロシアから新しい技術を盗み、新鋭の戦闘機などをつくっているようだが、組織的な防空体制をつくりあげる構成力がない」

私の友人の退役した空軍将校がこう言っているが、戦争技術が日進月歩の速さで進む中、他人のものを盗んで戦略を立てるのは、極めて難しいことのように思われる。

防空体制について言えば、基本は全てチームワークから成り立っている。後方の戦闘指揮センター、レーダーサイト、E3C早期警戒管制機のような前線司令部、そしてさらに第一線の戦闘機パイロット、こういった人々が組織的に動いてこそ、効果的な防空体制が可能になる。

「中国人は優秀だが自分勝手だ。会社で働いていても自分のことしか考えていない」

中国人の友人や、中国の日本企業で働いている人たちが、こう言っているのをよく耳にするが、組織の力によって全てを動かす軍事行動を中国の人々が不得意にしているのは間違いない。

アメリカ空軍は、こうした中国人の基本的な性格や行動性の欠陥を利用して、中国大陸を爆撃する体制を確立しつつある。しかもウエルシュ空軍総司令官には、さらに大きな切り札がある。

アメリカ空軍が中国を取り囲む 

2015年初頭、アメリカ空軍の世界ネットワークを担当しているAMC、アメリカ空軍司令部は、アジアの基地体制の大規模な再編計画に取り掛かった。夏には最終的に国防長官の許可が下り、アジアにあるアメリカ空軍基地の整備、統合が始まった。

中国に対して戦略爆撃を強行しようと考えているアメリカ空軍にとって最も重要な計画は、中国を取り巻くアメリカ空軍の前線基地体系をつくることである。これがウエルシュ空軍総司令官の中国戦略の大きな切り札となっている。

ウエルシュ総司令官は基地をつくるだけでなく、これまでになく強力で機能的な戦略を構築しつつある。アメリカ空軍は、ハワイにある太平洋空軍作戦本部を中心に、アメリカ本土アラスカのエーメンドルフ基地、ハワイのヒッカム基地、グアムのアンダーセン基地を、アジア太平洋空軍戦略の鉄の第一線として位置づけている。

この構想のもとで最前線基地が整備されることになり、これまでに合わせて20の基地が、中国を取り囲む形で整備を終わっている。このいくつかを私は現地で取材したが、最も西にあるのがプーケットにある航空基地で、巨大な滑走路を持っている。

私は、マラッカ海峡を抜けてインド洋に出たアメリカの空母「ロナルド・レーガン」から、海軍の空母連絡機C2で同航空基地に到着したが、滑走路があまりに長いのに驚いたものである。この基地には1万メートルという長すぎるほどの滑走路が東西と南北につくられているだけで、地上設備がほとんど見当たらない。

通常、アメリカ空軍基地の滑走路は第一級クラスで3000メートルである。その基地にはその3倍の長さの滑走路があるが、地面を固めただけの簡易舗装で手軽なものだった。紺碧の青空の彼方まで続いているような滑走路を前に、操縦桿を引きながらC2のパイロットがこう言った。

「1本の滑走路を使って同時に2機、着陸できる仕組みになっている」

この基地のほかにタイのウタパオには、強大なB52戦略爆撃機用のアメリカ空軍基地がある。ベトナム戦争の際にはこのウタパオから常時、80機以上のB52が、北ベトナムを爆撃するために出撃していた。

タイからカンボジアをまたいで東側にあるベトナムは現在、アメリカと軍事協定を結び、3つの大きな空軍基地をアメリカ軍に提供している。南から旧サイゴン、ダナン、そしてハノイの3つで、南シナ海における中国の不法な軍事行動に対する、強い抑止力になると見られている。

ベトナムの南、シンガポールには、チャンギに巨大な空軍基地があるほか、さきほどの基地と同じように滑走路だけで、ほとんど施設のない2つの空軍基地がアメリカ軍に提供されている。マレーシアもボルネオとカリマンタンの2つに、このほど新しい空軍基地をつくり、アメリカ太平洋空軍に提供している。

南シナ海を挟んで、中国と軍事的対立を強めているフィリピンでは、クラーク空軍基地が再開されて、アメリカ空軍のF16が常駐を始めようとしている。私はクラーク空軍基地の整備が始まった頃、現地を取材したが、スービック海軍基地に近接していて、軍事的に極めて機能的に利用できる状況になっていた。

このほかフィリピンは、首都マニラ郊外にアメリカ空軍用に巨大な基地を整備しつつある。中国が目の前のスプラトリー(南沙)諸島の岩礁を埋め立てて人工島を建設したため、フィリピンは国内の軍事基地を強化しようとしている。

台湾の台北と台南にある2つの空軍基地も、アメリカ太平洋軍にとって極めて重要である。台南の北方にあるF16戦闘機用の基地は、有名な新高山(玉山)の麓にある。中国大陸からのミサイルや、戦闘機の攻撃を避けるには絶好の位置にある要害基地である。

韓国の38度線に近い烏山と、やや南にある群山、それに南部の釜山はアメリカ空軍の重要な最前線戦略基地になっている。ほぼ連日、グアム島のアンダーセン基地からB52戦略爆撃機が偵察パトロールを行っている。

アンダーセン基地から韓国の烏山に飛ぶアメリカのB52は、日常行動の形で中国のレーダー網や、ミサイル基地の動きを偵察し、監視している。アメリカ空軍はこのB52のパトロールを通じて、中国側に目立った軍事的な動きがあるか、あるいは新しい兵器を開発しているかといったことを調べ上げている。

こういった中国大陸を取り囲む形でつくられているアメリカ空軍の基地の中で、重要な機能を果たしているのが日本の基地である。私は青森県三沢にあるアメリカ空軍F16戦闘機部隊の基地を取材したことがある。格納庫は中国のミサイル攻撃に備えた半地下式の鋼鉄製で、強固な防御態勢が取られていた。基地の周辺にはアメリカ空軍の隊員や家族たちが住んでいるが、アメリカ本土のどの基地よりも、すばらしく広い住宅街がつくられていた。

三沢基地には、アラスカ州のエーメンドルフ基地からF16がローテーションの形で出撃し、北朝鮮を攻撃する任務についているが、当然のことながら中国に対しても、北朝鮮を超えて中国東北部の軍事基地を攻撃する体制を整えている。

日本本土にあるアメリカ空軍の基地は、この三沢基地のほかには東京郊外の横田基地だけで、神奈川県の厚木と山口県の岩国の基地は海兵隊が管理している。アメリカ空軍は沖縄の嘉手納にも大きな基盤を持っているほか、那覇の航空自衛隊の基地の一部を使っている。

私は取材で、この基地からアメリカ空軍の対潜哨戒機に乗ったことがある。航空機が離陸後、地上を見下ろすと、まっすぐ南シナ海に向かって一直線に飛び、軍事行動を起こせる場所に、基地はある。アメリカ空軍は最新鋭のステルス戦闘爆撃機F22を、この沖縄にローテーションの形で出撃させている。

アメリカ空軍にとって日本が重要な存在になっているのは、横田、三沢、それに嘉手納だけでなく、自衛隊基地や民間空港もほぼ自由に使える仕組みにばっているからである。中でも強い関心を持っているのが、茨城県の百里と、静岡県浜松にある航空自衛隊の基地である。

百里と浜松の基地は2つとも、日本列島の太平洋岸にあり、中国との間には2000〜3000メートル級の日本アルプスが連なっている。中国からのミサイルや戦闘機が侵入し難い地理的状況になっているのである。

「中国が、クル−ジングミサイルや戦闘機を使って攻撃しようとすれば、日本アルプスを越えなければならない。日本側はイージスミサイルで簡単に撃ち落とせる。非常に有利な防衛態勢を取ることができると思われる」

アメリカ軍の戦略家がこう指摘しているが、百里や浜松の基地を引き合いに出すまでもなく、中国大陸の東側に中国を取り囲むように20近く点在しているアメリカの空軍基地は、中国に対するアメリカ空軍の最上の切り札と言える。

軍事的有事が勃発した時、あるいは予想のつかない偶発的な戦争が起きた場合、中国側は本土に進攻してくるアメリカ軍に対抗するために、アジア全域に展開しているアメリカ軍基地を攻撃しなければならない。軍事的常識から見ても、中国がアメリカ太平洋空軍の基地を爆撃したり効果的な報復攻撃を仕掛けたりすることは、まず無理である。

アメリカ空軍がアジア全域に基地ネットワークを広げる一方で力を入れているのは、戦闘機や爆撃機の行動を支援するためのタンカーと呼ばれる空中給油機を増強することである。

アメリカ空軍はもともと、戦闘機や爆撃機を支援するタンカー戦略の強化に力を入れ、アメリカ本土イリノイ州のスコット空軍基地を総司令部として、世界的な戦略を展開している。

少し前のことになるが、このスコット空軍基地を取材したことがある。イリノイ州の地下深くにつくられたアメリカ軍空輸司令部には、戦略空軍や地球打撃軍にあるものと同じ規模の戦闘センターがつくられ、世界中から映像や情報が送られてきていた。

2013年以降、アメリカ軍空輸司令部の活動はアジアが中心で、およそ500機のタンカーの多くがハワイのヒッカム基地や、グアム島のアンダーセン基地に移動してきている。アメリカ軍空輸司令部のダーレン・マックデュー司令官が次のように述べている。

「現在、我々は500機近いタンカーを保有しているが、実際に運用しているのは496機で、つい先頃までは、ヨーロッパと太平洋がほぼ半分ずつだった。だがアメリカ空軍の新しい方針によって現在は、80%が、太平洋に振り向けられている」

私はハワイのヒッカム基地で、アメリカ空軍の花形タンカーKC135の実地訓練を取材したことがある。この時1機のタンカーが、短時間のうちに2機の戦闘機に同時に給油するのが印象的だった。

アメリカ空軍は2028年までに、現在のKC135を全て性能のさらによいKC46に替えようとしている。

「KC46は全てが自動化されている。機体はボーイング767を基本にしている。言ってみれば新型の大型スポーツカーだ。これに比べるとKC135は古いSUVだ。KC46は1度に3機の戦闘機に給油することができる」

イリノイ州のスコット空軍基地のタンカー中央作戦本部のジェームス・コーディー中将が、こう述べている。

アメリカ空軍はアジアに中国を取り巻く空軍基地ネットワークをつくるとともに、常時、空中給油の支援体制を維持するために、460機のタンカーをアジアに移して20の基地に展開することにしている。

アメリカ空軍の能力は、さらに強化される 

2015年の夏、フロリダ州タンパで開かれたアメリカ空軍幹部たちのシンポジウムの結論は、「アジア西太平洋で中国と戦うことになっても、アメリカの航空戦力をもってすれば、容易に中国を制圧できる」という簡単なものであった。

具体的な内容は全く明らかにされていない。したがって、今述べた「結論」は参加した専門家たちの見解を総合したものであるが、アメリカの専門家たちが一致して指摘しているのは、アメリカが世界の対立勢力と見なさなければならなくなった中国に効果的に対抗するためには航空戦力に頼るべきだ、ということである。

極めて常識的な結論だが、アメリカが経験してきた戦争を考えてみると、極めて当然な結論と言える。アメリカが世界の戦争に初めて加わった第一次大戦では、ドイツの航空戦力が技術的にも戦略的にも勝っていて、アメリカは何の成果も示すことができなかった。アメリカは陸軍の大軍を欧州に送ったものの、軍事的に見れば何の役にも立たなかった。

第二次大戦では、アメリカの航空戦力が大きな成果を上げた。圧倒的な数の爆撃機が繰り返し日本本土を攻撃し、戦争末期には広島と長崎に原爆を投下した。欧州でもドイツの工業地帯のハンブルクやドレスデンに対して無差別爆撃を行い、ドイツの軍事施設を全て破壊して、アメリカの軍事的優位を確立した。

第二次大戦の欧州における戦闘では、アメリカの地上兵力はさしたる成果を上げることができなかった。このため、第二次大戦の大きな転換点になったパリ解放に、アメリカ陸軍のアイゼンハワー将軍は参加することができなかった。アメリカとソビエトの冷戦では、ミサイル、戦略空軍、ミサイル原子力潜水艦の3つが柱で、通常の空軍戦略は関わりがなかった。

中国に対してアメリカが決定的な軍事行動を取れない最大の原因は、戦略空軍の力を行使しようとしてこなかったからである。

アメリカの指導者たちは、太平洋を挟んで中国と対峙しているため、海軍力によって対抗することに全力を挙げてきた。その結果、中国もアメリカ海軍の空母や艦艇を撃沈するためのクルージングミサイルの開発に重点を置き、アメリカ海軍を心理的に脅かしてきた。

中国はまた、日本列島を境にアメリカ海軍を近づけないために、第一次、第二次国防ラインなどを勝手に設定した。その上潜水艦100隻や、空母キラーといった宣伝文句で、アメリカの政治家や海軍の軍人の肝を冷やすことに成功した。アメリカは戦わずに、中国に敗れてきたのである。

アメリカが断固として中国の不法行為を阻止しなかったために、中国は図に乗って、ついにはフィリピンが領有を主張している南シナ海のスプラトリー諸島の岩礁を埋め立てて人工島をつくり、中国領土であると宣言するまでになった。

それ以前から中国は、歴史的にも国際法上も日本の領土である尖閣諸島を、「魚釣島」と命名して自国の領土であると宣言し、世界中に宣伝している。ワシントンにある中国大使館のロビーには、英語とロシア語で「魚釣島は元々中国の領土であることを宣言する」という大きな文書が掲げらえている。中国のこうした不法な行動は、アメリカが世界の指導者として断固とした軍事行動を取ることができない事態から生じている。

アメリカの空軍力をもってすれば、中国の不法な国際行動を阻止することは容易なのである。地図を見れば明らかだが、中国の香港から天津に至る海岸地帯の港湾工業施設は、アメリカ空軍の攻撃に対しては全く無防備である。

北京から車で2時間ほどの天津を訪問したことがあるが、私が泊まったホテルからも港湾施設が広がっているのが手に取るように見えた。世界各国の貨客船がひしめき、東南の一部には第二海軍と呼ばれる中国の沿岸警備隊の艦艇の基地や駆潜艇などの姿が見えた。

上海に船で到着したことがあるが、揚子江の左右は複雑な入り江や島々が重なり、軍事基地を隠すにはもってこいの地形だった。上海に至る揚子江の両岸を攻撃して中国の軍事施設を破壊することは、アメリカの戦略爆撃機にとっては極めて簡単な仕事である。

天津から南へは、東雲、金華、温州といった工業地帯があり、重要な港湾都市が並んでいる。その南にはシルクロードの出発点とされた港湾工業都市の泉州があり、そこから南の台湾海峡から香港にかけては、6つの大きな工業都市と港湾施設が連なっている。

香港にアメリカの空母で入港したことがあるが、南シナ海から入り込むと、驚くほど多くの島が連なっているのが見えた。中国が海軍基地だけでなく、ミサイルや空軍基地を密かに建設しているのは当然だと思った。

アメリカが中国に対して戦略爆撃を行う際に、香港の市街地やあるいは揚子江沿いに開けている上海の近代的なビルを攻撃する必要は全くない。周辺にある軍事基地や沿岸を攻撃破壊すれば、中国海軍が動けなくなるだけでなく、中国経済を動かしているタンカーをはじめ艦船の動きも、完全に止まってしまう。

アメリカ軍が戦略的な観点を変え、アメリカの卓越した技術を縦横に駆使し、戦略空軍によって中国の不法行為を抑えることは、さして難しくないのである。つまり中国が不法な軍事行動を取った場合、アメリカ側はいつでも、断固とした態度を取ることが可能である。

アメリカのオバマ政権はようやく、中国が不法に造った人工島周辺12海里内の海域と空域を自由航行すると発表し、実際に駆逐艦「ラッセン」を送り込んだ。これに対して中国は「航行を続ければ、何が起きるか分からない」と威嚇している。

アメリカの軍事専門家は、中国がアメリカの航空機や艦艇に攻撃を加えてくる可能性もあると警告しているが、国防総省の首脳は「予測したくない」という態度を明らかにしている。

アメリカは中国に対抗するための十分過ぎるほどの軍事能力を持っている。アメリカの航空機や艦艇が攻撃を受けた時に、アメリカ側が反撃して中国側の航空機を撃墜したり、艦艇を沈めたりした後、中国側がさらに反撃に出たとしても、アメリカ側は中国側の軍事基地を押さえ込み、破壊することができる。

これまでアメリカは、中国との間で局地的な争いが起きた時には、極力、明確な軍事行動を取ることを自制してきた。南シナ海でアメリカの偵察機が、中国の戦闘機に体当たりされて、海南島に不時着した時、アメリカは事を荒立てず、むしろ領域侵犯を認めて報復行動を取らなかった。

南シナ海で石油探査船が攻撃を受け、援助に向かった第7艦隊の駆潜艇が攻撃を受けた時も反撃していない。同じことは、朝鮮半島の38度線で起きたイザコザの際にも示されたが、アメリカ国防総省の戦略家は私にこう言ったことがある。

「中国との地域紛争が拡大すれば、核戦争になりかねない。アメリカはまた、遠く離れた中国周辺では、十分な軍事行動を取れないのではないかと懸念している」

キッシンジャー博士も私とのインタビューで同じような考えを示唆したことがあるが、今はっきりしているのは、アメリカが強力な戦略空軍の力を蓄え、中国の前線基地を通常兵力で攻撃し、押さえ込む力を十分持っていることである。

中国が南シナ海でアメリカの航空機や艦艇を破壊した場合、アメリカは通常の軍事力をもって反撃する能力を十分に備えている。ただ、そうした行動を取るにあたって、戦略爆撃機を投入して中国の軍事能力を破壊することは、アメリカの政治家にとって大きな重荷になる。

アメリカが大量の戦略爆撃機を投入して、軍事的な敵を徹底的に攻撃した例がある。アメリカ空軍は1972年12月18日〜29日まで11日間にわたって、北ベトナムのハノイとハイフォンに対して大がかりな爆撃を行った。ラインバッカー2と呼ばれたこの爆撃作戦の実行を決めたのは、ニクソン大統領とキッシンジャー博士だった。

爆撃にはグアム島のアンダーセン基地から78機、タイのウタパオから42機、合わせて120機のB52がハイフォンの港と首都ハノイの軍事基地を爆撃した。この戦略爆撃は、アメリカ国内で猛烈な非難を浴びて、「クリスマスの悪夢」と呼ばれることになる。

ニクソン大統領とキッシンジャー博士が、北ベトナムに対する大がかりな爆撃を敢行したのは、大詰めにきていたパリのベトナム和平交渉を北ベトナムが打ち切ったからである。猛烈な爆撃は、北ベトナムに強い軍事的圧力をかけるためだった。

結局、北ベトナムは、このB52の猛爆撃に耐えかね、中国とソビエトが政治的圧力をかけたこともあってパリの和平会議が再開され、和平が成立した。若いケネディ大統領が定見もなく始め、負け戦を続けていたベトナム戦争からアメリカを最終的に救い出したのは、アメリカの戦略空軍であったと言うことができる。

北ベトナムに対する爆撃の指揮を実際にとったのは、当時、戦略空軍の司令官だったジョン・マイヤーズ大将である。マイヤーズ大将とはテレビ番組でインタビューすることになり、ワシントンの国防大学を訪れたことがある。その際、この北ベトナムに対する戦略爆撃についても聞いた。

「戦略爆撃機を使って外国を攻撃することは、アメリカだけでなく世界の人々に核戦争を思い起こさせるだけでなく、アメリカによる無差別攻撃であるという心象を与えるため、強い政治的圧力を感じていた」

マイヤーズ大将はこう述懐したが、今アメリカ戦略空軍が上海や香港に攻撃を加えることになれば、「クリスマスの悪夢」どころではない騒ぎになるだろうが、今やアメリカは、中国の国際社会における不法行動を阻止するために、軍事行動を行う断固とした意志のあることを示す時に来ている。

アメリカは中国が南シナ海で、アメリカの航空機や艦艇に攻撃を仕掛けてきた時には、これまでのように自制したりせず直ちに反撃するべきであろう。そうした必要かつ正当な軍事行動を行う戦力を、アメリカの空軍は維持しているのである。

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