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2023年3月14日00時37分 〜
記事 [政治・選挙・NHK289] 創価学会が、6か国政府から「カルト」「反人権集団」「準テロ団体」に指定されているわけ (goo)
創価学会が、6か国政府から「カルト」「反人権集団」「準テロ団体」に指定されているわけ
goo 2021/09/19投稿

創価学会は、6か国政府から「カルト」「反人権集団」「準テロ団体」に指定されていますが、国によっては今現在も創価学会現地法人を厳重に監視している国(フランスなど)もあります。

また海外大手メディアは、創価学会とオウム真理教を同列に扱っていることが多いのですが、日本では創価学会に批判的な報道がされることは一切ありません。

つまりは忖度しない海外諸国は、創価学会=オウム真理教やアルカイダとみなしているということですよね?

カルト対策本には、フランスの国民議会(下院)と裁判所の両方が創価学会をカルトに認定したと書いてありました。

海外のカルト対策についてご存じの方、教えてください。

回答

オウム真理教の地下鉄サリン事件など、世界で多発する宗教犯罪を大きくみたフランスは、「反セクト法」という宗教団体による犯罪やテロを防止するための法律をつくり、そのうえで、犯罪歴や訴訟数や宗教トラブルの多い創価学会を「セクト(カルト)」に指定。

フランスのセクト(カルト)対策省庁は、創価学会を「フランスで最も危険なカルト」と批判。

ミッテラン大統領夫人も「創価学会の息のかかった者に取り囲まれ、騙されて創価学会の教祖(池田大作)に会ったが、もう二度と池田とは会わない。」と強い不快感を示しました。

続いてドイツ、オーストリア、ベルギー、チリが、創価学会を「精神異常集団」、「テロ予備軍」「反人権団体」にグループ分けをして国民に注意を促したのでした。

フランスでは、以下の宗教団体をセクト(反社会的カルト)に指定しています。

創価学会、統一教会、エホバの証人、サイエントロジー、モルモン


ドイツ議会が制定した「犯罪やテロを起こす可能性のある精神異常グループ」に認定された団体は以下のとおり。

創価学会、統一教会、ヤマギシ、東方聖堂騎士団


証拠

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%AE%E6%96%87%E6%9B%B8%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%83%88%E3%81%A8%E5%88%86%E9%A1%9E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%9B%A3%E4%BD%93%E4%B8%80%E8%A6%A7

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%83%88

https://21cult.web.fc2.com/cult.htm


フランスは有害宗教に対して最も進んだ取り組みをしているので、フランス国民議会で採択された報告書『フランスにおけるセクト』は、カルトか否かを判定する世界基準として利用されています。
報告書『フランスにおけるセクト』を、辞書サイトWikipediaより転載。

『1995年12月、フランス国民議会で採択された報告書『フランスにおけるセクト』は「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針の一つとされている。
この中で、セクトの本質を「新しい形の全体主義」と定義した上で、以下のように「セクト構成要件の10項目」を列挙している。

・精神の不安定化(マインドコントロール、洗脳、人格破壊)

・法外な金銭的要求(高額なお布施徴収、寄付金強要)

・住み慣れた生活環境からの断絶(会館での長時間の拘束)

・肉体的保全の損傷(暴力および精神的虐待)

・子供の囲い込み(創価学園に入園させるなどして子供を洗脳する)

・反社会的な言説(暴言や誹謗中傷)

・公秩序の攪乱(言論妨害、出版妨害、政治権力の悪用、テロ行為など)

・裁判沙汰の多さ(対立宗派とは200件超の裁判を起こしている)

・従来の経済回路からの逸脱(詐欺や脱税、裏金捻出、不法労働の類のこと)

・公権力への浸透の試み(公明党を立ち上げて政教一体の政治運営、行政への浸透)


以上の項目のいずれかにあてはまる団体をセクトとみなしているが、創価学会は全項目に当てはまる。(最高度に危険)

創価学会はフランスだけではなくドイツ、チリ、ベルギー、オーストリア、アメリカといった国々でセクト指定されている。

フランス政府のセクト対策はキリスト教以外を排斥するためだという陰謀論じみたレベルの低い議論や、キリスト教を守れという議論はフランスでは主流とならなかった。
全く違う高度な議論の末に対策の議論が行われた。』

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%AF%E3%83%88

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創価学会に詳しいジャーナリスト古川利明は、著書『カルトとしての創価学会=池田大作』(第三書館 2000年11月)で、創価学会はフランスの議会、裁判所、政府からカルト指定されており、最も危険なカルトのひとつである結論している。

「創価学会は、セクト構成要件の10項目(上記の10項目)を全て満たしている(=最高度に危険)」

「特に「暴走財務(献金)」に象徴される(=法外な金銭要求)は広く知られていることであるし、
https://web.archive.org/web/20100725210339/http://web.archive.org/web/20100725210339/http://ccc998.hp.infoseek.co.jp/000a.html000a.html

(=子供の囲い込み)についていえば、学会員二世、三世に、小さい頃から池田大作著の絵本やアニメを見せて、いかに池田が尊敬すべき素晴らしい人間であるかを刷り込ますといったことがあてはまる。

(=裁判沙汰の多さ)のように訴訟を乱発して、批判意見を封じ込めようとする動きなどは、一般の人でもピンと来るだろう。」
https://www.soka-news.jp/soka-slapp.html

「また、「通常の経済回路からの逸脱」とは、詐欺や脱税、裏金捻出、不法労働の類のことで、例えば、これまでルノワールの絵画購入に関して約十五億円の裏金を捻出したり、初代第一庶務室長・中西治雄が、一億七千五百万円入りの金庫を竹ヤブに放置したりなど、いくらでも具体例は出てくる。

「公権力に浸透する企て」も、官公庁や大企業に学会員を侵入させる「総体革命」はもとより、公明党を作って、九九年以降、自・公で政権与党入りしている現状を見れば、あまり詳しい説明はいらないだろう。」

https://21cult.web.fc2.com/cult.htm


前科数十犯 ”創価学会” の事件報道を公開
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/368.html

統一教会どころではない、寄付金トラブルを巡って多数の死者を出した創価学会の宗教詐欺
http://www.asyura2.com/22/senkyo288/msg/887.html

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国会でも創価学会のカルト問題について論議されました。

参議院 第134回 国会会議録より抜粋

○政府委員(小野元之君) 御指摘ございましたカルトでございますけれども、宗教学の説によりますれば、カルト、教団という意味でございますけれども、自発的な集団でいまだ教義や組織が未成熟である、そしてカリスマ的な指導者に率いられた熱狂的な宗教団体を指すというふうに一般的には言われているようでございます。
このカルトという言葉でございますが、近年アメリカの学会やジャーナリズムを中心に盛んに使われているわけでございまして、特に破壊的カルトといったような場合には、その宗教活動を主観的に判断して、閉鎖的で異端的、反社会的で危険な運動を行う団体、こういったものを指すというふうに聞いているところでございます。

○中島眞人君 カルトがやっぱり日本にもあったんですよ、あるんですよ。外国の報道も、日本の宗教に対してカルト的だという表現を使っている。ですから、そういうことは本当にそうなんだろうか、もしそうでなかったとしたら大変迷惑な話でありますから、そういう点で外務当局にタイムとかBBCとかABC放送の内容というものを的確に見せていただきたい。そして、その言っていることが間違いだとしたら国を挙げて抗議をしなきゃいかぬでしょう。そのとおりだということであったら政治や国会という場の中でこれに対して警告を発していかなきゃいかぬじゃないですか。
そういう意味で、私どもは外務当局に先ほどお願いをいたしたわけでありますけれども、そういうことについて早急に資料をお出しいただけるということでございますから、それはその時点でお話をいたしたいと思います。
さて、実は先ほど聖教新聞のいわゆる選挙特集を発言したのでありますけれども、聖教新聞というのはどういう新聞なんですか。

○政府委員(小野元之君) 私も詳しく存じ上げませんが、創価学会の機関紙というふうに考えております。

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フランス国営放送は『創価学会−21世紀のカルト』と題した、日本のカルト宗教を紹介する番組を放送した。

「平成十二年六月八日に、フランスの国営テレビ局(チャンネル2)が、『創価学会―21世紀のセクト』と題するドキュメンタリー番組を、約一時間にわたって放映した。
 フランスといえば、学会員が一万人ほどいるとされ、ヨーロッパにおける創価学会の中心地。その地の国営放送が学会批判の番組を流したのであるから、ただごとではない。
 もっとも、フランスではすでに、国会が創価学会を「危険なカルト教団」と認定している。

冒頭でナレーションが、創価学会を  「政治権力+金融帝国+全体主義+秘密厳守+21世紀のカルト」 と定義付けて、番組はスタートする。

「創価学会は、フランスでは、カルトの中で最も危険なものの一つとされている」
「学会は、国際的な構造をもった、新たなるカルトの原型」
「現在、フランスの創価学会内部は分裂しはじめている。それは、池田大作の支配により、方向がおかし くなっていることに気づいたからだ」
として、二十一世紀への警鐘をならして、番組を終了している。

https://torideorg.web.fc2.com/study/185.htm

******

創価学会の場合は6か国からカルト指定を受けており、国会でも教団の組織的犯罪行為が問題にされ、創価学会被害者は毎月のように街宣やデモを実施して非難の声をあげています。

おびただしい犯罪歴、年中誰かしらと争っている好戦的な部分、マインドコントロールされて家庭崩壊、うつ、自殺などに追いやられた信者も少なくなく、
そのうえ教団の体質を批判したり、スキャンダルを暴露したりすると、嫌がらせや暴力という形で反撃してきたり、個人情報を盗み出して追い込みをかけてくるマフィアのような面もあるため、国民の大多数から嫌悪、忌避される存在になっています。

近年、教団は国家転覆をして日本を乗っ取り、テロ犯罪をして世界を混沌とさせていますが、起こるべくして起きたといった感じでしょうか。


元ネタ
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/12582227.html

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/555.html
記事 [政治・選挙・NHK289] 今の日本政府・厚労省は、戦前の帝国日本軍と似てきた:効かないワクチンの接種事業を止められない!(新ベンチャー革命) :医療板リンク 
今の日本政府・厚労省は、戦前の帝国日本軍と似てきた:効かないワクチンの接種事業を止められない!(新ベンチャー革命)

http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/852.html



http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/556.html
記事 [政治・選挙・NHK289] 自民・細野豪志氏の呆れた変節…「原発運転40年」から一転、再稼働容認に国民ゲンナリ(日刊ゲンダイ)
自民・細野豪志氏の呆れた変節…「原発運転40年」から一転、再稼働容認に国民ゲンナリ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/320012
2023/03/13 日刊ゲンダイ


民主党政権時代には「運転期間『原則40年』は非常に重い」と言っていたのに(C)日刊ゲンダイ

《これほどまでに発言が変わってしまうと何を信じていいのやら…》

「2023ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で快進撃を続ける日本チームの話題で日本中が盛り上がる中、SNSでこんな声が広がっていたのが、12日に放送されたフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演した自民党の細野豪志衆院議員の発言についてだ。

 番組では、原発再稼働問題や東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出などをテーマに、細野氏や立憲民主党の小川淳也前政調会長らがそれぞれ持論を展開。細野氏は「原発が動いているところは電気料金が低いのは厳然たる事実だ」と指摘した上で、日本には動かせる電源施設があるのに動かしていないことを自覚すべきとして、原発の再稼働は「国際的な責任だ」と発言。岸田政権の原発回帰の動きに理解を示していたのだが、ちょっと待ってほしい。

 細野氏と言えば、2011年の福島第1原発事故後に当時の民主党政権で原発事故担当相などを務め、原発の運転期間について「原則40年、最長60年」という改正原子炉等規制法に関わった人物だ。岸田政権は今年、ロシアのウクライナ侵攻などを受けたエネルギー価格の高騰を理由に、運転期間「60年超」原発の運転を容認したが、本来であれば運転期間のルールを決めた当時の担当大臣として異論を唱えても不思議ではないだろう。それなのに平然と「60年超」運転も問題なしかのような姿勢なのだから、ネット上で驚きの声が広がったのも無理はない。

「原発は運転期間が40年を超えると中性子照射による脆化が起きる」

 改めて改正原子炉等規制法をめぐる過去の国会審議を振り返ると、原発運転期間の「原則40年」の根拠について、細野氏は2012年2月の参院予算委員会でこう答弁していた。

「40年とした根拠でございますけれども、まず、原子炉の圧力容器の中性子照射脆化、すなわち、中性子がずっと当たりますから、そのことによって圧力容器が弱くなります。それがどれぐらいの弱さになっているかというのを、急激に冷めた場合にどの温度で原子炉が危なくなるかという分析をしておりまして、その数字を見ておりますと、これが40年という辺りで例えば100度ですとか80度まで下がると脆化をするという、そういうデータがございます」

「既に現在設置をされているほとんどの原子炉につきましては、中性子照射の脆化について想定年数を40年として申請をしております。したがいまして、こうしたことから考えると、元々この40年というところが一つの目安としてできてきたということがありますので、そこで一つの区切りを付けるということでございます」

 原発は運転期間が40年を超えると、中性子照射による脆化が起きる――。細野氏は明確にそう言っていたのだ。そして、同年6月の参院環境委員会で、委員から「安全を政治的に、恣意的に、エネルギー需給のことが大切だとかという論理で政治的に安全を脅かして緩和するということは、それはあってはいけないけど……」などと問われた細野氏はこう断言。

「この(原子力規制)委員会は、専門的、技術的にしっかりやるという趣旨で独立性をしっかりと確保したものになっています。したがって、緩い方、緩い方に行くということを想定をして作られている法律ではないというふうに考えております」

「40年のところもそうなんですが、ここは法律に書いた意味というのは極めて重いと思うんです。(略)私は、立法者の意思というのは極めて重いというふうに考えています。(略)原発が予定をされている40年というところに線を引いたということ自体は非常に重い」

 エネルギー需給のことが大切だとかという論理で政治的に緩和することは想定していない。運転期間「原則40年」は非常に重いーー。当時はこう説明していたはずなのだが、細野氏にとって今の岸田政権の動きは「想定外」とでも言うのだろうか。SNSでもこんな意見が目立った。

《細野さん、どうしようもないね。まっ、自民党入りした時に分かっていたけれど》

《与野党関係なく、政治家として少しぐらいは自分の発言に責任を持ってほしいな》

 細野氏は番組で、「政治家が信頼されないことに関しては、私らもしっかり考えなきゃならない」とも言っていたが、本当にしっかり考えてほしいものだ。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/557.html

記事 [政治・選挙・NHK289] ふざけた公金つかみ取り五輪 電通と組織委がグルの犯罪 特捜部は森喜朗を逮捕せよ(長周新聞)
ふざけた公金つかみ取り五輪 電通と組織委がグルの犯罪 特捜部は森喜朗を逮捕せよ
https://www.chosyu-journal.jp/shakai/26010
2023年3月13日 長周新聞



 東京オリンピック・パラリンピック開催をめぐって、昨年末、大会組織委員会や広告最大手・電通、その他広告大手やイベント会社が絡んだ談合事件が発覚した。この問題が明るみに出て以降、東京地検特捜部や公正取引委員会が珍しく捜査を展開してきた。そして2月末には談合を主導した電通をはじめ関係企業6社と、組織委元次長を含む関係者7人が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで刑事告発され、その後起訴された。独禁法違反で広告業界が刑事処分を受けるのは初めてのことだ。東京オリンピックをめぐっては、大会が開催されて1年半以上が経過してもなお、不正が次々と明るみに出て、日本は世界に恥をさらし続けている。それでもなお性懲りもなく2030年の札幌オリンピック招致を進めている。「平和の祭典」や「選手ファースト」など忘れ去られ、巨額の公費に一部企業が群がる「汚れたちの祭典」と化した現実が浮き彫りとなっている。

入札は形だけで利権の山分け

 今回の談合事件が明るみに出たのは昨年11月、広告会社大手の「ADKマーケティング・ソリューションズ」(旧アサツーディ・ケイ)が、同大会のテスト大会をめぐる入札で不正があったことを公取委に自己申告したことがきっかけだった。入札談合やカルテルの違反について一番最初に自己申告した場合、「課徴金減免(リーニエンシー)制度」によって課徴金や刑事告発を免れることができる。ADKが処罰を免れるために「抜け駆け」したような格好でこの問題が発覚し、本格的な捜査が始まった。

 この談合事件は、組織委が2018年5月以降に発注した各競技のテスト大会や本大会の運営業務について、競争入札がおこなわれるよりも前に受注予定業者を談合によって決定していたことが問題になっている【図@参照】。この事業の受注をめぐり、組織委の窓口となる「マーケティング専任代理店」だった電通が、組織委と連携して受注各社の応札意向を確認し、受注候補をまとめた一覧表を作成。各社の受注意向も伝達するなど、談合を主導していた。


 この問題で、まず2月8日に4 人の逮捕者が出た。テスト大会の計画立案支援業務について、発注をとり仕切る立場だった組織委大会運営局元次長の森泰夫容疑者と、電通で入札関連業務を担当していた同社元幹部の逸見(へんみ)晃治容疑者、さらにイベント制作会社セレスポ専務の鎌田義次容疑者、同じくイベント制作会社フジクリエイティブコーポレーション専務の藤野昌彦容疑者の4人だ。

 この逮捕によって、組織委と電通がグルになって談合を主導し、そこへ事業受注企業も身を乗り出していた構図が確かなものとなった。森元次長が組織委内で発注方式などを議論するさい、電通からの出向者が度々同席しており、電通側の逸見氏は、出向者を通じて事業者側から聞きとった応札に関する意向を把握・共有していた。

 さらに公取委は2月28日、この談合に関わっていた広告最大手の電通グループ、業界2位の博報堂、東急エージェンシー、イベント制作会社のセレスポ、フジクリエイティブコーポレーション、セイムトゥーの6社を法人として刑事告発した。また、各社の幹部に加え組織委の森元次長、電通幹部の逸見氏など計7人も刑事告発した(いずれも独占禁止法違反の疑い)。これを受けて特捜部は同日、6社7人を起訴した。

 東京地裁は今月1日、起訴された組織委の森元次長と電通幹部の逸見晃治について、保釈を認めた。2月28日に起訴されていた両被告はいずれも起訴内要を認めている。保釈保証金は森被告が1000万円、逸見被告が700万円で、いずれも即日納付された。だが、同じく逮捕・起訴されているセレスポとフジクリエイティブコーポレーション側は、関与を否定している。

電通と組織委が談合画策 発注者と受注者が一体

 捜査が進展するなか、テスト大会計画立案業務をめぐる入札が、実際には大会組織委と電通が主導した「出来レース」であったことが改めて浮き彫りになった。具体的な談合の内容は以下のようになっている。

 談合がおこなわれたとされるのは2018年だが、その2年前の2016年にはすでに、組織委に出向中だった電通幹部職員が、大会運営業務の発注見通しなどについて情報共有するための会議を電通社内でおこなっていた。その会議のプレゼン資料には、「入札を有名無実化して電通の利益の最大化を図る」などと記されていたことも明らかになった。入札の有名無実化――つまり、名目上「入札」という形が存在するだけで、実際にはなんの意味もない見せかけのものであり、最初から裏で話をつけて出来レースをおこなうつもりだったということだ。こうして電通は組織委と手を組み、談合を画策していった。

 その後さらに電通は組織委内部に食い込んでいく。2017年に電通は組織委の上層部から、マーケティング専任代理店としての報酬を、経費削減のために50億円ほど削減したいとの提案を受けた。しかし電通は「マーケティング専任代理店契約をほごにする屈辱的要求だ」として自社への報酬削減を断っている。そのかわりに大会運営業務の委託で経費削減が可能とし、電通社員によって構成された「対策事務局」を組織内に設置し、「競技ごとに運営実績のある業者に効率良く割り振って委託費を安く抑える」という旨の提案書を提出している。

 結局組織委は対策事務局の設置は断ったが引き続き電通にサポートを求め、この時期から電通と組織委は各社の希望を探り、割り振った一覧表の作成に着手している。組織委内には、電通が集めてくるスポンサーとの契約業務や、ライセンスの管理などを担当するマーケティング局があり、306人が在籍していた。この部署には東京都や企業からの出向者もいたが、なんと3人に1人に当たる110人が電通からの出向者だった。さらに、局長や部長などの幹部も電通からの出向者がほとんどだった。

 その後2018年に問題の「テスト大会実施計画立案業務」についての業務発注がおこなわれ、同年5〜8月に計26件の一般競争入札が実施された。だがそれは表向きの名目にすぎず、このときすでに一覧表が作成・共有され、これにもとづいてそれぞれの事業が落札された。同年3月には、森元次長が組織委の上司に一覧表を見せたさい、「電通が多い」「電通びいきの入札条件だと批判される」といわれ、電通の受注予定件数が減らされたともいわれている。それでも最終的に電通は最多タイの5件を落札している。このように電通は、テスト大会実施計画業務の受注者という立場でありながら、発注者である組織委に多くの出向者を送り込んだうえで、平然と「電通の利益最大化」のために暗躍していたのだ。

 この間の談合事件をめぐる調査のなかでは、電通と組織委双方に了承を得なければ入札に参加できなかったことや、談合に向けた調整がおこなわれていたことが明らかになっている。例えば2018年4月に入札の実施が公表された「東京国際フォーラム」など4件について、広告大手「東急エージェンシー」など4社を落札予定企業とするよう調整していた。電通と組織委はその後も案件が公表されるたびに各社の合意をとり付けていき、同年8月までに実施された入札計26件の大半が競争なき「一社応札」だった。

 受注企業のなかで電通と並んで最多タイの5件を受注したセレスポは、当初の予定になかった会場を希望するさい、そのことを組織委の森元次長に伝達していた。さらに電通側の逸見氏にも面談して希望を伝え、その結果を森元次長にメールで報告していた。

 また別の企業の担当幹部は特捜部などに「組織委と電通の双方に了承を得ないと入札には参加できなかった」と供述している。こうして組織委と電通が各社から事前に報告を受け、了承する形で受注調整がおこなわれていた。

企業側の言い値が横行 増える随意契約

 さらに、談合があったとされる2018年度から2021年度までに組織委が結んだ契約のうち、「特命随意契約」の件数が競争契約の約1・5倍に及んでいた。特命随意契約では、1社のみからの見積額を基準に金額を決める。つまり受注企業側の「言い値」が強くなり、落札額が相場より高くなる。このように談合に加わった企業は、競争入札とは名ばかりの「公金つかみどり談合」によって特命随意契約を勝ちとり、まったく競争なく受注額を好き放題につり上げて暴利を貪っていたのである。その証に、全体の落札結果は事前に作成されていた一覧表とほぼ一致していたという。

 今回問題になっている談合事件は、9社と共同企業体1社が26件の案件を分け合い、総額約5億3800万円の「テスト大会計画立案などの業務」を不正に受注しただけの話ではない。これらの企業は計画立案業務以降におこなわれるテスト大会の実施業務や、本大会の運営業務まですべてを「特命随意契約」という形でまとめて請け負っていた。1社のみの見積もりによって発注するため、企業側の言い値でいくらでも受注価格がつり上げられる状態にあった。今回の談合事件をめぐり、公取委はその規模を約437億円と認定している。当初、本大会の運営まで含めた業務の総額は192億円と公表されていたが、捜査の結果その規模は2倍に膨れあがった。

 今回の談合事件だけに限らず、東京オリンピックをめぐって組織委が結んだ契約には、随意契約が多すぎることも問題になっている。談合があったとされている2018年度から大会が閉幕した2021年度までの契約では、特命随意契約の件数が競争契約の1・5倍に及んでいた。本来会計法では、国などが結ぶ契約は競争契約が原則で、例外として随意契約をおこなうとされている。こうした組織委のずさんな予算執行、財政管理のもとで、入札において不正が横行し、特命随意契約を頻発させたことで五輪経費全体が膨らんでいったこともおおいに問題にしなければならない。そして、これらの契約のなかに、いくつもの不正な談合や汚職などの汚れたカネの動きがあった形跡が潜んでいてもおかしくはない。

電通絡みの贈収賄事件 スポンサー契約巡り

 今回の談合事件についての捜査よりも早く、公取委は昨年夏からオリンピックのスポンサー契約をめぐる贈収賄問題について捜査を進めてきた【図A参照】。ここでも、大会組織委と電通がズブズブの関係で繋がっていたことが明らかになった。そのパイプ役として暗躍していたのが、大会組織委元理事であり、電通OBの高橋治之容疑者だ。高橋元理事には、いくつもの企業が大会スポンサー契約に有利なとり計らいを受けるために多額の賄賂を渡し、高橋元理事は贈賄企業にスポンサー契約が決まるよう、組織委に働きかける役目を負っていた。


 こうした一連の贈収賄事件をめぐり、高橋元理事は計4回逮捕されている。最終的にこの汚職事件では、収賄側3人、贈賄側12人が起訴されることとなった。

 また、AOKI ホールディングスの青木前会長は、当時大会組織委会長だった森喜朗氏にも「がん治療の見舞金」として200万円を手渡している。スポンサー選定などをめぐる権限は森喜朗氏に集中しており、本人も「スポンサー決定は、理事会の決議により会長の私に一任されていた」とのべている。スポンサー探しや交渉、電通とのやりとりなどは、高橋元理事や組織委職員がおこない、森喜朗氏が了承する関係だった。


森喜朗

 電通OBの高橋元理事が贈収賄をめぐる中心人物であったことは間違いないが、こうした汚れたカネの動きを、当時組織委会長だった森喜朗がまったく知らなかったというのは無理がある。青木前会長から受けとった200万円についても、会長の職務に対する便宜への対価として受けとったとなると、収賄罪、受託収賄罪に該当する可能性もある。昨年末から、公取委や特捜部が本腰を入れた捜査を展開しているなかで、界隈では「狙いは電通や森喜朗」だともいわれていたという。今回、電通は談合事件をめぐって幹部が逮捕・起訴され、法人としても刑事告発・起訴されている。特捜部が今後「本丸」の森喜朗まで切り込むかどうかも注目されている。

被害者面する国や都 大会開催の資格あるか

 オリンピック談合事件をめぐり、岸田首相は1日、文部科学省など14府省庁が電通、セレスポ、フジクリエイティブコーポレーションの3社に対して入札参加資格を停止する措置をとったと説明した。指名停止期間は先月15日から9カ月間としている。

 また、文部科学省は3日、談合や汚職事件に絡み、博報堂、東急エージェンシー、セイムトゥー、KADOKAWA、ADKマーケティング・ソリューションズ、サン・アロー、大広の7社に対し、指名停止措置をとると決めた。指名停止期間は今月6日から9カ月間で、大広のみ6カ月間。

 東京都も2月28日付で、広告会社の博報堂、東急エージェンシーとイベント制作会社のセイムトゥーを指名停止とした。都はすでに電通、フジクリエイティブコーポレーション、セレスポの3社は指名停止としているため、今回の談合事件で起訴された6社すべてが指名停止となった。

 東京オリンピックをめぐる談合や汚職に対して、国も都もJOCもまるで被害者、他人事のようなスタンスだ。もちろん談合をおこない、不正に巨額の公金を手にした広告大手やイベント会社に対しては、徹底的に今後も追及が必要だ。組織委会長の森喜朗まで汚れきったオリンピック絡みの疑惑は、このさい膿を出し切ることが求められる。

 だが、電通をはじめとした一部企業の好き放題を罰するだけで良いのか。談合や汚職に関わった企業に対し一定期間入札停止するだけの罰則を課せば許されるのか。電通社長はこのたび、役員報酬3割を6カ月返上すると公表したが、これで幕引きとなるのか。談合や汚職などを許した組織委、ひいては招致した国の責任も問われてしかるべきだろう。

 そもそも2013年に、IOC総会で安倍元首相が福島原発事故の影響について「アンダーコントロール」といって世界を欺き五輪招致を強行したのに始まり、エンブレム盗作問題や、国立競技場デザイン変更、ブラックボランティア問題など開催前から問題続きだった。コロナ禍で1年延長してまで開催した本大会は、汚職と談合によって汚れまくった「公金つかみどり大会」と化し、大会から1年半以上が経過してもいまだに日本は世界に恥をさらし続けている。

 大会組織委とは名ばかりで、大会運営のノウハウなどなにもなく、裏を返せば「電通頼み」でしか実務が前に進まなかったことも指摘されている。こうしたなかでなし崩し的に電通の好き放題が横行したともいえる。そもそも日本に大会を招致し開催する資格があったのか、改めて問われなければならない。

 東京オリンピックは、2013年の招致段階には「世界一コンパクトなオリンピック」と銘打ち、当初の関連予算は7340億円だった。しかし、終わってみれば、昨年12月の会計検査院による報告では1兆6989億円。さらに首都高速道路の整備費など関連経費が約2兆円かかっており、これらを含めれば約3兆7000億円と、当初の約5倍にまで膨れあがっている。打ち出の小槌を振るがごとく公金をジャブジャブ投入したあげく、その金は電通を頭とする一部の大手広告代理店やイベント会社へと集中していった。

 リオデジャネイロオリンピックの閉会式で東京大会をPRするため、安倍晋三元首相がスーパーマリオの格好をして土管の中からサプライズ登場したあのシーン。わずか8分間のセレモニーにかかった費用は11億2000万円にものぼるが、このうち8億円は東京都が支出している。

 これらはあくまで大会開催にかかった費用の話だが、これから先も競技場などの維持費は別にかかる。国立競技場は、昨年度だけで維持管理費などで約13億円の赤字、さらに、土地の賃借料は約11億円だ。この先もすべて、このような「負の遺産」に税金が費やされていくことになる。

 オリンピックをめぐって、想像を遙かにこえる腐敗が横行しており、巨額の公費に群がる一部企業が暴利を貪る構図が浮き彫りとなっている。膿を出し切るまで徹底的な捜査が求められるが、同時に「そこまでしてオリンピックが必要なのか?」という疑問は尚更深まるばかりである。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/558.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 黒田総裁は異次元緩和維持で“無責任”幕引き…日銀植田新体制の船出はパニック必至(日刊ゲンダイ)

黒田総裁は異次元緩和維持で“無責任”幕引き…日銀植田新体制の船出はパニック必至
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/319931
2023/03/11 日刊ゲンダイ


円安再加速も(C)日刊ゲンダイ

 日銀は10日、黒田東彦総裁下で最後の金融政策決定会合を開き、異次元緩和の維持を決めた。一部の期待を裏切り、黒田氏は動かなかった。後任の植田和男氏は4月9日に就任。新体制は波乱の船出となりそうだ。

 BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは〈3月会合で政策修正を予想する理由 黒田体制から植田新体制への「置き土産」〉(2月20日付)と題したリポートで、黒田日銀ラストの会合で長期金利の上限を引き上げると予想。〈植田新体制はスムーズな政策運営が可能となる〉と書いていた。そうしたシナリオは実現しなかった。この先、どんな事態が起こり得るのか。河野氏の見通しはこうだ。

 早期の金利上限引き上げを予想する海外投資家から長期国債は売りを浴びせられ、国内投資家も追随。防戦一方の日銀があらがうほど、金融市場の歪みは拡大し、円安が再加速する。植田氏は早々に変動幅拡大に追い込まれるという。

 そうなれば、植田氏は「タカ派」のレッテルを貼られ、さらなる修正を市場は織り込み、アベノミクスに拘泥する自民党安倍派は反発を強める。マーケットの反応や政治との軋轢で立ち往生すれば、市場の歪みや円安が加速するジレンマに直面するというのだ。

「河野氏が指摘するように、植田氏が就任早々に金融政策を修正しようがしまいが、混乱は避けられません。外圧が強まれば植田新総裁は落ち着いて仕事ができない。黒田総裁は今回の会合で10年国債の金利上限を0.5%から0.75%へ引き上げ、後任が仕事を始めやすい環境を整えるべきでした。思いやりに欠けた無責任な決定だったと思います」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)

 植田新体制初の決定会合は4月27、28日。厳しい舵取りとなるのは間違いない。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/559.html

記事 [政治・選挙・NHK289] どうしようもない安倍vs林 迫る衆院補選と山口県議選 結局のところ私物化争い 本紙記者座談会(長周新聞)
どうしようもない安倍vs林 迫る衆院補選と山口県議選 結局のところ私物化争い 本紙記者座談会
https://www.chosyu-journal.jp/yamaguchi/26014
2023年3月13日 長周新聞

 春の統一地方選が近づくなかで、都市部、地方を問わず全国的に地方議会の顔ぶれを決める争いがしのぎを削ってくり広げられている。ここ山口県でも山口県議選が3月31日告示、4月9日投開票の日程でおこなわれ、直後には衆院山口4区と2区の補選が4月11日告示、23日投開票の日程で実施される。いまのところ県議選は15選挙区のうち6選挙区が無投票になると見込まれ、衆院補選についてもいまいち盛り上がりに欠ける状態が続いている。山口県における統一地方選は何が争点になっているのか、補選情勢ともあわせて記者たちで分析してみた。


衆院補選に向けた激励会で岸田文雄と吉田真次(5日、下関市)

野党自滅がもたらす自民独り勝ちの構図

  いよいよ3月に入り、県議選でいえば選挙本戦まで1カ月を切ったわけだが、2月初旬の市議選に比べても候補者たちの動きが見えない。いったいどこで前哨戦がくり広げられているのだろうか? と疑問に感じるほど陣営や候補者たちの存在感が薄い。

 下関でいえば、県議選・下関選挙区の定数9に対して、名乗りをあげているのが現職に加えて万年落選してきた「県議選の名物男」が出てくるのみで、選挙をやるまえから結果がわかっている――というのが面白みに欠ける一つの要因になっているようだ。彼が毎度出馬することで無投票阻止にはなるものの、現職からすれば「選挙で選ばれた」という体裁だけは整えてもらえる関係で、当落に影響ないならこれといって毒にも薬にもならない。実質的には無投票続きといってもおかしくないのが県議選だ。本来なら脅かす存在が出てこなければいけないのだが…。供託金30万円の市議選に比べて、県議選は60万円。あれだけ有象無象が出てきた市議選と比べてもおとなしすぎる。散らし作戦ではないのだろう。

 日頃から生態が見え難い「中2階」みたいな存在なのが県議会で、市議に比べても有権者からの監視の目は行き届きにくい。市議に対してはふんぞり返って先輩面を吹かせているし、政党の序列からすると格上扱いされている。しかし、日頃から県政及び選挙区のために何の役に立っているのか分からないのも彼らだろう。独特な存在だ。

  下関選挙区の定数9の内訳を見てみると、自民党が6でそのうち安倍派が4、林派が2、公明1、共産1、立憲1と棲み分けている。公明はもともと2議席もっていたが、組織票が先細りになる趨勢を読みとって近年は1議席に集中するシフトをとった。今回の選挙では現職の先城が引退して市議だった前東が昇格する。自民党現職は顔ぶれはそのまま。安倍派で見ると、友田が8期目をかけて挑むほか、西本、平岡(安倍事務所秘書出身)、高瀬(瓦そば)、林派では同じく8期目をかけて挑む塩満、林事務所の秘書出身だった林哲也が引退して、その息子が新人として出てくる。共産、立憲はそれぞれ現職が立候補する予定だ。

 県議選でいえば、下関ではかつては「市議選3000、県議選1万」というのが安全な当選ラインと見なされていたが、近年は低レベル選挙が常態化している。前回選挙では立憲・酒本の5600票台まで当選ラインが落ちた。これは市議選に毛を生やせば当選も可能といったレベルで、「実質的な無投票状態」だからこそ当選できている面々が幾人かいる。自民党の高瀬や林といっても6000票そこらで決して威張れたものではない。

 無投票にはならないので成績表だけはこうして更新されていくが、選挙の度に得票を減らしている実態が浮き彫りになっている。立憲はたかだか1議席を守るのに必死で、どれだけ労働組合なりの組織票が先細っているのかと思わせている。下関市議選での連合系候補者の低得票が話題になったが、はっきりいって消滅の趨勢なのだろう。市議会や県議会において、自民党にすり寄って紐みたく振る舞っている実態に辟易している関係者も多いし、闘う姿勢が欠片もないことが、いわゆる「野党」とも見なされていない要因なのではないか。すでに馴れ合いと惰性の世界に溺れている。従って、いまさら「闘う野党なのだ!」と吠えたところで、なんだか残念プロレスを見せつけられているような空気になってしまい、世間一般としては萎える。

  斯くして、特段努力もせずに当選だけは見えているものだから、余裕の前哨戦といったところなのだろう。得票はアホみたいに減らすだろうし、成績表は過去最低が更新されるだろうが、脅威になる陣営がいない選挙なのだから、やはり「実質的な無投票」なのだ。余裕をかましているのはそのためだ。必死に挨拶回りをしているとかの話すら耳にしないし、とにかく動きが乏しい。市議選ではじゃんじゃんそうした動きが話題になって飛び交っていたのに、あまりにも落差が激しいものだ。まあ、市議選とリンクして恩義を売って候補者の支持母体をとり込んでいくとか、存在感をアピールするとかはやっていたが、選挙構造そのものは政党間の棲み分けをきっちりやったうえでの無風なのだ。

  山口県内のよその選挙区といっても同じようなもので、自民党現職に対抗する勢力が弱体化していることから、露骨に無投票をやるところも少なくない。一つには野党解体といっても過言ではない状況が関係している。いわゆる「保守王国」などと表現されるが、そうしたピラミッド構造のもとで残念プロレスで欺瞞してきた野党が自滅していき、候補者擁立すらおぼつかない選挙区が幾つもあるということだ。定数の多い地域では一つ二つの議席を分け与えてもらえるかもしれないが、そうした隅っこ暮らしに甘んじている実態がある。対抗勢力などではなく、その存在感としてはぶら下がった紐なのだ。しかも、かなりたるんでいる。ええ、ええ、緊張感もなくたるみきっている。

 国会とて似たようなものだが、腐れ野党の欺瞞のベールがこうして剥がれ落ちている。有権者としては選挙で思いをぶつけたくても、誰でも良いとはならないし、「付き合ってられるか!」(棄権)が5割を占めるという状況については山口県に限らず真剣に向き合わなければならない問題だ。昨今の選挙で低投票率が続いているのは、一つには選択肢のなさが反映しているし、これを「無関心」の一言で片付けるのは政治的怠慢だろう。

 そして、「選挙に行かない有権者がけしからん!」といって、ただ悲憤慷慨(ひふんこうがい)するのも矛先が違うのではないか。政治勢力であるならば、そこにどう働きかけていくのか、リーチしていくのか真剣に挑んでいくことが求められるし、またそこにしか勝機はないのだ。裏返せば無限の勝機が詰まっているし、伸びしろしかない勢力として5割が存在していると見られるかだ。日本の政治状況を俯瞰(ふかん)して見たとき、この五割の半分を味方につけただけで自民党の得票など凌駕してしまうわけで、目先思うようにいかないからといって「選挙に行かない5割のバカ!」などといっているような政治勢力には、「オマエがバカなのではないか?」と考えさせないといけない。

 日本の政党政治はどう見ても支持基盤が脆弱化している。そのなかでくり広げられる統一地方選についても、くたびれた政党政治に喝を入れることが最も求められている。すぐに何かがどうこうなるわけでもないが、野党壊滅、自民党独り勝ちというしらけた空気のなかで、持って行き場のない思いは一方では充満しているし、政治不信をぶち破っていく過渡期なのだと思う。それは全国的にも普遍的な課題なのではないか。火が着いた日にはすごいことになる予感はある。乾ききった草に火がついたら、燎原の火の如く燃え広がるのと同じような気がする。そういう意味で巷は乾ききっているのだ。

安倍派改め吉田派に? 候補擁立したものの

  ところで、県議選の直後には山口県では衆院山口4区と2区の補選がおこなわれる。4区は安倍晋三の逝去で急遽おこなわれることになり、2区については岸信夫が体調不良を理由に議員辞職したことから実施される。4区には安倍派の下関市議だった吉田真次が擁立され、2区は岸信夫の子息である信千世が出馬する。岸・安倍ブランドが力を失い、首の皮をつなぐといっても引き継ぐ実力者がおらず、右往左往している印象だ。

  山口4区は結局のところ、「10増10減」の影響で次期衆院選からは消滅する。新3区に統合されて、山口県では代議士ポストが4から3へと減る。このイス取りゲームの過程で自民党派閥同士による攻防戦が激化している。最後の4区については、安倍晋三が亡くなってから候補者選定が進められたもののなかなか決まらず、最終的には安倍昭恵と伊藤後援会長の決定という格好で吉田真次が担がれることになった。

 昨年12月末で閉じていた東大和町の安倍事務所だったが、新たに吉田事務所として看板を付け替え、再就職するはずだった安倍事務所の秘書たちも大半が戻ってきて選挙実務に奔走している。畑村も3月6日に戻るとか戻らないとか安倍派の人間が話していた。あの秘書軍団が揃わなければ選挙はまず体を為さないだろうし、4月に入ってからは安倍昭恵がつきっきりで選挙区内の挨拶回りを展開するとかだ。現実的には安倍派としての面子をかけた最後のたたかいになる。新3区に林芳正を戻してなるものか! の意地からしても圧倒的な得票を叩き出さなければ格好がつかない関係だ。

  そうした現状を論議するにあたってどうしても気になるというか、些末なことかも知れないのだが、安倍派改め吉田派と命名した方がよいのだろうか? 吉田派と呼称すると安倍派の面々は「何が吉田派か!」といって怒り出しそうなので、旧安倍派と呼ぶのが正解なのだろうか? ちょっとよくわからないので、どう呼んだら良いのか安倍派の人たちには会った時でいいから、それぞれ希望を教えてほしいとも思う。

 「吉田の派なんかではない! 安倍派だ!」というなら、正確には旧安倍派と呼ぶべきだろうし、こっちだって困る。とりあえず、現状では吉田派といってもみんなが「はぁ?」な状態なので旧安倍派としておくけど、今後とも吉田真次代議士体制のもとで地盤を引き継いでいくというなら、必然的にネーミングは吉田派ということになる。「吉田派の西本健治郎(県議)」「吉田派の前田晋太郎」とかになる。なんだか吉田真次の目下の県議や市長みたいな印象で、まるでピンとこないのだが…。あれらの縦系列の序列からするとそうなる。

  確かに安倍晋三がいなくなった以上、安倍派と呼び続けるのも違うような気がする。ただ、旧安倍派に属してきた人たちには、その人たちなりのプライドもあるだろうし、受け入れがたい現実なのではないか。その後、音を立てて崩れ始めた牙城について、複雑な思いもあるようだ。新3区に林芳正が戻ってくるのを嫌悪しているし、それに対して林芳正も「新3区でたたかいます」と明言できないのが現状だ。これもまた、「石橋を叩いて渡る」どころか「石橋を叩き回して渡る」といわれるほど慎重というか、おっかなびっくりで立ち回っている。「度胸がない男」といわれるのは、そういうところに起因している。

  ただ、傍から見ていて、2月初旬の下関市議選は安倍派の弱体化を端的にあらわしていた。旧安倍派になっていく過程でもあるのだろう。頭がいない以上、新3区への再編では防衛戦を強いられているわけで、なんだか防戦一方のようにも見えて仕方ない。安倍支配のピラミッドの構造を崩してなるものか! と抗ってはいるのだろうが、市議選では安倍派が共倒れして議会でも最大会派としてのポジションを失った。どう見ても林派に勢いがある。相撲でいうところの、張り手からの突っ張り、突っ張りで、のど輪をひっかけているような光景だ。それを第三者たる我々は、「のこった、のこった!」と行司役みたいなことをして眺めている。どっちが勝ったからといってどうってことない。


下関市でおこなわれた自民党の「吉田真次君激励会」(5日)。最前列に座っていた市議・県議たちだが、岸田首相退場後に残っていたのは「創生下関」の市議ばかりだった。(下段が退席後)

下関市議会の形成逆転 「みらい」がポスト独占

  兎にも角にも、下関では議長選の結果、香川が議長になり、安岡が副議長になった。そして常任委員会の主要ポストも選挙後に最大会派に成り上がった「みらい下関」が総なめにして、議長選で手を組んだ「市民連合」にも枠を与えてやり、余り物を「創世下関」が分け与えられた格好になった。極めて惨めな扱いを受けている。委員長ポストについての相談や事前合意もなく、みらい下関が創世下関を完全に袖にして決めてしまった。この数年来に渡って、議長・副議長ポストはじめとした主要ポストを独り占めにしてきた創世下関だったが、こうも立場が綺麗に逆転するものなのかと驚かれている。あまりにやり方が露骨なため、みらい下関も少しやり過ぎだろうといわれているくらいだ。

  この議長選の過程で、旧安倍派で構成する創世下関は改選の結果5人まで縮小してしまい、数の上ではどう考えてもみらい下関に及ばなかった。みらい下関といっても旧安倍派に足を突っ込んでいた者も含まれるわけで、林派と安倍派の冷や飯組の寄り合い所帯みたいな側面があった。

 安倍在任中は安倍事務所と直接つながった創世下関が我が世の春を謳歌していたし、なんでもかんでも「安倍事務所に聞いてみる」「安倍事務所が○○といっている」といわれれば、みらい下関としてはそれ以上抗うことができない関係に置かれていた。いわば自民党会派の二軍みたいな存在だった。市政にまつわる情報も前田市長及び創世下関(市長の出身会派)に牛耳られて、「亀田、井川、阪本、吉田の4人が好きにしている」ともっぱらだった。

 ところが市議選を経て、林派としてはテコ入れした新人も幾人か当選させ、みらい下関は一躍12人の最大会派に昇格した。創世下関のメンバーとしては「安倍派としての再結集」を呼び掛け、みらい下関のなかでも安倍派寄りの木本、田中、星出の3人を中心に引き抜きをはかったと見られている。2人で1セットといわれる戸澤、東城にも声がかかったようだ。ところが股割きになって創世下関になびいたのは星出ただ1人で、どうしようもなくなって自民党会派ののけ者だった関谷にまで声をかけて引き込んだ。関谷まで創世下関の会派入りをするのだから、これまでの経緯からして、もう恥も外聞もあったものではないのだが、それだけ追い詰められていたのだろう。とにかく七人まで頭数を増やして、公明党の5人とタッグを組んでようやくみらい下関と並ぶ12人を確保した。

 しかし、ここでキャスティングボートを握ったのが市民連合だ。創世下関+公明みらい下関の議長選争いが12対12で拮抗するなか、労働組合を基盤にした山下、M岡、秋山の3人組がどっちにつくのかが勝負の鍵を握った。安倍派凋落の局面で林派と手を握ったのがこの面々で、そうなると創世下関としてはもはやどうしようもなかった。

 負け戦となる議長選には候補を担がず、しかし「香川議長体制だけは我慢ならない」という思いから、公明党ともども白票を投じるという挙に及んだ。公明党は昔から安倍派とタッグを組む補完勢力として認知されているが、ここでも白票を投じるという共同行動をとった。創世下関としては「せめて議長が木本なら投票には応じる」という格好で粘ったようだが、それをみらい下関側ははねつけた。安倍派及び創世下関の総反発があることは百も承知の上で、白票だらけの議長選の結果、香川・安岡体制を押し切った格好だ。

 ある意味、これは宣戦布告にも似ている。あぁ、始まったな…といった印象だ。「それにしてもやりすぎ!」が庁舎内外の大方の反応だ。これまで好き放題に議会を牛耳ってきたのだから、そっくりそのまま我が身に跳ね返っただけといえばそうだが、まるで立場が逆転した。

  市議選後、一つにはみらい下関の再分割が焦点になったが、旧安倍派所属だったはずの数人がなびかず、流れを読んで勝ち馬のみらい下関から離れなかった。いまさら少数派に与しても損ではないかという判断が働いたのだろう。ならば新しい時代すなわち林派が天下を握っていく趨勢に与して身を任せた方が得で、「安倍さんは亡くなったのに、いつまで安倍派なんていっているの?」などと口にする者までいる。これを薄情というのか、合理的というのかはわからないけれど、正直といえば正直。市議選を経て明らかに流れは変わったし、海底で激しく潮がぶつかりながら逆流がうねり始めたということだ。

 みらい下関は単純に全員が林派ではないし、先程あったように安倍派と林派の寄り合い所帯みたいなものだ。前回選挙でも得票が見込めず、母親が安倍事務所に土下座して票を割り振ってもらったといわれる男とか、さまざまいる。議長になった香川といっても学生時代から安倍事務所にかわいがられて育てられたような男だ。実兄が江島市長時代に社会人採用で役所に採用され、秘書課長を務めたり江島ブレーンとしても有名だ。これらの面々を林派が上手に取り込んでいくのだろう。

  香川が議長になることについて旧安倍派が敵愾心を燃やしているのは、次の市長選で前田晋太郎体制が揺らぐという危機感からだ。議長を経て市長に躍り出てくると見なしている。香川はもともと安倍事務所とのつながりも濃いが、市長になりたくて仕方がない男として知られてきた。かつて友田、中尾、香川で三つ巴の市長選を戦ったさい、友田が割って入ったのを受けて、安倍事務所の老秘書が「友田のバカが!」とぼやいていたのを覚えている。「本命は香川だったんだな」と思ったくらいだ。市民派としても仕込みをしていたし、当時はまさか安倍事務所の秘蔵っ子だなんて思っている人も少なかったが、友田が市長選に割り込んだおかげで、江島後の市長ポストは遠ざかった。その後はなかなかタイミングがなく、安倍派が前々回選挙から前田晋太郎を市長に担ぎ上げて自分に目がないとなると、林派に取り入って市長候補として躍り出るという道を選択しても、さもありなんと大方が見なしている。旧安倍派としては、それは節操がないとして腹を立てるのも無理はない話なのだ。

2区も4区も票数に注目 有権者の審判は?

  いずれにしても潮目は変化している。議会が香川・安岡体制になったことは前田晋太郎にとっては相当なプレッシャーだろうし、先立つ衆院山口4区補選、次期市長選、次期衆院山口新3区と数年のうちに連続して節目の選挙を迎えていく。このなかで、県議選は面白みに欠ける選挙になるとして、直後の衆院山口4区がどうなるのかは大いに注目されている。

 安倍晋三は最後の衆院山口4区で前回選挙から10万4000票から大幅に減らしてかつがつ8万400票そこらだった。それ以前は10万票を余裕で叩き出していたが、第二次安倍政権を通じて地盤は存命中からすでに弱体化の趨勢にあった。今回の補選で吉田について「圧勝」といっていいのは10万票台を叩き出してからだろう。

  ただ、林派が選挙協力するのか? という疑問がある。決起大会に顔を出したとかの表面的な話ではなく、実態においてだ。新3区に戻ってくるな! といわれながら選挙協力するわけがないだろう。とはいえ林派の協力があってはじめて10万票台を叩き出せるのも事実であり、これが無言のボイコットなんてことになった場合、安倍派+公明党だけで果たしてサマになるのだろうか。しかも担ぎ上げるのは吉田だ。いったい誰が相手にするのだろうか? とは思う。

 だいたい、安倍派だけ見ても吉田真次が次なる我らが大将などと思っている人間は恐らく一人もいない。先輩市議や県議たちになるとなおさらだ。「吉田派の西本健治郎」などといわれたら恐らく西本は腹を立てるだろうし、あの男は前田晋太郎が衆院に移って、自分が市長ポストに就きたいのが本音ではないか。吉田が補選候補に担ぎ上げられることについて、どんな感情を抱いているのだろうかと思う。先輩を飛び越していくことになる。仮に自分が西本本人だったら、補選応援で壇上に立たされたとして笑えない感情しかないと思う。

  4月から安倍昭恵が付きっきりで吉田の応援に入るというけれど、本気で応援するなら4月といわず3月から入ればよいではないかという安倍派内部からの不満も耳にする。いかにもアリバイ的な感じに映っている。先日、岸田文雄が補選のテコ入れなのか下関にもやってきて、シーモールパレスに自民党関係者が集められていたが、いざ選挙実務についての具体的な話に及んだ段に、席に残っていたのは創世下関の議員たちばかりで、他はみなそそくさと帰っていたのも印象的だった。市議会ではバチバチのバトルをくり広げているし、亀裂が入ったまま衆院補選も迎えることになる。

  一方で四区補選には立憲民主党が統一教会問題を追及してきた有田芳生を擁立するという。だが、選挙過程での統一教会問題の暴露には注目が集まったとしても、選挙で勝てるかどうかはまた別問題だ。これまた、立憲民主党が4区においては市議1人、県議1人という体たらくで組織的にも弱体化が著しい。要するにぶっつけ本番の風任せなのが現実だ。従って相手が吉田真次ではあるが「ひょっとしたら勝つかも」なんてことはあり得ないから面白みに欠けている。日常的な政治勢力結集のための営みが乏しいのだ。

  とはいえ、吉田真次が何票叩き出すのかは新3区のイス取りゲームにもつながってくる。ダメだこりゃの数字になった場合、「林芳正を新3区に」の動きがいっきに強まるだろうし、第三者から見ていると、林派はうまいことボイコットして恥をかかせた方がその後につながるような気がしてならない。小商人(こあきんど)的な発想になってみて、損得からするとそうなるし、選挙区における安倍昭恵の影も排斥していくことになる。プレッシャーをかけていく意味でも、シレッと放置して安倍派オンリーの補選をやらせてみるというのは現実的だ。8万票そこら以上の衝撃が走ることになる。しかし、諸刃の剣で返す刀が林派にも向いてくる。新3区はそのように自民党自体が厄介な矛盾を抱えている。

  いまさらスマートに事を運ぶといっても無理で、下関市議会の議長選で林派としては宣戦布告しているに等しい。当然、市長ポストも剥ぎ取りにいくだろうし、新3区に戻ってくるのも時間の問題だろう。対して、旧安倍派としては補選の結果如何によってはさらに凋落の道を進むことになる。苦し紛れの吉田擁立がどうなるのかは注目だ。秘書が戻ってきて同じように蠢くといっても、御輿に担いでいる人間が別人でもあり求心力が問われる。

  2区についても信千世が岸家の世襲をかけた選挙をするようだが、これまたどんな得票になるのかは注目される。2区についてはいまだに対抗馬が見つからず、どの道当て馬くらいしか出てこないから有権者は興ざめしている。

 こうして1区高村正大、2区岸信千世、3区林芳正、4区吉田真次となり、このうち新3区を林と吉田が争っているのを見ていると、まことヒヨコ揃いみたいに山口県選出の代議士の顔ぶれは変化している。岸・安倍ブランドの凋落によって、今後は県政界のパワーバランスも微妙に変化していくだろうし、次期衆院選の候補者擁立については自民党県連内での攻防も注目されることになる。

  対抗馬がいないなら選挙には勝てる。当然だ。目下、山口県では保守同士のイス取りゲームばかりが加熱しているが、こんなものは所詮私物化争いにすぎない。問題は、国政政党としてはいわゆる野党も存在していながらまるで県民に相手にされておらず、その支部に属する面々も片隅の隅っこ暮らしで充足していることだろう。この野党再編というか、一度既存の枠組みをぶっ壊して、新しい政治勢力を再結集することが求められているのではないか。立憲民主の迷走ぶりは泉になってから顕著だが、野党と見なしている人がどれだけいるのかだ。悶々とした政治状況を打破していく道筋がいる。

 統一地方選は、そうはいっても安倍、菅、岸田と続いてきた自民党政治への審判が問われる。その結果が何を物語るのかは注目だ。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/560.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 高市早苗氏は“白旗”寸前…総務省文書「大臣レクあった」に抗弁も官邸から見放され孤立無援(日刊ゲンダイ)


高市早苗氏は“白旗”寸前…総務省文書「大臣レクあった」に抗弁も官邸から見放され孤立無援
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/320034
2023/03/14 日刊ゲンダイ


高市早苗経済安保担当相は松本剛明総務相(右)に制される場面も(=昨13日、参議院予算委員会)/(C)日刊ゲンダイ

 もうほとんど“詰んだ”のではないか。

 安倍政権下で作成された「放送法」の解釈をめぐる総務省の行政文書。記載のある「大臣レク」について、当時の高市総務相(現・経済安保担当相)は「受けるはずがない」とレクそのものを否定していたが、13日の参院予算委員会の集中審議で、総務省担当者が「レクは行われた可能性が高い」と真逆の答弁を展開したのだ。

 全78ページからなる行政文書のうち、問題となっているのは〈高市大臣レク結果(政治的公平について)〉と題されたペーパー。日付は2015年2月13日、場所は総務大臣室、高市氏本人と安藤友裕情報流通行政局長ら計6人が出席したと記されている。安藤局長が放送法の政治的公平性の解釈補充について説明する中で、高市氏は「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」などと発言したと記載されている。

 この日の予算委で答弁した総務省の小笠原陽一情報流通行政局長によると、文書作成者は「確実な仕事を心掛けており、上司の関与を経て文書が残っているのであれば、レクが行われたのではないか」と説明。他の同席者も同様の認識を示したという。

「捏造」発言を封印


岸田首相は傍観(後方右が高市経済安保担当相、=昨13日、同委員会で)/(C)日刊ゲンダイ

 これに、高市氏は色をなして“抗弁”した。ただ、これまで〈大臣レク〉文書について「捏造」と断言し続けてきたが、13日は「その時期はたくさんのレクがあり、何月何日の何時にどのレクがあったか、確認の取りようがない」と発言を後退させた。

 その上で「紙に書かれている内容は自信を持って否定する」と答弁。テレビ朝日の政治的公平性に疑義を示した自身の発言について、「私がテレビ朝日をディスるはずがない」「(番組MCの)羽鳥アナウンサーの大ファンでございますので」と言い訳し、長広舌をふるってみせた。委員長に「答弁は簡潔に」と再三指摘されても、「私は言いたいことがあってもこれまで我慢してきた」「ここは言わせて」と止まらない。松本総務相に制される場面もあった。

 まさか、総務官僚に正面から自分の発言を否定されると想像もしていなかったのか、終始苦々しげな表情を浮かべ、怒りをにじませながら答弁した高市氏だが、気になったのは、これまで繰り返していた「捏造」という単語を一切、口にしなかったことだ。

「官邸は当初、行政文書の信憑性について『正確性が確保されているとは言い難い』との見解で野党の追及をかわし、時間を稼ぐ戦略を描いていた。白黒つけず、ウヤムヤにするつもりでした。ところが、高市大臣が『文書は捏造』と断言してしまい、国会は紛糾。報道も“高市問題”一色になってしまった。岸田首相は、自分の政権の問題ではないこともあって、一歩引いて“高市さん、そんなに言うなら自分で説明してね”と傍観している状態です。総務省も高市大臣をかばう様子はない。孤立無援になってしまい、高市大臣は相当焦っている。これ以上『捏造』と強弁するのは、火に油を注ぐだけで得策ではないと判断したのでしょう。弱気になっているのではないか」(官邸事情通)

 追い込まれた高市氏は、正式に謝罪表明するのか、それとも辞表を提出するのか。“白旗”を揚げる日はそう遠くないかもしれない。 


総務省「大臣レクあった可能性」 行政文書めぐり高市大臣と食い違い

2023/03/13 ANNnewsCH

 放送法の政治的公平に関する行政文書を巡り、総務省と当時の高市総務大臣の間で認識の食い違いが明らかになりました。高市氏が存在しないと主張していた2015年の大臣レクについて総務省は13日、「あった可能性が高い」と認めました。

■高市氏 総務省と認識“食い違い”

 官僚からの大臣への説明。レクはあったのでしょうか、なかったのでしょうか…。

 立憲民主党・福山哲郎議員:「高市元総務大臣が捏造(ねつぞう)と言われた4文書のうち、2月13日大臣レクの文書」

 総務省の行政文書に記録されている2015年2月13日、当時の高市総務大臣へのレク。

 経済安保担当・高市早苗大臣:「このようなレクを受けたはずもございません」

 高市大臣はレクが行われたとする文書は捏造だと主張しています。

 一方、総務省は約80枚の行政文書の中には正確性が確認できない部分もあるとしていますが…。

 立憲民主党・福山哲郎議員:「この大臣レクが実際にあったかどうか」

 総務省、情報流通行政局・小笠原陽一局長:「作成者によると、『約8年前でもあり記憶が定かではないが、日頃確実な仕事を心掛けているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば同時期に放送法に関する大臣レクが行われたのではないかと認識している』ということでありました。2月13日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高いと考えられます」

 捏造とする高市大臣とは認識が違うようです。

■「話をした事実ない」高市氏反論

 立憲民主党・福山哲郎議員:「そうしたらこの紙、捏造じゃないですね、高市大臣」

 経済安保担当・高市早苗大臣:「私が言うはずもないことがたくさん書かれています」

 文書では、高市大臣が「苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか」などと発言したとされています。

 経済安保担当・高市早苗大臣:「正確性について話をさせて下さい。私は恥ずかしながら報道番組、ニュース番組というのを見るのは自分が朝食を取る時、夕食を取る時、その時間帯のものは見ていますが報道番組の見比べはしていません。『民放相手に徹底抗戦するか』と書いてありますけど、これもおかしゅうございます」

 委員長:「高市大臣、できるだけ簡潔に願います」

 経済安保担当・高市早苗大臣:「いや今まで今まで、この委員会は片道で委員会が長くならないように、私は言いたいことがあっても答弁を我慢してまいりました。この時期に放送法の解釈ですとか政治的公平について、私がお話をした事実が一切ないことを自信をもって申し上げます」

 立憲民主党・福山哲郎議員:「大臣の自信なんて聞いていません。人間の記憶があいまいだから、それぞれの官僚組織がどういうふうに意思決定をしていくかについて、ちゃんと細かく残しておかないと、後の後輩や意思決定に関わるから公文書は載せているんです」

■岸田総理「総務省から説明を」

 当該の行政文書に記録されている総理補佐官の働き掛けが行われた後、安倍政権はそれまでになかった新たな放送法の解釈を示しています。

 岸田文雄総理大臣:「(文書の)中身については今、所管する総務省が精査中ということですので、総務省から説明しなければならない。政府としての考え方、これは(放送法の)解釈の変更ではなく、補充的な説明を行ったものである、こうした考え方を維持しているものである」

[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/561.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 総務省文書で問われるべきは言論弾圧があったか 放置すれば日本経済は致命傷を負いかねない 金子勝の「天下の逆襲」(日刊ゲンダイ)

総務省文書で問われるべきは言論弾圧があったか 放置すれば日本経済は致命傷を負いかねない 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/320043
2023/03/14 日刊ゲンダイ


その姿は安倍元首相に酷似(高市早苗経済安保担当相)/(C)日刊ゲンダイ

 放送法の政治的公平性の解釈に関わる総務省の内部文書が、野党議員によって暴露された。文書作成当時に総務相だった高市経済安保担当相は「捏造文書」と断言し、「捏造文書でなければ大臣も議員も辞職する」とした。その姿は安倍元首相に酷似する。

 安倍は森友問題をめぐって「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」と言い、財務省職員を恫喝。財務省は安倍の発言に沿う形で公文書の改竄に手を染めざるを得なくなった。結果として、職員を自死に追い込んだのだった。

 総務省は、さすがに財務省と同じ轍を踏みたくないのだろう、国会で今川拓郎官房長は「捏造があるとは考えにくい」と答弁している。ということは、高市は放送法の政治的公平性について「放送事業者の番組全体を見て判断する」という従来見解を「一つの番組でも判断できる」に変更することに加担。さらに、国会で「電波停止」に言及し、言論弾圧を行ったということだろう。

 興味深いのは、NTTの接待問題で名前の挙がった山田真貴子首相秘書官の「ヤクザに絡まれたって話ではないか」「言論弾圧ではないか」との発言が文書に記されていることだ。極めてまっとうな指摘で、現に言論弾圧が行われたとしか思えない。だから、文書に記載のある安倍と高市の電話でのやりとりがあったか否かといった矮小な問題ではなく、メディアへの言論弾圧があったか否かこそが、国会で問われるべき問題だ。

 実際に圧力が効いたのか、最近はテレビで政権を批判するコメンテーターはほとんどいなくなり、提灯持ちのようなコメンテーターばかりになっている。これは、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、戦争の時代のメディア統制は極めて不健全で、日本の将来を誤る危険性をはらんでいる。

 例えば、日本政府はロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1.2」「アーク2」への出資継続を国内商社に促し、プーチン大統領を支援し続けている。エネルギー資源が必要という理由があるにせよ、批判的に報じるメディアが一つでもあるだろうか。

 防衛費倍増についても、かつてなら批判的な論者が山ほどテレビに出てきたはずだが、今はほとんど見当たらない。

 さらに言えば、アベノミクスの失敗で産業が衰退し、貿易赤字は常態化。実質賃金は下がり続け、人口も減少してしまう。ところが、惨状を招いたアベノミクスを批判する論者もほとんどいない。

 メディアが萎縮したままでは、岸田政権の政策の大失敗が日本経済に大ダメージを与える可能性も見逃されかねない。この異常な状況を早期に転換しないと、日本経済は致命傷を負いかねない。


金子勝 立教大学大学院特任教授

1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/562.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 警察検察断罪した大善文男裁判長(植草一秀の『知られざる真実』)

※補足 http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/306.html


警察検察断罪した大善文男裁判長
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2023/03/post-9cf7fd.html
2023年3月14日 植草一秀の『知られざる真実』

国家にしかできない犯罪。

それは戦争と冤罪。

松川事件、八海事件などいくつもの冤罪事件にかかわり、国家権力への抵抗を貫いた後藤昌次郎弁護士が遺された言葉。

国民を殺す、殺されるに追いやる戦争

やってもいない罪をきせる冤罪

国家にしかできない犯罪である。

戦争による殺戮は国民を物理的に殺すもの。

冤罪は国民を社会的に殺すもの。

国家による犯罪である戦争と冤罪を根絶しなければならない。

冤罪を生み出すのは代用監獄と取調室というブラックボックス。

警察・検察は密室で犯罪を創作する。

場合によっては証拠も創作する。

いまはやりの「ねつ造」である。

冤罪は「魂の殺人」と呼ぶことができる。

東京高裁は3月14日、57年前に起きた「袴田事件」で、死刑が確定した袴田巌元死刑囚の再審開始を認める決定を示した。

1966年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件。

死刑が確定したのは1980年12月のこと。

直ちに再審請求の活動が開始され、1981年4月に第一次再審請求が行われた。

第一次再審請求が棄却されたのは2008年3月のこと。

これだけで27年もの時間が空費された。

第一次再審請求が棄却された翌月の2008年4月に、直ちに第二次再審請求が行われた。

この請求を受けて静岡地裁が、犯人が事件当日にはいていたとされるズボンなど、5点の衣類の再鑑定をすることを決定し、ここから事態は新たな局面を迎えた。

2014年3月27日、静岡地裁は再審開始を決定した。

同時に、死刑の執行と拘置が停止され、袴田氏は釈放された。

9年前のことだ。

直ちに再審が開始され、袴田氏に無罪が言い渡されるべきだった。

ところが、検察側が即時抗告し、2018年6月、東京高裁は再審開始の決定を取り消した。

その後、2020年12月に最高裁は、再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を同高裁へ差し戻す決定をした。

審理を差し戻された東京高裁が、この3月14日に再審開始を認める決定を示したのである。

しかし、静岡地裁が再審開始を決定してから9年もの時間が過ぎ去っている。

袴田氏は87歳。

再審請求を支えた姉のひで子さんは90歳だ。

3月14日、東京高裁は「袴田さんが到底犯人とは認定することはできない」と指摘するとともに、捜査機関による証拠の「ねつ造」が行われた可能性を指摘した。

弁護団事務局長の小川秀世弁護士は会見で

「検察が最高裁に特別抗告をすることになれば権限の乱用だ。

速やかに再審開始を決定し、巌さんに『無罪』の声を聞かせてあげたい」

と述べた。

検察が有罪の維持にこだわり、特別抗告によって不服申し立てをすることは許されない。

検察に不服があるなら再審裁判の法廷で争えばよい。

争点となったのは、事件の1年2ヵ月後に見つかった、犯行時に犯人が着ていたとされた「5点の衣類」。

弁護側は発見時に血痕が赤みを帯びていた点に着目して、血痕のみそ漬け実験を実施。

「衣類は数カ月で黒色化し、1年以上で赤みは残らない」と指摘した。

「衣類」は発見前の短期間しか、みそに漬かっていなかったことになり、袴田氏が犯行直後に隠したとする確定判決と矛盾すると主張した。

この論証が実現したのは、第2次再審請求審で、静岡地裁が訴訟指揮で検察側が確定審に提出していなかった「5点の衣類」のカラー写真やネガ、捜査報告書などが開示されたことによる。

検察が収集した証拠が裁判で開示されないことが事件の真相解明の大きな障害になっている。

これは、制度的、構造的な問題だ。

国家による卑劣な犯罪である冤罪を撲滅するための根本的な対応が求められている。

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関連記事
袴田事件 再審開始認める 東京高裁 無罪の可能性高まる 57年前の一家4人殺害 「犯行時着衣」捜査機関が証拠ねつ造か(FNN)
http://www.asyura2.com/17/nihon32/msg/306.html

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/563.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 安倍・菅強権政権に唯々諾々 放送法の解釈よりも問題はTV局トップの在り方(日刊ゲンダイ)

※2023年3月14日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大


※紙面抜粋


※2023年3月14日 日刊ゲンダイ2面

※文字起こし


どこに圧力をかけるか、常に相談?安倍菅強権政権に唯々諾々(安倍元首相と菅前首相)/(C)日刊ゲンダイ

「恥ずかしながら、羽鳥アナウンサーの大ファンで、朝は8時から8時5分までの間は、羽鳥さんの顔をひと目見て出かけるくらいでございます」

 いよいよ、詭弁のネタも底をつきたらしい。13日の参院予算委員会で高市経済安保担当相は放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書のうち、当時総務相だった自身のものとされる「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」との発言録を否定。同局朝の情報番組のMCを務める羽鳥慎一アナへの熱い思いを告白し、「テレビ朝日をディスるはずもございません」と言ってのけた。

 国会審議で愛を打ち明けるのは異例だが、総務省側はこの日、高市が実施の事実を認めない2015年2月の担当局長によるレクについて「あった可能性が高い」と答弁。追い詰められた高市の言い訳のダシに使われる羽鳥アナもいい迷惑だろう。

 高市の去就に問題が矮小化されがちだが、本質を見失ってはいけない。総務省の行政文書が突きつけているのは、安倍政権下における政府のメディアに対する不当な政治介入だ。

 安倍元首相の個人的感情と「変なヤクザ」と評された礒崎陽輔首相補佐官の忖度により、憲法や放送法が保障する「表現の自由」が密室で歪められたおぞましい経緯の検証が必要である。

 放送法4条の「政治的公平」は従来、一つの番組ではなく、放送局の番組全体から判断するという見解だったが、安倍政権下で「一番組でも放送法に抵触する場合がある」に変わった。それを15年5月に国会で答弁したのは高市だ。翌16年2月には放送局の電波停止にまで踏み込んだ。

メディアの掌握だけが唯一のレガシー

 いくら高市が「文書は捏造」と言い張っても、過去の自身の答弁は覆らない。国会では連日、野党議員が安倍周辺のチンピラ補佐官の提案によって、放送行政が歪められたと追及しているが、肝心のTV局はおとなしい。本来なら「報道、放送、表現の自由」に関わる法解釈の変更を「見直せ!」と岸田政権に迫ってしかるべきなのに、NHKや民放キー局の幹部からはついぞ、そんな抗議の声は聞こえない。

 思い返せばTV局への威嚇・ドーカツは約10年に及んだ安倍・菅両政権の常套手段。そしてその都度、強権政権におもねり、唯々諾々と恭順の態度を示してきたのが、この国のTV局の幹部たちである。政治評論家の本澤二郎氏はこう言った。

「数々の政治介入に、当事者である放送局側は少しでも抵抗したのか。正当な反論・批判を繰り返していれば、今回の行政文書が問題視されることはなかった。あたかも放送行政が歪められたかのような追及は後の祭り。安倍政権時代は、どのTV局も幹部連中は首相と『夜の会食』三昧。中にはフジテレビ会長だった日枝久氏のように、ゴルフコンペが恒例となっていた経営者までいた。TV局側が進んで政権に籠絡されたようなもので、高市大臣を図に乗らせているのも、TV局が怒らないから。アベノミクスや北方領土交渉など内政も外交もことごとく失敗した安倍政権でしたが、メディアの掌握だけが唯一の“レガシー”とは、皮肉な話です」

 12年12月に第2次安倍政権が発足して以降、日本のTV史は時の権力に屈服し、自滅していった事象の連続だ。まずロコツな人事介入を受けたのはNHKである。

政権の暴走と重なる屈服と自滅の歴史

 安倍は13年11月に会長職の決定権を握る経営委員に作家の百田尚樹氏ら“シンパ”を送り込み、政権のイエスマン、籾井勝人会長を誕生させた。経営委員として籾井氏を推薦したのは、JR九州会長だった石原進氏。彼は財界人による安倍応援団「四季の会」のメンバーで、会を立ち上げたのは昨年亡くなったJR東海の葛西敬之名誉会長だ。

 ジャーナリスト・森功氏の著書「国商 最後のフィクサー葛西敬之」には、安倍と蜜月関係にあった葛西氏が歴代NHK会長の人選に関与した経緯が描かれている。前会長の前田晃伸氏も四季の会メンバーで、安倍・菅両政権下の会長人事は「アベ友」の葛西氏に仕切られたという。

 安倍政権は13年12月に特定秘密保護法を強行採決し、14年7月には集団的自衛権行使容認の閣議決定を断行。暴走の加速と放送局への圧力を強めた時期は奇妙に一致する。

 14年11月18日の会見で、安倍は消費税増税の延期を理由に衆院解散を表明。TBS系「NEWS23」に出演中、街頭インタビューに「厳しい意見を意図的に選んでいる」とブチ切れたのは、この日夜だ。その2日後、自民党は総裁特別補佐の萩生田光一筆頭副幹事長(当時)らの連名で、在京の全民放キー局に選挙報道での「公平中立、公正の確保」を求める文書を送り付けた。

 以降、ニュース番組からはアベノミクス批判どころか、選挙報道そのものが自粛したかのように激減した。

 渦中の行政文書によると、礒崎は「圧力文書」送付の3日後、11月23日OAのTBS系「サンデーモーニング」の番組内容が政権批判に「偏っている」と問題視。26日に総務省の担当部局に電話し、「政治的公平」に関するレクを持ちかけ、2日後に実現。総選挙の自民大勝を挟み、「けしからん番組は取り締まる」との趣旨で、法解釈は大きく歪められていく。

「報道の自由」は国民の側に立ってこそ

 翌15年1月にテレビ朝日系「報道ステーション」のコメンテーターだった元経産官僚の古賀茂明氏が番組内で「I am not Abe」のフリップを掲げ、政権を批判。官邸からの圧力で降板させられると、同年4月、この件で自民党はテレ朝幹部を党の会議に呼び出し、事情聴取した。この時はNHK幹部も「クローズアップ現代」のヤラセ疑惑について説明を求められた。

 政権与党が放送局の幹部を特定の番組に関して呼びつけるのは、圧力以外の何ものでもない。ところが、強制力のない聴取に応じたテレ朝の福田俊男専務(当時)は反発することもなく、「誤解が生じたら困るので、いい機会と捉えて出席した」と媚びたものだ。

 15年11月には読売・産経両紙に突如、NEWS23のアンカーを務めていた故・岸井成格氏を名指しで糾弾する「放送法遵守を求める視聴者の会」の全面意見広告が掲載。ヤリ玉に挙げたのは安保法制審議が大詰めを迎えた同年9月の放送で、岸井氏が「メディアとしても廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したこと。岸井氏は、礒崎が問題視した「サンモニ」にも出演していた。

 安倍応援団の文化人による意見広告の体裁を取っていたが、この時も礒崎は「極めて冷静で妥当な意見です」と即座にツイート。この会がTBSや総務省、岸井氏個人に放送法4条の遵守を求める公開質問状を送り、軌を一にするように高市の「停波」発言が飛び出したのだ。

 そして翌16年春に岸井氏や、行政文書にも名前が出てくる「報ステ」の古舘伊知郎氏、「クロ現」の国谷裕子氏ら政権に批判的なキャスターたちが、軒並み番組を降ろされた。古賀・古舘両氏の降板当時、テレ朝の放送番組審議委員長は幻冬舎の見城徹社長だった。同社は多くの「安倍ヨイショ本」を出版。ここにも「アベ友」が影を落としている。

「権力の暴走を監視するマスコミは時の政権に煙たがられる存在でなくてはいけません。『報道の自由』が憲法で守られているのは主権者・国民の側に立ってこそ。政権にやすやすと切り崩され、迎合してしまえば『政権御用放送』と変わらない。健全な民主主義社会を維持するにはこれ以上、TV局の傍観は許されません」(立正大名誉教授・金子勝=憲法)

 情けないことに、この国では放送法の解釈よりも、TV局トップの在り方が問題になってしまう。今こそ、その見識が問われる。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/564.html

   

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