

農水省「米対策集中対応チーム」にも“裏ミッション”…進次郎農相コメ値下げプランを阻む壁
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/372378
2025/05/27 日刊ゲンダイ
無制限には出せないはずだが…(C)共同通信社
早くも“進撃”はストップしそうだ。
高騰が止まらないコメ価格への対策を巡って、「担当大臣」を自任する小泉進次郎農相が26日、備蓄米放出の新方式を発表した。これまでの競争入札から随意契約に切り替え、年間1万トン以上のコメを扱う大手小売りに先着順で直販。6月初旬にも店頭に税込みで5キロ2160円超で並ぶ状況を目指す。放出量は30万トンで、需要に応じて追加も検討する。
進次郎氏は「やれることはどんな手でも使って価格を抑制していく」と意気込んだが、うまく事が運ぶかは極めて怪しい。「相場全体を下げるには至らないでしょう」と言うのは、農政に詳しい自民党関係者だ。こう続ける。
「『5キロ2000円』を強調する進次郎さんの言葉を聞いていると、劇的にコメが安くなるかのような印象を受けますが、基本的に安いのは備蓄米だけです。既に買い付け競争が進む2025年産米は、店頭価格が4000円超になるとみられます。また、『無制限で放出する』とも言っていますが、備蓄米の総量は約90万トンで既に31万トンを出し、今度30万トン放出するわけですから残りは30万トン。無制限というわけにはいきません」
注目すべきは、26日農水省内に発足した「米対策集中対応チーム」の存在だ。事務次官が指揮を執り、省内の約40人のメンバーで構成される。全国の地方農政局からは500人規模が参加する。週1回の地域ごとの店頭価格調査や随意契約に関する業務の補助などを行うという。
「表向き事務次官が指揮を執ることになっているが、チームは事実上、大臣の直轄だ。特にコメに詳しい職員を集めた組織で、最大のミッションは当然ながらコメ価格の安定化。ただ、裏ミッションは進次郎さんの“行動監視”とみられている。既に彼は随意契約や直接売り渡しといった、これまでの農政ではあり得なかったやり方に手を付けており、農水官僚が疲弊し始めている。暴走しないようにコントロールする狙いがあるようです」(霞が関関係者)
つまり、チームは進次郎に対する「防衛シフト」というわけだ。
森山幹事長と林官房長官が消極的
「集中対応チーム」発足式(C)共同通信社
改革反対派は政府・与党内にも存在する。
ひとりは、農水族の“ドン”である森山裕幹事長だ。「農家がコメを引き続き作っていこうと思ってもらうため、再生産ができる価格で売買されることが大事だ。安ければいいというものではない」と、安易な値下げにクギを刺していた。
もうひとりは、林芳正官房長官である。
「林さんは農相経験者でもあり、考え方は生産者優先の森山幹事長や、辞任した江藤拓前農相と近い。現状、コメ値下げ論には距離を置いています。下手に関与して失敗するとダメージを受けますからね。本音では進次郎さんのプランには賛同できないはずです」(官邸事情通)
党と政権の要にソッポを向かれるとなると、進次郎が描くコメ全体の値下げプランは頓挫必至。何より、国民はガッカリだろう。
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28日に農林水産委員会同委で行われる質疑で進次郎農相は、いきなり野党党首クラスと相対する。進次郎氏にとって「鬼門」となるのは必至だ。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/381.html