

“お坊チャマ”進次郎農相には分かるまい…「備蓄米差別」さながらの購入条件ハードルに中小スーパー大混乱
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2025/06/03 日刊ゲンダイ
お坊チャマには現場を理解できないだろう(C)共同通信社
午前8時の開店時間前に約1000人が列をつくった。東京で備蓄米を先行販売していたイオンが2日、大阪でも販売開始。大阪市西区の大阪ドームシティ店で一番乗りの人は前日夜10時ごろから並んだという。備蓄米の「劇場化」に、小泉農相はしてやったりだろうが、「不都合な真実」の扱いは小さい。中小・零細向けに門戸を開いた備蓄米の申し込みが、意外や低調なのだ。
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中小スーパーや市中の米穀店に放出されるのは、2021年産の「古古古米」だ。大手対象の第1弾で余った8万トンのうち、6万トンを中小スーパーに、2万トンを米穀店にそれぞれ配分。想定する店頭価格は5キロ=1800円で、22年産の「古古米」と比べて割安ではある。
大手よりも1年オチのコメ自体、小規模経営者に失礼な話。加えて購入条件のハードルも高すぎる。まるで差別だ。
中小スーパーには「年間1000トン以上」のコメ取り扱い実績を課す。1000トン=100万キロ、5キロ入り換算で実に20万袋。年中無休でも1日あたり約550袋を売りさばく実績が必要で「条件を満たすのは10店舗くらい持つチェーン店に限られます」(首都圏のスーパー関係者)という。
町のコメ屋を理解していない
米穀店には取り扱い実績の条件ナシだが、精米能力を有することが必須。最大のネックは受け渡される備蓄米の重量条件で「最低10トン」から。国は共同購入の検討を呼びかけ、希望の場所までの輸送費を負担するとはいえ、「車上渡し」が原則だ。
「店前まで運んでもらうにも、都市部では10トン級の大型トラックを横づけできるスペースはないし、10トンものコメの荷降ろしにはフォークリフトを調達しなければ、まずムリ。10トン規模のコメの保管場所を確保できる業者も限られます。町のコメ屋を理解していない条件です」(米穀店関係者)
また、小規模スーパーには「地域密着」を掲げ、食材の鮮度が売りの店も多い。東京・下町のスーパー店主はこう言った。
「お客の安心・安全のため、品質の落ちる『古古古米』を売る気にはなれない。コメ卸や問屋を省き、国に『安く売っていいよ』と言われても腑に落ちません。ウチは地元のコメ卸から仕入れていますが、その付き合いを大事にしたい。この先、新米が出回る頃には必ず、お世話になりますし。共存共栄を目指します」
それでも米穀店向けの申込枠は上限の2万トンに達する見込みだが、中小スーパー向けは上限8万トンに達しないまま、農水省は2日午後5時、受け付けを中止した。第1弾は大手の申し込みが殺到。開始2日足らずで古古米は放出上限の20万トンに達したのとは、温度差がある。農水省の備蓄米担当者が言う。
「2日午後2時までにメールでの問い合わせは約1450件。だが、同じ業者から複数回の申請があったり、書類が欠落していたり、不備も多い。複雑な書類は求めていないつもりですが、要件を満たしているかの確認には当面、時間がかかりそうです。第1弾とは勝手が違います」(農産局貿易業務課)
現実離れの条件で現場は大混乱。やはり進次郎「お坊チャマ」には、商取引の慣習も他人の苦労も分かるまい。
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小泉大臣“肝いり”の備蓄米が先月31日から店頭に並び始めたが、その狂騒には呆れるばかり。●関連記事【もっと読む】『おとなしく長蛇の列のバカバカしさ…備蓄米狂騒は何から何までこりゃ、マンガだ』で詳報している。
http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/416.html