「超恐慌・銀行倒産は本当にあり得るか?」とまじめに論議されていた時代があった。

 
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投稿者 ★阿修羅♪ 日時 1999 年 12 月 22 日 12:03:25:

今は当たり前の「銀行倒産」。しかしたった5年前である1994年の段階で
それをまじめに考えている人は非常に少なかった。

今、「その現象は起こらないだろう」と思っているその「常識」は
「多くの人がそう思っているだけ」である。

参考までに、94年の講演会の資料を公開します。
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友人からメールで頂きました。浅井隆さんの94年の講演内容です。
講演テープを全部入力してくれました。友人に感謝!

何か情報有りましたらメールお待ちしております。

「超恐慌・銀行倒産は本当にあり得るか?」 94/11/28,29

 皆さんこんにちは。浅井でございます。今日はこういう岡山という非常に歴史
に奥行きがあります素晴らしい土地で話をさせて頂きまして本当に光栄でござい
ます。
 実は、私がつい最近書きました「超恐慌」という本があるんですけれども、発
売2ヶ月で 14刷りまで今いっております。で、何故、今不況の時代に、本がほと
んど売れないという時代になぜ売れるのか、と申しますのは本物の情報をお伝え
しているからでございます。逆に言えば、どうもみなさまが本物の情報を求め始
めたという証しであろうと思います。
 今日は皆さまに、お伝えしたいことが三つほどございます。ここの白板を使っ
てご説明させていただきたいと思いますが、一番目が、「現在の日本をめぐる危
機的状況の分析」ということでございます。二番目が、「じゃ、どうやったら生
き残れるか」というサバイバル、サバイバルの法則でございます。三番目が、
「新しい時代を切り開くためのコンセプト、あるいは哲学、そして生き様」とい
う問題でございます。
 この問題を全部しゃべろうと思いましたら本当に10時間あっても足りないとい
うわけでございます。で、まず一番大事なことは、一番最初に、現在の状況を正
しく認識するということでございます。そして次に、とりあえず生き残るという
ことでございます。そして最後に、新しい時代への飛躍、更なる飛躍ということ
でございます。
 今日はこれから二時間、時間をいただいているわけでございますが、とりあえ
ず二時間では、はっきり申し上げて内容をきちっとお話しすると一番しか多分し
ゃべれないと思います。ただ、一番大事なことは今、日本が陥っている状況を本
当に認識する、と。ここから全てが始まるということでございます。第二部、第
三部でこんな話も色々出てくると思いますので、とりあえず最初の二時間を使っ
て、いま日本で、特に、金融システムで一体何が起こっているのかというお話を
いたしたいと思います。で、私は今日、かなり厳しいお話をいたします。別に、
厳しい話をしたくて岡山にまいったわけではないんですけれども、どうも今の日
本の、特に経済の心臓部、つまり銀行とか生命保険会社とか、あるいは国の財政
とかそういうものを見ていますとこれはちょっと並じゃないなと。ただ、一般の
方がまだお気付きでないのは、大事な情報は全部隠されているということでござ
います。
 昔から、「良薬口に苦し」と申しまして、厳しいお話しは最初耳に非常に痛い
わけでございますが、おそらく今日ここでお話しする話によって、危機意識を持
っていただくと、そこから全てが始まるのではないかということで、皆さまに今
日はちょっとショック療法をお与えしようということでこれからかなり色んな数
字を使いまして、日本が本当にどういう状況であるかということをご説明いたし
たいと思います。
 最初に、じゃ、日本の金融システムはそんなに本当に危ないのか、というお話
でございます。つい最近、こういう雑誌の記事がでました。おそらくこれはほと
んど金融のプロ以外の方は読まない雑誌でございます。東洋経済新報社という経
済の関係の老舗の出版社でございまして、ここが出してます月刊誌で「金融ビジ
ネス」という、おそらく岡山で一番大きな書店で2部か3部置いてるか、という月
刊誌でございます。ここの10月号の冒頭に何と書いてあるかというと、「そして
沈没する金融システム」というタイトルになっております。この雑誌は別にいい
加減な雑誌ではございませんで、本当にプロ相手の、いい加減なことを言わない
雑誌でございます。それが、おそらくまもなく来年から日本の金融システムは沈
没しますよ、と警告を出しているわけでございます。特にノンバンク、或いは住
専と言われる住宅専門にお金を貸しちゃったところが、いよいよ火がつくという
ことがはっきり書いてございます。それから皆さんご存じだと思いますが日経新
聞の11月1日付に一体何と出たかと。これはおそらく日本が明治維新という、一
つの革命によって西洋の資本主義国家の仲間入りをして以来初めて、という発言
が日銀総裁の口から飛び出したわけでございます。というのはその前日の10月31
日、この日に日銀総裁が東京の日本橋の日銀本店の9階で日本の金融機関の銀行
の役員とかシンクタンク関係者、そしてマスコミの一部を集めまして講演をした
わけでございます。その席上、一体何と言ったかと。ここにその時のメモがござ
いますので簡単に読ませていただきます。最初に三重野さん、こういうことをお
っしゃったわけです。「私が五年前に総裁に就任して以来、今日に至るまで日本
銀行は内外の様々な課題に全力を挙げて取り組んできました。」と最初にこう、
発言したわけです。で、そのあと出てきた発言というのは、銀行役員それから新
聞の大手の記者が目をむくような内容だったんです。まず、こう彼は発言しまし
た。「しかし、主事の事情によって、金融システムの一部に動揺が生ずることも
あり得る。」という風に言ったんです。で、そのあと、「中央銀行に−つまり日
銀ですね−日銀にとって最大の関心事は、問題の個別金融機関を存続させるかど
うかということではなく、そのことが金融システム全体を揺るがすことになるか
どうかです」と。で、そのあとに決定的なことを彼は言ったんですね。「金融機
関といえども一個の私企業である、わたくしの企業である以上、時には経営破綻
の状態に陥ることもあり得るが、全ての金融機関を破綻から救うのが中央銀行の
仕事ではない。個々の金融機関が破綻すべくして破綻することは、競争メカニズ
ムに支えられた健全な金融システムを育成していく観点はむしろ必要でさえあり
ます。」と言ったんです。これはどういうことかって言いますと、もはやつぶれ
るべき銀行はつぶれた方がいいし、つぶしちゃ った方がいいという発言でござい
ます。これが、日本の金融の番人であるご本人自らの口から出たという、これは
はっきり言って異常事態でございます。なぜ、日銀総裁自らがこういうことを言
わざるを得なかったのかと。一つはもう、そう言わざるを得ないほど銀行をとり
まく環境が悪化してしまったということでございます。新聞に書いてあることと
は全く違うことが、もう銀行に関しては起こり始めているということでございま
す。それから二番目は、日銀というのは皆さんご存じのように国の、国家の銀行
でございますから自分で印刷、お金を印刷することができるわけですね。ところ
がその、元締めである日銀の絶大な力を持ってしても、もう、救済できる限界を
越えた銀行が出てきたということでございます。ということは、おそらく来年か
ら、皆さまが戦後、東京・大阪が焼け野原になってから日本は奇跡の発展を遂げ
てきたわけでございますが、その50年間に見たことも聞いたこともないことが起
こり得る、ということでございます。
 では、一体じゃぁ、今の日本、日本経済というのは病人の病状にに例えたら一
体どういう症状かと。これは、つい1、2年前に人気司会者で亡くなられた逸見さ
んという方がいらっしゃいますが、その方と同じ病気でございます。日本経済が、
現在陥っている病状というのはガンでございます。ガンという病気はどうやった
ら治るかと。これは皆さんご存じのように、まず本人にちゃんと告知、できたら
告知した方がいいですね。告知してかなり痛い、しかも血もでるかもしれません。
そうとう血が出ます。でも、大規模な外科手術をするしかないんです。ガン細胞
を取り除くしかないんですね。ところが、今政府がやっていることはどういうこ
とかって言いますと、例えば、いま日本を支えているのは最終的に株価なんです。
日経平均っていう株価が支えらているから日本はまだひどい状態になってないわ
けですが、その株価を支えるために何をやっているかと。PKOということをやっ
ているわけです。PKOといいますと、普通の方はカンボジアでやっていた軍事的
な、あの、例の PKOを思い出しますが、実はもう一つPKOというものがあるんで
す。カンボジアでやっていましたPKOは、あれは平和維持活動ですから、この「P」
はピースなんですね。それに対して大蔵省が資本主義始まって以来と言われる、
前代未聞の作戦を今、やっております。それが、プライスキーピングオペレーシ
ョンという、この「P」はプライスでございます。値段でございます。何の値段
かというと、株価でございます。株の値段を下げないために、とんでもないこと
を今、やっているわけです。色んな事をやっているわけですがそのメインは、い
くら大蔵省といえども無限にお金があるわけではなくて、そこで使っているお金
は何かと。
 実は皆さんが戦後本当50年、延々と貯めてきた汗の結晶である郵便貯金であり
ます。郵貯、それから簡易保険のお金も相当使っております。メインは郵貯です
ね。これを年間数兆円規模使って株を買わせているんです。これによって、初め
て日本の株価は今年2万円をなんとか春から秋にかけて維持できたわけですが、
それが、いよいよどうしようもなくなってきたっていうのが今の状況でございま
す。しかも一種のこれ、麻薬でございます。つまりガン患者に本来ガン細胞、ガ
ン細胞というのは簡単に申し上げると不良債権ということです。銀行が背負いこ
んじゃったどうしようもない焦げ付いた借金の山と。これがガン細胞と言ってい
いんですが、これを本当に解決することをせずに、ただただ株のとばしと同じ事
をやっているんです。国家ぐるみで銀行を巻き込んで、今、壮大な規模でやって
いるわけでございますが、この大元にあるのは土地でございます。土地にみんな
貸し込んだお金が戻ってこないと。ところが、今、どういう状況かと。土地に関
しては東京はもう凄まじい状況です。岡山ですとそれほどバブルの時には上がり
ませんでしたから皆さん実感ないかもしれませんが、東京の土地は今や、東京都
心の最も高かった数億以上の物件はどの程度下がっているかと。
 ピークの5分の1まで下がっております。私も先日ある銀行関係者から、あんま
りちょっと外部には言わないでくれといって聞いた話なんですが、ある銀行がど
うしてもその土地を売りたいということで、買い手がつく値段で良いということ
で売りに出したらピークの時の5分の1でございました。それ以外に私が聞きまし
たのは、東京で私は、会員制の勉強会をやっているんです。その中に関西にいら
っしゃる大手の不動産のスタッフがいるんですが、彼が最近関わった物件で、大
阪と神戸の間に芦屋という高級住宅地がございます。そこの値段もやはりピーク
の5分の1でございました。本当に売れる値段というのはここまで下がってきてい
ます。ところが実際に東京にいますと、あるいは普通の何か雑誌とかを見てます
と2分の1とか、こういう、値段が結構半分とか、もうちょっと下がってもせいぜ
い6割ぐらい下がったという、そういうものがあるんですけれども、じゃ、一体、
この差は何かと。実は、こういう物件は銀行がお金を貸した先がどうしようもな
くなったんで担保に取りますね、土地を。それを競売にかけるんですが、かけて
も今買い手がほとんどおりません、東京は。そういう中で一応処理しなきゃ困り
ますんで、結局自分のお金を出すんです。銀行が自分のお金を出して、自分のダ
ミー会社あるいは関連会社に買わせるわけです。その値段がこのぐらいなんです。
このぐらいで売れなきゃ困るということです。ところがこれははっきりいって何
の問題の解決にもなってないんです。要は、とばしをやっているわけです。で、
そのうち何とか土地が上がればすぐに売りたいということで、ここにポケットを、
こっちのポケットからこっちのポケットに借金を移しただけでございます、要は。
 これを今、国家ぐるみでやっているわけございますが、それがいよいよもうど
うしようもなくなってきたという状況でございます。で、大蔵省は特に、これを
何とかPKOで株価を支えている株価が何とか二万円を維持していれば銀行は元々
買った株の値段と今の値段の差が、含み益と言いますが、その含み益によって不
良債権を処理できるわけです。しかも金利を日銀がめいっぱい下げてましたんで、
両方から支援されてやってたんですが、いよいよ、大蔵省は最後まで大本営発表
し続けているんですが、日銀がついに本音を言ってしまったと。三重野さんが辞
める前になってついに本当の ことを言ったということでございます。彼はどうも、
次の日銀総裁に責任をかぶせるのが困るということで言わされたという説も出て
おります。つまり、「あの時にこういうことを言っといたじゃないか。」という
ことで免罪符になるということでございます。とりあえず、いま東京の土地はも
うここまで下がっている。で、実際日本は「資本主義」というよりも「地本主義」
と言われていますね。土地を中心とした経済システムと。その国家で、その全て
の大元である土地がここまで下がったというのははっきりいってもうすでに恐慌
状態なんです。そう言って良いかと思います。
こういう風に、日本はかなり厳しい状況にあるわけですが、では、何でガンな
のかと、或いはどういう数字を見ればガンと言えるのかということをこれからご
説明したいと思います。これから三つの数字をここにお書きいたします。一番上
に書きますのが30という数字でございます。それから20、そして最後は1000とい
う数字でございます。一番上の30は何かと、これは単位は兆でございます。30兆
円という規模でございます。これは去年の年末までに日本国政府が、「景気が悪
いから何とかしてくれ。」という声が財界からも一般の国民からも上がったわけ
ですが、そのために、自分の予算、財政の中からお金を出動させて損害景気対策
ということで出してきたお金の総額でございます。しかし、去年の年末までは、
「これだけ出してもまだ足りない。」と、「一体政府は何してるんだ。」という
声が延々と渦巻いていたわけでございますが、ただし、よく考えますとこの30兆
円というのは想像を絶する額でございます。何しろ日本の政府の1年分の予算が
70兆しかないのに、一回10兆円とか5兆円とか数回やったわけですが、合計30兆
と、半分程度使ってしまった。この程度のことをやっても去年の年末まで、日本
の経済の下がっていく下降トレンドがびくとも止まらなかったんです。今年確か
にふわぁっといいです。私は、今年ははっきり申し上げて日本の壮大な下降トレ
ンドの途中の中間半途だと見ております。で、30兆円、一口に30兆円といいます
が、あのアメリカのクリントン政権が去年同じように景気対策をやったんですが、
わずかに1兆円規模でございました。あの国はもうほとんど財政が火だるまの状
態でお金が出せないんです。ましてやアジアの非常に貧しい国から見たらおそら
くこの30兆円が天文学的数字という、それほど支出してもびくともしなかったと
いう、これは戦後50年の日本の繁栄のカレンダーに一切なかった出来事でござい
ます。
 次の20は何かと。これは20数ヶ月、日本という、物を海外に売って、生産した
物を売ってそれを、そのお金を元に、また輸入して食べているという国家の基幹
産業は何かと。もちろん自動車産業と言って良いと思います。その自動車産業が
国内販売台数、どうだったかと。去年の末まで20数ヶ月連続マイナスだったんで
す。去年の3月はちょっと特殊な数字でございます。それを除くと実質的20数ヶ
月マイナスと。これも、戦後50年の日本の繁栄の歴史に全くなかった数字でござ
います。ただ、ここまでは皆さまも、このぐらいの数字だったら大したことない
じゃないか、とおっしゃるかもしれません。問題は、この最後の数字なんです。
いったい、これは何かと。
 これはですね、例のバブル崩壊と。90年の2月から株が暴落してですね、その
あと土地も暴落し、今やもう壮大なデフレトレンドに入ったわけですが、そうい
う中で日本から消えてしまった資産の総額でございます。単位は兆でございます。
わずか数年で日本から一千兆円、だた私、かなり少な目に言っております。正式
には一千数百兆円でございます。これだけの資産がわずか3年ぐらいの間に消え
ちゃったんです。これだけの資産が日本から消えてですね、簡単に片が付くと思
う方が、私は頭がおかしいと思うんですが。
 じゃ、本当に消えちゃったのかと。ここに、小さい紙が一枚ございます。これ
と鉛筆一本、それから小学校5、6年生程度の算数があれば5分で計算できます。
まず、土地がどのぐらいピークの時にしてたかと。日本全国で2千から2千4百兆
と言われております。で、どの程度下がったかと。これもですね、よくわかんな
いんです。日本は、アメリカと違いまして不動産市場がちゃんと確立されており
ませんので、よく数字がわからないんですけれども、とりあえず東京都心はもう、
本当に売りたいと思ったら5分の1とか、いま4分の1なんですが、岡山でしたらそ
んなに下がってないでしょう。農地などもそんなに下がってないということで、
日本全国平均で、とりあえず40%下がったといたします。実際に売れる値段とい
うことでございます。これで見積もって、2千兆の40%で、もうこれ8百兆でござ
います。これだけで。じゃ、株はどうかと。一番ピークの時に6百兆と言われて
おります、全部で。今、もうもちろん半分以下でございますが、少な目にして半
分と。これで、3百兆消えちゃったということでこれを足し算すればこれだけで
一千百兆円もうすでに消えたと。これ以外にですね、ゴルフ会員権だとか、絵で
すね、絵画とか、資産と言われるものを全部加えたらきりがないんですが、とり
あえず、一千数百兆は消えてしまったということでございます。中にはですね、
「別にこんなもの消えたって帳簿上の問題じゃないか。」とおっしゃる方もいら
れます。ただし問題なのは資本主義の心臓部分金融システムというのは結局信用
創造と言いまして、元々のお金を元に膨らませている経済でございます。で、ど
のぐらい今膨らんでいるかという状態が大事でございまして、例のバブルの時に
これがものすごく膨らんで、その時にそのお金で売り買いをしていたわけでござ
います。そこからこれだけ消えたということは、最終的にお金を出している銀行
に、今とんでもない見えざる驚異を与えていると。それが先ほど言った不良債権
という問題でございます。で、私は実は、去年から、去年の秋ぐらいから、94年
という年は不思議な年ですよ、と申し上げてきたんです。と言いますのは去年、
12月の10日頃、ちょうど去年秋に、株が暴落いたしまして、株価が瞬間的に1万5
千5、6百円まで下がったんです。で、その後、12月最初ですとだいたい1万6千ち
ょっとという、非常に危機的なラインでございました。この時に、私はまだ毎日
新聞の記者でございましたので、東京で取材にハイヤーをよく使うんですが、そ
のハイヤーの運転手さんが、たまたま大手の 銀行に出入りをしておりまして、数
日前に日本で有数の銀行の頭取を乗せたんです。で、そのハイヤーの運転手さん
はその銀行の頭取と結構顔見知りで、いつもよく声を掛けてくれる気さくな方だ
ったらしいんですが、その日はどういう状況かと言いますと、もう、顔面は蒼白
だったそうです。それで足がふるえて、車に乗れないような状況だったと。もち
ろん声も掛けられないという状況で、いかに、この1万6千という水準が銀行にと
って危機的なラインであるかということがわかると思うんですが、この時に、ち
ょうど去年の12月10日ぐらいでございす。私は東京の兜町にございます、東京証
券業協会という、日本の有数の名だたる証券会社全ての会長、それから社長が集
まる会があるんですが、そこで昼飯を食べる会で是非来てくれと、色んなことを
教えてくれと言うんでそこへ招かれたわけでございます。その時にどういうこと
を申し上げたかというと、来年、つまり今年ですね、94年はどういう年かと。春
から、経済支部がふわぁっと良くなって、おそらく株価で2万2千近辺あるんじゃ
ないかと申し上げたんです。そうしましたら、日本で一番情報を持ってるはずの
証券会社の社長会長が、「そんなバカな。」と言ったんです。株は、その当時こ
のぐらいでしたから、来年は真っ暗と、つまり94年は真っ暗と。ただし95年から
は良いだろうと彼らは言っておりますね。私は違うと言ったんです。94年は不思
議な年ですよ、と。自立反発的にですね、ふわぁっと持ち上がって、それが、95
年からまた凄まじいトレンドに入りますよ、と申し上げていたんですが、今のと
ころ私の予想の方が当たっております。
 で、これからちょっと、本論に入りたいと思います。じゃ、そのガン細胞が、
今どのぐらい日本にあるのかという話でございます。これはおそらく、古い言葉
で言えば国難と、国がつぶれるかどうかのほんと、運命を左右するほどの大問題
であると思います。ところが残念なことに日本は、私はおそらく江戸時代以前の
武士、武士道を持った武士にはそういうことはあまりなかったと思うんですが、
何か都合の悪いことがあると隠してしまう、と。隠して、それがそのままうまく
いけば私もいいと思います。ただし、例の50年前の太平洋戦争でもそうでござい
ました。大本営発表ということで、「あそこでも勝った、ここでも勝った、被害
は非常に軽微である。」と言っているうちにいよいよ本土まで空襲されて最後焼
け野原と。気付いたら原爆まで落とされて、もう、身ぐるみはがれてアメリカ軍
がやってくるという、どうもそれに近いようなことを今やっているんじゃないか
と。で、日本という世界で有数の金融大国で、一体バブルが崩壊してどれだけの
焦げ付いちゃった借金があるのか、これがわからなきゃ、治療も何もできないん
ですが、それを国家ぐるみで今壮大に隠しているわけでございます。ただ、まぁ
何か発表しなきゃいけないということで、大本営発表はどうかといいますとです
ね、とにかくその前にこの不良債権ということをもう一度ご説明いたしておきま
すが、これはおそらく数年前でしたら、銀行関係者、或いは一部の企業経営者以
外ほとんど知らない言葉だったろうと。これはもちろん、お金を貸している権利
が駄目になっちゃうと。つまり銀行が、バブルの時代に土地なら絶対に下がらな
いということで膨大なお金を貸したわけですね。その貸した先から、六ヶ月以上
もう、金利さえ戻ってこないと。中にはもう回収不能という、そういう焦げ付い
た借金の山と考えていただくと良いと思います。それがどのくらいあるのかと。
大本営発表ではこうでございます。
 14兆円でございます。これは、日本の名だたる銀行・都銀・長信銀、それから
信託21行で14兆円。これは今年の一月ないし二月に政府が発表して、新聞に出て
おります。ところが、まともな金融関係者でこのことを本当だと思っている人は
一人もいません。こんなわけがないと。だいたい東京の事情を知っている人間の
間で今言われていますのは、50から 100兆と言われております。で、おそらくア
メリカ並に厳しくやったらこちらが正しいと思います、100兆円と。
 最近、ある数字が出てきました。つまり、焦げ付いたこの借金の山は結局ほと
んど土地でございます。その土地を買い取る、買い取る機構というところがあっ
て、そこがまた、どこかへ一度、そこへ貯めておいて、本当に買ってくれる人に
売ってやっと処理したことになるわけです。どの程度本当に処理できたかと、一
年間で。1千4百億だったんです。これ、ほとんどの人は知りません、こういう数
字は。一部のところにしか出てきておりません。ということは、政府が言ってい
るこの数字でも百年かかるっていうことです、単純計算すれば。ましてや、百兆
円などという不良債権、実際にはこの程度をもっと超えるかも知れません。国家
予算を超えるどうしようもない借金の山、これをどうするのかと、誰にも今、日
本では解決の方法を見いだせないんです。ですから先ほどお見せした、この雑誌
に何と書いてあるかと。もうコントロール不能寸前まで来ていると、もう竦み合
いだけだというんです。はっきり書いてあるんです。プロ向けの雑誌に書いてあ
ります。ただそれを言うと怖いんでだれも言えないという状況が今、続いており
ます。
 で、問題なのはここからでございます。本当にこれだけなのかと。もうこれで
も大変な本当に大変なあれですけど、実はこれ国内だけなんです、この数字は。
海外に、とんでもない不良債権が、実は。つまり日本があのバブルの時代、別に
そんな危ない国ではございません、特に欧米、ヨーロッパ・アメリカの、一応ま
ともだと思われていた物件に、信じられないような投資をしたわけですが、それ
が今やほとんど焦げ付いております。先日あの、週間文春という雑誌に三菱地所
の、日本で最大、あの東京駅の真ん前、丸の内あたりを全部持っている日本最大
の大家さんですね、三菱地所。あれがロックフェラーセンタービルを買ったけれ
どもそれがどうしようもなくなっているっていうことがちゃんと書いてありまし
たけれども、あれなどはまだ良い方でございます。当時は、欧米の物件だったら
何でもいいということで日本の銀行、それから建設会社などが買い漁ったわけで
ございます。しかも海外の、特にアメリカあたりのコンサルタント会社は、日本
だったら何でも買うということで、アリのように群がったんです。で、買わせて
しまったと。その時は、日本側も、これは悲惨なんですが、ほとんどチェックら< br>しいチェックをしなかったんです。ですから例えばロサンゼルスあたりで、どう
いうことが起こったかと言うと、ビルを丸ごと一つ買ったと。ビルと言っても日
本のビルのようなものじゃなくて、もう摩天楼のようなほんと、凄まじいビルを
買ったと、買った後になって何がわかったかと。実は、そのビルにアスベストが
大量に使われていることがわかって、それを取り除く費用だけで買った費用を超
えちゃったというのが沢山あったんです。そんなかんやで、海外における日本の
不動産投資は、はっきり言ってこれ、全滅でございます。玉砕と言っていいと思
います。その額がどのぐらいあるのかと、これも、不思議というか恐ろしいとい
うか、誰にも分からないんです、これ。数字が全く出てこないんです。ただ一つ
だけ、出てるところがございます。三菱銀行でございます。三菱銀行は、日本の
金融機関で唯一、ニューヨーク市場に上場しておりますので、アメリカの厳しい
基準に乗っ取って発表しておりますので。じゃ、三菱銀行が国内のどのぐらい海
外にあったかと。3倍でございます。これ、公表されたデータで3倍でございます。
他の金融機関が全てこれと同じ事をやっているとは思いませんけども、ただはっ
きり申し上げて、想像を絶する焦げ付いたお金が、今、日本を中心として妖怪の
ように渦巻いているという、そういう状況が押し寄せてきております。
 私は先日、先日と言いますか、ちょうど去年の今頃でございます。私と同じ毎
日新聞の出身で大森実さんという、もうかなり年輩のジャーナリストがいらっし
ゃいます。あの方は、ベトナム戦争の頃に毎日新聞で非常にアメリカをこき下ろ
したもんですから、ライシャワー大使に、「あんなヤツはアメリカのためになら
ない。」ということで辞めさせられた、それほど当時アメリカの力が強かったん
ですが、で、その方はその後、アメリカに渡って、ジャーナリストとして活躍さ
れているんですが、その方が去年、東京にいらっしゃいまして私と二時間ほど、
ひそひそ話をしていただいたんですが、その時に彼がロサンゼルスで今どういう
ことが起こっているかと。
 私は耳を疑いました。つまりこの膨大な、焦げ付いた借金の山がどうしようも
なくなってきているんで、日本の銀行の本体には出てこないんです。決算にはこ
れ一切、出て来ないような仕組みにしております。現地法人が全部被っているわ
けです、これ。ここが全く分からないようになってるんです。この現地法人がど
うしようもなくなってきたために、何をやっているかって言うと、アメリカの合
衆国の連邦、それから州の法律をむちゃくちゃ破るようなことを一杯やっている
わけでございます。
 じゃ、一体、何が動き始めたかと。アメリカの連邦捜査局が、情報収集を開始
したと言うんです。私、これが何かあった時にはとんでもないことになるな、と。
ロサンゼルスから時限爆弾がですね、こっちが吹き飛んでこっちが吹き飛ぶとい
う事で、そろそろ日本もツケを必ず先送りして誤魔化すということをやめないと
とんでもないことになるな、と、そういう事態になっております。
 こういう事態の中で今、ヨーロッパを中心に、海外でどういうことが起こりつ
つあるかと。海外で今、異常事態が起こりつつあります。これは先日私がある本
を作るために、外資系にそれまでいらして、日本の銀行に移られた日本人の担当
者から、実際に聞いた話でございます。実はですね、銀行というものには格付け
というものがございます。国際的な格付けという、つまりランクでございます。
例えば、フランスのレストラン、有名なミシュランという本には最高級のレスト
ラン三ツ星、三つ星が付いている。それから、かなりそれなりのレストランでし
たら二つ星と、まあまあですと一つ星、どうってことないレストランだと星がな
いという、こういう格付けですね。これ銀行にも、世界中の銀行にこういう格付
けが付いております。これは、海外のS&Pとかムービーズという会社が、有名
なところがございますが、そこが付けている格付けでございます。例のバブルの
頃は、日本の都銀の良いところは、こういう最高級「トリプルA」というもうこ
れ以上ない、という最大級の格付けが付いておりました。これが見る間に今暴落
いたしましてどういう状況かと。日本のかなり有名な銀行で、こういうところが
すでに出てきております。
 「BAA2」というランクでございます。これ、どういうランクかと。専門家以外
は、これはあまり見ない記号でございますが、このすぐ下のランクはただの「B」
というランクなんです。「B」というランクは何か、ABCあればまだ「B」だから
まともじゃないかと思うかも知れませんが、そういうランクじゃなくて実はこの
「B」というのは、その銀行が発行する債券、ジャンク債といわれる程度のラン
クでございます。ゴミ屑債です。その程度のランクなんです。それを買う人の頭
が知れないというランクでございます。そのもうわずかすれすれの一つ上のラン
クに転落している銀行がもうすでにいくつか出ております。例えばこの近くです
と、有名な神戸の兵庫銀行ですね。最近、何か「イチロー」という定期預金を出
して、あのバッターにあやかって、それが結構、定期を集めているそうでござい
ますが、私に言わせればああいうところに預金する人の気が知れないというぐら
いですね。ほとんど、持っている資産ほとんど売りつくしております。有価証券、
株だけでじゃなくて土地もですね、ほとんどもう、ない状態でございます。あそ
こはもう、植物人間じゃなくて植物銀行という、大蔵省日銀という生命維持装置
がついているから生きているんであって、ちょっと外れたらもう、即刻取り付け
騒ぎという、そのレベルの銀行でございます。兵銀が今、このランクでございま
す。
 ということで、日本の銀行の格付けが今暴落しちゃったんです。三菱銀行あた
りが何とか日本で一行だけ、ここを守っておりますが、あとはもう、どんどん見
る間に転落と。あと、後でもう少し詳しく申し上げますが、信託銀行の凄まじい
状態です。これが銀行というのかな、と。内部を見るともう何もないという状況
です。そういう状態の中で今、どういう状態のことが海外で起こっているかと。
銀行というのは銀行間で膨大なお金のやり繰りをやっております。みなさんが想
像される以上に銀行にはお金はありません。ただ回しているだけでございます。
この銀行間の市場が日本国内にももちろんあるわけですが、海外の銀行とも膨大
なお金のやり繰りをしているわけです。で、海外のこの、 海外とのやりとりの中
で、こうした銀行、或いはそれ以外の日本の銀行もそうですが、ほとんどの銀行
が今、欧米の銀行では考えられない扱いを受け始めております。つまり、相当高
い金利を払わないとお金を貸さないと言われているんです。そういう事態になり
始めています。中には、ここら辺まで落ちた銀行の中にはもうすでに、どんなに
高い金利を提示しても、貸してくれないという状況に陥っております。つまりも
う、取引敬遠と、冗談じゃないと、こんな所へ貸したらいつ返って来なくなるか
わからないということで。銀行は、日本の方はほとんど、日本人はこういう情報
を持っておりませんが、海外の格付け機関とか、信用調査をするところは膨大な
情報を持っておりますので、彼らの目から見たらもう一目瞭然ということで、今、
こういう状態になっております。特にこういう席ですから実名を出してどんどん
銀行の名前を出しますけども、今有名なのが、東京の金融関係者内で有名なのは
三井信託ですね。ここは、バブルの時代に凄まじい事をやりましたんで、今やど
ういう状態かと言いますと、不良債権の処理に20年以上かかると言われています。
はっきり申し上げて20年以上というのは、これはもう、永遠ということでござい
ます。全資産を売っても不良債権を処理できないという風に内部の人間がもうす
でに認めております。
 こういう状況の中で、今日本の銀行、ただし良い銀行も沢山ございます、もち
ろん。非常に皆さまはラッキーだと思うのは岡山の中国銀行などは非常に内容が
良いと思います。バブルの時代に変なことは一切しておりませんでしたので、そ
ういう銀行は大丈夫でございます。ただし、良い銀行と危ない銀行が玉石混淆で
ございます。ですから、どうせでしたらちゃんとした銀行にお金を預ける、とい
うのが生き残るための一番重要な法則でございます。ただ、ここで申し上げたい
のは、この銀行が、今こういうことを言い始めています。「俺よりもっとひどい
ヤツがいるぞ」と言っているんです。俺なぞたかが知れていると。皆さん、昔の
中国の言葉で、現在でも日本語で使います、「五十歩百歩」というのをご存じで
しょうか?つまり昔、戦国時代に、中国の戦国時代、二千年以上前でございます
が、ある戦争がございまして、その戦場で、負け戦になりまして、皆兵隊が逃げ
始めたんですね。で、五十歩逃げた兵隊と百歩逃げた兵隊がいたと。五十歩逃げ
た兵隊が百歩逃げた兵隊を指さして、「おまえは卑怯者だ。」と言ったわけです。
それと今同じ状態が起こり始めております。五十歩は今、銀行でございます。じ
ゃ、百歩はどこかと。

(次につづく)



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