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「良き事」のために
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投稿者 Q太郎 日時 2003 年 8 月 04 日 20:49:57:4V2zl9FyN7Ano

(回答先: 恥ずかしい質問をさせて下さい。 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 04 日 17:03:04)

エンセンさんはじめまして。

真摯な問ですね。
このところ色んなところで色んな議論を見ています。
阿修羅に居るみなさんは、みんなつわものぞろいで、勉強になります。

私も10年ほど昔になりますが、
「人道主義」と言うけれども、「人道主義」の「人道」の定義はなんだろう、と考えていた事があります。今もわかりません。なぜかはたぶんわかっていただけると思います。

最近、特に2001年の9.11以降、一方からの「善」を考えることが出来なくなった状況で、様々な事を見るにつけて感じるのは、全ては一見「良き事」に見える事を達成するために
行われるのではないか、という考えが頭をもたげてきました。

今使っている「善」というのは、あくまで一方から見たときに
「善」に見えるものであって、それを別の角度から見たり、
時代が変わって振り返る時でも「善」とされるかどうかはわからない
仮の「善」です。

例えば、この掲示板でそれを本気で頭から信じておられる方がいるかは存じ上げませんが
お金を持っている事は、それだけで富んでいて力が強く、敵対するものから身を守ることが出来、経済力がある事で「善」を行使できると思っている人間は、経済的に力をつけます。

筋肉がある事は美しくてかっこよくて素晴らしいという価値観を持っている人は、体を鍛えて筋肉をつけて、肉体美を追求する、色白で細身で髪が長いのが美人という定義があればみんなダイエットして痩せ、スタイルを良くし、ファッションセンスを磨く、それと同じ事です。それが「良き事」とされて、それが個々で程度の差はあれ追求されます。

この世界のあらゆる事は、その時代が要求する「真・善・美」みたいなものを追求し、それを求める事で世界中のあらゆるところで競争がおこりました。それは色んな形で最終的に国家間の戦争へと発展して行きます。同じアイデンティティルーツを持つものが集団として、コミュニティを守るのです。そして勝った側の「威厳」は、軍事、経済、文化のあらゆる面で、保たれてきました。すべては特定の「われわれ」にとって良くなるように利益誘導をした結果です。

資本主義が要請してきた「真・善・美」はあらゆる面において、今や残念ながら、イメージ的に消費可能なものだけが、貨幣と交換されるシステムに成り下がりました。つまりイメージが現実を凌駕していくという現象が先進国といわれる国々で氾濫して、そのイメージの外側にどのような現実があるのかを決して直視しようとはしなくなっていきます。日本のマスメディアの情報の偏りと視聴者の無関心または無力感を見ていれば、察することの出来る話です。

今回のイラク戦争が一番異様だったのは、どんな理由があるにせよ、アメリカ政府がアメリカという国を守るという大義名分で、彼らが「われわれの世界」と思っている世界を「善」または「是」とし、それを守るためには他の人間を攻撃しても良いという理屈を実行してしまった事です。しかしながら、これは残念ながら人間の支配―被支配の歴史において今に始まった事ではないのではないかと思います。

今回のイラク戦争は、アメリカの中枢だけがそれを画策してこのような状態になったようには私にはとても思えないのです。グローバリゼーションだけのせいでもありません。単純に言うなら、今ここで平和な生活を享受していると思われる私たちも、既にこの世界で生きている以上片棒を担いで歩いているのではないか。そのように感じられます。

陰謀論は数多くあり、その陰謀論を自分で消化して、仮に、「こいつが犯人でこいつだけが諸悪の元凶だ」といったところで本当のところ、それは何の解決にも導く事ができないのではないかと思っています。仮に陰謀の黒幕を暴いたところで、彼らは責任を何も感じないのではないかと思っています。

なぜなら彼らにとっては自分たちが生き残り、他のどのものたちよりも自分が優位である事が優先されていて「善」であり、それ以外は堕落した事だからです。仮に彼らが裁かれるとしても、彼らが裕福である事、それは結果として世界中の富に貢献し、経済をまわしているのだから「善」であると言い張るのではないでしょうか。(富というよりは、世界中を席巻している「貨幣経済」に貢献していると思っているからです。)自分たちだけが「善」なる状態にあれば彼らはそれで良く、そのため彼らは万人が平等だと思う事はありません。支配する側は自分たちが良ければそれで良いのです。では、私達は一体どうやって片棒を担いでいるのか。

毎日の生活をより良くする為に、私たちは働き、その対価を手に入れます。そうした事の一つ一つが極論を言えば、世界の経済システムを今の状態で必死に支えているわけです。よりよく、より楽しく、まずは自分がより快適に、というところからはじまる経済活動そのものが、誰かの手からどんな形であれ何かを奪ったりもらったりした形でしか循環しない経済のシステムになっています。その元凶は右から左へお金を動かすハゲタカヘッジファンドの経済活動のせいだけのようにみえますが、彼らに間接的にマネーゲームをさせているのは私達の社会の経済システムです。

その事が、もっとマクロに捉えれば、今回のイラク戦争が結びついているのではないのか。その事の罪を問う人間は私が知るところマスコミには誰も居ませんでした。逆に子ブッシュが開戦の判断に踏み切って「イラク戦争」が起きた事で改めてその問いを持つ人間が出てきたところではないかと思います。

私たちが求めるイメージ的な「良き事」にとりつかれている限りは、この連鎖がやむ事はありません。美しいもの、新しいもの、カッコイイもの、面白いもの、そうしたものを求め続ける限り、それらが再生産されては消費されます。

「先進国」が自分たちの「良きもの」としてのイメージを守るために数多くの活動をしている多国籍企業が、逆に「後進国」と呼ばれる国の経済や文化を窒息させ、弱体化させていく実体は、非常に断片的ではありますがやっとNHKの「富の攻防」でも取り上げられるようになってきました。日本がバブル後の10年間色んな危機管理が崩壊していく中で、世界中で起きてきた事のようです。

彼らが経済的優位を保つには、イメージ戦略が有効です。はじめ、「後進国」と呼ばれる国は労働者として資本主義に搾取されます。賃金が安いからです。次に「後進国」の子ども達が「先進国」に憧れ、そうした富を手に入れる事が人生において価値を持つ、と思いこむように、イメージを操作して量産し、夢を捏造するのです。そうした構図が出来れば、そこから経済の流れが、政治的アイデンティティや文化的遺産をまもろうという駆け引きとは関係なく、生存とイメージ的な繁栄を目指して利益優先で動きます(これが戦後日本で起きてきた事の真相だと思います)。そしてイメージ的に憧れてきた国と肩を並べるぐらい繁栄した頃に、自分たちの民族や歴史的アイデンティティを失ってしまって、米国に忠実についていかざるを得なくなったのが、今の日本ではないかと感じています。

こうしてみていくと、「自己利益の追求こそが正義である」という経済活動における不文律が、全ての面で優先され暗黙の了解の内に承諾されてきた事、これこそが戦争の元凶ではないのかと思います。共産主義がそれに対してアンチテーゼをもっていたとおもいますが、旧ソ連など共産圏は明らかにそれを悪用して一部の指導者による「恐怖政治」がたびたび起きてきた背景もあって、共産主義を厳密に捉えなおす作業なしでは、これらの復活はそう簡単に実現しないと思います。また、資本主義も捉え方を変えれば、貨幣という紙切れを交換する観念的経済に閉じ込められた「恐怖政治」です。経済の繁栄なしでは生きていけないという「神話」が未だ心の中に根強くあるからです。

そして、経済的繁栄が「良き事」とされる場合、「自分たちを繁栄させてくれる」人間に、皆盲目的についていきます。この「盲目的」がやっかいです。拝金カルトになった社会から宗教の寄せ集めカルト「オウム」が出てきた事は写し鏡のように感じます。経済的に裕福だという事が全てにおいて優先される「善」である限り、そうした国際金融勢力に負けず劣らず、人間は金を得ようとします。本当の「富」がそれで手に入るのかは謎です。

私の極論としての結論は「良き事」を追求する事で戦争が起きている、というものです。

ただしこの結論の「良き事」が、自然の摂理に則った普遍的な意味での『善』ではない事は最初にお断りした通りです。今実際に生きていく毎日の生活の中で追及されている「良き事」が果たして本当に「良き事」なのか?これが私たちがまず私たちにつきつけるべき問いであり、新しい世界の捉え方を模索する鍵になるのではないでしょうか。

私は、「これこれの言っているのはこうだから、こうなんだ」というわかりやすい説明ではないのでたくさん穴があると思います。ひょっとしたら答えになっていないかもしれません。
長文、かつまとまりのない文章で申し訳ありません。
うまく伝わるのかどうか、書きたい事が書けたのかは良くわかりませんが、
これが議論の叩き台になれば幸いです。

それでは。

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