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「迷惑」の実態とは(戦争板より移転)
http://www.asyura2.com/0403/dispute17/msg/167.html
投稿者 小阪修平 日時 2004 年 4 月 20 日 17:16:36:1gKhlf5jhJNZI
 

4月18日の私の投稿http://www.asyura2.com/0403/war52/msg/1163.htmlにたいし、真相ハンターKさんと、swanslabさんからレスをもらったのですが、戦争板にあやまって投稿していたたので、議論板に移します。
http://www.asyura2.com/0403/war52/msg/1203.html
http://www.asyura2.com/0403/war52/msg/1188.html
さて、いわゆる「自己責任論」で指摘されている「責任」がじつは「迷惑だ、そんなことはやめてほしい」という個人の自由をむしろ封じこめようとする「迷惑」責任論にほかならないとして、その責任の実態はなんでしょうか。まず責任は、意図した行為の責任と意図を超えて引き起こした事態にかんする責任に区別されます。前者にかんして言えば3人は見通しの甘さを指摘されてもよいのですが、他者がかかわるのは、せいぜい見通しの甘さをたしなめる程度の話でしょう。戦争をふくんだ現代世界のなかでのボランティアは善意だけでは通用しない部分があるという教訓がえられるだけです。後者にかんしていえば、swanslabさんの指摘する通り、自己の身体を危険にさらしてしまったことにかんする責任と、政府に政策転換の要求がつきつけられたことに発する責任とに区別されます。「自己責任論」そして「税金の無駄遣いをまねいた」という澎湃とした非難がよせられているのが後者であることも明らかです。最初に結論から言えば、私は、言われる迷惑は心理的不快感以上のものではなく、その不快感を拘束された被害者にむけることによって日本政府ははしなくも「お上体質」を露呈させたと思っています。
たしかに避難勧告が今年に入って十三回出され、数億から数十億の税金がつかわれたと想像されます。だが、前者についていえば、
十三回も避難勧告が出されているということは、ぎゃくに退避勧告が狼少年の「狼がきた」とおなじような効果をもってしまうということです。3人の拉致がファルージャ情勢の急変にともなって起きたことは明白です。この危険にたいして政府は十分対応していたとは思えません。あらかじめこれまでのレベルを超える危険がアンマンからバクダッドへの途中に存在するという警告を発していれば、3人は不注意のそしりをまねくでしょうが、そうではありません。それどころか、民間人を拘束・拉致して政府に要求をつきつけるという事態を十分には想定していなかったと思われます。swanslabさんの指摘する予見可能性が重要です。
つかわれた税金の内訳のうち最大と想像される項目は(政府が発表していないから想像でしかない)1現地対策本部の設置と、2情報収集そしてひょっとしたら交渉にかかった費用です。1、2を併せてほとんど実効的なことを現地対策本部はしていません。武装グループの特定にはいたらず(周辺まではいっただろうが)政府のやったことで人質解放にたいして実効性があったことは、(これも事実かどうかはわからないが)アメリカにファルージャでの停戦を長引かせるように水面下ではたらきかけたかもしれないということだけです。いちばん肝心のイスラム法学者協会へのはたらきかけはクバイシ師の言によればなかったわけです。
だが、それもこれまでになかったような事態には五里霧中で対処するしかなかったと言われれば認めざるをえません。有力者にわたりをつけだきこめばなんとかなるという「お上体質」はここでもみられるわけですが、そのことも棚上げしておきましょう。だとすれはそれはなおさら、「テロ」(テロということにも疑問はあるわけですが、それも棚上げしておきます)の新しい形態、すなわち地域社会での共感にささえられた「人質の拉致とそれにともなう政策転換の要求」という、まったく新しい事態に対処し情報を収集するための必要経費だったのではないでしょうか。皮肉な目(だけではいけないのですが)からいえば、人質解放に全力をあげているというアリバイづくりのためだとさえいえます。
とすれば、最大の迷惑は、政府の方針に反対する「輩」のためにこれほど夜も寝ないで(そういう政府関係者がいたことは事実でしょう)尽力してやっているのにこいつらは、という心理的不快感です。しかしさらに心理の奥をみれば、戦後民主主義のなかで政府にとって重しである建前となっている「人命の尊重」をタテにとって政府を「脅迫」しているという家族の自衛隊撤退要求にたいする不快感であり、もし人質が殺されでもしたら自衛隊撤退の要求が澎湃としておこり、政権の基盤自体が危うくなることへの不安感です。そういった心理的な異常事態を想定しなければ、政府の対応はとても想像できるものではありません。「言うことをきかないやつ」にたいして異常な憎悪をもやし、レッテルづけをし、「政府がうまくやってやるんだからお前たちは言うことを聞いておけ」と言って、その実けっこうでたらめなことをやるのが、「お上」体質です。そのしり馬にのっかる公明党(これも全部ではなく、冬柴氏のような一部の幹部)は小権力好きの人びとですね。
しかし政府の邦人保護の義務は政府の政策に反対している個人にも及ぶことも、国際的には常識です。(むろんswanslabさんの言うように、無限責任を負うことは実際的には不可能であり、今後考えていってもよい課題ですが)
かんたんに言えば政府は、世論誘導によって、非難を三人の「人質」に集めることに成功したわけですが、もし現代日本社会のかかえる重要な問題の一つが社会的規範の弛緩にあるとすれば、その混乱を助長し若者が自分なりの「まじめさ」や「社会にたいする関心」を表現する回路をいっそう閉ざしてしまったわけです。その罪や万死に値すると考えます。
それだけではなく政府はこの間、ふたつの失態をおかしました。ひとつはこれまでの「ごまかし」(日本国内で通用してきたので、そんなにごまかしとは意識していないかもしれないが)体質の延長で、自衛隊はイラクの復興支援のためにきたと言い続けてきたことです。海自・空自が米軍の兵站に協力しているだけではなく、政府は自衛隊がイラクに駐留することの政治的意味を十分に承知していながら(そのために武装グループから自衛隊撤退の要求がでてきたわけですから)、その点に一言の言及もなり「いい子」ぶりをしてきたことです。これは日本政府の「ことば」にたいする信頼をアラブ世界のなかで大きく低下させることにつながるでしょう。第二はクバイシ師にたいして公式に感謝の意を表明しなかったことです。日本政府からみれば、自衛隊撤退を要求し、日本国民にたいして訴えかけるようなクバイシ師は「不逞の輩」に見えるでしょうが、(あるいはブッシュ流の善悪二元論にもとづいて悪者の一味ぐらいに思っているのかもしれません)、「ことば」を信頼する以上、「人質」が解放された最大の要因は、イスラム法学者協会の呼びかけに応えたからであり、そのために解放の仲介者となって尽力したクバイシ師にたいして謝意を表明しないのは信義にもとることです。もちろんクバイシ師にも政治的打算はあるでしょうが、そういった「打算」を斟酌してあれこれ言うだけにとどめるのは、みずからの殻にあわせて穴を掘るようなものです。信義は「ことば」によって成り立ちます。これからの日本とイラクの関係にとって、日本政府の信義のなさはこれからの大きなマイナス材料になるでしょう。アラブ文化はいっぽうでは交渉の文化ですが、同時に信義と名誉を重んじる文化です。唯一の救いは、クバイシ師が高遠さんにたいして感謝の意を表明したことです。これは日本人が考える以上に大きな影響をもたことだと思えます。

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