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Y=C+Iの虚妄と有効性:Y=C+Iは有意義な切り口ではあってもGDP数値としては“嵩上げ”
http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/157.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 8 月 12 日 23:49:13:Mo7ApAlflbQ6s
 


最悪!さん「ミクロとマクロの混同」( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/141.html
あっしら「ミクロの連関的活動の総体がマクロであり、マクロという実体もマクロから“自由”なミクロも存在しません。」( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/142.html
最悪!さん「結論を予測できません」( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/147.html
あっしら「ミクロはマクロの有機的構成体:ミクロは各組織各器官であり、マクロはその有機的統一体(概念)」( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/151.html

の流れを受けての「供給額→需要額原理」に関する補足的説明です。

『「産業資本主義」の終焉:「貨幣経済」と「供給→需要原理」:経済問題を考えるための基本論理』( http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/136.html )をお読みいただいているという前提で説明させていただきます。

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■ Y=C+Iの虚妄と有効性


Y=C+Iは、需要区分から見たGDPを示す式とされている。

Y:国内総生産(付加価値の総和)
C:消費(サービスを含む)
I:投資


企業の設備投資(I)は、当年分の減価償却費は付加価値から減じられるが、ストックである機械装置に支払った額そのものはフローである付加価値に影響を与えない。

(営業利益+人件費+販売管理費=売上−仕入が付加価値で、その年に100億円の設備投資をしたからといって付加価値(所得や利益の元)が減少するわけではない。P/LではなくB/Sの変化だけである。税法の特例措置があれば設備投資が法人税の“割引き”につながることはある)

一方、その機械装置を売った企業にとっては消費財を売った取引と変わらないから、付加価値を生む。

このような付加価値発生の実状から言えば、付加価値総和としてのC+Iには妥当性があるかのように思える。

しかし、C(消費)のなかにはI(投資)のために支払われたお金を受け取って実現した付加価値(給与など)が含まれているから、Y=C+Iは、実のところ“二重計上”の式なのである。(Iの供給活動に従事する人も人並みの生活をすることを考えればわかる)

付加価値がすべて財やサービスの消費に使われている状況を考えれば、どんなにIの金額が多かろうと、Y=Cであり、Y=C+IはGDPの“嵩上げ”でしかないことがわかる。(Y=Cでも、Iの供給活動はちゃんと行われることに留意)

Cの需要対象を供給する経済主体の付加価値もすべてがC(消費)に回るわけではない。

C(消費)の内実は、(消費財供給経済主体付加価値×消費性向+資本財供給経済主体付加価値×消費性向)である。

そして、付加価値合計からC(消費)を差し引いたものが「貯蓄」の増分である。

これまでの説明を踏まえれば、Y(付加価値)=C(消費)+S(貯蓄増分)と考えたほうが理に適っていることがわかる。
(仮にS(貯蓄増分)がすべてI(投資)に回るのならY=C+Iとも言えるが、そのIもCとSに回るものだから、Y=C(消費)+S(貯蓄増分)に帰結する)

設備投資の多くは増資(誰かの貯蓄)か内部留保(自前の貯蓄)+借り入れで賄われ、公共事業も赤字財政支出なら借り入れで賄われるから、Iの原資は「貯蓄」である。
増資や内部留保の取り崩しは別として、借り入れの原資である「貯蓄」は、I(投資)に使われたからといって「貯蓄」が減少することはない。
借り入れをした主体(企業や政府部門)が将来の付加価値や税収から返済するものであり、預貯金者は預けた相手によって自分のお金がしっかり守られていると思っている。

これを考慮すると、Y=C+元本返済+S(貯蓄増分)という式が成立する。
(利息は債務者の付加価値から支払われるもので、別の主体(銀行や預金者)の経済行動を通じてCとSを構成することでこの式に含まれている)

各年度のIに投じられた借り入れ金は、10年とか60年といった長期の分割で返済されるものだが、企業にとっては各年度の付加価値が実質的に減少することを意味し、政府部門にとっては各年度の税収が実質的に減少することを意味する。

企業を例に説明すれば、100億円の設備投資を借り入れで行ったら、その企業が貢献しているC+Sを将来にわたって維持するためには、以降10億円+利息+減価償却費の金額に相当する付加価値の増加が必要ということになる。

(元本の返済は損益計算(フロー収支)で考慮されないから、営業利益が同じだったら、10億円+利息+減価償却費の金額がキャッシュフローから減少することになる。10億円には法人税も課税されるからその分もキャッシュフローから減少する。仮に営業利益が10億円だったら、減価償却費−利息−税金の金額が実質的に“赤字”(キャッシュフロー減少)ということである)

I(投資)はこのような性格を持つものであるが故に、売上=付加価値の増加が見込めない限りなかなか踏み切れない支出なのである。
(Iの対象は資産だから売却することもできるが、インフレならともかく、デフレであれば購入時を大きく下回る金額でしか売却できない)


「供給→需要原理」は、輸出入がない国民経済もしくは世界単一経済を想定すると、I'(最終財の供給活動に投じられたお金)がYの最大値であるという考えである。

※ 最終財とは、消費財のみならず、他の財を生産するために使われずに独立して利用に供される道路や建物などを含む。機械装置は他の財を生産するために使われものなので、最終財ではない。


I'は自己の資本(お金)と借り入れで賄われるものだが、支出においては、自己の資本であるか借り入れであるかは無関係でともに同じお金である。

このような内実のI'が連関的な取引を通じて各企業の付加価値を形成し、各企業の付加価値の多くが各家計と政府部門の収入になる。(付加価値には借り入れ金から生まれているものがあるということ)

I'=C+元本返済+S(貯蓄増分)=Yという国民経済で、I'を痛みなく増加させるのは貿易収支(経常収支)の黒字である。

貿易収支を考慮すると、

I'+貿易収支黒字=C+元本返済+S(貯蓄増分)=Y

という式になる。

貿易収支が赤字であれば、

I'−貿易収支赤字=C+元本返済+S(貯蓄増分)=Y

となり、元本返済とともにCを減少させる要因となる。
(外貨準備がなければ貿易収支赤字分を国際借り入れで補填しなければならないので、将来、元本返済+利息がさらなるCの減少要因となる)

※ Cは、家計が過去のフロー所得を貯蓄に回していたお金の取り崩したり借り入れをすることで消費を行って増加することもあるが、貯蓄の取り崩しは過去のS(貯蓄増分)が原資であり、借り入れは将来のフロー所得から返済されものでCやS(貯蓄増分)の減少要因という理由で説明から除外した。


このようなことから、500兆円と言われている日本のGDP(Y)も、実質的には300兆円程度と考えたほうが妥当である。


念のため、内実はそのようなものだと理解した上ならば、CとIを区分することや国民経済計算は、マクロ的経済状況を判断するための有効な切り口でありデータである。


■ 赤字財政支出とは

上述のような説明をすると、GDPのY(需要)の不足を補う手法として使われている赤字財政支出が考慮されていないと指摘があるかもしれない。
(税収は、供給に投じられた金額で生み出される付加価値の政府部門への“移転”で、結果的にはC+元本返済+S(貯蓄増分)=Yを構成するもの)

供給に投じられた金額だけではなく、赤字財政支出という「需要」があるのだから、「供給→需要原理」では説明できないというものである。

この問題については、確かに需要が供給活動が喚起する例だと認めながらも、将来の公的負担の増加で需要減をもたらすものだから、需要の先取りであって実質的な需要増加ではないと説明してきた。


上述の「I'+貿易収支黒字=C+元本返済+S(貯蓄増分)=Y」の式には、政府支出(G)はまったく入っていない。

それは、税収内の政府支出と同じで、赤字財政支出もI'に含まれると考えても大きな齟齬がないからである。

赤字財政支出がなんらかの財やサービスに向けられるものであるのなら、そのための供給活動があるはずだから、赤字財政支出も「供給→需要原理」に包含されると考えることができる。供給活動がないものを需要することはできない。
(直接的にはなんら財やサービスに向けられない支出であっても、それがなんらかの経路でC+元本返済+S(貯蓄増分)=Yを構成するのなら同じである。生活扶助はそれに相当する)


公共事業で具体的に説明する。

政府が100億円の公共事業に支出する。
公共事業を請け負った企業は、その供給活動に90億円を投じた。
余裕資金がまったくないとしても、それなりの信用がある企業であれば、政府の発注書があれば銀行は貸し出しをしてくれるだろう。
その支出は、中間財に60億円で人件費に30億円であった。
途中で政府から支払いを受けながら、完工後に100億円全額を受け取った。
これで公共事業を請け負った企業は、その工事で粗利益を10億円上げたことになる。
工事で生み出した付加価値は、人件費30億円と粗利益10億円の合計40億円である。(この粗利益が最終的に経常利益(税法でいう所得)になったら3億円ほどの法人税を支払うことになるから、政府に3億円を戻すことになる)

基本的には「供給→需要原理」であり、公共事業で粗利益10億円を上げたことが「供給→需要原理」を超えている点だとは言える。
しかし、赤字財政支出(政府債務)もいつかは税収(基本的に付加価値の一部)で返済されるものだから、その10億円も、究極的には様々な供給活動に投じられたお金の一部と言える。
(財政支出がすべて税収以内で、この企業が10億円の利益を計上したのなら、様々な供給活動に投じられたお金の一部が政府の手によって“移転”(贈与)されたということになる)

赤字財政支出もI'に含まれると考えても大きな齟齬はないというのは、このような理由である。

赤字財政支出は、実のところ、家計が借り入れで消費したり家を購入するのと同じである。
GDPをそのときは押し上げるとしても、債務の返済が以降のC+S(貯蓄増分)の減少要因として跳ね返ってくる。

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