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韓国からの留学生キム・ソンハの「パンにハムをはさむニダ」第２回【マガジン9条】
http://www.magazine9.jp/kim/100421/
（転写開始）
第２回
韓国天安号沈没事件 その１
３月２６日の夜９時、韓国西海岸のペクリョン島近隣の海で警備任務を遂行中の哨戒艦、天安(チョナン)号は原因不明の事故によって沈没した。乗船員１０４人の内５８名が救助され、死亡確認された人数が３８名、行方不明者は８名と公式発表されている（４月１６日時点）。
また乗船していた将校７人は全員救助されている。これに対し死亡が確認された中には８８年生まれ、８９年生まれの青年が２人含まれている。彼らはもちろん徴兵されてこの船に乗っていた。８４年生まれである私にとって死はまだ早いと思っている。自分よりも何才も若い人々が犠牲にならなければいけない現実はどういうものだったのか知りたかった。
天気の影響により、救助作業自体にも事故が続いたようである。救助隊員１名が作業中死亡、また捜査に加わっていた漁船がカンボジア船舶との追突で沈没し、更に死亡者２名、行方不明者７名。
事故に関する見解について海上警察、海軍の主張には食い違いがあって、軍当局が事故を隠ぺいしているという主張も提起されている。更に北朝鮮攻撃説も浮かび朝鮮日報を中心として保守メディアは「応懲戦争」を呼びかけている。これに対し４月１７日朝鮮中央通信は「（沈没事件は）残念だと思っているが、北朝鮮は関係がない」との内容の声明を発表している。（MBCニュース）
国家情報院は「北朝鮮の攻撃だとは思わない」という見解を発表、国防部はまた「北朝鮮の攻撃である可能性もある」との見解である。同海域では現在米英豪韓、四カ国の捜査団による捜査が行われている。
韓国軍で２年間行政業務を務めていた安悪喜さん（ハンドルネーム、ソウル在住）はこの事件にはいくつかの疑問を感じているという。（注意：現在軍の発表が毎日のように変化しているので次の内容は４月初旬の報告である）
「まずは韓国軍の官僚化により『初期対応』が遅れたという点です。事故発生後、海軍は高速艦を急派してはいるが、それは適切な装備を備えておらず、救助作業が迅速に行われなかったのです。これは『特別な指示がなければ装備を提供しない』という韓国軍独特の組織論理によるものであると思われます。私の推測では、このような事故を経験したことがない韓国海軍の歴史からみると『初期対応』より『装備の支援』や『人力投入』の問題で内部葛藤があった可能性が高いと思います。
２番目の疑問は、将校と副士官が生き残り、徴兵された一般兵士の犠牲が目立っている点です。宿舎の位置の問題もありますが、徴兵で集められた一般兵士の状況対処能力はプロの職業軍人のそれとはすごい差があります。いうまでもなく、若者たちが犠牲になった背景には徴兵制の実態があります。実際に軍内部でも『兵士たちはただの銃弾避けに過ぎない』という話をします」
実際に犠牲になったのは一般兵士であったことから、事件の背景にはこうした軍内部の問題があると認識している人も多いという。またその後の韓国軍の対応もある。安さんの説明が続く。
「３番目の疑問は事件解決より隠ぺいを企む軍内部の秘密主義が明らかに見えている点です。事件発生時刻も海軍と海上警察の発表で差があります。また事件当時の証明資料は相当編集された形でしか公開されていません。最も大事な事故当時の記録が削除されたまま公開されているのです。軍装備の中にＴＯＤという熱感知装置があります。これは暗い夜間に移動する者を監視するための装備なのに、軍当局が公開したＴＯＤ映像では事故の瞬間の映像が削除され、救助する場面だけ映っています。この装備は赤外線スコープより精密な装備として非武装地帯でも運用されるし、その他にもいろいろな分野に使われています。操作し難い装備でもないので作動に時間もあんまりかからないから、事故後撮影まで時間がかかったというのは言い訳になりません。そして何より、生存者らに『事故当時の状況に関してはいかなる発言もしないこと』という指示が下され、インタビューも難しい状態なんです」
３月２９日には刑事数人が遺族のふりをして遺族会に潜入していたことが発覚した事件も報道されている。彼らは遺族の監視役だったという。
４月１５日には船の引き揚げ作業が行われ、遺体が確認された。また翌日の１６日、遺体を運ぶ作業中、軍医が「肉から落ちた汁を拭け」と発言したことが問題になっている。（東亜日報４月１６日）
この事件とは別だが、４月１５日の夜、南海では任務中であった軍のへリコプターが海上で墜落したという報道も入っている。死者２名、行方不明者３名。（ハンギョレ新聞４月１６日） 翌日の１６日、チョルウォンの陸軍部隊で銃器による兵士の自殺事件も報道されている。（ニュースウェイ４月１６日）
ヘリコプターの墜落原因としては、部品の「使い回し」が指摘されているが、連続しているこうした事件で分かるように、現在韓国の軍は、部品を使い回すように徴兵された若者の命を使い回しているのだ。
こうした問題について、日本のみなさんにももっと知ってもらいたいと思い、この事件のことを私は書いている。次回は、天安号事件を巡る韓国社会の動向とメディアの反応についてお伝えしたい。
■お知らせ■
「沖縄を踏みにじるな！新宿緊急デモ」
４／２４（土）新宿アルタ前 ６時１５分集合、６時３０分開始。
大分KCIAが沖縄へのメッセージを準備しているそうです。私も参加するつもりです。
（転写終了）
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