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「地方より東京のほうが生活費がかかる」は幻想
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投稿者 中川隆 日時 2020 年 1 月 14 日 18:48:06: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 敷金礼金ゼロで家賃半額も…超安値の「いわく付き」事故物件に人気殺到!首都圏にも多数 投稿者 中川隆 日時 2016 年 10 月 04 日 07:36:24)

「地方より東京のほうが生活費がかかる」は幻想


東京都で最低限の生活を送るために必要な「時給1700円」年収換算で300万。「貧乏は貧乏らしく」という歪んだ認識から脱却を
https://wezz-y.com/archives/71789
2020.01.12 wezzy


 2019年10月、最低賃金が全国平均901円に引き上げられ、東京都(1013円)と神奈川県(1011円)では1000円の大台に乗った。

 5年前の2014年の全国平均(780円)と比べ現在は100円以上も引き上げられ、一見すると国民の生活が豊かになっているように思える。しかし最低賃金1000円程度で、豊かな暮らしを送ることは出来るだろうか。

 東京地評と東京春闘共闘会議は12月18日、「東京都内に住む25歳単身世帯が最低限の生活をするためには時給1642〜1772円が必要」という試算結果を発表した。

 全国でもっとも最低賃金の高い東京都であっても、「最低限の生活」を送れると考えられる最低時給に約700円も届かない。にもかかわらず、経団連は来年の春闘で最低賃金引き上げを検討しつつも、議論の中心は従業員のモチベーションアップなどという方針のようだ。

 だが最低賃金の大幅アップは、日本中に立ち込める停滞ムードを取り去るための喫緊の課題だ。東京の調査で監修を務めた静岡県立大学短期大学部准教授の中澤秀一氏に、最低賃金引き上げの必要性と有効策について伺った。


中澤秀一/静岡県立大学短期大学部准教授
静岡県立大学短期大学部准教授。専門は、社会保障・社会政策。これまでに全国17道府県で最低生計費試算調査の監修を担当する。近著:『最低賃金1500円がつ くる仕事とくらし―「雇用破壊」を乗り越える』(共著、大月書店、2018年)、「ひとり親世帯の自立―最低生計費調査からの考察―」『経済学論纂』第59巻(共著、中央大学経済学研究会、2019年)。他に、座談会「最賃1500円」で暮らせる賃金・雇用をつくる (共著、『経済』2019年3月号)、「ひとり暮らし高齢者の生活実態と最低生計費」『社会政策』(共著、ミネルヴァ書房、2018年)

「健康で文化的な最低限度の生活」とは

 そもそも「最低限の生活」とはどういう生活なのだろうか。中澤氏は『衣食住に困らないけれど贅沢は一切できないカツカツの生活』とイメージする人が多いという。そして、それを「最低限の生活」と呼んではならないと警鐘を鳴らす。

中澤氏「憲法25条では『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない』と定められており、これが『最低限の生活』と言えます。たとえば、今回の試算に盛り込んだのは、1年間で帰省や旅行ができる、月に2回ほど友達や同僚と飲みに行ける、好きなミュージシャンのコンサートに行ける、などです。むしろ、『普通の生活』と言い換えることができると思います。

 今回算出された東京都の単身世帯に必要な最低賃金『時給1642〜1772円』は、年収換算すると約300万円です。つまり、『最低限の生活』を送るためには、少なくとも年収300万円が必要ということになります。

 しかし、国税庁の『平成30年分 民間給与実態統計調査』を見ると、年収300万円以下の人の割合は37%。『最低限の生活』に達しない生活を余儀なくされている人は少なくありません」

「地方より東京のほうが生活費がかかる」は幻想

 最低賃金の地方格差も問題だ。中澤氏は「東京と他県の最低生計費の格差は、最低賃金ほど大きくはない」と見ている。東京での暮らしには地方よりも生活費が掛かるというイメージは根強いが、実態は。

中澤氏「東京都と地方では『出費先』に違いがありますが、『出費額』には大きな差がないことがわかりました。

 東京都は家賃が高いですが、その代わりに交通機関が整備されているので車を所持する必要がありません。一方、地方は家賃が低いですが、車がないと生活は難しいため、車の購入費や維持費などにコストを割かなければいけません。東京都在住者の家賃と地方在住者の車関連の費用が相殺され、地域間の出費にそれほど差がないのが現状なのです。

 現在、最低賃金が最も高い都道府県は東京都で1013円。最も低い地域は鹿児島県や島根県、愛媛県などで790円です。

 生活費に差がないにもかかわらず都市部と地方で最低時給にこれだけ差があると、都市部への人材流出が助長され、生活に困窮する地方在住者が生まれやすくなります。『東京都で生活するほうがお金がかかる』という勘違いを改め、最低賃金の地域間格差を解消しなければいけません」

2020年10月には最低3%アップ

 最低賃金は、徐々に上昇してはいる。楽観視はできないものの、さらなる増額に向け、議論は前向きに進んでいると中澤氏は分析する。

中澤氏「2019年夏に行われた参議院選挙で多くの政党が『最低賃金引き上げ』を公約に掲げており、国会で注目されるトピックの1つになりました。また、自民党内でも全国一律で最低賃金引上げを検討する議連が発足され、この1年間で風向きが大きく変わってきています。ここ4年間で最低賃金は毎年3%ずつ上昇していますが、今年の10月には最低でも3%アップは見込めます(本当はもっと大幅に引き上げるべきですが…)」

 中澤氏は最低賃金引き上げのために政府が講じるべき策を提案する。

中澤氏「最低賃金の引き上げに及び腰になっているのは中小企業がほとんどです。つまり、中小企業を対象にした社会保険料の減免が必要なのです。中小企業の経営者と話をしていると『社会保険料の労使折半分に苦しんでいる』と言います。社会保険料の減免措置は、最賃アップの有効策になるでしょう。この減免措置にどれくらいの財源が必要になるのか、そろそろ本格的に議論すべきです」

 同時に私たちも、「最低限の生活」についての理解を深める必要がある。貧困叩きをしている場合ではないということだ。

中澤氏「政府や企業の働きかけだけではなく、私たち国民が最低賃金引き上げに関心を持つことが重要です。来年以降も最低時給が1000円に達する地域がいくつか出てきますが、1000円という大台に達したことで満足してはいけません。

 よく考えてみましょう。時給1000円では、月22日・8時間働いても月収は20万円も貰えず、年収換算しても250万円にさえ届かないのです。

 まずは『すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』が保障されていることを知り、この『最低限の生活』がどういう生活なのか知ってほしいと思います。

 現在の日本では、貧困層に対して非常に厳しい視線が向けられており、生活保護受給者が娯楽にお金を割いていることを知ると辛辣な批判が相次ぎますよね。

 数年前にNHKで貧困に苦しむ女子高生を特集したニュースが放送されましたが、彼女が1000円以上のランチを食べに行っていたことや好きな漫画のグッズを買っていたことが発覚すると、『こいつは貧困じゃない』といったバッシングが多く寄せられました。

 誰でも最低限の生活を営む権利があるのですから、『貧乏人は貧乏人らしく』といった捉え方から脱却しましょう。この認識を改めることができれば、最低賃金引き上げは加速します  

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コメント
1. 中川隆[-13188] koaQ7Jey 2020年3月03日 13:22:43 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[341] 報告

2019年03月21日
水道&ガス料金の格差 田舎は生涯600万円以上も多く支払う

過疎地の水道&ガス料金は都会の1.5倍から2倍以上高い


水道&ガス料金格差の理由

電気料金は全国ほぼ一律料金ですが、水道料金とガス料金はかなりのバラつきがあります。

水道民営化は今話題ですが、20m3当たり3000円前後の自治体が最も多い。

水道料金が安い自治体は1000円前後、高い自治体は北海道に集中していて6000円以上になっている。


水道料金が高いのは破綻した夕張市など北海道・東北・九州の「町」が多く、地名から想像すると過疎地が多い。

東京、大阪のような大都市や県庁所在地クラスの都市は、3000円前後の中心価格帯に収まっている。

人口が多い都市は大人数で割るので価格が平均化されるのに対し、過疎地は少ない人数で割るので料金が高くなる構図です。


大都市が安く過疎地が高い構図は、ガス料金にもそのまま当てはめることが出来ます。

知っての通り大都市や中小都市の中心部は都市ガスが供給されていて、料金はとても安い。

だが中小都市の周辺部や町村・郡部などはプロパンガスで、都市ガスの2倍程度も料金が高い。


仮に2倍として月5000円多く払ったら年6万円、50年間の生涯では300万円も多く支払います。

加えて水道料金も東京都の世帯平均は月5000円なので、2倍近い地域では300万円、水道とガスの合計では生涯600万円も多く払います。

高価格地域では他の物価も高く、住居費や家賃も高いと推測されるので、合計するとおそらく1000万円程度の違いになるでしょう。


どの場所に住むかによって一生涯で1000万円も支出額が違うのは、意外だが現実です。


エネルギー自由化の末路

電力自由化に続いてガス料金も自由化され、水道民営化で水道も自由化されようとしていますが、自由化をもてはやす人達はマイナスの影響を説明しない。

自由化すれば当然大都市ではあらゆる料金が安くなり、過疎地ではあらゆる料金が値上がりします。

現在の電気料金のように全国統制価格にしておけば水道やガスも全国同じ料金だったのに、自由化することで3倍以上の格差になりました。


自由化したからと言って大都市の水道ガス料金はあまり安くならず、過疎地の料金だけが大幅に値上がりしました。

これは人口の比重が違うからで、「都会ではほとんどメリットがなかったのに、過疎地では大幅に値上がりした」のでした。

こういうバカな政策がエネルギー自由化で、誰にもメリットが無いのに「素晴らしいものだ」と推進しています。


10年後に過疎地の電気料金やガス料金が都会の10倍になっても、驚くには値しません。

電力やガスや水道料金のようなものは全国一律価格にしても、東京や大阪の料金は1割か2割しか値上がりしません。

その変わり過疎地や離島では料金が3分の1になり、こうした地域への移住が促進され生活が豊かになります。


地方が栄えれば結局都会の人も豊かになるので、誰も損をしないのです。

移住したら生涯600万円から1000万円も多く払うような場所に、好んで移住する人などいません。

都会の人はなんとなく「どこでもガスや水道料金は同じ」と思って移住して、後で現実を知るのです。
http://www.thutmosev.com/archives/79317270.html

2. 中川隆[-13175] koaQ7Jey 2020年3月03日 13:47:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[354] 報告

恐怖!田舎暮らしは「地獄の沙汰もカネ次第」
8/16(木) 8:00配信 東洋経済オンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180816-00232656-toyo-soci


お金にあくせくしたりしない、あこがれのカントリーライフを送るつもりで移住をしたけれど…(写真:Hakase_/iStock)


田舎暮らしを希望している都会の人の大きな誤解が、田舎は都会よりもお金がかからない、生活費が安くあがる、という思い込み。実は、田舎暮らしは、物価も、保険料も、税金も都会より高い。しかも、場所によっては、交際費が収入の3分の2もかかることもある。

前回「恐怖の実話! 悪夢と化した『夢の田舎暮らし』」で田舎暮らしの人間関係を語ってくれた、移住歴20年のベテラン・イジュラーに、今回は、田舎暮らしのお金の現実を語ってもらった。


 風のなかに 土のにおいが もう一度 日本を見つける 私を見つける――。

 女優の松たか子の詩的なナレーションで始まる人気番組「新日本風土記」。その叙情的な言葉に誘われるかのように、番組の熱心なファンでもあった夫婦が長野県東部の、とある集落に移住したのは32歳のときだった。

 人口わずか1000人弱の小さな谷あいの集落に移り住んだ直後、道ですれ違った老婆は開口一番、夫婦のあいさつを手で遮ったかと思うと、宣告せんばかりにこう告げた。
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 「ここは言葉は荒れぇけど、その場限りだから気にすんな」

 思えば、それが地獄の釜が開いた瞬間だったのかもしれない。その地で体験したのは、「言葉が荒れぇ」などでは済まされない地獄絵図さながらの体験だった。「新日本風土記」が映す地方の、僻地の、田舎のくったくのない笑顔。そんなものはどこにもなかった……。


■「修学旅行の金は俺たちの税金だ」

 現在、40歳を越えた高藤泰之(仮名)さん夫婦は、高校生になった長女とともに、長野県佐久市内で暮す。佐久は長野新幹線で東京に出るにも便利で、地元電気会社の営業マンとして働く高藤さんにとっては首都圏へのアクセスも悪くなかった。
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 就農を目指し、32歳のときに関西から移住したのは、佐久からもさらに車で小一時間ほど走る山間部の集落だった。小学生に上がったばかりの長女とともに移り住んだ高藤さんは就農支援を受けながら、それなりに地域にも溶け込み、子どももすっかり小学校になじみ……と、傍目には移住成功組と映っていた。

 自治体が発行する移住体験記のパンフレットに、家族全員で紹介されたこともあった。

 「子どもにとっては、まさにふるさとができたといった感覚で、僕らにとっても第二の故郷と呼んでもいいかなと思ってうれしかったんですが……」


移住して6年目、長女が小学校を卒業するときだった。周囲に突然、不穏な空気が漂い始めた。

 「誰の金で生活できたと思ってやがるんだ」「俺たちの金で海外に行きやがって」

 集落には、ジェットヒーターまで完備された全天候型のゲートボール場がいくつもある。うわさ話は年間を通じ、ゲートボール場で火が付き、そして拡散し、尾ひれがついてまたゲートボール場に戻ってくる。あるいは、辺りにたった1つの診療所のロビーで。
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 「うわさ話だけは、インターネットよりも速いと言われる土地だと言われていたので……」

 高藤さん家族の耳に、自身らに向けられた罵声が届くのはあっという間だった。

 やり玉に挙がったのは、長女の修学旅行である海外研修旅行の件だった。かの地では、姉妹都市を結ぶ海外に、小学生の卒業旅行で行くのが恒例行事だった。小学校入学と同時にかの地に越してきた長女にとっては、まさにその小学校と集落が故郷同然。海外とはいえ、修学旅行に参加するのは当然だと思っていた。
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 しかし、過疎化の進んだその移住先には、すでに中学校がなくなっていた。集落から中学校に通う者は、早朝5時、6時には自宅を出て、本数の極めて限られたバスに乗るか、あるいは毎朝、家族が10キロ以上離れた場所まで送らなければならない。

 「冬場は氷点下10度くらいいくこともざらな寒い場所ですから。さすがに中学生の通学でそれだけの負担を強いるのはかわいそうだなと思って。それで、中学校がある佐久市内に越すことに決めたんです」
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 それが、集落住民らの怒りを買ったのだ。だが、怒りの矛先は高藤さん家族が引っ越すこと、そのものではないようだった。

 「娘の海外への修学旅行の金は、もともとは俺たちの税金だろうって。それを返せって。出て行くくせに海外への修学旅行に行きやがってって、それが気にくわなかったらしいんです」

 さすがは教育県と呼ばれる長野県である。修学旅行とはいえ、海外研修を計画し、その姉妹都市からは小学校にして時折、英語教師さえ派遣されていた。都会ほど生徒数が多くないこともあったのだろう。海外への修学旅行費用も、教育委員会の予算として支出され、児童全員が参加するれっきとした学校行事であった。


「だけど、もとをたどれば俺たちの税金だと。集落を出ていく癖に、海外への修学旅行に参加しやがって図々しいと、そういうことのようでした」

■田舎の返礼は「倍返し」が基本

 移住成功家族として自治体のパンフレットにまで紹介されながら、高藤さん夫婦は半ば白眼視され、最後はまるで追い出されるような気分で集落を出ることになった。

 「娘にとっては幼なじみの友達もできた土地で、物心がついてからのまさにふるさとだったので、残念でした」
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 高藤さんは、引っ越し後もようやく軌道に乗り始めた農業を続けようと思っていたが、手のひらを返したように一変した空気から、農業から離職し、佐久市内で電気会社に再就職することになった。

 「集落では1人が言い出すと、全員が自分の意思に関係なくそっちに流されますから、昨日までの友も今日の敵で、もうダメなんですね。理屈じゃないんです。たとえ理不尽な言いがかりであっても、言われたら最後、うわさを立てられたら最後、なんです」
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 それに、と高藤さんは言う。

 「僕らは都会にはない豊かさを求めて地方に移住する。でも、移住先が求めているのは決して人口が増えることではない。結局は金、なんですね」

 土地柄もあっただろうが、とにかく金絡みの損得勘定の始末にはうるさかった。仕事から帰ってくれば、玄関前には収穫物のおすそ分けが置かれていたりする。

 「白菜ひとつとっても、野菜に名前が書いてあるわけじゃないから、その日のうちに誰が置いていってくれたのかを大捜索して、その後は菓子折を買ってお礼参りですよ。そんなときも、明らかにもらったものよりも上乗せしたものを持っていかないといけないわけです。下手に野菜だとかおすそ分けなんかもらうと、そのお返しばかりでもう大変な出費でした」
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 田舎の返礼はもらったものの「倍返し」が基本になる。さらに、である。子どもの七五三に入学式なども、始末が悪い。

 「自分の子どものお下がりだなんだと、いろいろと寄こしてくるのですが、着物なんかだと、クリーニング代だけで2万円近くいきます。アマゾンで買ったほうがよっぽど安上がりなんですよ。でも、拒んだら、一瞬にして悪いうわさが立ちますから……。もうね、最後のほうは半ば強迫観念ですよね。とにかく何かあげなきゃ、貢がなきゃ何を言われるかわからない。無視されるかもしれない。どんな局面で意趣返しされるかわからないっていう……」


時期によっては、毎月の収入の3分の2が、こうした“交際費”で霧消したという。

■お金がなくても幸せな人は、実家が農家

 高藤さんは続ける。

 「とにかく、生活費は高くつきますよ。集落の人間関係をうまくやろうとすればするほど、最後は金の話にゆきつくんです」

 どういうことか─―。

 「人口が少なくて、世帯数も少ない集落では皆が助け合って和気あいあいとやっているのではないかという印象を外からは持ちがちですが、とんでもないんです。そういうところもあるかもしれませんが、私がいた集落は常々、村長派と反村長派で村が二分していて、道路を挟んで、やれこっちに住んでいる者は村長の親戚が経営するガソリンスタンドから灯油を買わなければだめだとか、あそこの業者は反対派だから使うなとか」
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 しかし、灯油もガソリンも値段の表示さえない場所である。極めて高くつく。

 「30キロ近く離れたホームセンターに灯油缶を持っていって買ってきたほうが安いくらいですから。でも、それを見られると突き上げられるので、夜中に寝静まった頃にこっそり、自宅のなかで電気を消したまま、ホースを延ばして、外の灯油タンクに移すんです。真冬なんてマイナス10度以下ですよ。凍えるうえに、バカバカしくなりますよ」

■隣人監視の目は、購入先すべてに及ぶ
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 隣人監視の目が厳しいのは、生活物資の調達や購買先すべてに及ぶ。

 「遠くのイオンモールのショッピングバッグを家に運び込んでいるのが目につこうものならば、わざわざ自宅の戸をたたいてまで、生活用品は農協の店で買え、ですからね。もちろん、事情はわかりますが、イオンで90円のものが、過疎地の農協直営店では150円ですから。都会での会社勤めのときよりも収入が減っているのに、生活コストだけが倍になったら、やっていけませんよ」
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 だが、集落は意外にも、若い住人が少なくない。皆、都会での教育を終えると、実家に戻ってきているのだ。何かと生活コストがかかり、人間関係も難しい土地であっても、昨今、地方には、都会人が想像するほど若年層は枯渇していない。むしろ、地元出身の若い夫婦のUターンが盛んな感さえある。そこには“事情”がある。

 「行政や雇用促進の団体は盛んに、施策効果をうたってますが、実感としてはちょっと違いますね。地元出身者らが戻ってくるのは、決してそこが住みやすいから、懐かしいから、ではなくて、経済的な事情が大きいのではないでしょうか」


どういうことか─―。

 「親が子どもを呼び寄せ、いつかせるためであれば、惜しまずにどれだけでも金を出すからです」

 集落に戻ってきた子どもたちは、実家の敷地内に新築のマイホームを建ててもらえるのだ。もちろん、土地の購入費もタダ、自宅の建設費もタダだ。

 「車だって地方では家族の頭数だけ必要ですから、親が出している例はいくらでもありますよ。つまり、都会では働いても働いても生活に余裕が出ないワーキングプアとかいわれてる現代では、子どもたちも親元に戻ってきたほうが生活が楽なんですよ」
.

 高藤さんの妻は、こうも教える。

 「Uターン組の奥さんたちは陰ではブツブツ言いますが、決して嫁ぎ先から出ていきません。家や車や子どもの生活費だけじゃありません。農家だから、食料ももらっているんです。多少嫌なことがあっても、経済的なメリットのほうが勝っているから出ていかないだけのことなんです」

 高気密・高断熱で最新設備のブランドホームを建ててもらい、車も買ってもらい、育児費用の面倒もみてくれる─―。そんな地元出身者、Uターン夫婦の生活ぶりをみて、移住者が自分の生活像を重ねてはいけないのだ。
.

■聞いてしまった、地方移住歓迎の本音

 さらに、である。追い打ちをかけるのは税金の高さや健康保険料、介護保険料だ。人口の少ない過疎地ほど税収が乏しく、いきおい一人頭の税金は高くなる。健康保険料に介護保険料も当然、人口が少ないので納税余力のある者への負担は割高だ。結果、多少でも収入があり納税余力の水準が高い者には、都会とは比べものにならない負担がのしかかってくる。

 高藤さんはこうも言う。

 「移住者を受入れるのには、金を落とさせたいというその一心でやむなく、というのが本音ですから」
.

 当の集落出身の議員にそこを訊ねると、あっさりとこう認めるのだった。

 「最初、移住者を迎えるかどうするかって問題になったときも、すったもんだあったずら。でも、移住者を受け入れねえと、医療費の財政がもたねえってことになって、それならばって反対していた奴らもしぶしぶ了承したんだ」

 自治体がこぞって旗を振る「移住者歓迎」は、決して人口増による地域活性化だけが目的ではないことに注意が必要だ。ようは財源欲しさ、税収欲しさの、詰まるところ金欲しさ、が本音なのだ。


「田舎暮らしはお金がかからないなんて幻想もいいところですよ。それに、こっちは必死の思いでお金を捻出して敬ってるつもりでも、向こうは移住者なんだから当たり前っていう感覚で感謝されることはまずないですから」

 さすがに思い余った高藤さんは、周辺に1つだけの県警の「駐在所」に駆け込んだ。長野県内の駐在所を転々としてきてまもなく定年を迎えようかというベテランの駐在はこう教えるのだった。

 「あんたも出て行くか。あんたなんかは長いほうだったよ。もうね、入れ替わり立ち替わり、だからね。定住なんかとはほど遠いよ」
.

 駐在はつねに、狭い集落の人間の出入りと、転入、転出を目配りしている。移住者が転入してくる場所は限られている。そうした番地の住民の流れをみていると、早ければ数カ月、長くても1年未満で外に出て行ってしまうという。

 「あまりに入れ替わり立ち替わりで、こっちがあいさつに行こうと思ってるともう出てっちゃってるんだから」と駐在は笑う。

 役場は、田舎暮らしは都会よりも金がかかることなど、まず教えてくれない。

 「金を落としてもらうべき、飛んで火に入る夏の虫に、わざわざ不都合な話を教えてはくれませんからね」
.

 そう言って高藤さんは笑う。山間部の集落を出て佐久で暮らすようになり、周囲の目や耳を気にすることなく、高らかに笑う高藤さんの表情には、ようやく「のびのびとした解放感とともに日々を過ごす」理想の田舎暮らしにたどり着けた充実感が満ちているように見えた。

前回記事 「恐怖の実話! 悪夢と化した『夢の田舎暮らし』」も御覧ください
.
清泉 亮 :移住アドバイザー

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