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<社会科学院日本研究所><宇都宮家と小川家><北京の地下鉄><市民のモラル向上><新聞離れ?><年配者はバス利用>
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/169.html
投稿者 五月晴郎 日時 2012 年 5 月 31 日 11:30:37: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: <日本への失望><公明党への失望><80キロ走行の環状線>など =本澤二郎の「日中40年友好の旅」(4)=  投稿者 五月晴郎 日時 2012 年 5 月 30 日 10:45:58)

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51983360.html
本澤二郎の「日中40年友好の旅」(5)


<社会科学院日本研究所>

 中国社会科学院というと、政府の頭脳的役割を果たしている部署である。政府の政策決定に相応の影響力を有しているだろう。対日政策の窓口が日本研究所である。ここのベテランがマスコミに登場、コメントする場面を何度か目撃している。中国では、これ以外に地方政府や大学にも日本研究所が存在している。そのすそ野は広い。むろん、アメリカ研究所など世界各国の研究所が存在、それらの動向や歴史の研究が行われている。

 筆者とここの関係は、宇都宮徳馬邸で毎年行われていた観桜会で名刺交換した大使館員が、帰国後、日本研究所に所属したことから、北京訪問時に押しかけた。以来、その関係が今も続いている。筆者の中国ルーツは、すべからく宇都宮さんが作ってくれたものだ。
 観桜会には三木武夫・鈴木善幸・河野洋平・土井たか子らリベラル・平和主義者らも、よく姿を見せていた。そこでかいがいしく接待する遼子夫人も忘れられない。彼女の父親は駒井徳三。満州国行政官のトップを務めている。夫人の名前は中国・遼東半島から付けられた、と聞いている。

<宇都宮家と小川家>

 実父・宇都宮太郎は朝鮮軍司令官も歴任した陸軍大将だ。幼くして平壌を訪れた息子の徳馬に「朝鮮人は立派な民族だ。お前は長じて朝鮮人の女性と結婚しなさい。決して朝鮮人を馬鹿にしてはならない」と訓戒した。父親を尊敬して育った息子は、この言葉をずっと信じて成長してきた。

 余談だが、宮澤喜一の叔父に当たる小川平二(元文相・自治相など歴任)は、東京帝国大学を卒業する時に父親の平吉(政友会の大立者で知られる)に「満鉄に就職したい」と願い出た。平吉は孫文と交流があった大物政治家である。平二の世田谷の私邸玄関には、孫文自筆の書がかかっていたのを、今もよく記憶している。宇都宮太郎もまた、陸軍参謀部時代に孫文と関係していたと、徳馬がよく筆者に語っていた。

 平吉は息子の相談に驚いた。そして断固として反対した。理由は「よそ様(中国)で金もうけしている会社で働くことなど、もってのほかだ」というものだった。ついでにいうと、福田赳夫の側近NO1で知られた田中龍夫は満鉄に就職した。彼の父親は、長州の軍人宰相・田中義一である。田中も小川も共に政友会のはずだが、中国への理解度は月とスッポンほど違った。
 戦前の日本の軍閥は、封建主義の清朝政府につく北方派と革命・近代派の南方派に分かれていた。宇都宮太郎はれっきとした南方派だった。小川平吉も政治家として南方派についていたのである。
 小川・宮澤家も宇都宮家も、共に親中派である。その影響を筆者は受けたのだが、それは正解だった。

<北京の地下鉄>

 日本研究所には何度も行っている。それでも土地勘の薄い筆者だ。昨年は外交学院の学生と一緒にバスで乗り付けた。学生にしても地方出身者だから、北京事情にうとい。以前、こんなことがあった。北京空港に出迎えるはずの教授が、突然大事な要件が出来て、代わりに学生3人を向かわせた。彼ら学生は、北京国際空港を見たのは初めてのことだった。

 今回は、案内役はいない。幸い、歩いて5分ほどで地下鉄の建国門駅に行ける。前夜、散歩がてら地下鉄の場所を確認しておいた。すぐ近くに、泊まったことのない長富宮という高級ホテルが高くそびえている。便利な目安だ。
 約束の時間は午前10時だ。出来れば20分前に着けば全く問題が無い。しかし、そのためにホテルを何時に出ればいいのか。これがはっきりしない。安全のために8時30分に飛び出した。まだ通勤の時間帯である。
 建国門近くになると、すごい数の通勤者の塊が襲いかかってくる。歩道は彼ら彼女らに占拠されてしまっている。間隙を縫うようにして地下鉄駅にたどり着いた。
 ここからが、また大変である。まずは入口で荷物のチェックが行われる。これは2008年の北京五輪から常態化しているらしい。治安確保に懸命なのがわかる。チベット問題やウイグル問題を警戒しているのかもしれない。実際はアメリカもそうだが、北京に限って言うと、安全首都であるのだが。

 切符売り場に到着したものの、新たな挑戦が待ち構えていた。これは日本でもそうだが、地方の老人は切符の購入が実に面倒である。自動販売機の操作のことである。
 慣れても半年、1年ぶりだとすっかりやり方を忘れてしまう。値段は2元だと判明しても、あいにくお札しかない。これを何度販売機に入れても切符が出てくれない。お札が釣銭の場所に返ってくる。1元硬貨が2個あればいいのだが、あいにく持っていない。いらついていると、声をかけてくれる人物が目の前に現れた。
 女性駅員である。お札2元とカード切符を交換してくれた。親切に感謝し、安堵した。しかし、これこそが旅の醍醐味なのである。とことこと階段を下りてホームに出た。行く先の駅が見つからない。
 理由がわかった。建国門には1号線と2号線が交差していたのだ。後で確認してみると、どちらでもよかったのだが、次の東単駅で乗り換えた。北京は節電などという事態は無縁らしい。冷房がしっかりと効いている。効き過ぎなのだ。半袖だと風邪をひくかもしれない。3・11放射能の以前の日本並みなのだ。

<市民のモラル向上>

 東単で5号線乗り換えである。さすがに地下鉄は混んでいる。まだラッシュアワーなのだから。幸い、冷房のお陰でムンムンするような感じがないのがいい。2000万人の巨大都市のど真ん中の地下鉄である。地上は車で詰まっている。バス・タクシー・マイカーとすごい量に目がくらみそうだ。

 5号線に飛び乗ったが、そんなに奥に入るわけにはいかない。出る時が大変だからだ。入口近くで踏ん張るしかない。すると、意外なことが発生した。筆者の袖を引く人物が現れた。座席の提供者である。若者が立ち上がって「ここに座れ」という仕草をしている。
 びっくりしながらも、彼の親切な行動に応じた。日本では姿を消してしまったようなモラルが、北京では生まれていたのである。多分、北京五輪のころに、政府がこうした乗車モラルを市民に呼び掛けたはずである。それが継承されているのだ。
 感謝と同時にうれしくなってしまった。実を言うと、上海万博時に同じ経験を1度した。確か上海市の観光局幹部と食事したあと、一人で地下鉄に乗った時のことである。夜の8時過ぎだった。今回で二度目になる。周囲を見渡すと、髪の白い乗客を見つけられなかった。

<新聞離れ?>

 中国の地下鉄に乗った時期を忘れたが、以前の乗客はよく新聞を開いていた。市民は、まるで活字の虫のように感じたほどである。この国の将来に期待を持たせる市民の慣習に満足したものだ。
 以前、韓国を観光旅行した時にも同じ体験をした。他方、新聞離れの日本に衝撃を受けるしかなかったのだが、日本の新聞についてはその中身・記事の質に難点があるため、ある程度は諦めざるを得なかった。現に筆者も朝日新聞の購読を止めて、8年目に入った。
 インターネット新聞やネットの掲示板の中に、良質の情報が満載されている。それを分析する基本さえ、しっかりしていれば新聞など不要である。ジャーナリストで生きてきたことの幸運にもよるものだが、無冠の帝王人生も悪くない。

 混雑時間帯ということも計算する必要があるだろうが、新聞を読んでいる通勤・通学客を見つけることが容易ではなかった。人々は携帯電話・昨今流行しているスマートフォンに熱中していた。情報はそこから取っているのかもしれなかった。
 そうしてみると、活字離れは欧米から日本、そして中国でも、ということになろうか。真実報道や公正な評論が、新聞の読者獲得の基本に変身するしかないだろう。

<年配者はバス利用>

 今回、何度も地下鉄を利用したのだが、席を譲られたのは5号線での1度だけではなかった。もう一度、経験したものだから、北京市民のモラルの向上はまぎれもない事実だと確信することが出来るのである。
 1等国には1等国の倫理観が定着するのであろう。反対に貧すれば鈍すという諺は、確かにそうかもしれない。不公平・格差が社会の混乱要因となる。

 周囲の乗客を眺めていると、一つの結論に達した。地下鉄に老人が少ないのだ。白い髪の高齢者がほとんど見られない。老人は少数派なのだ。どうしたのだろうか。
 原因が判明した。65歳以上のお年寄りは、無料でバスに乗れるという福祉政策にあった。バスに老人は殺到することになる。
 ご存知、鉄道や地下鉄整備の遅れから北京では、バスが発達した。バス利用が首都の足だった。それこそ完璧にバス路線は整備されている。バス利用に長けている日本人観光客であれば、北京での交通費は断然節約出来るだろう。
 市民生活に不可欠な交通・通信は、やはり社会主義市場経済の中国が、一番先行している。その点で、日本人の恩恵は不足している。ちなみに東京都は70歳から無料でバスが利用できる。しかし、バス路線は細切れ過ぎて、北京のような便利さにはなっていない。それに時間がかかりすぎる。利便性は低い。

2012年5月31日10時45分記  

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