http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/636.html
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安倍政権（＝財務省官僚たち）が来年４月にスケジュール化されている消費税増税を本気で実施したいと考えているのなら、消費税増税に疑念を抱かせる発言をしたり、消費税増税実施の延期を匂わせたりするような発言はしないであろう。
安倍首相は、４月１７日に国会で開催された民主党海江田代表との党首討論で、９７年の消費税増税を引き合いに出して、消費税増税が、税収の増加ではなく税収の減少につながったと説明した。
安倍政権が、理由を示して、来年４月に予定されている消費税増税を延期する可能性を匂わせたのはこれが最初だと思う。
しかし、消費税増税に関する安倍首相の“重大発言”は、私が知る限り、主要メディアにも増税反対にも取り上げられることはなかった。
安倍首相は、その後も何度か、消費税増税＝税収増加ではないことを口にし、消費税の増税に踏み切ることに迷っている様子を世間に晒した。
消費税増税反対派は安倍首相の言動で絶好の攻めの機会を手にしたはずだが、安倍発言を利用しての「消費税増税延期」キャンペーンは起きていない。
日経新聞８月６日朝刊に「消費増税見直し論けん制 政府税調、財政健全化を重視 首相が検証指示へ」 という見出しの記事が掲載され、「政府税制調査会（首相の諮問機関）は５日に開いた総会で、来年４月の消費税率引き上げについて議論した。ほとんどの委員は「予定通り消費増税を実施すべきだ」と述べ、政府内で浮上する増税見直し論をけん制した。ただ安倍晋三首相は週内に、増税に慎重な有識者も加えた消費増税の検証の場を設けるよう指示する見通し。現時点では増税見直しを排除しておらず、議論の行方は波乱含みだ」と書かれていた。
この記事で、安倍政権＝財務省の面々は、消費税増税を延期する方向に傾いていることを強く感じた。
財務省が消費税延期問題で悩んでいることは、
● 円安傾向が今後どうなるか
● いったん延期してしまった消費税増税を時機が来たからといってスムーズに実施できるのか
という二つであろう。
転載する記事は、「消費税増税は景気の腰折れにつながる」という問題について少しは反論しているが、グローバル企業は、消費税が増税されても大丈夫というレベルの説明でしかない。
グローバル企業は、消費税増税で謂われのない“補助金”をより多くもらえるようになるのだから大丈夫なのは当たり前の存在である。
消費税増税の打撃を被るのは、消費者はともかく、国内向けの商売を行う事業者である。そして、量的にみれば、彼らが日本経済を支えている。輸出を行わない事業者は、増税前と同じ荒利を稼いでも、増税により手元に残る金額が３％減少するのである（経常利益ではなく荒利ベースであることに留意）。
増税前に収支がとんとんという事業者であれば、消費税増税で赤字に転落することになるから、給与を中心に経費を切り詰めるしかなくなる。このような事態が広範囲に及ぶからこそ、消費税増税により、法人税も所得税も減収となり、税全体の収入が減るのである。
転載する記事は、消費税をなんとしても増税しなければならない決め手として、財政再建を持ち出している。
しかし、安倍政権が消費税増税実施について悩み苦しんでいるのは、消費税を増税しても税収全体は増加しないという問題なのである。
財政再建を金科玉条のごとく持ち出すのであれば、消費税増税が税収全体の増加につながることを説明しなければ意味がない。
８９年の消費税導入も、９７年の消費税増税も、当該年（８９年の場合は不動産バブルの影響で９０年まで）の税収は少し増加したが、その後はじりじりと税収を減らしている。
今なお税収のピークは１９９０年の６０．１兆円である。
９７年に消費税を増税し所得税も増税していながら、９７年は５３．９兆円と前年比で少しは増収になったが、９８年には４９．４兆円となり、バブル崩壊後も維持していた５０兆円を割り込んだ。
消費税とその増税は、グローバル企業の利益には貢献しても、税収の増加や財政再建さらに言えば社会保障制度維持には貢献しないのである。
※ 参照投稿
「消費増税に慎重論 「３Ａ」と菅長官が役割分担か：グローバル企業支援策はとりあえず「円安」とし消費税増税は無期延期を」
http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/624.html
「首相、消費増税「国の信認考えながら最終判断」「デフレ脱却、最初で最後のチャンス」:悩み深き消費税増税」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/300.html
「税収の伸び「大きな指標」＝消費増税の判断―麻生財務相：伸びても不要、減ったら当然中止で、いずれにしても“無期延期”が正解」
http://www.asyura2.com/13/senkyo150/msg/568.html
「5％の消費増税、日本経済へのショック大きい＝浜田内閣官房参与：円安を奇貨として凍結すべき：それで民主党の息の根が止まるぞ」
http://www.asyura2.com/13/hasan81/msg/114.html
「安倍“再政権”と財務省が公共事業で景気浮揚を図ろうとするワケ：１０％になった後も２０％を目指し増税が続く消費税」
http://www.asyura2.com/12/senkyo141/msg/439.html
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消費増税、97年と環境変化 成長へ財政再建急務
企業に耐久力、国の債務拡大
2013/8/9 1:40
安倍晋三首相は８日、来年４月に予定している消費増税が景気に与える影響を検証するよう関係閣僚に指示した。1997年度の前回の消費増税当時と比べると、いまの日本企業の強みと、成長のためにも財政再建が急務となっている事情がはっきりと浮かんでくる。
■３つの過剰解消
政権首脳らが消費増税に神経質になるのはわかる。前回、消費税率を３％から５％に引き上げた97年度。増税に医療費負担も加えた９兆円の負担増により、日本経済は98年度にマイナス成長に。98年から続くデフレの一因になったとされる。
97年には山一証券や北海道拓殖銀行の経営破綻も相次いだ。アジア通貨危機も重なった。ここに来て増税先送り論がとりざたされ始めたのも「増税で景気が腰折れすれば、脱デフレが遠のく」との見方からだろう。
だが、いまは97年当時とは違う。第１に、日本企業は90年代はじめのバブル崩壊後に抱えた人員、設備、負債という「３つの過剰」を解消している。企業は負債、銀行は不良債権を圧縮した。いまの日本企業はカネ余りで、外的ショックへの耐久力が格段に増した。
この間、日本企業の負債は事実上、政府に肩代わりされた。民間の借り入れ増→資産価格の上昇→バブル崩壊→政府債務の急拡大。米経済学者、カーメン・ラインハート氏らが著書「国家は破綻する」で活写したこの循環を日本は欧米に先駆けて経験した。にもかかわらず本格的な財政再建の手を打てず、政府債務は名目国内総生産（ＧＤＰ）の２倍を超える未曽有の水準に膨らんだ。
第２に、97年よりグローバルな金融市場が拡大している。95年時点で75兆ドルだった世界の金融資産は、2012年に220兆ドルとほぼ３倍に膨れあがった。その規模は世界のＧＤＰの３倍超。背後には巨額の資金を市場に供給している日米欧の中央銀行の存在がある。
■市場信認つなぐ
政府債務を膨らませた先進国は財政出動の余力が小さくなり、景気下支えで中銀頼みを強める。その中銀マネーが金融資産を膨らませ、実体経済を不安定にさせかねない危うさがいまは潜む。金融市場の信認をつなぎとめるためにも、着実な財政再建が必要だ。
「日本は経常黒字国」「個人金融資産は1500兆円」と国際通貨基金（ＩＭＦ）に支援を仰いだギリシャとの違いを指摘するのは簡単だ。だが日本は高齢化で貯蓄率が低下する可能性がある。15年には経常赤字に転じるとの民間予測もある。
巨額の日本国債が円滑に消化され、長期金利が低く抑えられてきたのは、「消費税率が５％と先進国で最も低く、いずれきちんと増税される」という投資家の暗黙の了解があればこそ。もしも、消費増税のやり方で前提が崩れると、逃げ足の速いグローバル・マネーは瞬時に「日本売り」に走りかねない。
消費税率を来年４月に５％から８％に上げれば、景気に大きな下押し圧力がかかるのは事実だろう。必要に応じて最低限の景気対策を打つなど、政策運営には柔軟さも求められそうだ。
グローバル化や日本の高齢化は止まらない。潜在成長率を高める規制改革と併せ、日本経済の中長期的な成長基盤をつくる条件の一つが財政再建だ。景気に目配りしつつ歳出削減と一体になった消費増税がいまこそ不可欠な理由がここにある。（経済部次長 瀬能繁）
http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2INK01_Y3A800C1000000/?dg=1
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