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シカゴプラン(貨幣改革)とその電力・製造業への活用 -アベノミクスを超えて / 山口 薫氏 (1)
http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/484.html
投稿者 Air−Real 日時 2017 年 1 月 29 日 22:47:04: dsfJ1hAY0z6VI gmCCiYKSgXyCcYKFgoGCjA
 

(日本語)
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/PublicMoney-j.html
(英語サイト)
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/PublicMoney.html
山口 薫氏サイト
「公共貨幣シス テム(シカゴプラン)」の中の、
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf
内の文章のみを転載 
冒頭に、
>> この小論は、システム思考(因果ループ)図(※)を多用しますので、まず最初にその見方を簡単に 説明します。
とありますので、
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf
関心が在る方は、上記URLからpdfファイルをそれぞれのパソコンにDLして、そちらを見て頂ければよいだけです。
この小論の本旨部分は、
1.アベノミクス効果その1:円高デフレ不況スパイラルの逆転
2.アベノミクス効果その2:インフレターゲット・実質金利効果
3.アベノミクスの不安材料その1: 欧米の経済危機
4.アベノミクスの不安材料その2: 輸入原材料、エネルギーの高騰
5.アベノミクスの不安材料その3:資産バブル、債務増大、デフォルト危機
6.債務貨幣システムの限界
7.貨幣改革:シカゴプラン&米国貨幣法
8.シカゴプラン(貨幣改革)の日本への導入
9.不安材料その1の除去: 欧米の経済危機からの自由
10.不安材料その2の除去: 輸入原材料、エネルギーの高騰からの自由
11.不安材料その3の除去:バブル、債務増大、デフォルト危機からの自由
結語

の以上11項目からなります。
1から6迄を本投稿として、11までを次に、分けて投稿します。

一応、拡散の意味でこちらにも文字のみとなりますが、転載しておきたいと思います。

↓ここから。
***********

シカゴプラン(貨幣改革)とその電力・製造業への活用 -アベノミクスを超えて

 同志社大学大学院ビジネス研究科教授(〜2012)  山口 薫 Ph.D. (UC Berkeley)


この小論は、システム思考(因果ループ)図を多用しますので、まず最初にその見方を簡単に 説明します。


「原因 -(青色)-> 結果」と矢印が青色になっているのは、原因と結果が同じ方向に 変化するという意味です(白黒印字の場合には矢頭にプラス(+)の記号)。例えば「消費 -(青色) -> 国内需要」は、消費が増大すれば国内需要も増大し、消費が減少すれば国内需要も減少するという意味です。他方、「原因 -(赤色)-> 結果」と矢印が赤色になっているのは、原因と結果が逆 方向に変化するという意味です(白黒印字の場合にはマイナス(-)の記号)。 例えば「実質金利 -(赤色)-> 投資」は、実質金利が増大すれば投資は減少し、実質金利が減少すれば投資は増大す るという意味です。
こうした原因->結果の因果関係を繋げてゆくと、ループが浮かび上がってきます。このループ は2つのタイプに分かれます。原因が増大(減少)すれば、回り回って時間の経過とともにその もとの原因が益々増大(減少)するというフィードバック効果を持つものと、原因が増大(減 少)すれば、回り回って時間の経過とともにそのもとの原因が減少(増大)し、元の状態に戻そ うとするフィードバック効果を持つものの2つです。前者を増強ループ、後者をバランスループ と呼びます。
要素が相互依存するシステム(マクロ経済システムがその典型例)は、すべてこの2つのタイ プのフィードバックループからなっています。増強ループか、バランスループかどちらが支配的 になるかによって、そのシステムの振る舞いが決まってきます。こうした見方がシステム思考に よるシステム構造分析となります。マクロ経済の複雑な振る舞いを分析するには、従来のような 単純な原因 -> 結果にとどまった線形思考による分析では不十分で、それをループにまで広げた システム思考による分析が不可欠となります。

1.アベノミクス効果その1:円高デフレ不況スパイラルの逆転

アベノミクスの登場で、これまでの円高デフレ不況のスパイラルが大きく逆転を始めました。そ こでまず、これまで日本経済を苦しめてきた円高デフレ不況のスパイラルの構造を以下のシステ ム思考図を参照しながらで分析します。

<円高デフレ不況スパイラル>

円高(ドル安)-> 海外売り上げ減少 -> 電力・製造業収益悪化 -> 投資・雇用の減少 -> 国内需要の減少 -> 国内売り上げ減少 -> 電力・製造業収益悪化


アベノミクスとは何か、その学術的定義は定かでありません。そこで本稿ではアベノミクスを 日銀の金融緩和による国内経済活性化政策と位置づけて議論を展開します。現在この金融緩和政 策により円安(ドル高)効果がもたらされ、上述の円高デフレ不況のスパイラルが、以下のよう に逆転し始めています。

<円高デフレ不況スパイラルの逆転>

日銀金融緩和 -> 円安(ドル高)-> 海外売り上げ増加 -> 電力・製造業収益好転 -> 投 資・雇用の増大 -> 国内需要の増大 -> 国内売り上げ増大 -> 電力・製造業収益増加こうした円高デフレ不況スパイラルの逆転により、現在輸出産業を中心に景気がすこしづつ回復 傾向にあります。


(円高デフレ不況スパイラルの構造 システ ム思考図を参照)
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf

2.アベノミクス効果その2:インフレターゲット・実質金利効果

アベノミクスの金融緩和政策は、輸出産業のみならず、実質金利効果を通じて国内投資を刺激 し、国内産業にも景気回復効果をもたらすと期待されます。実質金利とインフレ期待の関係は次 のようになります。

実質金利 = 長期金利(名目) - インフレ期待

この効果を右のシステム思考図(※上記pdfファイル内容)を参照 しながら考察すれば、以下のようにな ります。

日銀の金融緩和 -> 2%インフレターゲット -> インフレ期待 -> 実質金利の低下 -> 投資増加 -> 国内需要増大 -> 売り上げ増大 -> 電力・製造業収益増加

3.アベノミクスの不安材料その1: 欧米の経済危機

円安(ドル高)効果に依拠するアベノミクスには常 に不安材料が存在します。その第1は、日本政府の コントロールの及ばない海外、特に欧米の経済不 況・金融危機のもたらす影響です。左のシステム思考図(※同pdfファイル参照)から明らかなように、欧米の経済・金融・債務 危機は、欧米のQE(量的緩和)、株・債券の需 要、円為替需要の3つのルートを通じて円高(ドル 安)をもたらし、アベノミクス効果を打ち消して、 円高不況スパイラルを再度惹起する可能性があります。
また海外から通貨戦争を仕掛けられれば、同様の逆転不況が引き起こされます。

http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf

4.アベノミクスの不安材料その2: 輸入原材料、エネルギーの高騰

第2の不安材料は、円安による輸入原材料、エネルギーの高騰による製造業コスト上昇が国内産 業の収益を悪化させることです。このルートは次の2つが考えられます。

(1) 円安(ドル高)-> 輸入原材料の高騰 -> 製造業コスト上昇 -> 電力・製造業収益悪化( -> 倒産 )
(2) 円安(ドル高)-> エネルギー(原油・ガス)の高騰 -> 電気料金高騰 -> 製造業コスト上昇 -> 電力・製造業収益悪化( -> 倒産 )

この2番目のルート、すなわち電気料金の高騰が、目下半導体等の国内製造業(及び消費者の 家計)を直撃しています。そこでこの電気料金高騰の要因を次に考察してみましょう。
原油・ガスの輸入価格の高騰が、なぜ電気料金の値上げに直結するのでしょうか。その主要因 は、独占的電力会社に付与されている総括原価方式によるコストの転嫁権限です。この方式によ り電力会社は、輸入コストの増大を企業努力で吸収する必要はなく、常に利用者(消費者・企 業)に転嫁することができるのです。よって電力会社が自らの経営努力によりこのルートを断ち 切ることが出来れば、円安(ドル高)効果を維持でき、国内の製造業へのコスト圧力を回避でき るはずです。
もう1点、電気料金の高騰要因として、福島原発処理費用の転嫁、電源開発(株)への原発料金 架空支払い等の問題があります。これは直接アベノミクスに関係しませんが、除染コスト、原発 廃炉コスト等を政府が肩代わりするようになれば、政府支出、債務増加問題として、政策に跳ね 返ってきます。

以上(1)、(2)のルートにより、アベノミクスの円安(ドル高)効果が、製造原価の上昇 を通じて円安による海外売上増による増収を直接享受しない国内製造業を苦しめ始めています。

(※pdfファイル内システム思考(因果ループ)図参照)
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf

5.アベノミクスの不安材料その3:資産バブル、債務増大、デフォルト危機

日銀の金融緩和政策とは、具体的に日銀による国債購入、株・債権の購入、不動産投資信託の購 入等を意味し、それらによってマネタリーベース(主に銀行の準備預金)を増大させ、量的緩和 (QE)を行うというものです。目下こうした日銀の金融緩和により、銀行の準備預金が増大し ていますが、銀行はこうした余剰預金を中小企業・製造業等資金を必要としているところに貸し出さないで、短期の収益増大を求めて、金融投資市場、不動産市場にお金を流し始めています。 米国でも同様の傾向があり、それが株式市場、不動産市場の好況をもたらしているのです。すなわち、いつか来た資産バブルへの道を再び歩み始めつつあるのです。

(1)金融緩和 -> 株・債券価格上昇、土地価格上昇 -> 資産バブル・インフレ

この資産バブル・インフレはやがて長期金利を押し上げ始め、株・債権価格の暴落を惹起し、金融恐慌へと破局のシナリオにつながります。インフレがなぜ長期金利の上昇を引き起こすのかということですが、もし金利が上昇せず、インフレのみが上昇してゆけば、いずれ実質金利がゼロ に近づいてきます。あるいはオーバーシュートして一時的にマイナスとなるかもわかりません。 そうなると金融資産を手放して現金を需要する傾向が加速し、金利が上昇を始めるのです。あるいは、金利上昇の予測が市場で先行を始めれば、資産価格の暴落を見越して、投げ売りが始まる のです。このようにしてバブルが破裂し、その結果金融資産の価値が下落し、債務超過が発生 し、銀行が倒産しはじめ、やがて信用収縮(クレジットクランチ)といったいつか来た不況の奈落への転落が始まるのです。
(※pdfファイル内システム思考(因果ループ)図参照)
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf

-> 長期金利上昇 -> 株・債券価格、土地価格暴落

金融緩和はさらに政府の国債発行を増大させますので、政府債務のさらなる増大をもたらし、や がて債務の償還ができなくなります。すなわち、政府のデフォルトが現実味を帯びてきます。

(2)金融緩和 -> 国債発行増加 -> 政府債務増加 -> デフォルト

さらに上記の資産バブルで述べたように金利が上昇し始めれば、政府の金利支払いが急激に増 大し、政府はその負担に耐えきれなくなり、やがてデフォルトに追い込まれる可能性を高めま す。

-> 長期金利上昇 -> デフォルト

勿論、金融緩和の実物経済へのプラスの効果としては間接的ですが以下のルートが考えられま す。

日銀の金融緩和 -> 国債購入、株・債券購入 -> 債券価格上昇 -> 長期名目金利低下 -> 実質金利低下 -> 投資増大

この効果が期待されるためには、資産価格の上昇がインフレを惹起することなく、長期金利の下 落をもたらし、実質金利を低下させる必要がありますが、実質金利低下が実物経済を刺激する前 に、上述したように資産価格を暴落させれば、名目金利を上昇させ、この実物経済効果を相殺する可能性が高まります。以下に詳細する現行の債務貨幣システムは、金融市場に於ける短期的な 振る舞いが先行しこの相殺効果が優先する傾向にあります。

6.債務貨幣システムの限界

現行の債務貨幣システムでは、マネーサプライは2段階によって増大します。第1段階は日銀に よるベースマネーの増大です。アベノミクスの金融緩和はこの段階でのマネーの増加です。第2 段階はこのマネタリーベースをもとに銀行が無からお金を信用創造で創造することによるマネー の増加ですが、この段階でのマネーの増加は政府・日銀がコントロールできず、銀行による民間 のローン、貸出活動に依存することになります。すなわち、現行のシステムでは、日銀から直接 実体経済に資金がまわることはなく、銀行によるローン、貸出という形でマネーが無から信用創 造されてはじめて実体経済へと流れてゆくのです。それ以外の実体経済への影響は、上述の実質 金利効果を通じた間接効果のみです。
こうした資金の流れの中で、どうしても金融市場でのマネーゲームが先行します。その方が短 期的に収益が得られるからです。実体経済で需要が低迷すると、企業の収益は期待できませんか ら、そうした企業への貸出がリスキーとなり敬遠されます。債務貨幣システムの限界がここにあ ります。
よって日銀の金融緩和によって潤うのは銀行・金融業界であり、2008年のリーマンショッ ク以来、米国の連銀が導入した3回にわたるQE(量的緩和)で潤ったのは Too Big To Fail と いわれる一部ウオール街金融業界です。すなわち、実体経済は Trickle -Down と呼ばれる落ちこぼれ効果もなく、金融緩和は金融業界を利するシステムとなっています。
日銀は4月4日の金融政策決定会議で新たな量的緩和を決定しました。すなわち、マネタリー ベース(発行銀行券+当座預金)を2012年末の138兆円から14年末には270兆円まで 倍増するというのです。これだけ取り上げると非常に思い切った金融緩和だとの印象を受けます が、日本のマネタリーベースはマネーサプライの約16%にすぎず、残りのマネーサプライは信 用創造によるものです(欧米では数%といわれています)。したがって、もし信用創造部分が増 加しなければ、マネタリーベースの倍増は、マネーサプライを単に16%増加させる効果しかあ りません。
加えて、2008年の金融危機以来、連銀(米国中欧銀行)はマネタリーベースを2〜3倍に しており、それが円高ドル安の原因になったと指摘されていますが、日銀の金融緩和はやっとそ の後追いに転じたにすぎません。イギリスやEUでも同じような量的緩和が行われましたが、欧米の経済は復活したでしょうか。欧米では信用創造部分があまり増加しなかったので、マネーサプライの増大効果はそれほどでもなかったのではないでしょうか。
よってマネタリーベースの増大は、日米欧で新たなバブルをつくり出すことになりかねませんが、それしか現行の債務貨幣システムでの金融危機・政府債務危機を解決する方法がないということのあがきではないでしょうか。こうした現実を冷静に分析すれば、金融緩和による日本経済 を楽観視することは許されないはずです。歴史は切り返します。バブルは必ずはじけて、その後 に金融収縮(クレジット・クランチ)が発生します。同時に今回は、政府デフォルトの可能性が 加わってきます。現行の債務貨幣システムは、システミック失敗という袋小路に陥っているので す。 以上、これまでのシステム思考図による分析を統合すれば、次ページのようになります。

=================
(2)へつづく
http://www.muratopia.org/Yamaguchi/doc%28J%29/ChicagoPlan.pdf
シカゴプラン(貨幣改革)とその電力・製造業への活用 -アベノミクスを超えて
より

7.貨幣改革:シカゴプラン&米国貨幣法
8.シカゴプラン(貨幣改革)の日本への導入
9.不安材料その1の除去: 欧米の経済危機からの自由
10.不安材料その2の除去: 輸入原材料、エネルギーの高騰からの自由
11.不安材料その3の除去:バブル、債務増大、デフォルト危機からの自由
結語  

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