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今後の相場は「米長期金利の波乱」に要注意 連銀の利上げどころではない影響力がある(東洋経済)
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/741.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 24 日 19:31:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           2015年12月、9年半ぶりに政策金利を引き上げた米FRB(写真:新華社/アフロ)


今後の相場は「米長期金利の波乱」に要注意 連銀の利上げどころではない影響力がある
http://toyokeizai.net/articles/-/101870
2016年01月24日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済


前回の記事(1月10日http://toyokeizai.net/articles/-/100001)で、「過去の相場をみれば、売られ過ぎがさらに売られ過ぎになったものが、もっと売られ過ぎになってしまうことは、しばしばある」と、さらなる株価下落に対する懸念を示した。残念ながら先週途中までの市場動向は、懸念した通りとなってしまった。

しかし「売られ過ぎ」という言葉で示したように、実体経済・企業収益から見た妥当な株価水準は、現状のはるか上だとも考えている。前回は、米金融政策を巡る見解や中国など新興諸国経済についての見方、「リスク回避のための円高」といった現象を取り上げ、一つ一つ事実やデータに基づき、市場で語られる不安がどのように誤っているのかを解説した。

■悪役を押し付けられた米国金融政策

特に、米国が緩和の出口を出始めたことが、世界の株式市場などからの資金引き上げにつながっている、という見解がまったくの誤りであることを、資金量(マネタリーベースとM2)の具体的な伸びから説明した。

金利面からの解説を加えると、FFレートの誘導目標がゼロから0.25%にわずか上昇しただけで、天地がひっくり返ったかのように騒ぐのは、行き過ぎだろう。ある投資家が、米国の短期金利がゼロなら大いにリスク資産にお金をつぎ込むが、0.25%になっただけで一気に資金を引き上げる、などと考えるはずもない。

では、世界(特に新興諸国)の株価がなぜ大きく下げたか、ということだが、3つの背景が考えられる。@実際に米短期金利の小幅上昇について、もしかすると大変なことが起こっているのではと間違った投資家が、株式を売りに回った、Aそのように間違う投資家の不安につけこもうと、売りを進めた投機筋が多かった、B米国の金融政策とは関係なく、景気が減速する新興諸国が増えた、というものだ。もしくは、Bが主要因だが、12月の連銀の利上げが後付けで悪者にされた、という面も大きいだろう。

実は、今回の相場波乱において、米金融政策に悪役を押し付けた現象は「騒ぎ」の域を出ていない。米長期金利について、たとえば10年国債利回りが2.0%近辺に貼りつき、まったく上がっていないからだ。

内外の株価は当面、現在の悲観の行き過ぎから、経済や企業収益が指し示す水準に向けて回復しようが、下に行き過ぎた市場が上に行き過ぎることも、しばしば生じる。年央に買われ過ぎの状況が強まった場合、「1月の騒ぎって、何だったっけ」といった投資家心理になっている可能性も否定できない。その時に、「米国株価が大きく上昇したのは米景気が強いためだ、であれば長期金利が上がってもおかしくない」という局面に進むことがありうる。

■米金利を巡る「騒ぎ」が「懸念」になる展開

米連銀がコントロールする短期金利は、現状で急速に引き上げられることはありえない。今年の利上げの合計幅は1%をはるかに下回るだろう。しかし米長期金利は、市場が決める。債券市場においても、行き過ぎはありうる。米景気に対する楽観論が広がり過ぎると、10年国債利回りが、短期間に一気に1%幅以上上がる展開も否定はできない。

資産運用や実物経済に与える影響は、短期金利より長期金利の方が圧倒的に大きい。長期株式投資と比較する金利は長期金利が基準となるし、企業や家計の借り入れ金利も短期より長期連動だ。長期金利が跳ね上がれば、その影響は連銀の利上げどころではない。つまり、足元の米金利を巡る「騒ぎ」が、今年後半には本当の「懸念」になりうる。

以前、当コラムでは、日本株の2016年の見通しは、年央、年末安だと述べた。そこでは参議院選挙や2017年の消費増税(再延期の可能性は残るが)を、そうした相場見通しの背景要因として挙げたが、米長期金利波乱の可能性も、それに加えたい。

ただ、国内株価が、年央に向けて上昇した後、年末にかけて再度調整色を強める、というのは、少し先の話だ。当コラムの読者におかれては、「そう言えば1月に馬渕さんがそんなことを言っていたかな」と心に置いておくにとどめていただき、今後の当コラムでは、当面一週間ごとの動向を中心に、一歩ずつ進みながら述べていきたい。

投資判断は、最終的には自分だけで判断すべき孤独な作業で、ほかに誰か絶対に見通しが当たる人がいるわけではない。希望と不安の狭間で、細く長い道を一人で歩いていくようなものだ。その際に、隣で重い荷物を背負って、並んでとぼとぼ歩いている馬渕がいるのだ、とお感じになっていただければ幸いだ。

■身動きがとれない日銀の苦しい立場

ということで、今週の展望だが、売られ過ぎからの株価リバウンドが期待できるなか、市場の関心は1月28日(木)〜1月29日(金)の日銀の金融政策決定会合に集まりそうだ。ただ、日銀は極めて苦しい状況に追い込まれている。物価見通しの再引き下げが予想されるが、これはエネルギー価格の下落によるもので、日本にとって悪いことではない。それに経済環境には急変はない。

急変したのは、市場動向だ。株価下落に対応するため、追加緩和が行われた、と解釈されれば、株価が下がれば必ず日銀が助けてくれる、との甘えが広がり、今後の金融政策が縛られる恐れが生じる。株安や円高そのものではなく、それが実態経済に悪影響を与えるとすれば、日銀が対応してもおかしくないが、それを判断するのは時期尚早だ。

かといって、日銀が何もしない場合、勝手に期待した市場が勝手に失望するかもしれない。1月21日(木)にECBドラギ総裁が、3月の追加緩和を示唆するという「口先マジック」で、世界市場の立て直しに貢献した直後だ。黒田総裁をドラギ総裁と比べる向きも多いだろう。

また、現在の日本株の下落材料は、ことごとく海外から降ってきている。国内発の株価下落要因が少ないだけに、日銀が追加緩和しても株価押し上げ効果は限られているかもしれない。このため、日銀は、動いても動かなくても、厳しい情勢に追い込まれていると言える。

今週の日経平均株価は、基調的にリバウンド継続を見込むが、日銀の金融政策決定会合を巡っては、依然として相当の株価の上下動が生じうる。このため今週は、1万6700〜1万8000円と、かなり広いレンジを予想する。
 

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コメント
 
1. 2016年1月24日 20:22:51 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[193]
FRB金融政策、無視できない海外動向
HARRER/BLOOMBERG
By JUSTIN LAHART
2016 年 1 月 23 日 09:20 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、米国経済が依然として自己完結する世界であってほしいと願っているはずだ。しかし残念なことに、世界の他地域の動向が作用しそれを不可能にしている。

 FRBが昨年12月に利上げした際、世界に対して送ったシグナルは今後の政策会合では2回目ごとに追加利上げをする計画で、次回利上げは3月会合で実施するというものだった。だが最近の世界市場の混乱で、このスケジュールは不確かになっている。このため、FRBは3月の利上げ可能性を閉ざしたくないであろうものの、来週の1月会合後に発表される声明はハト派的な傾向を強めそうだ。

 FRBだけが今後の政策を見直している中央銀行ではない。21日には欧州中央銀行(ECB)が、3月に追加緩和策を実施する可能性を示唆した。そして日本銀行も来週の2日間にわたる金融政策決定会合で追加緩和策を実施するか、いずれ実施するとのシグナルを送りそうだ。

 各中銀の考えには最近の市場混乱が幾分かの影響を与えてはいるものの、各政策担当者がおそらく最も懸念しているのは、そうした市場が今後のインフレ見通しにどう影響しているかであろう。原油価格の大幅下落や多くの新興国経済の弱体化を進行させている債務問題、そして米国と日本の通貨の新興国通貨に対する上昇はすべて、すでに極めて低いインフレ率をさらに低下させる。

 各国中銀の担当者と同様に、FRBの政策担当者も低インフレ期待が消費者にさらに根付いていけば、インフレ目標の達成をさらに難しくすることを懸念している。恒常的な低インフレは経済がリセッション(景気後退)入りした場合にデフレに転化するリスクを高める。利上げスケジュールを先延ばしすることにより、FRBはより望ましいインフレ見通しを醸成しようとしている。

 しかし先送りの利点は米経済へ直接どう影響するかより、海外での影響の方が大きいだろう。

 世界の投資家の米国金利予想を引き下げることにより、FRBは主にドルの上昇に歯止めをかけられる。それは輸入価格の下振れ圧力を軽減するだけにとどまらず、大きなドル建て債務を抱える新興国の企業の債務返済をより楽にする。そしてこれらの国々の当局が自国通貨の下落を防ごうとする際に起こる無理を緩和することになる。

 新興国通貨の下落圧力の緩和はまた、中国当局者のさらなる人民元安誘導の圧力を軽減することになるかもしれない。それは同国からの資金流出を防ぎ、商品(コモディティー)トレーダーたちの同国の素材購入能力の懸念を少し和らげる可能性がある。

 新興国の不均衡を考えると、FRB政策のハト派移行は鎮静剤よりさらに一時しのぎ的なバンドエイドになるリスクが大きい。しかし、それは世界がますますグローバル化する中で中央銀行が自国だけ考えて我が道を行くことが許されなくなっていることの証であろう。

 


原油安がなぜ米GEに朗報となり得るのか
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GEで4番目に大きい石油・ガス事業の売上高は10-12月期に14%減少したが―― PHOTO: URS FLUEELER/EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
By
CHARLES GRANT
2016 年 1 月 23 日 10:29 JST 更新
 そろそろゼネラル・エレクトリック(GE)を楽観的に評価してもいいのではないだろうか。
 22日の米株式市場が急反発するなか、GE株は同社の2015年10-12月期(第4四半期)の決算発表後、下落した。工業部門の調整後利益は1株当たり52セントで前年同期を27%上回り、全体の売上高は1%増の338億ドルだった。だが、GEで4番目に大きい石油・ガス事業の結果に投資家は慌てた。売上高が14%、新規受注が35%それぞれ減少したからだ。
 原油部門の低迷で全体の売上高の伸びは当面抑えられるかもしれないが、それが永遠に続くわけではない。いま痛みを感じているということは、将来的に高い投資収益を生み出す可能性が高まるということだ。しかもGEはさまざまな収益源を持っている。原油だけが頼りの企業より現在の環境をうまく生かすことができる。
GEの石油・ガス事業の売上高(単位・10億ドル)
 もちろん、GEには買収に乗り出すだけの資金力がある。金融事業の子会社数社を売却したこともあって、第4四半期末の現金および現金等価物は1000億ドルを超えた。ただ、GEは買収した仏アルストムのエネルギー事業の統合に取り組む必要がある。新たな買収の機会があったとしても、自社株買いのリターンを踏まえて検討すべきだろう。GEは2016年中に180億ドルの自社株買いを予定している。
 それでも買い手市場で質の高い資産を購入するには十分な現金がある。価値ある買収をしても効果が現れるまではしばらくかかるだろう。しかし、原油関連がなんであれ敬遠されているときは、長期的には辛抱強い投資家にとって有利なことが多い。
 だからこそ風向きが変わったときに向けて今、備えておく必要がある。
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• 中国ハイアール、GE家電買収で世界的メーカーに
• GE、10-12月期は増収増益−工業部門は減益
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MF692_GEHerd_M_20160122132906.jpg 

Top News | 2016年 01月 24日 11:15 JST 関連トピックス: トップニュース
アングル:中国「爆買い」の火は消えるか 

 1月20日、世界経済の先行きにとって、さらに悪いニュースかもしれない。「爆買い」で昨年の経済成長を支える主役だった中国の消費者が、今年は支出を切り詰める可能性が高まっている。写真は中国観光客が抱えたショッピングバッグ。香港で2011年撮影(2016年 ロイター/Tyrone Siu)

[上海 20日 ロイター] - 世界経済の先行きにとって、さらに悪いニュースかもしれない。「爆買い」で昨年の経済成長を支える主役だった中国の消費者が、今年は支出を切り詰める可能性が高まっている。

外食の頻度を減らし、スマートフォンの機種交換を先送りし、衝動買いを減らしていくという。

世界第2位の経済大国である中国の政策当局にとっては、ただでさえ株式市場の動揺と賃金成長の伸び悩みに苦慮しているというのに、これもまた気を揉む材料だ。

中国経済は昨年、この四半世紀で最も低い経済成長率を記録したが、少なくとも政府が掲げた目標に近い成長率を維持できたのは消費需要のおかげだったと、アナリストは見ている。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの北京在勤アナリスト、トム・ラファティ氏は、「2015年に経済を救ったのは中国の消費者だ」と語る。「彼らの消費支出が、これまで中国経済のけん引役だった産業や投資の不振を相殺することに貢献した」と言う。

だが、今年も消費者が同じように動いてくれるという保証はない。

オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が20日発表した調査によれば、中国の消費者信頼感は今月記録的な低さとなった。米調査会社チャイナ・ベージュ・ブックの調査では、第4・四半期の雇用成長・賃金成長は過去4年間で最低となっている。

これらの調査を裏付けるように、ロイターが上海で取材した消費者も、今後支出には気を配り、抑制していく可能性が高いと語っている。

<爆買い頻度も減少>

男性のZhouさんは、昨年ガールフレンドとともに外食で約7万元(約125万円)、衣類とアクセサリーに4万元を使ったという。だが、今年は経済状況に鑑みて約3分の1近く支出を切り詰める予定だ。「自炊を増やす。携帯電話などのエレクトロニクス製品の買い替え頻度も減らすかもしれない」と言う。

ある店舗でマグカップやベッド用のシーツを物色していた30歳の女性Zhengさんは、「物価上昇に収入が追いつかないようだ」と不安を口にする。「こういうものは必要ない。もう少し自制して、買い物にも頻繁に行かないようしなければ」と語った。

さらに厳しい打撃を受けるのは、中国で増大しつつある高齢者層かもしれない。医療費が可処分所得に食い込みつつあるからだ。

すでに退職した55歳の女性は、ロイターの取材に対し、自分のお金の大半は都市部の大気汚染対策用のエアフィルターに使わざるを得なかったと語る。「病気になって病院に行く必要が生じたときのために、貯金しておきたいのだけど」と言う。

中国国内に多数存在する小規模な小売店経営者は、彼ら自身も消費者だが、完全に国内需要に依存して生計を立てているだけに、厳しい状況に置かれている。

上海で携帯電話ショップを経営するDongさんは、昨年下半期に売上が急激に落ちたという。「奇妙な話で、理由は分からない。株式市場が暴落したからかもしれない。2016年はもっと悪くなると思う」と話す。

<逆風>

エコノミストは、今年、賃金が伸びず失業率が上昇すれば、消費者の支出は低下すると警告するが、そうなる可能性は高そうだ。

また、最近の人民元安によって中国で販売されている多くの輸入品価格にその影響が及んでおり、中国人の購買力が内外で低下することも考えられる。

「賃金上昇が緩やかになることで、今年は消費支出の伸びが抑えられると予想している。さらに、産業の不振が消費に及ぼす悪影響が強まるリスクも残っている」と、オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者ルイス・クイジス氏(香港在勤)は分析する。

中国の国家統計局によれば、GDP成長に対する消費の貢献比率は、昨年15ポイント上昇して3分の2を超え、巨大な製造部門の減速を相殺することに貢献した。もっとも、そのうち民間消費ではなく政府支出によるものがどの程度あるのか、公式の内訳は発表されていない。

中国の内閣に相当する国務院は昨年11月、民間消費を加速させる試みとして、小売、医療、旅行やスポーツなど「ライフスタイル関連ビジネス」に対する融資提供において、金融機関がこれまで以上に多様な担保を受け入れることを奨励していくと発表した。

<強靱さの兆候も>

とはいえ、消費財の小売販売額は前年比で11%以上増大し4000億ドルを超え、オンラインショッピングサイトのタオバオでは、11月の販促イベント期間中、たった1時間で約40億ドルの売上高を稼いでいる。

こうした消費の強靱さを示す兆候は続いている。

ANZの消費者信頼感調査からは、「今こそ高額商品を購入すべき時期だ」と考える回答者が増えていることが分かる。昨年の新車販売台数は4.7%増と伸び悩んだが、中国自動車製造者協会によれば、今年は6%増が見込まれている。

それでも、上海の婦人服店の経営者は「この1年間、商売は不振だったし、上向きになるとは考えられない」と懸念する。「富裕層が高級品を買うとしても、貧困層は節約に走るだろう」と語った。

(Pete Sweeney記者)

(翻訳:エァクレーレン)
http://jp.reuters.com/article/china-economy-consumers-idJPKCN0V200H?sp=true

 

2016年01月23日(土) 山崎 元
”ツウな投資家”が本音で選ぶ「最もすぐれた投信ファンド」とは?ベスト10を一挙紹介

photo by iStock
投資信託の残念な構造
アベノミクスに伴う株価の上昇などここ数年が運用に向いた環境であったことに加えて、2014年から始まったNISAの影響もあって、投資信託はかつてよりも知名度を増しているし、資産残高も増える傾向にある。

しかし、よく売れている投資信託には、投資の専門家が見て「良い」と言えるものはごく少なく、「なぜ、このようなファンドが売れるのか、分からない!」(投資信託のようにひとまとまりのお金を運用する単位を「ファンド」と称する)と言いたくなるような投信がよく売れているのが、現状だ。

但し、いわゆる売れ筋のファンドが「なぜ、売れるのか」の理由は分かっている。それは、証券会社や銀行といった販売会社が熱心に売るからであり、投資信託という商品の実質的な選択が、最終消費者たる投資家ではなく、販売者によって行われているからだ。そして、販売者が熱心に売るファンドは、手数料率の高いファンドなので、必然的に投資家にとっていい商品ではない。

この残念な構造は、筆者の知る限り、投信業界の自由化が進んだ1990年代以前も以後も大きくは変わっていない。1990年代には、91年に外資系の投資信託運用会社の参入が認められるなど投信運用会社の新規参入条件が緩和され、1998年には銀行の窓口でも投信を売る「銀行窓販」が解禁された。

しかし、前者はむしろ投信の手数料を引き上げる方向に働いたし(運用会社は販売会社に自社の商品を売って貰うために、より手数料が高い商品を競うように投入した)、後者も販売会社の手数料稼ぎの傾向を抑止する要因にはならなかった。

それでは、投資家にとって本当に「良いファンド」はどうやったら分かるのか。

拡大する投資ブロガーの影響力
投資信託には専門の評価会社があり、こうした会社が毎年、優秀と認める投資信託を表彰している。この種の賞の選考は、主に運用成績で行われているように思われるが、運用の世界では、過去の運用成績と将来の運用成績が無関係であることがほぼ常識になっている。「過去に成績の良かったファンド」に投資することは、そうでないファンドに投資することよりも気分がいいかも知れないが、投資として有効だとは言えないのだ。

また、投信評価会社は、投信運用会社を主な顧客としているビジネス構造上、会社の収益につながりやすい商品を選ぶインセンティブを持っている。

筆者の個人的な意見として述べておくが、こうした会社の賞を受賞したファンドが、「投資家にとっていいファンド」だという印象はない。

それでは、何が参考になるかと。実は、近年、投資家及び、投資信託業界に注目されている表彰イベントがある。それは、自分が管理するブログに投資信託について書いている「投信ブロガー」が投票で年に一度いいと思うファンドを選ぶ、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」だ。

「rennyの備忘録」という投信ブログを管理するハンドルネームrennyさん(ご職業は会社員)が中心となって、主に投信ブロガーのボランティアをスタッフとして、年に一度、投信ブロガーの投票を募り、表彰式を行っている。

後述のように、いわゆる売れ筋ファンドとは大いに異なるファンドが上位に選ばれているが、ネットで情報を収集する「よく分かっている投資家」からの注目度が高く、投信運用会社も注目している賞なのだ。上位5ファンドの運用会社は表彰式に招待され、受賞のスピーチが出来ることになっているが、今年は5社全ての関係者が出席した。

近年、いくつかの投信運用会社は、投信ブロガーに声を掛けて、彼らの声を聞いて、商品開発や顧客向けのサービスなどを検討するようにもなっている。彼らは、少しずつではあるが影響力を増している。

通な投資家が本音で選んだのは?
昨年度の優秀ファンドを選ぶ「投信ブロガーが選ぶファンドオブザイヤー2015」は、昨年11月末に投票が締め切られて、今年の1月15日に日比谷のコンベンションホールで表彰式が行われた。チケットは有料だったが、座席が一杯になる盛況だった。(イベントのホームページ:http://www.fundoftheyear.jp/2015/post-3.html

<受賞ファンドの紹介>

投信ブロガーによる投票は、昨年の10月末時点で存在するファンドを対象として、一人が5点の持ち点を持って、これを振り分ける方法で行われる。一人が1商品に5点入れてもいいし、5ファンドに1点ずつ入れてもいいし、点数に重みを付けて投票してもいい。

投票後、投票者は、自分のブログに投票した旨のエントリーを書く。投票を集計する「運営委員会」が、その人が「投信ブロガー」であるか否かも含めて投票の「本人確認」を行う仕組みだ。

今年は、前回比44人増の159人の投信ブロガーが投票した。

早速、結果を見てみよう。

第1位に選ばれたのは、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」だ。ニッセイ アセットマネジメント社が運用する。

MSCIコクサイという外国株式の株価指数に連動する運用を目指すインデックスファンドで、もともと運用管理手数料が低水準のファンドだったが、昨年更に、同手数料を引き下げたことが大きな要因になった。

運用会社の受賞の挨拶によると、今回の手数料引き下げでは、販売会社、受託銀行(信託銀行)との調整が必要で、困難な交渉だったとのことだが、何としても、手数料水準最割安を守るのだという運用会社の決意が投信ブロガーに大いに評価された。

筆者としても、運用に関する解説書などで、「最も手数料が安い外国株式のインデックスファンド」ということで、読者に勧めることが多い商品なので(本を出す時期によって、選ぶファンドが変わる)、この受賞は喜ばしい。

今年の特徴は「手数料革命」への支持
昨年は、僅差で1位になったファンドであったが、今年は、2位にほぼトリプルスコアの差を付ける圧勝だった。

第2位は、「三井住友・DC全海外株式インデックスファンド」で、こちらは、三井住友アセットマネジメント社が運用する商品だ。もともとは、DC(確定拠出年金)専用で提供されていた、こちらも運用管理手数料が安い外国株式のインデックスファンドだが、昨年から、リテール向けに販売されるようになった。

確定拠出年金向けファンドのリテール向け販売という新たな流れを作ったファンドであり、投信業界の運用手数料引き下げ競争を促進する役割を果たした。こちらは、先進国だけでなく新興国も含む株価指数に連動するファンドであり、この条件のファンドを低コストで提供している点は大いに評価出来る。1位のファンドとの優劣は甲乙付けがたい。

第3位は、バンガード・インベストメンツ・ジャパンの通称「VT」(米国市場でのティッカーコードだ)こと「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF」だった。米国市場に上場されている海外ETFで、このアワード上位の常連だ。2年前と3年前に連続して1位、昨年は首位と僅差の2位に選ばれている。

新興国、小型株、日本株なども含めた世界の株式(結局米国の大型株の比率が高いが)に分散投資するETFで「これ一本で全てOK」あるいは「これ一本を基本に、自分が追加したい資産があれば自分で加えたらいい」と思わせる魅力がある。また、手数料率を毎年引き下げている点も素晴らしい。毎年やるとかえって目立たなくなってしまう点が、得票面では惜しかったかも知れない。

バンガード社はインデックスファンドを中心に、各国で手数料が安い投資信託を提供している。同社が進出すると、その国の投信の手数料水準が下がるといわれており、これを「バンガード・エフェクト」と呼ぶ向きもある。

今回の表彰の最大の特色は投信の「手数料革命」に対する投資家の支持だと言っていいだろう。特に近年、外国株式に投資するファンドの手数料が下がったことは、投資家にとってありがたい。

ベスト10入りはどれも注目
第4位は、「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」でセゾン投信の商品だ。世界30ヵ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資するファンドで、株式と債券の投資比率は原則として半々だ。

Fund of the Yearの投票傾向の一つに、独立系かつ直接販売に重点を置く投信会社に対する根強い支持があり、このファンドを運用するセゾン投信、「ひふみ投信」のレオス・キャピタル・ワークス、「結い2101」の鎌倉投信などに毎年支持が集まる。こうした投信会社は、投資家に対する情報提供を熱心に行っており、セゾン投信の中野啓晴社長も投資家の人気が高い。

バランス型のファンドは、単独の資産に投資するファンドに較べて、運用の中身を運用会社に委ねるウェイトが高くなるので、筆者個人は投資の一般論としてお勧めしないのだが、投資家としては気が楽な面がある。

第5位は、日本株に投資するアクティブ・ファンドである「ひふみ投信」だ。同ファンドは、近年運用成績が良く、また、独立系の厳しい台所事情の中から運用管理手数料を引き下げる工夫を凝らしている点でも投資家の支持を集めている。

筆者は、「投資家にアドバイスする」という立場ではインデックスファンドを勧めることが「正しい」と確信するが、個人的には、アクティブ運用が大好きである。低コストで運用成績のいいアクティブファンドがどんどん登場してくれると、日本の投信業界はもっと面白いものになると思うので、このファンドも含めてアクティブファンドには大いに気を吐いて貰いたい。

以下、第6位は「eMAXISバランス(8資産均等型)」(三菱UFJ国際投信)、第7位は「結い 2101」(鎌倉投信)、第8位は「世界経済インデックスファンド」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、第9位に「ひふみプラス」(レオス・キャピタルワークス)、第10位に「iシェアーズ MSCI 日本株最小分散ETF」(ブラックロック・ジャパン)といったファンドがベスト10にランクインしている。

受賞理由は様々だが、これらのファンドについて調べて頂くと、「投資信託はこういう点を見たらいいのか」という考え方が分かるはずだ。敢えて「どのファンドを買え」とは言わないが、受賞ファンドの中身、ファンドに投票した人のコメントなどを読み込むと、どんな投資信託の入門書を1冊読むよりもためになると思う(イベントのホームページから各ファンドの内容まで辿ることができる)。

ちなみに、銀行員や証券マンが紹介してくれるようなファンドは一本もなかったことも付記しておく。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47516


 


英国大手銀行RBSが異例の警告「極めて深刻な事態、投資家は全てを売るべきだ」
2016年1月21日

欧米のアナリストたちの間では、「2016年は財政危機が押し寄せ、中国の景気後退がいっそう進み、原油はさらに下落、銅価格も歴史的安値、ジャンクボンドはすべて暴落し続ける」というのが最大公約数的な見方になっています。これには、まったく異論をさしはさむ余地がありません。(『カレイドスコープのメルマガ』)
英RBSやJPモルガン・チェースが警告する世界市場の衝撃的崩壊
「2016は大激変の年」と宣言〜英国大手銀行RBS
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(略称:RBS)は、英国の大手銀行で、スコットランド・ポンドの紙幣発行権を持つ3つの市中銀行のうちの1つ。
そのRBSが、「2016年は大変動の年になる」と、主流メディアを使って「カタストロフィー」を警告しています。
数日前から、ネット上には、「Cataclysmic Year(大激変の年)」という文字が躍っています。
つまり、想像もできなかったほどの大きな激変によって、世界が無秩序状態の渦の中に引き込まれる、という意味です。
この言葉を見出しに使っている記事は、たとえば、これ、そして、これ、そして、これ、これなど。CNN(広告音量注意)でさえもCataclysmic Yearと。
CIAエージェントのアレックス・ジョーンズのINFOWARSなどは、まるで水を得た魚のように、煽りきっています。
さすがにお上品なガーディアンは、「market crash」と市場崩壊だけに限定しています。
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)のエコノミストが言ったことが、いかに世界に衝撃をもたらしたのか分かるでしょう。
しかし、日本のメディアは、アベノミクスに死刑宣告する側に回りたくないのでしょう、すべて封殺しています。日本人は、まったく知らないのです。これは、日本のマスコミが、知っていながら日本人をますます生命の危機に追いやっている証拠です。
さて、次に進む前に、ひとつ警告しておきたいと思います。
世界支配層の国境なき資本によって運営されている西側メディアが、こうした広範囲のキャンペーンを展開する場合は、ロスチャイルド、モルガンを始めとする、いわゆるユダヤ系国際銀行家集団が計画したシナリオに、狼狽した世界中の人々を引き込んで、崩壊をさらに大規模にしようという意図があるときである、ということです。
まさに「踊る阿呆に見る阿呆」です。両方とも阿呆なのですが、そこから漁夫の利を得ようとする世界支配層は、相変わらずヘーゲルの弁証法を使って高みの見物とシャレこんでいるのです。
RBSのコメントが衝撃的なのは、「顧客は、高品質の優良債権以外は、すべてを売るべきだ」そして、「投資家は、この事態をもっとも恐れなければならない」と強く警告していることです。
こうした話が、年中、経済崩壊を煽っている恐怖ブログではなく、世界で20位以内にはいる英国の大手銀行が発したことの意味が大きいのです。
まさか、常に奥歯にものの挟まった言い方しかしない、英国の大手行が、そこまではっきり言うか、ということです。
少なくとも言えることは、これが国際金融マフィアが仕掛けた経済崩壊キャンペーンであったとしても、大規模なグローバル財政危機が始まったということ、そして、世界中が弱気市場に入ってしまったことは否定できないのです。
スタンダード・アンド・プアーズ500種銘柄にリストアップされている企業すべての市場価格は、2016年年初からおよそ1兆ドル減少しました。
そして、パニックは世界中に燎原の火のように広がっています。しかし、日本のメディアだけは異様な静けさです。
Next: 世界の主要メディアが市場崩壊を警告/遂にはJPモルガンまで

世界の主要メディアがこぞって市場崩壊を警告している
他のメディアは、どう扱っているのか。ここからは、エコノミック・コラプスから要点を抜粋します。
RBSは世界の市場が「彼らが2008年にリーマン危機の前にしたときと同じストレス警報を発している」と述べました。
ロイヤルバンク・オブ・スコットランドは、顧客に“大変動の年”と世界的なデフレ危機に備えるよう勧めています。
そして、(世界の)主要な株式市場が5分の1程度下落し、原油価格は1バレル当たり16米ドルまで下落するかもしないと警告しています。
銀行のクレジット・チームは、市場は、2008年のリーマン危機の前にあったような同じストレス警報を発していると言っています。
出典:Financial Post 1月12日
RBSによると、これから迎える事態を考えれば、高品質債券を除いて、“すべてを売り払う”ことが理に適っている投資行動だ、ということになるのです。
「高品質債券以外は、すべて売ってください」と、今週、アンドリュー・ロバーツ(Andrew Roberts)が警告を出しました。
彼は、2016年の銀行は「赤信号が点っている」と警告しています。
原油価格の下落、中国株のボラティリティ、世界貿易の縮小、増える一方の負債、財務体質の脆弱な企業への貸付とデフレ…これらは、年明け最初の週の取引ですべて表面化しました。
「投資家は、恐れなければならない」と彼は警告しています。
出典:CNN 1月12日
RBS以外にも、いくつかの大手行が同じ警告を出しています。
アメリカの最大手銀行、J.P.モルガン・チェイスは投資家に、「たとえ一時のリバウンドがあろうとも、株を売るよう訴えています」。
とうとうJ.P.モルガン・チェイスが、株式市場に背を向けました。
この7年で初めて、この投資銀行は投資家に、どんなリバウンドがあろうとも、株を売るよう訴えています。
「私たちは、普通株から得られるリターンが著しく悪化した、と見ています。
過去7年間とは対照的に、一時的な下落は買いの機会であると提唱してきましたが、ここにきて、情勢はどんなときでも売り一辺倒に変わったのです」と、J.P.モルガン・チェイスのミスラフ・マテイカ(Mislav Matejka)はレポートの中で述べています。
テクニカルな指標を用いて、米国の製造業における下方曲線と商品の弱含みが継続していることを総合的に勘案すると、貧血気味の企業収益の予想は赤旗を上げています。
出典:Market Watch 1月11日
J.P.モルガン・チェイスのような大手銀行が、2008年〜2009年の大規模な財政危機以来、このように警告することは今までありませんでした。
明らかに、とてつもない大きなことが進行しているのです。
それまで保有していた何兆ドルもの金融資産も、2015年の後半には吹き飛んでしまったのです。そして、2016年の第1週にも何兆ドルもが消し去られたのです。
スタンダード・アンド・プアーズ500種銘柄の総市場価格は、すでに、およそ1兆ドルを下回っています。
このパニックのすべてを動かしている最大の要因は、原油価格の衝撃的な崩壊です。
Next: 最後の審判〜1バレル10ドル台も視野に入って来た原油価格

1バレル10ドル台も視野に入って来た原油価格
米国の原油は、1月12日、1バレルあたり30ドルを切って29.93ドルまで下落しました。原油が、2003年12月以来、1バレル30ドル以下で取引されたのは初めてのことです。
いうまでもなく、この価格崩壊は、エネルギー関連企業を窒息死させています。以下は、USAトゥデーの記事の抜粋です。
この異常な事態の原因が石油会社にあると考えている人々は、そう多くはいないものの、石油価格の内破は、石油会社に哀れみの感情さえ抱くほどの減益を引き起こしています。
スタンダード・アンド・プアーズ・キャピタルIQから公表されているデータを使ってUSAトゥデーが分析したところ、スタンダード・アンド・プアーズ500種銘柄のエネルギー・セクター企業全体では、年内に288億ドルの損失を出すと予想されています。
この産業に追い風が吹いていた2008年は、954億ドルの純利益を上げていたので、そこから一気に1240億ドルも落ち込むことになります。
この分析は、スタンダード・アンド・プアーズ500種のうち、2008年に純利益を報告した36社のエネルギー企業に関するものです。
出典:USAトゥデー 1月12日(音量注意)
大規模な世界的なデフレ危機を回避しようとすれば、原油価格は1バレル当たり50ドルを上回っている必要があるのです。
残念なことに、それは、当分の間、望むべくもないようです。
実際、米ダラス連銀総裁のロバート・カプラン(Robert Kaplan)は、原油価格は、「おそらく長い間、非常に低い価格帯の居座ったままだろう」と述べています。
…ダラス連邦準備銀行総裁が原油価格について語るとき、人々は、少なくとも、それがたとえ芝居であっても、楽観主義を期待したいところでしょう。
人々は、テキサス州のその重要な産業について、望みをつなぐささやか朗報を期待しているのです。
しかし、ロバート・カプラン・ダラス連邦準備銀行総裁の月曜日のコメントには、2016年だけでなく、2017年でもなく、おそらく、2018年になってからも、ささやかな希望を見出すものはありませんでした。
カプランの広範囲にわたるスピーチは、原油に関する鈍い動き、原油価格の暗い将来、原油価格の下落によって引き起こされる世界と米国の経済崩壊が、テキサスの石油産業ゆえであることを意味します。
「より多くの破産、合併とリストラ…」。
2014年中頃から始まった石油価格の急落は、上げたり下げたりを繰り返しながら、すでに十分に悪い兆候を示していたのです。
彼は、去年12月のOPEC総会以来、このように述べました。
「石油と天然ガスセクターの全体的な雰囲気は悪化しています。
原油価格の展望は、“より安く、より長く”に予想を転換しました」。
出典:Wolf Street 1月12日
原油価格が下げ止まる兆候は、今のところ見えていません。
それどころか、さらに価格は崩れ、1バレル10ドル台の可能性もささやかれ始めました。市場関係者は、これを「最後の審判の日がやってくる」と言っています。
Next: 誰の目にも明らかな兆候、貨物輸送量が一気に激減している

陸送、鉄道とも貨物の輸送量が一気に激減している
さらに、誰の目にも明らかな兆候があります。
それは、鉄道輸送によって全米に出荷されている原材料などの輸送量が劇的に減少しているという事実です。
同じような現象が起こったただひとつの例は、前回の景気後退(2009年)の時でした。以下は、ブルームバーグからの抜粋です。
米国の鉄道貨物の量は、2015年に、この6年の間でもっとも落ち込みました。
そして、事態は新年を迎えても改善の兆しが見えません。
バンク・オブ・アメリカの最近の報告書には、「鉄道貨物のデータが、より幅広い経済の警告を示している」とあります。
トラックの陸送は、前年比ベースで、この11週間連続して、どの週も5%以上落ち込んでいます。
一回の陸送の貨物量が減ることは時折、起こるものの、いずれ回復するのが常ですが、実際にこれほどの落ち込みが起こるのは2009年以来のことです。
ケン・ホクスター(Ken Hoexter)が参照しているバンク・オブ・アメリカのアナリストは、過去30年間の推移を見て、この種の急激な低下が米国経済にとって何を意味するのか分析しています。
…残念ながら、彼らが発見したことは励みにならないことでした。
「鉄道貨物と陸送のこの種の落ち込みのすべては、景気減速に先行して現れる」、これが結論です。
これは、厳冬のために落ち込んだ1996年を除外しています。
出典:ブルームバーグ 1月12日)
明らかに景気失速の明確なシグナルは、そここに現れているのです。そして、それは加速化しています。
金融市場から発せられる数々のシグナルは、実体経済に遅れて現れてきますから、現状は、それ以上に悪化していると考えなければならないのです。
しかし、大底に着くまでにはまだ先は長い。長い長い道のりが持っています。
米国市場が歴史的に「妥当な評価である」という水準まで到達するには、市場があと30%程度落ち込む必要があるのです。
これを、「正常化への道のり」と希望をもって受け止めることができる投資家は、ほとんどいないでしょう。
これは、日本も同様です。グローバルで、そして大規模な景気後退が確実に近づいています。
まずは、アベノミクスの幻想をきっぱり捨て去って、できることを準備することです。これからは、長い景気後退に入ります。
今度は、そう簡単に回復しません。何年もの間、下降トレンドが続くのです。
このことは、2014年の春頃から、周囲の人たちには警告し続けてきたので、「あのことだったのか」と合点がいくでしょう。
すべての人たちが、瓦解の現状を理解した頃には、打つ手がなくなってしまうのです。
まだ、ほとんどの人が気が付いていないうちに、決意して着手しなければならないのです。そうすれば、何を警告しても取り合わなかったノーテンキで攻撃的な人々にも、この危機感が多少でも伝わるかもしれません。
【関連】2016年は世界的景気後退と金融危機の年?著名エコノミスト12人の予想

http://www.mag2.com/p/money/7118


2016年は世界的景気後退と金融危機の年?著名エコノミスト12人の予想
2016年1月10日
11月下旬から12月にかけて、欧米の各メディアは2016年の景気動向を占う市場予測を出しました。そのすべてといってもいいのですが、2016年は景気後退、あるいは長引く不況を予想しています。(『カレイドスコープのメルマガ』)
2016年から、世界的な景気後退と金融危機が表面化する
異口同音に景気後退と市場の危機について警告するエコノミストたち
以下は、ブルームバーグがよく取り上げている金融の世界の「専門家14人による2016年のスッキリ明快・市場予測」です。
ブルームバーグを取り上げる意味は、この世界的な「経済・金融・マーケット専門メディア」が世界の金融資本の影響を強く受けており、世界の市場を誘導する企業メディア群と連動しているメディアだからです。
ブルームバーグは、明らかに「1パーセント」のグローバリストのためのメディアですから、この14人の専門家(彼らは、金融のプロパガンダと密接な関係を持つ証券会社や、投資銀行のストラティジストたち)のようなマーケティング発想から市場環境のキートレンドを読み解くことが大切です。それが、2016年の大きな流れになっていくかもしれません。
ブルームバーグのこの記事の冒頭には、「トップクラスの金融専門家の何人かは、景気後退と市場の危機について警告している」と書かれています。あのブルームバーグにして、これです。
ここでは14人のうち、歯切れの悪いアラン・パトリコフ(Alan Patricof)と、ジョセフ・ラヴォナ(Marc LaVorgna)の2人を除く12人の予想を取り上げています。
それぞれから出されている警告や投資のヒントには、いちいち解説を加えず原文の粗訳のままにしてあります。太字のスミ文字の箇所は、私が強調したいところです。
(1)「世界不況に注意のこと!」−ルチル・シャルマ
ルチル・シャルマ(Ruchir Sharma)は、「世界の頭脳100人」にも選ばれたという天才的な頭脳を持ったインドの著名な投資家です。現在は、モルガン・スタンレーの新興国投資担当マネージャーを務めています。日本語での著書には、「ブレイクアウト・ネーションズ」があります。
ルチル・シャルマの警告と投資のヒント:
われわれは、今まさに、世界的な景気下降から放たれた大きな衝撃を受けている。そして、次の衝撃は、どう見ても中国から始まりそうだ。
中国は、巨額負債の重圧、過度の投資と人口減少が複合的に作用して、経済成長を徐々にむしばんでいる。
一方、東ヨーロッパから南アジアの相対的に負債額の少ない国々は、景気サイクルの次の転換を乗り切っていく上で、良いポジションについていると言える。
(2)「債券は茨の道を目の前にしている」−ダン・ファス
ダン・ファス(Dan Fuss)は、ルーミス・セイルズ社の副会長。そして、200億ドルを取り扱っているルーミス・セイルズ債券ファンドのポートフォリオ・マジャーです。
ダン・ファス警告と投資のヒント:
(マクロの)標準となっている米国の10年もの財務省証券(10年米国債)の利回りは、2016年中に、2.6%から2.8%に上昇するかもしれない。
しかし、これは私の予想であって、現在の地政学的な混乱のために、正確な予測を出すのはかなり困難である。
こうした厳しい時代にあって、ポートフォリオに債券を組み込んでいる投資家は、米国債と5年から12年満期の投資適格企業の債券(社債など)を組み合わせることを推奨したい。
ハイ・イールド債(高利回りのリスクの高いジャンク債)は、2016年では最高の成功のチャンスを持っている。
(3)「どの株式を見ればいいのかが重要」−トーマス・リー
トーマス・リー(Thomas J. Lee)は、ファンド・トラスト・グローバル・アドバイザーズ(Fundstrat Global Advisors)のマネージング・パートナーです。
トーマス・リー警告と投資のヒント:
普通株は2016年は良さそうである。特に、銀行と優良企業の株式では良い。
連邦準備制度理事会(Fed)の金融引き締め(利上げ)によっては米国の銀行は利益を上げるだろう。また、景気拡大にともなって、銀行は自己資本利益率を押し上げるだろう。
とにかく、優良株を見つけることである。経済が上向くことによって、より強い収益を生み出す能力があるだろう。
Next: (4)「EUは、いまだ最大の問題に直面している」−レベッカ・パターソン
(4)「EUは、いまだ最大の問題に直面している」−レベッカ・パターソン
レベッカ・パターソン(Rebecca Patterson)は、ベッセマー・トラスト(Bessemer Trust)の主任投資役員。ベッセマー・トラストは1000億ドル以上の資産を管理運用しています。
レベッカ・パターソン警告と投資のヒント:
2016年、ユーロッパにとって、もっとも大きいリスクは「難民危機」である。それは、EUに対するもっとも大きい挑戦だ。
パリの恐ろしいテロ攻撃によって、難民危機が政治的、政策的な方針変更をもたらしたり、消費者の消費パターンを変えさせてしまうというリスクを増大させている。
そのどちらも、ヨーロッパの経済成長と企業収益に関してセンチメントの上で感情的に重苦しい雰囲気を作り出している。
そうした危機感があるものの、ヨーロッパの株式は“重量オーバー”の状態のままであり、ユーロは弱含みの状態にある。
今、世界的に多くの投資家が、何百万人もの移民がヨーロッパ経済と市場にどんな影響を与えるのか、いろいろ想定はしているが、その難民危機が生成する副次的な危機が、来年、どんなトリガーとなるのか、誰も確かな答えを出していない。
(5)「利回りは上がると予想する」−ジム・キャロン
ジム・キャロン(Jim Caron)は、モルガン・スタンレー投資経営陣の常務。
ジム・キャロン警告と投資のヒント:
来年は、インフレのリスクが再び、市場に戻ってくる。
インフレのトレンドは、30年米国債の利回りが、おそらく3.75%に向けて上がっていくことによって鮮明になるだろう。
人々が経済情勢は改善されていると考えつつも、一方では連邦準備制度理事会(Fed)がゆっくり金利を上げていくので、冷や汗をかかされる場面が何度かあるだろう。
(6)「配当のより一層の選別が強化される」−ラス・コースタリッチ
ラス・コースタリッチ(Russ Koesterich)は、世界最大の資産運用会社ブラック・ロック(Black Rock)の最高投資責任者である。
ラス・コースタリッチの警告と投資のヒント:
2016年になると、連邦準備制度理事会の重要性は、ますます薄れていく。
また、ジャネット・イエレンは徐々に利上げを進めていくだろうと考えている。
経済成長は、世界的に鈍化したままの状態が続くものの、投資家たちの間では、高利回りの資産への渇望が増大していくだろう。
財政危機の前に買った高利回り債券に依存していた投資家は、それらの証券がすでに尽きてしまっている。
高収益の債券には、いままで以上リスクが伴うが、だからといって、それをやらなければリターンは得られない。
Next: (7)「天然資源の価格に大幅な回復が見られ始める」バーバラ・バーン
(7)「天然資源の価格に大幅な回復が見られ始める」−バーバラ・バーン
バーバラ・バーン(Barbara Byrne)は、バークレイズ・キャピタルの投資銀行部門の副会長。
バーバラ・バーンの警告と投資のヒント:
2016年は、天然資源の価格に大幅な回復が見られ始めるだろう。きわめて重要なことは、それが政治的理由からであるということだ。
今、ノルウェイ、サウジアラビアなどの政府系投資ファンドが下落し始めている。われわれは、それについても反転すると見ている。
これらの国々には、外貨準備の変動に対応できるだけの余裕はない。
したがって、今後は、より安定した原油価格に移っていくだろう。安定した価格とは、1バレルあたり60ドル程度である。
そして、同時に、現在の需要を満たすことに集中している持続可能な経済に寄与するエネルギー関連に投資された資金は、おそらくうまくやるだろうと考えている。
(8)「ラテンアメリカに学ぶ」−トゥリオ・ベラ
トゥリオ・ベラ(Tulio Vera)は、JPモルガンのラテンアメリカ民間銀行の世界投資のチーフ・ストラティジストである。
トゥリオ・ベラの警告と投資のヒント:
アルゼンチンから一条の光が差し込んでくる。それは、アルゼンチンだけでなく、南米地域にとっても重要である。
ブラジルの投資見通しは、今はまた不透明のままであるが、メキシコは、特に自動車産業において、米国の景気回復から利益を上げ続けている。
ラテンアメリカの資産状況には、現在と来年の終わりの間に、若干の興味深いポイントが出てきている。
われわれは、これらの市場のいくつかに、再びエントリーする(投資の出動)瞬間に近づいている。
(9)「インパクト投資は癌をターゲットにするだろう」−マーク・ ハーフェラー
マーク・ ハーフェラー(Mark Haefele)は、スイスの銀行・UBSのグローバル最高投資責任者。
マーク・ ハーフェラーの警告と投資のヒント:
世界は高齢化に向かっている。そして、癌治療の需要は、一方的に高まっている。
にもかかわらず、治療法の開発や創薬の開発におけるもっもとリスクの高い段階における資本の供給は限定的だ。
ヘルスケア各社は、後の段階(癌の進行が見られた段階)の研究に集中する傾向がある。
しかし、初期段階の癌対策への投資こそが、後の長期にわたる魅力的なリターンにつながり、それが、社会に貢献することになるのであるが、初期段階への投資は薄い。
とはいうものの、投資家が、ポートフォリオを社会的価値と整合させようとしているので、「インパクト投資」として知られているこの種の実践は、より人気化する気配が見えている。
Next: (10)「中国は、まさに素晴らしい」−ヤン・ツァオ
(10)「中国は、まさに素晴らしい」−ヤン・ツァオ
ヤン・ツァオ(Yang Zhao)は、野村ホールディングスの中国担当チーフ・エコノミスト。彼は、10月6日に、中国の経済成長率 = (当年のGDP 対  前年のGDP)を、それまでの6.7%から5.8%に引き下げた男です。
ヤン・ツァオの警告と投資のヒント:
中国は、ハード・ランディングするのだろうか。そうは思わない。
GDPの成長率が5.8%に引き下げられたところで、労働市場は相変わらずバランスが保たれており、中国経済は仕事を創出している。特に、労働集約型のサービス部門については、しっかりしている。
そして、中国の国家機関の大部分が政府によって支えられているので、中国の金融業界が危機に向かって進んでいるなどということはありえない。
組織的に重要な金融機関に問題があるとすれば、中国政府は救済に乗り出すだろう。
(11)「千年紀の人々のように思考することが大切」−ケイト・コーチ
ケイト・コーチ(Katie Koch)は、ゴールドマン・サックス・アセットマネージメントの常務。ゴールドマン・サックス・アセットマネージメントは、世界の株式の1000億ドル相当の資産を監督している。
ケイト・コーチの警告と投資のヒント:
ミレニアル世代の台頭は、長期投資と密接な関係を持っている。
彼らの消費軌道は、より急激なカーブを描いていて、ベビーブーム世代(すでに、現役を引退して消費を減少させている)と比較して増加している。
1980年から2000年までの間に生まれた世界中の20億のミレニアルの人々(※)は、即座に入手できる情報、素早い消費、健康的な暮らしを優先させるようになっているので、2016年は、特に、ネットフリックス(Netflix)、ナイキ、H&M、PCホーム・オンライン(PChome Online:台湾の電子商取引会社)に注目している。
※ミレニアル(millennial)
米国で、2000年代に成人あるいは社会人になる世代。 1980年代から2000年代初頭までに生まれた人をいうことが多く、ベビーブーマーの子世代にあたるY世代やデジタル・ネイティブと呼ばれる世代と重なる。
(12)「“なんとしても”ECBからは、さらに多く」−エリック・ニールセン
エリック・ニールセン(Erik Nielsen)は、ユニクレジットのチーフエコノミスト。
エリック・ニールセンの警告と投資のヒント:
連邦準備制度理事会(Fed)と欧州中央銀行(ECB)との間の更なる相違が広がると予想してほしい。
前者のFedは、来年、2、3度の利上げをすることになっているし、後者は発表された以上に、バランスシートが拡大している。
Next: まとめ1〜アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本のうち、誰がトリガーを引くか
この12人のエコノミストのトレンド予想から、以下の流れが見えてきます。
(1)世界経済にとっての最大の不安要因は、相変わらず中国の膨大な借金と行き過ぎた投資のツケが、いつ回って来るのか、ということ。
野村のヤン・ツァオ(Yang Zhao)でさえも、「中国の2016年は素晴らしい」と言いながら、金融当局の市場介入がなければ、ハード・ランディングする可能性を暗に臭わせているのです。
ヤン・ツァオ(Yang Zhao)が、「2016年の中国は問題なし」とする際、真っ先に挙げているのが労働市場の安定性です。
つまり、中国にとっての最大の脅威は、(水面下では握手しているのだが)アメリカ軍が南シナ海におけるプレゼンスを高めていることではなく、中国国内の所得格差がさらに開くことによって、一斉に暴動が起こることです。
こうしたレベルで問題の抽出行われること自体、中国は自由経済の一員とはなれないでしょう。
(2)それに比べて、相対的に借金の少ない東ヨーロッパから南アジアの国々の台頭が予想されるものの、ダン・ファス(Dan Fuss)が言うように、地政学的な混乱要因が世界の経済情勢を左右するまでの脅威になっている以上、アナリストたちの計算どおりにはいかない。
それは、パリの同時多発テロで、欧州先進国の過剰な反応(世界支配層の企業メディアによる一斉プロパガンダによる)を見ても分かるでしょう。
相場はマスメディア次第ということです。
(3)ほとんどのエコノミストが、FRBは、2016年に数度にわたって金利を引き上げると見ています。実際にジャネット・イエレンは今月の利上げを成功させました。
問題は、エリック・ニールセン(Erik Nielsen)が指摘しているように、欧州中央銀行(ECB)が量的金融緩和を継続しそうだ、ということ。
ギリシャ危機は収束したわけではなく、イタリア、ポルトガル、スペインに広がっていく可能性は残されています。
FRBは引き締めへ。この逆相関は何をもたらすのか。
そのまま受け取れば、ドル対ユーロで言うなら、ドル高が進み、ユーロは安くなる。円はすでにGDPの粉飾が行われているので、三つ巴の化かし合い相場になると予想されます。
FRBも、ECBも、日銀も、ロスチャイルド財閥によってコントロールされており、さらに、国際通貨基金(IMF)、世界銀行のみならず世界各国の中央銀行に指示書を出している国際決済銀行(BIS)までもが、ロスチャイルドの私物として動いています。
すると、何が見えてきますか?
アメリカ、中国の金融当局が、粉飾・捏造された経済指標を早々と出しているという点では、日本の大先輩です。そこに、安倍晋三という“稀有な”政治家によって、日本もその仲間入りをしようとしているのです。
つまり、捏造した経済指標こそが、世界金融崩壊の時限爆弾の信管なのです。その信管を引き抜くのは、人々の良心であり正義感です。そう、あなたの、私の。
そして、「不正の是正」を強く訴えて立ち上がる政治家こそが、実は世界を金融システムを大混乱に巻き込むトリガーを引く人間です。もちろん、それは、ロスチャイルドの奉公人です。
ラス・コースタリッチ(Russ Koesterich)が言うよう、成長力のある高配当の企業を見つけ出し、一瞬高値に吊り上げて利益を確定することができる投資家であれば、2016年ほど豊かな実りを提供してくれる年はない、のは確かでしょうけれど、それができる投資家はいないでしょう。
結論は、「素人は手出ししない」こと。ビギナー投資家は、「早々と足を洗う」こと。
【関連】超特大ブラックマンデーの足音〜「QE動向を的確に予測する男」の警告
【関連】米CNBCによる2016年米市場「10の懸念」〜海運低迷、原油安etc.=矢口新

http://www.mag2.com/p/money/6979

 

先物・オプションレポート 2016 年1月号
1
量的質的金融緩和と国債市場の流動性i
神戸大学 経済学研究科
岩壷 健太郎
1.はじめに
2013 年に日銀の総裁に就任した黒田総裁は、これまでの量的緩和の規模を大幅に拡大
し、より満期の長い国債を購入するという「量的質的金融緩和」を始めた。これを受けて、
株式市場や外国為替市場は大きな反応を見せたが、国債市場では歴史的な乱高下を記録し
た。10 年国債は 0.315%にまで急低下した後、水準としてはその倍となる 0.6%台にまで急
上昇する乱高下ぶりを見せた。また、国債先物市場では制限値幅いっぱいまで急落し、サ
ーキットブレーカーの発動が 4 月中に 5 回、5 月に入ってからも 3 回みられた。
異次元の金融緩和導入以降の急速な国債買い入れによって日銀の保有残高は生損保を
上回る規模となっており、5 年・10 年・20 年・30 年の新発債を中心として需要が偏ってい
たため、国債の流通量の減少に伴う流動性の悪化が懸念された。また、国債価格の乱高下
も市場の流動性の欠如の結果であるという議論が盛んになった。
金融当局による国債買い入れは市場の流動性を悪化させるものなのだろうか。流動性
を悪化させないための条件はあるのか。国債市場のおける政府介入の効果については日本
での研究蓄積があまりないが、米国の研究によると、国債買入れ政策は市場の流動性を悪
化させるという説と改善させるという説に分かれており、意見が分かれている。
このような市場の混乱に対して、日銀は国債買入れペースを変更することで対処しよ
うとした。具体的には、買入れ頻度を増やし、1 回当たりの買入れ額を減らした。その結果、
2013 年 6 月以降、1 日当たりの平均買入れ回数は 2.6 回、1 か月当たりの買入れ日数 10 回
と固定化される傾向にある。さらに、1 日に複数回の買入れがある場合の買入れ額のばらつ
きも低下し、平準化されている。このことは、投資家が将来の買入れのペースや買入れの
規模を推測しやすくする措置と考えられる。本レポートでは、異次元緩和以降に行われた
日銀の買入れ政策の変更が市場の流動性に与える影響について分析する。
2.理論と仮説
金融当局の金融政策、なかでも公開市場操作が資産価格に与える影響については数多
くの研究があるが、金融市場の流動性に与える影響に関する研究は非常に限られている。
私の知る限り、Harvey and Huang (2002)が最も古い研究であり、彼らは 1982 年から 88
年までの国債価格の日中データを用いて、米国の公開市場操作が国際価格のボラティリテ
ィを上昇させることを明らかにした。その後の研究でも、1999 年から 2006 年までの日中
データを用いた Andersson(2010)が米国の公開市場操作が国債価格のボラティリティを上
先物・オプションレポート 2016 年1月号
2
昇させることを確認しており、また、Inoue(1999)が日本の公開市場操作が国債市場の取引
高を高め、国債価格のボラティリティを上昇させることを発見している。
しかし、近年になって、Pasquariello et al. (2014)は 2001 年から 2007 年のデータを
用いて、米国の公開市場操作がビッド・アスク・スプレッドを低下させていることを示し、
金融政策が市場の流動性を悪化させるというこれまでの研究結果に疑問を呈した。この実
証結果は、グリーンスパン元 FRB 議長が FOMC 後に金融政策の決定および政策内容を市
場に向かって公表するようになった事実を受けて、公開市場操作にはもはや国債価格のフ
ァンダメンタル価値に関する情報が含まれていないという理論と整合的な結果である。
では、まず公開市場操作が国債市場の流動性を悪化させるという理論から考えてみよう。
理論のエッセンスは中央銀行による外為市場への為替介入の研究でも使われた逆選択モデ
ルである(Bhattacharya and Weller (1997), Chari (2007))。中央銀行がファンダメンタル
価値とは異なる目標値に価格を誘導する誘因があるという前提の下で、公開市場操作には
ファンダメンタル価値に関する情報が含まれていると仮定する。このとき、中央銀行の取
引を見た投機家(情報投資家)は金融当局の取引を考慮すると、自分の情報だけの場合よ
りも慎重に取引するようになり、リスク裁定が弱まることになる。したがって、情報投資
家が予想する将来価格にも不確実性が増し、価格のボラティリティが上昇し、逆選択コス
トの上昇に伴ってビッド・アスク・スプレッドが高まることになる。
一方、Pasquariello et al. (2014)が考える理論モデルの需要な点は、中央銀行は情
報投資家であるものの、公開市場操作にファンダメンタル価値に関する情報がないことに
ある。中央銀行の取引に情報はない、つまりノイズ・トレードと仮定すると、投機家(情
報投資家)は自身の情報に基づいて取引を行うことになり、より攻撃的にリスク裁定を行
うことになる。よって、情報投資家が予想する将来価格の不確実性が減り、価格のボラテ
ィリティが低下し、逆選択コストが低下するにつれビッド・アスク・スプレッドも下落す
ることになる。
以上の2つの理論の違いは、公開市場操作に国債価格のファンダメンタル価値に関する
情報が含まれているかという点であり、公開市場操作によって投資家間の情報の非対称性
(逆選択コスト)が拡大するのか低下するのかが、流動性の度合いを決める重要な要因と
なっている。以下の実証分析では、日本銀行が量的質的金融緩和を開始した当初は、投資
家が国債買入れのタイミングや規模を予想できなかったが、買入れ政策の経項を経てそれ
らが予想可能になり、国債価格のファンダメンタル価値を推測しやすくなったという仮説
を検証する。
3.データ
本レポートでは気配値や約定値、取引高の日中データを用いることが可能な長期国債先
物(10 年物)を用いて、5 つの流動性指標を計測する。1 つ目のビッド・アスク・スプレッ
ド(Bid-ask spread)は売気配と買気配の差を仲値で除したものであるが、後の実効スプレッ
先物・オプションレポート 2016 年1月号
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ドと比較しやすいように 2 で除しておく。1 分ごとのビッド・アスク・スプレッドを計測し、
日次の平均値を計算する。
2 つ目の実効スプレッド(Effective spread)は、約定値と約定直前の仲値の差を仲値で除し
たものである。3 つ目の逆選択コスト(Adverse selection cost)とは、約定の一分後の仲値と
約定直前の仲値の差を仲値で除したものであり、4 つ目の実現スプレッド(Realized spread)
とは約定値と約定の一分後の仲値の差を仲値で除したものである。これらのスプレッド指
標は約定ごとに計測し、日次の平均値を計算する。
最後に、5 つ目の Amihud(2002)の低流動性指標(ILLIQ)とは債券価格の日次変化率
の絶対値を出来高で除したものである。出来高と比べて価格インパクトが少ない市場が
流動性の高い市場であると考えられるため、値が大きくなるほど流動性の悪化を表して
いる。
ビッド・アスク・スプレッドと実効スプレッドは投資家にとっての取引コストであり、
スプレッドが大きいほど流動性は低い。4 つ目の実現スプレッドは流動性供給者(マー
ケットメイカー)が取引後1分後の仲値でポジションを解消すると仮定したときの利益を
表しており、価格インパクトや投資家間の非対称性の度合いを表す 3 つ目の逆選択コスト
を情報投資家に奪われたとしても利益を確保できるかどうかを表している。したがって、
逆選択コストと実現スプレッドを足すと実効スプレッドになる。
4.分析方法と結果
以下では、日銀の国債買入れ政策の変化という制度変更を利用して、公開市場操作が
市場の流動性に与える影響を分析する。サンプル期間は 2013 年 4 月から 2014 年 6 月であ
る。売戻条件付きなどの短期的な買入れは除き、恒久的な国債買入れのみを分析対象とす
る。また、国庫短期証券買入れや国債補完供給オペも分析対象から除いた。
公開市場操作が市場の流動性に影響するタイミングには、国債買入れの対象銘柄やそ
の購入額を発表する時点(オファー日)と国債買入れを決済する日(実行日)の2つがあ
りえる。実行日は原則、オファー日の2営業日後となっている。ただし、買入れ日が増加
している昨今では、オファー日と実行日が重なっていることも多く(サンプル期間 307 日
のうち 74 日)、流動性への効果が日をまたいで持続していることも考えられる。そこで、
オファー日ダミー(Auciton day dummy)と実行日(Execution day dummy)に加えて、
その間の日に相当する中日ダミー(Following day dummy)を説明変数として、被説明変
数である 5 つの流動性指標に与える影響を以下の推計式で分析する。なお、買入れ政策の
変化によって流動性に対する影響が変化したことを考慮するために、それぞれのダミーの
係数が 1 日の買入れ回数、1 回当たりの買入れ額、1 日の買入れ額の標準偏差に依存してい
るとする。コントロール変数として、日銀政策決定会合ダミー、米国 FOMC の1日ラグダ
ミー、財務省の入札(5年物、10年物、20年物、30年物)ダミーを入れる。
先物・オプションレポート 2016 年1月号
http://www.jpx.co.jp/derivatives/futures-options-report/tvdivq00000021s8-att/rerk1601.pdf


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