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白化するサンゴからの“警告”
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 8 月 31 日 23:33:32: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

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白化するサンゴからの“警告”

この夏、沖縄周辺の海では、ある異変が起きています。サンゴ礁が一面、真っ白になる「白化現象」。サンゴが死にかけた状態になっているのです。国立環境研究所の調べでは、サンゴの白化は、沖縄県の八重山諸島から鹿児島県の屋久島にかけての広い範囲で確認され、深刻な被害となった1998年に並ぶおそれがあるとみられています。原因は、この夏の海水温の上昇です。サンゴは、海水温が30度を上回る状態が2週間から1か月ほど続くと白化が起きやすくなります。専門家は、サンゴの異変は、気候変動のサインだと指摘しています。

この夏、急速に“白化”

私たちが最初にサンゴの異変の情報を得たのは、7月中旬。八重山諸島のダイバーから「サンゴが白くなりはじめている。18年前と似た兆しがある」との一報を得ました。取材を進めると、琉球大学などのグループも異変を察知し、調査を始めていることが分かりました。
8月に入ると状況はさらに悪化し、「白化がかなりの規模で進んでいる」との情報が、石垣島や沖縄本島の研究者などから相次ぐようになりました。

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西表島でダイビングガイドをしている矢野維幾さんが7月16日に撮影した写真ではサンゴは、薄い茶色や青色をしています。ところが8月22日に撮影した写真では真っ白になっていて、僅か1か月ほどで白化が急速に進んでいました。

国立環境研究所が各地の研究者やダイバーの協力を得て進めている調査では、この夏、サンゴの「白化現象」が、沖縄県の石垣島や西表島、宮古島や沖縄本島のほか、鹿児島県の屋久島でも確認され、広い範囲に広がっていることが分かりました。

原因は海水温の上昇

サンゴの白化の原因は、海水温の上昇です。

右が正常なサンゴ。左が白化したサンゴです。

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茶色っぽく見えるのが、サンゴと共生している褐虫藻という植物プランクトンです。光合成でサンゴに栄養を供給しています。しかし、海水温が上がり30度を超える日が2週間から1か月ほど続くと、褐虫藻は光合成が出来なくなり、サンゴから消えていきます。そのためサンゴが白く見えるようになり、これが「白化」と呼ばれています。海水温が高い状態がさらに2週間から1か月ほど続き、褐虫藻が戻らなければ、栄養を得られなくなったサンゴは死んでしまいます。

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海水温31度“暑苦しい”

白化はどのくらい広がっているのか。
8月23日、私たちは、矢野さんと一緒に海中の撮影に臨みました。水深3メートル地点の水温は31度。海中でも暑苦しく感じるほどでした。海水が温まりやすい水深が浅い場所では、ほとんどのサンゴが白くなっていました。

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そこで、水深15メートルまで潜ってみましたが、水温は下がらず、31度のまま。白化したサンゴが雪山のように広がっていました。

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台風接近少ないためか

ことしの沖縄周辺の海域は、海水温が平年より高い状態が続いています。アメリカ海洋大気局の地球観測衛星「NOAA」が観測したデータによりますと、6月後半から海水温が平年より2度ほど高くなって30度を上回るようになり、7月上旬に一度、下がったあとも8月下旬にかけて30度を上回る状態が続いています。
国立環境研究所では、ことしは、これまでに沖縄への台風の接近が少なく、海水面付近の温かい海水と深い場所の冷たい海水とが混ざることがなかったため、海水温の高い状態が続き、サンゴに影響が出ていると分析しています。

1998年並みの深刻さ

サンゴの生態に詳しい国立環境研究所生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長は、ことしの「白化」は、2001年や2007年に確認された「白化」の被害を上回り、深刻な被害となった1998年に並ぶおそれがあると強い危機感を抱いています。

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1998年は、世界各地でサンゴが死滅し、沖縄でもサンゴ礁が3分の1にまで激減しました。サンゴの白化現象が初めて世界的に注目された年でした。

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この年は、日本では夏の終わりから秋にかけて災害が相次ぎました。海水温が高かったため、台風が発達しやすく、各地で大きな被害をもたらしました。山野さんは、ことしも似たような状況になっていると指摘しています。海水温が上がっている日本の南の海上で8月下旬に発達した台風10号は、東北や北海道に大きな被害をもたらしています。

懸念される生態系への影響

サンゴの白化によって今後、懸念されるのが生態系への深刻な影響です。
サンゴは生き物を育む「命のゆりかご」で、多くの魚介類にとって住みかとなるだけではなく、エサも供給源にもなっています。

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このため、サンゴが死んでしまうと、魚介類もそこで暮らすことが難しくなってしまいます。山野さんは「サンゴ礁は世界の海の面積の0.1%にすぎないものの、そこには9万種類もの生き物が住み、海の生態系の基盤となっている。もしなくなれば、陸上で言うと森がなくなってしまうというようなもので、生態系への大きな影響が懸念される」と指摘しています。
1度失われたサンゴは容易には回復しません。1998年以降、サンゴが再生したのは一部にとどまっていると見られています。

漁業者に広がる不安

サンゴの白化が進んでいることに、地元の漁業者の間では不安が広がっています。石垣島で漁業を営んで20年になる屋良部立さんは、サンゴ礁の周辺に生息する高級魚を釣って、沖縄本島や地元の市場に卸していますが、ことしの夏は不漁が続き、例年の半分ほどしか釣れないといいます。
屋良部さんは、「白化したサンゴの周辺では、魚が減っていると感じます。不漁が続けば死活問題になると不安でいっぱいですが、自然の変化にはどうすることもできません」と話していました。

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サンゴからの“警告”

ことし急激に進んでいるサンゴの白化。何を意味するのでしょうか。
国立環境研究所の山野さんは、次のように指摘します。「いま、世界では気候変動の影響が懸念されているが、そうした影響が真っ先にあらわれているのがサンゴ礁だと思う。私たちは、今回のサンゴの白化を通して、地球全体が変わっていっているという認識を持つべきだと思っている」。

 
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