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アメリカ刑務所残酷物語 心に青雲
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投稿者 お天道様はお見通し 日時 2016 年 1 月 27 日 16:50:22: I6W6mAZ85McLw gqiTVpO5l2yCzYKojKmSyoK1
 



網走刑務所の受刑者が「刑務作業」で飼育した「網走監獄和牛」の品質がいいとかで、評判だとか。私はそんな癌のもとになるような高級肉はただでもらっても絶対に食べない。
 受刑者が娑婆に出た時に手に職をつけておきたいとの意図で行なわれている。私たちにはまあ、納得できる話である。
 しかし、これが一大企業化されると、いささか趣が変わってくる。

 私もときどき利用する喫茶店にスターバックス・コーヒーがある。
 あのコーヒーなどのパッケージは、アメリカの刑務所で作られている。更正のため、出獄してからの手に職をつけるためならいいんじゃない? と思われるとしたら、それはアメリカの事情を知らなすぎる。

《アメリカの刑務所で作られる意外なアイテム13選》というサイトがある。多くの企業が人件費の安い刑務所に仕事を依頼している。
https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/7890
 その例をいくつか引用しよう。
     *    *    *

「軍用防護用品」
 米国防省、刑務所製品の売り上げの実に6割を占めるお得意様なのだとか。防弾チョッキや軍服など様々な製品。
「警察用備品」
 警棒や銃器を下げるためのベルトや制服、そして手錠。
「マクドナルドの制服」
「家具」
 政府関連ビル・施設に収められる事務用イスや書棚、机など。
「マイクロソフトのソフトウェアのパッケージ」
 マイクロソフト社の下請け企業がやはり低コストのため受刑者にマウスやソフトウェアのパッケージを発注。

「ホンダの車パーツ」
「セクシーブランドの下着」
「義歯・入れ歯」
「ジーンズ」
「刑務所内備品」
 所内で使う制服やホウキ、マットレス、さらにはトイレなどまで自分たちで制作するのだとか。

「コールセンター」
 州政府の各種お役所などのほか、日立やマイクロソフトなどといった企業の利用も。
「加工肉」
 自分たちのために農・牧場を運営するだけでなく、一般市販用の加工肉も製造。

     *    *    *

 で、このサイトの紹介者は、「実に様々な製品の製造に従事する受刑者たち、出所する頃にはみなそれぞれのプロフェッショナルな技術を持ち合わせているようになるのでしょうか…?!」と書いているが、実はそうは問屋が卸さない。

 アメリカ人はなんといっても残酷な連中で、毎度言うけれど、インディアンの虐殺から始まって、黒人や支那人苦力をドレイにし、他国を侵略してきたというDNAがしみ込んでいる。
 日本の刑務作業の主旨とはひどく違うのである。要は安価な労働力として受刑者を利用している。

 以下はおおむね増田悦佐氏の新著『アメリカの巨大な病』から教えられたものだ。
 アメリカでは刑務所は民営化が進められている。刑務所が民営化されるとは、企業体として収益をあげなければならない。いつ犯罪が発生するか分からないのでは経営が不安定である。世の中が治安が良く平穏になって犯罪が減っては困る。
 そこで入居率がどんなに低くても90%入居している分の運営費を委託してくる行政が払うという契約を交わす。

 行政側は民営化した刑務所に常に90%入居している分の費用を支払わねばならないから、空き部屋にしておいたら損だとなって、入居者を増やす算段をする。
 その一つの施策が「三振法」のような法律だ。三振とは野球のスリーストライク・アウトのことだ。

 「死刑または1年以上の刑が科される重罪(州によって違う)の前科が二回以上ある者が、3回目の有罪判決を受けたら、3回目がどんなに微罪であっても終身刑を科されるというもの」である。
 ストライク3(三振)になったら、死ぬまで刑務所暮らし。
 こんな仕掛けは、教育程度が低く貧しい黒人やヒスパニックは知らされない。

 虐げられた貧しい人たちをそのままに押さえつけている仕掛けの一つがドラッグであり、ジャズである。ジャズも聴きようではあるが、私は聴く気になれない。

 アメリカのなかでの人種別の収監人口比率で黒人はダントツで、4.7%、ヒスパニックは1.8%、白人はわずか0.7%である。黒人は総人口の約三分の一にも関わらず、収監されている者は半数かそれ以上を占める。それほどに黒人は逮捕される率も、長期収監率も高い。
 形を変えた黒人差別、黒人奴隷の継続ではないのか。

 世界レベルでも監獄に収監される人口はアメリカが群を抜いて多い。不名誉にも世界一。2014年末統計で、222万8424人もいる。2位の支那は約170万人、3位ロシア約67万人、4位ブラジル約58万人、5位インド約41万人……と続く。いずれも治安の悪い国ばかり。
 ちなみに日本は2015年9月時点で5万9千人ほどである。

 とりわけ黒人は犯罪が3ストライクで、死ぬまで安い労働力としてこき使われることになる。アメリカでは、黒人を差別し貧しいまま、教育しないままにしておいて、犯罪を犯させては、収監して低賃金で労働させることによって、一流企業が入所者を労働力として活用している。

 先に挙げた企業が収監者を活用するのは、普通の人の半分か四分の一の低賃金で働かせることができるからである。
 実際、「受刑者に渡る日給はわずか93セントから4ドルにとどまると言われている」と増田悦佐氏は書いている。アメリカの法定最低賃金は7ドル25セントだから、いかに低いか唖然とする。

 支那も受刑囚が圧倒的に多いのは、彼らを低賃金で働かせているせいだろう。どこの国でも「格差」は商売のネタである。以下も増田悦佐氏の本から引用。

 「しかも、受刑者は支給されるまずい食事以外の『贅沢品』は全部、刑務所内のバカ高い値段をつけた売店で買わされている」。「つまり刑務所産業が企業から支払われる賃金からピンハネしているというわけだ。そのためにも長期滞在してくれる刑務所暮らしの人、すなわち労働力を増やす方向になる」。


 こういう仕掛けをつくったおかげでアメリカは経済的没落を一定程度防いでいる。
 「昨今のアメリカ製造業の復活は、受刑者たちが異常な低賃金で働かされているからこそ実現したのだ。アメリカの受刑囚を企業に貸し出すときの労賃は、中国、ラテンアメリカは言うに及ばず、アフリカ最貧国とも勝負できる水準だ。製造業復活は、刑務所運営の民営化という現代奴隷制が生んだあだ花に過ぎない」


 このように「極論する人」がいると増田氏は控え目に書いているが、別の場所では以下のように厳しく説いている。
 
     *    *    *

 例えばエネルギー産業は、大昔から利権を確保して、その利権を大事に守り育てているために、相変わらず高い利益率が保たれている。結果的に、国民は高いガソリンを使わされ続けていることになる。しかし、アメリカのエネルギー業界は、中国の資源浪費経済でもっていた面が強いので、中国の資源浪費バブル崩壊によってそろそろ危なくなっている。

 アメリカの製造業の中で生き延びていけるのは、テクノロジーで何らかの特定のニーズを掘り当てて、ニッチ(市場の隙間)を確立した会社だけだろう。例えば、厳密には、製造業と情報通信産業であるマイクロソフトやインテルなどだ。

 このような技術的なニッチを持っている会社でも、アメリカ国内で大々的に製造工程を持っているのは刑務所の収監者を使って割安な労賃で作っているところくらいで、ほとんどの企業の製造工場は人件費の安い海外で作っているというのが実情だ。

     *    *    *

 われわれは、こういう国家とTPPを結んで、金儲けで勝負しなければならない。なんとおぞましい世界なのだろうか。
 そのうえ、テレビに出て来る経済評論家どもは、アメリカを見倣えと言い、コストを下げねば競争に勝てないと言う。その行き着く先がこの刑務所産業の隆盛であることは、奴らは決して言わない。

 先日も毎日新聞に、伊藤忠商事の社長へのインタビューが載っていた。アメリカの景気は堅調で心配ない、と発言。アホやん♪
 アメリカの経済がなんとかもっているのは、こういう受刑者を奴隷として使っているからだ。知っていてこいつもトボケている。

 日本でもよく「死刑」は残酷だ、アメリカのように「終身刑」を創設してせめて生かして罪を償わせるべきだと言う輩がいる。しかし、こうして見て来ると、アメリカがなぜ「終身刑」制度を設けているかが見えてくるだろう。囚人を奴隷として使役するためなのだ。




アメリカ刑務所残酷物語 心に青雲





 

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コメント
 
1. 2016年1月27日 18:25:33 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[473]

日本も民営化を導入するといいね

>入居率がどんなに低くても90%入居している分の運営費を委託してくる行政が払うという契約
>行政側は民営化した刑務所に常に90%入居している分の費用を支払わねばならないから、空き部屋にしておいたら損だとなって、入居者を増やす

WEBで完全に受刑者の情報を提供することを義務付け

不当逮捕がないように厳しく監視することだな


結局、税金をムダに浪費している日本の刑務所だって

痴漢や交通違反など、業績のための冤罪や無意味な逮捕が0ではない点では変わらないのだ


2. 2016年1月27日 19:50:51 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[212]
CAPITAL JOURNAL
米予備選の二極分化と穏健無党派層の増加
米国では民主・共和両党に属さない無党派層が増えている(英語音声のみ)Photo: AP
By GERALD F. SEIB
2016 年 1 月 27 日 14:32 JST

 米国政治に関して広く受け入れられ、世論調査のデータからも十分に立証されている一つの真実がある。それは、米国人に最も多いのは、イデオロギー的に左でも右でもなく、センター(中道、中間)に属する人々だということだ。

 だが、今年の予備選キャンペーンの討論から、この真実をうかがい知ることはできない。これまでのところ、米国人は二極分化しているかのように思える。それは2つの疑問につながる。なぜそんな風に感じられるのか、またいったん投票が始まれば、このようなダイナミズムは変化し始めるのだろうかという疑問だ。

 大半の世論調査結果では、かなり大勢の有権者は2大政党の左右陣営(民主党ではリベラル陣営、共和党では保守陣営)のどちらにも満足していない。ウォール・ストリート・ジャーナルとNBCテレビの最新世論調査によれば、有権者の37%が自らを「穏健」と分類しており、リベラルないし保守派と分類した有権者の比率を上回っている。「非常にリベラル」と自らを規定したのはわずか11%、「非常に保守的」としたのは16%だった。

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 それでも、予備選が始まって以来、2大政党はセンターから離れ、左ないし右陣営に引き寄せられているようにみえる。

 今回の選挙戦で、民主党は、リベラルな「民主的行動のためのアメリカ人(ADA)」からリベラル度95%の評価を受け、民主社会主義者を自称するバーニー・サンダース上院議員が、序盤から最有力候補だったヒラリー・クリントン氏を貿易や課税などの争点で左に傾かせた。

 共和党は、強硬な保守派のテッド・クルーズ上院議員と富豪のドナルド・トランプ氏の2人に支配されつつある。トランプ氏はイデオロギー上、派手な履歴があるが、中絶、税制、医療制度などの争点で着実に右傾化してきた。もっと主流で穏健とみなされてきた候補者たち、例えばジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、クリス・クリスティー・ニュージャージー州知事、そしてジョン・ケーシック・オハイオ州知事は、いずれも大幅に後れをとっている。

 両極化によって穏健派が感じる穴は極めて大きい。このため、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏が独立系(無所属)の中道派として大統領選に立候補して勝ち目があるかを検討し始めたほどだ。ただし、歴史は、こうした挑戦が遠回しに言っても困難であることを示唆している。

 予備選では、候補者たちが自党の支持基盤の上でイデオロギー色の強い候補に引き寄せられるのは、ある程度はよくある現象だ。彼らはどんな選挙戦でも最もエネルギッシュなのだ。しかしこの傾向は今年の選挙においては特に際立っている。

 それには一つの大きな理由がある。2大政党との関わりを遮断した米国人が増えていることだ。彼らは2大政党はいずれも無能だとみている。この遮断によって、予備選がイデオロギー色が強い左と右の候補たちに支配されることになっているのだ。

 穏健な民主党系シンクタンク、「サード・ウェイ」が実施した最も政治的に競争の激しい諸州での有権者登録の調査では、2008年から14年までの選挙で、無党派として登録した人のシェアは17.4%増加した。一方、民主党登録は4.8%減少、共和党登録もわずか3.3%増だった。同様に、今月発表されたギャラップの調査では、政治的に無党派と自認する米国人は42%で、民主党(29%)、あるいは共和党(26%)をいずれも大きく上回った。

今回の米大統領選挙は何が2012年の前回選挙と違うのだろうか(英語音声のみ) Photos: Getty Images.
 マリスト・ポール(マリスト大学世論研究所)のリー・ミリンゴフ所長は「2つの現象がある。無党派の増加と、党派心の高まりだ」と述べている。同所長は「今なお自分を民主党員あるいは共和党員とみなしている人々は、それぞれの党の型にぴったりはまった人たちばかりだ」と述べた。その一方で、「こんな党派ショーは自分とは無縁だ、と考える無党派も増えている」と語った。

 こうした構図は変化し穏健派が勢いを増す可能性はある。イデオロギー色の強い候補によって支配される傾向が強いアイオワ州とニューハンプシャー州の初期の予備選を終え、日がたつにつれて、穏健派の声が増していくかもしれない。フロリダ、ミネソタ、ミシガン、オハイオなどもっと大きな州では有権者はもっと多様化している。2大政党内の指名争いは長いので、次第にこうした大きな州の予備選有権者の主張が力を得て、結果を左右する公算が大きいと思われる。

 しかしその後、この問題は本選であらためて浮上するだろう。過去を振り返ると、予備選を勝ち抜いた大統領候補者たちは、予備選の間は左ないし右に自らを固定するのを回避しようとしてきた。どちらかに固定すると、11月の本選に向けたレースが始まった時、中道に戻るのが難しくなりかねないからだ。

 このような路線修正が今回可能かどうかは明確ではない。2大政党のイデオロギー陣営の吸引力が強まっているだけになおさらだ。

 ブッシュ氏は、1年以上前、ウォール・ストリート・ジャーナル主催のCEO会議で、共和党候補たる者は「本選勝利のため予備選で負ける」ことをも辞さないほどの覚悟が必要だと、このような難しさについて言及していた。

 元ユタ州知事で共和党大統領候補だったジョン・ハンツマン氏は「そうした大きな中間派の地盤を誰かが獲得することになる」と指摘する。同氏は現在、「No Labels(ノー・レーベルズ=党派のレッテルを貼らない人々)」という団体の共同議長で、党派性を超えて国の諸問題を解決するよう政治家たちに働きかけている。

 クリントン氏ないしトランプ氏は、いずれもイデオロギー色は薄く、現実主義者とみられている。彼らが自党から大統領候補指名を得たら、自らを中道に位置づける可能性も確かにある。

 だが、ハンツマン氏は、ノー・レーベルズの「問題解決者の約束(Problem Solver Promise)」をトランプ氏が受け入れ、民主、共和両党と協力する姿勢をみせていると指摘。その上で、トランプ氏は極めて型破りな人物であるため、民主党、共和党、そして無党派という「かなり広範な連合を一緒にまとめる」可能性がある、と述べた。

(筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長)

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2016年の米大統領選、過去と異なる10のこと
今回の米大統領選挙は何が2012年の前回選挙と違うのだろうか(英語音声のみ) Photos: Getty Images.
By CAROL E. LEE
2016 年 1 月 27 日 14:20 JST

 今回の米大統領選挙は、アウトサイダーの登場やカネの価値の変化など、際立った特徴を持っている。何が2012年の前回選挙と違うのだろうか。以下はその10の特徴である。

1. 希望を国民に売るのは難しい

 共和党候補のジェブ・ブッシュ氏は、「幸せな戦士」になることを誓った。その瞬間から、世論調査での支持率が落ち始めた。民主党候補のヒラリー・クリントン氏は、自らが進歩主義者であり、物事を着実に成し遂げようとすると述べている。これとは対照的に、バーニー・サンダース氏は大手銀行から健康保険制度に至るまでのあらゆるものをぶち壊すことを誓い、多数の聴衆を集めている。そして、ドナルド・トランプ氏は「米国はもう勝者ではない」と言った後、世論調査で上位を維持している。

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 バラク・オバマ氏は8年前、希望のメッセージで大統領の座に登り詰めた。それは若者、マイノリティー(少数派)、無党派のほか、一部の共和党員の心にさえも響いた。現在の世論調査を見ると、有権者たちはワシントンと大手企業に怒りと不満を抱いており、これがトランプ氏やサンダース氏のようなアウトサイダーを後押ししている。彼らは有権者たちを窮地に追いやった連中にその痛みを負わせることを約束している。

2. 本流を脅かすアウトサイダー

 ミット・ロムニー氏は12年の前回大統領選において、いわゆるエスタブリッシュメント(主流派)のお気に入りの候補だった。他の候補者たちは、もっと保守的になって取って代わろうとした。ただ初期の段階で、彼らが成功しないことは目に見えていた。

 しかし、今回の共和党有権者たちは、さまざまな主流派候補をめぐって分裂しており、最有力候補であるトランプ氏に対する保守的な代替候補をまだ決めかねている。この代替ポストに最も近いのはテッド・クルーズ上院議員だ。

 民主党では、サンダース氏への支持は、一部の民主党員が本流に対して持つ不満の表れだ。依然としてクリントン氏が指名を獲得する公算は大きいものの、サンダース氏はとりわけアイオワ州およびニューハンプシャー州で、クリントン氏に迫っている。

3. 歴史に残る女性候補の存在

 クリントン氏が民主党の指名候補になれば、主要政党から指名を獲得した米国史上初の女性となる。この見通しは比較的高齢の女性など、一部の層を勇気づけている。それはまた、オバマ氏が08年にアフリカ系米国人として初めて主要政党の指名を獲得したときと同様に、米国全体の見解をも試している。

 クリントン氏は、オバマ氏と戦った08年当時よりも、自分が立候補する歴史的な意義を前面に出して選挙を戦っている。クリントン氏は今回、サンダース氏を支持する民主党員や、クリントン王朝に批判的な有権者たちから支持を取り付けるという難題にも直面する。

4. レガシー候補2人の存在

 クリントン氏と同様にブッシュ氏も、自身の名字が指名獲得の足かせになることを心配している。ブッシュ氏はある意味、より苦しい立場にある。なぜなら、父と兄に次ぐブッシュ家で3人目の大統領になるからだ。クリントン氏の夫であるビル・クリントン元大統領は今も民主党支持者の間で人気だ。しかし、ジョージ・W・ブッシュ氏が弟ジェブ氏の人気をかさ上げする公算は小さい。たとえ共和党支持者の間であってもだ。

5. 現職のオバマ氏が資産に

オバマ大統領 ENLARGE
オバマ大統領 PHOTO: AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
 08年と12年の大統領選で、ジョージ・W・ブッシュ氏と顔を並べたがった共和党候補は1人もいなかった。イラク戦争への反対意見が強まり、ブッシュ氏の人気が落ち込んでいたからだ。16年現在、オバマ氏に対する全体としての支持率は最近の外交政策に関する問題で低下しているものの、民主党支持者内での人気は安定的に推移している。オバマ氏はアフリカ系米国人の支持を獲得する上でとりわけ有効であり得る。ホワイトハウスとクリントン陣営との連携はほぼ常になされている。

6. 外交政策と国家安全保障が経済を凌駕

 国家安全保障が再び最優先課題となった。経済が支配的テーマだった2008年と2012年からのシフトだ。これはパリとサンバーナディーノ(米カリフォルニア州)での銃乱射事件などを受けて、テロに対する恐怖が再燃したためだ。

 12月のウォール・ストリート・ジャーナル/NBCニューズ共同世論調査では、国家安全保障とテロリズムを政府の最優先課題にすべきだとの回答が全体の約40%に達した。同調査ではまた、この問題を優先課題のトップ2つに入るものだとの回答が61%に達し、昨年春の39%から急増した。

7. これまでとは違うカネの価値

 ブッシュ氏は、スーパーPAC(パック)と呼ばれる特別政治活動委員会の資金を最も多く調達したが、敗れつつある。そしてトランプ氏は、スーパーPACに頼らず、それほどカネも支出していないが、支持率でリードしている。これは、有権者が今や、カネでは買えない何かによって動くことを示唆している。トランプ氏が最初にテレビ宣伝に乗り出したのは、新年が始まった直後だったし、それまでは自身の爆弾発言などを取り上げる報道に大きく依存していた。彼はまたツイッターも利用している。

8. 小口の寄付者が登場

 オバマ大統領の選挙対策本部は2008年と12年に小口の寄付をユニークな特徴にした。サンダース氏は今回、記録的なペースで100万人の個人寄付を集め、現在は200万人以上になっている。共和党候補者で元神経外科医のベン・カーソン氏もまた、小口の寄付を通じて相当の金額を調達してきた。

9. 大きくなる有権者の怒り

討論会に臨む共和党候補者 ENLARGE
討論会に臨む共和党候補者 PHOTO: RAINIER EHRHARDT/ASSOCIATED PRESS
 有権者の怒り、主として経済をめぐる怒りは、前回2回の選挙で定番だった。16年には、有権者たちは一段と怒っている。エスクワイヤーとNBCニューズの調査によれば、1年前よりも怒りが増している米国人は半数に上っている。他の調査は、WSJとNBCニューズの調査を含め、怒りの理由が変化したことを示している。それは経済をめぐる怒りだけではない。政治システムへの不満と、共和党員にとっては、同性婚の合法化など最近の社会変化への怒りだ。

10. 短い予備選と長くなる本選

 16年の予備選はこれまでより短く、討論会の数もはるかに少ないのが特徴だ。予備選の投票は1月初めではなく2月1日に始まる。そして終わりも早い。これに対し、候補者を指名する全国党大会は過去の選挙サイクルよりもほぼ1カ月早めで、その結果、本選のサイクルは長くなる。

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トランプ氏、共和党レースで最も影響力のある男 米大統領選

世論調査によると、トランプ氏の支持者は、民主党に妥協することのない強い指導者を求めている PHOTO: JAMES GLOVER II/REUTERS
By BETH REINHARD
2016 年 1 月 27 日 16:33 JST

 米大統領選で共和党指名を獲得するかどうかは別にして、ドナルド・トランプ氏は指名争いで最も影響力を示す候補に躍り出ている。

 トランプ氏は他の候補を移民、貿易、国家安全保障の面で右傾化させ、聴衆の騒々しさと規模においてリードし、女性や移民、イスラム教徒、戦争捕虜などを軽視する発言を連発し、適切な政治演説とはどういうものかをめぐる議論を全国で巻き起こした。

 他候補と異なり、トランプ氏は一部の米国人、特に共和党支持者の間で沸騰する不満を取り込んでいる。こうした人々は、景気回復や変化する社会的道徳観に取り残されたと感じている。

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 不動産デベロッパーとして富を築いたトランプ氏の支持者には、教育水準や所得の低い有権者が多い。世論調査によれば、同氏の支持者は、さまざま問題について支持者に同意したり民主党と妥協点を探したりする人より、強い指導者に引かれる傾向がある。

トランプ氏はアイオワ州でその異例の選挙活動についてウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じた(英語音声、英語字幕あり)Photo: AP
 トランプ氏が最近ニューハンプシャー州で開いた集会に参加したロジャー・アジズさん(54)は「彼が話すことはすべてこの国の労働者層が感じ、語っていることだ。ポリティカル・コレクトネス(政治的公正さ)はうまくいっていない。多文化主義もうまくいっていない。人々はうんざりしている」と話した。

 トランプ氏の台頭を受けて、共和党の他の候補全員が選挙運動に何らかの修正をほどこした。陽気で楽天的なことからロナルド・レーガン元大統領としばしば比較されるマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)は、アメリカの衰退を警告するなど影の部分への言及を始めたほか、「この国で疎外感を抱くすべての人」にアピールする広告を展開している。

 不法移民をめぐっても、他の候補者は政策見直しに至らないまでも厳しい論調に転じた。トランプ氏は南部のメキシコ国境に壁を設けることや大規模な国外退去、イスラム教徒の入国禁止を呼びかけている。

 最も影響を受けているのはフロリダ州元知事のジェブ・ブッシュ氏かもしれない。当初は有力候補とみなされたものの全国の支持率は一桁台にとどまる。トランプ氏から「低エネルギー」とこきおろされた後、巻き返しを図っている。

写真でたどるトランプ氏の選挙運動
 米大統領選の共和党指名を目指すドナルド・トランプ氏の選挙遊説を写真でたどる。庭にトランプ氏の巨大ポスターを掲げる熱狂的支持者も。

Fans of Donald Trump held items they were hoping to get signed at an event in Pella, Iowa, on Saturday.
Members of the band Big Engine performed while artist Dale Henry, of Orlando, Fla., created a portrait of Donald Trump during a Bikers for Trump 2016 rally in Homosassa, Fla., on Sunday.
People stood in line Saturday to hear Donald Trump speak in Sioux Center, Iowa.
A giant poster of Donald Trump stands on display in the backyard of supporter George Davey's residence in West Des Moines, Iowa.
Donald Trump, shown Monday in Farmington, N.H., held a copy of a 1990 Playboy magazine where he is depicted on the cover.
A protester portraying Donald Trump outside a Trump speaking engagement in Burlington, Vt., early this month.
Molly Flanagan and her daughter Grace wore handmade shirts in support of Donald Trump at the Farmington, N.H., campaign stop.
Audience members listed to Donald Trump speaks in Muscatine, Iowa, on Sunday.
Attendees at the Trump event in Muscatine, Iowa.
Attendees listened to Donald Trump in Muscatine, Iowa, on Sunday.
Two protesters were removed after interrupting Donald Trump in Muscatine, Iowa.
Fans of Donald Trump held items they were hoping to get signed at an event in Pella, Iowa, on Saturday.
Members of the band Big Engine performed while artist Dale Henry, of Orlando, Fla., created a portrait of Donald Trump during a Bikers for Trump 2016 rally in Homosassa, Fla., on Sunday.
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Fans of Donald Trump held items they were hoping to get signed at an event in Pella, Iowa, on Saturday. JIM YOUNG/REUTERS Members of the band Big Engine performed while artist Dale ... People stood in line Saturday to hear Donald Trump speak in Sioux Center, Iowa. JERRY MENNENGA/ZUMA PRESS A giant poster of Donald Trump stands on display in the backyard of supporter George Davey's residence in West Des Moines, Iowa. JIM WATSON/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES Donald Trump, shown Monday in Farmington, N.H., held a copy of a 1990 Playboy magazine where he is depicted on the cover. JOHN MINCHILLO/ASSOCIATED PRESS A protester portraying Donald Trump outside a Trump speaking engagement in Burlington, Vt., early this month. SCOTT EISEN/GETTY IMAGES Molly Flanagan and her daughter Grace wore handmade shirts in support of Donald Trump at the Farmington, N.H., campaign stop. JOHN MINCHILLO/ASSOCIATED PRESS Audience members listed to Donald Trump speaks in Muscatine, Iowa, on Sunday. ANDREW HARNIK/ASSOCIATED PRESS Attendees at the Trump event in Muscatine, Iowa. DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS Attendees listened to Donald Trump in Muscatine, Iowa, on Sunday. DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS Two protesters were removed after interrupting Donald Trump in Muscatine, Iowa. ANDREW HARNIK/ASSOCIATED PRESS Fans of Donald Trump held items they were hoping to get signed at an event in Pella, Iowa, on Saturday. JIM YOUNG/REUTERS Members of the band Big Engine performed while artist Dale Henry, of Orlando, Fla., created a portrait of Donald Trump during a Bikers for Trump 2016 rally in Homosassa, Fla., on Sunday. DOUGLAS R. CLIFFORD/TAMPA BAY TIMES/ZUMA PRESS
 共和党エスタブリッシュメント(主流派)にとって、トランプ氏の候補指名は2012年の失敗に学んでいないことを示すことになる。当時の候補ミット・ロムニー氏は極端すぎるとも受け止められ、女性やマイノリティー、若者層から広く敬遠された。党内では、訴求すべき有権者層を従来の高齢・白人・男性から拡大し、全米で支持層を確保する必要があるとの声が出ているが、それに逆行するようにトランプ氏の支持率が上昇している。

 ニューハンプシャー州の集会に参加した大学生のエマ・シーハンさん(18)は「彼は国民の多くを排除している」と述べた。

 トランプ氏は、最近の選挙に参加してこなかった有権者をたきつけることで勝てると話している。

 予備選が始まる2月にはこうした主張が試されることになる。トランプ氏が大統領候補の予備選をめぐる数十年にわたる常識を打ち破り、勝ち残ることができるかどうか、共和党支持者はその時点で初めて知ることになる。

 逆に、トランプ氏が指名を勝ち取れなければ、旧来のルール――有料広告や経験が物を言い、失言で選挙運動が台無しになり、3度の結婚歴がある増税派の元民主党員を 共和党が決して選ぶことはない――が依然として有効ということになる。

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米大統領選、様変わりするかもしれない6つの理由
民主党はヒラリー・クリントン氏、共和党ではドナルド・トランプ氏が全米でリードしている(英語音声のみ) Photo: AP
By GERALD F. SEIB
2016 年 1 月 26 日 13:59 JST 更新

 選挙が素晴らしいと思う理由の1つは、最終的には有権者の意思が反映されることだ。そしてそれは時に驚きに満ちたものとなり得る。

 このことは心に留め置く価値がある。今のところ異様な様相を呈している今年の大統領選で、最初に民主、共和両党が投票を行うアイオワ州党員集会までちょうど1週間となったからだ。

 両党ともここに来て選挙戦の構図が明確になってきた。共和党ではドナルド・トランプ氏が全米でリードし、アイオワ州ではテッド・クルーズ上院議員と競り合いになっている。民主党はヒラリー・クリントン氏が全米的には相当優位に立っているものの、アイオワ州と次の投票が行われるニューハンプシャー州ではバーニー・サンダース上院議員に厳しく追い上げられている。

 しかし、過去の大統領選を思い起こせば、2004年の1月下旬、民主党指名争いは後に失速したハワード・ディーン前バーモント州知事が最も人気がありそうだった。08年には最終的に共和党指名候補となったマケイン上院議員が、この時点では立候補表明さえしていなかった。同じ年の民主党の争いでは、この時点では参戦したばかりで足元のおぼつかない泡沫(ほうまつ)候補だったオバマ氏が、徐々に人気を集め、最終的には各候補が必死に挑もうとしたフロントランナーになった。

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 要は、この先2、3週間で選挙戦の様相はがらりと変わる可能性があるということだ。そして急速に変わり得る理由は次の6つだ。

 まずは有権者が誰に投票するかを決めるのは間際に迫ってからだという点だ。特に予備選の第一グループの州でその傾向がある。最近の選挙の出口調査によると、アイオワ州では有権者の40%は投票前最後の一週間で態度を決めるのが普通との結果だった。また、ニューハンプシャー州でも有権者の半分がそうだった。最終段階での各候補者の主張が重要なのだ。

 第2に、ウィンドーショッピングと実際の買い物は違うということだ。予備選早期開催州でも全米でも、有権者は明らかに今回の選挙戦の序盤を、現在の政治体制に対する不満を発散させ従来と違う選択肢がないかを探ることに費やしている。ちょっとした例を挙げれば、最新のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCテレビの共同世論調査では10人のうち6人が、これまで試練をくぐり抜けてきたベテラン候補より、大きな変革を進めそうな候補の方を好むと回答している。しかし、その考えは投票所へ行くまで持たないようだ。調査に応じた民主党支持の有権者の半数以上は、経験の豊かな候補の方が良いと回答した。

 これは現時点で選挙戦を支配している反体制ムードにもかかわらず、民主党支持者が実際に投票する時は、クリントン候補のこれまでの経験がプラスに働く可能性があることを示唆している。

 有権者は心変わりするものだ。この時点でWSJの記者がインタビューした有権者らは、クリントン候補かトランプ候補かのどちらかを、あるいはサンダース候補かトランプ候補のどちらかを選ぶなどという普通では考えられない、一貫性のない選択を口にしている。

 WSJの25日のアイオワ発の記事では、トランプ候補に乗り換えるかもしれないと話すヒューレット・パッカード前最高経営責任者(CEO)カーリー・フィオリーナ氏の支援者が取り上げられた。これらすべてが現時点である特定候補を支持するといっている有権者が簡単にそれを撤回して他の候補に乗り換える可能性を意味している。

 さらに未知の要因も作用してくる。世界情勢も選挙戦の材料だ。パリの大規模テロ事件は、その後程なくカリフォルニア州サンバーナディーノ郡で銃乱射事件が起きたことから、国家安全保障を突然、選挙戦のテーマにしてしまった。今月に入っての株価の大幅下落はまだみえる形で選挙戦心理に影響していないが、その可能性はまだある。08年の選挙戦の性格は、各金融市場を激震させた9月のリーマン・ブラザーズ破たんによって変わってしまった。

 この先、各種イベントが続く。25日夜にアイオワ州で開催の民主党候補フォーラムや28日に同州開催の共和党の候補者全員による公式討論会、そしてニューハンプシャー州やサウスカロライナ州での同様の催しだ。

 印象が現実になる場合もある。1992年の選挙では最終的に民主党指名を獲得し大統領に当選したビル・クリントン候補のアイオワ州予備選での得票率は3%にも満たなかった。しかし続くニューハンプシャー州予備選では、有力候補だった故ポール・ソンガス上院議員に次ぐ2位の投票を獲得した。これにより、クリントン元大統領はアイオワ州の惨敗にもかかわらず、その後の予備選で巻き返しが可能になった。ニューハンプシャー州の2位獲得によって「カムバック・キッド(挽回少年)」という印象が形作られ、その後の南部州の予備選勝利と党指名獲得に結び付いたのだ。

 何らかの試練に見舞われた際に候補者がどう対処するかも重要だ。そしてわれわれは、今まさに候補者が本当の試練をどう乗り切るかを見極めようとしている。うまく乗り切れないこともままある。04年のディーン候補は事前の予想に反してアイオワ州予備選で3位に終わった晩に、支持者を奮い立たせようとして絶叫交じりの演説を行った。

 これが「ディーン・スクリーム(ディーン絶叫)」として有名になり、同候補は自己抑制に欠けるきらいがあると評価され、指名争いでの失速を早めた。これと対照的だったのが、1988年に当時副大統領だったジョージ・H・W・ブッシュ元大統領で、アイオワ州でやはり予想外の3位に終わった後、選挙スタッフを招集して冷静に戦略変更がないことを伝え、非難することもなかった。

 そして、ニューハンプシャー州の知事だったジョン・スヌヌ氏に選挙運動を任せ、同州での予備選勝利に結びつけた。そしてこれが後の共和党指名、大統領選本選での勝利の道を開いた。

 ということはつまり、大統領本選挙のような一つの目的地を目指した長期の戦いと違い、各予備選挙はあっという間に山と谷が相次ぎ、それを乗り切るのも予想するのも難しいということだ。

(筆者のジェラルド・F・サイブはWSJワシントン支局長)

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http://jp.wsj.com/articles/SB11130368917055384376704581308561421031094?mod=6_unit0127

FRB、12月の利上げは間違いだったか
By PAUL VIGNA
2016 年 1 月 27 日 15:46 JST

 米連邦準備制度理事会(FRB)が27日までの2日間にわたり連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、世界各国の市場が揺れ動く中、トレーダーや投資家には数々の疑問が生じている。中国経済について。原油価格はなぜ下げ止まらないのか。FRBは政策の信念を守るのか、それとも今年4回利上げするという考えは捨てるのか。また、昨年12月の利上げは間違いだったのかという疑問まであらわになっている。

 歴史的に見てかなり積極的な金融緩和を7年続けた後であっても、12月は利上げ開始の時期として早すぎたのだろうか。最近の市場の動きから判断すると、答えはイエスだ。

 日本円などいくつかの安全資産は別として、事実上全ての市場が売りに見舞われている。中国株式市場の上海総合指数は26日、前日比で6%余り下落した。米国のS&P500種指数はまだ1月にもかかわらず、年初来の下落率が6%を超えている。足元の市場混乱の大部分は中国か原油のせいだが、実を言うといずれも直接の原因にすぎない。究極の原因はFRBの政策だ。

 リンゼー・グループのピーター・ブックバー氏は、FRBに起因するリセッション(景気後退)や市場の大幅な冷え込みを回避するのはすでに遅すぎる可能性があると主張している。「FRBは行き過ぎた」とした上で、「個人的に唯一疑問なのは、いま決着をつけたいか、後にしたいかだ」と述べた。同氏はかねてFRBに批判的だが、FRBが自らしたことを認識しているか疑問視する向きは他にもある。

 FTNフィナンシャルのクリス・ロー氏は「ここ数週にわたり市場の混乱を目撃してきたわれわれにとって、全てがかなり明白に思える」と述べた。「だが(ニューヨーク連銀の)ダドリー総裁は先週の講演で奇妙にも市場の反応に前向きな評価を下しており、FRBが現状を理解しているかは定かでない」と語った。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)も独自の視点で疑問に切り込み、FRBが失策を犯したとの観測は高まっていると指摘した。

 ここで言外に期待されているのは、FRBが独自のやり方の誤りに気づき、わずかでもハト派に転じることだ。政策声明では「市場環境」への目配りを見せるかもしれない。今年の利上げが4回(当局者らはわずか1カ月前にそう予想していた)未満になることを示唆する可能性もある。市場はこの段階ではとやかく言わず、何でも受け止めるだろう。バークレイズのマイケル・ゲイペン氏は「FOMCは12月の政策声明のように、経済活動と労働市場の見通しに対するリスクは『均衡している』とせず、『ほぼ均衡している』とすることにより、リスクバランスに関する見解を改めるとみている」と述べた。これだけで「ややハト派に傾いたこと」を示唆すると言う。

 だが、市場はこの問題を過小評価している可能性がある。FRBは資本市場への流動性供給に7年を費やした。金融危機以前には1兆ドルに満たなかったバランスシートを、住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れなどで4兆5000億ドルまで拡大した。そうすることで、経済全般に広がる「資産効果」をもたらせるよう期待した。政策金利は低水準に維持したため、安全資産の投資妙味はリスクの高い資産と比較して低下し、いわゆるイールドカーブ(利回り曲線)取引から投資家を事実上締め出した。

 こうした政策の期間として7年は異例の長さであり、それを正常化・解消する時期が来ている。政策を「正常化」するということは、バランスシートを危機以前に匹敵する規模まで縮小することを意味する。これらの保有資産を売却ないし償還させてバランスシートを縮小すると、資本市場から3兆ドル余りの流動性を吸収することになる。これは決してわずかな金額ではない。

 1月1日の金融市場が見たところ一斉に赤く染まったことに人々はショックを受けているが、実際にはここからずっと売りが続いている。S&P500種指数は26日時点で、FRBが量的緩和第3弾を終了した2014年10月の水準を約4.5%下回っている。国際商品(コモディティー)相場やジャンク(投資不適格)債市場は急落し、新興国市場には混乱が生じている。

 1月1日に何かが始まったわけではなく、1年以上前から始まっていた。市場は利上げの緩急や正確な回数に関わらず、FRBが金融政策を引き締めたという現実に向き合っている。なぜなら、ブックバー氏が指摘しているように、FRBが過去7年に及ぶ刺激策を解消するかどうかではなく、いつするかが問題だからだ。

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【社説】中国株安、市場改革への歓迎すべき兆候

2016 年 1 月 27 日 15:27 JST

 26日の中国株式市場では上海総合指数が前日比6.42%安の2749.79と1年1カ月ぶりの安値で取引を終え、中国経済に関する警報がまたも発令された格好となった。ただ、中国政府が株価の下支えをやめたことは、指導部が国内市場の改革に本気で取り組もうとしている明るい兆しだ。同国で自由市場の信奉者として特に有名な重慶市の黄奇帆市長が規制当局を監督するポストに任命される見通しとなったことから、市場がいったん底入れすれば信頼感は回復するだろう。

 中国で株式バブルがはじけ始めた昨年6月、規制当局は政府関連機関に株式の購入と保有を命じ、従わなかった企業を罰した。中国指導部は現在、こうした措置は誤りだったと認めているようだ。ここ数日は、いわゆる「ナショナルチーム(政府の株価下支え策を実行する金融機関)」が市場から距離を置いていることがはっきり見て取れる。ダボスを訪問中の中国証券監督管理委員会(CSRC)の方星海・副委員長が認めたように、中国は「学んでいる最中」だ。

 良い兆候は他にもある。習近平国家主席は最近、「サプライサイド(供給側)の構造改革」をスローガンとして採用し、市場原理に基づく経済への移行を進めるため短期的な痛みを受け入れる意向を示唆した。ロイター通信は今月、習主席が黄市長を国務院(内閣に相当)秘書長に選出し、銀行や金融市場の監督当局の改革を主導させることを決めたと報じた。黄市長は米国のレーガン元大統領や英国のサッチャー元首相を英雄視していることで知られる。

 黄市長は上海浦東新区の開発を手掛けた人物で、重慶市のこの15年間の経済発展は黄市長の功績によるところが大きい。黄市長が重慶市で始めた改革の多くは全国レベルの改革計画へと発展した。こうした功績があったからこそ、2012年に重慶市共産党委員会書記の薄熙来氏が失脚した際、黄市長は現職にとどまることができた。

 中国は1990年に株式市場を創設したが、その目的は起業家というより国有企業に資金を提供することにあった。程なくして株式市場はカジノと化し、政治的なコネを多く持つ人々が小口投資家から資金を巻き上げていった。規制当局は市場の監視ではなく株価の押し上げが主な仕事となった。

 黄市長は、こうした精神を改めさせるための正しい信念を広め、必要な政治力を発揮する可能性がある。黄市長が国務院秘書長に任命されれば、習主席が公約として掲げる改革や李克強首相との協調にどれだけ本気かが分かるというものだ。習主席と李首相はイノベーション(技術革新)主導の経済成長が重要だと訴えているが、それに向けて起業家の資本調達の場として市場を機能させる取り組みは、いまだ実現していない。こうした観点から、株価の下落は改革が進んでいるという歓迎すべき兆候と言えよう。

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年初の市場混乱、FRBの信頼性に脅威

By STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 1 月 27 日 13:58 JST

 金融市場では年明けから乱高下が続いているため、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策判断が一層難しいものとなっている。

 26日・27日の連邦公開市場委員会(FOMC)は、約10年ぶりの利上げを決めた先月以降初の会合となるが、ここでFRBは金利を据え置くと予想されている。ただ、3月の次回会合以降、FRBが金利をどうするかは全く不透明だ。

 FRBは、今後の利上げ計画で障害になると認識されているドル高や低インフレに加え、中国経済に対する懸念、原油価格の下落継続、さらには、リセッション(景気後退)の恐れが市場を混乱させていることについても慎重な検討が必要となっている。

 ただ、市場へのメッセージを転換することにはコストがともなう。

 27日に発表される政策声明で、年内に4回行うとしていた先月の声明での利上げ見通しを後退させた場合、想定以上に経済が悪化しているという示唆を与えるリスクがある。しかし、見通しの変更がなくても、すでに不安定化している市場をさらに揺るがす危険性はある。

 FRBの信頼性が損なわれる可能性がある一方、金融市場の底堅さに対する疑念も生じかねない。0.25%の利上げについて事前に十分周知されていたにもかかわらず、その後、市場は不安定になった。このことは、投資家がFRBの恒常的な刺激策のない環境に適応することがいかに難しいかを示している。

S&P500種指数の年間リターン合計の推移(2006年以降) ENLARGE
S&P500種指数の年間リターン合計の推移(2006年以降) PHOTO: THE WALL STREET JOURNAL
 7年間に及ぶ超緩和策を経て懸念されるのは、FRBの政策を受けて株式市場がこの間実現したのは、将来の上昇の先食いだったのではないか、ということだ。調査会社ビスポーク・インベストメント・グループによると、S&P500種指数は先月の利上げから25日までで9.5%下落した。これはFOMCから次の会合までのパフォーマンスとしては7番目に悪い記録だという。

 12月の初めのS&P500種指数構成銘柄の株価収益率(PER)は17倍で、10年間平均を17ポイント上回っていた。

 最近の急落後も、同PERは依然として平均を上回る15倍となっている。また、バイオテクノロジー関連と一部ハイテク関連銘柄はバブルと言ってもいい高値水準をまだ維持している。

 FRBの刺激策を失うことは、相場を左右するのがファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)になるため、市場にとって決して楽なことではなかった。決算発表たけなわの中、高い営業利益率、低い売上高の伸び、そして割高な株価が主な傾向となっている。米証券会社コンバージェックスのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ニコラス・コラス氏は「これが米株式市場の縮図だ」と指摘する。

 FRBの選択肢は限られているが、ここで市場の圧力に負けるわけにはいかない。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MH165_tape01_M_20160126124945.jpg

[32初期非表示理由]:担当:関連が薄い長文

3. 2016年1月28日 22:47:13 : hRHDOPUoY2 : Z4nx2oGmZvQ[19]
先日、ニューヨークの知事クオモが、ニューヨークの刑務所での教育をプログラムを発表し予算を確保した。刑務所内で受刑者は望めば大学教育を受けられる、大学の単位を取ることができる。教育により更生を図るプログラムだ。
アメリカでは、アフリカ系アメリカ人の犯罪は多い。ただ、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニックの子供達は一流大学を含む大学に入学の際は、テストスコアーが低くても成績が悪くてもマイノリティ枠で入学できる。その率は全体の20%近くにも及ぶ。ハーバート大学や他のアイビーリーグも同様である。白人やアジア系の人にとりこれが、教育の逆差別だ。大企業でも政府からの強制でマイノリティを引き受けなければならない。能力的に使い物にならない人材は、結局、警備に回される。故に、受付や警備員、清掃人はアフリカ系アメリカ人が多くつく。生活保護を受けている所帯の50%以上がアフリカ系アメリカ人である。最近、ニュースで母子家庭などのアフリカ系アメリカ人の低所得者は、子供を産めば生活保護費が増えるのでその為に子供を次から次に産んで生活しているその特集がされていた。その様な親の子供も同じ道をたどる。負の連鎖だ。アメリカでは人口の人種比率が、2050年代にはヒスパニックの割合が全人口の60%を上回ると予想されている。


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