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中国、ジョージ・ソロスに警告: わが国の通貨に戦争をしかけるな(マスコミに載らない海外記事)
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/436.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 28 日 00:53:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

中国、ジョージ・ソロスに警告: わが国の通貨に戦争をしかけるな
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-3943.html
2016年1月28日 マスコミに載らない海外記事


公開日時: 2016年1月27日 03:03
編集日時: 2016年1月27日 03:42
Russia Today



ソロス・ファンド・マネージメント会長ジョージ・ソロス Charles Platiau /ロイター


中国共産党の公式新聞は、一面社説で、超億万長者投資家ジョージ・ソロスに、8月以来、5パーセント下落した人民元として知られている自国通貨への信頼を高めようとしている中国元下落に向けて投機をしないよう警告した。


中国共産党の公式新聞、人民日報に掲載された“向中国货币宣战?“呵呵””という見出しで、“人民元と香港ドルに対するソロスの戦争は、成功するまい。これについては疑問の余地はない”と書いている。


社説は、8月以来、通貨は、5.7パーセント下落したが、投資家に人民元はまだ安全な選択肢だと説得しようとするものだ。一方、中国中央銀行は、通貨下落を止めようとして、外貨準備高に手をつけて、何千億ドルも使っている。


更に読む:‘ロシア国家安全保障に対する脅威’だとして、検事はソロス財団を禁止
https://www.rt.com/politics/323919-soros-foundation-recognized-as-undesirable/

彼が先週ブルームバーグTVに、S&P 500や、アジア通貨や、資源依存型経済が駄目になる方に賭けると語った後、中国はソロスに狙いを付けたのだ。ソロスは、中国経済が、リスクオフ市場感情の“根本原因”の一つだと強調し、中国経済のハードランディングを予想していると述べた。


“投資と輸出主導型から、国内需要主導型へと変わるべき成長モデル転換に対処するのを中国は余りに長期放置してきた。だからハードランディングは事実上不可避だ”と、スイス、ダボスでの世界経済フォーラムの際に彼は語った。“私はそれを期待しているわけではなく、そうなると見ているにすぎない。”


中国の経済成長は減速しており、2015年第四四半期は、6.8パーセントで、年率わずか6.9パーセント成長という、25年間で最低の結果となった。


他の中国刊行物も、中国通貨に対する投機戦術への批判を強化している。


“中国資本市場は、投機行為につけこんだり、悪質な空売り行為をしたりという行為により、深刻な危機にあると考えているむきがある。”と、新華社通信は、土曜日に発表した解説で述べた。


中国は混乱を引き起こしかねない投機と戦っている。“見境のない投機や悪質な空売りは、結果として、より高い取り引き経費と、厳しい法的結果に直面する可能性がある”と新華社通信は書いている。


更に読む: ジョージ・ソロス、密かにキエフ訪問
https://www.rt.com/business/222071-george-soros-ukraine-meeting/

現在85歳の超億万長者ソロスは通貨投機家と評価されている。1992年、彼はポンド価値が低下することに賭け、イギリス政府に欧州為替相場メカニズムで、通貨価値を人為的に上げる取り組みをあきらめさせた。ソロスは、この賭けで、まんまと10億ドル儲けた。


1997年のアジア通貨危機前、彼は、タイ・バーツ下落を狙って投機をした。崩壊の原因として、膨大な通貨取り引き、特にソロスをあからさまに非難したアジア指導者もいて、マレーシア・リンギットの崩壊後、マレーシアのマハティール・ビン・モハマド首相は彼を“能なし”呼ばわりした。


記事原文のurl:https://www.rt.com/news/330252-china-warns-soros-currency-war/

人民日報記事の原文urlは下記:


http://paper.people.com.cn/rmrbhwb/html/2016-01/26/content_1650385.htm
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コメント
 
1. 2016年1月28日 01:04:49 : yy7D5jhcis : wI0vtaRP6ac[39]
「ジョージ・ソロス vs イングランド銀行」未だにこんな甘ちゃんなことを言っている。両者が裏で談合していたインサイダー取引だったにきまっているではないか。

2. 2016年1月28日 01:06:26 : gjSWR86AiA : u0glpiXsZGg[221]
ありゃまあ、中共に喧嘩を売りましたか。偽ユダヤの怪人、遂にお陀仏か。
好き放題言っていると、中国人民解放軍に暗殺部隊を送り込まれるぞ。

3. 2016年1月28日 01:10:27 : yy7D5jhcis : wI0vtaRP6ac[40]
中国がGDP成長率のインチキ統計など公表しないで、自国経済のお粗末さを正直で世界に知らせておれば、あんな馬鹿投資が中国に集中することもなかったのだ。鉦や太鼓でありもしない自国の将来性を吹聴して集めたカネは、実態がばれれば一瞬で逃避する。自由市場を通じて集めたカネで良い思いをしておいて、その自由市場でソロスの先売りに怯えるのは滑稽である。所詮自分でまいた種なのだ、、

4. 2016年1月28日 01:15:57 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[214]
ロシア経済危機、ルーブルは史上最安値に
頼みの個人消費も減少
2016年1月28日(木)The Economist


強気を崩さないプーチン大統領は経済状況をどう評価しているのか(写真:ロイター/アフロ)
 ドミトリー・マリコフ氏は、ウェーブヘアがトレードマークの歌手だ。いつもはセンチメンタルなラブソングを歌っているが、最近のビデオ・クリップではロシアの窮状をテーマにした。「ルーブルへの新年の願い」と題した曲で、彼はこう歌いあげる。「そう、今はちょっと苦しい。だがその先に幸せが待っている」「待つんだ、待つんだ、落ちるんじゃない」。
 彼の願いもむなしく、ルーブルは値下がりし続けている。1月には対ドルで85ルーブルを割り、過去最安値を更新した。人々の話題は「経済危機」で持ちきりだ。ニュース番組は冒頭から切れ目なく原油市場の動向を追っている。ロシア正協会の総主教が、毎年恒例のクリスマス・インタビューでルーブル相場について考えを聞かれる始末だ。
 ロシア経済は2015年、苦難の道を歩んだ。原油価格は2014年半ばに天井――1バレル当たり100ドルを超える水準――に達したあと急落。これに伴い、原油・天然ガスに大きく依存しているロシアの輸出と政府歳入は落ち込んだ。GDP(国内総生産)は4%近く減少。インフレ率は13%近辺に達した。
 ルーブルの価値は2014年下期中に対ドルで半分に下落。2015年にはさらに20%値下がりした。ただし、秋には下落のペースが緩やかになった。ウラジーミル・プーチン大統領は「最悪期」は過ぎたと高らかに宣言した。
銀行、石油大手の収益性は改善しているが…
 このところの原油市場の混乱を受けて、ロシア経済が速やかに回復に向かうとの希望は遠のいている。国際通貨基金(IMF)は、ロシアのGDPは今年も1%縮小すると予想している。政府関係者はエネルギーに依存した成長モデルはもはや機能しないことを認識しており、憤懣やるかたない口調で現状を「新たな現実」と表現する。
 だがロシアが2014年末と同様の深刻な問題に再び見舞われる公算は小さい。ロシア企業の財務体質は当時と比べてはるかに健全になっている。例えば、対外債務は2014年以降、3分の1減少した。今から5月までにロシア企業と銀行が返済しなければならない債務の総額は、2014年12月1カ月分の返済額を下回っている。下期の財務状況も同様に余裕がありそうだ。
 銀行部門の健全性は改善しているようにみえる。中央銀行が銀行の資本増強に向けて様々な措置を導入したことや、問題となっている債権に対し処理の先送りを許容したことが奏功した。
 石油大手も通貨下落に立ち向かっている。石油企業は、営業費用はルーブル建てで計上するのに対し、収入の大半はドル建てで計上する。石油・ガス税が累進制であることも、有利に作用している。価格が下落しても、その痛手の多くは国家予算が吸収する形になるからだ。2015年には原油生産が1.4%増加し、過去最高を記録した。格付け機関のムーディーズによれば、国営石油大手ロスネフチ、石油大手ルクオイル、石油大手バシネフチなどの巨大企業の収益性は、2014年よりも高い。
揺らぐ政府の財務基盤
 しかしながら、政府の財務基盤は揺らいでいる。2016年予算は平均原油価格を1バレル=50ドルと想定している。この想定に基づけば、政府財政はGDP比3%の赤字となる。だが、試算してみると、ロシアの財政は待ったなしの状況に置かれている事実が浮かび上がる。原油価格が5ドル下落するごとに、財政赤字はGDP比1%ずつ膨らんでいく。現在の1バレル=30ドルという水準(歳出計画や為替に変化がないと想定した場合)では、財政赤字は恐らく7%に達するだろう。
 プーチン大統領は許容できる財政赤字幅を3%以内としている。これに対応すべく、財務相は10%の歳出削減を検討するよう求めた(国防費と社会保障費は概ね例外とした)。政府関係者は国家資産を民営化する考えを示唆している。
 こうした措置をもってしてもなお、増大する赤字に歯止めをかけるには不十分だろう。国債を発行して赤字の穴埋めをすることも考えられるが、利回りが高くコスト高となる。加えて、1998〜99年にロシアがデフォルトに陥った時の記憶が残っており、エリート層の間には負債を抱えることを避けようとする心理が強く働いている。
 政府は景気調整基金にいつでも手をつけることができる。だが、同基金の残高は1年前の900億ドルからわずか500億ドルに急減している。財政赤字がGDPの6%に達すれば、今年末には同ファンドは底をつくと、野村証券のティモシー・アッシュ氏は警告する。もう1つのファンド――年金不足を賄う用途が想定されている――は700億ドルの残高がある。しかし、その資産の多くは流動性が低く、現金化が困難だ。
 政府の手元資金が不足すれば、プーチン大統領は常套手段となっているルーブル増刷を繰り返す誘惑に駆られるかもしれない。だが、そんなことをすればインフレが激しさを増し、ルーブルの下落に拍車がかかって、ロシア企業と家計の購買力は一層低下する。他方、政府支出を大幅に削減すれば、非石油経済の疲弊が一段と深刻になるだろう。
個人消費は減少、海外からの投資もしぼむ
 ロシアは根本的なクオリティ・オブ・ライフの劣化に直面していると、独立社会政策研究所のナタリヤ・ズバレビッチ氏は指摘する。実質賃金は2014年に4%落ち込んだのに続き、2015年も9%減少した。実質賃金が減少したのは、2000年にプーチン氏が大統領に就任して以来初めてのことだ。

出所:The Economist/Bloomberg
 国民1人当たりGDPは、2013年に約1万5000ドル――ソビエト連邦崩壊後のピーク――だったものが、今年は8000ドル近辺に減少するもようだ。公的統計では失業率はわずか6%にとどまっているものの、賃金の遅配が増えている。2015年には貧困者が200万人以上に上り、食料や衣服を買うお金のない世帯の割合が22%から39%に上昇した。年金は通常はインフレ率に連動しているが、2016年には4%の引き上げにとどまるだろう。
 一方、かつてロシア経済の牽引役だった個人消費は縮小している。昨年11月の小売売上高は、前年同月比13%落ち込んだ。昨年のクリスマスから年始年末にかけて海外旅行に出た人の数は、1年前と比べて30%も減少した。
 一時の現実逃避に逃げ込もうとする者たちも、それが容易でなくなっていることを思い知らされつつある。ルーブル建てのヘロイン(ほとんどはアフガニスタンからの密輸)価格は昨年の2倍になった。
 理論的に見れば、2015年にルーブル相場が25%下落したことは、化石燃料への依存から脱却し、他の産業の成長を促す格好の機会となる。海外企業にとって、今やロシアにおける人件費は中国より安い。だが海外からの直接投資も減少している。2013年初期の400億ドル――四半期ベースで見たピーク値――から、2015年第2四半期の30億ドルにまで落ち込んだ。対内直接投資は危機に陥る前から減少に転じていた。直接投資は間もなく流出超過となる公算が大きい。
 2015年上期に製造業の生産額が前年比5%減少したのも不思議なことではない。農業生産も低迷している。プーチン大統領が主張するように、ロシア経済を襲った深刻な危機の第1章は終わったかもしれない。しかし、一般のロシア人にとって、第2章もさほど明るいものとはならない。
©2016 The Economist Newspaper Limited.
Jan 16th 2016 | From the print edition, 2016 All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、日経ビジネスがライセンス契約に基づき翻訳したものです。英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。



The Economist
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記事は、「地域」ごとのニュースのほか、「科学・技術」「本・芸術」などで構成されています。
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http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/224217/012600055/ 

 

倉都康行の世界金融時評
原油安が暴いた「市場の黙示録」崩れた中国経済と米国金融の二人三脚

2016年1月28日(木)倉都 康行


2016年のダボス会議で中国経済の先行きについて話すブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏(ロイター/アフロ)
 年初早々から世界的な急落地合いに見舞われた株式市場は、1バレル20ドル台に突入して漸くショートカバーが入った原油市場と、追加緩和政策を示唆したECBへの期待感などをきっかけに、下げ止まりへの期待感も見え始めている。だが、前例のない続落基調の株式市場のスタートに、まだ戸惑いを隠せない投資家も多いことだろう。まるで、先頭走者が予想外の失速で躓いた駅伝のようなものである。

 株価下落を誘引したのは中国であったが、その変動を増幅したのは13年ぶりの低水準まで落ち込んだ原油価格であった。供給過剰感の長期化懸念で原油価格に強い売り圧力が掛かり、その下値目途が立たない中で、不透明性を最も嫌がる株式市場にも売りが膨らんでいく。それに輪を掛けたのが、原油安で財政事情が悪化していると見られる産油国に拠る保有資産売却であった。

 原油安にはメリットもある。少し前までは、原油価格が10%下落すれば世界経済の成長率を0.5%程度押し上げる、と教えられたものである。だが2014年秋以来、原油価格は75%も下落したのに世界経済は足踏みしたままだ。むしろ設備投資の凍結や資源国・新興国の景気低迷感が表面化し、株式市場への重石になっている。先進国にも金融危機の後遺症が残る中で貯蓄志向が強まっており、原油安は個人消費増には繋がらない。

 もっとも、原油価格が1バレル20ドル台という水準は、需給バランスの崩れを相当程度織り込んでしまったように見える。需給予想と価格予想は似て非なるものであり、価格は既に先行して底値を確認し始めていると見て良いだろう。一段の下値をトライする可能性もあろうが、株式市場が原油価格の日々の値動きにパニック的な変動を示す異常な光景は、そろそろ終焉に近付いたように思われる。

 但し、それが株式市場の本格的な反転を促すと期待するのは早計だろう。空売りの買い戻しが一巡すれば、再び市場が膠着状態に陥り、新たな下落局面を迎える可能性はまだ残っている、というのが筆者の現在の相場観である。

「クレジット市場」の強烈な下げ

 市場には、金融政策に期待する声も根強い。だが今回の株価急落を通じて、もはや量的緩和の拡大では隠し切れなくなった世界経済の脆弱さが滲み出しており、市場の救世主として奮闘してきた中央銀行の影響力にも限界が見え始めている。

 年明けから人々の視線は原油と株価に釘付けとなったが、激震に見舞われたのはその二つの市場だけではなかった。米国のジャンク債市場と新興国市場という二つの「クレジット市場」がともに強烈な下げに遭ったことは、世界経済に暗い影が忍び寄っていることを示唆している。

 2009年以降着実なリターンを上げてきたジャンク債市場は、2015年に遂にマイナス局面に陥った。昨年末には同市場に投資してきたクレジット・ファンドが3本閉鎖され、今年も清算に追い込まれるファンドが増える見通しである。

 ジャンク債と米国債との利回り格差は上昇中であり、CCC格付け債の平均利回りは18%台にまで上昇、エネルギー・セクターの同利回りは19%台と、2008−9年の金融危機時点の水準を超えてしまった。こうした動向から、年内にも米国が景気後退に向かう確率が30−40%程度に高まってきた、と警戒する向きもある。今回は詳細を語る余裕がないが、米国経済は堅調な雇用情勢とは裏腹に、やや鈍化傾向を見せ始めている。

 ジャンク債で怖いのは、年末のファンド運用報告書を見て解約が殺到する可能性だ、と言われている。これから投資家に手渡されるほとんどのジャンク債ファンドの成績表には、恐らく悲惨な数字が並ぶ筈だ。投資家の解約要請が加速すれば、社債の投げ売りが始まって市況が更に悪化する恐れがある。米国市場では、ジャンク債が放つ経済の先行きに関するメッセージは、株価と同様、或いはそれ以上の重みがあることに注意を払う必要がある。

 更に問題なのは、満期10年以上の投資適格債のうち1000億ドル超が今後2年間でジャンク債へと転落する、との見方が強まっていることだ。UBSはその額を1170億ドル、バークレイズは1550億ドルと試算している。現時点で10年以上の満期を有するジャンク債は約480億ドルと見られており、上記2行の予想に基づけば、それが一気に3倍近くの規模に膨らむという計算になる。

 米国市場に限定すれば、S&PによるBBB格付け社債のシェアは23.5%で、A格は16.6%となっている。ジャンク債保有が禁じられている機関投資家は、全体の約40%を占める社債について見直しを行う必要に迫られることになる。市場には既に利回りが15%前後まで上昇しているBBB格付けの社債も散見されている。

話題に上り始めた新興国の信用収縮リスク

 そして新興国も新たな痛みを感じ始めている。為替市場ではロシアのルーブルが史上最低値を更新中であり、各国の株式市場では軒並み2009年の危機以来の水準へと落ち込んでいる。そして債券市場では過去数年間に急増してきたドル建て債券の返済不能を懸念する投資家の投げ売りが加速しており、欧米メディアにはしばしば新興国の「クレジット・クランチ(信用収縮)」のリスクが話題に上るようになってきた。

 2013年の春以降、新興国市場は米国の金融政策変更を主因とする資本流出懸念から、通貨・株式・債券が売り込まれるという厳しい局面に直面してきたが、年初来の逆風は、実体経済の悪化というファンダメンタルズの理由から発生している。中国経済の予想以上のペースでの成長鈍化の影響が波及し、構造改革の遅れが成長率を押し下げているところに、原油安が産油国の財政を直撃するという新たな不安材料が加わったのである。

 現在、米国債との利回り格差が7%以上の「懸念されるドル建て新興国債」の総額は約2200億ドルと、2008年時点の水準を僅かではあるが、凌駕している。ジャンク債同様に新興国債券市場も、リーマン・ショック当時と同程度のストレスを感じ始めていると見て良いだろう。

再燃する中国「ハード・ランディング説」

 一般的に景気動向への不安感は株価に最も良く表れるが、ジャンク債と新興国債にも同様に警戒感が強まっているのは、原油安と中国不安という二つの要素が絡み合っているからだ。従って、原油が仮に底打ちしたとしても中国経済に対する懸念が残る限り、市場の安定性は担保されない。その中国経済に関し、以前から燻っている「ハード・ランディング説」がじわじわと再燃してきたのは気になるところである。

 先週、ダボス会議に出席した日銀の黒田東彦総裁は、持論である中国経済への楽観的姿勢を維持しながらも、資本規制の必要性を唱えて、中国から押し寄せる大津波のリスクに警戒感を示している。中国に対しては、資本規制ではなく変動相場制への移行を支持する声が強いが、それが大波乱を呼んで海外市場に波及し、日本がデフレに逆戻りすることを、同総裁は恐れているのだろう。

 IMFのラガルド専務理事はこの問題に対して「無益に外貨準備を消費すべきでない」と述べるに止めたが、SDR入りした人民元の先行きに強い懸念を抱いていることは確実である。またハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、中国不良債権比率の実態は公表値の1.5%ではなく6ー8%だと指摘し、銀行の追貸しや当局の黙認姿勢は永続しないとして「想定外の事実が暗闇の中から飛び出てくることに備えるべきだ」とより厳しいトーンで警告を発している。同会議で、ジョージ・ソロス氏が「中国のハード・ランディングは不可避だ」と悲観的なコメントを吐露したのも特筆される。

 人民元に関する先安観も変わっていない。運用総額で世界最大規模のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創設者であるレイ・ダリオ氏は、クレジット・サイクルの最終局面でも中国の新規融資がまだ増加傾向にあるのは驚きだとして、昨今の資本流出ペースは人民元が今後25%程度下落する可能性を示唆している、と警鐘を鳴らしている。ゴールドマン・サックスのブランクフェインCEOも、人民元が大幅下落するかと聞かれれば私の答えはイエスだ、と述べている。

 中国当局は、国内貯蓄の大きさや外資依存度の低さなどを挙げて「危機に直面している新興国とは違う」と反論し、人民元は対ドルではなく通貨バスケットで適正水準を維持することを政策目標に置いている、と強調しているが、問題は、市場の誰も中国の言い分を信用していないことである。当局の締め上げで仮に投機筋の人民元売りが一旦収まっても、その動きはいずれ復活するだろう。

株価急落は金融政策の残滓

 だが、株価急落の原因を原油安と中国不安だけに求めるのはバランスを欠く。2015年までの株高の源流を生成し、新興国への急激な資本流入を加速したのはFRBを筆頭とする先進国中央銀行の金融政策であるからだ。量的緩和は、デフレ・スパイラルを防いだと評価されているが、一方でリスク資産価値を過剰なまでに持ち上げたことも事実である。それが中国に代表される新興国の「クレジット・バブル」を招いたことは否定できない。

 年初来の株価急落は、原油安を媒介として噴き出した金融政策の残滓に他ならない。つまり、量的緩和という異形の金融政策が持ち上げたリスク資産の価値修正過程を、世界中のプロが読み損なったのが年初来の株式市場の展開なのである。言い訳に聞こえるかもしれないが、前例がないことは予想のしようもない。投資家だけでなく銀行や証券会社も、そして当事者である中央銀行すら1月の荒れ模様は予想できなかったのである。

 隠されていた真実が暴かれたという意味で、世界経済の中に潜んでいた「市場の黙示録」が表面化したと言っても良いかもしれない。その黙示録に描かれていたのは、金融危機対策として中央銀行が生み出したマネーが大量に中国に流れ込み、不動産からコモディティに至るまで信用バブルを発生させ、各国の株価を実力以上に押し上げて、あたかも金融危機が終焉したような錯覚を人々に抱かせていた、という世界像である。

 目を覚ましてみれば、資源・穀物などの貿易動向を反映するバルチック海運指数は2008年の水準を割り込んで1985年の統計開始以来最低水準の300台まで急落している。その現状は、極めてデフレ的である。2008年の再来を危惧するジョージ・ソロス氏や長期停滞論で米国利上げの愚を批判し続けるローレンス・サマーズ氏に続き、オズボーン英国財務相も「危険のカクテルに注意せよ」と、国民に警戒を呼び掛けている。欧米市場はいまや臨戦態勢モードである。

 なんと悲観的な、と思われるかもしれない。株式市場にそれほど強気でない筆者自身も、2008年の再来が現実のものになる可能性は極めて低いと思っている。だが、中国経済と米国金融の怪しげな二人三脚の構図が崩れた以上、日本政府・日銀が示すような経済成長の持続性を期待するほど楽観的ではない。

「中国が全く信用できない」とファンドが運用停止

 最近、なるほどと思った話題が一つあるので、それをご紹介して話を締めくくることにしよう。それは、英国系のネフスキー・キャピタルという、過去15年間で平均18%という高いリターンを上げていたファンドが、突然運用停止を発表した「事件」である。その運用責任者であるマーチン・テイラー氏が投資家に送った手紙には「残念だが、もはや合理的な投資判断をすることが出来なくなった」と記されていた。

 同氏はその理由として、株式市場における三つのリスクを挙げている。一つ目は低金利を利用したレバレッジ(負債比率)が急速に高まって主要な米国企業の財務力が低下し始めていること、二つ目は高頻度取引などアルゴリズム運用に占有されたことで株価動向や流動性の不透明感が強まっていること、そして三つ目は中国やインドの存在感が急上昇しているにもかかわらずその経済統計が全く信用できないこと、である。

 それぞれ重要な指摘であるが、注目したいのは三つ目、特に中国に関する不透明性だ。この点に同意する投資家は少なくないだろう。先進国の市場は昨年来、原油だけでなく中国にも振り回されてきたのである。

 実際には、中国の成長率が多少下がっても、或いは銀行経営に支障が生じても、具体的な津波の影響は限定的だという見方が強い。特に金融システムに関しては、閉鎖的な中国金融とグローバルな金融との接点は薄い。にもかかわらず、中国の株価や人民元が変動するたびに市場が揺れるのは、世界中の投資家が「中国経済の実態は訳が分からない」という不安感に苛まれているからだろう。

 中国という伏魔殿から何が出てくるのか、正直言って分からない。世界の金融を牛耳るイエレンFRB議長にも、大国主義を振りかざす習主席にも、魔物をすべて退治する力はないかもしれない。そんな不安が今後何年間も続くとすれば、テイラー氏のように資産運用業を止めたくなるプロも増えるのではないか。株式市場が多少落ち着いたとしても、それが「偽りの夜明け」に終わる可能性には常に留意しておきたいものである。

このコラムについて
倉都康行の世界金融時評

日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/230160/012500009/?ST=print


 

日米両首脳はなぜ中国の脅威から目を背けるのか
安倍首相もオバマ大統領も現状認識が甘すぎる
2016.1.28(木) 北村 淳
ロケット軍など新設=軍大規模改革が始動−中国
中国・北京の天安門広場で行われた軍事パレードに参加した中国軍の大陸間弾道ミサイル「DF(東風)5B」(2015年9月3日撮影、資料写真)。(c)AFP/ROLEX DELA PENA〔AFPBB News〕
?安倍首相の施政方針演説では、日本を取り巻く緊迫した軍事情勢と、それに対する政府の基本方針が全く語られなかった。さすがに安倍政権寄りの一部日本メディアも、その姿勢には少なからぬ危惧の念を表明していたようである。

?だが、それらのメディア以上に不満を口にしているのが、極東軍事戦略に携わるアメリカの軍事関係者たちだ。

日本を取り巻く不穏な情勢への言及は?

?米海軍関係大学院で極東戦略の教鞭をとる退役将校は次のようにこぼす。

「安倍政権は昨年、国民的議論として盛り上がった安全保障関連法案を成立させた。その際、せっかくリーダーシップを発揮した(アメリカの軍関係者たちの目から見てだが)にもかかわらず、その後は日本の具体的な国防政策に目立った動きが見られない。安倍首相の施政方針演説でも、安全保障関連法制に基づいた国防戦略や具体的方針などへの言及がなされなかった。

?アメリカと違って、スローテンポでじわりじわりと政策転換を進めていくのが“日本方式”なのかもしれない。しかし、日本を取り巻く軍事情勢は急展開している。日本国内の内政問題と違い、相手が外国勢力である軍事外交に“日本方式”は危険ではなかろうか?」

?たしかに、昨年(2015年)末から正月を挟んでのわずかの期間だけでも、以下のような出来事が立て続けに起きている。

(1)中国海警局の重武装巡視船が尖閣周辺海域に出没を繰り返す。

(2)中国海警局の超大型“モンスター巡視船”が尖閣周辺海域と南沙諸島海域に同時に展開できる態勢が整う。

(3)南沙諸島の中国人工島に建設されていた3000メートル級滑走路が運用可能な状況に立ち至った。

(4)北朝鮮が水爆実験と称する核実験を実施した。

(5)中国人民解放軍が、日本が大金を投じてアメリカと共同配備を進めている弾道ミサイル防衛システムを打ち破る能力を持った極超音速グライダーの開発に成功していたことが確認された。

(6)日本を射程圏に収める各種長射程ミサイルを開発し配備する司令塔である「人民解放軍第二砲兵部隊」が「人民解放軍ロケット軍」に改組され、さらに強化された。

(7)ロシアが中国人民解放軍に対して、世界最強戦闘機の1つと言われているSu-35戦闘機の本格的な供給を開始した。

?このように日本に直接悪影響を及ぼしかねない軍事情勢だけでも、次から次へと発生しているのである。

?しかしながら施政方針演説では、日本の領土領海が脅かされている東シナ海情勢についてまったく触れなかった。日本に対する様々な軍事的脅威を強めつつある中国人民解放軍についての言及もなされず、南沙諸島をはじめとする南シナ海情勢も無視された。

2013年に本コラムに掲載した人民解放軍の長射程ミサイル(弾道ミサイル、長距離巡航ミサイル)による対日攻撃態勢図。このような対日攻撃準備は現在も強化されている。そして、移動式地上発射装置によって地上からのミサイル攻撃を担当する「第二砲兵部隊」は2015年12月31日をもって「ロケット軍」に格上げされた。また、日本とアメリカが取り揃えている弾道ミサイル防衛システムを打ち破るための極超音速グライダーも開発されている。
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オバマ大統領も中国軍の動向に触れず

?南沙諸島での人工島建設や軍事拠点の設置をはじめとする中国による南シナ海支配態勢の加速度的進展状況に関しては、アメリカのオバマ政権も口をつぐんでしまっている。

?安倍首相の施政方針演説に先立つ1月12日に行われたオバマ大統領の“最後の”一般教書演説(アメリカ版施政方針演説)でも、一般教書演説としては珍しく国防問題に関してはあまり言及がなかった(安倍首相の施政方針演説よりも、演説全体に占める割合は大きいが)。

?さすがにIS(イスラム国)を中心とする対テロ戦争に対しては詳しく言及し、IS壊滅に全力を投入するという意向は明言した。しかしながら、具体的にどのような戦略を実施するかについては語ることはなかった。

?そしてオバマ大統領は、アメリカ(とりわけ政治サークル)にとって伝統的に東アジア情勢よりも関心が高いイスラエル・パレスチナ問題に対しても触れなかったため、一部の親イスラエル派などでは、「オバマ大統領のイスラエル潰しが加速された」といった反発すら生じている。

?アメリカの大多数の政治家や軍関係者たちにとって最大の国防問題は中東問題・対テロ戦争である。しかし、それらに対してすら、米海軍関係者の口を借りると「ほとんど中身のあることは述べられていない」

?したがって、オバマ大統領が今回の一般教書演説で、中国や北朝鮮の軍事動向、あるいは中国・北朝鮮周辺の同盟・友好諸国に対する軍事的脅威に関して触れることがなかったのは当然だったと言えよう。

「アメリカは弱体化していない」とオバマ大統領

?もっとも、オバマ大統領は「世界最大規模の軍事予算を支出しており、人類史上最も優れた軍隊を要するアメリカは、依然として世界最強の軍事大国である」と明言した。そして「(中国やロシアなどの)仮想敵国が強力化しつつあるのに反して、アメリカが弱体化している」という“レトリック”は、「間違っているにもほどがある!」と3度も繰り返している。

?しかしながら、アメリカ海軍関係戦略家たちの間では、アメリカ海軍力の低下が真剣に取り沙汰されている。そして、それ以上に海兵隊や陸軍など地上戦力での戦闘力低下に対する危惧の声が上がっていることも事実である。

?もちろん、軍内部からのそのような声があがるのは、予算確保と人員削減への牽制、といった思惑がないわけではない。しかしながら、軍事関係シンクタンクや軍教育機関の研究者の多くも、オバマ大統領が切り捨てた「敵勢力が強力化しつつあり、米軍戦力が弱体化しつつある」という“レトリック”を、具体的データを基にして論じている。

?例えば、「中国が南シナ海で人工島を7つも建設した」「軍用滑走路を3本も完成させた」「アメリカ空母を撃破する対艦弾道ミサイルを実用化した」「アメリカの弾道ミサイル防衛システムを打ち破る極超音速グライダーの開発にこぎつけた」といった数々の事実が、今、アメリカの眼前に突きつけられている。

?そうしたいずれの脅威も「世界最強のアメリカ軍にとっては恐れるに足りないため、一般教書演説では無視し去ったということなのだろうか?」と、オバマ大統領の対中姿勢に対する疑問の声も少なくない。

頼みの綱のアメリカが本当に抑止力となるのか?

?ある米海兵隊関係者は次のような疑問を呈する。

「安倍政権は、南沙諸島をめぐりオバマ政権がようやく重い腰を上げて踏み切ったFONOP(公海自由航行原則維持のための作戦)への支持を表明している。それにもかかわらず、施政方針演説では南シナ海問題には一言も触れていない。

?それでいながら、『日米同盟を強化して抑止力を維持していく』ことが安倍政権の国防政策の根幹であると強調していた。日本国防当局は、“沖縄の基地問題”というローカルポリティックス、あるいは地方の不動産問題を解決することが日米同盟強化にとって最大の懸案と思い違いしているのではないのだろうか?」

?たしかに日本政府、とりわけ安倍政権にはあまりにも現状を甘く見ている姿勢が見受けられる。「日米同盟という“枠組み”が波風立たずに維持さえされていれば、アメリカ軍という“虎の威”に中国は恐れをなして、日本に対する軍事攻撃や軍事的圧迫を思いとどまる」と考えていると見なされても致し方がない。

?しかし、いくらオバマ大統領が「現在もアメリカ軍が世界最強である」と強調しても、東シナ海戦域、南シナ海戦域、東北アジア戦域といったように、局地的軍事紛争を考えた場合には「アメリカ軍最強論」こそレトリックにすぎない状況になりつつある。

?今回の安倍首相の施政方針演説だけが日本の国防政策の表明ではないが、「日本自身がどのような国防戦略を実施するのか」という基本方針を明確にしないで、ただ「日米同盟を維持することによって抑止力を確保する」と繰り返しているだけでは、決して真の抑止力は生まれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45891


外は国境紛争、中は腐敗、中国が抱える政治問題
中国のビジネスリスク(1)
2016.1.28(木) 茂木 寿
北京の日本大使館前で反日デモ、15日に続き
日本政府による尖閣諸島国有化を受け、北京の日本大使館そばで行われた反日デモ。(2012年9月16日撮影)。(c)AFP/GOH CHAI HIN〔AFPBB News〕
?日本企業にとって中国は非常に重要な国である。例えば、2014年10月時点の中国への進出企業数は3万2667社で、全世界(6万8573社)の約半分を占めている。在留邦人数も13万人を越え、米国についで2番目となっている(進出企業数・在留邦人数の出典は外務省)。

?また貿易相手国としては、2014年の日本から中国への輸出額は米国に次ぎ2番目である。中国から日本への輸入額は全輸入額の2割を超え、ダントツの1位となっている。

?このように、日本と中国との経済的な結びつきは強く、日本にとって中国は極めて重要な国であると言える。そこで今回から8回にわたり、中国におけるビジネス上のリスクについて見ていく。

?取り上げるのは、政治問題、経済問題、社会問題、労務問題、自然災害、治安問題(暴動・テロ等を含む)、コンプライアンス問題(PL・競争法違反等)、現地でのオペレーションに関わる問題(インフラ問題、火災・産業事故・労働災害、医療・感染症、交通事故など)についてである。第1回の今回は中国の政治問題を取り上げたい。

国境紛争と民族問題

?中国の政治における最大の特徴は、社会主義国家でありながら市場経済(中国型資本主義)を導入している点である。

?4つの基本原則──(1)社会主義の道、(2)人民民主独裁、(3)共産党の指導、(4)マルクスレーニン主義・毛沢東思想の堅持等──は憲法にも明記されており、時代の移り変わりと共に徐々に変容しているものの、これを堅持する姿勢は変わっていない。

?そのため、中国では多党制が否定され、実質的な一党独裁体制であり、三権分立も否定されている。同時に、私有財産制も否定されているものの、実際には市場経済の導入に伴ない、現在では非常に大きな所得格差が発生している。

?一般的に大国と言われる国は多くの国境を有しており、それに伴い周辺国との間で国境紛争を抱えていることが多い。中国の国境の数はロシアと共に世界で最も多いとされている。実際に中国は日本との尖閣諸島問題の他、西沙諸島(パラセル諸島)問題、南沙諸島(スプラトリー諸島)問題、インドとの国境問題など、多くの国境紛争を抱えており、そのことが諸外国との外交問題を誘発している。

?北朝鮮に関しては、同国の国際社会の孤立化と不安定化に伴う問題にも腐心しており、極めて難しい対応を迫られている。また台湾問題についても、香港・マカオにおける1国2制度を基に台湾との融合を図っているが、台湾市民の多くが懸念を有している。そのため、中台関係についても慎重な対応を迫られている。

?大国は一般的に民族・文化・言語などが多様化しており、多民族国家となっていることが多い。中国も、主要民族である漢民族が91.6%(米国CIA)を占めているが、55の少数民族が認められており、各自の言語、文化を維持する権利が保証されている。一方で、一部民族(ウィグル族、チベット族、モンゴル族等)は、分離独立・高度な自治権を求める動きを続けており、テロなどの過激な活動が発生している状況である。

最大の政治問題は深刻な腐敗・汚職

?大国は、連邦制が敷かれ、行政組織が階層化されていることが多い。中国においても中央政府・省・市・県・郷(鎮)・村等からなる重層組織となっており、そのそれぞれに公務員がいる。また、そのそれぞれに共産党委員会が設置されており、同様に多くの関係者が配置されている。そのため、各層の権限等も細分化されていることから、汚職行為が発生しやすい。

?汚職・腐敗問題に対する一般市民の不満は大きく、年間20万件以上発生するとされる暴動等の大きな原因ともなっている。汚職・腐敗の問題は中国における最大の政治問題であると言える。

?外国公務員への贈賄禁止については、OECD外国公務員贈賄防止条約が1999年2月に発効し、OECD加盟国を中心に現在約40カ国が同条約に締約しており、国際社会でも取り組みが図られている。

?同条約の締約国は、外国公務員に対する贈賄などを禁止する国内法を制定している。特に米国では連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)に基づいて日本企業を含む多くの海外企業を摘発し、巨額な罰金を課すケースが数多くある。

?米国で摘発された例では、汚職・腐敗が実行された国の大部分が新興国である。特に中国で実行されたケースはナイジェリアと共に最も多くなっている。そのため、中国において、企業の対応如何によっては米国等から摘発される可能性が大きく高まることに十分留意する必要がある。

?一般的に、中国では国営企業の関係者を含めると、国民の20人に1人は公人とも言われる。そのため、ほんの一部の汚職行為であっても、件数的には非常に大きなものになると言える。例えば、Transparency Internationalが毎年発表している腐敗認識指数のランキング(ランキングが下がれば下がるほど腐敗している)で中国は175カ国中100位となっており、年々ランキングを下げる傾向となっている。

?習近平国家主席は2013年の就任以降、汚職撲滅に向けた取り組みを加速し、共産党および国有企業等の幹部クラスの摘発を大々的に進めている。しかしながら、汚職対策がトップダウンによる訴追・処罰に重点を置く形態となっていることから、実効性については、疑問視する向きも多い。

山積する政治問題

?中国では、1989年6月4日の天安門事件(六四天安門事件)以降、中国共産党の正当性とナショナリズム高揚のため、愛国主義教育が推進された。特に歴史教科書では日中戦争に関する記述が多く盛り込まれている。そのため、靖国神社参拝問題、日本の歴史教科書問題等の政治問題への対応については、(日本に対し)強硬な姿勢を堅持している。

?また、最近においては、大規模な対日抗議活動(反日暴動)が2005年4月、2010年9〜10月、2012年8〜9月の計3回発生している。特に、3回目の2012年8〜9月に発生した反日暴動では多くの日本企業が襲撃を受け、被害を受けた。その他、対日本の輸出入の通関が遅延したり、労働許可がなかなか認められない等の経済的な問題も発生している。

?さらには、既述の尖閣諸島問題、東シナ海のガス田開発問題などもあり、日中間の政治問題は山積している状況である。

(本文中の意見に関する事項については筆者の私見であり、筆者の属する法人等の公式な見解ではありません)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45855

中台関係:独立の幻覚と流れ去る雲
2016.1.28(木) The Economist
(英エコノミスト誌?2016年1月23日号)

台湾の選挙の好ましくない結果に応えるうえで、中国には良い選択肢がほとんどない。

蔡氏、対日FTAに意欲=台湾
1月16日、台湾総統選で当選し、台北で手を振る最大野党・民進党の蔡英文主席〔AFPBB News〕
?「長征」を経験した中国共産党指導部の第一世代は常に、一刻も早く台湾が本土と「再統一」するのを見届けたがっているようだった。敗北した国民党が最後の砦として台湾に閉じ込められる形で1949年に終結した国共内戦でやり残したこの仕事は、自分たちの未熟な後継者に任せるには神聖すぎる任務だった。


?だが、最後の長征経験者が死に絶えた今も台湾は事実上独立しており、本土復帰の期限も定められていない。

?現在の第五世代の指導者である習近平氏は2013年、中国の忍耐は限界に近づいている、問題をいつまでも次世代に引き継ぐことはできないと述べた。習氏は政治対話を求めた。

?だが、1月16日の台湾の選挙の結果は、このような対話――そして再統一そのもの――がかつてないほど遠のいたことを示している。習氏は、過去数世紀で最も強大になった国の、過去数十年間で最強の指導者だ。だが、今回の結果について習氏に何ができるのかは定かでない。

台湾の選挙結果が意味すること

?中国は今でも、台湾が正式な独立を宣言するようなことがあれば、力ずくで台湾を奪い取ることも辞さない構えだ。最終的な再統一という目的を放棄できる指導者はいない。習氏にとっては、再統一は国民の誇りと威信を完全に取り戻す「中国の夢」の一部だ。

?だが、台湾に対する中国のアプローチは時に驚くほど現実的だった。冷戦時代には、1日おきに砲撃する予定を立てるのが常になっていた。もっと良好な時期には、両岸は正式な関係が何一つないまま、繁栄する経済関係を保っていた。

?中国の台湾戦略は近年、こん棒で殴るより、ご機嫌を取ることに大きく依存してきた。特に馬英九総統が2008年以来担った8年間の政権は、中台経済統合を拡大・強化する合意を立て続けに結んだ。だが、国民党の中国寄りの政策が台湾経済に活気を与えられなかったと受け止められたことが、台湾独立運動にルーツを持つ民進党が選挙で圧勝する大きな要因になった。

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[あわせてお読みください]
台湾の政権交代は米国の対中政策をどう変えるのか (2016.1.27 古森 義久)
蔡英文の総統選勝利に苦虫、何もできない中国 (2016.1.26 阿部 純一)
問題だらけの荒海にこぎ出す中国 (2015.11.11 Financial Times)
ミレニアル世代:若く、才能に富み、抑圧される人々 (2016.1.26 The Economist)
中国人民元:戦いか、それとも逃避か (2016.1.22 The Economist)
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次のページ ?だから今回の選挙結果は、台湾がいつか本当に「中国の…
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45907


5. 2016年1月28日 01:33:30 : RuhmRq4B2c : qgWDTn3hi8U[8]
中国人民日報、米投資家ソロス氏の人民元・香港ドル下落予想に反論
2016年 01月 26日 15:37 JST

[北京 26日 ロイター] - 中国の人民日報(海外版)は26日付の1面で、米著名投資家のジョージ・ソロス氏が人民元CNY=CFXSと香港ドルCNY=CFXSの下落を見込んでいることに対し反論する商務省調査担当者の意見記事を掲載した。

記事は「ソロス氏の元と香港ドルへの挑戦が成功することはないだろう。そこに疑いの余地はない」と主張。中国経済の成長鈍化、元安、株式相場の不安定化にもかかわらず、ファンダメンタルズは引き続き健全であると反論した。

ソロス氏は21日にブルームバーグTVで、中国経済のハードランディングは不可避であり、世界的なデフレにつながる恐れがあるとの見方を表明。米S&P総合500種をショートに、米長期国債をロングにしていることを明らかにしていた。この際、元と香港ドル相場には特に言及していない。

http://jp.reuters.com/article/china-economy-speculation-idJPKCN0V40G7


6. 2016年1月28日 02:50:03 : JppZzr3TOU : pN7EjJ2SbEg[1]
そもそも安泰なら反論する必要すらない
現実がヤバいことを白状しているようなものだから
やはりハードランディング必定でしょうな
それとも戦争おっ始めてうやむやにするのか?

7. 2016年1月28日 07:22:40 : Qk0z0gVGLY : lQZkNLxHm_4[141]
“投資と輸出主導型から、国内需要主導型へと変わるべき成長モデル転換に対処するのを中国は余りに長期放置してきた。だからハードランディングは事実上不可避だ”と、スイス、ダボスでの世界経済フォーラムの際に彼は語った。“私はそれを期待しているわけではなく、そうなると見ているにすぎない。”


いやいや、期待してるでしょw

まあこの手のやからに世界中が振り回されることのないように
なにか国際的なルールを決めるしかないかなあ。

しかも、こういう奴(ソロス)は自分が絶対安全な場所にいて他人が戦争
することに何も感じない。他人の痛みがわからないバカに鋏をもたせては
いけないよ。


8. 2016年1月28日 11:12:39 : VhcWCqQyjI : wUNgMVUfuPU[1]
英国中央銀行とソロスが実はオトモダチで、裏でつるんだ「オトモダチ作戦」というまさに田舎芝居だった---かどうかはわからない。

9. 2016年1月28日 11:43:07 : Yges1hQEml : WpDE6P0N77M[1]

ソロス氏への警告ということらしいが、小生はこのように受け止めている。

どうぞ、ご自由に!

私達は、米国債を売りますよ。

元取引で得る利益よりも失うもののほうが大きいのではないですか?


10. 2016年1月28日 19:56:24 : 0DLtpmeERQ : QakRmk3nqRE[3]
ロシアに続いて中国からも追い出されたわけだ。
http://jp.sputniknews.com/politics/20151130/1250834.html
鼻つまみ者だよW。

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