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サンダース旋風がヒラリーに与える「党内外圧」 スーパーチューズデーの焦点≪民主党編≫
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/746.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 02 日 08:33:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

民主党の大統領候補を争うヒラリーとサンダース。スーパーチューズデーの見どころは?〔photo〕gettyimages


サンダース旋風がヒラリーに与える「党内外圧」 スーパーチューズデーの焦点【民主党編】
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48069
2016年03月02日(水) 渡辺将人 現代ビジネス


渡辺将人(北海道大学)


■サンダース旋風の「生みの親」


スーパーチューズデーでヒラリーがリードを広げた場合、サンダース旋風なるものは陳腐化するのか。選挙が勝敗だけを決めるものであるならばそうだろう。


しかし、以前の論考でも指摘したように、アメリカでは政党の公認候補を政党幹部で決めず、予備選で有権者が決めるというオープンな制度を採用している。勝敗だけが目的ではなく、長期間のキャンペーンを通して、候補者や支持者が党内とメディアで議論を喚起し、党の方向性を形成していく。ときには政党支持者の入れ替えという「政党再編成」にまでつながる。


前々回の論考「『サンダース旋風』で深刻化する民主党内の亀裂」で紹介したキーポイントのうち、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員の存在に絞って「旋風」の文脈を考えてみたい。


* * *


約1年前にアイオワ州の地元紙「デモインレジスター」が両党有権者を対象に実施した世論調査では、民主党はヒラリーが独走状態だった。支持率はヒラリーが56%で、サンダースはわずか5%。16%で2位につけていたのはサンダースではなくウォーレン連邦上院議員だった。



エリザベス・ウォーレン連邦上院議員〔photo〕gettyimages


「サンダース旋風はウォーレンなしには生まれなかった」というのが民主党内の共通理解だ。


ウォーレンの「反ウォール街」的な立場に共鳴するリベラル派有権者は、ウォーレンが出馬しないことが分かると、行き場のないエネルギーをサンダース支援運動に転化させた。ウォーレンが出ていればサンダースは泡沫のままだし、サンダース・サポーターかなりの部分はウォーレンの支持層だ。


破産法の専門家としてハーバード大学ロースクール教授を務めていたウォーレンは、大学教授出身なのに「学者的ではない、活動家的な政治家」として認知されている。債務者の側に立つ消費者保護運動で金融機関と対峙してきた。


ウォーレンが強いのは「物語」を持っていることだ。アメリカで指導者になろうとする人には能力以上に、起伏のある「物語」が欠かせない。


労働者の家庭に生まれたウォーレンは、自身曰く「それしか得意なことがなかった」と自嘲するほど高校時代はディベートで活躍し、その奨学金で大学に入学。堅物な秀才型ではなく情熱的な性格でもある。恋に落ちた男性との結婚を優先し(当時19歳)、せっかくの奨学金を投げ出して中退。後に入り直した別の大学を卒業した。22歳で出産し、離婚後は再婚までの間シングルマザーでもあった。


オバマ大統領に近いある民主党戦略家は筆者にこう解説する。


「サンダースは知識人的進歩派(an intellectual progressive)だが、ウォーレンは経験的進歩派(an experiential progressive)だ。破産した人々の声にずっと耳を傾けてきた。医療、破産、離婚という3つが害悪になっていること、銀行のシステムが中間層を破壊したことを見てきた。


サンダースは知識人だ。ウォーレンは格差を生きてきた。経験してきた。それは違う意味での正統性を醸し出す」


ヒラリーと部分的には重なる「物語」を持つウォーレンだが、ライフワークの金融規制では原理的で、オバマ政権のTARP(不良資産救済プログラム)監視パネルでもガイトナー財務長官らと激しくやりあった。


オバマ大統領側近のピート・ラウスらの説得を受け、2012年の連邦上院選に出馬。亡くなったエドワード・ケネディ上院議員の議席を共和党から取り戻した。


まだ1期目だが、議員になる前の経験の厚みがそれを感じさせない。


ちなみにオバマも上院1期目で大統領になったが、今回共和党で善戦しているルビオ、クルーズもいずれも上院1期目。「反エスタブリッシュメント」「反ワシントン」が好まれる昨今、連邦議員で再選を重ね過ぎると大統領のチャンスからは遠ざかるという妙な傾向がある。


■「バーチャル候補」として「内圧」を与える


サンダースと違ってウォーレンは女性でもあり、ヒラリーにはより脅威だった。


ウォーレンはブルーカラー、高齢者、アフリカ系の女性などすべてのリベラル有権者に人気があり、アフリカ系票で苦戦するサンダースよりも強力な候補になっていた。サンダースの民主社会主義路線に眉をひそめる民主党支持者も、不思議と「ウォーレンなら投票する」と答える。


そのウォーレンはあえて今回出馬しないで、外からプレッシャーを与える役割に徹している。「ニューヨーカー」誌の政治記者ライアン・リザは、ウォーレンを「バーチャル候補者」と名付けている。


すなわちサンダースは、反格差、反ウォール街をめぐる「表の候補」で、ウォーレンが「見えない候補」「バーチャル候補」として、ヒラリーと民主党中道派にリベラル寄りになるように外圧ならぬ「内圧」を与えてきた。


結果、ヒラリーは経済政策ではTPP反対、キーストーンパイプラインにも反対と経済ポピュリズム路線を採用せざるを得なくなり、今やサンダースと表面上の政策は、銃規制や安保以外では違いが薄くなってきている。


誤解を恐れずに言えば、サンダースを支持する活動家達の真の狙いは、サンダースを大統領にさせること自体にはない。それは不戦勝的な展開でもない限り「ロングショット」(高望み)であることは、民主党内のリベラル派であってもオフレコ前提ならほとんどが認める。


「政治革命」運動の狙いは、大統領選挙を通してリベラル派の支持基盤を活性化して、党内の主流政策を左に引き寄せることだ。本選でさりげなく中道に戻る際のエクスキューズが見当たらなくなるほどに、政策転換の言質を取ることである。そして将来的に別の選挙年にチャンスがあれば、ウォーレンが勝ちに行く「表の候補」として出る。


これがサンダース=ウォーレン派の2段階のリベラル革命であり、ヒラリーはサンダースとの代理戦に手を焼いている一方で、「見えない候補」のウォーレンとその支持層と刃を交えている。


■穏健派vsリベラル派の「党内」抗争


2大政党制のアメリカでは政党内のイデオロギーの幅はとてつもなく広い。政党の路線争いは今に始まったわけではない。


民主党は1930年代から1960年代後までニューディール政策を柱にした労働者寄り政党だったが、1960年代以降、公民権運動、ヴェトナム反戦運動、女性解放運動など「運動の季節」が到来。ニューポリティクスと呼ばれる高学歴層の党内発言力が高まり、環境保護運動、消費者運動なども台頭した。


だが、急激な左傾化は無党派層や社会の「主流」には受け入れられず、民主党は1980年から3回連続で大統領選挙に敗北した。経済と福祉の行き詰まりが経済成長を鈍化させ、インフレ率と失業率が上昇。レーガン政権を誕生させた。


危機感を強めた民主党は、ホワイトハウス奪還のために党の方針の修正に踏み込み、経済成長と国際的競争力を重視するニューデモクラットが台頭した。その象徴がビル・クリントンだった。


クリントン政権は、再分配から経済成長への優先の転換、財政規律の回復、国際競争力増大への自由貿易推進、特定の産業を振興する政策を推進した。労組や環境団体が反対していた北米自由貿易協定(NAFTA)を1994年に発効させたほか、1996年の福祉改革法では要扶養児童のいる家庭への扶助給付制限にまで踏み込んだ。


しかし、2000年代半ば以降、ニューデモクラット運動は同派の幹部がイラク戦争を支持したこともあり低迷。リベラル派が党内の実権を握るようになった。


ペローシの下院議長就任、オバマ政権の誕生、ウォーレンの上院当選、サンダース旋風は、党内の穏健派へのリベラル派の巻き返しの系譜に連なる。


その意味で、サンダース旋風は別段「突然変異」ではない。唯一「異変」と言えるのは、民主党の外側にいた独立系の「外れ者」が、その系譜に参入してきたことだ。


■焦点はヒラリーの「勝ち方」


もちろん、トランプ旋風との相互作用も今回のサンダース旋風を後押しした。


トランプのイベント会場では必ず若者が抗議活動をしているが、筆者がアイオワで訪れたトランプの演説会では、演説中のトランプがトマトを投げられる事件もあった。犯人はその場で逮捕された。


興味深いのは、彼ら「反トランプ」デモの主体の少なからずが、サンダース支持者であることだ。彼らは座り込みの際に「サンダース」のサインやTシャツを隠さない。トランプが台頭すればするほど、サンダース支持の若者が「反移民」的なトランプに怒りの声を上げ、それが左派旋風を動かしている。


いずれにせよ、サンダースが指名を取る可能性が高くはない中、焦点はサンダースの「粘り方」、ヒラリーの「勝ち方」になる。サンダースが勝者総取りではない、比例配分州のうちに代議員をどれだけ獲得できるかだ。ヒラリーは特別代議員を上乗せすれば、容易に勝利できるが、理想論としては特別代議員の積み増しなしでサンダースに圧勝しておきたい。


「特別代議員はワシントンのエスタブリッシュメントであり、草の根の民意ではない」という声が高まれば、サンダース支持者を本選で囲えなくなる。つまり、スーパーチューズデー以降は、ヒラリーにとって、勝敗のみならず、民主党候補としての「正統」の説得性を高める戦いになる。


サンダースは指名が取れなくても、代議員数で相当程度の善戦をすれば、「ヒラリー独走へのノーの意思表示がこれだけ党内にあったのだ」と言えるわけで、ヒラリー陣営も本選に向けた中道回帰を乱暴には進められなくなる。


2人しか候補者がいない民主党予備選で、表面的な勝敗をウォッチしてもあまり意味がないとも言えるが、「粘り方」「勝ち方」が定義する民主党内の空気は、TPPの連邦議会批准を始めとした諸政策の動向に影響を与えることが予想され、注視しておくべきだろう。


渡辺将人(わたなべ まさひと)
1975年東京生まれ。北海道大学大学院准教授。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)取得。ジャニ ス・シャコウスキー米下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部を経て、テレビ東京入社。「ワールドビジネスサテライト」、政治部記者として総理官 邸・外務省担当、野党キャップ。コロンビア大学、ジョージワシントン大学客員研究員を経て現職。『見えないアメリカ』(講談社現代新書)、『現代アメリカ選挙の変貌』(名古屋大学出版会)、『アメリカ西漸史』(東洋書林)など著書訳書多数。


 

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