車体寸法、エンジンのサイズが厳しく制限されている軽自動車など、デザインも似たり寄ったりの製品ばかりだ。本来なら、車種を減らして商品バリエーションも少なくし、少ない車種を大量販売するしか方法はない。初代スズキ・アルトが典型的な例で、スズキの成長を支える原動力になった。

それが今や軽自動車の車種が増えすぎ、アフターサービスに伴う補修部品の種類も増える一方。スズキは以前より軽自動車の車種を減らし、小型車に主力を移しているが、ダイハツはトヨタの支配が強まるに連れて、独自開発の小型車がなくなってしまった。そして「トヨタの分工場」の色彩を強めている。

かつてはシャレードのような個性的な小型車があり、1,000ccカーを復活させた原動力になった。独自のディーゼルも開発した。そのエンジンはイタリアにも輸出した。ところがアプローズの失敗で苦境に陥り、トヨタに救済を求めた結果、トヨタの支配は強化され、ダイハツが考えた独自の小型車は開発させてもらえなくなった。全て、トヨタの意向に基づいた小型車でないと開発させてもらえないのである。

ダイハツは独自の小型車を開発、生産していた頃は、オーストラリアやニュージーランドでも販売していた。しかし今は撤退し、トヨタがアフターサービスを行なっている。この市場は南朝鮮のヒュンダイ・キアの小型車が埋めている。

ダイハツの将来は厳しいんじゃないかな。軽のスポーツカーを出しているが、スズキは敢えて出さなかった。採算が合わないのは自明だからだ。売れていないのに車種を増やすと、後でアフターサービスで困ることになる。

ダイハツばかりではない。ホンダも軽のスポーツカーを出しているが、あれも将来困ることになる。スポーツカーを買う人はマニアが多く、部品がなくて直せないから買い換えてくれるような人たちではない。それなら最初から出さないことだ。需要期に「特別仕様車」を企画して出すことで需要を喚起するのが、軽自動車では重要な刺激策である。