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欧米は経済的破滅への道を歩んでいる(マスコミに載らない海外記事) :国際板リンク
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/211.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 2 月 03 日 01:46:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

欧米は経済的破滅への道を歩んでいる(マスコミに載らない海外記事)

http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/490.html

 

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1. 2016年2月03日 18:51:34 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[562]
人工知能、日銀との心理戦に敗北

By MEGUMI FUJIKAWA
2016 年 2 月 3 日 15:20 JST

 【東京】日本銀行の黒田東彦総裁は先週、初となるマイナス金利の導入を決定してエコノミストや投資家に衝撃を与えたが、同時に総裁は、人工知能(AI)にも肩すかしを食らわせた。

 野村証券とクレディ・スイス証券は昨年、予想される金融政策変更の手掛かりを得るために日銀の声明を分析するAIを開発した。

 このプログラムでは、日銀の声明や景気判断の文言を分析するテキストマイニング手法が用いられる。「インフレ期待の低下」や「物価の上昇」といった文言を数値化し、その結果を基に日銀の「センチメント」を測る指数を算出する。そして日銀が景気支援に動く可能性を検討する際にアナリストらがこの指数を参照する。

 こうしたAIプログラムが予測に用いるデータの期間は非常に短い。だが、野村とクレディ・スイスは先ごろ、10月の分析結果について、AIに客観性と有用性がある証拠であると指摘した。両社の指数はいずれも、当時エコノミストの間では追加緩和期待が比較的高まっていたにも関わらず、日銀が行動するリスクは限定的だと示唆していた。そして実際に、日銀は10月の金融政策決定会合で政策を現状維持とした。

 だが、先週29日の政策決定会合の結果は予想が外れた。日銀政策委員が追加緩和の必要性を感じていることはいずれの指数にもほとんど表れていなかったが、結果的に日銀は、予想外のマイナス金利導入で金融市場に揺さぶりをかけた。

 2社のAIプログラムが黒田総裁に裏をかかれたことから、当面は人間の予測がコンピューターに取って代わられることはなさそうだ。

 学界や報道機関、さらには英中銀イングランド銀行に至るまでがセンチメントを見抜くためにアルゴリズムを利用しており、こうした傾向は強くなっている。野村とクレディ・スイスが採用したテキストマイニングもその一環だが、両社はいずれも人間の分析の代わりとしてではなく、補強として指数を用いている。

 クレディ・スイスのエコノミスト、塩野剛志氏は、日銀の先週の政策判断を受け、AIプログラムに微調整を加えることにしたと述べた。原油価格や株価、黒田総裁の直近の発言など、最新のデータを取り込んだ新バージョンを試験しているという。

左はクレディ・スイスの指数、1を上回ると緩和の可能性を示唆。右は野村の指数、緩和の基準は設けていない ENLARGE
左はクレディ・スイスの指数、1を上回ると緩和の可能性を示唆。右は野村の指数、緩和の基準は設けていない
 クレディ・スイスと野村は従来、毎回の日銀政策決定会合後にのみデータを更新していた。つまり、黒田総裁の数週間分の講演や国会答弁は除外されていた。

 クレディ・スイスの「日銀テキスト・インデックス」を開発した塩野氏は、先週の政策決定を予想する上で「1カ月前の文章までしか読み込んでいなかった点が力不足だった」と述べた。

 野村のシニアクオンツアナリスト、山本裕樹氏によると、同社も日銀が今年から年4回公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」や、政策会合の約1週間後に公表される「日銀金融政策決定会合における主な意見」を取り入れる形で、AIに改良を加えている。野村も総裁の講演や国会答弁の読み込みを検討しているという。

 人間にとってもアルゴリズムにとっても事態を極めて複雑にするのは、黒田総裁が明らかに市場に最大のインパクトを与えることを追求した結果、指示を誤ることだ。黒田総裁は2014年10月と先週の政策決定会合の直前まで、追加緩和の必要はないと主張していたが、日銀は結局追加緩和を発表した。ここ数週間は日銀がマイナス金利導入を検討しているとの観測を繰り返し否定していた。

 塩野氏は、自社のAIが黒田総裁の策略に何度も引っかかることはないと自信を見せている。

 「何回か嘘をついているとAIも学習していく。他のデータとの相関が低いとAIが学んで発言のウエイトを落としていくだろう」と語った。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AF493A_BOJAI_16U_20160128004808.jpg


Business | 2016年 02月 3日 16:45 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
新型窓販10年債の募集見送り、市場をしっかり注視=菅官房長官

[東京 3日 ロイター] - 菅義偉官房長官は3日午後の会見で、日銀のマイナス金利導入を受けて財務省が新型窓口方式の10年債の募集を見送ったことに関連して「市場についてはしっかり注視していきたいと思っている」と語った。

10年物の新型窓口販売国債の募集見送りについて菅官房長官は「投資家が受け取る最終利回りがマイナスになることから募集を停止したと報告を受けている」としたうえで、「一方で、個人向け国債は個人に限って購入可能で、元本、最低利回りを保証しており、最終利回りがマイナスになることはない」と指摘した。

(石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/suga-bond-idJPKCN0VC0N4



Business | 2016年 02月 3日 16:35 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
物価2%達成と低い長期金利は共存しない=黒田日銀総裁

[東京 3日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は3日午後の衆院予算委員会に出席し、日銀が目指す2%の物価安定目標が実現された場合には、「当然ながら、現在のような非常に低い長期金利は共存し得ない」と語った。玉木雄一郎委員(民主)の質問に答えた。

日銀によるマイナス金利導入を受けて、長期金利は過去最低水準に低下しているが、総裁は2%の物価安定目標の実現とともに「当然、長期金利も上昇する」との認識を示した。

政府が目標とする名目GDP600兆円の実現には、2%の実質経済成長率が前提となっている。実現性について総裁は「2%の物価安定目標が実現されれば、GDPデフレーターもそれなりに上昇する」としたが、「実質成長率が2%になるかどうかは、日銀の権限・義務の範囲ではない」と述べるにとどめた。

また、マイナス金利を決めた1月29日の金融政策決定会合が終了する直前に、日銀が導入を議論しているとの一部報道があったことについて「憶測に基づく報道の可能性を含めて事実関係を調査している」とし、議論の内容を知り得る立場にあった日銀の役職員と政府関係者を対象に「当該報道機関の記者と接触した事実の有無を調査している」ことを明らかにした。

*内容を追加します。

(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/kuroda-news-leak-idJPKCN0VC0G3


円全面高、原油安・株安でリスク回避圧力−マイナス金利後の下げ縮小
2016/02/03 15:50 JST

    (ブルームバーグ):3日の東京外国為替市場では円が全面高。原油安や株価の下落を背景にリスク回避の動きが優勢となり、対ドルでは1ドル=119円台半ばまで上昇した。

午後3時40分現在のドル・円相場は119円61銭前後。一時は119円42銭と日本銀行がマイナス金利政策の導入を発表した1月29日以来の水準まで円買いが進んだ。円はニュージーランドドル以外の主要31通貨に対して前日終値比で上昇している。

SMBC信託銀行プレスティアの尾河真樹シニアFXマーケットアナリストは、日銀のマイナス金利政策発表は115円突破の可能性もあった円高を止めたという点で非常に意味があったが、原油安などの「海外からの逆風があるのでそこでどう戦うかが難しい」と指摘。「短期的に逆風でもっていちいち円高というのはこれからもしばしばあると思う」と語った。  

先週末は日銀によるマイナス金利政策導入を受けて、リスクセンチメントの改善から世界的に株価が大幅上昇。外国為替市場では円が急落し、ドル・円は118円台半ばから昨年12月以来の水準となる121円69銭まで円安が進んだ。しかし、2日にはニューヨーク原油先物が1バレル当たり30ドルの節目を再び割り込み、株価も下落。リスク回避の動きが強まる中で、ドル・円は先週末の円の下落幅の約3分の2を取り戻す格好となっている。

3日の東京株式相場は大幅下落し、日経平均株価は3.2%下げて取引を終了。中国・上海総合指数も反落し、アジア株は全面安となっている。

スタンダードチャータード銀行金融市場営業本部の好川弘一ディレクターは、「ドル・円は株安、原油安、金利低下という海外の流れを引き継いで、日経平均の下落に引っ張られる形で下落している」と説明。もっとも、「119円50銭近辺は押し目買いをしたい投資家などもそれなりにいるのではないか。マイナス金利導入はそれなりに円を買いづらくさせている」と話した。

ユーロ・円相場は一時1ユーロ=130円42銭と3営業日ぶりの水準までユーロ売り・円買いが進行。同時刻現在は130円69銭前後で取引されている。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.0925ドル前後。

円金利低下

日銀の黒田東彦総裁は3日、都内で講演し、金融緩和手段が限界に近づいているとの見方が出ていることについて「私にはとても違和感のある表現だ」と述べ、「果たすべき目的のために必要であれば、そのために新しい手段や枠組みを作っていけばよい」と語った。

3日の債券相場は上昇。長期金利のほか、新発2年債や5年債利回りが過去最低を更新した。
SMBC信託銀の尾河氏は、これほどの円金利の低下を見ると、円が持続的に上昇していくという絵は描きにくいとし、「長い目で見ればマイナス金利政策導入の意味は出てくる」と語った。また、IGのチーフマーケットストラテジスト、クリス・ウェストン氏(メルボルン在勤)は、「日銀の目的は利回り曲線を平坦化し、人々が円買いから強い確信を得ないようにすることだ」とし、今後もバランスシートや金利構造の観点からさらに手を打つ能力があることを警告し続け、円買いの動きをけん制し続けるだろうと話した。

リスク回避の動きが強まる中、米国では1月のADP雇用統計と供給管理協会(ISM)非製造業景況指数が発表される 。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、1月の民間部門雇用者数は前月比19万3000人増(予想中央値)の見込み。ADP雇用統計は米労働省が5日に発表する雇用統計の前哨戦となる。

三井住友銀行市場営業部NYトレーディンググループの柳谷政人グループ長(ニューヨーク在勤)は、米国では製造業景況指数の50割れが定着しつつあり、米国株も買っていくには「コンビクション(確信)が得られない」と指摘。根っこにリスクオフの話が流れ続けている中で、「米国サイドが引っ張るといっても、雇用統計だけでセンチメントをがっつり変えるというのはちょっと難しい」とし、むしろ雇用統計が悪い場合の方が注目されると予想している。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典
更新日時: 2016/02/03 15:50 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1XZTM6KLVRX01.html


FX Forum | 2016年 02月 3日 15:48 JST 関連トピックス: トップニュース
コラム:ドル130円へ、マイナス金利で再起動=池田雄之輔氏
野村証券 チーフ為替ストラテジスト
[東京 3日] - すべての市場関係者にとって、「まさか」の驚きだった。日銀は1月29日、金融政策決定会合で「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を発表した。超過準備付利の引き下げすらほとんど予想されていなかった中で、一足飛びのマイナス金利政策の発動は、これ以上ないサプライズである。

黒田東彦日銀総裁は、2%インフレ達成へのコミットメントが試される正念場だった。しかも、既存の量的・質的緩和の拡大では、「追加緩和余地がなくなるだけ」と受け止められ、アナウンスメント効果が発揮されない危険があった。

今回のマイナス金利導入は、日銀がインフレ目標を堅持するために現時点で想定し得た究極の打開策だっただろう。金利政策の復活とともに、追加緩和余地がよみがえったことも重要なブレークスルーであり、昨年末から下落傾向にあったドル円相場にとって今回の政策決定は「ゲームチェンジャー」となった。

このタイミングでのマイナス金利政策導入の狙いは、「円高阻止・円安容認によるインフレ率押し上げ」に尽きるだろう。そう考える根拠はいくつもある。

まず、日銀は、景気・インフレ指標に緩和発動を正当化するような悪化の兆しがない中、ほとんどのエコノミストにとってサプライズとなる行動に出た。市場重視の判断だったことは疑いようがない。

実際、黒田総裁は会見で「ダボス会議に行く前に緩和策検討を指示した」と明かしており、1月21日に116円台で推移していた円高を重大視した可能性がある。さらに、今回日銀が公表した「展望レポート」には、「為替相場が消費者物価に及ぼす影響」が取り上げられており、「先行きについても、既往の為替円安は持続的な物価押し上げ効果を持つ」と明記されている。日銀の円安志向が透けて見える。

筆者は、「1ドル=115円を割り込むと、国内外の投資フロー、企業行動に不可逆的なダメージを与える」と追加緩和の重要性を訴えてきたが、黒田総裁も似たような危機感を持っていたのではなかろうか。とりわけ、企業にとっては新年度の為替相場前提を設定する時期であり、賃上げ交渉が本格化する時期でもあった。日銀に、円高を放置する選択肢はなかったと言えるかもしれない。

<為替ヘッジなしの外国債券運用が促される公算大>

では、実際に日銀が狙ったような円安は生じるのか。銀行収益へのダメージを抑え、貸し渋りなどの副作用を抑制するべく採用された「3階層方式」をどう評価するかである。市場の一部には、「マイナス金利の適用範囲が小さすぎる」などの見方もある。しかし、金利形成のメカニズムにおいて重要なのはあくまで新規資金に適用される限界金利であり、マイナス金利の効果は問題なく浸透するとみられる。

この点は、2月2日午前の時点で10年国債利回りが政策発表前に比べ18ベーシスポイント(bp)と大幅に低下していること、同じく階層方式を実施しているスイス中銀などが市場金利押し下げに成功していること、のいずれからも立証される。

また、日銀は超過準備だけではなく、銀行の行き過ぎた現金保有にも事実上マイナス金利を適用するという方法で、マイナス金利からの逃げ道も封じている。その結果、20bpの付利引き下げは、その分だけの円押し下げ効果をフルに発揮しよう。米国の政策金利25bp引き上げによる円安・ドル高効果が2.5―5円程度であるから、今回の日銀の措置も2―4円程度の円安圧力になる計算だ。

日銀が国債買い入れの金利に下限を設定しなかったことも重要で、すでに9年ゾーンまで国債利回りがマイナスになっている。国債発行残高のうち、金利がマイナス領域に突入した割合は約7割まで急拡大した(政策発動前は約45%)。イールドカーブの広範囲で国内金利がゼロ以下に水没した結果、運用難に直面する国内投資家にとっては、為替ヘッジなしも含めた外国債券の運用が促される公算が大きい。

このような金利差を通じた円安効果に加え、日銀の円安志向がはっきりしたことによるアナウンスメント効果も重要だろう。昨年12月18日に日銀が「補完措置」を発表して以降、ヘッジファンド勢が展開していた円ロング戦略は、当面封じ込められよう。

政策発表後のリアクションとしては、見逃せないポイントが2つあった。第1に、日本政府の反応である。今回のマイナス金利発動に対し、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官ともに歓迎の意向を表明している。市場では、「政府は円安を望まない」との見方が根強かったが、必ずしも実態に即していなかったことがはっきりしただろう。

原油安のプラス効果もあり、円安デメリット論は政府内で大幅に後退している公算が大きい。逆に、円高を放置すれば株価も致命的な水準まで下落するという危機感は高まっていただろう。

第2に、海外市場の反応だ。利下げというと、「近隣窮乏化」「通貨安戦争」というお決まりの悲観論が出てくるが、マイナス金利発表当日の中国株、米国株ともに大幅に上昇している。また、為替市場では中国人民銀行が「円安政策に対抗するか否か」が注目されたが、元相場基準値は2月1日以降も、ほぼ横ばい圏内に設定されている。当局が相場安定を最優先している状況が確認されたことも安心材料である。

<金利差・需給に即した円安トレンドに回帰>

政府・日銀の政策対応は先行きどうなるか。日銀は今回、スイス(マイナス0.75%)、スウェーデン(同1.1%)、デンマーク(同0.65%)など、欧州域の中央銀行が大幅のマイナス金利を設定していることをわざわざ声明文に記述することで、「追加利下げの余地は大きい」ことを誇示している。

再び1ドル=115円を下回るような円高傾向となり、日銀の物価シナリオに狂いが生じる際には、機動的に利下げを打ち出してくるだろう。市場も、「黒田プット」を意識せざるを得ないと予想される。

逆に、円安方向は当面放置される公算が大きい。黒田総裁自身が「これ以上の円安はなさそう」と発言した15年6月時点の円安水準まで、実効ベースではあと10%以上の余裕がある。1ドル=130円までは、円安は問題なく放置されるだろう。

日銀はマイナス金利導入により、円安を容認しながらインフレ率を押し上げる姿勢を明示した。懐疑的な市場の見方とは裏腹に、今回の措置は強力な金利押し下げ効果を発揮、国内投資家の外貨シフトを促す一方、海外投機勢の円ロングを封じ込める公算が大きい。

昨年末から投機的円ロングに押されて下落してきたドル円相場は、今回のショック療法によって金利差・需給という2大ファンダメンタルズに即した中長期の上昇(円安)トレンドに復帰しただろう。

2日午前の時点で、ドル円は120円を下回る水準まで円高方向に押し戻されているが、これは「日銀のマイナス金利政策に対する市場の懐疑的な見方」というよりも、米国の追加利上げに対する期待感が過度に低下している影響が大きい。先物市場は「年内に1度も利上げできない可能性」を5割まで織り込んでしまった状況である。

年初から金融市場を襲った、人民元安、原油安という2つのショックは、すでに一巡している。米国の景気堅調さえ確認され、追加利上げのシナリオが高まってくれば、日米金利差の拡大が加速し、1ドル=125円が視野に入ってくる。年末までに130円に到達するという筆者シナリオも、日銀のマイナス金利政策によって強化されたと考えている。

*池田雄之輔氏は、野村証券チーフ為替ストラテジスト。1995年東京大学卒、同年野村総合研究所入社。一貫して日本経済・通貨分析を担当し、2011年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yunosukeikeda-idJPKCN0VC0DO


長期金利が最低更新、株安や日銀買いオペ受け−低下余地あるとの見方
2016/02/03 15:41 JST
    (ブルームバーグ):債券相場は上昇。長期金利のほか、新発2年債や5年債利回りが過去最低を付け、先物は最高値を更新した。米国債利回りの低下や国内株式相場の下落に加えて、日本銀行の長期国債買い入れオペ実施を背景に買いが優勢だった。
3日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)低い0.065%で開始。その後は水準を切り下げ、一時0.045%と、1日に付けた過去最低の0.05%を下回った。いったんは0.065%まで売られた後、0.06%に戻したが、再び0.065%を付けている。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「原油安や米株安、米金利低下を受けて買いが優勢。短期的には10年債利回りは0.0−0.1%のレンジで推移し、場合によってはマイナスになることもあるという見方でいる」と話した。
新発2年物の361回債利回りは一時マイナス0.19%、新発5年物の126回債利回りはマイナス0.135%まで下げ、いずれも1日に付けた過去最低を更新している。
JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「朝方から株価が弱かったことなどから押し目買いが入り、午前は相場が強くなった。日銀の国債買い入れオペもそこそこ強かった」と指摘。午後に入って、「やや売りが出てボラティリティが高まったが、急激に金利が上昇していく局面ではない」と話した。
長期国債先物市場で中心限月の3月物は、前日比14銭高の150円70銭で開始。午前10時10分の日銀買いオペ通知後に上げ幅を拡大し、一時150円93銭と、前日の夜間取引で記録したこれまでの最高値の150円80銭を上回った。午後に入って高値警戒感からやや伸び悩んだが、結局は21銭高の150円77銭で引けた。 
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀の追加緩和でも世界の金融市場は落ち着かず、米債利回りがやや驚きの水準まで低下したため買いがしっかり。10年債がマイナス金利になれば、誰が買うのかと思うが、今日も日銀買いオペはたんたんと実施され、まだ金利の低下余地はあるだろう」と指摘した。
日銀国債買い入れ
日銀が今日実施した今月2回目の長期国債買い入れオペ(総額8900億円)の結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率は前回から低下した。一方、10年超25年以下、25年超はやや上昇した。
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、オペ結果について、落札利回り格差の水準から見て市場実勢より低く決まったと指摘。「超長期や長期ゾーンともにしっかりだった。長期金利は今後も徐々に水準を切り下げそう。売られたとしても0.15%がめどになり、マイナス圏まで達する可能性がある」と話した。
日銀の黒田東彦総裁は3日、都内の講演で、「実際、越えることが不可能と思われていた金利のゼロ制約の壁は、日銀を含む中央銀行の知恵と実践の中で乗り越えられようとしている。追加緩和の手段に限りはない」と発言。さらに「日銀は今後とも、金融政策手段のイノベーションに取り組んでいく」と語った。
JPモルガン証の山脇氏は、黒田総裁発言に関して、「前週末にマイナス金利政策の枠組みを決めたが、積極的にやっていくことをアピールした」と述べた。
2日の米国債相場は大幅上昇。米10年物国債利回りは前日比10bp低い1.84%程度と、昨年4月以来の低水準で引けた。原油価格と株式相場が再び下落基調を強めたために世界経済の見通しが悪化し、安全な逃避先を求める動きから国債に買いが入った。この日の東京株式相場は続落。日経平均株価は前日比559円43銭安の1万7191円25銭で終えた。
バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「足元、米国の景気後退リスクがやや懸念されている。歴史的に低金利に米国もなってきている。その影響は、日本の長期金利にも響いてくる。目先1カ月は投資家のレンジ感が定まらない間は値動きの荒い展開を予想している。結局、10年債はマイナスにはならず、落ち着く水準は0−0.2%とみている」と述べた。 
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝
更新日時: 2016/02/03 15:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1WULP6JTSEO01.html



日本株は大幅続落、原油安と円高嫌気し幅広く売り−業績警戒も強まる
2016/02/03 15:28 JST

    (ブルームバーグ):3日の東京株式相場は大幅続落。海外原油価格の続落や為替の円高推移、米国株安など世界的なリスク回避の広がりから先物主導で売り圧力が強まった。自動車や機械など輸出関連、鉄鋼など素材関連、商社や証券株中心に幅広い業種が安い。IHIや神戸製鋼所、野村ホールディングスなど業績失望銘柄の急落も投資家心理を冷やした。
TOPIXの終値は前日比45.77ポイント(3.2%)安の1406.27、日経平均株価は559円43銭(3.2%)安の1万7191円25銭。
アバディーン投信投資顧問の窪田慶太インベストメント・マネジャーは、「リスクオフの流れの中で原油安・円高のトレンドになると、日本株は円の変動率以上に売られる同じトレンドを何度も繰り返している」と指摘。ファンダメンタルズは変わっていないが、「日本マーケットの流動性の高さが響いている」との認識を示した。
前週末の日本銀行によるマイナス金利政策導入後に戻りを試した日本株だったが、海外の投資環境の厳しさが再認識され、きょうの日経平均は一時670円安と日中では1月14日(771円)以来の下げ幅を記録した。終値ベースでも、日銀会合前日の終値1万7041円からの戻りの大半を相殺し、1月相場で攻防を繰り返した心理的節目の1万7000円が再度意識されている。
2日のニューヨーク原油先物は5.5%安の1バレル=29.88ドルと再び30ドルを割り込み、終値で1月21日以来の安値を付けた。3日の米エネルギー情報局(EIA)の統計発表を前に、米原油在庫が拡大し、世界的な供給超過の悪化が示されるとの観測が広がった。
米長期金利10カ月ぶり低水準、リスク資産見切りも
前日の米国株はダウ工業株30種平均が300ドル近く下落、対照的に米10年債利回りはほぼ10カ月ぶりの低水準となる中、きょうのドル・円相場は一時1ドル=119円40銭台と前日の日本株の終値時点120円44銭に対し円高に振れた。
海外市場、為替動向に加え、国内企業決算に対する懸念も株価指数の押し下げ要因だ。工事採算の悪化や特別損失計上で2016年3月期業績予想を下方修正、期末配当を無配にするIHI、鋼材事業のコスト増加や建設機械事業の悪化で16年3月期予想を減額した神戸鋼、昨年10−12月期純利益が市場予想を下回った野村HDは東証1部の下落率上位に並んだ。
岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、「原油価格持ち直しで世界経済後退懸念を払拭(ふっしょく)できるかもしれない矢先だったが、原油が二番底を試しにいったことで一気にリスク資産に見切り売りが出た」と言う。さらに、「IHIなど業績悪化銘柄や減配発表銘柄が投資家心理を冷やしている」ともみていた。
東証1部の業種別33指数は証券・商品先物取引、鉄鋼、機械、輸送用機器、非鉄金属、海運、卸売、ガラス・土石製品、電機、その他金融など32業種が下落。石油・石炭製品の1業種のみ上昇。売買代金上位ではトヨタ自動車や三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループ、カシオ計算機、マツダ、三菱商事、三井物産、デンソー、日立製作所、三井化学、新日鉄住金が安い。半面、昨年4−12月期営業利益が前年同期比32%増だったNTTデータは逆行高。東証1部売買高は31億382万株、売買代金は3兆1397億円。値上がり銘柄数は164、値下がりは1735。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2016/02/03 15:28 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1XYY96K50XS01.html


ドル高との闘い、FRBに勝ち目がない理由とは
By JUSTIN LAHART
2016 年 2 月 3 日 13:55 JST

 世界の金融市場と経済を揺るがしている負の連鎖の中心にドルが位置している。今はこの連鎖を断ち切るためにFRBが対応を余儀なくされるところまで来ているようだ。

 この1年半のドル高は過去に例を見ないものだ。対ユーロで23%、対円では17%上昇したが、新興国通貨に対する上昇率と比べれば取るに足らない。対ブラジルレアルで76%、対南アフリカランドで51%となり、ロシアルーブルに対しては121%も上昇した。

 こうしたドル高により米企業が国際市場で価格競争力を失いつつあるほか、ただでさえ低いインフレ率がFRBの思惑に反して一段と低下している。ドル高が進めば状況はさらに悪化する恐れがあり、世界的な圧力を高めることにもなれば米経済はリスクにさらされるだろう。

 イエレン議長をはじめとするFRB当局者はこれを踏まえ、今年の利上げ計画を先延ばしするだけでは済まず、利上げ自体を見送らざるを得ないかもしれない。先物市場は既に3月の利上げ見送りを織り込んでいる。年初時点の利上げ織り込み確率は50%程度だった。


13年末以降のドル実効為替レートの推移(青:主要通貨に対する水準、緑:その他の主要貿易相手国通貨に対する水準) ENLARGE

 ドル高の要因として次のようなことが考えられる。まず、米国は他の多くの国々よりも経済が好調で、世界的に安全な投資先となっている。また、FRBが利上げに動いたのに対し、他の主要中銀は追加緩和に出ている。さらに、原油などの資源価格が大幅に下落したことで生産国は危機に陥り、世界経済の成長がますます低迷している。

 だが足元では、こうしたドル高の原因となった問題の多くが、ドルの上昇によってさらに深刻化するという事態になっている。

 その一つの経路は、米国外の非金融会社向けに実施された多額のドル建て融資だ。例えば、多くのトルコ企業は近年ドル建て融資を大量に受けたものの、ドルで収入を得る事業はほとんどない。

 ドルがこの1年半でリラに対し38%上昇したことでドル建て融資の元利払いが難しくなっている。こうした債務の圧力が経済見通しを暗くし、ドルに対する需要をさらに高めている。しかしこれはドルの一段高を招くだけだ。

 ドル建て債務を抱える国際商品(コモディティー)生産業者はダブルパンチに見舞われている。ブラジルが輸出する原油、鉄鉱石、大豆は世界的にドル建てで取引される。そのため、ドル高がこうした商品価格を押し下げると輸出業者の受取額は減少する。レアルが大きく下落していることもあり、これはドルに対する需要を極端に高めてしまい、ひいては商品生産業者がさらなる値下げに追い込まれている。

 また、新興国通貨が下落したことで、中国の世界における競争力はいっそう低下している。そのため、中国当局に人民元のさらなる切り下げを求める圧力が高まりつつある。

 元が再び切り下げられるのではないかとの懸念が資源価格をさらに圧迫している。この懸念が現実のものとなれば、中国企業は資源購入が一段と難しくなるからだ。そして、外国為替市場で元切り下げの可能性が織り込まれるにつれ、他の通貨も下落するという連鎖が起きている。

 元切り下げ懸念は、現在中国で起きている大規模な資本流出の一因となっている。同国民が将来の切り下げに備えて海外に資金を移しているからだ。中国当局は保有する米国債を売却して、資本流出下でも元相場を安定させようと努めているが、今年に入ってからの米国債利回りの低下(価格は上昇)が示すように、買い手はいくらでもいる。

 実際、こうした米国債の入手しやすさが他のドル建て債券の流動性を低下させ、結果的に状況をいっそう悪化させた可能性がある。

 ドル高の背景にある問題の大半は米国外で起きているが、その悪影響から逃れる道はない。

FRBのイエレン議長 ENLARGE
FRBのイエレン議長 PHOTO: SUSAN WALSH/ASSOCIATED PRESS
 ドル高が米経済に及ぼす影響は、インフレ率の低下や貿易への打撃という形で極めて顕著になっており、FRBとしてもやすやすとは無視できなくなっている。FRBは法定の使命として米経済のみを重視しているが、ドルには世界の準備通貨としての役割があるため、世界の問題はそのままFRBの悩みの種となりかねない。

 FRBは近く、ドル高を抑えて一連の悪循環を断ち切るために利上げ計画を凍結する考えを示唆するかもしれない。だが、それでも雑音をはねのけられないリスクは残っている。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MK264_curren_M_20160202142157.jpg

 

Business | 2016年 02月 3日 18:16 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
当座預金残高で-0.1%が適用されるのは約10兆円=日銀

[東京 3日 ロイター] - 日銀は3日、マイナス金利政策導入にともない適用される3つの金利の当座預金残高の規模について当初のめどを発表した。当座預金残高でプラス0.1%が適用されるのは約210兆円、ゼロ%が適用されるのは約40兆円、マイナス0.1%が適用されるのは約10兆円としている。

日銀のホームページ上でQ&Aとして公表された。
http://jp.reuters.com/article/boj-idJPKCN0VC0UJ


Business | 2016年 02月 3日 18:10 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
焦点:日銀が得た多彩な緩和手段、マイナス金利決定の舞台裏

[東京 3日 ロイター] - 日銀が切った「マイナス金利」のカードは、市場の意表を突いて、株安・円高の流れを止めた。最も効果が出たのは、市場が「限界」と感じていた「緩和手段」が豊富にあることを示した点だ。

それにより、投機筋の「円買い」を強くけん制する力を獲得したとも言える。その秘密裡に進んだ準備の裏側を探った。

<黒田総裁の帰国直後に固まった方向性>

日銀の黒田東彦総裁は1月22日、スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に参加するため、あわただしく東京・日本橋本石町の日銀本店をあとにした。

複数の関係筋によると、黒田総裁はその直前、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の継続を前提に「追加緩和の案を用意するように」と事務方に指示した。

26日に帰国した黒田総裁に提示されたのは、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」だった。総裁は、これによって追加緩和の障害となっていた政策打ち止め感も払しょくできると判断。28、29日の金融政策決定会合で提案することが固まったもようだ。

<先行した欧州各国との意見交換>

その間、事務方の準備作業は水面下で着々と進んだが、政府サイドでその動きを察知した関係者はいなかった。ある政府関係者は、日銀金融政策決定会合が開催される直前の27日夜、日銀の動きについて「今回はやらないとみている」と言い切っていた。

密かに進められた日銀の事前準備の一つに、マイナス金利を先行して導入したスイス、スウェーデン、デンマークなどにおける実態チェックがあった。

複数の関係筋によると、日銀はこれら3カ国と欧州中銀(ECB)を含めた複数の中銀と、マイナス金利政策を実行に移した場合に発生が予想される様々な現象について、かなり突っ込んだ意見交換を行った。

<地銀危機を封印した3段階の階層構造>

その成果の一つが、当座預金を3段階に分ける階層構造の導入だ。当座預金残高の全てにマイナス0.1%の利率を適用すると、金融機関の経営に負担がかかるため、これまでに積んだ分はプラス0.1%を維持した。

スイスなどは2階層となっているが、金融仲介機能を弱めることに配慮し、日銀は3階層とすることを決断した。ここで日銀が配慮したのは、地域金融機関の動向だったとみられる。

地域金融機関の当座預金残高は、所用準備額を除くと約20兆円で、QQE)が始まって以降3倍に膨らんでいるが、昨年6月以降は横ばいで推移している。つまり、この基調が今後も継続するなら、地域金融機関全体として負担が急増し、金融システム不安が地方から起きるというリスクを配慮したということだ。

<市場の目安になったスイスなどの先行例>

また、先行事例を研究した結果は、早速、日銀にとってプラスになる現象を生んだ。29日に発表した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入という発表文のページ1の脚注に、スイスでは0.75%、スウェーデンでは1.1%、デンマークでは0.65%とマイナス金利の先行例を明記した。

その結果、市場の一部では「今後、追加緩和をする場合、マイナス金利を深くするのだろう。そのメドは、先行して実施しているケースが参考になる」(外資系証券の関係者)との思惑が台頭。中には「マイナス金利に限界はない」(外資系銀の関係者)との声まで出てくるようになった。

直前までくすぶっていた「日銀の緩和手段は、完全に制約されている」(国内大手銀関係者)とのムードを払しょくした。

<従来型QQEに立ちはだかった市場の制約論>

従来のQQEからマイナス金利付きQQEに、緩和政策の「立てつけ」を変更したのはなぜか──。

複数の関係筋によると、日銀は従来のQQEを維持し、資産買い入れ額を80兆円から100兆円方向に増額しても、直ちに「制約」状況に直面するとは認識していなかった。

しかし、日銀のQQEをシニカルに眺めている海外の投機筋だけでなく、これまで日銀に国債を売却し、QQEの中核であるマネタリーベースの拡大に協力してきた国内大手銀の中にまで「QQEは限界に接近している」(別の国内大手銀関係者)と言い始め、市場心理は「日銀に限界」という見方に傾きつつあった。

そうした中で買い取り資産の増額を打ち出しても、「限界」が意識されると、「100単位」の効果が期待されても、現実には「70単位」程度かそれ以下の効果しか出ない展開も予想される。

<投機筋が懸念する日銀の多彩な緩和策>

マイナス金利付きを導入すれば、スイスの0.75%までできると市場が判断するなら、あと数回は追加できると多くの市場関係者が連想する。さらに昨年12月に決めた補完措置を駆使すれば、量の拡張も1回だけと即断できなくなる。

質の面では、ETF(上場投資信託)の増額も想定でき、これらを組み合わせれば、相当に多彩な選択肢が出来上がったことになる。

複数の関係筋によると、この「多彩な選択肢」の獲得こそ、今回の政策対応の最大の眼目の一つであるという。

実際、先の外資系証券の関係者は、日銀がたくさんの「武器」を手にした結果、「ドル/円JPY=EBSで115円を割り込めば、日銀は放置せずに追加緩和を実行してくるとの観測が多くなった。緩和前と比べ、円高方向の壁が厚くなった」と指摘する。

その意味で、今回の追加緩和は、円高─株安─企業心理の冷え込み─賃上げ・設備投資の意欲減退─デフレマインドの復活、という「逆戻りシナリオ」をとりあえず抑え込んだと言える。日銀の戦術は、短期的に成功した格好だ。

<金融機関の収益低下>

ただ、手放しで喜べない要素も少なからずある。一つは、イールドカーブが一段と押し下げられ、金融機関の収益力が先細る構図が鮮明になったことだ。

黒田総裁が1月29日の会見で指摘したように、デフレに戻れば金融機関の経営は危機に直面する。そうさせないための政策選択ではあるが、長期化すれば、地域金融機関など経営体力の弱いところから、足元がおぼつかなくなるリスクが高まる。

石原伸晃・経済再生相は2日の定例会見で、知人の地銀頭取らから、マイナス金利が経営に及ぼす副作用については聞いている、と明言した。

また、ある金融関係者は、当座預金金利をマイナスにしても、預金金利や貸出金利がマイナス金利になる可能性は小さいと指摘。「為替・株式市場以外の実体経済への波及効果は極めて乏しい。今後、国債市場と実体経済の分断がますます激しくなる」と断言する。

一方、10年の国債金利までマイナスになると、預金手数料など「顧客にコストを転嫁せざるをえない」(国内銀行関係者)との空気も金融界にはあるという。

<政府の財政規律弛緩リスク>

先の金融関係者は、別のリスクも指摘する。国債金利の低下によって、政府の資金調達コストは確実に低下する。一方、大規模な国債買い入れを続けていく日銀の買い取り価格は上昇。「これは日銀から政府への所得移転を意味する。実質的な財政ファイナンスにさらに近づくことになる」と予想する。

別の金融関係者も「今でさえ、ばらまきと言える政策を取っている政府が、赤字国債の増発という誘惑に負けて、財政規律が一段と崩れることが最大の懸念材料だ」と指摘する。

さらに市場が注目するのは、3月米利上げの行方だ。もし見送りとなった場合、世界経済の唯一のエンジンである米経済への懸念が表面化し、リスクオフ心理に戻る展開も予想される。

実際、原油価格が下落基調に戻る兆しを見せると、3日の米株市場が急落。4日の日経平均.N225は一時、前日比600円を超す下落となり、リスクオフに神経質な市場の最近の特徴を見せた。

今のところ、ドル/円は119円台で推移しているものの、10日に予定されているイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の米議会証言の内容次第では、市場がリスクオフへの傾斜を強めるリスクが存在する。

その時にマイナス0.1%で持ちこたえることができるのかどうか。日銀の新スキームの真価が、そう遠くない時期に問われる可能性はかなりの確率でありそうだ。

(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/boj-rate-minus-idJPKCN0VC0PN

小笠原誠治の経済ニュースに異議あり

日本経済を破滅に向かわせるマイナス金利
2016/02/03 (水) 11:43


 マイナス金利の余波が様々なところに及んでいます。

 既にお伝えしたとおり、長期金利(10年物国債の流通利回り)が0.1%を切り、その結果、住宅ローン金利が低下したり...まあ、住宅ローンの金利が低下するのは歓迎する人もいるでしょうが...その一方で、企業が行う普通預金には手数料がかけられ、実質マイナス金利が適用されそうだ、なんて。

 普通預金の金利がマイナスになると、預金の取り崩しなんてことが起こりそうな気もするのですが...

 未だ、大企業の預ける分だけとされていますが、個人が行う普通預金にマイナス金利が課せられうなんてことになったら、私は黙ってはいられません。

 それに、個人向け国債の発行が停止されたり、社債の発行も延期されたりと...債券市場は混乱に陥っています。

 為替の方も、再び1ドル=119円台になっていますし、株価も、また下がっています。

 黒田バズーカ3の効果は、早くも打ち止めということなのでしょうか?

 いずれにしても、私には、マイナス金利なんて不自然であり、持続可能性があるとは思えないのです。

 ところで、今回のマイナス金利政策が打ち出される前から、償還期間の短い国債の利回りは既にゼロを下回って推移していた訳ですが...何故そのような現象が発生したかと言えば...

 国債の人気が高いから?

 バカを言っては困ります。

 確かに、資金需要が弱い中、多くの金融機関にとっては国債で余資を運用することが常態化していた訳ですが、それにしてもマイナス金利になっているということは、お金を借りた方が得をし、お金を貸した方が損をするので、そのようなことは普通はあり得ないのです。

 では、何故そのようなことが起こったかと言えば、日銀が損を覚悟で高値で国債を市場から買い上げていたからに他ならないのです。

 つまり、既に発生していたマイナス金利は、日銀の、量的・質的緩和策の結果だと言っていいのです。

 では、日銀は、そんな不利な条件で国債を大量に買い上げて、財務の健全性が確保できるのでしょうか?

 答えは、ノー。

 何故ならば、日銀は、本来の自然な価格より遥かに高値で国債を買い上げているので、大量の国債が償還期を迎える度に必ず損失を被ります。

 それに、全般的に金利水準がここまで異常に低下してくると、日銀の収益力は極度に落ち込んでしまうからです。

 そもそも、日銀のような中央銀行は、どうやってお金を稼ぐか、つまり利益を確保できるか、ご存知でしょうか?

 市中銀行は、貸出等から得られる運用利回りと預金者から預けられた預金に支払う金利等(諸経費を含む)との差、つまり利ザヤを稼ぐことによって利益が得られます。

 では、中央銀行はどうでしょうか?

 日本銀行は、預金を集めることはありません。単にお札を刷るだけですが、そうして発行した日銀券と交換した資産、例えば国債等が生み出す金利が収益源となるのです。

 従って、全般的な金利水準が高ければ高いほど、中央銀行の利益は大きくなる傾向にありますが、逆に言うと、もし、全般的な金利水準がマイナスになってしまうと、日銀は利益を確保できなくなってしまいます。

 要するに、マイナス金利政策は、それが仮に本格的に実行されることになれば、日本銀行の存在自体を危うくしてしまうものなのです。

 おかしいでしょう?

 それに加え、マイナス金利政策が本格的に進められるならば、預金の引き出しに走る預金者が急増し、金融システム自体が破壊されてしまう恐れさえあります。

 つまり、皆タンス預金に励む、と。

 或いは、マイナス金利に嫌気が差した預金者は、円を手放し今までにないほど外貨で余裕資金を運用するようになるかもしれません。

 タンス預金が急増すれば、単に経済が沈滞するだけの話ですし...また、一般の人々までもが円よりも外貨を選好するようになれば、円の価値を急落させるとともに国債価格を暴落させ、財政を破綻させてしまうでしょう。

 いいですか、それがマイナス金利政策を続けた場合の、将来の姿なのです。

 中央銀行の役目は自国の通貨の価値を守ることにあるのに、今や黒田総裁は、そうした任務に反することばかりしているのです。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2016/02/03/025212.php


マイナス金利に驚くよりも日銀当座預金に未だに0.1%の金利を付けていることに驚くべきという話
2016/02/02 (火) 14:02


 今回日銀が打ち出したマイナス金利に驚いている人が多いようなのですが...

 否、驚いたらいけないと言うのではないのですよ...否、やっぱり驚いたらいけないのかもしれません。

 だってね、これが民間金融機関が日銀に定期預金をしており、その定期預金の金利がマイナスになるというのであれば、それは驚いてしかるべき!

 というのも、定期預金であれば、僅かではあっても金利を稼ぐのが目的だから、その金利がマイナスなら、誰も定期預金なんてしないでしょうから。

 でも、今回、金利を一部マイナスにすると言っているのは、民間金融機関が日銀に預けている当座預金についてです。そのことに気が付いていない人が余りにも多すぎます。

 当座預金に金利が付かないのは、謂わば常識ではないですか!?

 当座預金はいつでも引き出しが可能であるので、企業などからお金を預かっている市中銀行としては、基本的には安定的な融資財源とみなすことができません。それに、当座預金口座は小切手や手形を落とすためのお金を預けておく口座ですから、銀行側に口座を管理するための特別な事務が発生するので、むしろ手数料を取ってもおかしくないのです。

 それが当座預金というものなのですよね。

 では、そもそも何故日本銀行は、民間金融機関から預金を預かるのか?

 それは、一つには準備預金制度というものがあるからです。

 ご存知ですよね、預金者からお金を預かった銀行が、預金総額の一定割合を日銀に準備預金として預けておく必要があることを。

 まあ、そうしておくことによって、万が一預金者からの預金の払い出しが集中したような場合に対処できるようにするためです。

 また、預金準備率を操作することによって、世の中に出回るお金の量をある程度コントロールすることも可能になるのです。

 さらに、民間金融機関の側からすれば、民間金融機関同士等での資金決済を行うために必要な額を日銀に預けておく必要があるのです。

 でも、以上説明したうちの、法律に従い、民間金融機関が必ず預けておかなくてはいけない法定準備預金(日銀当座預金の一部)には金利は付されないのです。つまり、金利はゼロ。

 民間金融機関は、そうして法律で義務付けられた預金をするために、本来であれば獲得できる運用益を放棄しているのにも拘わらず、です。

 では、これまで0.1%の金利が付されてきた日銀当座預金というものは、一体どんな性格の預金であると言ったらいいのでしょうか。

 実は、法的に義務付けられた準備預金を超える預金は超過準備と呼ばれ、この超過準備に対し、2008年の10月から金利が付されるようになったのですが、超過準備というのは民間金融機関側の自分の事情で行う預金と言っていいでしょう。

 ただ、本来民間金融機関は、資金を効率よく運用するために、できるだけ不要な資金を日銀当座預金に寝かせておかない工夫が求められるのです。つまり、超過準備は最小限度に留めるのが鉄則だ、と。

 一般の預金者でもそうだろうと思います。最近は定期預金の金利が異常に低くなっているので、少し事情は違ってきていますが、本来であれば、我々一般の預金者は、金利が低い普通預金の残高は最小限度にしておき、残りは定期預金でもして利息を稼ぐことを考えます。

 それと同じような発想で、民間金融機関も本来金利がゼロの日銀当座預金の残高を必要最小限度に保とうとするのが普通なのです。

 しかし、今はその日銀当座預金の残高は2016年1月末現在で、約260兆円にも達しているのです。でも、法定準備預金は僅か8兆7千億円ほどでしかありません。

 ということは、法律に基づき金融機関側に義務付けられている預金は8兆7千億円ほどでしかないので、残りの253兆円ほどは必ずしも積む必要のない預金だということになるのです。

 グラフをご覧ください。各年の年末の残高を示しています。

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/%E6%97%A5%E9%8A%80%E5%BD%93%E5%BA%A7%E9%A0%90%E9%87%91%E6%AE%8B%E9%AB%98%E6%8E%A8%E7%A7%BB.jpg


 一体、民間金融機関側は、このような巨額の資金を何故、日銀にある口座に寝かせているのでしょう?

 そしてまた、何故日銀もそのように巨額のお金を民間金融機関から預かる必要があるのでしょうか?

 もう、お分かりかもしれませんが、本来であれば、こんなに巨額のお金を民間金融機関が日銀に預けて置く筈はないのです。それはそうですよね、本来当座預金に金利は付かないからです。しかし、日銀は2008年10月から気前よく金利を付けてくれるようになったので、民間金融機関としては余裕資金を日銀に預けておくことが一つの有力な資金運用手段になったのです。

 そんなに巧い話を民間金融機関が見逃す筈はないですよね。

 では、そもそも何故日銀はそのような太っ腹な措置を講じているのでしょうか?

 日銀にはお金が不足しているので、お金を集める必要があるからなのか?

 そんなバナナ! ですよね。

 何故ならば、日銀は幾らでも必要に応じてお金を発行することが可能であるからです。民間金融機関からお金を集める必要なんてさらさらないのです。

 でも、だったら何故実際に、民間金融機関からそのような多額なお金を集めているのか?

 実は、これは日銀による壮大な社会実験なのです。

 今の日銀は、アベノミクスというかリフレ派政策というか、お金をジャンジャン刷ってマイルドなインフレにすることを目標としています。そして、その手段として、マネタリーベースを2年で倍増するとか、年間80兆円のペースで増やすと言っていましたよね。

 では、どうやってマネタリーベースを増やすのかといえば...マネタリーベースはキャッシュ(日銀券とコイン)と日銀当座預金の合計を意味するので...日銀が、民間金融機関から国債を大量に買い入れ、その代金を日銀当座預金勘定に振り込むことによって達成しようという算段だったのです。

 ただ、その際、日銀が幾ら大量に国債を買い入れても、日銀当座預金に金利が付かなければ、民間金融機関は国債の売却代金を引き出してしまい、マネタリーベースが計画通りに増えるなどということはあり得なかったのです。

 グラフをご覧になればお分かりのように、通常であれば、10兆円ほども預けておけばそれで用が足りたからです。

 しかし、だからこそ、日銀は本来付けなくてもいい金利を付けてまで民間金融機関側の協力を得ようとしたのです。

 私が、ここまで言っても、まだ多くの人は事の重大さに気が付いていないかもしれません。

 でも、金利を付けてやっているといっても、たった0.1%だろう、と。

 だったら、私は言いたい。我々が普通預金をしてもたった0.02%です。定期預金をしたとしても、最低10年も預けないと0.1%の金利は得られないのです。

 それに日銀が実際に民間金融機関側に支払っている金利は、年間2000億円以上にもなっているのです。

 そして、その2000億円以上ものお金は、本来であれば民間金融機関に支払う必要のないお金であり、また、そうなればその分、日銀の国庫納付金も増える筈であるので、結局、我々納税者がその負担をしているのも同然なのです。

 つまり、国民1人が年間約2000円を負担して、インフレターゲットという社会実験をしていると言ってもいいでしょう。

 で、その結果、円安と株高は実現できたけれども、国民にとってプラスになったことは殆どなしだ、と。

 マイナス金利を導入したとはいっても、これまで預けた分はほぼ全額これまで同様金利が付けられる訳で、そして、それは本来付ける必要のない金利であり、しかも、最終的には納税者の負担になっていることを考えれば、もっと憤慨しても当然だと思います。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2016/02/02/025203.php

 


英国の改革要求に対するEU提案の5つのポイント

By LAURENCE NORMAN AND VALENTINA POP
2016 年 2 月 3 日 14:15 JST

 欧州連合(EU)は英キャメロン首相のEU改革要求にこたえる提案を示した。それには今後英政府と他のEU加盟27カ国政府の間で交渉される解決策の候補が挙げられている。以下は主な5つの点だ。


1 「緊急ブレーキ」の発動 トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は、英国政府に対し、EU加盟国の労働者が英国に来てから4年間は職業関連の社会保障を制限することを許す「緊急ブレーキ」手続きを提案した(これは将来的にはEUの他の国にも適用される)。キャメロン首相はEU労働者の職探しの目的地としての英国の魅力を低下させることを希望している。主な未解決点はこの「ブレーキ」手続きの有効期間と、これをどの程度延長できるかにある。EUは既に英国がこの手続きを取ること自体は保証している。提案は英政府が子育て関連など他の社会保障を削減することを可能にする他の措置も含んでいる。

2 英国向けセーフガード トゥスク提案は、英国とEU加盟28カ国のうちユーロ圏外の8国に対し、ユーロ圏が何か提案を通そうとした際にこれに対する懸念を表明することができるほか、この懸念が検討されることを約束するセーフガードを提供しようとしている。EUは、英国政府がEUの指導者らに懸念を伝えるメカニズムを作るほか、域外国の意見を「尊重」することを確実にする複数の原則を提示する。しかし、英国にユーロ圏問題に対する拒否権は与えられず、懸念表明の対象範囲は限られるほか、金融危機などの緊急事態の場合に英国は提案を制止することはできない。

3 主権の問題 キャメロン首相は昨年11月10日付のトゥスク氏にあてた書簡で、英国の主権を取り戻したいとの意向を伝えていた。提案はいくつかの救済策を提示している。その一つは各国議会に対し、EUの計画する諸策について、国民の半分以上が懸念を示した場合はそれを差し止めることが可能になる明確な仕組みの確立だ。また、EU各国指導者に対し、EU条約にある「さらに深い統合」追求を要請するとの条項適用から英国が除外されることを明確にするよう求めている。

4 英国のEU競争力強化要求 英国は長い間、EUに競争力を強化するよう求めてきた。事情筋によると、キャメロン首相は、EUが新たに規制を作る際には、別の規制を廃止すると約束することを求めたという。それ自体は提案に含まれなかったが、各国指導者に貿易協定の締結を追求し、企業に対する行政負担を軽減するよう約束することを求めている。

5 英、EU双方にアメ EU、英国の担当者は、キャメロン首相の要求を受け入れるためにEUの基本条約を変更するメリットについて何カ月も議論を続けてきた。英国の政治家は条約の変更を要求しているが、他国の政治家は大変後ろ向きだ。とりわけそれが通常は時間のかかり、政治的リスクも大きいプロセスであることが理由になっている。トゥスク氏の提案は、双方に何かアメを提供している。提案の大半はEUの規則と法律を変更及び明確化することによって達成が可能だ。しかし、提案は、少なくとも一部の変更、たとえば非ユーロ圏国の権利や「さらに深い統合」追求からの英国の除外などを将来の条約変更に盛り込む見通しに言及している。

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英国のEU改革要求、今後の焦点
By MATTHIAS VERBERGT AND LAURENCE NORMAN
2016 年 2 月 3 日 14:32 JST

 欧州連合(EU)は2日、英国のキャメロン首相のEU改革要求に対し、譲歩案を提示した。今後、英国のEU残留の是非をめぐり、数カ月に及ぶ議論、法的手続き、政治キャンペーンが始まる見通しだ。

 今後の主な日程を以下にまとめた。

 EU加盟国の説得:キャメロン首相が求めるEU改革案に関する協議はこれまで英国とEU当局の間で行われてきたが、今後はEU加盟28カ国すべてが議論に参加する。EUは2月18・19日に開く首脳会議(サミット)での合意を目標としているが、英国とEUの政治家は交渉が長引く可能性があると指摘している。ポーランドやハンガリーなどは移民への社会保障を制限するEU案の受け入れに「待った」をかけるかもしれない。非ユーロ圏諸国の権利を保護する具体的な方法をめぐり、英国、フランス、ドイツの間で論戦が繰り広げられる可能性もある。

 数カ月に及ぶ作業:EU加盟28カ国が合意した場合、さまざまな内容を法案に落とし込まなければならない。シニア外交官らは、法案作成作業や、EU加盟国政府とEU高官の継続協議、その後の欧州議会との交渉に何カ月もかかるとの見方を示している。この交渉は長引く可能性があるが、法改正には欧州議会の承認が必要だ。つまり、キャメロン首相が6月にEU残留の是非を問う国民投票を行う場合、英国の有権者は新しい厳格な規則ではない「約束」に基づいて投票に臨むことがほぼ確実となる。

 国民投票の時期:英政府はまだ投票日を決めていない。昨年5月の総選挙で勝利する前、キャメロン首相は17年末までに国民投票を実施することを約束した。同首相は、投票を急ぐ考えはないとしているが、年内実施を望んでいることをほのめかしている。2月のEU首脳会議でうまく合意に至れば、6月下旬に国民投票が行われる可能性が出てくる。今後1カ月の間に他のEU加盟27カ国と合意できなければ、夏の投票実施は難しくなる。

 将来のEU条約改正:EU首脳会議で合意に達し、英国民がEU残留を投票で決め、あらゆる法的手続きが完了し、他のEU加盟国とEU議会の承認を得たとしても、EUではおなじみの「British question」が残る。EUのトゥスク大統領は2日、キャメロン首相が支持を表明している将来のEU条約改正に今回の譲歩案の一部を盛り込む可能性に言及した。EU条約の修正はほぼ10年ごとに行われるため、英国の要求が完全に認められるのは今から数年先になりそうだ。一方、EU当局は政治宣言を採択することで合意に法的拘束力を持たせ、国際協定として国連に登録することを目指している。

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