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医者の息子が「ボンボン生活」捨て通販雑誌の一カメラマンに…なぜ五輪公式の世界一流に?(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/243.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 03 日 08:52:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           青木紘二/アフロスポーツ


医者の息子が「ボンボン生活」捨て通販雑誌の一カメラマンに…なぜ五輪公式の世界一流に?
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14071.html
2016.03.03 文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント Business Journal


 日本有数のフォトエージェンシー、アフロの創業社長・青木紘二氏は、今でも第一線のカメラマンとして現場に出向く。広告写真も撮れば、スポーツ報道写真も撮影している。今回はカメラマンとしての青木氏に焦点を当てて、プロのこだわりを紹介してみたい。

 今季もFISワールドカップで優勝争いを繰り広げるノルディック複合の渡部暁斗選手が銀メダルに輝いた2014年のソチ冬季五輪で、青木氏は冒頭の写真を撮影した。ひとつは、優勝したドイツのエリック・フレンツェル選手がゴール直前で金メダルを確信して上げた両手の間に、渡部選手が迫る写真。もうひとつは、ゴールした上位選手が軒並み倒れ込む写真だ。

「フレンツェル選手と2人でレースを引っ張った渡部選手が迫るシーンを押さえつつ、一方で、体力ギリギリまで挑む過酷な競技の側面を表現しました」(青木氏)

●「クライアントの意向に沿う」と「もっといい写真を撮る」の両立

 現役カメラマンの視点で、青木氏が社員にこう助言する。

「『カメラマンは頭を2つに分けなさい』と話します。ひとつは、クライアントの意向に沿った写真をきちんと撮ること。もうひとつは、もっといい写真を撮りたいというアマチュア精神を忘れるな、ということです」(同)

 青木氏は、やりたくない仕事もあると明かす。そのような場合、本連載前回記事で紹介した「楽しく仕事をがんばろう」という理念と、現実との折り合いをどうつけるのだろうか。

「やりたくない仕事をいい加減に行えば、お客さんは見抜きますし、次の仕事の依頼はなくなります。でもその仕事を一生懸命にやると、どこか楽しい部分が出てくる。社員には『10のうち1つでも楽しければ、それは楽しい仕事だよ』と伝えています」(同)

 青木氏でも、広告主の意向に必死で応えて撮影しても採用されないこともある。

「大手広告代理店から依頼された、ある巨大企業の経営トップ直々の仕事がありました。私が撮影した写真の選択は経営者自身が行うという条件で、そのひとつ、体操の跳馬の写真は『スーパーマンのように両手を広げた空中シーンがお気に入り』とのことでした」(同)

 そこで引退直後の元五輪代表の男性選手に演じてもらい、スタジオで撮影したという。

「最初に撮影したら、いい写真が撮れた。撮影に立ち会った広告代理店の担当者に見せると、『写真の構図はいいけど、少し手が低いです』と言われました。その後に何度もチャレンジしたが、どうしても手が低く写ってしまう。休憩をはさんでさらに挑み、深夜になるとその選手が、『青木さん、手をつかないで跳ぶからケガの可能性が高い。だから絶対に一発で決めてほしい』といって、受け身をとって広告用の演技をしてくれました。それでお望みのシーンを押さえることができて撮影は終了したのです」(同)

 数日後、先方の企業から「この写真は自然なのですか」と聞かれた。「いや、自然ではありません」と答えたところ、採用されたのは最初の段階で撮影した写真だったという。

「クライアントあっての仕事ですから、そういうものです」と語る同氏は、別の広告写真では、飛び込みの選手が水中に入った写真を“演出”した。身体に重りとロープをつけて水中に沈んで撮影したが、水中でわかったのは、選手は入水してすぐ浮上を始めること。

「それでは身体が一直線に伸びず、きれいな絵になりません。そこで床に手を着くようにお願いしたところ、選手の身体全体が泡につつまれた写真が出来上がりました」(同)

●他人がやっていない「場所」が、強みとなった

 ここで、カメラマンになるまでと、なってからの青木氏の半生を紹介しよう。富山県魚津市で父親が開業医の家に生まれた同氏は、裕福な家庭に育ち、映画好きの少年として成長した。中学時代には映画を観た感想を専門誌に投稿して採用されたこともあったという。一方で、カメラマニアの父親は息子にもカメラを買い与え、親子で撮影もした。

 そんな環境で育った青木少年が、高校卒業時にめざしたのは映画の仕事だった。まずは欧州映画の世界観を知るためにスイスの学校に留学し、哲学や宗教観を学ぶ。仕送りで生活し、雪国の富山県で培ったスキー技術を生かして、スキー場でのアルバイトも始めた。学校卒業後は、スイス国家公認のスキーインストラクターとして働いた。

 インストラクターの報酬と親からの仕送りで不自由なく生活していた同氏だが、27歳の時に、突如として日本に帰国してプロカメラマンになることを決めた。「映画が斜陽産業となって映画界への就職が難しく、一生スキーのインストラクターで終える気もなかったから」だという。仕送りを断って退路を断ち、お金を稼がないと生活できない道を選ぶ。

「少年時代から写真を撮っていたので、プロの撮影した写真を見て『この程度の写真なら自分でも撮れる』と思ったのです。怖いもの知らずで始めた仕事は、最初は通販雑誌の商品撮影が多かったのですが、次第に依頼される仕事の幅も広がっていきました」(同)

 青木氏の強みは、スイス時代の生活だった。現地で暮らして英語と日常生活に困らない程度のフランス語が話せたことと、欧州のスキー場に詳しいことが武器となった。やがて広告写真だけでなくスポーツ写真も撮るようになる。ここでも欧州各地を回った経験が生きた。多くの人が進む道を選ばず、自分なりの「場所」を見つけるのも持ち味のようだ。

 その嗅覚が報道写真で生きたこともある。たとえば02年のFIFAワールドカップ(W杯)日韓大会のイングランド対スウェーデンの試合で撮影した、ソル・キャンベル選手(イングランド)のゴールをアシストしたデヴィッド・ベッカム選手のガッツポーズ写真は、世界中に配信された。

「イングランドのコーナーキック(CK)のチャンスを迎え、大半のカメラマンはスウェーデンのゴール裏に移動しました。でも私は何か勘が働いて、CKを蹴るベッカム選手の真後ろに移動しました。キャンベル選手のヘディングシュートが決まった直後、私の目の前で、ベッカム選手がサポーターに向かって派手なガッツポーズをしたのです」(同)

 こうした経験もあり、いくつかの大学で講師も務める同氏がカメラマン志望の学生に話すのは、「いい撮影位置が取れなかったときは、発想の転換をしなさい」だという。

●冬季五輪の挫折から22年、五輪の公式エージェントに

 アスリートが「五輪の悔しさは五輪でしか晴らせない」と言うことがあるが、青木氏にも同様の経験がある。

 初めて同氏が五輪を撮影した1976年のインスブルック冬季五輪では挫折を味わった。

「私はまだアマチュアでプレスカードも発行してもらえず、チケットを買って一般の観客席から選手を撮影しようと思いました。でもファインダーをのぞいたら、選手は豆粒ぐらいにしか見えない。300ミリの望遠レンズもない時代です。2〜3日五輪会場に通って撮影するのをあきらめました。しばらくは悔しくて、五輪を見るのも嫌でした」(同)

 その屈辱をバネにプロとなり、8年後の84年サラエボ冬季五輪で初めてプレスカードを手にした。そしてスポーツ撮影の実績を積み、98年の長野冬季五輪からアフロは公式写真を担うオフィシャルエージェントに選ばれた。写真にあふれる躍動感が評価されたという。

「私の人生でライバルというのはいません。競争相手はいつも自分です。以前同業の先輩に50代でカメラマンを辞めた理由を聞いたところ、『写真を撮っていて、もうこれでいいやと妥協するようになったから』と話していました。もっといい写真が撮れるのではないかと貪欲に追求する姿勢がなくなったら、プロとして引き際でしょうね」(同)

 毎回発行してきた五輪の公式写真集は、今年のリオ五輪直後にも発行する。開催地での五輪撮影を終えた青木氏は、空港からオフィスに直行してスタッフと一緒に写真選びに没頭する。

「世界中から集めたいい写真の中から選ぶのは楽しい作業です。ここ2〜3回は同じスタッフが行っており、産休中の女性社員も『4月には帰ってきます』と宣言しています(笑)」

 アフロ社内では「役職で呼ぶと上下関係が生まれる。同じ仕事をするからには仲間」という同氏の信念のもと、役員も社員も「さん」や「君」づけで呼び合う。「言われなくても、時間を忘れて顧客の要望する写真の撮影やビジュアル選びに没頭する社員が多い」という。

「仕事を楽しむ」をモットーに、現役を続けて結果を出す。企業経営の舵取りも誤らない。現役クリエーターと経営者の両立は難しいが、ロマンを掲げて仕事を行う視点は、目先の業務に追われがちなビジネスパーソンにとって参考になりそうだ。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
 

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