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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、本当のコストいくつか:アメリカだけで約50万の雇用喪失 :国際板リンク
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/242.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 03 日 01:03:51: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、本当のコストいくつか:アメリカだけで約50万の雇用喪失(マスコミに載らない海外記事
http://www.asyura2.com/15/kokusai12/msg/756.html

 

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1. 2016年3月03日 02:09:37 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[333]
米ADP民間雇用者数:2月は21万4000人増−サービス業が好調
2016/03/03 00:30 JST

    (ブルームバーグ):給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが発表した給与名簿に基づく集計調査によると、2月の米民間部門の雇用者数は市場予想を上回る増加となった。
2日の発表によると、2月は21万4000人の増加。前月は19万3000人増と、速報値の20万5000人増から下方修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値によれば2月は19万人増が見込まれていた。
ADPと共同で集計調査を行うムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は発表資料で「世界的に金融市場が混乱している中で、米国の雇用創出は引き続きフル回転だ」と指摘、「エネルギー産業や製造業が今も落ち込んでいるが、それ以外の分野は堅調に雇用を伸ばしている。急速に完全雇用に近づいている」と続けた。
建設業は2万7000人増加。一方、製造業は9000人減少した。サービス業は20万8000人増えた。従業員が500人以上の大企業の雇用者数は7万6000人増。50−499人の中堅企業では6万2000人増えた。49人以下の小企業では7万6000人増加した。
原題:ADP Says Companies in U.S. Added 214,000 Workers in February(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3F0GXSYF01S01.html

Business | 2016年 03月 3日 01:27 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス

 米ADP民間雇用者数、2月は予想上回る21.4万人増

[ニューヨーク 2日 ロイター] - 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)とムーディーズ・アナリティクスが発表した、2月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は21万4000人増加した。

ロイターがまとめた市場予想は19万人増を上回った。市場混乱や世界景気鈍化への懸念が広がる中、雇用が堅調に伸びたことをうかがわせた。

1月分は当初の20万5000人増から19万3000人増に下方修正された。

ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディ氏は記者団との電話会見で「依然として相当強い内容だ。雇用市場はとても健全だ」と指摘。雇用者数が増え続ければ、年央までに完全雇用を達成すると見通した。

ADPによると、懸念すべき兆候も存在する。

製造業雇用者数は9000人減と、過去5年間で2番目に大きな落ち込みとなった。金融部門は8000人増と、2015年8月以来の低水準だった。

米労働省は4日、2月の雇用統計を公表する。ロイターがまとめたエコノミスト予想は、非農業部門雇用者数が19万人増、失業率は横ばいの4.9%を見込む。
http://jp.reuters.com/article/adp-payroll-feb-idJPKCN0W423N

Business | 2016年 03月 3日 01:48 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
米経済は堅調、緩やかな利上げ「正しい戦略」=SF連銀総裁

[サンラモン(米カリフォルニア州) 2日 ロイター] - 米サンフランシスコ(SF)地区連銀のウィリアムズ総裁は2日、米経済は海外からの向かい風にもかかわらず堅調に推移しており、景気後退の明らかなリスクには直面していないとの認識を示した。

同総裁は、向こう数年間は「ある程度の緩和措置」は必要となるとしながらも、緩やかな利上げは「正しい戦略」と指摘。

海外の景気鈍化にもかかわらず、米国の内需は失業率を継続的に押し下げ、インフレ率を連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に押し上げるに十分なほどに力強く推移していると述べた。
http://jp.reuters.com/article/fed-williams-idJPKCN0W425F


Business | 2016年 03月 2日 23:51 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
今年の中国マネーサプライ目標は+13%、追加緩和示唆=関係筋

[北京 2日 ロイター] - 中国が今年のマネーサプライM2伸び率の目標を13%程度に設定することが、関係筋への取材で分かった。中国が痛みを伴う構造改革を進める中、一段の金融緩和策が実施される可能性を示唆している。

関係筋の1人は「M2の伸び13%は、流動性を目先潤沢に保つのに十分だが、中国人民銀行(中央銀行)は追加緩和を実施する公算が大きく、年内のより遅い時期にはこれを上回る伸びとなるだろう」と話した。

別の関係筋は、指導部が推進する供給側の改革を進める上で求められる水準に見合うためには、流動性の状況や信用、マネーサプライの伸びを適切に維持する必要があり、13%程度のM2の伸びを目標とする可能性が高いと述べた。

また今年のインフレ率目標は、前年実績の2倍以上となる3%程度となる見込みだ。デフレリスクの回避を目指すほか、国際商品(コモディティ)市況の回復も想定されているという。

今年のマネーサプライおよびインフレ率目標は、昨年12月に開催された中央経済工作会議で承認されており、李克強首相が3月5日に開幕する中国全国人民代表大会(全人代)で正式発表する見通し。

国家発展改革委員会の徐紹史主任はこれまで、今年の経済成長率の予想レンジを6.5─7.0%に設定したことを明らかにしているが、今回のマネーサプライ、インフレ率目標もこの成長目標に整合する水準だという。
http://jp.reuters.com/article/china-economy-targets-idJPKCN0W41UC


ECBはマイナス金利の銀行利益への悪影響リスクを監視−クーレ理事
2016/03/02 19:45 JST

    (ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利が銀行の収益を圧迫するリスクを監視しているが、第一に物価安定を実現する決意を堅持していると、クーレ理事が述べた。
同理事は2日フランクフルトでの講演で、「その問題は十分に認識している」とし、「銀行の与信の流れに及び得る悪影響を和らげるため、他の国や地域で用いられている政策を注意深く検証している。しかし同時に、銀行が抱える問題は主に金融政策に起因するとの論調を修正する必要があるとも私は思う」と語った。
投資家は9、10日の政策委員会でECBが中銀預金金利を0.1ポイント引き下げマイナス0.4%とすると予想している。当局者らは3日から、会合前に発言を控える期間に入る。
クーレ理事は「多くの銀行は金利収入の減少を融資額の増加と金利支払いの低下、リスク引き当ての減少、キャピタルゲインによって十二分に相殺している。現在ほど緩和的でない政策を主張する者は、生産が停滞し物価が下落し続ける場合の融資額と貸倒引当金への影響について自問する必要がある」と論じた。
同理事はあらためて、成長とインフレが弱い中では超低金利が正当化されると強調した。
「世界経済の見通しと、欧州の方向および英国の国民投票や移民の次の波など新たな衝撃に対する耐久力についての不透明感がある」と指摘し、ユーロ圏は「失業率を低下させ、経済の中のレバレッジ(借り入れ)を減らし、インフレ率を物価安定の目標に沿う水準に押し上げるため、緊急に成長を加速させる必要がある」と語った。
フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁はこの日、仏議会で証言し、ユーロ圏はデフレに陥ってはいないものの、インフレ率は低過ぎ、ECBは目標について「持続性」を持つ必要があると述べた。
原題:Coeure Says ECB Watching Impact of Negative Rates on Banks(抜粋)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3EOZX6TTDS501.html

ユーロ圏銀行の利ざや、低金利でも金融危機前の水準維持=ECB

[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が公表したデータによると、ユーロ圏銀行の金利マージンが金融危機以前の水準から変わらないことが分かった。

低金利環境による銀行収益への打撃が懸念される中、3月10日の理事会で中銀預金金利をさらに引き下げると見込まれるECBにとっては、一定の安心材料となりそうだ。

データに基づきロイターが試算したところによると、家計や企業向け融資の金利(非加重平均)は金融危機が発生した2008年以降、ほぼ半分の水準に落ち込んだ。

だが銀行が支払う預金金利はこれを上回るペースで低下しており、預貸利ざやは約240ベーシスポイント(bp)と、2005━2009年の水準と同じだった。利ざやの最高は2003年につけた285bp、最低は2012年の184bp。

1月の融資残高の平均金利は3.6%、預金金利は1.2%だった。

ECB理事会メンバーのワイトマン独連銀総裁は先週、低金利が長期化すれば銀行収益が大きく減少するとして懸念を表明した。

だがJPモルガンのエコノミスト、デービッド・マッキー氏は「今回のデータを見る限り、純金利収入に深刻な影響が出るまでには、政策金利に一段の下げ余地がありそうだ」と分析している。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-ecb-banks-idJPKCN0W41LB




Business | 2016年 03月 2日 22:23 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
ユーロ圏の銀行、超低金利に対応可能=ECB専務理事

[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は2日、ユーロ圏の銀行は超低金利環境に対応でき、成長とインフレを押し上げに向けたECBの政策からむしろ恩恵を受けるとの認識を示した。

同専務理事の発言は、次回理事会を10日に控えECB内で追加緩和に向けた議論が根強く続けられていることを示唆している可能性がある。

クーレ専務理事はフランクフルトで行った記者会見で、銀行の利益はぜい弱となっている可能性があるものの、多くはECBのマイナス金利による影響を克服しており、むしろ超低金利政策から恩恵を受けていると指摘。「多くの銀行は融資の伸び、利払い費用やリスクに対する引当金の減少などで、利子収入の低下を補って上回る恩恵を受けてきた」と述べた。

また、銀行業界が直面する問題は不良債権やぜい弱なビジネスモデルなど、業界が従来から抱えてきたものと指摘。金融緩和策によりインフレ率を押し上げることへのECBのコミットメントは域内の経済と銀行の健全性にとって「不可欠」であると述べた。

専務理事は、超低金利政策が銀行の金利収入を圧縮する懸念はECBとして認識しているとしたが、銀行はいまのところ収入を守ることができており、どのような状況下でも経済成長の回復は銀行システム全体にとって必須だと主張。

「最近の銀行株急落で、銀行セクターが経済見通しの悪化に極めて敏感であることが分かった」と述べ、「この文脈において、ECBが物価安定策にコミットしていることは名目成長見通しが下振れしないために必要不可欠だ」と言明した。
http://jp.reuters.com/article/eurozone-ecb-policy-idJPKCN0W40Z9

ECBのリファイナンス金利、いまや脇役に

By TODD BUELL
2016 年 3 月 2 日 15:33 JST

 欧州中央銀行(ECB)の金融政策がテレビのリアリティー番組だとしたら、主要政策金利であるリファイナンス金利(MRO金利)が出演し、中銀預金金利が注目の的となっていることについて不満をあらわにする、などというシーンが見られることだろう。

 実際、リファイナンス金利は将来的なECB政策に関する高尚な議論からほぼ姿を消している。忘れている人のためにあらためて説明すると、リファイナンス金利は銀行が中央銀行から借り入れるオーバーナイト物以外の通常の資金に対して付与される金利だ。

 この金利は2014年9月から過去最低の0.05%に据え置かれているが、もはや誰も気に留めていないようである。ECBの政策で主役に躍り出たのは預金金利で、およそ2年にわたりマイナス圏にとどまっている。現在はマイナス0.30%に設定されているが、3月10日の理事会で一段の引き下げが予想されている。

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 ABNアムロのアナリスト、キム・リュー氏は「新たな措置に関する注目は、預金金利ファシリティの引き下げに集まるだろう」とし、「階層式」の預金金利が発表される可能性もあると指摘した。

 通常であれば、商業銀行がオーバーナイトでECBに預け入れる資金に対し中銀預金金利が支払われる。だが金利がマイナス水準になっているため、銀行はECBに金利を支払って資金を預けなければならない。期待されているのは、これが企業や家計向けの借り入れ金利の低下につながり、経済を促進することで、すでにその効果もある程度みられている。

 ECBも、中銀預金金利が現時点では政策金利を実体経済に波及させるための主要ツールであることを認めている。ECBのドラギ総裁は12月、「すべての短期金利が預金ファシリティの金利に追随しており、(中銀預金金利は)われわれの金融政策における真の原動力となっている」と述べた。

 実際、1週間物の欧州銀行間取引金利(EURIBOR)は2月24日時点でマイナス0.266%と、中銀預金金利に近い水準をつけている。市場金利の動向は、多くの銀行が同預金金利のペナルティを避けるため、競い合って他の銀行への貸し出しを行っていることを表している。これが金利低下につながり、中銀預金金利は市場金利の実質的な下限となっている。

 ECBがこの中銀預金金利を利用するのは、自由に操作できる金利ツールだからでもある。ECBによると、市中銀行は中銀預金金利がマイナス圏に引き下げられたことで収益に悪影響が出るとの不満を示したが、マイナス金利は他の政策措置と相まってユーロ圏の企業と家計を支えている。

 エコノミストは、中銀預金金利のマイナス幅が拡大する可能性はあるが、ECBが一気にリファイナンス金利のマイナス化を進めることはまだないだろうと指摘する。中銀預金金利への注目はまだしばらく続きそうだ。

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ECB、新たな刺激策の準備ある=ビルロワドガロー理事
ECBのビルロワドガロー理事はインフレ押し上げで新たな刺激策の準備があると述べた

By MATTHEW DALTON
2016 年 3 月 2 日 21:14 JST

 【パリ】フランス銀行(中央銀行)のビルロワドガロー総裁は2日、極めて低水準にあるユーロ圏のインフレを押し上げるため欧州中央銀行(ECB)は新たな刺激策を実施する準備があると述べた。

 ECB理事でもある同総裁はフランス議会での証言で、刺激策として、商業銀行向けの集中的融資、資産購入の拡大のほか、低政策金利の期間に関してより詳細を明らかにすることなどがあると述べた。

 ECBはすでに中銀預金金利をマイナスに引き下げたほか、物価押し上げのため数十億ユーロの資産購入を継続している。しかし、インフレ率は低水準にとどまり続けており、最近はエネルギー相場の下落を受けマイナスへと落ち込んでいる。

 総裁は、インフレ率が短期的にマイナスとなったことは長期的な物価下落の開始を意味しないと述べた。そのうえで、インフレ率は原油相場の安定に伴い今年中にプラスに転じるとの考えを示した。

 ただ、それでも中銀は現状を注視すべきだとの考えを示し、「原油相場の下落は他の財・サービスの価格や賃金の動向にもより長期的な影響を与える可能性がある」としたほか、「現状はデフレではないが、インフレ期待が過度に悲観的になることは避けなければならない」と述べた。

 また、「マイナス金利には多くの疑問を投げかけられているが、当然ながらこれ自体が目標ではない」とし、「ユーロシステム(ECBとユーロ圏加盟国の中銀で構成)にはこれ以外にも活用可能な複数の手段がある」と述べた。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MV192_ecbher_M_20160229081853.jpg



コラム:日銀マイナス金利政策の「時間軸爆弾」=熊野英生氏

熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト

[東京 2日] - 日銀のマイナス金利政策は、どのような時間軸のルールで運営していくつもりなのだろうか。消費者物価2%の上昇率を安定的に持続できるまでマイナス幅を拡大し続けるというイメージなのか。先行きの見通しには、まだ不確実さが残っている。

債券利回りのマイナスは、2016年1月29日のマイナス金利導入以前から存在していた。同月28日までは4年物までマイナスだったのが、導入以降は6―10年物にかけてマイナス金利の範囲が広がっている。つまり、マイナス金利導入は、市場のマイナス金利状態を一気に定着、拡大させたことになる。

素朴な疑問として、日本の政策金利が10年以上もマイナス金利状態を維持するとは思えない。黒田東彦日銀総裁の任期は、18年4月までである。安倍晋三首相の任期も18年9月までで、アベノミクスの時間軸もそこまでしか描き切れない。

マイナス金利には大きな副作用もあるので、それほど長期化するとは思えない。だから、長期金利までがマイナス金利になる状況は、やや行き過ぎにみえる。

<国債買い入れは接着剤>

イールドカーブがマイナス領域に沈んでいる背景には、海外投資家が金利マイナスの国債を活発に買っているという事情がある。ベーシススワップ取引で円資金をマイナス金利で調達し、日本国債で運用している。マイナス金利の国債は、満期まで保有していれば損失が確定するが、日銀に買ってもらえば大きな損失を回避できる。

なぜ、内外の投資家がマイナス金利でも国債を購入するかと言えば、日銀の買い入れという出口があるからだと考えられる。市場でマイナス金利が成立している状況を、現状維持する役割を日銀の国債買い入れは担っている。言わば、マイナス金利の接着剤なのである。

日銀は、マイナス金利を先々も拡大させるという予想を振りまきながら、イールドカーブの下方シフトを誘導して、それを国債買い入れで固定化する。マイナス金利付き量的緩和政策とは、従来の量的・質的緩和とは全く別物の政策だと感じられる。

<時間軸がスイングする可能性>

筆者は、イールドカーブのマイナス幅がどこまで下がっていくかは、日銀のアナウンスに依存する部分が大きいように思う。日銀の政策姿勢が、変わりそうだと予想されると、時間軸がスイングする可能性がある。

例えば、株価が上昇して、為替が円安になっていくと、自然にマイナス金利の時間軸は短くなるだろう。米連邦準備理事会(FRB)の段階的な利上げが安心感を取り戻し、マーケット環境が改善しても同様に時間軸は短期化する。今後の環境変化の中で、いつまで日本の長期金利はゼロ近傍のままの水準でいられるだろうか。

また、イールドカーブが長い期間までマイナスになっている現状は、需給面でベーシススワップによる海外投資家の国債買い入れが大きな役割を果たしているだけに、そうした需給環境が変わってしまうと、長期金利が上昇するかもしれない。

仮に、経済環境が不透明な中で、長期金利が上昇すると、日銀は金利安定化を狙って、当座預金のマイナス金利幅を拡大させて迎え撃つという展開も予想される。ベーシススワップによるマイナス金利から、日銀本位のマイナス金利へのシフトである。

その場合、物価上昇率が上向きになって、日銀がマイナス金利幅を拡大しない姿勢に変わったときが不安だ。マイナス金利の継続を織り込み過ぎた見通しが変わってしまい、長期金利が大きく動くことが警戒される。

<何のための時間稼ぎか>

筆者が強調したいのは、期待形成が過度にマイナス金利を織り込み過ぎると、将来のどこかで見通しの修正が起こり、実体経済に有害な長期金利の上昇が反動として起こるのではないかという危惧があることだ。

日銀の時間軸政策は曖昧なところがあり、現在の日銀は長期金利が人為的に下がることを一方的に歓迎する姿勢であるが、将来もその姿勢が変わらないということの一貫性は必ずしも保証していない。

達観すれば、しょせん、時間軸政策というのは、実体経済を改善させるために、「一定期間の時間を買う」政策に過ぎない。問題は、時間を買っているうちに、本質的な構造改革を行って、経済成長の腰を強くすることである。筆者は、アベノミクスが構造改革にメスを振るう時間がそれほどたっぷりあるとは思っていない。

マイナス金利の時間軸が過度に織り込まれているとしても、実体経済がある程度強くなっていれば、ショックに対する耐性は高まっていることだろう。最悪なのは、日銀が時間稼ぎだけを熱心にやって、実体経済が脆弱なままで爆弾が破裂することである。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKCN0W413D



貸し渋りなどの懸念、今のところ生じてない=マイナス金利で日銀総裁

[東京 2日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は2日午後の参議院予算委員会で、マイナス金利導入に伴って銀行が貸し渋り、貸しはがしなどの行動に出るのではないかとの質問に「今のところそのような懸念は生じていない」と語った。

大塚耕平委員(民主党・新緑風会)への答弁。

黒田日銀総裁はマイナス金利の金融機関経営への影響について、付利引き下げに伴う直接的な影響とイールドカーブ低下に伴う貸出金利低下の影響があるとしたうえで、「金融機関の収益への影響は引き続き十分見ていきたい」と述べた。

安倍晋三首相は「今まで銀行の体力が強い中で0.1%という(付利)金利をつけていた。マイナス金利が直ちに手数料引き上げに結びつくとは考えられない」と指摘。「体力のあるところ(銀行)は、賃上げも前向きに考えてもらいたい」と注文した。

黒田総裁はまた、インフレはどこまで追求するかとの質問に「物価安定目標は、消費者物価上昇率で2%。高いインフレ率は目指していない」と答えた。

*内容を追加します。

(石田仁志)
http://jp.reuters.com/article/kuroda-o-idJPKCN0W40J8


「ゼロから聞かせていただきたい!」
マイナス金利は劇薬というより「サプリ」です。

マイナス金利って結局どういうこと? 前編

2016年3月3日(木)編集Y


日本銀行が実施した「マイナス金利」は、日本の経済にどんな影響をもたらすのだろう。景気対策の筈なのに、金融機関の金利収入が減るから、むしろ悪影響があるのでは? という声もある。「金利がマイナス」という言葉自体が矛盾しているようで、どうにもすっきり理解しにくい。法政大学経済学部准教授の飯田泰之さんに、ゼロから教えていただいた。
―― 飯田さん、お久しぶりです。「マイナス金利」という耳慣れない言葉があっという間にメディアにあふれました。この連載は「ゼロから」がタイトルなんですけれど、「今回はゼロどころか、地面の下、それこそマイナスからお願いします。

飯田:Yさんが来たって事は、今日はぶっちゃけトークをしろということですよね。じゃあ、最初に結論から。「マイナス金利」は、劇薬とか言われますが、大した話じゃないということです。なので、悪影響もないけれども、いい影響もそこまでのものではないでしょう(笑)。

―― あら?

飯田:一応評価するならば、「マイナス金利も辞さないタイプの中央銀行」ということを内外に知らしめたこと。マイナス金利ができるとなれば、金融政策のカードがまだまだあることになる。これは、例えば日本国債を売りたいとか、円高に賭けようかという人の行動に歯止めをかける力はあるでしょう。

特効薬ではなくサプリメント

 当初こそ、受け止め方がばらついて相場が揺れ動きましたが、基本的には、国債の金利が跳ね上がるような事態はかなり起きにくくなっている。むしろ、国債の利回りは大きく下げました。為替については、どうも誤解があるようですが、マイナス金利は基本的には円安要因です。現在はFRBの政策変更予想などの影響の方が圧倒的ですから、円高に振れていますが。マイナス金利は、政策目標に向けた特効薬というよりサプリメント。「ビタミン剤を呑みました」みたいな施策ですね。

―― ああ、なるほど。

飯田:大事なのは、ビタミン剤を呑んだだけでは病気はそうそう治らないということです(笑)。ですが、呑んでおいた方がよかったとは思います。

―― 健康にはならない。でも、ある程度は摂取しておいた方がよい、しかも効きが悪かったら「また服用してみたら」という。

飯田:そうなんですよ。追加措置無しで景気回復までもっていけるというのがおそらく日銀としては一番都合のいいシナリオですけれど。それはともかく複雑な、ともすると政治的な構造を持っちゃっているので、経済学者には嫌われる政策だと思います。

飯田:アタマの整理のために、平時の金融政策の話からしましょう。

 みずほとか、りそなとか、あとは地銀や信金などの市中銀行は皆さんから預金を預かって、その預かった預金のほとんどを貸し出しに回して、預金金利と貸出金利の利ざやで稼ぐのが商売です。

―― 言い換えると我々預金者は、銀行に資金を貸し付けているわけですよね。銀行はそれをまとめて、企業などに貸し出す。我々を含めた預金者に支払う金利と、貸し出す金利の差が儲けになる。

飯田:そうです。そして「金融政策」は、平時はこの銀行からの貸出金利を低めに誘導することによって、企業の設備投資だったり、個人の住宅投資や耐久消費財の消費を活性化させようというのが、基本のやり口なわけですね。

―― はい。

飯田:さて銀行は、預金のほとんどを貸し出してしまっています。

―― お金こそ経営資源ですからね。金庫に仕舞っている銀行は、工場を動かさないメーカーと同じ。

飯田:ですので、いきなり預金者全員が「やっぱり引き出すわ」と押しかけたら当然対応できない。

―― あ、第一次大戦の後の1927年、「昭和金融恐慌」のもとになった取り付け騒ぎみたいな。銀行の周りに預金者が列をなした写真が強烈に印象に残ってます。

飯田:そうです。そういうときには中央銀行が緊急融資を行うわけなんですけれども、そういった防衛策を確実に行うためにも、普段の銀行の経営が健全であるという証拠、非常時はともかく、日常の一般的な引き出しには耐える余力があるという証明が欲しい。そのために各銀行は、預金の一定割合(準備率という)を、日銀の当座預金残高に積まなきゃいけない。これを「法定準備」といいます。日銀のホームページなどでは「所要準備額」と記載されていますね。

―― 当座預金残高イコール法定準備、でいいんでしょうか。

飯田:大丈夫です。

そういえば「公定歩合」はどうなった

―― そして金融政策は、法定準備率や法定準備預金額の操作で行われている…?

飯田:…のではありません。準備率はどちらかと言えば金融システムや預金者(私たち個人や企業)の行動習慣に合わせて調整するものになってきています。そのため、1991年10月以来、ここ20年以上、準備率は変更されていないんです。

―― そういえば、懐かしの「公定歩合」ってもうないんでしょうか。

飯田:現在の名称は「基準割引率および基準貸付付利率」です。名称としての「公定歩合」はなくなりました。

――ずいぶんめんどくさい名称ですね。略称とかはないんですか?

飯田:こんなに長いのに、略称もないくらいマイナーな指標になったということです。かつて日銀は、日銀から市中銀行への貸出金利である公定歩合の上下で、間接的に銀行の利子率や貸出金利をコントロールしてきました。しかし、1994年の金利自由化完了で、金利は市場での需給バランスで決まるようになります。銀行の資金に過不足が生じたときには銀行間の短期資金市場(コール市場)で資金を貸し借りすることになったわけですから、重要なのはそこでの金利、コールレートと言うことになります。

 もっとも、コールレートよりも公定歩合(基準割引率および基準貸付付利率)が有利だったら、みんなが公定歩合で日銀から借りることになりますから、「コールレートの上限を決めている」という意味合いは残っています。

――コールレートは基準ワリビキ何とかより高くなることはないと。

飯田:そういうことです。直接決定できた公定歩合ではなく、コールレートが重要になったので、日銀は市中銀行が持っている国債などの資産を買い取ったり、売却して、コールレートや市中のお金の量(マネタリーベース)をコントロールしようとするようになりました。これが今行われている日銀の金融政策、「公開市場操作」というわけです。

―― すみません、お話がずれました。日銀の当座預金残高の話でしたね。

飯田:そうそう。Yさん、当座預金ってそもそもなんでしたっけ。

―― そりゃ、事業者が小切手とか手形の決済のために設定する、無利息の口座ですよね。

飯田:そうです。ですので、日銀の当座預金も通常、金利が付きません。なので、各銀行はなるべくここに残高を持ちたくない。これは「平時」の話で今は違いますが、まず平常時の話をしますね。

―― 置いておくだけでは利息がもらえないから、日銀の当座預金には入れたくない。となると、銀行としては預けるお金は所要準備分ぎりぎりにしておきたくなりますね。

飯田:そうです。所要準備は預金額×法定準備率です。ここで、貸出し過ぎて日銀当座預金残高が所要準備以下になると、どこかから、というか、コール市場で他の金融機関から借りてこなきゃいけない。つまり、金利を払って、利息が1円も付かない日銀に預けなきゃいけない。

―― これはばかばかしいですね。

飯田:やりたくないですよね。言い換えると、銀行・金融機関の間の貸し借りの金利、「コールレート」が高くなると、所要準備が足りなくならないように金融機関は顧客へのお金の貸し出しに慎重になります。貸し出しすぎた時のペナルティが高くつくからですね。

―― そして、高利で貸さないともうからない、と、市中金利が上がっていく。

飯田:逆にコールレートが非常に低いとか、あるいはゼロだったら、「足りなくなったら足りなくなったで借りてくればいいや」と思うので貸し出しが活発化する。この性質を利用して、日本銀行はコールレートをコントロールし、銀行の貸し出し姿勢をもコントロールします。これが「ど」平常時の金融政策なんですね。

政策は、市場価格に従って実行される

―― ちょっと待って下さい、いつもこの辺からぼんやりしてくるんです。そもそもどうやってコール市場の金利を操作するんでしょう。

飯田:国債などを銀行から、買ったり売ったりするんですね。銀行が日銀に売れば、日銀がお金を当座預金口座に振り込むので、国債を売った銀行の日銀当座預金残高が増える。十分な準備をもっている、つまりはコール市場でお金を借りる必要がない銀行が増えるわけですから、コールレートは低くなることになります。逆に、日銀が銀行に売れば、銀行の所用準備が減って、コールレートは上がる。

―― そう、そこです。そこまでは分かるんですが、日銀と銀行の間で国債を売る、買うってところのイメージがうまくできません。新聞社の日銀担当の後輩に聞いたら、日銀がいくらで買え、売れ、という話じゃないんですってね。

飯田:そうですよ。銀行側は日銀が相手でも普通に「いま売って、買って、儲かるかどうか」で売買しています。言い換えれば、売りたくなる値段を提示しないと、日銀は国債を買うことが出来ない。つまりは金融政策を行えない。

―― あ、そうか、考え方が逆でした。金融“政策”というからには、「日銀側が思い通りに、上意下達で制御できるもの」と思い込んでましたが、話は反対で、「市場が求める値段を提示することで売り買いをして、政策を実現する」んですね。こんな勘違いをしているのは俺だけだろうなあ…。

飯田:窓口指導や公定歩合時代のイメージで現在の金融政策を理解しているとたしかにわけがわからなくなります。そしてここが腑に落ちていないと、この先が分からなくなる。重要なポイントはまさに、「市場が求める値段を提示することで売り買いをして、政策を実現する」にあります。

飯田:さて、本題に戻りますか。

 いわゆる伝統的な金融政策理論では、このコールレートがゼロになってしまったら「金融政策はこれ以上もうやることはないですよ」と考えます。「だってこれ以上、金利を下げられないんだもん」というわけです。

―― ゼロですからね…。

飯田:でも、よくよく考えてみるとこれはおかしい。「今」コールレートが低いか高いかって、実はあんまり関係ないんですよね。将来、本当に当座預金が足りなくなっちゃって、お金を借りなきゃならない「そのとき」に、コールレートが低いか高いかの方が重要じゃないですか。

―― 市中の資金需要が立ち上がってきた時のレートが大事でしょう、と。

飯田:お金が足りなくなるのは今じゃない。将来のどこかの時点なわけです。その将来のどこかの時点でのコールレートが大切なのに、今のコールレートがゼロだから、という話をしてもあまり意味はない。むしろ意味があるのは、「今、コールレートが低いんだから、これからもしばらく低いだろう。貸し出しを活性化してもよさそうだ」「お金を借りても大丈夫そうだ」という期待の醸成ですね。それは、目の前の金利水準ではなく、将来にわたってコールレートが低い(と市場が予想する)ということに意味がある。「時間軸効果」という考え方です。

―― …だんだん難しくなってきた。

「ブタ積み」は、ブタ積みだから意味があるのだ

飯田:時間軸効果というのは、「ゼロ金利政策が長期にわたって続く」ということを民間が信じることができたならば、貸し出し増に効果がある、という事なんです。

―― まあ、それはそうでしょうね。当たり前というか…。

飯田:ところが、かつての日銀は幹部が率先して「ゼロ金利にしたけど、こういう状態は早くやめたい」みたいなことを言っていました。

―― そういえばそうでした。異常事態だ、と認識している風でした。

飯田:それでは、民間もゼロ金利政策が「長く続く」とは信じられない。そこで、次に出てきたのが「量的緩和」という考え方です。法定準備預金額を大きく超える金額を銀行に持たせてしまえ、という考えですね。

―― 法廷準備預金分を超えて口座にお金がダブついているというので、「ブタ積み」なんて言われてませんでしたっけ。

飯田:「ブタ積み」って悪口で使う人がいるんですけど、「ブタ積み」が「沢山ある」ことが大切なんです。各行が超過準備をもっている、つまりは必要ないのに持っている準備分というのがなくならない限り、銀行は決して「資金が足りないから借りなきゃ」という状態にならないわけですよね。そうすると、少なくともブタ積みがある間は金利、上がりっこないと。金融緩和を拡大すると、すぐに「出口政策が……」という批判をする人がありますが、出口政策をとりにくくするようにすることこそが、非伝統的金融緩和の基本性格なのです。

―― ああ! なるほど…。

飯田:「ずっとゼロ金利、長期でやりますから信じて」と口で言うだけよりは、「こんなにブタ積みがあるから、これがなくなるまでは金利上げませんよ」のほうが信じやすいでしょう。

―― なるほど。しかし、それでも足りなくて、ということは市場、民間から信じてもらえなくて、こんどは質的金融緩和、マイナス金利に踏み切ったんですか。

飯田:ええ、ゼロ金利、量的緩和、量的・質的金融緩和といろいろやっているんですけれど、結局政策の中間目標は同じなんです。「ゼロ金利状態が長く続く」ということをいかに民間に確信してもらえるかが肝で、それ以外は手段に過ぎません。将来への予想・期待に働きかける政策ですから、手段そのものだけでなく、コミュニケーションの方法も重要になります。

 かつての日銀は手段以上に、このコミュニケーションに難を抱えていたと言ってよいでしょう。白川(方明)さん(2008〜13年)までの日銀総裁は、速見(優)さん(1998〜2003年)も、福井(俊彦)さん(2003〜08年)も、ゼロ金利にせよ量的緩和にせよ「異常な状態で、早くやめたい」と言いながら行っていた。しかも2006年にはデフレのまま量的緩和をやめたりした。正直これでは金融緩和を長く継続すると信じてくれと行っても無理な話です。マーケットとの対話で信頼感を得ることが総裁にとっていちばん大事な仕事なのに、全然言っていることとやっていることが違った。

―― 当時、飯田さんはじめリフレ派と呼ばれた方々は、制度や法律で金融政策の枠組みを作ろうとしてましたね。

飯田:当初は、日銀と政府が共同でインフレに対して目標を立てる。または、日銀法を改正して、デフレのままとか、求人倍率が低いままで金利を上げたり、量的緩和をやめたりするようなことができないような枠組みをつくろう、と提言していました。政府と一体化したり、法律まで作れば、さすがに「本気だ」と信じざるを得ないだろうと。

政策ではなく、人選で訴えた

―― そして2013年に黒田東彦氏が総裁になって、雰囲気が変わった。

飯田:結局、日本は法律や制度でマーケットの信任を得る、という道は選びませんでした。ではどうやったかというと、いかにも「利上げや量的緩和停止をやらなさそうな人」を日銀の正・副総裁に据えるという、人間コミットメントで予想・期待に働きかけようとしたのです。

 これはベストなやり方とは言えない。ただ、現実的なセカンドベストとは言えるかもしれない。ただし、問題はある。黒田総裁も岩田(規久男)副総裁も70歳を超えていらっしゃいますから。

―― あ、ヒューマンリスクが。

飯田:さらに、現時点ですと政府と日銀間で意思疎通がうまくいっているんですが、これはいつでも得られる状況ではない。首相が代わったり、日銀の正副総裁が変わったりしたならば維持できない信頼かもしれません。

―― 信頼のカギが人間頼みだと、人間絡みの不慮の事態に巻き込まれやすいってことですね。

飯田:そうなんです。だからどこかの時点では法的な枠組みを作るべきだと思います。さて、その中でマイナス金利、黒田緩和なんですけど…。

―― あわわ、基礎を伺っているところでページ数が足りなくなってしまいました! 次回に引っ張らせて頂きます(涙)。

(後編に続きます)

このコラムについて
ゼロから聞かせていただきたい!

「どうしてこんなことが起こったのか」「なぜ、こんなことが可能なのか」。ネガティブにしてもポジティブにしても、我々が感じる不可解さのかなりの部分は、その分野に縁のない人間には分かりづらい用語や、業界の“常識”ゆえに説明がされていないことなどによると思う。そこで、話題になっている事象について、専門家の方に「ゼロから」聞かせていただこうというのがこの企画。いわば「自分の事前取材ノート」のつもりで書かせていただく。皆さんがニュースを読む際に、より理解を深め、冷静に読む一助にしていただければ望外の喜びだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/111600011/030200006/?ST=print

明白なシナリオ見えない「最悪の市場」の謎
市場は今年、矛盾する材料の消化に苦戦している。ヘッジファンドのレバレッジ縮小で人気銘柄への投資がはずれる一方、鉱山セクターや円は大幅安から反発している

By JAMES MACKINTOSH
2016 年 3 月 2 日 17:49 JST

 市場は材料になる話を必要としている。強気筋にとってこの上なく良い話もあれば、弱き筋が元気づくような悲しい結末もある。さらに、アルゴリズムが暴走するといったSFホラー映画のような話もある。投資家たちはこうした全ての材料に飛びつく。

 ただ、今年は余りにも多くの筋書きが絡み合っている。中国経済やマイナス金利、ドルの流動性ひっ迫、米企業利益の大幅減少、リセッション(景気後退)の兆候、原油安、政府系ファンドの動き、地政学的問題、ポピュリスト政治家の台頭などなど、尽きることがない。

 問題は、こうした筋書きや側面的な話が渦巻くなかで、投資家には取引の材料にするような明白な物語が残されていないということだ。一体何が起こっているのか誰も明確に説明できず、その結果、投資家はリスクオフで対応している。

 1つの反応として、最も人気のあった取引が反転し、一部で明らかに予想に反する結果が生じている。

 この反転を最もよく示しているのが恐らく、ヘッジファンドが好んで投資している株式への影響だ。ヘッジファンドが最も好んでいる米企業50社の株式からなるゴールドマン・サックスの指数は2008〜09年の金融危機以降、6カ月間としては最悪のアンダーパフォーマンスとなった。一方、ゴールドマンによる他の指数では、ヘッジファンドが最も選好しない銘柄は6カ月の相対リターンが過去最高を記録した。

 ヘッジファンドは投資のために資金を借り入れるが、運用者たちが先行きの不透明感を懸念するなかで借入額を減らしてきた。つまり、好んで積んできたポジションの一部を切り崩し、下がると見込んで積み上げたショート(売り持ち)ポジションを手仕舞っている。また投資信託や政府系ファンドからの売りで、相場には下押し圧力が増している。

 その結果、劇的なシフトが生じた。つまり、昨年の勝ち組が負け組みに転じ、最も避けられていた銘柄やセクターが現在、他をアウトパフォームする成績を収めている。


今年に入り多くのことが変化している。アマゾン・ドット・コム株は昨年のパフォーマンスは上位だったが、年初来では17%超下落している


 フェイスブックとアマゾン、ネットフリックス、グーグル(現アルファベット)という4社の頭文字を取った「FANG」株ほど、レバレッジ低下を裏付けている銘柄もない。この4社は昨年、米株式市場を引っ張るとともに、ヘッジファンドが非常に好んでいた銘柄だ。今年は4社の中で市場全体をアウトパフォームしているのはフェイスブックのみで、アマゾンとネットフリックスは2月26日時点でともに年初来17%超下落していた。

 バイオテクノロジー企業も際立った動きになっている。株価が桁外れに上昇した後、バイオテク銘柄は絶対値で見ても相対値で見ても、2002年以降でパフォーマンスが最悪の6カ月間を経験した。

 2015年に最も敬遠されたのは鉱山セクターだった。モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)のデータを見ると、今年1月中旬までに同セクターの時価総額は世界の株式時価総額のうち、ドットコム・バブル以降で最小の割合に落ち込んでいた。ドットコム・バブル時には「オールドエコノミー」銘柄の鉱山企業は時代遅れとみなされた。

 こうした低い水準から、同セクターは1カ月で30%ほども反発。鉱山銘柄の年初来での投資収益率(ROI)は10%(配当込み)となっており、FTSE全世界指数の中で飛び抜けて高いパフォーマンスを収めている。

 鉱山銘柄の株価反発の根底には、銅や鉄鉱石などの金属相場に反発期待が戻りつつあることがある。投機筋の先物ポジションの大幅なシフトが見られるなか、ブルームバーグ工業用金属スポット指数は今年、小幅上昇している。投機筋が銅に対して広範に中立姿勢に動くなか、銅相場が下がるとの見方に基づく巨額のショートポジションの解消が相場の下支えにつながった。

 こうした話のどれも、世界経済の苦悩や、世界最大の商品消費国である中国経済の迫り来る破滅、あるいは、世界貿易の崩壊といった頻繁に聞かれる話題にはあまり当てはまらない。こうした話はすべて、特に工業用金属、もっと一般的には鉱山株の株価にとって悪材料のはずだ。

 さらに、弱い経済見通しの下では通常、景気動向にかかわらず売り上げを拡大できるような企業の希少価値や株価の上昇につながる。つまり、ソーシャルメディアやバイオテクといった企業だ。それにもかかわらず、こうした企業の株式は売りを浴びている。

 こうした市場の激変は投資家によるリスクオフの傾向といった話にぴったりマッチする。

 そうした中、世界でも最も人気のある投資がドルの取引だった。「ダイバージェンス取引」は、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切る一方、日銀や欧州中央銀行(ECB)が金融緩和政策を持続するなかで、ドルが対円や対ユーロで上昇し続けるという考えに基づいていた。しかし、そうはならなかった。

 ドルは過去1年間に対円でほぼ5%下げており、4年前のユーロ圏危機以降、1年間のパフォーマンスとしては最悪となっている。対ユーロでは1年前に比べれば上昇しているものの、年初来では下げている。

 鉱山企業やバイオテク企業と同様に、円相場は行き過ぎの水準に達していた。インフレ調整ベースでは、円は日本の貿易相手国通貨バスケットに対し1972年以降の最低水準を付けた。「ばね」と同じように、水準が行き過ぎれば過ぎるほど、それ以上に極端な水準を付け続けることは難しくなる。ヘッジファンドや投資家からの圧力がなくなり、円は激しい勢いで元に戻った。

 新たな筋書きに近く投資家が再び夢中になることは確実だ。強気筋は、米国が独力で世界経済を引き上げるという現代の夢物語に期待をかけている。一方、弱気筋が描くシナリオは、世界は債務上限にぶち当たり、米金利上昇で金融市場が死滅するというシナリオだ。

 ただ、今年の市場の物語について言えば、リスクオフの話には、まだ書き下ろされていない最終章が控えている。ヘッジファンドのレバレッジは大いに低下したが、既に安定しているか、あるいはやや上昇しつつある可能性があることが示唆されている。幸せな結末というのはあまりにも高望みだが、少なくともこの物語の主人公、つまりあなたのポートフォリオにはチャンスがあると言えるだろう。

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年金界クジラGPIF、日本株の買い余地は5兆円超の可能性
2016/03/02 15:28 JST

    (ブルームバーグ):世界最大の年金基金で、金融市場関係者から年金界の「クジラ」と呼ばれる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本株式の買い増し余地が5兆円超まで拡大しているとの見方が出ている。今年に入り株安と金利低下が一段と進んでいるためだ。
大和証券投資戦略部の吉田亮平ストラテジストは、GPIFの資産構成に占める国内債券の割合が2月末時点で40.9%程度に上昇する一方、国内株は約21%に低下したと試算。3月末までに目標値の25%まで引き上げるには、資産価格が一定などの前提を置くと、最大5.3兆円程度の日本株買いが期待できるとみる。
2015年度第3四半期(10−12月)のGPIFの運用成績は、収益率が3.56%、収益額が4.7兆円余りだった。年金特別会計が管理する約2.1兆円も含めた積立金全体は昨年末に約141.9兆円となった。国内債の割合は37.76%と過去最低。国内株は23.35%で外国債券の13.5%とともに過去2番目の高水準だったほか、外国株式は22.82%と最高を記録した。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、GPIFが年初から売買をせず、年金特会の管理分が一定だと仮定すると、年金積立金は足元までに約6.9兆円目減りしたことになると指摘。国内債は約3.4兆円増の42.07%、国内株は約5.5兆円減の20.56%、外債は7828億円減の13.60%、外株は約4兆円減の21.07%になったと試算する。
GPIFは14年10月末の資産構成見直しで、保有する国内債の目標値を全体の60%から35%に下げた一方、内外株式は12%から25%に、外債は11%から15%へ引き上げた。5%だった短期資産は各資産に分散して管理している。従来の国内債偏重型から、株式と債券が半分ずつで保有し、国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型に変えた。
世界の株式市場が弱気相場入りする中で、TOPIXは年初から2月末までの下落率が16%を超えた。円は対ドルで6%余り上昇している。ブルームバーグの日本国債指数は日本銀行によるマイナス金利政策などを追い風に約3.2%上昇した。
メリルリンチ日本証の大崎氏は、国債利回りは短期的には水準調整が生じても不思議ではないが、日銀の金融緩和を背景に「低下圧力がかかり続ける」とみている。経常黒字の拡大などから、今年は円高圧力が強いと指摘。「株価の大幅な反発がなければ、7月の参院選に向けて公的年金による日本株投資は続く」と読む。
償還まで10年以下の国債利回りはゼロ%未満で推移している。GPIFの三石博之審議役は1日の記者会見で、日銀のマイナス金利政策は「まさにサプライズ。運用する立場では大変厳しい状況だ」と指摘。資産構成は中期計画の途中でも必要に応じて変更が可能だとし、「直ちに必要だとは考えていないが、毎年度見直すので運用委員会でも議論して欲しい」と話した。
大和証の吉田氏は、GPIFは「短期的には社債など、国債より利回りの高い債券へのシフトが想定されるものの、中長期的には基本ポートフォリオを見直す可能性がある」と予想。国内債の目標値をさらに下げ、日本株を含めたリスク資産の構成比を引き上げる可能性があるとの見方を示した。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O3E8286KLVR401.html


日本の格付け、消費再増税見送りでも経済状況次第で判断=S&P

[東京 2日 ロイター] - 格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、日本が2017年4月に予定されている消費税率の10%への引き上げを見送った場合のソブリン格付けへの影響についても、経済の状況を総合的にみたうえで判断するとし、即座に格下げになるわけではないとの見方を示した。S&Pの日本ソブリン格付担当、キムエン・タン氏が2日、ロイターとのインタビューで語った。

タン氏は、消費再増税を見送った場合の格付けへの影響について「まさに、その時の経済状況次第だ。もし経済が弱く下降に向かっているなら、消費増税の実施は経済を悪化させてしまい、税収もさほど上がらないことになる」と話した。

S&Pは15年9月、日本のソブリン格付けをAAマイナスからAプラスに引き下げた。見通しはネガティブから安定的に変更されている。

また、足元の円高が続けば、日本の財政バランスを改善させている外部要因が弱まってしまうと指摘。もし内需とインフレが外部要因の悪化を補うことができなければ、財政状態は再び悪化し、格付けに対して長期的にネガティブ要因になるとした。「ただ、そうしたシナリオにおいても、今後1─2年の間に格付けを変更する可能性は低い」と述べた。

また、財政刺激策については「いかなる規模の刺激策でも慎重に影響を見極めなければならない。現時点では、日本政府は(財政上の)懸念を引き起こすことなしに、経済を支援するのに十分な規模のパッケージを策定できるとは考えていない」とも話した。

また最近の円債金利の低下について「短期的には、政府の財政コストを減らすが、長期的にもそうなるかは、金融政策に対する人々の信頼が継続するかにかかっている」と話した。

マイナスのイールド・カーブについては、すぐにプラス圏に反転する可能性は低いが、金融セクターへの悪影響を通じ、金融政策の信頼にダメージをもたらし、ひいては海外への資金流出につながる可能性もあると指摘した。そうなった場合、短期の政策金利はマイナスだとしても、長期金利がマイナス圏にとどまることはないだろう、との見方を示した。

(竿代真一 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/sandp-japan-idJPKCN0W40DT

「レス・ザン・ゼロ」―日本のマイナス金利
日本の状況は、多くが考えるほど深刻なものではない
2016.3.3(木) 浜田 宏一
今のところマイナス金利の導入に市場は期待通りの反応を見せていないが・・・
(東京より)日本経済を再膨張させようとする大胆な試みの一環として、日本銀行はマイナス金利を導入した。

?こういった政策は何も目新しいものではなく、既に欧州中央銀行・スウェーデン銀行・スイス銀行その他の銀行も打ち出しているが、日銀にとってはいまだ慣れない領域である。そして不運にも、市場は日銀の期待通りに反応していない。

*??*??*??*

?理論上、マイナス金利は、民間金融機関が中央銀行に預金する際には原則支払いが必要とすることによって、民間会社への貸付増加、続いて消費や投資の増加(雇用増加を含む)を促進させるはずである。さらに、これによって株式市場は立ち直り、家計消費も増加し、為替は円安になって、デフレは終わりに向かうはずである。

?しかし、理論はいつでも実践につながるわけではない。日銀のマイナス金利導入が、金利体系をほとんど一瞬で低下させている間に(ここまでは予想済みであったが)、円の為替と株式市況は予期せぬ不愉快な影響を受けたのである。

?1つの理由は、日本経済に関する悲観的な認識が広がっていることであった。中国経済の不安定、アメリカの金融引き締め、世界の原油価格の下落によって悲観的な認識は余計に強まっている。

?しかし、日銀の黒田東彦総裁が最近、参議院に対して報告したところによると、日本の経済指標は基本的には健全であり、悲観的な予測というのはかなり誇張されたものなのだという。

?事実、「アベノミクス」と呼ばれる安倍晋三首相の経済政策のおかげで、日本は、経済の先行き不透明な時代の中では、それなりに前向きな進路を歩んでいる。経済は、過去何十年もの低迷から、着実に回復する兆候を見せている。安倍首相が2012年に政権を握ってからは150万の雇用が創出され、失業率は4.6%から3.3%まで下がった。観光業は急伸し、国の歳入も民間の収益も急速に伸びてきた。

?海外における課題も、あまり悪材料ではない。起業に関していうと、変動為替相場制をとる新興経済国と同様、日本は、アメリカの金融引き締めにより事実上の利益を受ける可能性がある。ドル高により日本の輸出が国際競争力を強めるからだ。

?同じように、日本のエネルギー自給率が6%であることを考えると、原油安は神の恵みだ。原油安によって日本は当面の期間をしのぐことができるだろう。

*??*??*??*

?中国の経済状況に関していうと、確かに心配の種はある。中国経済の「ハード」の部分は、40年前にケ小平が始めた「改革開放」政策以来、大いに前進したものの、経済政策決定の「ソフト」の部分は、今も度を超えた国家管理という制約を受けている。これは問題だ。結果として、中国は、上景気のサービス部門や強い国内消費に支えられた、より持続的な成長モデルへと転換していくために、悪戦苦闘している。

?中国の政権を担う共産党が、重要な経済政策に対する締め付けを解消するまでは、締め付け型の国家管理は、世界経済に及ぶ市場の不透明感の原因となるだろう。

?ただ、日本の状況は、多くが考えるほど深刻なものではない。日本にとって中国の脅威はそう大きくないからだ。例えば、日本から中国への輸出額は日本のGDPの3%に過ぎない。

?こういった状況を踏まえると、上海の株式市場が揺れ動くたびに東京の株式市場も一緒になって揺れ動く理由はない。従来型のヘッジファンド戦略では、上海の株をショートにし、東京の株をロングにするはずだ。

*??*??*??*

?日本経済の状況は深刻からは程遠い。しかしそうだとしても、実際上は金融緩和政策への誘導であるマイナス金利の導入は、金融緩和として扱われていない。代わりに、日本の株式市場はマイナス金利をより大きな金融リスクの前触れと考え、投機家たちは、円の為替に対して依然として強気の見方を示している。

?統計・経済学者の高橋洋一氏は「たった10日の間に8%が動いた2月の円高は尋常ではない。おそらく投機攻撃によって煽られたのだ」という。彼の意見によると、今回の異常な為替変動を食い止めるためには、財務省による為替市場介入が必要であろうとのことだ。

?2003年から2004年にかけて、日本の通貨当局は大量のドル買いを行った。その結果、日銀が公開市場操作を渋っている時期に金融緩和が実行された。しかし近年では、円の為替レートは市場介入ではなく、金融政策によって決定されている。

?概して、私はこのやり方を歓迎しているし、円の為替レートの方向性を変えてしまうような大きな市場介入はお薦めしていない。しかし、一時的な市場心理を悪用して円の価値を市場価値からはるかに上回るように操作するような投機家を罰するための、時折りの市場介入は必要であろうと、私は考えている。

(本稿は英語で書かれた原稿を日本語に翻訳したものです)

c Project Syndicate, 2016.

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46211


中国で進む高齢化、生産性の伸び鈍化も顕著
北京市内の介護施設でマージャンをする高齢の女性(15年11月)

2016 年 3 月 2 日 17:20 JST 更新

 中国では高齢化と都市化が進んでいる。生産性の伸びは鈍化しており、依然男性が優遇されている。これらは人口13億7000万人に関する国家統計局の最新の数字が示す兆候だ。

 中国の労働年齢人口(16?59歳)は減少しており、2015年には人口全体に占める比率が66.3%となった。この数字は2012年は69.2%だったが、13年は67.6%、14年は67%と右肩下がりだ。人口統計学者は10年以上前から将来の労働力不足について中国の指導層に警告しており、今年は定年の引き上げによる対応が計画されている。

2015年の中国の年齢層別人口分布(青:0〜15歳、赤:16〜59歳、橙:60歳以上) ENLARGE
2015年の中国の年齢層別人口分布(青:0〜15歳、赤:16〜59歳、橙:60歳以上)
 統計によると、全体の生産性は上昇したが、15年の伸び率は6.6%に鈍化した(12年は7.32%)。

生産性(労働者1人当たり人民元)  ENLARGE
生産性(労働者1人当たり人民元) 
 過去10年では、全人口のうち半数以上が農村部を離れ、都市部に雇用を求めた。これは都市化を進めて経済成長を促進するという政府の計画が背景にある。中国指導部は20年までに人口の60%が都市部に住むことを望んでいる。

地域別人口分布(2005年、15年)(青:都市部、赤:地方部) ENLARGE
地域別人口分布(2005年、15年)(青:都市部、赤:地方部)
 性別のバランスは過去10年間で変わっておらず、男性の方が多い。国営英字紙チャイナ・デーリーによると、中国は出生時男女比率が基準レンジ(女子100人に対して男子103?107人)を上回る18カ国に含まれ、直近の同比率は115.88になっているという。

男女別人口分布(05、15年)(青:男性、赤:女性) ENLARGE
男女別人口分布(05、15年)(青:男性、赤:女性)
[訂正]第1段落の「13億7000人」を「13億7000万人」に訂正しました。

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ムーディーズ、中国格付け見通しをネガティブに 改革実行に不安


[上海 2日 ロイター] - 格付け機関ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、中国の格付けを「Aa3」に据え置いたものの、政府の改革実行力や財政状況をめぐる不透明感から見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。

ムーディーズは2日付のリポートで「信頼性のある効果的な改革がなければ、高水準の債務負担が設備投資を妨げ、人口動態が好ましくない方向に一層変化し、中国の国内総生産(GDP)伸び率はより大幅に鈍化するだろう」とし、「政府債務はわれわれの現在の予想よりも大幅に増加するとみられる」と指摘した。

ムーディーズは2月9日に中国の格付けを検討する会議を開き、財政状況やイベントリスクへの耐性などについて討議。財政の悪化が続き、外貨準備が減少するとの見方から見通し引き下げを決めたとしている。

改革のなかには実施が不完全だったり、方針が変更されたものもあり、政策責任者の信認が問われているとも指摘。「ここ1年の株・為替市場への介入は、金融・経済の安定確保も目標であることを示唆しているが、政策の優先順位についてかなりの不透明感がある」との見解を示した。

減少したとはいえなお高水準な外貨準備が、改革実行に時間的余裕を与えているとして格付けを据え置いたが、持続可能な成長や財政を支えるために必要な改革にかげりがみえれば、格付けを引き下げる可能性があると警告した。

資産運用会社ナタクシスのアジア新興国担当シニアエコノミストは「中国にはそれを実行する余地がある。他の新興国と比べて政府債務の対GDP比率はかなり低い。最も重要なのは経常収支が黒字なことで、中国は財政拡大を自力で賄える」と指摘した。

ムーディーズは格付け見通し引き下げの主な理由として、国有企業の債務や地方政府の債務、3大政策銀行である中国農業発展銀行、中国国家開発銀行、中国輸出入銀行の債務など偶発債務の多さを挙げている。

国有企業の債務は高水準で、さらに上昇しており、債務返済が他の支出を抑制することから、大幅な景気減速リスクや、銀行の資産の質が悪化するリスクが高まると指摘した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏は「理想的には、民営化をさらに進めるなど、より大規模な国有セクター改革を期待する」と述べた。

*内容を追加します。
http://jp.reuters.com/article/moodys-china-rating-idJPKCN0W401I


Business | 2016年 03月 2日 14:18 JST 関連トピックス: トップニュース, ビジネス
中国の預金準備率引き下げと融資拡大、銀行のリスクに=フィッチ

[1日 ロイター] - 以下は格付け会社フィッチ・レーティングスが発表した声明の抜粋。

中国における1月の記録的な融資の伸びに加え、3月1日からの銀行の預金準備率50ベーシスポイント(bp)引き下げで、当局が信用に基づく成長を一層実現する政策にシフトしている可能性がある。

来週の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、中国の経済政策と構造改革の方向性に関するさらなる情報提供があるとみられる。

フィッチは、中国経済における借り入れ比率がすでに高い状況で、中国の銀行が再び急速な融資拡大を持続することはクレジットネガティブになるとの見方を変えていない。

フィッチは、信用の伸び(フィッチ基準の社会融資総量に基づく)は2016年も鈍化を続け、13%になると予想する。ただ、信用の伸びは依然として名目国内総生産(GDP)の伸びを上回って推移しており、(フィッチ基準の社会融資総量をGDPで割った)借り入れ比率は2016年末時点で260%に達する見通しだ。

フィッチの試算では、中国人民銀行(中銀)が全銀行を対象に3月1日から預金準備率を50bp引き下げたことは、金融システムへの6880億元(1050億ドル)の流動性供給に相当する。現在の預金準備率は歴史的にも他国との比較の上でも依然高いため、年内にさらに引き下げられる余地はあるといえる。
http://jp.reuters.com/article/fitch-china-idJPKCN0W40CW



中国経済異変!昼の町に立ち始めた夜の女たち
城壁廃止議論の中、路地裏文化の勃興か不景気の顕在化か
2016年3月3日(木)山田 泰司


上海の一般的な住宅。通りに面してごく小さな入り口があり、その奥に住居が広がっている。通りからは奥にこれほどの広がりのあるスペースがあるとは想像できない(上海市内)
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 日本文学史に残るそうそうたる作家たちが書き残した日本以外の国の町、という点で、上海は他の町を圧倒しているのではないだろうか。
 ロンドンに船で留学に向かう途中に寄航した夏目漱石が、新聞社の視察員として訪れた芥川龍之介が、父の赴任先を訪れた当時17歳の永井荷風が、杭州に駐留する火野葦平に芥川賞を授ける使命を帯びてやってきた小林秀雄が、愛人に傾く妻の気持ちを再び自分に向かせるために夫婦で旅立った金子光晴が、日記、エッセー、小説とスタイルはさまざまだが、当時の上海を記録している。金子光晴が、じっと何かを考え込んで1時間も動かない魯迅を見かけた横浜という名前の橋や、永井荷風が庭園の壮麗さに打たれた豫園など、当時の面影を今も残す場所は少なくない。
 これら作品の収録された文庫本や電子書籍の入ったスマホをガイドブック代わりに散歩するのに、上海は格好の町である。残念なことに最近は、PM2.5等の大気汚染がひどすぎない日ならば、という条件付きだが。
中国には路地裏が存在しない
 ただ、上海、そして中国の町歩きでもの足らないなと思うこともある。それは、裏通りや路地裏、横町を歩く楽しみがないことだ。中国には表通りしかなく、裏通りや路地裏が存在しないのである。
 こう言うと、上海や北京を知っている人の中には、「何を寝ぼけたことを。裏通りや路地裏ならそこらじゅうにあるじゃないか」「北京の胡同こそ裏通りではないのか」と指摘する向きもあろう。しかし、中国の都会にある道路は、道幅が広いか狭いかの違いだけですべてが表通り。上海や北京にも裏通りや路地裏があるという人が頭の中に思い浮かべているのは、ただ道幅が狭いというだけで、表通りに過ぎない。
 中国の町に路地裏や裏通りが存在しない理由は、住宅の構造にある。
 中国は古来、囲う文化である。町全体を城壁で囲い、一族や共同体の住む複数の住居を壁で囲う。町を城壁で囲うことで外の世界と遮断し、住宅の四周を壁で囲むことで、一族以外の人間や、通りがかりの見知らぬ人物の侵入を防いできた。住宅の中に入るにはいったん、通りに面した門をくぐって囲いの中に入り、中庭などを通ってようやく自分の家の玄関にたどり着くというスタイルである。

高層の集合住宅の入り口と、中庭の様子。四方を囲む形にして外部と遮断し通り抜けできないようなスタイルにしている(上海市内)
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 町造りや住居造りにおけるこのような精神やスタイルは、現代に至るまで脈々と受け継がれてきた。こうした住宅群の中には数百戸、数千戸が入居する大規模なものもあるため、囲いの中に学校、スーパー、病院、銭湯、美容院、レストランなど生活に必要なものがそろっていて、壁の外に出なくても最低限の用が足りるようになっている所もある。
 こうした居住区の中にある小さな路地が、壁で囲う文化のない都市における路地裏、裏通り、横丁に相当するものなのだろう。ただ、囲いの中の路地には、閉鎖された他人の空間に入っていくような居心地の悪さと、あくまで壁で守られた生活の空間という予定調和の空気が流れている。無防備に外界にさらされている場所に自然発生的に形成された路地や裏通り、横丁で感じる危うさやスリル、ドキドキ感やワクワク観が、囲いの中には欠如しているのだ。
城壁文化廃止の論争
 さて、住居群を壁で囲って住人以外の出入りを制限する居住区を形成することで困るのは、誰でもが通行でき利用できる一般道の数が少なくなることである。壁や壁代わりの商店で四周を囲った四角い積み木のような居住区をすき間無く敷き詰めた結果、行けども行けども次の道との交差点にたどり着かない町が出来上がってしまったというわけだ。
 その中国で今、壁で四周を取り囲むスタイルの居住区――中国語では「封閉式小区」と呼ぶ――を禁止しようという動きが持ち上がっている。
 提案しているのは中国共産党中央と中国政府だ。今年の2月下旬、これから新たに開発する住宅については壁を設けず、居住区の敷地内を通る道路も、クルマと人の往来を自由にさせようというのがその内容。さらに、既にある居住区についても、段階的に壁を取り払って誰でも自由に通り抜けできるようにしていくことを目指すという。
 当局が理由として挙げているのは、誰でも通れる一般道を増やすことによる交通渋滞の緩和。なかなか解決の糸口がつかめないPM2.5をはじめとする深刻な大気汚染も、交通渋滞が元凶の1つだから、理由としてはごくまっとうなものだと言える。

上海市内の住宅。中央の通りを挟んで右側と左側は別の団地。だが、塀と門で遮り、中央の道を一般車両や住民以外の通り抜けをできないようにしている(上海市内)
 ただ、中国の庶民は当局の説明を額面通りに受け止めてはいない。当局の真の目的は土地に課税することにこそあるというのである。それはこういうことだ。現在、壁で囲っているがために公共の場所扱いになっている花壇などの公共スペースを、壁を取り払うことで個人に分け与える。そこを私有財産と見なして課税し税収を増やすことにこそ真の目的がある、というわけである。
 また、人やクルマの通り抜けを認めることで事故の確率が増すなど安全が確保されなくなると反対する声も上がっている。
 壁撤廃の議論は始まったばかりであり、当面見送りとされたり、強い反発に遭って廃案になったりする可能性だってある。ただ、町ごとすっぽり取り囲む城壁は取り壊しても、住居を囲うことだけは頑なに守ってきた中国で、これが撤廃されることになれば、それはやはりエポックメイキングなことだと言えるだろう。自分の周囲を囲うことで培い積み上げてきた文化や思想、習慣にも変化が生じるかもしれない。なにより、壁の撤廃により、路地裏や裏通りの文化が中国に出現するかもしれないのだ。
昼日中の都心に大量出現した街娼の衝撃
 これはなかなか面白いことになってきたと1人興奮した私は最近、壁で取り囲む居住空間を改めて観察してみようと、時間を見つけては地下鉄に乗り、いくつかの住宅を見て回っている。
 そうした最中である。さる都心部の居住区で目を疑う光景を目の当たりにしたのは。日曜日の昼下がり、上海の中心部の住宅街に、街娼が立っているのを見つけたのである。それが1人や2人だったなら恐らく気付かなかっただろうし、その程度の人数なら、高級ホテルの入り口付近で見かけたこともあった。ところがその居住区では、この通りに4〜5人、隣の通りに7〜8人、その隣りにまた4〜5人と、一目でそれと分かるほどの人数が立っていたのだった。

街頭で客引きする女性ら(上海市内)
 その後、彼女らの立つ通りを歩いてみたところ、何人かが「遊んでいかない?」と声をかけてきた。料金は最低50元(約850円)から、とのことだった。あまりの安さに衝撃を受けた。年齢は20代と思しき人もいたが、40代前後が最も多いように見えた。
 そこは、再開発が決まって住民の立ち退きが始まり、一部では取り壊しが既に始まっている集合住宅の集まる居住区だった。元々はそこも四周が壁で囲まれていたようだが、囲いの中に出入りするための門が取り払われていた。建物と建物の間の道が人が2人すれ違うのがやっとというほど狭いのでクルマは進入できないが、人は自由に往来し通り抜けているようだった。私はここに2日通ったのだが、2日目には立ち退きを渋る住民を追い出しに来たと思しき目つきの鋭い若者たちが20人ほどたむろしていた。
 それらの光景を見て私はまず、取り壊しのどさくさでこの居住区に不法組織が入り込み、彼らの仕切りで女性たちを立たせて商売させているのではないかと考えた。
地上げ屋の仕切りではない
 ただ、待てよ、である。
 住宅の解体業者で働く友人がいることもあり、私はこれまで、取り壊しが決まって住民が立ち退きを始めた居住区をいくつも見てきた。しかし、そこに街娼が白昼堂々、1人や2人でなく10数人、しかも都心部と言っていいエリアに出現するなど、少なくとも私は初めて見たし、そのような現象が起きたということも寡聞にして知らない。そして、地上げの若者たちが滞在していた2時間ほどの間、街娼たちはどこかに姿を消し、彼らが立ち去ると再び町角に立った。これを見ても、地上げの若者らの組織が街娼たちを仕切っているのではなさそうだ。
 さらに、取り壊しの居住区からワンブロックほど離れた通りで、建物の影に隠れるようにして立ち客を引く何人かの街娼の姿も認められた。そこは、路線バスが通るような大きな通りに面した場所だ。
 共産党が厳しく統制している国という印象のある中国、そして上海にも、もちろん(と言うのが適当なのかどうかはさておき)、風俗店はある。日本のように公然と風俗店を名乗ってはいないが、ナイトクラブやカラオケ、サウナ、足裏マッサージ店の看板を掲げている店の中には性風俗のサービスを提供する店がごまんとある。また、中国語圏では一部の床屋が風俗店の役割を果たしていて、町中に点在している。店の外に漏れる照明が薄暗かったり紫色など怪しい色だったり、店の中の様子をのぞけるように入り口のドアの磨りガラスが一部だけ素通しになっていたりするので、風俗床屋だということは一目で分かる。
アフリカ出稼ぎと街娼の共通点
 調べてみたところ、街娼が立っていた居住区からさほど離れていない場所に、風俗店が比較的多いことで知られるスラム街があることが分かった。ただそれらが営業するのは店の中、建物の中でのこと。繰り返すが、上海の都心で昼日中、何十人もの街娼が立つなどということはこれまでに無かった。性風俗に携わる彼女らが、表に出てきたのはなぜか。そうした現象を発生させる何らかの変化が起きているのではないか。
 すると、アフリカで働く中国人のことを調べている研究者からこんな話を聞いた。アフリカで働く中国人の出稼ぎ男性を相手に性のサービスを提供するためにアフリカに渡る中国の女性たちが存在するのだが、半年ほど前から渡航する数が、男性、女性とも増え始めているようだと。そして、その中心がアラフォー世代だということ。そして、増加している背景には、不景気があるようだということだった。
 中国では、高卒や専門卒、あるいはそれ以下の学歴の人たちは、35歳を過ぎると途端に仕事が見つからなくなる。アパレルや飲食店の店員にも採用されない。男性であれば50歳を過ぎると警備員でもなかなかなれない。そうした女性たちの選択肢の1つに家政婦があるのだが、不景気の影響でここ2〜3カ月、家政婦の口が減り始めているということは、前々回のこのコラムで書いた。
 囲いが取り払われた居住区の路地に突如として出現した大勢の街娼たち。その姿はまるで、中国経済の軋みでできた城壁のひび割れから押し出されたかのようだが、家政婦の仕事を見つけるのも困難になった女性たちが、ある人は上海の町角に立ち、ある人はアフリカに渡る決断をしているということの現れであり、景気が確実に悪くなり始めていることを示すものなのだろう。さらに、囲いがなくなり往来が自由になると、このような光景の路地裏が中国の他の居住区にも誕生するだろうということを予見させるものでもある。



中国生活「モノ」がたり〜速写中国制造
「世界の工場」と言われてきた製造大国・中国。しかし近年は、人件費を始めとする様々なコストの高騰などを背景に、「チャイナ・プラス・ワン」を求めて中国以外の国・地域に製造拠点を移す企業の動きも目立ち始めているほか、成長優先の弊害として環境問題も表面化してきた。20年にわたって経験を蓄積し技術力を向上させた中国が今後も引き続き、製造業にとって不可欠の拠点であることは間違いないが、一方で、この国が世界の「つくる」の主役から、「つかう」の主役にもなりつつあるのも事実だ。こうした中、1988年の留学から足かけ25年あまり上海、北京、香港で生活し、ここ数年は、アップル社のスマートフォン「iPhone」を受託製造することで知られるEMS(電子機器受託製造サービス)業界を取材する筆者が、中国の街角や、中国人の普段の生活から、彼らが日常で使用している電化製品や機械製品、衣類などをピックアップ。製造業が手がけたこれら「モノ」を切り口に、中国人の思想、思考、環境の相違が生み出す嗜好を描く。さらに、これらモノ作りの最前線で働く労働者達の横顔も紹介していきたい。本連載のサブタイトルに入れた「速写」とは、中国語でスケッチのこと。「読み解く」「分析する」と大上段に構えることなく、ミクロの視点で活写していきたい。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/258513/030100023/?ST=print

中国の産業:ゾンビたちの行進
2016.3.3(木) The Economist(英エコノミスト誌 2016年2月27日号)

中国・上海にある宝鋼集団の工場(2013年6月6日撮影、資料写真)。(c)AFP/PETER PARKS〔AFPBB News〕
中国の余剰生産能力は中国経済を傷つけ、貿易相手国をいら立たせている。
「供給過剰は世界的な問題である。世界的な問題にはすべての国による協調的な努力が必要だ」

 中国の商務相、高虎城氏は、2月23日に北京で開かれた記者会見でこのような挑戦的な言葉を口にした。高氏はあらゆる国々が責めを負うべきだと匂わせ、中国の工業品輸出の増加に対する世界的な反発に抵抗した。
 供給過剰は確かに世界的な問題だ。だが、高氏が言うような状況かというと、必ずしもそうではない。
 大量に輸出される中国の工業製品は至るところで市場にあふれかえり、世界中でデフレ圧力に寄与し、生産者を脅かしている。このような供給過剰が、多くの国の過剰生産能力がもたらした結果であれば、中国だけが槍玉に挙げられるべきではないという高氏の主張は正しいだろう。だが、事実はそうではない。
 例えば、中国の鉄鋼の供給能力は、日本と米国、ドイツを全部合わせた鉄鋼生産量よりも多い。コンサルティング会社ローディアム・グループの試算では、2014年までの10年間で世界の鉄鋼生産量が57%増加するが、中国の製鉄会社がこの増加の91%を占めているという。
 紙から船、ガラスに至るまで、産業という産業で構図は同じだ。中国は今、内需の縮小に直面し、供給過多に陥っている。だが、それでも生産能力の拡大は続く。中国のアルミ精錬能力は、今年さらに10%増加する見込みだ。また、格付け機関フィッチのイン・ワン氏によると、中国の石炭鉱業では今後2年間で、グロスで約20億トンの新規能力が稼働するという。
 中国欧盟商会(中国の欧州連合=EU=商工会議所)が先日公表した詳細なリポートは、製造業の過剰生産能力が2008年以降急増したことを明らかにしている(図参照)。中国の中央銀行は最近、工場だらけの沿海部の省、江蘇の製造業者696社を調査し、設備稼働率が「著しく低下」していることを発見した。

拡大画像表示
 調査会社オックスフォード・エコノミクスのルイス・カウジ氏は、2007年には中国製造業の「生産ギャップ」――生産と生産能力との差――が全体としてゼロだったと試算している。それが2015年には製造業全体で13.1%となり、重工業でははるかに高くなっている。
幽霊よりも怖い
 近年、中国の不動産バブルが盛んに取り沙汰され、「幽霊都市」に関する辛辣な報道が相次いでいる。確かにあちこちで不動産に対する過剰投資があった。だが、空っぽとされる都市の多くは最終的には埋まる。
 それよりも、工業製品に対する中国の異常な過剰投資のほうがはるかに大きな問題だ。
 調査会社コンファレンス・ボードのジェネット・ハオ氏の分析では、2000年から2014年にかけて鉱業装置とその他の産業機器の製造に対する投資の伸びが不動産への投資よりはるかに大きかったことが示されている。
 この過剰投資によって、多くの国営企業が景気減速に対して脆弱になり、利益の上がらないゾンビ企業になっているのだ。
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[あわせてお読みください]
• 米中関係:超大国の彫像 (2016.2.2 The Economist)
• 中国人民元:戦いか、それとも逃避か (2016.1.22 The Economist)
• 英国とEU:英国離脱の現実的危機 (2016.3.1 The Economist)
• 人民元安に賭ける投資家、重要なのはタイミング (2016.2.18 Financial Times)
• 異様な光景に絶句、若者が逃げ出す中国の田舎町 (2016.2.10 川島 博之)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46232 


2. 2016年3月03日 02:44:46 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[141]
長ったらしい引用文を載せて、投稿させない手に出ているね。

TPPになると、いつも引用文が書き込まれるわ。

アメリカ国民もTPPは、反対なのです。

クリントンは、TPPを推進するだろうが選挙に勝つためには反対と言わざるを得ないのだ。まさかアメリカ国民は、騙されることはないと思いますが、、、

アメリカ国民も、国民の声が届かない政治に嫌気をさしていて、政治に素人なトランプ候補に投票しているようです。

アメリカ議員は、ユダヤ資本家に買収されやすいのですよ。

オバマに期待したが、結果は失望でした。

選挙資金を出してくれた大スポンサ-を大切にしたそうです。

トランプ候補は、もともと金持ちなので、買収はされない!

が、この人も富裕族ですから、、、どうなんでしょうか?

国民に耳を傾けるでしょうか? どちらでしょうか?


3. 2016年3月03日 04:32:36 : Fsx9gwFlks : F@y57KlqMLo[2]
商売しているものなら直観で分かる。

TPPはだめだ。  国を、地域を、社会を、文化をも破壊します。 

役人が商売分野に手をだしてろくなことはない。

 


4. 2016年3月03日 17:53:08 : KjqUxmQ16w : wESne@GnN9E[26]
>>1

とにかく、アホ投稿やめろ!

お前は、精神病院に行って、ここには来るな!

邪魔臭い!


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