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マイナス金利の世界で気を付けたいこと(Wedge)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/419.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 09 日 13:38:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

マイナス金利の世界で気を付けたいこと
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160309-00010001-wedge-bus_all
Wedge 3月9日(水)12時21分配信


 日銀のマイナス金利導入から約3週間が過ぎた。この間、日本の株式市場やREIT市場は概ね堅調に推移し価格を切り上げた。少なくともこの期間中はポートフォリオ・リバランス効果*の一端が垣間見えたと言える。


 *ポートフォリオ・リバランス効果:金利低下により、国債などの比較的安全性の高い資産で運用していた資金が、株式や不動産などのリスク資産への投資に向かったり、銀行が国債で運用していた分を企業融資にまわしたりすること。


■収縮した円の短期金融市場



 短期金融市場では、指標となる「無担保コール翌日物」がマイナス金利となり、金融機関などが概ね1年以内の短期間の資金を融通し合う際の金利である「レポレート」は翌日物から1年ものまで全てマイナス金利となった。日本円の短期金融市場は急速に収縮し、コール市場では日銀のマイナス金利導入発表前までは20兆円以上あった取引量が5兆円前後まで減少、1/4〜1/5程度の市場規模となった。こうした比較的安全性の高い短期金融市場での運用は実質的に非常に困難となり、既にMMF(マネー・マネジメント・ファンド)の販売停止や償還といった措置がとられている。



 国債市場では、マイナス金利導入発表前まで、4年物まではマイナス利回りでも5年物以上はプラスの利回りを維持していたが、マイナス金利導入発表と同時に8年物までがマイナス利回りとなり、マイナス金利導入後の2月24日以降は10年物まで全てがマイナス利回りという状況が続いている。また、少しでも金利を得ようとさらに期間の長い国債を買い求める動きが15年物から40年物までの超長期国債の利回りも大幅に低下させてきた。


■保険会社に対するケア


 短期金融市場や10年物までの国債の利回りがマイナスになり、日本円の金利全体が下方向に押し下げられるという事態は、お金を運用する者に大きな打撃を与え、お金を借りる者に大きな恩恵を与える。前者の代表は金融機関であり、日本円を大量に抱える日本の家計であり、後者の代表は最大の借り手である日本政府である。マイナス金利導入にあたっては、銀行に与えるダメージを抑えるための措置が検討され、一定額まではマイナス金利の適用を免れる階層構造が導入された。一方で、個人的に懸念するのは保険会社に対するケアがあまり検討されていない点だ。


 資金の調達と運用の構造としては本来、銀行よりも保険会社に大きな影響を与えるのが今回のマイナス金利導入だ。銀行は短期調達/長期運用(分りやすく極端な例で言うなら、明日にでも返済しなくてはならないかもしれない普通預金でお金を集めて、長期間の融資や長期国債などで運用する)、保険会社は長期調達/短期運用(分りやすく極端な例で言うなら、長期契約の保険でお金を集めて、支払いは遠い将来に発生し、運用はそれよりも短い期間のもので行う)、という特徴がある。


 1990年以降の金利低下局面では、保険会社の資金運用が大幅に悪化し、バブル期までの高金利下での保険契約に対する支払いが困難になって、保険会社の破たんや経営危機が相次いだ。もちろん、そうしたことを繰り返さないため、以降の保険会社は調達と運用の期間のギャップを埋める努力をしてきた。それでも調達サイドと運用サイドが100%一致するところまでは行っていないため、ギャップがあり、そのギャップが保険会社の負担を生み、経営にのしかかる。


 念のために申し上げておくが、保険会社各社は今回のマイナス金利導入以後、新規申し込み分の保険料率の引き上げや募集停止などを発表しているが、それらは既存の保険契約の保険料率が今になって引き上げられたり、利率が引き下げられたりするものではない。裏を返せば、こんなマイナス金利の状況下である程度の利回りが確保されている既存の保険契約は保険契約者としてはありがたい限りだが、保険会社にとってみれば約束を守るためには身銭を切らなくてはならないということだ。


 2%の利率を約束し、0.5%でしか運用できなければその差の1.5%分を保険会社が補う必要があり(もちろん複利で)、そうした負担がかさんでくれば保険会社の懐事情が厳しくなるのは当然のことで、結果として保険会社が破たんしたり、破たんを避けるために既存契約の利率引き下げを余儀なくされる可能性はある。つまり、既存契約であっても今後も絶対に安全というわけではない。もちろん、セーフティーネットもあるが、それにも限界があり、各社が軒並み、ということになれば全てを救済し切れるわけではないのでやはり絶対に安全とは言い切れない。


 このように、マイナス金利の導入や日銀の国債買入などによる金利の大幅低下で、銀行も保険会社も安全性の高い運用が難しくなり、頭を悩ませている。お金のプロであっても、有効な解決策を見出すのは難しいのだ。


 忘れないでほしいのは、こうした状況下で、日本円を安全に運用するのは極めて難しいという現実だ。安全性の高い運用に対するニーズは非常に大きく、そうしたお金を全て受け入れることができる安全な市場などない。短期金融市場や国債市場というのは地味だがとても重要な役割を果たしている。失ってみて初めてその大切さやありがたみがわかるというものだ。


■安全性の高い運用を求めて彷徨うマネー


 安全性の高い運用が求められる大量の資金を受け入れてきた市場がマイナス金利となり、そこでの運用が難しくなれば、その影響はそうした市場での運用を前提にしたMMFや国債ファンド、保険商品など、個人も安全性を求めて活用する金融商品にまで波及する。運用難の状況下でも緩和マネーがどんどん供給され、世の中には運用難のお金が溢れかえり、お金のかなりの部分が安全性の高い運用を求めて彷徨う。すると、どうなるか。


 そうした資金を受け入れようと、安全性の高い運用を標榜した金融商品がたくさん出てくる。法律的にはセーフだが、微妙なもの、グレーなもの、アウトなもの、いかがわしいもの、果ては詐欺まで、こうした運用環境下では今後いろいろとこねくりまわした「安全性が高い」と謳う様々な金融商品が出てくるだろう。


 そんな商品に出くわしたら、どうか思い出し、考えてみてほしい。こんな状況下で一体どこで運用するのだ、と。マイナス金利環境下で元本の安全性が高く、それなりの利回りが期待できる、そんな夢のような商品があれば銀行や保険会社が何百億円単位で買う。なぜそれをわざわざ手間とコストをかけて個人に小口で販売しないといけないのだ。本当にそんな利回りが期待できるのか、本当に安全性が高いのか、を慎重に確認してみてほしい。


 先に掲げた国債利回りをご覧いただければわかるが、安全性の高い運用でプラスの金利を得ようとすれば15年以上というとても長い期間のリスクをとるか、国債よりも信用力の劣る、つまり安全性の劣る借り手に貸すというリスクをとるか、しかないのだ。もちろん、他のリスクでもいいが、安全性を重視した運用をするなら少なくとも15年以上の期間リスクをとらなくてはならないし、これではその商品をあなたに届ける商売をしている人たちの手数料が抜けないので、現実的にはもっと期間を長くしなくてはならない。


 15年以内の期間で、安全性が高くて、利回りがプラス、なんていう商品があったらそれは話が矛盾している。15年以内の期間で、利回りがプラス、その2つが確かなのであればもう1つの、安全性が高いというところに何らかの間違いがある。そんな商品は作れない。リスクをとらずにプラスの利回りを期待することはできない世の中になったのだ。


 マイナス金利の世界で気を付けていただきたいことがある。安全性の高さを謳うものに気を付けよう。安全性の高いものでプラスの金利は得られない、ということを肝に銘じておこう。


ジョン太郎 (現役金融マン)
 

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コメント
 
1. 2016年3月09日 15:02:25 : Z4GXjF8Wos : iTKtgWO9XfQ[21]
預ければ目減りし、利子をなくした通貨は通貨の保有者に、産業全体が供給過多でも収益力のある既存の業種を見つけて、さらなる拡大投資を暗黙的にかつ必然的に強要する効果がある。

長期のマイナス金利は低収益性しかない業界でも投資が活性化することで、日本や欧州のデフレを新たな次元に深化させて行く。

デフレ取りがデフレに落ちた。


2. 2016年3月09日 16:53:00 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[995]

>リスクをとらずにプラスの利回りを期待することはできない世の中

何度も言うように、単なる金持ちが無リスクで搾取ができないどころか

マイナス金利なら、どんどん資産課税されて格差が縮小していく世の中ということだな

また、金利負担が軽くなれば、デフレの欠点である生産者の実質負債の累増という問題も小さくなる

ま、考え方次第ということだが

膨大な財政赤字を抱えるのに、インフレにもならず、財政ファイナンスが続けられるような

こういう平和な状況が、いつまでも続く可能性はもちろんない


3. 2016年3月09日 17:33:11 : gFrsr5fFRw : PlnlUKX7WJs[1]
マイナス金利の世界で気を付けたいこと それは日銀が市中銀行(民間銀行)に貸し出す金利をマイナス金利にするのではない、と言う事。
寧ろ真逆で「市中銀行が日銀に預け入れる預金金利がマイナスになる事」。つまり金融引締め。
そのツケは庶民に来るか、市中銀行が苦しくなるかのどちらかだろうか。

4. 2016年3月10日 08:49:17 : 3ah459lR8Q : BQKXrt2t@gY[46]
マイナス金利により、
銀行から中小企業への
貸出金利をマイナスに
します、というのは
どうかな?

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