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雑感。為替と不動産と中国(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/742.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 22 日 23:53:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

雑感。為替と不動産と中国
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52790097.html
2016年03月22日 在野のアナリスト


ベルギーで同時多発テロがおきました。仏国同時テロの犯人が逮捕されたことへの報復とみられますが、どこの国であろうと公共交通機関を狙われると脆い。多くの人の出入り、モノが流れる中でチェック体制も整いません。これは日本でも同じ、全日空のシステム障害などもありましたが、1つのシステムをダウンさせれば大混乱を引き起こせる。世界の脆弱さを垣間見せられます。

オバマ大統領が現職の大統領としては88年ぶりにキューバ訪問をしました。ただ会談の内容は米国にとって芳しいものではなく、会談後の会見はかなり荒れました。米株市場はダウだけをみれば7連騰、一見すると好調にみえますが、安易な妥協をしてキューバに恩典を与えるわけにはいかない。すでに政権末期のレガシー作りとはいえ、後世の評価に耐えられる合意をめざしていることが、この辺りからも窺えます。日本のようにメディアが『公平』の名の下に評価を歪める国とは違い、一方的に政権を攻撃するメディアも存在する以上、安易な妥協もできないのです。

米国経済は堅調、というのも怪しくなっています。中古住宅販売は年率換算で7.1%減、しかも全地域で減少しています。原因は販売価格の中央値が前年同月比4.4%上昇と、バブル的な価格上昇もみられる点で、すでにふつうに働いても都市部では家賃やローンを払えません。それでも成り立つのは価格が上がり、資産価値が上昇しているから。ただ、それが2月に減速したのは、10月から導入した新規制の影響というより、ドル安局面に入ったことが影響するのでしょう。つまりこれまでのドル高局面は、海外から米国へ投資しておけば不動産価格ばかりでなく、ドル高によって利益が上乗せされました。ドル高で輸出企業には打撃でも、内需が堅調だったのは、サブプライムローン前の水準までもどす不動産価格の上昇が影響していたことは否めません。

日本でも公示地価が発表され、8年ぶりに前年比0.1%上昇となっています。ただし、三大都市圏は0.5%の上昇、地方都市は0.7%下落、と二極化。商業圏の上昇もめだちますが、問題は大阪心斎橋の45.1%上昇、というようにバブルが発生していることです。マンションは暴騰、戸建ては低迷、と海外からの不動産投資、投機の流れで価格が押し上げられている面が否めず、ふつうに働いている人では中々手がだせなくなっています。そこに今後は円高という要因も加わる。海外からの投資、投機がすすみ易く、それがバブル的な価格の高騰を生みだす要因になっているのです。

不動産価格だけはリーマンショック前並み、しかも今回は米国のサブプライムローンではなく、中国の不透明な資金調達手段によるものなので、いつ弾けてもおかしくありません。中国国営銀行の不良債権比率も徐々に上昇しており、個人の債務も膨らんでいる。借金して投資する、それが当たり前になっている国で、米国や日本、中国国内でもふたたびバブル化を始めた不動産市場で、不意の変動により連鎖的に悪影響をもたらす懸念を、中国マネーは抱えているのです。

人民元安でもまったく製造業が復活する見込みのない中国。これは中国経済がすでに変容していることを示します。モノづくりからカネづくり、錬金術へと大きく経済の成長ドライバーを変えた。なので中国は、低成長に陥っても命脈を保っています。ただ、そんな中国が経済運営に失敗すれば、世界へと影響が波及するでしょう。今の世界経済の脆さは、中国という横車を押すような国が投資、投機という世界経済で、大きな地位を占めている点に重大な問題を抱えているのです。各国の不動産市場の歪みをみるにつけ、中国の存在感と危うさ、その両端が垣間見えるのでしょうね。

 

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コメント
 
1. 2016年3月23日 00:15:56 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[313]

中国の労働争議:希望の見えない深いあな
2016.3.23(水) The Economist
(英エコノミスト誌 2016年3月19日号)

中国北部の炭鉱で落盤事故、11人死亡
中国・陝西省西安付近の鉱山で、仕事を終えた作業員ら(2008年11月21日撮影、本文とは関係ありません)。〔AFPBB News〕
鉱山労働者の大規模な抗議行動が政府の改革計画にとって悪い前兆だ。

「共産党は俺たちのカネを返せ!」「生きていたい、食べさせろ!」──。

 3月12日、ロシアとの国境に近い中国・黒竜江省の双鴨山(そうおうさん、シュワンヤーシヤン)市のうらぶれた通りで数千人の炭鉱労働者が掲げた横断幕には、そんなスローガンがなぐり書きされていた。

 彼らはこの日、中国東北部最大の石炭会社で双鴨山最大の国有企業でもある竜煤グループの本社前に集まり、少なくとも2カ月支給されていない賃金を払えと声を上げた。

 中には鉄道の運行を邪魔したり、機動隊員ともみ合ったりする者もいた。インターネットでは、抗議行動の写真がソーシャルメディアで拡散されていった。その一方で、検閲当局がそれを削除していった。

 今回の抗議行動は、国有企業の従業員によるものとしては、これまで何年もなかった大規模なものだ。中国政府は、竜煤グループのような国有企業の過剰生産能力を縮小してその莫大な赤字を圧縮しようとしている。政府は今後、おそらく同様の出来事に直面することになるだろう。

 人事社会保障相(労働大臣に相当)の尹蔚民氏は2月、今後5年間で炭鉱労働者130万人と鉄鋼労働者50万人が職を失う可能性があると述べていた。

 これらにアルミやガラスの産業も加えれば計300万〜500万人が失業するかもしれないとの推計もある。1990年代の後半に国有企業が行ったリストラでは数千万人分の雇用が失われた。それに比べればまだはるかに少ない。

 だが、双鴨山のように少数の国有企業のおかげで経済が成り立っている都市もある。そういう場所での事業縮小は大きな衝撃をもたらすだろうし、下手をすれば騒乱が起こるかもしれない。

 景気が減速するにつれ、労働争議は至る所で発生している(図参照)。竜煤グループのように、財務が悪化すると従業員への賃金支給を遅らせたり止めたりして対応する企業は多い。


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 香港のNGO(非政府組織)「チャイナ・レイバー・ブレティン(中国労工通訊)」によれば、昨年には2014年の2倍にあたる2700件のストライキが発生した。

 また、2月初めの旧正月までの2カ月間で1000件を超えるストライキや抗議行動が行われた。その90%が賃金の未払いに関係するものだったという。

 双鴨山の抗議行動の3日後には、隣の吉林省にある通化鋼鉄という鉄鋼メーカーでもほとんど同じ規模のデモが発生した。これも賃金の未払いに対する抗議だった。

神経質な政府の対応

 双鴨山(この地名は、近くに2つある山の頂が鴨に見えることに由来する)では、政府当局が遅れている給料を支払ってデモの参加者をなだめようとした。確かに、「1月の給料をもらい始めた」とか「2月の分も近々払うと約束してもらえた」などと話す炭鉱労働者もいる。

 しかし政府は、抗議行動がさらに続くのではないかと神経質になっている。3月15日になっても、双鴨山の市街や近くの鉱山では警察官の姿が至る所に見られた。市の中心部では、男性の家族全員が炭鉱で働いているという女性たちが一列に並び、「家の掃除や外壁の塗り替えを請け負います」という看板を掲げて座っていた。

「何かを食べようにも、おカネがない。あたしらにどうしろというんですか」。ある女性は怒りながらそうまくし立てたが、警察官に発言を制止された。本誌(英エコノミスト)の記者には政府職員を名乗る男性がピタリと張り付き、どこへ行くにもくっついてきた。

 双鴨山の抗議行動は、共産党にとっては特に具合の悪いものだった。年に一度の全国人民代表会議(全人代、国会に相当)が12日間の会期で開催されている最中だったからだ(3月16日に閉幕)。

 全人代の開催中は、政府幹部が街頭での騒乱の防止に普段以上に神経質になる。彼らは政治的統一と国家繁栄というイメージを全人代に描いてほしいと思っており、それを汚す事態が起こらないようにしたいと考えているのだ。

 黒竜江省の共産党幹部らは、竜煤グループの従業員の間ではレイオフや給料支払いの遅れについての不満が何カ月も前からささやかれていたのにデモの発生を予見できなかったとして、北京の指導者たちからお目玉を食らうことだろう。竜煤グループは昨年9月、24万人の従業員のうち10万人を削減すると述べていた。

火種となった省長の発言

 抗議行動に火を付けたのは、黒竜江省の省長で同省共産党委員会副書記の陸昊氏が全人代開催中に行った発言だったようだ。

 陸昊氏は3月6日、竜煤グループの炭鉱で働く8万人の労働者に給料が払われていないということは一切なく、「1銭もごまかされていない」と述べたのだ。

 これを聞いた双鴨山の人々は怒った。炭鉱で働いて6カ月も給料をもらっていないやつもいる、と多くの人が息巻いた。中国では、重い罰を受けるのを避けるために、上級幹部を名指しで批判するのを控えるのが普通だが、炭鉱労働者たちが掲げた横断幕の中には「陸昊は、本当のことを知っていながら馬鹿げたことを言う」と大書したものもあった。

 48歳の陸昊氏は中国最年少の省長だ。若手のホープと目され、来年、中央政治局委員に昇格する候補になる可能性もあるとされていた。習近平国家主席の弟子の1人だと考えられているが、今後もお気に入りの部下でいられるかどうかは分からない。北京の新聞「環球時報」は陸昊氏の行動について、名指しはせずに「残念」だと報じた。

 自分はミスリードされていた、と陸昊氏は述べている。同氏がその後明らかにしたところによれば、竜煤グループは従業員に給料を払っていなかっただけでなく、税金や社会保障制度への拠出金も滞納していた。

 双鴨山の問題は極端な事例かもしれないが、多くの政治指導者、特に東北部の指導者の間ではありふれた話だ。この地域には、需要不振のおかげで過剰生産能力を大量に抱えてしまった大型の国有企業が数多く本社を構えている。

 そして、石炭産業と鉄鋼業は最もダメージの大きな産業の一角を占めている。今年1〜2月の生産量はいずれも6%減少しており、需要はそれを上回るペースで縮小している。

 また、中国の債務の総額は対国内総生産(GDP)比240%で不安を覚えるほど多く、その中で最も大きな割合を占めているのが国有企業だ。既存の債務を返済できるだけの利益を稼げていない企業も多く、借金を返すために新たな借金をしている。

深い坑から抜け出せるのか?

 この債務の連鎖を断ち切るには、赤字の企業を縮小するか閉鎖するしか道はないと政府は認めているように見える。

 全人代の最後に李克強首相は「構造改革」に取り組む自らの決意を繰り返し、政府は失業者に新しい仕事を見つけられるよう努めると述べた。人事社会保障省によれば、余剰人員とされた人が新しい職を見つけるのを支援するために1000億人民元(150億ドル)の基金を設立するという。

 中国のエコノミストの中には、それだけでは足りず、政府は断固たる改革に必要なスタミナを失ってしまうと危惧する声もある。

 東北部は1990年代の国有企業淘汰を、中央政府からのわずかな支援でしのいだ。今度はもっと大量の支援が必要になりそうだ。

 双鴨山近郊の作業場の出口には、「第三鉱の明日はもっと麗しい!」という標語を掲げた看板が掛かっている。給料を受け取ることができた炭鉱労働者にとっては、3月第3週は前の週よりも少し良いものだったかもしれない。しかし、多くの住民にとっては、未来は到底魅力的なものではない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46400

アルゼンチンが中国漁船を撃沈、拍手喝采した国は?
違法操業の中国船に軍事力行使、世界はどう伝えたのか
2016.3.23(水) 古森 義久
アルゼンチン、中国違法漁船を撃沈 警告無視し逃走・体当たり試み
アルゼンチン・プエルトマドリン沖で、同国の沿岸警備隊によって撃沈された中国漁船。沿岸警備隊ウェブサイトで公開された映像より(2016年3月15日公開)。(c)AFP/PREFECTURA NAVAL/HO〔AFPBB News〕
?3月14日、アルゼンチンの沿岸警備隊が中国漁船を撃沈した。アルゼンチン南部の大西洋上、同国の排他的経済水域(EEZ)内で違法操業をしていた中国漁船に、アルゼンチンの沿岸警備隊の艦艇が発砲し撃沈したという。

?自国の領海に中国船が侵入を重ねてもなんの実効措置もとらない日本とは対照的な対応である。日本人から見ると、アルゼンチンの対応は性急で強硬に映るかもしれない。だが、国際社会ではアルゼンチンの軍事力行使を非難する声はあがらなかった。逆にベトナムでは拍手や歓声が起きたほどだという。

?アルゼンチン側を支持する国際世論が多いため、中国政府もなかなか強硬な報復策をとることができないようである。米国のオバマ大統領が3月23日にアルゼンチンを公式訪問することも、中国の姿勢に微妙な影響を与えそうだ。

「ベトナムもアルゼンチンを見習うべき」

?アルゼンチン当局の3月15日の発表によると、アルゼンチン沿岸警備隊は14日、首都ブエノスアイレスの南1300キロにあるプエルトマドリン地区沖合のEEZ内で違法操業中の中国漁船を発見し、停船を求めた。だが、中国漁船はこれを無視して逃走した。沿岸警備隊が漁船を追ったところ、沿岸警備隊の艦艇に繰り返し体当たりしようとした。そのため沿岸警備隊は射撃を加え、沈没させたという。

?発表によると、沿岸警備隊は違法操業の漁船に何度も停船を求め、威嚇射撃も行った。ところが漁船は応答しないまま逃走し、警備隊の船が接近すると逆に体当たりしてきた。沈没した船には乗組員32人がいたが、全員が救助され、そのうち船長を含む4人が逮捕されたという。沿岸警備隊は、中国漁船が逃走してから撃沈されるまでの過程をビデオで撮影し、録画を公開した。

?通常、EEZ内での漁業は、その沿岸国の許可を必要とする。だが中国漁船は許可を取っていないばかりか、アルゼンチン政府が漁業禁止とした海域でイカ漁の操業をしていたという。漁船の船体には「魯煙遠漁10」という船名が記されていた。この船は中国の山東省の煙台にある漁業会社に所属しているという。

?アルゼンチン政府は撃沈措置をすぐに中国政府に通報した。中国側はそれに対して懸念を表明し、中国漁船に違法行為はなかったと主張して、アルゼンチン政府に事件の徹底した解明を求めた。

?この事件は世界で報道された。米国のニュースメディアも一斉に取り上げたが、アルゼンチンによる撃沈措置を批判的に取り上げる報道は皆無だった。CNNなどは、中国の漁船が世界中で違法な操業を行っていることを強調して伝えていた。

?アジアを見ると、中国との間で海洋紛争を抱えるベトナムの漁業関係者がこのアルゼンチンの措置に「拍手喝さいした」と報じられた。

?東南アジアのニュースを主体に報道するネット新聞「グローバル・ニュース・アジア」(3月15日)によると、ベトナムの漁業関係者が次のように語ったという。

「ベトナムの漁船が自国の水域で合法的に操業していても、中国は攻撃してくる。一方、自分たちの違法操業は違法だと認めない。今回も中国側に落ち度があるとは認めないだろう。ベトナムもアルゼンチンのように武力を整え、きちんと対峙しなければならない」

“親中国”だったアルゼンチンが米国に接近

?中国艦艇は単に日本の排他的経済水域(EEZ)だけでなく、尖閣諸島周辺の日本領海にまで違法に侵入を続けている。だが、アルゼンチンのように実力行使で排除する構えは、まったく見せていない。

?アルゼンチンでは2015年12月の選挙で、それまで親中傾向のあった勢力が敗れ、中国とは距離をおこうとするマクリ新大統領が登場した。そのことも今回の撃沈措置の政治的背景として指摘されている。

?マクリ政権は前政権の反米傾向とは対照的に、米国との関係を修復しようとしている。米側もそれに応じて、オバマ大統領が3月23日にアルゼンチンを訪問することとなった。米国の現職の大統領がアルゼンチンを公式に訪問するのはこの二十数年間で初めてである。今回の撃沈事件は、“親中国”だったアルゼンチンの中国離れを象徴する出来事ともいえそうだ。

?ただし、中国は近年アルゼンチンに対して、投資や融資、貿易などの各面で絆を強める努力を重ねてきた。今回の事件でアルゼンチンに強硬な報復措置などをとるとこれまでの努力が無駄になり、アルゼンチンをさらに米国陣営に追いやることにもつながりかねない。だから中国はあまり強い抗議の行動はとらないのではないか、という観測も語られている。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46408


米陸軍の驚くべき試み、無人機を戦場で現地生産
3Dプリンターが「兵站革命」を成し遂げる日は近い
2016.3.23(水) 部谷 直亮
将来は戦場で無人偵察機が製造可能に?写真はイラクでアメリカ陸軍兵士の手から飛び立ったRQ-11レイヴン(出所:Wikipedia、資料写真)
 以前のコラム(「中韓露にも遅れる日本、3Dプリンター軍事転用を急げ」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46130)で、米国のみならず中国・韓国・ポーランド・ロシアでも3Dプリンターの軍事転用による「兵站革命」が進んでいると指摘しましたが、今度は米陸軍で驚くべき取り組みが始まりました。

 なんと、戦況に応じてオプションパーツを選択し、3Dプリンターによって無人機を「戦場」で生産するというのです。

要望から24時間以内に偵察飛行が可能に

 米陸軍の「陸軍訓練教義軍団(TRADOC)」は「陸軍遠征戦士演習(AEWE)」という一連の技術デモンストレーションを毎年開催しています。米陸軍の公式ブログによると、2017年のAEWEでは、「陸軍調査研究所(ARL)」が主導する「3Dプリンターによる戦場での小型無人機作成」プロジェクトを実施することになったそうです。

 このプロジェクトでは、例えば、次のような一連の流れを実現させるとしています。

<前線の一兵士が「夜間に複数の洞窟を調査したい」という要望を分隊・小隊・中隊・大隊本部へ連絡する。そこで、既存の部品と、3Dプリンターで作成した部品を組み合わせ、夜間の洞窟調査に必要なセンサーやカメラ類を取り付けて、調査用の無人機を完成させる。その無人機を前線に送り、24時間以内に前線で偵察飛行を実施する・・・>

 これが実現すると、例えばイラクで次のような使い方ができるようになります。

 これまではイラクで危険な武装勢力が潜んでいると思われる地域を偵察する場合、小型無人偵察機「RQ-11レイヴン」を飛ばしていました。しかし、現状のRQ-11レイヴンでは飛行不可能な洞窟の場合、代替品を米本土から送ってもらうまで何週間も、下手すれば新型が完成するまで何年も待つしかありませんでした。それが、3Dプリンターを使うことで、前線に近い拠点で戦況に応じた無人機を生産し、要請から24時間以内に偵察できるようになるというわけです。

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ARLが作成した3Dプリンターの活用イメージ図(上下とも)
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常に最新の電子部品が搭載可能

 官民の技術者50人からなるプロジェクトチームのリーダーを務めるエリック・スパロ氏は、こうした技術の意義は「即座に戦況に応じた無人機を投入できるだけではない」と指摘しています。つまり、柔軟性向上、コスト低下、高性能の維持が可能になるのです。

 まず戦場に3Dプリンターがあると、部品の取り換えが簡単にできますし、もしくは簡単に使い捨てることもできるようになります。

 また、3Dプリンターは金型が不要なのでバリも出ませんし、人件費も減らせるので、部品の製造が安価に済みます。実際、このプロジェクトでは、在来機のRQ-11レイヴンであれば1機当たり30万ドル(3380万円)かかっていた製造コストを、1機当たり数百ドル(数万円)に減らせるとしています。

 こうした柔軟性向上、コスト低下に加えて、装備品の高性能を維持することも可能になります。通常の装備品であれば、電子部品を最新型に交換するのは手軽にはできませんので、相対的に性能は落ちていきます。しかし、3Dプリンターを使って新設計の部品をオンデマンド生産すれば、絶えず新しい部品を組み込むことができるというわけです。

現状では脆弱な陸自の無人機運用体制

 このプロジェクトにおける研究の主眼は、将来的に米陸軍が戦場で3Dプリンターを使って、無人機にとどまらない様々な装備品を現地でカスタマイズ生産できるようにすることだといいます。まさに、3Dプリンターによる「兵站革命」の実現を目指しているのです。

 昨年、筆者は将来的に陸上自衛隊が3Dプリンターを導入すれば、離島防衛時に戦況に応じて装備品を作成することができ、貧弱な兵站問題の影響を大幅に軽減できると指摘しました(「3Dプリンターこそが離島防衛の死命を決する」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43559)。

 それに対して読者の方から「洞窟内部で自衛隊員が3Dプリンターで生産なんてシュールすぎる」という感想がありました。しかし、米陸軍が小型無人機においてそれを現実のものとすべく努力し、将来的には他の装備品にもイノベーションを波及させようとしていることは現実なのです。

 特に陸上自衛隊の無人機は脆弱です。手投げ式の小型無人機JUXS-S1は、着陸形式が胴体着陸のため、使うと故障しやすく、修理も手間がかかります。現場の自衛官からも「実戦では役に立たない」「飛ばせない」との声があがっている上、全部で30機程度しか保有しておらず、配備も一個普通科連隊に1セット程度です。小型ヘリ型無人機FFOS/FFRSも各方面隊に1セット程度で、こちらの現場の評判は芳しくありません。しかも、前者の速度は時速100キロ、後者は時速数十キロと大変遅く、撃墜は容易です。

 結局、対馬や沖縄方面を抱える西部方面隊にしても9個連隊分+方面本部で計算すれば、多く考えても13〜15機程度しかないのです。

 となると、全機体を南西諸島に送り込んだとしても、最大で15回も偵察を行えばおしまいです。しかも、実際には重要施設の警戒監視、空自基地等の警戒、他の方面での備えを考えれば、せいぜい10回もできれば御の字でしょう。

 これでは日中有事の尖閣諸島、与那国島、石垣島、宮古島等で生起するであろう陸戦や掃討戦で不足するのは明らかです。海外派遣でも本格的な駆けつけ警護などを実施するとなれば同様でしょう。

 現在、陸自が保有している無人機は米軍と同様、非常に高額です。しかし、自衛隊が3Dプリンターで戦況に応じて自分たちで安価に生産できるようになれば、それらの問題は解決できます。その意味でも、TRADOCの取り組みを取り入れて研究を始めても罰当たりではないはずです。そして、無人機であれば、部品の信頼性や精度も大目に見れます。

3Dプリンターの射程を尋ねる一佐

 しかし、防衛省・自衛隊内部での3Dプリンターは既に繰り返し述べたようにほとんど進んでいません。実際、ある自衛隊の一佐は、部下からの3Dプリンターの軍事転用による兵站効率化を提案された際に、「で、その3Dプリンターの(攻撃時の)射程は何メートルなのか?」と頓珍漢な質問をしている有様です。そして、こうした反応は珍しくないのです。

 これは自衛隊の多くが戦闘力の構成要素を火力・機動力・防護力といった狭い意味だけで考えているためですが、兵站・情報面も戦闘力の主要な構成要素として発想の転換をする時期に来ていると考えるべきでしょう。3Dプリンターの軍事転用が大国・小国を問わず、特に米国で大きく進展している現状は、それを示唆しているのではないでしょうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/46390 

 

無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡事件その後

中央宣伝部に異変? 相次ぐ「反体制」メディア事件

2016年3月23日(水)福島 香織


2月19日、習近平主席は主要国営メディアを視察。党への忠誠を求めるが、その行方やいかに(写真:新華社/アフロ)
 中国で知識人やメディア・出版関係者が突如、音信不通となり、連絡が取れなくなることがあまりに頻繁になったため、もはや大ニュースにもならなくなった。恐ろしいことである。最近では日本の法政大学に在籍する東アジア国際関係の専門家、趙宏偉教授が2月末に北京に向かったあと連絡が取れない状況であるという。また、中国や香港で人気のコラムニスト、賈葭が3月15日午後以降、連絡が取れず行方不明であるとか。二人とも、それぞれの別件で中国当局に身柄を拘束されていると思われている。

 今回、取り上げたいのは賈葭の件である。趙教授の身柄拘束理由はまだはっきりとわかっていないが、賈葭事件は全人代(全国人民代表大会)開幕前日に無界新聞のネット上に掲載された「習近平引退勧告」公開書簡に絡むと見られている。

良識的な中国人知識人を秘密裡に拘束

 香港を拠点にするラジオフリーアジアによれば、賈葭は15日午後、北京国際空港で北京市公安当局に連行された。彼の弁護士が北京市公安局首都空港分局から得た情報だという。アムネスティインターナショナルは19日に、中国政府に対して、賈葭に関する状況を公開するよう声明を出した。

 賈葭は新華社「瞭望東方週刊」や香港「鳳凰週刊」の編集者を歴任したあとコラムニストとして独立。香港に在住しながら、中国や香港の雑誌に寄稿、またウェブマガジンなどの編集にも携わってきた。最近は『我的双城記』(北京三聯書店出版)を上梓し、必ずしも反共産党的な人物ではない。きわめて良識的な中国人知識人であり、中国国内外にファンが多い。

 周辺の情報を突き合せれば、3月4日に「忠誠の党員」という匿名で新疆ウイグル自治区主管のニュースサイト無界新聞に「習近平引退勧告」公開書簡が掲載された件に関わっていると見られている。無界新聞のCEOはかつて賈葭の同僚であった欧陽洪亮であり、賈葭はくだんの公開書簡をいち早く見つけて、すぐに削除するように欧陽に知らせたのだという。だとすると、彼が秘密裡に拘束されたのは、単なる事情聴取の可能性もあるのだが、家族には一切の連絡がなく、今の習近平政権の異常なまでのメディア弾圧を鑑みれば、その身の安全は当然心配されるのである。

 この無界新聞「習近平引退勧告」公開書簡に絡んで、音信不通となっているのは、賈葭以外にも4人いる。香港蘋果日報によれば、無界新聞のCEOの欧陽洪亮、主筆の黄志傑、そしてセキュリティシステム担当の技術員2人。この情報のネタ元は、人権活動家の北風で、彼はツイッター上でも発信している。

無界新聞は「ハッキングされた」と回答

 事件を振り返ると、無界新聞サイトに習近平の引退を促す公開書簡が掲載されたのは3月4日。書簡中には、習近平政権がとった経済、外交、社会、文化における失策を列挙し、その責任を取って習近平同志は国と党の指導職務を辞任すべきだと主張。

 書簡では「我々は忠誠の共産党員だ。両会(全人代と政治協商会議=国会に相当)開催に際し、我々がこの書簡を送り、あなたに党と国家の指導職務の辞任を要求する。この要求は党の事業、また国家と民族の前途を考慮したものである」とあり、「習近平同志、あなたには党と国家を未来に向かって率いていく能力が備わっていない。総書記の職務に適任ではない。我々は党の事業の発展と国家の長期の安定、あなたとあなたの家族の安全のために、党と国家のすべての職務を辞任し、党中央および全国人民に別の能力者を選ばせて、我々を積極的に未来に導いてもらいたい」と、恫喝を含んだ言葉で結んでいる。

 個人崇拝キャンペーンを始め、自分に批判的な発言をする記者や知識人を次々と失脚させている習近平がこの挑発的な恫喝すら含んだ公開書簡を黙って見過ごすはずはなく、当然犯人探しが始まっている。

 無界新聞サイト側は、国家インターネット情報弁公室の初期の問い合わせには、「ハッキングされた」と回答し、国外の民主活動家や反共産党勢力によるハッキングの可能性を匂わせたが、国家インターネット情報弁公室の技術チームが無界新聞のサーバを分析した結果、外部からのハッキングの痕跡はなく、今のところ、内部犯行説が強い。無界新聞のサーバは「中国で最も安全」と称されるEC最大手のアリババ集団が提供するものであり、確かにハッカーの仕業とは考えにくい。文中の主語が「我々」となっているので、“単独犯”ではないと見られている。

 ただ、今回、身柄を拘束されている賈葭が、この件に直接関与していた可能性は薄いのではないかというのが、周辺情報から得た私の感触である。たまたま、無界新聞の編集責任者らと昵懇であったために巻き添えを食ったのではないだろうか。

 では誰の仕業なのか。

新疆ウイグル自治区党委書記が関与?

 この公開書簡に関して、米国に拠点を置く華字ニュースメディア博訊は、新疆ウイグル自治区党委書記の張春賢の関与の可能性を報じている。

 博訊によれば、中南海は事件を極めて重視、中央宣伝部、国家インターネット情報弁公室に調査を命じており、その最初の矛先はCEOの欧陽洪亮に向かっている。この欧陽洪亮は実は張春賢の妻で元CCTV美人キャスターの李修平の親友である。

 実は張春賢は、全人代開催中、新疆代表団の会見で、記者らから「習近平の指導を支持するか」と質問を受けたとき、「その話は改めて」と言葉を濁していた。「習近平同志の指導を支持する」と即答しなかったことが、張春賢の関与を疑わせる根拠の一つともなっている。

 張春賢は2009年7月5日に発生した“新疆騒乱”後、当時の書記であった王楽泉の後任として新疆問題の解決を託され、湖南省党委書記から新疆ウイグル自治区党委書記に異動。胡錦濤の信任が非常に厚い胡錦濤派の政治家と言われている。この時、胡錦濤政権の意向を受けて、ウイグル融和政策を打ち出した。

 しかし博訊によれば、張春賢は、当時の中央政法委員会書記の周永康とも昵懇で、張春賢の妻・李修平と周永康の妻である賈暁YはともにCCTVキャスター出身の親友関係にあったという。周永康は、習近平政権によって汚職の罪で失脚させられた大物政治家である。また、同じく習近平政権によって失脚させられた令計画との関係も深いという。

 無界新聞は新疆ウイグル自治区政府が主管であり、そこに時事経済誌・財経などを発行している財訊集団とタオバオなどで有名なEC最大手アリババ集団が1億元を超える初期投資を行い、北京に本部を置いて百人を超えるベテラン編集者、記者を招集して昨年4月に立ち上げられた。

犯人は陳情者ではなく内部に? 誤植事件も

 アリババのトップは、ジャック・マー(馬雲)、財訊集団のトップは王波明。王波明は、中信証券の前董事長・王東明の兄弟でもあるが、王東明は、昨年6月の上海株式市場の乱高下問題の責任を取らされる形で、辞職した。上海株式市場の乱高下問題は、私が仄聞する限りでは、習近平の無理な株高誘導政策が破たんした、という評価が多く、そのことで責任を取らされた証券会社幹部らの間には強い不満が残っているという。

 こうした情報を繋ぎ合わせた博訊の見立ては、今回の「習近平引退勧告」公開書簡事件の背景には、政治的陰謀があるかもしれない、というものだ。少なくとも習近平の眼からみれば、張春賢は、非常に怪しい人物、習近平政権に“謀反”の動機ありの人物、ということになる。

 博訊の報道によれば、中央宣伝部がこの事件を、黒竜江省の陳情者の仕業ということで片付けようとしている動きがあるという。だが、「陳情者の仕業」というのは、おそらくは冤罪者をスケープゴートとして適当にでっちあげたものだ、という見方を示している。

 また、張春賢と新疆ウイグル自治区党委宣伝部長の李学軍、中央宣伝部副部長の蒋建国はともに湖南閥に属することから、この事件は中央宣伝部内部にも関係者がいるのではないか、という見方がある。少なくとも、海外の民主活動家のハッキングでもなく、陳情者の仕業でもなく、党内部の“政治事件”と考えるべきだろう。

 この無界新聞事件に続いて、新華社の“誤植”事件があったことも、ここで触れておくべきだろう。3月13日夕方に新華社のサイトに掲載された「全人代記者手記:昆泰ホテルの内外から中国の経済的自信をさぐる」中で、「中国最高指導者・習近平」とあるべきところを「中国最後指導者・習近平」と誤植され、14日まで放置されていた。新華社の校閲体制の厳しさを知っていれば、こんな誤植は、まずあり得ない。党総書記に関わる政治的間違いを見過ごせば、校閲記者だけでなく上司もふくめで全員クビが飛ぶので、“習近平”の文字の前後は、目を皿のようにして何度も繰り返してチェックを入れる。

 とすれば意図的に校閲記者たちが見逃したとしか思えない。もちろん、極めてまれに、純粋に技術的な誤植のミスはあるのだが、何年かに一度あるかないかのレベルである。この“誤植”は14日まで放置されていたという。14日になって博訊が報道したため、まもなく修正された。新華社は、中央宣伝部直属の通信社。この件から、中央宣伝部は習近平に掌握されておらず、内部で激しい権力闘争が行われているのではないか、という推測もある。

「ペン」の掌握に手こずる習近平

 こうした事件からうかがえることは、習近平政権が掲げる「メディアの姓は党」というスローガンを復唱している党中央メディア内部でも、習近平の厳しすぎるメディアコントロールへの不満をくすぶらせ、党中央宣伝部内部にも習近平に反感を持つものが少なくないのではないかということだ。

 現中央宣伝部長の劉奇葆は共産主義青年団出身の胡錦濤派であり、習近平から睨まれている政治家の一人。いわゆる汚職Gメンである中央規律検査委員会特別巡視隊が2月28日から中央宣伝部に対して、取り調べを行っているが、この一連のメディアの政治事件となにか関係があるのではと勘ぐる声もある。

 共産党を支える二本の棒(杆子)は銃(軍事力)とペン(メディア・宣伝力)。この二本の棒を掌握できるかどうかが、習近平政権の安定性を左右する。だが、少なくともペンの掌握には、習近平は相当手こずっているような印象を受ける。中央メディアから、習近平政権への反乱が起きたとしても、私はさほど意外な気はしない。

新刊!東アジアの若者デモ、その深層に迫る
『SEALDsと東アジア若者デモってなんだ! 』

日本が安保法制の是非に揺れた2015年秋、注目を集めた学生デモ団体「SEALDs」。巨大な中国共産党権力と闘い、成果をあげた台湾の「ひまわり革命」。“植民地化”に異議を唱える香港の「雨傘革命」――。東アジアの若者たちが繰り広げたデモを現地取材、その深層に迫り、構造問題を浮き彫りにする。イースト新書/2016年2月10日発売。


このコラムについて
中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス

 新聞とは新しい話、ニュース。趣聞とは、中国語で興味深い話、噂話といった意味。
 中国において公式の新聞メディアが流す情報は「新聞」だが、中国の公式メディアとは宣伝機関であり、その第一の目的は党の宣伝だ。当局の都合の良いように編集されたり、美化されていたりしていることもある。そこで人々は口コミ情報、つまり知人から聞いた興味深い「趣聞」も重視する。
 特に北京のように古く歴史ある政治の街においては、その知人がしばしば中南海に出入りできるほどの人物であったり、軍関係者であったり、ということもあるので、根も葉もない話ばかりではない。時に公式メディアの流す新聞よりも早く正確であることも。特に昨今はインターネットのおかげでこの趣聞の伝播力はばかにできなくなった。新聞趣聞の両面から中国の事象を読み解いてゆくニュースコラム。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/032100036/?ST=print

 

「中国にはネットで売れ」
アリババ、ウォルマート超え世界一の流通企業に

年間取引額3兆元(約51兆円)突破の瞬間

2016年3月23日(水)小平 和良


3月21日午後2時58分。アリババの総取引額が3兆元に到達した
 3月21日午後2時半過ぎ、中国浙江省杭州市にある中国EC(電子商取引)最大手・アリババ集団本社のホールには、同社の社員やメディア関係者が集まっていた。アリババ社員だという司会者が、同社の歴史を振り返る簡単なクイズを会場に投げかけた後、会場の大型スクリーンには13ケタの数字が大きく映し出された。

 数字は2015年4月から現在までの、「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」といったアリババの消費向けECサイトの総取引額を示しているようだ。2兆9999億元台を示す数字が徐々に増えていく。

 そして2時58分37秒、13ケタ目の数字が「2」から「3」に変わると同時に大きな音楽が鳴り響いた。アリババが運営する消費者向けECサイトの年間総取引額が初めて3兆元(約51兆円)を超えた瞬間だ。

 アリババは2003年に個人間取引サイトのタオバオを開設した。その後、タオバオから派生する形でBtoC(消費者向け)サイトのTモールが誕生。2012年に1兆元、2014年には2兆元を突破し、今年3兆元に到達した。2012年度と比較すると取引額は3倍に膨らんでいる。

 「私たちは13年でこの瞬間にたどりついた」。3兆元に到達した後、壇上に立ったアリババの張勇CEO(最高経営責任者)はこう強調した。発表会での説明によると、世界最大の小売業である米ウォルマート・ストアーズが売上高3兆元に到達するまでに要した時間は54年。アリババはその4分の1ほどの期間で、成し遂げたというわけだ。

2020年度に6兆元(約102兆円)へ

 自前で商品を仕入れ、自らの店舗で商品を売るウォルマートの売上高と、様々な販売店が集まるモール形式を採用しているアリババの総取引額を単純に比較することはできない。しかし、アリババの総取引額がウォルマートの売上高(2015年12月期は約4856億ドル=約54兆円)を抜き、世界一の“流通企業”となる日が近づいている。

 この規模を中国の各省・自治区の経済規模と比較すると、6番目に相当するという。日経ビジネスは2009年の特集で、ウォルマートについて「国家を超える存在になりつつある」と評している。アリババも同様の存在になりつつある。

 ただ、張CEOは「我々はウォルマートをもう一度作っているのではない」と断言する。アリババにとっては3兆元も通過点にすぎない。張CEOは次の目標として、「2020年度には総取引額6兆元(約102兆円)に到達できる」と語った。

 総取引額100兆円という遠大な目標をどのように達成しようとしているのか。張CEOが掲げたのが「農村」と「海外」だ。


3兆元突破を受けてあいさつするアリババの張勇CEO(最高経営責任者)
「農村」と「海外」で100兆円を目指す

 日経ビジネス3月21日号特集「中国にはネットで売れ」でも触れた通り、アリババは農村事業を急ピッチで広げている。農村の配送拠点となるほか、店内のパソコンでネット上の商品を買うことができる「農村タオバオ」は開始から1年強で、1万4000拠点に達している。

 取引額の伸びの都市別ランキングでは、新疆ウイグル自治区や甘粛省の都市が上位に入るなど、地方都市の伸びが大都市を上回るという。内陸部の地方都市や農村部でのECの普及が3兆元に大きく貢献しており、さらに農村部でのEC利用を促すことで6兆元という目標に近づく考えのようだ。

 海外について張CEOは「世界の素晴らしい商品を中国に持ってくる。中国の消費者の要求は日増しに多様になってきている」と語った。3兆元の取引を基にした分析によると、例えば子供用品などの分野では、地方都市の消費者も沿岸部の大都市と同様に、輸入品を好んで購入するのだという。

 アリババは今年1月、食品世界最大手のスイスのネスレと提携した。提携の狙いの1つが世界で販売するネスレの商品を、輸入品を扱うアリババの越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」で販売していくことだ。

 TモールやTモールグローバルには日本企業も数多く出店しているものの、大成功の事例は多くない。中国のEC最大手のアリババが、農村への進出や越境ECの拡大などにより、総取引額100兆円という未踏の領域に突き進もうとしている。中国経済が減速している中で、影響力を増し続けるアリババは、中国市場での拡販に悩む日本企業にとっても、ますます重要な存在になっていくのは間違いない。

このコラムについて
中国にはネットで売れ

 中国のネット通販市場の拡大が止まらない。

 経済の減速が世界を揺るがしてはいるものの、その巨大な内需はなお健在だ。

 市場規模は今年100兆円を超える見込みで、消費に占めるEC(電子商取引)の比率も日米を圧倒。

 消費の大きな変動を感じ取った欧米のグローバル企業は、ECを中国攻略の核に据えはじめた。

 豊かになった消費者はより良い商品を求め、国境を越えて海外製品を輸入できる越境ECも急伸。

 「メード・イン・ジャパン」に対する消費者の人気は高く、日本企業にとっても大きなチャンスが広がる。

 様々な壁を越え、この巨大市場と向き合えるかが、世界での競争力に直結する

(日経ビジネス3月21日号の特集「100兆円市場 中国にはネットで売れ 攻めるネスレ、ダイソン、ユニ・チャーム」の連動企画)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/031700021/032200002/

 
ルー財務長官 中国の市場制への移行は凹凸の多いでこぼこ道。


配信日時 2016/03/22 (火) 23:37 掲載日時 2016/03/22 (火) 23:47
ルー財務長官は下院金融サービス委員会で答弁
中国の市場制度への移行は凹凸の多いでこぼこ道。
中国は改革に向かう十分な素地がある。


 

トンビニブラジル中銀総裁 ブラジルのCPI3月には一桁に


配信日時 2016/03/22 (火) 23:40 掲載日時 2016/03/22 (火) 23:50
ブラジル中銀のトンビニ総裁がブラジル経済について発言。
ブラジルのCPI3月には一桁に。インフレの抑制は自信の再生につながる。
流動性というクッションを下手に触ることはない。


 

NY市場 原油高受けてカナダ買い強まる


配信日時 2016/03/22 (火) 23:48 掲載日時 2016/03/22 (火) 23:58
ドルカナダは1.3050を割り込んできた。NY原油の41ドル台後半まで上昇するなど、原油高の流れが優勢になっていることを好感したカナダ買いの動き広がっている。

USDCAD1.3044

 
NY原油 反転上昇


配信日時 2016/03/22 (火) 23:55 掲載日時 2016/03/23 (水) 00:05
NY原油先物は朝方の利益確定の売りが落ち着いたこともあり、上昇が目立つ展開に。

NY原油先物5 月限(WTI)(NY時間10:56)
1バレル=41.65(+0.13 +0.31%)


[FISCO]【市場反応】米3月リッチモンド連銀製造業指数、2010年来で最高、ドル買い再燃


配信日時 2016/03/22 (火) 23:26 掲載日時 2016/03/22 (火) 23:36
 外為市場ではリッチモンド連銀製造業指数の改善を好感し、ドル買いが再燃した。ドル・円は111円54銭から111円70銭へ上昇。ユーロ・ドルは1.1233ドルから1.1220ドルへ弱含んだ。


 米国の3月リッチモンド連銀製造業指数は22と、市場予想0を上回り、2月-4からプラスに改善。2010年4月来の高水準となった。


 事前に民間マークイットが発表した米国の3月製造業PMI速報値は51.4と、2月51.3から上昇したものの、市場予想の51.9は下回った。

【経済指標】
・米・3月リッチモンド連銀製造業指数:22(予想:0、2月:-4)
・米・3月製造業PMI速報値:51.4(予想:51.9、2月:51.3)
http://klug-fx.jp/fxnews/


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