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この「円高」局面はいつまで続くのか? 〜マイナス金利は円安に働くはずなのに…(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/129.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 31 日 08:45:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           写真は2月8日のドル=円レート 〔PHOTO〕gettyimages


この「円高」局面はいつまで続くのか? 〜マイナス金利は円安に働くはずなのに…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48310
2016年03月31日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■ドル円レートの「経験則」


1月29日に日本銀行がマイナス金利政策を導入して以来、円高が進行している。


例えば、今年1月までのドル円レートは、概ね1ドル=120円弱で推移していたが、マイナス金利導入後の2月以降、1ドル=115円台を割り込み、一時は1ドル=110円割れをうかがう展開となった。


現在は1ドル=112円台半ばまに戻しているが、3月26日のイエレンFRB議長のハト派的発言(さらなる利上げは慎重に行う旨の発言)もあり、再び円高圧力が高まっているようにもみえる。


ところで、多くのエコノミストや為替アナリストが為替レートの行方を考える際には、内外金利差が用いられる。具体的にいうと、ドル円レートの場合、日米金利差が開くと(すなわち、円金利がドル金利と比較してより大きく上昇した場合)、ドル円レートは円高で推移するという「経験則」を当てはめて考えることが多いように思われる。


このロジックに基づくと、日本銀行によるマイナス金利導入は、もう下がる余地がないと思われていた日本の金利がさらに下がる可能性を高めるため、円安をもたらすはずである。現に日本の金利はほぼ一様に低下している。


だが、ここまでのところ、現実は想定と全く逆の結果となっている。


そこで、先にマイナス金利を導入しているスウェーデン、デンマーク、スイス、ユーロ圏の事例をみると、日本円とは異なり、ほぼ、この「経験則」が想定する通りの為替レート変動が実現している。すなわち、マイナス金利政策の導入は、自国通貨安をもたらしている。


これを踏まえると、マーケットが落ち着きを取り戻せば、やがて、ドル円レートも金利差の動きに素直に反応して、再び円安に転じる局面が来ると考えることも可能であるかもしれない。


■「内外金利差」で為替レートを予想できるか


だが、金利差と為替レートの関係をみると、日本円は、他国通貨とは異なっている可能性がある。実は、ドル円レートには、前述の「経験則(日米金利差の拡大がドル高につながる)」が長期的に当てはまっているとは言い難いのである。


例えば、ユーロが発足した1999年1月以降、2016年2月までの月次データで見た場合、スウェーデンクローネ、スイスフラン、ユーロの対ドルレート変化率と各国LIBORでみた金利差の間には正の相関関係があった(すなわち、当該国・地域のLIBORがドルLIBORと比較してより大きく上昇すれば、当該国通貨高・ドル安が実現する)。


対ドルレートの対1ヵ月前比変化率と1ヵ月物LIBORでみた内外金利差の相関係数は、スウェーデンが0.146、スイスが0.191、ユーロが0.181と、いずれも正の相関であったのに対し、日本は「-0.016」とわずかに負の相関となった(デンマークは対ユーロでクローネを一定の水準に固定させる政策をとっているので割愛した)。


これをどう解釈するかだが、相関係数の絶対値が小さいため、ドル円レートの変化率と内外金利差の間には中長期的にみて、相関関係はほとんどないという見方が正しいだろう。


また、5年分のデータで金利差モデル(為替レート変化率を金利差で説明するモデル)の係数を計算し、それをずらしていき、係数の変化をみると(一般的には「ローリング回帰」というが、正確には単純な回帰分析ではない。だが専門的すぎるのでここでは詳しく触れない)、先ほど取り上げた通貨すべてで、2012年以降、その変動が激しくなっており、しかも符号が変わるケースも散見される(図表1)。



図表1)


この係数は、簡単にいえば、金利差が1%変化したときに、為替レートはどの程度変化するか、という為替レート変動に対する金利差の影響力を示しているので、この係数の変化があまりに大きい。しかも、符号が変わるとなると、金利差を用いた予測はかなり難しいことを意味する。


このことから、金利差で為替レートを予想する方法が的中する確率はかなり低いと考えざるを得ない。これは非常に簡単なやりかたなので、アカデミックな観点に立つのであれば、精緻な手法を用いる必要があるが、当コラムは論文発表の場ではないのでこの程度で十分であろう。


以上より、為替レートの動きを、内外金利差を用いて予想するという考え方は、適切ではない可能性が高い。従って、先にマイナス金利を導入した国の事例に参考に、「マーケットが落ち着けば、円安に転じる」という考え方は、あまり参考にならないのではないかと筆者は考えている。



1月28日、マイナス金利導入を発表する日銀・黒田総裁 〔PHOTO〕gettyimages


■再び「円安」トレンドに戻るためには


そもそもリーマンショック以降、日米の短期金利差はほぼゼロとなっている。そのため、日米両国の金融政策スタンスの差は、金利差よりも、両国の中央銀行が供給するマネタリーベースの動きに明確に現れるようになっている(マネタリーベースと為替レートの関係については、昨年12月17日の当コラムで触れている)。


ただし、為替レートが、現在の金融政策というよりもむしろ、将来の金融政策の動きを予想して動くことを考えると、その先行きをみるためには、日米両国のマネタリーベースが今後、どのように推移していくかという点がより重要であると考えられる。


そこで、問題となるのが、今回、日本銀行が導入したマイナス金利政策が、市場参加者の今後のマネタリーベース予想にどのような影響をもたらしているかである。


筆者の個人的な「理解」とは異なり、マーケット参加者の多くは、日本銀行が導入したマイナス金利政策を従来の量的質的金融緩和(QQE)政策の「代替策」と解釈している。すなわち、日本銀行が、何らかの理由によって、マネタリーベースを従来のペース(年間80兆円の増加)で拡大させていくことが困難になりつつある証拠、と解釈された可能性がある。


今後、何らかの方法によって、マイナス金利を「無限に」拡大させていくことが可能であり、その方法について、日銀がマーケットに明確なアナウンスを行うことができれば話は変わってくるが、黒田東彦日銀総裁が国会答弁で言及したように、現行のマイナス金利政策の「理論的」な拡大余地は、せいぜい-0.5%程度までだというのがコンセンサスになっている。


マーケットの今後の金融政策に対する予想は、「従来のQQE政策に限界が差し迫った結果、導入を余儀なくされたのがマイナス金利政策だが、そのマイナス金利政策の限界も意外と近い。そうであれば、日本の金融政策はまもなく限界を迎える」というものになるのは、ある意味当然であり、その予想が反映されての円高転換であったと推測される(もしくは、そういうロジックで投機筋が円高アタックを仕掛け、他の参加者がそれに乗った)。


以上より、ドル円レートが再び、円安トレンドに戻るためには、「QQEによるマネタリーベース拡大の限界」というマーケットの懸念を払拭することが必要である。そのためには、日本銀行によるQQEの復活が必要ではないかと考える。


■カギを握るのはQQE拡大の有無


3月14、15日開催の日銀金融政策決定会合では、QQEの拡大は見送られたため、ドル円レートは1ドル=111円台まで円高が進行した。また、その直前にECBが、量的緩和の拡大を含む「三次元緩和」を実行したために、日銀の決定会合に対する失望感もあったのではないかと推測される。


ただ、その後の為替レートは累積的な円高局面にはなっていないため、やや贔屓目にみれば、これまでの緩和政策(特にQQEによるマネタリーベースの拡大)の効果はまだ残っているのではないかとも思える。


だが、4月27、28日に予定されている次回の金融政策決定会合でもQQE拡大が見送られた場合、再び円高が進行するリスクがあると考える。


逆に、QQE拡大が決定された場合には、円安トレンドに転じる可能性もある。その意味で、次回の金融政策決定会合は要注目であるし、期待したい。


 

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コメント
 
1. 2016年3月31日 09:08:27 : 6jC6Ok4X3M : r9HiorRuc1w[212]
本来1ドル/100円程度が実効レートなのに無理に円安に操作された円の動きが金利なんかに左右されるはずが無いだろう。

2. 2016年3月31日 18:50:47 : BgMZfmGIi2 : yrsuJ@BHgAY[11]

112円台は円高ではない。
株価も17000円近辺を維持しており、ドル建てで見れば堅調。
クロス円を見れば明らかなように、単にリスクオンでドル安になっているだけ。



3. 2016年3月31日 21:10:54 : v1gbxz7HNs : Ay@h0DQyQEc[1258]
どこが円高だ。
高値安値をおぼえるは素寒貧と相場師なら誰でも知っているだろ。
値頃感で売買するどころか、経済を語るってのがちょっと信じられないのだが。

4. taked4700[5203] dGFrZWQ0NzAw 2016年4月01日 11:09:53 : 6tWy8X44hI : OJwbhFZQkLI[2]
為替は既に故意に操作が出来るようになっています。特にドル相場は人工的な操作がされていると思います。

円と元、円とニュージーランドドル、などは比較的自然な動きをしていると思います。

まあ、全ての通貨がドルを通して互いに連動しているので、ある程度の長期になると同じような動きになってしまうのですが、短期で見ると、円と元の為替相場の動きなどは経済の実態を判断するのにいいと思います。

アメリカで大きなテロが発生する可能性があり、そうなると、一気に円高に振れることもあり得ます。まあ、日本で大地震が発生すれば、円安になるしかないと思いますが。


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