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ユニクロ、それほど高品質・低価格ではなかった?高品質・低価格訴求の効果は限定的(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/173.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 02 日 00:39:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               ユニクロの店舗(撮影=編集部)


ユニクロ、それほど高品質・低価格ではなかった?高品質・低価格訴求の効果は限定的
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14514.html
2016.04.02 文=白井美由里/慶應義塾大学商学部教授 Business Journal


 商品広告でよく見かける表現に、「高品質・低価格」があります。この言葉をキーワードにインターネットで検索してみると、さまざまな業種の企業サイトが表示され、商品だけでなくサービスのアピールポイントとして、広く一般に用いられていることがわかります。

 企業が「高品質・低価格」を積極的にアピールするのは、そうした商品を求めている消費者が多くおり、それらの消費者を惹きつけられるからであることはいうまでもありません。確かに、「高品質」と「低価格」は、両方とも消費者が購買意思決定において重視する点であり、これらがひとつの商品に同時に実現されているとしたら、消費者にとっていうことなしでしょう。

 しかし、ここでひとつの疑問が生じます。それは、そもそも「高品質」と「低価格」は相反するものであって、両立しないのではないか?ということです。もしも本当に商品の品質が高いのであれば、その高い品質を実現するためにさまざまなコストが発生するため、低価格では収まらないと考えられないでしょうか。また、もしも本当に価格が低いのであれば、その低い価格でコストのかかる高品質を実現することは難しいと考えられないでしょうか。

 コモディティ化(商品・サービスの均一化)が進行しているとはいえ、価格が相対的に高い商品は、依然として多くの製品カテゴリーで見られます。このことは、同じカテゴリーであっても、高価格帯の商品(以下、高価格品)と低価格帯の商品(以下、低価格品)の間にはなんらかの「違い」が消費者に認識されており、高価格品を購入する消費者が相当数いることを意味します。つまり、高価格品には、低価格品にはないベネフィットが認識されていることになります。

■高価格品のベネフィットとは

 高価格品から得られるベネフィットはいろいろありますが、そのなかで、消費者がより多く支払うことに価値を感じるベネフィットはなんなのでしょうか。

 筆者は以前に、この疑問を明らかにするために一連の調査を行い、そのひとつで、「品質や性能が優れていること」や「知識・経験がなくても品質に安心感を持てる」といった「高品質」と関連するベネフィットに多くの消費者が支払い価値を感じていることを明らかにしました。【註1】。この結果は、複数の商品カテゴリーに共通して見られました。

 もちろん、ファッション衣料品のように顕示性の高いカテゴリーでは、「優越感を持てる」「イメージアップを図れる」「自分への満足感が高まる」などのベネフィットに対する支払い価値も認められていましたが、そうしたカテゴリーにおいても、高品質ベネフィットに支払い価値を感じる消費者は多かったのです。

 このことは、消費者は依然として「品質」を重視する傾向にあり、品質の高さが高価格品購入の動機になっていることを示しています。換言すれば、消費者は、高価格品は低価格品よりも品質が高いと考えていることになります。

■高品質・低価格アピールの受容性

 もしそうであるならば、低価格品は高品質とは認識されないので、「高品質・低価格」アピールは消費者にとって矛盾することになります。しかしながら、このアピールが多くの消費者に受容されている現状を踏まえると、矛盾を感じる以前に、このアピールを額面通りに受け取っていない可能性が考えられます。額面通りに受け取らないとは、当該商品を本当に高品質かつ低価格であるとは思わないということを意味します。

 筆者は、このことを確認するため、仮想的な商品広告をつくり、「高品質・低価格」アピールを用いたときの被験者の品質と価格の知覚を、「高品質」のみのアピールや「低価格」のみのアピールを用いたときの知覚と比較する調査を行いました【註2】。

 その結果、「高品質・低価格」アピールは、高価格品の広告に用いた場合には「高品質」のメッセージが割り引かれるのに対し、低価格品の広告に用いた場合には「低価格」のメッセージが割り引かれることが明らかになりました。「高品質」と「低価格」という2つのメッセージは、消費者に同時には受け取られないといえます。

■ユニクロの評価

 それでは、実際に「高品質・低価格」というイメージが定着しているブランドは、消費者にどう認知されているのでしょうか。筆者は、「高品質・低価格」ブランドとして有名なユニクロを対象とし、品質と価格の評価を調べてみました【註3】。その結果、品質評価については、低くはないものの、高級ブランドよりは劣っていること、価格評価については割安感はあるものの、強い割安感ではないことがわかりました。つまり、明確な「高品質・低価格」という認識は確認できませんでした。

■高品質・低価格アピールの有効性

 以上をまとめると、企業が「高品質・低価格」をアピールしたとしても、「高品質」と「低価格」のメッセージを狙い通りに消費者に伝えることは難しいと結論づけられます。消費者は、アピールの対象となる商品の価格帯によって、どちらかを割り引きますので、その使用については慎重に検討したほうがいいかもしれません。安易な使用は、消費者の知覚を意図しない方向に導く可能性があります。

 前述したように、高価格品では、高品質の提供は不可欠になりますので、品質の知覚を下げやすいこのアピールは適さないといえるでしょう。また、低価格品にこのアピールを採用すると、知覚品質を高められる効果はありますが、それは高価格品に形成される「高品質」とは違い、「低価格の割に品質がいい」などの低価格を基準とした知覚になります。つまり、低価格品にこのアピールを採用しても、その効果は限定的であるといえるでしょう。

 消費者はそうした商品やサービスを求めている一方で、実はそのメッセージ通りには受け取らないのです。技術革新やその他の企業努力により、高品質を維持しながらも低価格を実現している企業は実際にあると思います。もしも企業がそのことを消費者に伝えたいのであれば、どのようにしてそれが実現できたのかを、わかりやすく伝える努力が必要になるでしょう。単に「高品質・低価格」をアピールするだけでは、十分な効果は得られないのです。

(文=白井美由里/慶應義塾大学商学部教授)


※参考文献
【註1】白井美由里(2006)『このブランドに、いくらまで払うのか−「価格の力」と消費者心理−』、日本経済新聞出版社.
【註2】Shirai,M.(2015),“Impact of ‘High Quality, Low Price' Appeal on Consumer Evaluations"(2015),Journal of Promotion Management, 21(6),pp.776-797.
【註3】白井美由里(2014)「高品質・低価格ブランドに対する消費者の評価 −ユニクロのケース−」、『横浜経営研究』、35 (2),pp.45-57.
 

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コメント
 
1. 2016年4月02日 20:15:02 : Xzr6qRZDis : QRBC222N6tY[6]
ユニクロも 価格と質の 板挟み

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