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黒田日銀の緩和策3年
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/199.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 4 月 03 日 05:39:11: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


※日経新聞連載

[時事解析]黒田日銀の緩和策3年

(1)実質金利低下を重視 市場や経済を刺激

 黒田東彦総裁率いる日銀が2013年4月4日に量的・質的緩和政策の導入を決めてからまもなく3年になる。14年10月31日には追加緩和に踏み切り、16年1月29日にはマイナス金利付き量的・質的緩和政策への衣替えも決めた。

 黒田日銀のもとでの緩和政策の効果波及メカニズムは、「実質金利を押し下げることを起点とする」(15年4月公表の日銀レビュー「『量的・質的金融緩和』 2年間の効果の検証」)とされてきた。マイナス金利導入後も「政策の効果の本質は実質金利の低下」(黒田総裁)だという。

 実質金利は予想物価上昇率を考慮した金利だ。例えば名目金利が1%でも、人々が予想する物価上昇率が2%なら、実質金利ベースでは前者から後者を差し引いたマイナス1%に下がる。インフレ期待が強まり将来の所得増加予想が広がれば、実質的な金利負担感は軽くなり緩和効果が生まれるという理屈だ。

 実質金利を下げるための要素は2つある。第1が名目金利の引き下げ。そのためにマネタリーベース(資金供給量)を大幅に増やす巨額の長期国債購入(年間80兆円の保有残高増加)と銀行から預かる日銀当座預金の一部金利のマイナス化を実施してきた。第2がインフレ期待の刺激であり、2%物価目標を、2年程度を念頭に置き早期に達成する決意を強調してきた。

 2つの要素の合わせ技で実質金利を下げ、市場環境の好転や実体経済の刺激を通じて、物価に上げ圧力を加える。これが黒田日銀の緩和策の基本的なメカニズムである。

(編集委員 清水功哉)

[日経新聞3月28日朝刊P.17]


(2) 一時、円安・株高に 年明け以降は反転

 黒田日銀が重視する実質金利低下は実現したのか。まず長期金利(新発10年物国債利回り)は、量的・質的緩和導入決定前の0.5%程度が今はマイナス0.1%程度だ。エコノミスト向けESPフォーキャスト調査で2015年12月時点の7〜11年先の予想物価上昇率は3年前の1%から1.4%(消費増税の影響を除く)に拡大した。

 この数字をみる限り3年前と比べて実質金利は下がったもようだ。名目金利が下がり期待インフレ率は上がったためだ。ただ期待インフレ率を一つの指標で計ることは難しく、16年に入ってからの市場混乱で予想物価上昇率は低下したとみられる点に注意が必要だ。

 実質金利低下に反応したのが市場だ。円が売られ、量的・質的緩和の導入決定前に1ドル=92円台だった円相場は一時125円台に下落した。株価も上昇した。緩和導入決定前に1万2000円台だった日経平均株価は一時2万円台に上昇した。円安で輸出企業の業績が改善するとの見方が出た。日銀の上場投資信託(ETF)購入も、株価の下値不安を和らげた。

 ただ円安や株高には欧州債務危機の後退や経常・貿易収支の変化などに支えられた面もあり、すべてが緩和策の効果とはいいにくい。「金融政策は市場のトレンドの背中を押せることはあっても、トレンドに対抗するのは難しい」(翁邦雄・京大教授)との指摘もある。

 実際中国の経済減速や原油安などで市場が混乱するなか、16年1月のマイナス金利導入決定は市場混乱を十分に抑えられず、円高・株安が進んだ。

(編集委員 清水功哉)

[日経新聞3月29日朝刊P.33]

(3) 実体経済刺激は限定的 成長戦略が不可欠

 量的・質的緩和の開始以降、市場環境は好転したが、実体経済への刺激効果は限定的だった。初年度の2013年度に株高による消費刺激などが寄与して実質国内総生産(GDP)伸び率は2.0%となったものの、消費増税があった14年度には失速しマイナス1.0%となった。15年度見通し(ESPフォーキャスト調査)も0.67%だ。

 市場環境好転の経済刺激効果が限られた典型例は輸出だ。例えば追加緩和効果で円相場が1ドル=110円程度から一時125円程度まで下落した14年10月〜15年6月の局面。日銀によると輸出数量の伸び率(季節調整済み前期比)は14年10〜12月期がプラス3.8%、15年1〜3月期がプラス1.0%、15年4〜6月期がマイナス3.6%と15年に入りブレーキがかかった。米港湾ストなど海外要因に加え、円高時代の海外生産移転や日本製品の競争力低下も響いた。

 成長期待が後退するなかでは実質金利の低下が企業の投資意欲を刺激する効果も限定的だったとみられる。日銀推計によると、日本の潜在成長率は0.2%台。ショックが加わるとすぐにマイナス成長に転落しやすい。量的・質的緩和がスタートした13年4〜6月期以降の11四半期をみると約半分で成長率がマイナスだった。

 マイナス金利政策を評価する岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)も「人口減少に歯止めをかけ、労働市場の制度改革を進める成長戦略が同時に必要」と説く。日銀内にも「潜在成長率引き上げは喫緊の課題」(中曽宏副総裁)との声がある。

(編集委員 清水功哉)

[日経新聞3月30日朝刊P.32]


(4)遠のく物価2% 原油安・増税が誤算

 日銀が2013年4月に量的・質的緩和政策を始めたとき、次のように宣言した。「消費者物価上昇率2%を、2年程度の期間を念頭に置きできるだけ早期に実現する」。だが2%目標は今も達成されていない。

 政策の1年目は順調に物価に上げ圧力が加わった。緩和開始前にマイナス0.5%だった消費者物価上昇率(生鮮食品の価格動向と消費増税の直接的な影響を除く)は、14年4月に1.5%となった。

 2年目に入ると物価上昇率は縮小。15年以降はゼロ%前後での推移が続く。2%目標の達成時期見通しは先送りが繰り返され、現在は「17年度前半ごろ」だ。

 主に2つの想定外の事態が物価失速の理由だと日銀は説明する。14年4月の消費増税が個人消費に与えた影響が大きかったことと、同年夏場以降原油価格が急速に下落したことだ。

 特に後者の影響が大きいとみる日銀は、物価の基調は原油安の短期的な影響を除いて判断するとの立場から、エネルギー関連品目も除いた物価(日銀版コア物価指数)の公表を始めた。同指数の上昇率は15年春以降、拡大基調で推移してきた。ただし、直近の16年2月に1.1%となっており、2%には達していない。

 今後、市場混乱や米経済減速を受けて円高が進行した場合、日銀版コア物価の上昇率も下振れしてしまうリスクが指摘されている。「1%を割り込んでくれば日銀は追加緩和を余儀なくされる」(河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト)との見方もある。

(編集委員 清水功哉)

[日経新聞3月31日朝刊P.37]

(5)困難な出口政策 日銀は議論を封印

 マイナス金利付き量的・質的緩和政策について、日銀は「物価上昇率2%を安定的に持続するために必要な時点まで継続する」としている。少なくとも「2%の安定的持続」に必要な時までは続けるという趣旨と解釈できる。その時点で必ずやめるとは書いていない。

 実際、長期金利が不安定になりかねないため、「2%の安定的持続」の実現後も国債購入をやめられないとする見方もある。仮に買い入れをやめたとしても、保有国債の売却は難しいとの見方も多い。これも、売却が長期金利の上昇を招きかねないというのが理由だ。

 巨額の国債を保有したまま市場金利を上げることは可能だ。日銀当座預金の超過準備の金利(現在は大半が0.1%)を上げればいい。しかし、その結果生じる銀行の巨額の収入を世論が容認するか疑問もある。「銀行への利払い膨張で日銀が損失を被り、国庫納付金が一定期間止まる。間接的な国民負担が生じる」(日本経済研究センター)とする見方もある。

 問題発生を防ぐ手として、銀行が無利子で預ける当座預金分を増やす法定預金準備率引き上げもある。ただ経済の引き締め効果が大きく出る懸念もある。

 様々な難問に直面しそうな出口政策。「日銀は戦略を議論し国民に説明することが求められる」(河村小百合・日本総合研究所上席主任研究員)との指摘に対し、日銀は議論は時期尚早とする。様々な想定外の状況に直面する可能性があり、具体的な議論が将来の政策の自由度を下げることを懸念している。

(編集委員 清水功哉)

=この項おわり

[日経新聞4月1日朝刊P.27]


 

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コメント
 
1. 2016年4月03日 10:26:47 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[242]
失敗の一言。

金融マフィアを喜ばしただけ。

今から金融緩和を戻すのに、痛みがある。アメリカのように、、、

日本、痛みを残しただけに終わった。


2. 2016年4月03日 11:09:53 : SKLssvmpSU : bqq1LCfyCG0[6]
金融政策にできることは限られている。できるだろうと思ったことが失敗の元。今後も同じ。国民が地道に努力する以外解決はない。それ以上を期待する結果、詐欺師に騙されるわけである。

3. 2016年4月03日 17:58:55 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[318]
<Vol.355:日銀のリフレ策、異次元緩和の失敗と政策変更>

   テーマ:リフレ策の失敗から財政拡張へ向かう政府
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
     HP: http://www.cool-knowledge.com/
無料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/0000048497.html
有料版の登録/解除: http://www.mag2.com/m/P0000018.html
     感想/連絡:yoshida@cool-knowledge.com
         Systems Research Ltd. 吉田繁治 
42451部 


こんにちは、吉田繁治です。政府は米国のノーベル賞経済学者、ス
ティグリッツとグルーグマンを招き、日本がとるべき経済政策を、
「進言させています」。させているというのは、意図的だからです。

連絡をとったのは、現内閣官房参与の浜田宏一氏です。3年前、
2013年4月からの異次元緩和によるリフレの、理論的な根拠を提供
しています。リフレとは、インフレにもってゆくことです。

自分の権威がないので、スティグリッツに頼ったということでしょ
う。そして、インフレを起こす財政出動を立案するためクルーグマ
ンも招いています。2015年11月から、クルーグマンは、金融緩和の
効果がないと分かったので、強力な財政出動を説いています。財政
出動とは、政府の赤字予算の拡張です。

(注)日本に対するアメリカの権威を「外圧」と言いながら利用し
てきたのは、日本の財務省です。権威とは、多くの人が見識を高く
評価していて、その見識が、人を従わせる力をもつとき言います。

異次元緩和と称したリフレ策の開始後、ちょうど3年経ちました
(2013年4月〜)。2年で2%のインフレ目標と、名目GDPの成長を3.
5%から4%に上げるというリフレ策は、ほぼ完全に失敗しています。

リフレ理論の誤りというより、人口構造から2010年以降、GDPの低
成長期にはいっている日本では、金融緩和の効果が出なかったので
す。

患者の身体状況を知らず(診断せず)、学校で習った造血やカンフ
ル剤の治療を施した医者と同じでした。(注)いずれ、「リフレ論
の失敗」を書く必要もあるでしょう。この3年、エコノミストでは
経済理論の闘争でもあったからです。

日銀は、今後も「異次元緩和は誤っていた」とは決して言いません。
どんな結果を見ても「所期の目的を達している」と永遠に言い続け
ます。わが国の政治家と官僚は、誤ったことでも「政策の無謬性」
に固執します。これで通用するのは、国会議員の経済知識の水準が
低いからです。

米国なら野党(現在は共和党)の議員が指摘しますが、わが国の民
主党に力がないことが問題です。このため、国会の経済論戦はひど
いものになっています。政府の答弁(官僚が作文)は、意味のない
言葉を連ねてはぐらかす。質問者は経済知識のレベルが相当に低い
ため、答弁の矛盾をつけない。多くの議員は、その報酬の価値がな
いと思えます。

大手マスコミの幹部は、安倍政権の懐柔策である定期的な食事会に、
呼ばれて参加するのを自慢する情けなさであり、政府批判をしなく
なっています。安倍政権はマスコミ対策に厚い配慮をしています。

(注)米国の上院では議員1名に平均で43名の政策秘書がついてい
て、質問案の作成、政策の立案、立法の立案をしています。1人1党
という感じです。下院では秘書が17名です。議員数は少ないが政策
秘書は多い。選挙のため、計算された暴言を言っているトランプに
も、優秀な政策秘書団(私設)があります。「この発言で**票」
という計算がされています。話し方、動作、服装もコーチします。
米国の議員は、政策立案の会社をもっていると見ていいのです。

日本の秘書(公設3名+私設数名〜10名)は、国会質問案の作成や
政策より、地元の選挙民のお世話係りです。国会議員には、できる
限り政策には関与させず、省庁が政策の立案を行うという官僚国家
が日本です。1980年代まで、議員はダメでも官僚は一流とされてい
ましたが、現在はどうでしょうか。TVで放映される国会論戦のレベ
ルが低い理由が、ここにあるのです。

質問者は、三面記事的な失言やスキャンダルにだけ元気になります。
極めて重要な、日銀の異次元緩和への質問は、いつも、当を得てい
ません。

スティグリッツは、以下を言いました。
(1)2016年の世界経済は、減速期に入った。

(2)日本は、2017年4月の消費税増税を避けるべきである。

(3)TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership
Agreement:環太平洋戦略的経済連携協定)、簡単に言うと「関税の
撤廃」は、間違った政策である。TPPが、米国の議会で批准(承
認)される見込みはない。日本政府も取り下げたほうがいい。

(注)TPPの件は、なぜか新聞では報じられません。賛成してきた
関係で、都合が悪いのかもしれません。TPPも事実上消えました。
米国抜きのTPPは、日本にとって意味がないからです。

安倍首相は、「リーマン危機や大震災級の危機が襲わない限り、消
費税は予定通り2%上げる」と国会と会見で言明しています。ひっ
こみがつかなくなっている首相は、スティグリッツとクルーグマン
に、消費税延期の見解を言わせたのです。

実際、異次元緩和が「需要と投資の増加」という効果を生まず、直
近の実質GDPはマイナスになっています。世帯所得が減る中で、消
費税の増税を強行すれば、不況を超える「準恐慌状態」を呈するで
しょう。延期(または廃止)は妥当です。世帯所得が増えないとき
の増税は、不可能なものです。

消費税を3%上げるなら、世帯所得は、5%は増えねばならない。
2014年の消費税増税後に、GDPの60%を占める家計消費が減少した
理由は、所得の5%の増加がなかったからです。

麻生財務大臣は、クルーグマンに「消費税増税のあと所費が低迷し
た理由は何か?」と、経済知識への不足が原因の質問をしています。
これははっきりしています。

世帯所得の増加がなかったからです。所得が増えない場合、「増税
で価格が上がった商品」の買う量を減らすしかない。世帯数の1/3
に増えた、年金生活者も、消費税増税があっても年金は上がってい
ません。このため買う量を減らしたのです。

円安で売価が2回、15%上がり、消費税も3%ついて、ほぼ20%価格
が上がったユニクロも、販売数が減っています。上がらない所得の
中で、価格が20%も上がれば、買わない人は増えるのが当然でしょ
う。(注)売上の減少に懲りたユニクロは、今日、値下げを発表し
ています(3月31日)。

総務省の家計収支の調査では、5300万世帯の実収入は前年比で2%
減っています(2016年2月)。推計では、20%の世帯が所得増、80
%所得減です。
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.htm

安倍首相は、昨日(3月29日)も「消費税は上げる」と言っていま
したが、参院選挙(16年7月)前には自民党の政策として、ぬるり
と「消費税延期」にするはずです。これがスティグリッツの役割で
した。

(注)万一上げるとしても、「食品の軽減税率の明細」が決まって
いない中では、コンピュータ・プログラムが間に合わず、17年4月
からの増税は物理的に実施できません。

そして次は、クルーグマンです。クルーグマンは、大型の補正予算
を使う財政出動をせよと言う。財政赤字が大きく、国債残が1034兆
円を超えた日本では、財政赤字を増やす財政出動はタブーですから、
クルーグマンに言わせて赤字予算に道をつけることが目的です。
(注)安倍内閣は発足時には、10年で200兆円の国土強靭化の公共
投資を行うと言っていましたが、2013年にはこれをひっこめたので
す。

クルーグマンは、マネタリスト説である異次元緩和の効果が出ない
ので、昨年11月から、ケインズ的な財政支出に転じています。

(注)行ってしまった異次元緩和の終息は、金利を上げて国債価格
を下げるので、財政破産にも至る大きな問題になります。これは別
に論じるべきです。異次元緩和は、効果がなくてもやめることがで
きない。

クルーグマンは、次のように述べています(2016年3月16日)。
https://www.gc.cuny.edu/CUNY_GC/media/LISCenter/pkrugman/Meeting-minutes-Krugman.pdf

政府は、財政赤字拡大のタブーを、クルーグマンに「日本は、数十
兆円の財政出動が必要だ」と言わせることによって、破ろうとして
います。7月の参院選前には、最低でも5兆円(GDPの1%)スケール
の補正予算を組むはずです。(注)10兆円ともいう。

内閣府が発表した2015年10〜12月のGDPは、実質でマイナス1.1%
(年率換算)というひどいものでした。物価上昇を入れた名目GDP
でも、年率でマイナス0.9%です。国民所得も同じだけ減り、消費
支出(名目)は年率で2%減っています。

この経済では、参議院選挙が戦えない。消費税を上げるどころでは
ない。マイナス金利という追加の金融緩和では効果はない。そこで、
財政出動です。

アベノミクスの中では、4半期の実質GDPが減少しても、「経済は、
基底では順調に回復している」と言うくらい、ねじ曲がってしまっ
ているのです。

人口が集まり、不動産が上がった東京の景気がいいだけです。海外
からの買いもあり、23区の平均的なマンション価格(5190万円:約
60平米:1平米単価87万円)は、1990年のバブル期の価格を超えて
います。
http://www.manen.jp/market/13/01/0/

(注)本稿は有料版と共通としていますが、一部に書き換えがあり
ます
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<819号:緊急時事テーマ:日銀の異次元緩和の失敗と政策変更>
         アベノミクスの転換
         2016年3月31日:

【目次】

1.クルーグマンの発言
2.リフレ策としての金融政策は、欧州でも無効になっている
3.日本政府が採るべきは、財政の拡張政策である
4.構造改革より財政拡張の時期
5.安倍首相の質問とクルーグマンの回答
6.日本政府の累積債務問題
7.日本政府は、財政出動に向かうだろう
【後記】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.クルーグマンの発言

政府の主要閣僚に対するクルーグマンの講演の原文を載せつつ訳し、
解釈します。今後の日本の経済政策になることが、ほぼ確定してい
ると思われるので、これは重要です。クルーグマンには政治的な発
言が多い。

(注)以下は、記者を退席させた上での講演内容です。<>は当方
のつたない翻訳です。例によって、クルーグマンの英語はとても難
しい。

<Monetary policy has been, in most places, the only game
in
town. It’s their line because fiscal policy has been
politically paralyzed. Here, less so, but still in fact, of
the three arrows by far the largest, so far has been
monetary. Mr. Kuroda has done most of the lifting here.

We are seeing the limits of monetary policy. We are seeing
that it becomes difficult when you try the unconventional
methods, we can argue this but it seems to be having
diminishing effect.

Negative interest rates, it is remarkable that that turns
out to be possible. I do think it was the right move to
make but it is very hard to push it further. The effects
are proving to be limited.(Krugman 16.03.16)>

(原文↓:日本政府の要請で、すぐに消されるかもしれません)
https://www.gc.cuny.edu/CUNY_GC/media/LISCenter/pkrugman/Meeting-minutes-Krugman.pdf

<マネー政策は、多くの国で、唯一の手段になっています。財政出
動は政治的に麻痺し、実行できないと異口同音に言われるからです。
日本ではそれほどではないでしょうが、ここでも、やはりそういっ
た面があります。政府の「3本の矢」のうち最大のものは、今まで
のところ金融緩和です。黒田総裁はこの金融緩和のほとんどを、実
行しました。

しかし我々がいま目にしつつあるのは、この金融政策の限界です。
非伝統的な政策(量的緩和)は試みることができ、議論もできます
が、
その効果が次第に減ってきていることを、われわれは目の当たりに
しているのです。

マイナスの金利も、それが可能とわかったことは驚くべきことです。
マイナス金利は正しいものであり、実行すべきものでした。しかし、
これ以上、それを押し進めることは難しい。限定的な効果しかない
ことが明らかになってきたからです(以上翻訳1)>

【解釈】
クルーグマンは有名になった論文、『流動性の罠(日本が陥った
罠)』で、日本に対して、「政府がインフレにするとコミットし
(国民のインフレ期待を高め)、その証拠としてマネーを増発する
こと」を説いています。

これが、2013年4月から日銀が実行した、「2年をめどに2%のイン
フレ目標を達成するため、ベース・マネーを2倍に増やす」という
異次元緩和でした。

(注)ベース・マネーは、現金+金融機関がもつ日銀当座預金です。
2016年3月20日で、発行現金95兆円、日銀が金融機関から預かって
いる当座預金が261兆円で、合計356兆円に増えています。日銀が買
って保有している国債は352兆円です。異次元緩和の開始の前は、
現金が83兆円、当座預金が58兆円、合計のベース・マネーは141兆
円でした。

日銀は3年間でベース・マネーを215兆円も増やしました。しかしイ
ンフレ効果は生じていません。200兆円以上のベース・マネーの増
加が、企業と世帯の預金であるマネー・ストック(=マネー・サプ
ライ)の増加につながっていないからです。銀行がもつ国債が日銀
当座預金に振り替わっているだけのことです。

このため、異次元緩和の、理論的な仕掛人のクルーグマンは、
2015年11月から、「金融政策だけでは、インフレ目標の達成は困
難」と言い始めました。15年11月11日号として、NYタイムズ紙の論
文を訳して紹介した<797号:失敗した異次元緩和が向かう決着点
(1)(2)>です。
http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/?_r=0

今回も、クルーグマンは、インフレ期待の醸成と金融緩和の政策だ
けでは、脱デフレを果たすことはできなかった。今後もできないと
述べています。マイナス金利にまでした金融緩和策も、インフレ効
果には限度があるということです。

もっとはっきり言えば「効果がなかった」ということです。あらゆ
る理論は、実証で検証されるしかない。マネーを増発した日本も欧
州もインフレにはなっていません。したがってリフレ策としてのマ
ネー増発策は、ごく限定的な効果しかなかった。

理由は、日本経済が、年間数十万人の生産年齢人口が減って行く人
口構造から潜在成長力(自然成長率)が1%や0%に下がる長期停滞
(Secular Stagnation)の状態にあるからです。自然成長率は、イ
ンフレにもデフレにもならない状態での、経済成長率です。

(注)GDP=1人当たり生産性×就労人口です。わが国のように生産
年齢人口が減ると、1人当たり生産性が高くならないと、GDPは0%
〜1%の減少に向かいます。これが、ラリー・サマーズが言う長期
停滞で(Secular Stagnation)です。
http://www.smtb.jp/others/report/economy/22_0.pdf

もし長期停滞でなかったら、インフレ宣言と金融緩和は、需要と投
資を増やして、リフレの効果を上げたでしょう。借り入れの投資で
のROI(期待純益/投資)のプラスが見込めたからです。実質GDPの
期待成長がゼロの場合、投資のROIが見込めません。

これが、企業が利益を現金で貯めている理由です。企業の内部留保
(主は預金)は、354兆円に増えています(2014年:金融・保険を
除く:法人企業統計)。260万社で1年に24兆円も増えたのです。

原因は、260万社合計では純益以下の投資しかしていないからです。
GDPの増加予想がなく、投資によるわが社の売り上げの増加予想も
低いため、全体では借り入れをすることがない。このため、リフレ
策である金融緩和の効果が出ない。金利をゼロやマイナスにしても
企業は借り入れでの設備投資を増やさないからです。

(注)ただしこの金融緩和は、株価と土地価格上昇には効果があり
ました。3大都市の商業地が上がり、東京ではマンション価格が、
少しですがバブル期を超えた価格になっています。しかしこれは、
金利が少し上がれば、下がる性格の価格上昇です。1980年代までの
ように世帯の住宅需要が増えているわけではないからです。

■2.リフレ策としての金融政策は、欧州でも無効になっている

<If we look elsewhere, if we look in Europe, despite
another very able essential banker, the ECB seems to be
losing traction. Here, as you know better than I, inflation
expectation seems to be fading. Wage growth is not what it
should be. We are seeing that the policy that has been the
principle lever for trying to deal with this global
weakness is not as effective as we had hoped and not as
effective perhaps as it seems to be recently. (Krugman
(2))>

<例えばヨーロッパに目を向けても、もう一人の有能な銀行家(ド
ラギ氏)がいるにもかかわらず、ECB(欧州中央銀行)は牽引力を
失いつつあります。皆さんがよく知っておられるように、欧州のイ
ンフレ期待(=インフレ予想)は、萎(しぼ)んでいます。賃金の
上昇もあるべき水準よりは低い。

われわれは今、世界的な経済の弱さに対処する、もっとも肝心なテ
コであるべき政策(金融緩和)も、過去に期待していた効果がない
こと、そして最近まで効果のように見えていたものすら失っている
のを、目の当たりにしつつあるのです。(翻訳2)>

コメントする必要はないでしょう。クルーグマンは、金利がゼロの
流動性の罠に陥った日本に、異次元緩和を勧めた張本人です。
異次元緩和が、リフレ策として失敗だったことをクルーグマンは述
べています。

ただし日銀と政府は、決して「異次元緩和」が効果を生んでいない
ことを認めません。認めれば、責任の追及を受け、政治的に不利な
位置に立つことになるからです。

■3.日本政府が採るべきは、財政の拡張政策である

金融政策が、リフレに効果がなかったので、クルーグマンは財政の
拡張をすすめる方向に姿勢をずらしています。

<Fiscal policy. Everything we have seen for the past seven
years suggests that fiscal policy remains effective,
especially effective in these circumstances. It has been
very difficult to apply it, a few years of bad debt,
political conflict, the Europe is divided among counties,
the United States is divided between parties, but fiscal
policy iseffective and the global environment right now is
one where economies really, really need fiscal support.
The idea that one should be prioritizing long-run budget issue
over fiscal support now seems to me to be extremely
misguided. Obviously I am talking about the consumptiontax
here.(Krugman(3)) >

<次は財政政策です。われわれは(リーマン危機の後の)過去7年
間、財政政策は有効であり続けていることを見続けてきました。と
りわけ、現在のような環境では有効です。
財政政策は、(リーマン危機後)数年間の大きな不良債券の中では、
米国では政党間の政治的な対立があり、欧州では国が分かたれてい
ることから、実行がとても難しいものでした。しかし、この財政政
策は有効です。現下の世界経済は、真底から財政政策を必要として
いるのです。
財政支援より長期の政府予算の問題を優先すべきだという考えは、
今は、まるで見当違いでしょう。私がここで言っているのは(まず
は)消費税のことです。(翻訳3)>

異次元緩和の金融政策が効果を生まなかったから、今度は財政政策
という風に、クルーグマンは主張をずらしています。

2011年3月の東日本大震災以来、政府は、復興予算として総額26兆
円(年間5兆円)を計上しています。GDPで言えば1年に5兆円(GDP比
1%)が、拡張財政になっています。

人手が必要な土木・建設事業が多いため、「復興特需」で建設業は
潤って、失業率は下がり、わが国の建築単価は上がっています(物
価の上昇)。復興需要がなかったら、わが国のGDPは、毎年1%は低
かったはずです。

財政支出は、このようにGDPの増加と物価の上昇に直接の効果をも
ちます。この財政拡張を、日本に行えと薦めるのが、『流動性の
罠』での金融緩和の主張を変えて、変身したクルーグマンです。

消費税の増税(2%)は、GDPに対してはほぼ5兆円分の、緊縮財政
に等しい。したがって、この消費税の増税をやめるべきだと言って
います。

■4.構造改革より財政拡張の時期

<Some other kinds of reform, the Abenomics, by expanding
the future labor force helps to offset the demographic
headwinds that the economies face. So all of that is good
but I do worry that sometimes the talk of structural reform
becomes an excuse not to deal with the primary immediate
issue of sufficient demand, of fighting deflation or low-
flation, inadequate inflation, which has got to rely on
monetary policy. But as I said, that has limits and fiscal
policy which needs to be more focused on that immediate
need than it has been (Krugman(4))>

<その他のアベノミクスの経済改革、例えば、(1億総活躍社会と
しての)将来の労働力の拡張は、日本経済が直面している人口の構
造問題を解消することになるかもしれません。それはそれで、いい
ことです。
しかし、私が不安に思うのは、この構造改革が言い訳になって、金
融政策にだけ依存して、デフレ(または低インフレ)と戦うための、
もっと肝心で直接的な、充分な需要を作ることを行わない言い訳に
なることです。

金融政策だけでは、ここまで申し上げてきたように、(インフレ効
果に)限界があります。今行うべきは、過去より、はるかに直接に
必要になった財政政策の実行です。(翻訳(3))>

スティグリッツは消費税増税の延期を言い、クルーグマンは増税の
延期(または解消)と、赤字財政の拡張を言っています。

■5.安倍首相の質問とクルーグマンの回答

クルーグマンの「果敢な財政出動に舵を切れ」という提言に対し、
安倍首相は累積債務問題を訊ねています。(注)安倍首相の発言は、
オフレコとされていますが、英語では公開されています。日本の記
者会見や国会でも言えばいいのにと思うようなことです。安倍首相
も米国に対しては、まともになるのかもしれませんね。

<(安倍首相)But we worry about the accumulated debt.
That is a source of another concern. What to do about it?
But Governor Kuroda took a policy to introduce negative
interest rates so that the 10year JGBs yield turns negative
at the moment.
So, we would like to take advantage of this situation and
Japan should come up with a fiscal spending. That is what
some of the people are saying right now within Japan. Do 
you have any view on this? Any observation on this point?>

<(安倍首相)しかし、私どもは、政府の累積債務の問題を心配し
ています。これが(消費税の増税を停止することの)不安の源です。
これについて、どうすべきでしょうか。黒田日銀総裁は、現在、
10年物国債の金利を、マイナスに導く政策を導入しました。われわ
れは、マイナス金利という状況を利用して、財政支出の拡大を図る
べきかも知れません。日本でも、一部の人が言っていることです。
これについて、ご意見ないし見解をお持ちでしょうか?(翻訳
(4))>

安倍首相は、消費税の増税を停止して財政赤字と国債発行を増やす
財政拡張をすれば、政府の累積債務の問題はどうなるだろうかと質
問しています。クルーグマンの回答は、以下です。

<(クルーグマンの回答)Third point I would make is that
the concerns about the debt, I don’t want to wave away 
entirely but one thing we have learned from Japan but also
from other advanced countries is that stable advanced
nations that borrow in their own currencies have a very
long road for them to have a fiscal crisis. People have
been betting against JGBs since about 2000. All of them
have suffered financial disaster. The robustness of the 
market is very strong. It is even hard to tell a story. If
someone says Japan would belike Greece, tell me how that
happens.(Krugman(5))>

<3番目に、政府債務の懸念についてです。私は、この問題を完全
に無視はしません。しかし、われわれが日本と他の先進国の事例か
ら学んだのは、安定した先進国で、政府が自国のマネーで借り入れ
をしている場合、財政危機に至るには、非常に長い道のりがあると
いうことです。

2000年から日本国債の下落(=金利の上昇)に賭ける人々もいまし
た。それらの人は全員、破産を蒙っています。(日本の)国債市場
は非常に頑健です。円国債の暴落というシナリオは、言葉上でいう
のも難しい。日本がギリシアのようになると言うのなら、どうした
らそうなるのかと聞きたいくらいです。(翻訳5)>

クルーグマンは、従来から「自国のマネーでの、先進国の負債は、
何ら問題ない」と言い続けています。日銀がマネーを増発すれば、
それで足りるからだという。「政府が自国のマネーで借り入れをし
ている場合は、財政危機に至るには、非常に長い道のりがある」と
いうのがこれです。

果たしてクルーグマンの言う通りか? 当方は、異なる見解をもっ
ています。ここでは、その理由を短くまとめて示します。

■6.日本政府の累積債務問題

(1)国債の大きさ:
日本の国債は1034兆円とGDPの2倍です。海外が100兆円、日銀が
352兆円、国内の金融機関がほぼ600兆円を持っています。GDPに対
する財政赤字も、先進国で最大の6%〜8%なので、年間で30〜40兆
円増加し続けます。

(2)金利の低さ:
現在の、10年債以下の金利はマイナスなので、平均金利を0%とし
ます。

(3)インフレと金利:
政府が、国債を増発し、財政出動をして、その結果、クルーグマン
が言うように物価が、恒常的に2%上がるようになったとします。
金利の均衡点は〔長期金利≒実質GDP成長率+期待インフレ率〕、
です。

財政出動で、実質GDPが2%増、インフレ期待が2%になると、長期
金利は、4%に向かって上がります。日銀は金利を抑える役割を果
たすので、長期金利が3%になったとします。

(3)金利ゼロの、1034兆円の既発国債の価格は、以下のように下
落します。平均残存期間を7年とします。

1034×(1+0%×7年)÷(1+期待金利3%×7年)
=1034÷1.21=845兆円

つまり、1034兆円の国債の流通価格が845兆円へと、189兆円も下落
します。こうした金利上昇の気配が見えると、金融機関は手持ち国
債を、先を争って売るようになります。

売られる国債価格は(日銀が買っても)一層下落し、金利は3%以
上に、相当に急激に上がるようになります。クルーグマンが言う
「頑健な国債市場」は、金利上昇で、ずぶずぶになるでしょう。

(注)マイナス金利の現在、円の金利が0.5%に上がるだけでも、
国債をもつ金融機関は、パニックになるでしょう。

金利の上昇(=国債価格の下落)を止めようとして、日銀が売られ
る国債を全部買い受けた場合、ごく短期間で、1034兆円の国債が日
銀所有になります。

日銀は、国債の所有で200兆円近い損失を蒙って、完全な債務超過
になります。これは円の、通貨としての国際的な信用を落とすため
円売りが起こり、為替は、急速に大きな円安になります。

円安とは、「ドル買い/円売り」であり、円が海外にキャピタルフ
ライトすることです。大きな円安は、円の金利を上げる働きをしま
す。

(4)国債を日銀に売ってしまった金融機関は、日銀当座預金に、
1000兆円近い、ゼロ金利のマネーを置くことになります。

この場合、金融機関は、日銀当座に預けるゼロ金利の資金を、ドル
やユーロに変換するでしょう。円を持てば、損をするからです。こ
こからも大きな円安に向かいます。(注)ゼロ金利では、収益ゼロ
で経費のみが出る銀行は、成り立ちません。

(5)政府が新規に発行する国債の利は3%に向かって上がります。
毎年、政府は170兆円くらいの借り換えと新規発行があるので、政
府の利払いは、ほぼ5年で、〔170兆円×5×3%=25.5兆円〕になり
ます。

現在の利払いは10兆円程度であり、とても少ない(平均金利1%)。
これが、利払いだけの要素で15.5兆円の財政赤字として増えます。
毎年、数兆円ずつ増えていくのです。利払いのための国債の増加発
行が必要になり、毎年の新規発行が70兆円くらいに上がります。

以上のような事態です。政府の債務がGDPの200%を超えて、しかも
経済成長率が低い日本は、財政出動でインフレになって、金利が上
がるという事態に対して耐久性がないのです。

実質経済成長が5%以上なら、税収も増えるので耐久性があります。
しかし日本経済の実質成長は、高くても2%でしかない。普通の状
態では1%です。クルーグマンは、金融の超緩和と同時に財政出動
をしても低い、日本経済の成長率を無視しています。

加えて、クルーグマンは、期待インフレ率、通貨、及び金利の関係
をどう考えているのでしょう。物価が上がるようになって、人々の
期待インフレが2%に上がって、市場の期待金利が0%のままという
ことは、ありえないことだからです。(注)物価連動債で見る現在
の期待インフレ率は0.3%程度と低い。このため国債の金利が低い。
http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html

増発マネーが日銀当座預金に滞留する金融緩和とは違い、財政出動
では、それが、毎年、10兆円規模に膨らめば、実質GDPを10兆円は
増やすとともに、2%のインフレに向かうでしょう。

そして、インフレになれば、金融市場の期待金利は上がり、国債価
格は下落します。以上のような事態は考慮の外に置き、クルーグマ
ンは以下のように言っています。

<But whatever the number is, you need to achieve that.
Compare with that goal what the budget balance is over the
next two or three years is of much less importance.・・・
I would say, this is not a time to be worried about the
fiscal balance.(Krugman(6))>

<(インフレの数字がいくつであれ)、インフレ目標を達成せねば
なりません。このインフレ目標の達成と比較するなら、次の2年、
3年の財政収支がどうであるかの重要性は、はるかに低い。今は、
財政のバランスを案じる時期ではありません。(翻訳6)>

■7.日本政府は、財政出動に向かうだろう

こうしたことから、以下のように判断します。内閣の発足前から、
アメリカから言われたことは、安倍政権は実行してきたからです。
直接には、浜田宏一氏がつなぎ役を果たして呼んだ、スティグリッ
ツとクルーグマンは米国政府の代理だったのでしょう。(注)ステ
ィグリッツやクルーグマン氏は世界の政府から、頻繁に招へいを受
けています。

(1)2017年4月の消費税増税は、ほぼ完全に消えました。
(2)政府は、7月の参議院選所前に、財務省の反対で少ない場合は
5兆円、多い場合は10兆円の補正予算を組み、財政出動に乗り出す。

中身は、土木・建設、子育て支援、待機児童解消の保育園建設、商
品券、旅行券でしょうか。いずれも、財政赤字と新規国債発行を増
やす「バラマキ」です。補正予算の対象は、構造的になる年金や医
療費予算の増加ではない。

安倍内閣は、参議院選挙で、憲法改正(中心は9条)に必要な2/3を
得るために、経済と株価を道具にします。

しかしインフレ目標の達成には1年では足りません。最低でも3年必
要です。3年の拡張財政をどう正当化するか、です。1年の打ち上げ
花火で終わるかもしれません。

日銀の異次元緩和と同様、財政出動も、「いつかは終わらねばなら
ない」ため、終わるべき時に、問題を生みます。

こうした曲折を経て、2018年ころの財政破産(=金利上昇)に向か
っていくのでしょう(最高に遅い場合2020年か)。2015年と見てい
いましたが、日銀の異次元緩和で、3年くらい先に延びた感じです。

【後記】
今週は、金価格が下がっています。3月22日は$1257(31.1g)で
あり、3月30日は$1241です。理由は、簡単です。

FRBのイエレン議長が、2016年4月のFOMC(連邦公開市場委員会)で
〔0.25%の利上げ〕をするとほのめかしているからです。短期の 
金価格は、ドル金利が上がると、下がります。

ただし4月には利上げしない、6月だという観測もあります。
当方、米国の経済はいいとは言えないので、利上げは遠のくとみて
います。


4. 2016年4月03日 20:59:10 : 6jC6Ok4X3M : r9HiorRuc1w[219]
黒田は自分の政策が日銀の信頼と財務基盤も毀損していることを、どう思っているんだろう、このまま緩和策を継続すれば日本円は日銀に積み上がった日本国債で担保することになるのか、自国通貨と国債の価値の崩壊になり、スーパーインフレが起こらないと現状が理解出来ないのだろうな。

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