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為替相場めぐり日米“さや当て” 財務相牽制も円の先高観根強く(SankeiBiz)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/365.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 09 日 22:16:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

為替相場めぐり日米“さや当て” 財務相牽制も円の先高観根強く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160408-00000004-fsi-bus_all
SankeiBiz 4月9日(土)8時15分配信


 為替相場をめぐり日米の当局者が“さや当て”を演じた。麻生太郎財務相は8日の閣議後会見で、急激な円高を牽制(けんせい)。一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は7日、2014年以降のドル高はまだ解消されていないとの認識を示唆した。8日の東京外国為替市場では、麻生財務相の発言をきっかけに円高が一服したが、円の先高観は依然根強く、予断を許さない展開が続きそうだ。

 7日のニューヨーク市場で円相場は一時1ドル=107円67銭まで急伸し、今週に入り4円近くも円高が進んだ。麻生財務相は8日の会見で「足元の為替相場は一方向に偏った動きがみられている。場合によっては必要な措置を取る」などと発言。8日の東京市場では円売り介入への警戒感から一時1ドル=109円10銭まで円安方向に戻した。

 一方、FRBのイエレン議長は7日の討論会で「ドル高が米経済の重荷になっている」とし、ドル高はまだ解消されていないとの認識を示唆。「米景気は拡大軌道に乗っている」とも話し、緩やかに利上げを進めていく考えも強調した。ただ、8日の外国為替市場では、最近の講演などで出ている内容で新味に欠けるとして反応は限られた。

 急激な円高は「小休止」となったが、米国が追加利上げを急がないとの観測は変わっておらず、円高圧力は続きそうだ。また、主要産油国は増産凍結に向けて17日にカタールで会合を開くが、何も合意できなければ原油相場が大幅下落し、投資家がリスク回避に動いて円高が進む恐れがある。

 節目の1ドル=110円を割り込んだことで、市場関係者の間では次の照準として「1ドル=105〜106円近辺」(みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジスト)との見方がある。

 SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストの試算では、円が対ドルで1円上昇すると、東証1部上場約1800社の経常利益は4000億円減るという。1ドル=105円まで円高が進めば、昨年末からの円の上昇幅は約15円に達し、約6兆円の減益になる計算で、企業が設備投資や賃上げに及び腰になり、実体経済に悪影響が生じかねない。

 

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コメント
 
1. 2016年4月10日 00:17:10 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[324]
クルーグマンと安倍首相の議事録『Meeting with Japanese officials』を読む=吉田繁治

From 首相官邸ホームページ | Wikimedia Commons
クルーグマンと安倍首相の議事録『Meeting with Japanese officials』を読む=吉田繁治
2016年4月3日ニュース

政府は米国のノーベル賞経済学者、スティグリッツとグルーグマンを招き、日本がとるべき経済政策を「進言させて」います。させているというのは、意図的だからです。(『ビジネス知識源』吉田繁治)
【関連】排ガス不正問題で揺れるフォルクスワーゲンの“見逃せない強み”=栫井駿介
日銀の異次元緩和失敗と政策変更、アベノミクスの転換
著名経済学者に「消費税延期」を言わせた安倍首相
異次元緩和と称したリフレ策の開始後、ちょうど3年経ちました(2013年4月〜)。2年で2%のインフレ目標と、名目GDPの成長を3.5%から4%に上げるというリフレ策は、ほぼ完全に失敗しています。
スティグリッツは、以下を言いました。
(1)2016年の世界経済は、減速期に入った
(2)日本は、2017年4月の消費税増税を避けるべきである
(3)TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement:環太平洋戦略的経済連携協定)、簡単に言うと「関税の撤廃」は、間違った政策である。TPPが、米国の議会で批准(承認)される見込みはない。日本政府も取り下げたほうがいい
安倍首相は、「リーマン危機や大震災級の危機が襲わない限り、消費税は予定通り2%上げる」と国会と会見で言明しています。ひっこみがつかなくなっている首相は、スティグリッツとクルーグマンに、消費税延期の見解を言わせたのです。
そして次は、クルーグマンです。クルーグマンは、大型の補正予算を使う財政出動をせよと言う。財政赤字が大きく、国債残が1034兆円を超えた日本では、財政赤字を増やす財政出動はタブーですから、クルーグマンに言わせて赤字予算に道をつけることが目的です。
クルーグマンは、マネタリスト説である異次元緩和の効果が出ないので、昨年11月から、ケインズ的な財政支出に転じています。
クルーグマンは、次のように述べています(2016年3月16日)。
※Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
政府は、財政赤字拡大のタブーを、クルーグマンに「日本は、数十兆円の財政出動が必要だ」と言わせることによって破ろうとしています。7月の参院選前には、最低でも5兆円(GDPの1%)〜10兆円スケールの補正予算を組むはずです。
クルーグマンの発言
政府の主要閣僚に対するクルーグマンの講演の原文を載せつつ訳し、解釈します。今後の日本の経済政策になることがほぼ確定していると思われるので、これは重要です。クルーグマンには政治的な発言が多い。
以下は、記者を退席させた上での講演内容です。日本語は当方のつたない翻訳です。例によって、クルーグマンの英語はとても難しい。
Monetary policy has been, in most places, the only game in town. It’s their line because fiscal policy has been politically paralyzed. Here, less so, but still in fact, of the three arrows by far the largest, so far has been monetary. Mr. Kuroda has done most of the lifting here.
We are seeing the limits of monetary policy. We are seeing that it becomes difficult when you try the unconventional methods, we can argue this but it seems to be having diminishing effect.
Negative interest rates, it is remarkable that that turns out to be possible. I do think it was the right move to make but it is very hard to push it further. The effects are proving to be limited.(1)
マネー政策は、多くの国で、唯一の手段になっています。財政出動は政治的に麻痺し、実行できないと異口同音に言われるからです。日本ではそれほどではないでしょうが、ここでも、やはりそういった面があります。政府の「3本の矢」のうち最大のものは、今までのところ金融緩和です。黒田総裁はこの金融緩和のほとんどを、実行しました。
しかし我々がいま目にしつつあるのは、この金融政策の限界です。非伝統的な政策(量的緩和)は試みることができ、議論もできますが、その効果が次第に減ってきていることを、われわれは目の当たりにしているのです。
マイナスの金利も、それが可能とわかったことは驚くべきことです。マイナス金利は正しいものであり、実行すべきものでした。しかし、これ以上、それを押し進めることは難しい。限定的な効果しかないことが明らかになってきたからです<翻訳(1)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
クルーグマンは有名になった論文『流動性の罠(日本が陥った罠)』で、日本に対して、「政府がインフレにするとコミットし(国民のインフレ期待を高め)、その証拠としてマネーを増発すること」を説いています。
これが、2013年4月から日銀が実行した、「2年をめどに2%のインフレ目標を達成するため、ベース・マネーを2倍に増やす」という異次元緩和でした。
ベース・マネーは、現金+金融機関がもつ日銀当座預金です。2016年3月20日で、発行現金95兆円、日銀が金融機関から預かっている当座預金が261兆円で、合計356兆円に増えています。日銀が買って保有している国債は352兆円です。異次元緩和の開始の前は、現金が83兆円、当座預金が58兆円、合計のベース・マネーは141兆円でした。
日銀は3年間でベース・マネーを215兆円も増やしました。しかしインフレ効果は生じていません。200兆円以上のベース・マネーの増加が、企業と世帯の預金であるマネー・ストック(=マネー・サプライ)の増加につながっていないからです。銀行がもつ国債が日銀当座預金に振り替わっているだけのことです。
このため、異次元緩和の理論的な仕掛人のクルーグマンは、2015年11月から、「金融政策だけでは、インフレ目標の達成は困難」と言い始めました。
※Rethinking Japan – The New York Times
※異次元緩和は失敗だった。クルーグマンの『Rethinking Japan』を読む=吉田繁治
今回も、クルーグマンは、インフレ期待の醸成と金融緩和の政策だけでは、脱デフレを果たすことはできなかった。今後もできないと述べています。マイナス金利にまでした金融緩和策も、インフレ効果には限度があるということです。
もっとはっきり言えば「効果がなかった」ということです。あらゆる理論は、実証で検証されるしかない。マネーを増発した日本も欧州もインフレにはなっていません。したがってリフレ策としてのマネー増発策は、ごく限定的な効果しかなかった。
理由は、日本経済が、年間数十万人の生産年齢人口が減っていく人口構造から、潜在成長力(自然成長率)が1%や0%に下がる長期停滞(Secular Stagnation)の状態にあるからです。自然成長率は、インフレにもデフレにもならない状態での、経済成長率です。
(注)GDP=1人当たり生産性×就労人口です。わが国のように生産年齢人口が減ると、1人当たり生産性が高くならないと、GDPは0%〜1%の減少に向かいます。これが、ラリー・サマーズが言う長期停滞で(Secular Stagnation)です
※サマーズ氏の「長期停滞論」 – 三井住友信託銀行 調査月報 2014年2月号[PDF]
もし長期停滞でなかったら、インフレ宣言と金融緩和は、需要と投資を増やして、リフレの効果を上げたでしょう。借り入れの投資でのROI(期待純益/投資)のプラスが見込めたからです。実質GDPの期待成長がゼロの場合、投資のROIが見込めません。
これが、企業が利益を現金で貯めている理由です。企業の内部留保(主は預金)は、354兆円に増えています(2014年:金融・保険を除く:法人企業統計)。260万社で1年に24兆円も増えたのです。
原因は、260万社合計では純益以下の投資しかしていないからです。GDPの増加予想がなく、投資によるわが社の売り上げの増加予想も低いため、全体では借り入れをすることがない。このため、リフレ策である金融緩和の効果が出ない。金利をゼロやマイナスにしても企業は借り入れでの設備投資を増やさないからです。
ただしこの金融緩和は、株価と土地価格上昇には効果がありました。3大都市の商業地が上がり、東京ではマンション価格が、少しですがバブル期を超えた価格になっています。しかしこれは、金利が少し上がれば、下がる性格の価格上昇です。1980年代までのように世帯の住宅需要が増えているわけではないからです。

Next: 金融政策は欧州でも無効/日本政府が採るべきは財政の拡張政策
リフレ策としての金融政策は、欧州でも無効になっている
If we look elsewhere, if we look in Europe, despite another very able essential banker, the ECB seems to be losing traction. Here, as you know better than I, inflation expectation seems to be fading. Wage growth is not what it should be. We are seeing that the policy that has been the principle lever for trying to deal with this global weakness is not as effective as we had hoped and not as effective perhaps as it seems to be recently.(2)
例えばヨーロッパに目を向けても、もう一人の有能な銀行家(ドラギ氏)がいるにもかかわらず、ECB(欧州中央銀行)は牽引力を失いつつあります。皆さんがよく知っておられるように、欧州のインフレ期待(=インフレ予想)は、萎(しぼ)んでいます。賃金の上昇もあるべき水準よりは低い。
われわれは今、世界的な経済の弱さに対処する、もっとも肝心なテコであるべき政策(金融緩和)も、過去に期待していた効果がないこと、そして最近まで効果のように見えていたものすら失っているのを、目の当たりにしつつあるのです。<翻訳(2)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
コメントする必要はないでしょう。クルーグマンは、金利がゼロの流動性の罠に陥った日本に異次元緩和を勧めた張本人です。異次元緩和が、リフレ策として失敗だったことをクルーグマンは述べています。
ただし日銀と政府は、決して「異次元緩和」が効果を生んでいないことを認めません。認めれば、責任の追及を受け、政治的に不利な位置に立つことになるからです。
日本政府が採るべきは、財政の拡張政策である
Fiscal policy. Everything we have seen for the past seven years suggests that fiscal policy remains effective, especially effective in these circumstances. It has been very difficult to apply it, a few years of bad debt, political conflict, the Europe is divided among counties, the United States is divided between parties, but fiscal policy iseffective and the global environment right now is one where economies really, really need fiscal support. The idea that one should be prioritizing long-run budget issue over fiscal support now seems to me to be extremely misguided. Obviously I am talking about the consumptiontax here.(3)
次は財政政策です。われわれは(リーマン危機の後の)過去7年間、財政政策は有効であり続けていることを見続けてきました。とりわけ、現在のような環境では有効です。財政政策は、(リーマン危機後)数年間の大きな不良債券の中では、米国では政党間の政治的な対立があり、欧州では国が分かたれていることから、実行がとても難しいものでした。しかし、この財政政策は有効です。現下の世界経済は、真底から財政政策を必要としているのです。財政支援より長期の政府予算の問題を優先すべきだという考えは、今は、まるで見当違いでしょう。私がここで言っているのは(まずは)消費税のことです。<翻訳(3)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
異次元緩和の金融政策が効果を生まなかったから、今度は財政政策という風に、クルーグマンは主張をずらしています。
2011年3月の東日本大震災以来、政府は、復興予算として総額26兆円(年間5兆円)を計上しています。GDPで言えば1年に5兆円(GDP比1%)が、拡張財政になっています。
人手が必要な土木・建設事業が多いため、「復興特需」で建設業は潤って、失業率は下がり、わが国の建築単価は上がっています(物価の上昇)。復興需要がなかったら、わが国のGDPは、毎年1%は低かったはずです。
財政支出は、このようにGDPの増加と物価の上昇に直接の効果をもちます。この財政拡張を日本に行えと薦めるのが、『流動性の罠』での金融緩和の主張を変えて、変身したクルーグマンです。
消費税の増税(2%)は、GDPに対してはほぼ5兆円分の緊縮財政に等しい。したがって、この消費税の増税をやめるべきだと言っています。
Next: 構造改革より財政拡張の時期/安倍首相の質問とクルーグマンの回答

構造改革より財政拡張の時期
Some other kinds of reform, the Abenomics, by expanding the future labor force helps to offset the demographic headwinds that the economies face. So all of that is good but I do worry that sometimes the talk of structural reform becomes an excuse not to deal with the primary immediate issue of sufficient demand, of fighting deflation or low-flation, inadequate inflation, which has got to rely on monetary policy. But as I said, that has limits and fiscal policy which needs to be more focused on that immediate need than it has been.(4)
その他のアベノミクスの経済改革、例えば、(1億総活躍社会としての)将来の労働力の拡張は、日本経済が直面している人口の構造問題を解消することになるかもしれません。それはそれで、いいことです。しかし、私が不安に思うのは、この構造改革が言い訳になって、金融政策にだけ依存して、デフレ(または低インフレ)と戦うための、もっと肝心で直接的な、充分な需要を作ることを行わない言い訳になることです。
金融政策だけでは、ここまで申し上げてきたように、(インフレ効果に)限界があります。今行うべきは、過去より、はるかに直接に必要になった財政政策の実行です。<翻訳(4)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
スティグリッツは消費税増税の延期を言い、クルーグマンは増税の延期(または解消)と、赤字財政の拡張を言っています。
安倍首相の質問とクルーグマンの回答
クルーグマンの「果敢な財政出動に舵を切れ」という提言に対し、安倍首相は累積債務問題を訊ねています。
(注)安倍首相の発言は、オフレコとされていますが、英語では公開されています。日本の記者会見や国会でも言えばいいのにと思うようなことです。安倍首相も米国に対しては、まともになるのかもしれませんね
But we worry about the accumulated debt. That is a source of another concern. What to do about it? But Governor Kuroda took a policy to introduce negative interest rates so that the 10year JGBs yield turns negative at the moment. So, we would like to take advantage of this situation and Japan should come up with a fiscal spending. That is what some of the people are saying right now within Japan. Do you have any view on this? Any observation on this point?(5)
(安倍首相)しかし、私どもは、政府の累積債務の問題を心配しています。これが(消費税の増税を停止することの)不安の源です。これについて、どうすべきでしょうか。黒田日銀総裁は、現在、10年物国債の金利を、マイナスに導く政策を導入しました。われわれは、マイナス金利という状況を利用して、財政支出の拡大を図るべきかも知れません。日本でも、一部の人が言っていることです。これについて、ご意見ないし見解をお持ちでしょうか?<翻訳(5)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
安倍首相は、消費税の増税を停止して財政赤字と国債発行を増やす財政拡張をすれば、政府の累積債務の問題はどうなるだろうかと質問しています。クルーグマンの回答は、以下です。
Third point I would make is that the concerns about the debt, I don’t want to wave away entirely but one thing we have learned from Japan but also from other advanced countries is that stable advanced nations that borrow in their own currencies have a very long road for them to have a fiscal crisis. People have
been betting against JGBs since about 2000. All of them have suffered financial disaster. The robustness of the market is very strong. It is even hard to tell a story. If someone says Japan would belike Greece, tell me how that
happens.(6)
(クルーグマン)3番目に、政府債務の懸念についてです。私は、この問題を完全に無視はしません。しかし、われわれが日本と他の先進国の事例から学んだのは、安定した先進国で、政府が自国のマネーで借り入れをしている場合、財政危機に至るには、非常に長い道のりがあるということです。
2000年から日本国債の下落(=金利の上昇)に賭ける人々もいました。それらの人は全員、破産を蒙っています。(日本の)国債市場は非常に頑健です。円国債の暴落というシナリオは、言葉上でいうのも難しい。日本がギリシアのようになると言うのなら、どうしたらそうなるのかと聞きたいくらいです。<翻訳(6)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
クルーグマンは、従来から「自国のマネーでの先進国の負債は、何ら問題ない」と言い続けています。日銀がマネーを増発すれば、それで足りるからだという。「政府が自国のマネーで借り入れをしている場合は、財政危機に至るには、非常に長い道のりがある」というのがこれです。
果たしてクルーグマンの言う通りか?当方は異なる見解をもっています。ここでは、その理由を短くまとめて示します。
Next: 日本政府の累積債務問題を考える

日本政府の累積債務問題を考える
(1)国債の大きさ
日本の国債は1034兆円とGDPの2倍です。海外が100兆円、日銀が352兆円、国内の金融機関がほぼ600兆円を持っています。GDPに対する財政赤字も、先進国で最大の6%〜8%なので、年間で30〜40兆円増加し続けます。
(2)金利の低さ
現在の、10年債以下の金利はマイナスなので、平均金利を0%とします。
(3)インフレと金利
政府が、国債を増発し、財政出動をして、その結果、クルーグマンが言うように物価が、恒常的に2%上がるようになったとします。金利の均衡点は〔長期金利≒実質GDP成長率+期待インフレ率〕、です。
財政出動で、実質GDPが2%増、インフレ期待が2%になると、長期金利は、4%に向かって上がります。日銀は金利を抑える役割を果たすので、長期金利が3%になったとします。
(3)金利ゼロの、1034兆円の既発国債の価格は、以下のように下落します。平均残存期間を7年とします。
1034×(1+0%×7年)÷(1+期待金利3%×7年)=1034÷1.21=845兆円
つまり、1034兆円の国債の流通価格が845兆円へと、189兆円も下落します。こうした金利上昇の気配が見えると、金融機関は手持ち国債を、先を争って売るようになります。
売られる国債価格は(日銀が買っても)一層下落し、金利は3%以上に、相当に急激に上がるようになります。クルーグマンが言う「頑健な国債市場」は、金利上昇で、ずぶずぶになるでしょう。
(注)マイナス金利の現在、円の金利が0.5%に上がるだけでも、国債をもつ金融機関は、パニックになるでしょう
金利の上昇(=国債価格の下落)を止めようとして、日銀が売られる国債を全部買い受けた場合、ごく短期間で、1034兆円の国債が日銀所有になります。
日銀は、国債の所有で200兆円近い損失を蒙って、完全な債務超過になります。これは円の、通貨としての国際的な信用を落とすため円売りが起こり、為替は、急速に大きな円安になります。
円安とは、「ドル買い/円売り」であり、円が海外にキャピタルフライトすることです。大きな円安は、円の金利を上げる働きをします。
(4)
国債を日銀に売ってしまった金融機関は、日銀当座預金に、1000兆円近い、ゼロ金利のマネーを置くことになります。
この場合、金融機関は、日銀当座に預けるゼロ金利の資金を、ドルやユーロに変換するでしょう。円を持てば、損をするからです。ここからも大きな円安に向かいます。(注)ゼロ金利では、収益ゼロで経費のみが出る銀行は、成り立ちません。
(5)
政府が新規に発行する国債の利は3%に向かって上がります。毎年、政府は170兆円くらいの借り換えと新規発行があるので、政府の利払いは、ほぼ5年で、〔170兆円×5×3%=25.5兆円〕になります。
現在の利払いは10兆円程度であり、とても少ない(平均金利1%)。これが、利払いだけの要素で15.5兆円の財政赤字として増えます。毎年、数兆円ずつ増えていくのです。利払いのための国債の増加発行が必要になり、毎年の新規発行が70兆円くらいに上がります。
以上のような事態です。政府の債務がGDPの200%を超えて、しかも経済成長率が低い日本は、財政出動でインフレになって、金利が上がるという事態に対して耐久性がないのです。
実質経済成長が5%以上なら、税収も増えるので耐久性があります。しかし日本経済の実質成長は、高くても2%でしかない。普通の状態では1%です。クルーグマンは、金融の超緩和と同時に財政出動をしても低い、日本経済の成長率を無視しています。
加えて、クルーグマンは、期待インフレ率、通貨、及び金利の関係をどう考えているのでしょう。物価が上がるようになって、人々の期待インフレが2%に上がって、市場の期待金利が0%のままということは、ありえないことだからです。
(注)物価連動債で見る現在の期待インフレ率は0.3%程度と低い。このため国債の金利が低い
※ブレーク・イーブン・インフレ率(BEIの推移) – 日本相互証券
増発マネーが日銀当座預金に滞留する金融緩和とは違い、財政出動では、それが、毎年、10兆円規模に膨らめば、実質GDPを10兆円は増やすとともに、2%のインフレに向かうでしょう。
そして、インフレになれば、金融市場の期待金利は上がり、国債価格は下落します。以上のような事態は考慮の外に置き、クルーグマンは以下のように言っています。
But whatever the number is, you need to achieve that. Compare with that goal what the budget balance is over the next two or three years is of much less importance. ・・・ I would say, this is not a time to be worried about the fiscal balance.(7)
(インフレの数字がいくつであれ)、インフレ目標を達成せねばなりません。このインフレ目標の達成と比較するなら、次の2年、3年の財政収支がどうであるかの重要性は、はるかに低い。今は、財政のバランスを案じる時期ではありません。<翻訳(7)>
出典:Paul Krugman: Meeting with Japanese officials, 22/3/16 [PDF]
Next: 【結論】財政出動に向かう日本の懸念点〜2018-2020年危機へ

【結論】財政出動に向かう日本の懸念点〜2018-2020年危機へ
こうしたことから、以下のように判断します。内閣の発足前から、アメリカから言われたことは、安倍政権は実行してきたからです。
直接には、浜田宏一氏がつなぎ役を果たして呼んだ、スティグリッツとクルーグマンは米国政府の代理だったのでしょう。
(注)スティグリッツやクルーグマン氏は世界の政府から、頻繁に招へいを受けています
1. 2017年4月の消費税増税は、ほぼ完全に消えた
2. 政府は、7月の参議院選所前に、財務省の反対で少ない場合は5兆円、多い場合は10兆円の補正予算を組み、財政出動に乗り出す
中身は、土木・建設、子育て支援、待機児童解消の保育園建設、商品券、旅行券でしょうか。いずれも、財政赤字と新規国債発行を増やす「バラマキ」です。補正予算の対象は、構造的になる年金や医療費予算の増加ではない。
安倍内閣は参議院選挙で、憲法改正(中心は9条)に必要な2/3を得るために、経済と株価を道具にします。
しかしインフレ目標の達成には1年では足りません。最低でも3年必要です。3年の拡張財政をどう正当化するか、です。1年の打ち上げ花火で終わるかもしれません。
日銀の異次元緩和と同様、財政出動も、「いつかは終わらねばならない」ため、終わるべき時に、問題を生みます。
こうした曲折を経て、2018年ころの財政破産(=金利上昇)に向かっていくのでしょう(最高に遅い場合2020年か)。2015年と見ていいましたが、日銀の異次元緩和で、3年くらい先に延びた感じです。
【関連】日本財政の臨界点。我が国のバランスシートが示す「2020年危機」=吉田繁治
『ビジネス知識源:経営の成功原理と実践原則』(2015年3月31日号)より一部抜粋、再構
http://www.mag2.com/p/money/9213/2

Rethinking Japan
OCTOBER 20, 2015 9:11 AM October 20, 2015 9:11 am 120 Comments
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The IMF held a small roundtable discussion on Japan yesterday, and in preparation for the event I thought it was a good idea to update my discussion of Japan – not so much about the question of whether Abenomics is working / will work (unclear, don’t know) as about the current nature of the Japanese problem.
It’s a bit self-centered, but I find it useful to approach this subject by asking how I would change what I said in my 1998 paper on the liquidity trap. Hey, it was one of my best papers; and it has held up pretty well in many respects. But Japan and the world look different now, and trying to pin down that difference may help clarify matters.
It seems to me that there are two crucial differences between then and now. First, the immediate economic problem is no longer one of boosting a depressed economy, but instead one of weaning the economy off fiscal support. Second, the problem confronting monetary policy is harder than it seemed, because demand weakness looks like an essentially permanent condition.
The weaning issue
Back in 1998 Japan was in the midst of its lost decade: while it hadn’t suffered a severe slump, it had stagnated long enough that there was good reason to believe that it was operating far below potential output.
This is, however, no longer the case. Japan has grown slowly for the past quarter century, but a lot of that is demography. Output per working-age adult has grown faster than in the United States since around 2000, and at this point the 25-year growth rates look similar (and Japan has done better than Europe):
Photo

Credit
You can even make a pretty good case that Japan is closer to potential output than we are. So if Japan isn’t deeply depressed at this point, why is low inflation/deflation a problem?
The answer, I would suggest, is largely fiscal. Japan’s relatively healthy output and employment levels depend on continuing fiscal support. Japan is still, after all these years, running large budget deficits, which in a slow-growth economy means an ever-rising debt/GDP ratio:
Photo

Credit
So far this hasn’t caused any problems, and Japan has clearly been much better off than it would have been if it tried to balance its budget. But even those of us who believe that the risks of deficits have been wildly exaggerated would like to see the debt ratio stabilized and brought down at some point.
And here’s the thing: under current conditions, with policy rates stuck at zero, Japan has no ability to offset the effects of fiscal retrenchment with monetary expansion.
The big reason to raise inflation, then, is to make it possible to cut real interest rates further than is possible at low or negative inflation, allowing monetary policy to take over from fiscal policy.
I’d also add a secondary consideration: the fact that real interest rates are in effect being kept too high by insufficient inflation at the zero lower bound also means that debt dynamics for any given budget deficit are worse than they should be. So raising inflation would both make it possible to do fiscal adjustment and reduce the size of the adjustment needed.
But what would it take to raise inflation?
Secular stagnation and self-fulfilling prophecies
Back in 1998, when I tried to think through the logic of the liquidity trap, I used a strategic simplification: I envisaged an economy in which the current level of the Wicksellian natural rate of interest was negative, but that rate would return to a normal, positive level at some future date. This assumption provided a neat way to deal with the intuition that increasing the money supply must eventually raise prices by the same proportional amount; it was easy to show that this proposition applied only if the money increase was perceived as permanent, so that the liquidity trap became an expectations problem.
The approach also suggested that monetary policy would be effective if it had the right kind of credibility – that if the central bank could “credibly promise to be irresponsible,” it could gain traction even in a liquidity trap.
But what is this future period of Wicksellian normality of which we speak? Japan has awesomely unfavorable demographics:
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Which makes it a prime candidate for secular stagnation. And bear in mind that rates have been very low for two decades, fiscal deficits have been high that whole period, and at no point has there been a hint of overheating. Japan looks like a country in which a negative Wicksellian rate is a more or less permanent condition.
If that’s the reality, even a credible promise to be irresponsible might do nothing: if nobody believes that inflation will rise, it won’t. The only way to be at all sure of raising inflation is to accompany a changed monetary regime with a burst of fiscal stimulus.
And this in turn suggests something counterintuitive: while the goal of raising inflation is, in large part, to make space for fiscal consolidation, the first part of that strategy needs to involve fiscal expansion. This isn’t at all a paradox, but it’s unconventional enough that one despairs of turning the argument into policy (a despair reinforced by yesterday’s meeting …)
Escape velocity
Suppose, bad instincts aside, that we really can go down this road. How high should Japan set its inflation target? The answer is, high enough so that when it does engage in fiscal consolidation it can cut real interest rates far enough to maintain full utilization of capacity. And it’s really, really hard to believe that 2 percent inflation would be high enough.
This observation suggests that even in the best case Japan may face a version of the timidity trap. Suppose it convinces the public that it will really achieve 2 percent inflation; then it engages in fiscal consolidation, the economy slumps, and inflation falls well below 2 percent. At that point the whole project unravels – and the damage to credibility makes it much harder to try again.
What Japan needs (and the rest of us may well be following the same path) is really aggressive policy, using fiscal and monetary policy to boost inflation, and setting the target high enough that it’s sustainable. It needs to hit escape velocity. And while Abenomics has been a favorable surprise, it’s far from clear that it’s aggressive enough to get there.
http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/?_r=0

 平成28年3月16日、安倍総理は、総理大臣官邸で第1回国際金融経済分析会合を開催しました。
 会合では、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授との意見交換が行われました。
 総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。
「第1回『国際金融経済分析会合』の開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
 本年5月、伊勢志摩で開催されるG7サミットの議長を務めます。中国の景気減速への懸念や、原油価格の低下など、世界のマーケットは大きく変動しており、サミットでは現下の世界経済の情勢が最大のテーマになると考えております。
 G7議長国として、各国首脳と突っ込んだ議論を行い、世界経済の持続的な力強い成長に向けて、明確なメッセージを発出したいと考えております。
 議長国としての責任をしっかり果たすため、この『国際金融経済分析会合』を立ち上げ、世界の経済・金融情勢について有識者の見解を伺い、率直な意見交換を行いたいと考えました。
 初回となる本日は、米国からノーベル経済学賞受賞者で、米国の大統領経済諮問委員会委員長等を歴任された、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授をお招きしました。ようこそいらっしゃいました。教授には、御多忙の中、本会合にお越しいただき、心から感謝申し上げたいと思います。
 本日の会合では、世界経済に関する分析について意見を伺うとともに、現在我が国が進めている経済政策、いわゆるアベノミクスにつきましても、どしどし忌憚のない御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。サミットに向けた率直かつ有意義な会合にしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。」
関連リンク
• 国際金融経済分析会合(官邸HP)
• 国際金融経済分析会合-平成28年3月16日(記録映像庫)

http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201603/16kokusaikinyu.html

「2018年1月1日から世界金融危機が本格化する」著名コラムニスト予測の根拠

Albert H. Teich / Shutterstock.com
「2018年1月1日から世界金融危機が本格化する」著名コラムニスト予測の根拠
2016年4月5日ニュース

3月28日のブルームバーグ・ガドフライ(Bloomberg Gadfly)に非常に気になる記事が掲載されました。クリストファー・ラングナーというブルームバーグの市場コラムニストが書いた「銀行業界に吹き荒れる次の大嵐」(The Next Perfect Banking Storm)という記事です。(『カレイドスコープのメルマガ』)
「バーゼル3発効に先駆けて、2018年1月1日から金融激変が起こる」
世界中の金融機関を委縮させる「バーゼル3」爆弾とは?
クリストファー・ラングナーは、ロイター、フォーブス、ウォール・ストリート・ジャーナル、マージャーマーケット(Merger)などに記事を書いてきました。
まず、この記事を読んでいただく前に、ロシアのスプートニクの3月29日付の記事を読んでください。
ブルームバーグのクリストファー・ラングナーが、2018年1月1日から世界の金融危機が始まると予測しています。
銀行が資金を貸し出す際に、国際的なルールが適用され、優良な借り手以外には資金を貸し出すことができなくなる可能性について警告している記事です。
これによって、将来性が有望なベンチャーでさえ、資金手当てが困難になる事態が生じることが考えられます。
これは、バーゼル3が本格的に適用されることによって起こることです。
バーゼル3とは、主に西側主要国の金融監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会が、銀行の健全性を維持するために導入した自己資本規制のことです。
バーゼル3は、1998年のバーゼル合意(いわゆるBIS規制)に端を発しています。
その後、バーゼル合意が見直され、2004年にはバーゼル2(いわゆる新BIS規制)が発効され、銀行の自己資本比率を高めることが要求されるようになったのです。
そして、その範囲が拡大され、株式や内部留保などからなる銀行の資産に加え、投資や融資(債権)などによるリスク資産についても総合的な評価が行われ、それらの総資産に対して、一定割合以上の自己資本を持つことが強制されるというのがバーゼル3です。
確かに、銀行の財務体質強化、経営の健全化にとっては良いことですが、その反動として、銀行がバランスシートを重視するあまり、リスクを取らなくなってしまう恐れが出てくるのです。
これは、産業社会にとっては死活問題となり、ショックが大きければ、財政的なパニックを誘発することにつながってしまうのです。
バーゼル3では、銀行の事業によって蓄積してきた利益の内部留保(中核的自己資本)の比率を、実質7.0%以上とすることが求められており、2012年末から段階的に導入されてきましたが、いよいよ2019年から全面的に適用される運びとなったものです。
(参考記事:バーゼル3が銀行に与える影響)
2019年から、バーゼル3が適用されることで銀行の貸出能力を束縛されてしまうことから、銀行にとって、まさに最高の借り手にだけに資金を貸し付けるということが起こって来るのです。
これは世界標準なので、世界規模で企業や自治体の破産を速めることにつながってきます。
しかし、どんな金融規制が発効される場合でも、その実施日より先に影響が現れるものなのです。
クリストファー・ラングナーは、バーゼル3の発効に先駆けて、2018年1月1日から適用される新しい規則によって金融激変が起こると警告しているのです。
まず、レバレッジの比率(銀行の自己資本比率の何倍までなら融資や投資に回してもいいか)が、国際会計基準審議会になって定義されている銀行監査と国際財務報告基準(IFRS)No.9にのっとって、バーゼル委員会によって設定されてしまうのです。
これまでは、リスク評価をする際に、それぞれの銀行の手法に委ねられていましたが、それが銀行から取り上げられ、すべての国際業務までを行っている銀行に厳しい規則が等しく課されることになるのです。それは、来年から導入されます。
バーゼル3は、世界市場における流動性を減少させ、信用成長を遅くしてしまうため、すでに世界中から非難されています。
Next: これは世界危機の“レシピ”〜多くの企業が破産、労働者はレイオフに

これは世界危機の“レシピ”〜多くの企業が破産、労働者はレイオフに
規制が増えれば、金融機関の信用審査に関連する業務は急減することになります。
たとえば、国際財務報告基準(IFRS)No.9は、想定される信用損失が、どの程度なのか、銀行に対して初期の認知を義務付けています。
数人の信用アナリストによれば、3分の1程度の銀行では、非パフォーマンス資産(運用に回さない資産)を増加させる動きがすでに出ているということです。
信用損失を厳正な審査によってあらかじめ算定すると、今まで問題のなかった債権が、突然、不良債権化するということが起こってきます。
すると資金需要の先細りが表面化してくるのです。
どういうことかというと、銀行は融資に際して、よりハードルを高くせざるを得なくなるので、借り手の借り入れコストの上昇につながってしまいます。そうすれば、銀行側としても貸し出しが困難になるでしょう。
新しいバーゼル規制は、バーゼル3が適用される次の2年以上、影響するでしょう。
その影響とは、まだゆとりがある銀行でさえ、どのように貸し出しリスクを考慮すればいいのかと会議をしたり、頭を悩ませたりする楽しみが取り上げられてしまうことです。
2008年の世界的な財政危機後に押し付けられた新しい規制は、銀行はドルを貸し出す際に、借り手の信用状況に依存しながらも、より多くの資本を蓄えることを銀行に要求しています。
困ったことに、世界的な監査機関は、銀行自体に対する信用度の決定を残したままなのです。
「2013バーゼルの研究」では、類似の資産に付帯しているリスクウェイトに限り20パーセントの変動があることが発見されました。
こうしたことから、金融機関は2017年から、取引の相手方に対するリスク評価を行う際に、彼らの内部モデルを使用することがもはやできなくなってしまうのです。
2018年には、それは証券化にも拡大され、その後、正確な日付は決定されていませんが、貸し手は、バーゼル委員会によって設定された標準に基づいて、彼らのローン希望者全員を評価しなくてはならなくなるのです。
規則案によると、より高い収益力と低いレバレッジを持っている企業は、それだけ銀行から必要とする資本が少なくなるのです。
このことは、銀行が、より確立された事業を持つ最大手企業にのみ貸し出しを行いたいという誘惑にかられることを意味します。
反面、売上を増やすために資金を必要としている中小企業にとっては、死活問題です。
問題は、その規則が実施される前に、レバレッジ比率が2018年1月1日から実施(有効)されるのです。
このことによって、銀行は世界進出が困難になってきます。たとえ、ベンチマーク収益率(ベンチマークの騰落率。いわゆる市場平均収益率)が、どんなに低く、あるいはマイナスであったとしても。
バーゼル3を前にして、銀行は経営を引き締め、ディレバレッジ(自己資本比率を向上させる)に努めているので世界もそうなるでしょう。
つまり、融資を抑制し、場合によっては株式などへの投資も控えめになるかも知れないのです。
このことは、多くの企業の破産と労働者のレイオフ、そして仕事の減少につながってきます。
これは、どうも世界危機の“レシピ”のように思えます。
信用の世界標準を導入することによって、信用アナリストなどの人の手を介在させなければ、情け容赦なく機械的に企業を潰し、リスクの高そうな金融機関を情け破産させることができます。
世界は大混乱するでしょう。
しかし、国際金融資本にとっては、優良企業と優良金融機関だけを残し、後にそれらを統合することによって一元化を進めることができるのです。
これこそが、「彼ら」が管理しやすい世界の再構築につながるのです。
バーゼル3は、金融機関だけの問題ではなく、私たちの生活の隅々までじわりじわりと影響してくるでしょう。経済サバイバルの方法についても、再度、見直す必要が出てきました。この問題は、とてつもなく広い領域を含んでいます。
Next: いま日本で起こっていること〜報道されないスティグリッツ来日の真相

いま日本で起こっていること〜報道されないスティグリッツ来日の真相
日銀の果敢な量的金融緩和によって薄日が差し始めていた日本経済が、再びデフレの崖っぷちに追いやられてしまったのは、安倍首相が、浜田宏一イェール大学名誉教授の「増税は時期尚早」の警告を振り払うようにして、2014年4月、5%から8%の消費増税を決行したことが主な原因であることは間違いのないことです。
この愚を再び犯さないようにと、反増税派の本田悦朗内閣官房参与の招きによって、2014年11月初めに来日したのがノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授でした。
このとき、安倍首相は、クルーグマン教授から、8%から10%への消費増税を強行することのリスクをとんとんと諭されたことによって、消費増税延期を決定し、11月21日の衆院解散総選挙を宣言したのです。
安倍首相の腹の内は、すでに「延期」だったわけですが、公に宣言するために何らかの外圧を欲していたということです。
このとき、「10%引き上げは、たとえどんな理由があろうとも、1年半後の2017年4月には実施する」と宣言した安倍首相でしたが、アベノミクスの失敗が決定的となった今、日銀は最終的な手段である禁じ手のマイナス金利導入にまで追い込まれてしまいました。
そこで、今回も、安倍官邸はポール・クルーグマン教授に頼ることとなったのです。
安倍首相は、消費税引き上げの最終検討を行うための国際金融経済分析会合を設け、その第1回目が3月16日午前、首相官邸で開かれました。
初会合に呼ばれたのは、やはり、ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大学教授。
政府の「スティグリッツ教授は、2017年4月からの消費税率引き上げに否定的な見解を示した」との発表を受けて、日本のメディアはいっせいに「10%先送りか」と報じていますが、事実はまったく違います。
スティグリッツ教授が日本側に提言したのは、「TPPは悪い貿易協定であるというコンセンサスが広がりつつあり、米国議会で批准されないであろう」ということと、安倍首相に直接、「アベノミクスを停止し、経済政策を180度転換することによって、7月のG7サミットで主導権を取るべきである」とアドバイスしたことの2点で、来年4月に予定されている消費増税には触れていないのです。
国際金融経済分析会合とは、安倍官邸が、夏の参院選対策のために、ノーベル経済学受賞者という権威を借りて本来の公約であった「10%見送り」を正当化するためのイベントに過ぎなかったわけです。
なぜなら、官邸は、スティグリッツ教授の中心的提言であった「TPP問題」と「アベノミクス」については触れず、スティグリッツ教授が言ってもいない消費増税問題をことさら強調しているからです。スティグリッツ教授は、それに利用されたのです。
Next: クルーグマンが「10%増税の延期を主張した」も正確な報道ではない

クルーグマンが「10%増税の延期を主張した」も正確な報道ではない
さらに、第3回国際金融経済分析会合には、今度もポール・クルーグマン教授が招かれ、22日夕方から首相官邸で安倍首相と他の閣僚との会談が行われました。
ここでもクルーグマン教授が「10%増税の延期を主張した」と報じられていますが、それも正確な報道ではありません。
スティグリッツ教授から多大な影響を受けているクルーグマン教授は、おそらく日本政府に利用されないようにスティグリッツ教授からアドバイスを受けたのでしょう、22日の首相との会談後4日経ってから自身のツイッターで「会談で話したことのすべてを公開する」とツイートしました。
それが、このpdfファイルです。
国際金融経済分析会合が、安倍官邸のシナリオどおりに進められたことに確信を持ったクルーグマン教授は、自身の発言が安倍首相サイドによって恣意的に利用されることを危惧したのです。
幸いなことに、ここに会談の全文訳が上がっています。
読んでわかるように、クルーグマン教授は、今回は消費税アップに反対するというよりは、デフレ脱却を果たすためには、引き続き財政政策の継続が必要で、消費税引き上げだけでなく、景気回復の足を引っ張るような間違った政策は一切やるべきではないと進言したのです。
にもかかわらず、官邸からの発表をそのまま記事にするだけのマスコミ各紙は、「クルーグマン教授も消費税引き上げ、先送り進言」という見出しを付けるのです。まったく本末転倒で、財政政策を継続するために消費税は止めるべきだと教授は言ったのです。これは非常に重要なことなのです。
官邸は、「ノーベル経済学賞を受賞した世界的権威二人が、消費税の引き上げに待ったをかけている以上、10%引き上げを強行することは断念せざるを得ない。だからといって、アベノミクスが失敗したということにはならない」といった落としどころを考えたのでしょう。
Next: 麻生大臣の不気味な発言「米国は1930年代の不況を戦争によって克服した」

麻生大臣の不気味な発言「米国は1930年代の不況を戦争によって克服した」
さて、問題は、クルーグマン教授が公開したこのpdfファイルの中身です。
会合に同席していた麻生財務大臣が、恐ろしい発言をしているのです。それが、この部分です。
日本企業の稼ぎだす収益は過去最高に達しているのですが、しかし彼らは、それを設備投資へ支出しようとはしていません。
日本は、企業という部分では大きな収益が手元にあるのです。それは賃金上昇や、配当や、設備投資に使われるべきなのですが、企業はそれをしていません。現金や預金を手放そうとはしないのです。内部留保は積み上がる一方です。
1930年代のアメリカも同様の状況が起きたました。
この問題を打開したのは何だったのでしょうか?
戦争です!
第二次世界大戦が1940年代に起こり、それが米国にとっての解決策となりました。
おそらく、麻生大臣は、クルーグマン教授に「戦争を起こすことも選択肢としてはありうる」と言ってほしかったのでしょう。
クルーグマン教授は、麻生財務大臣の発言にやや憤慨したのか、「戦争は恐ろしい過ちだった。不況の大きな第二波を引き起こしたからだ。言うまでもなく、我々が求めているのは、戦争ではなしにそのようなことを達成するということである」と返しています。
日本側の大臣たちの発言からにじみ出てくるのが、「戦争を最終的な解決手段にしよう」という潜在的な願望です。大変、危険なことです。
Next: 「大本営発表」を取り戻すNHKの破れかぶれの洗脳番組

「大本営発表」を取り戻すNHKの破れかぶれの洗脳番組
この数日、信じられないことが立て続けに起こっています。気が付いたでしょうか。
それらのすべてが、「ある一点」に向かって収斂しつつあることが。
個人的に、もっとも驚いたのが、昨夜(3月29日夜)放送のNHK・BSプレミアムの特番「幻解!超常ファイル「世界はだまされている!?陰謀論の闇に迫る」でした。
番宣のコピーは、「9.11アメリカ同時多発テロは、政府の自作自演だった!?フリーメイソンは世界征服を狙ってる?こうした怪しげなウワサを、信じるか信じないかをお任せせず、きっちり答えます!」
内容は、「こうした怪しげなウワサのすべてが根も葉もない陰謀論」であると決めつけて、最終的には、「陰謀論を信じる人たちはヒトラーと同様、危険な人々である」結論付けて終わる、という凄まじく「支離滅裂で怪しげな」番組でした。
2、3人の見るからに胡散臭いライターを登場させて、ことごとく事実とは違う解説を加え、その際に引用するデータも、当のアメリカでも使っていない捏造データばかり。
民放ならまだしも、公共放送であるNHKが、いったいどうしたことだろう、と多くの人たちが、さっそくネット上に「NHK番組異変」について書きたてています。
私は、日本より、むしろ英語圏の世界のニュースサイトを見ているので、番組制作の段階で使用するソースを見ると、番組制作者の意図が奈辺にあるのか、おおよそ突き止めることができます。
この番組は、明らかに「陰謀論などありえない」「だから、日本政府、アメリカ政府の言うことだけが正しい」と視聴者に刷り込む目的を持った洗脳番組です。他の意図がある可能性は、まったく考えられないほど、あからさまな捏造番組でした。
夏の衆院選に向けても異常なことが連続して起きています。
中でも、安倍政権が、共産党を破防法の適用対象とする閣議決定をしたことです。
2013年12月6日、自公の強行採決によって秘密保護法案が成立しましたが、今でも国民の8割以上が憲法違反と反対している法律です。
この法律は、警察公安が権限拡大のために政権を強力にプッシュしたことによって決まったのですが、その後、共謀罪までもが俎上に乗せられたのです。
そして、今度の参院選で自公が勝てば、「緊急事態条項」を、またもや数の論理で強行採決してしまうでしょう。
「緊急事態条項」とは、一朝有事の際には内閣総理大臣にすべての権限を集中させ、場合によっては戒厳令を発動してすべての法律を停止する権限を持たせるという法律です。
こうした政府の不穏な動きの数々から、戦前の治安維持法の暗黒時代から第二次世界大戦に突き進んでいったことを想起した人は少なくないはずです。
【関連】2020年「預金封鎖」への道〜国民に牙をむく政府・日銀の秘められた計画
『「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年3月31日臨時増刊号)より
http://www.mag2.com/p/money/9318


2. 2016年4月10日 00:37:42 : 8GpZ8Ulr22 : P7qmfPkdXY8[4]
完全雇用状態で巨額の貿易赤字を続けている米国は過剰消費、過剰債務国になってしまった。米国はドル安に戻して世界経済に貢献できるような筋肉体質の経済を目指してやり直すことになる。

ドル安によるインフレとインフレに追い付かない低金利が引き起こす金融抑圧は米国経済の試練にこれからなるだろう。贅肉体質の米国経済に必要なのは節制だ。贅肉体質にした主犯は、返済を強要しない通貨を原資にして、自ら投資家になったFRBだ。

量的緩和は時間の浪費だったと理解できたことは量的緩和から得られた最大の成果だろう。


3. 2016年4月10日 09:01:20 : 8GpZ8Ulr22 : P7qmfPkdXY8[5]
円安に振れても円高に振れても、日本の輸出企業は輸出品の価格をドル建てで変化させないだろう。したがって、輸出企業が受け取るドル建てのマネーの総額は大きく変化しない。

一方で、輸入品の価格は円高になれば、原油のように国内の市場価格に確実に反映される。輸入品の価格が安くなった分だけ、輸入に必要となる円が不要になる。こうした輸出入に対応するドルと円の通貨量の差は円高の要因に確実になる。円高が始まると、この差は再帰的に拡大すると想定されるから、円高に歯止めをかける為替介入は必要になる。


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