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韓国選挙と株式市場(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/510.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 14 日 23:41:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

韓国選挙と株式市場
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52805096.html
2016年04月14日 在野のアナリスト


熊本県を震源とする大きな地震がありました。今回は浅いところを震源としますが、九州の地盤はGPS観測でも渦を巻くように捩れています。東日本大震災後、日本列島には大きな歪みがかかっていますが、九州では大分辺りから北西に向かい、福岡、長崎から南方向に向かい、鹿児島では大きく南東にむけて動いている。これに上下動を加えると、九州では地盤全体に大きな負荷がかかっている状況なのでしょう。同じプレートに乗っていても、そこはガタガタに割れていて、活断層よりももっと深いところにも断層がある、とされます。東日本大震災以後、日本列島の状況は大きく変わったとされ、いつどこで地震が起きてもおかしくない、そんな警戒も必要です。

韓国でも激震が走っています。朴大統領の支持基盤、与党セヌリ党が過半数割れで、第2党に転落です。親朴派に公認を与え、非朴派との対立構図ができたこと、経済は悪化し、失業率も高まるなど国民の不満も大きいこと、など朴政権には逆風が吹き荒れたことが原因でしょう。

問題は、日本では従軍慰安婦合意について履行されるか? が心配されます。ナゼならこれは国家間の条約でも何でもなく、外交上むすばれた協定合でもない。いわば信用の上で成り立つ合意にすぎないからです。つまり一方に履行できない事情が発生すればストップする、その程度の軽さです。事実上、朴政権はレイムダック化し、合意履行は困難でしょう。つまりそんな曖昧な合意をしたからこそ、朴政権の情勢変化で日本が困る、という状況が生まれたことになります。

株式市場が2日間で日経平均で1000円も上げました。しかしこれはOPEC加盟、非加盟国会合を前にしたポジション落としをする海外勢にかこつけて、年金系が押し上げている面が否めません。以前から重要なイベント前、1週間ほどはポジションを落とす動きがみられましたが、円買い、株売りしていた層が反対売買する流れになった。それを加速させたのが露国、サウジが増産凍結で合意、という曖昧な情報です。恐らく露国側が流したリークとみられますが、昨日になってサウジはイランが増産凍結に合意しないと、合意に加わらないとも伝えられる。しかし一旦、楽観に傾いた市場では露国リークの方が力をもち、その流れで日本市場は株買いが広がっているのです。

しかしこの流れで年金が買いを入れていると、高値掴みになり易い。期待にそぐわずともそうですが、期待通りの合意が得られても、材料出尽くしになり易く、ポジションを戻す流れになることが明白だからです。一部、中国の経済指標に改善の兆し、との話もありますが、貿易統計で輸出が増えた、といっても春節の影響が大きく、この時期の経済統計にはブレも大きい。一方で米国の経済指標も強弱まちまち、悲観の見直しだけでは、相場の押し上げ効果は継続し難いのでしょう。何より、OPEC会合は17日、週明けの日本でどう直撃するかは分かりません。

今日は東京でも内陸部で小さな地震がありました。上記したように、東日本大震災以後、日本の地盤状況は大きく変化した、どこで地震があってもおかしくありません。川内原発は問題ない、などとしますが、いつ近傍で大きな地震がおきてもおかしくないのです。むしろ原発が安定した電力の供給源たりうるか? という問題にも直面するのでしょう。震度4で全面点検、5以上だと緊急停止する恐れもあります。火力発電と異なり、緊急停止した後に再稼動するのは、それなりに時間がかかる。実は災害に対してかなり脆い、という原発の特性は、地震が多発する現状では安心して運転し続けることがかなり困難である、とも言いえてしまうのでしょう。

国際的な選挙イヤーの第一弾、韓国では与党が大敗しました。世界的に経済が不安定となった現在、与党にはその政権運営に対して、厳しい目が向くことにもなります。そこに来て大きな自然災害は、景気をより悪化させることにもなります。自民が世論調査を行い、衆参W選挙を今行ったら与党が40、50議席程度減らすとでたことも伝わります。何がおきるか分からない状況、どこかに大きなエネルギーを蓄え、それがいつ放出されるか不安。自然災害も、市場も。そんな状況が今年の世界全体で共通のキーワードになってくるのかもしれませんね。


 

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コメント
 
1. 2016年4月15日 00:27:00 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[328]
韓国総選挙、与党惨敗のワケ
政権への警告、政局は大統領選に

2016.4.15(金) 玉置 直司
韓国総選挙、野党が勝利 朴政権「レームダック」化必至
韓国・ソウルで、総選挙の投票をする朴槿恵(パク・クネ)大統領(2016年4月13日撮影)〔AFPBB News〕
 2016年4月13日に投開票した韓国の総選挙は、政権与党のセヌリ党がまさかの惨敗を喫し、過半数維持どころか第2党に転落する危機に陥った。つい1カ月前までは与党の圧勝説も強かったが、直前に民心が「政権への警告」に転じてしまった。

 選挙の翌日、ソウルは霧に覆われた。朝6時のKBSニュースは、国会があるソウル中心部の汝矣島(ヨイド)の模様を中継しながら、この日を天気をこう伝えた。

 「霧だけでなく、PM2.5(微小粒子状物質)濃度も高くなり、さらに黄砂の影響もありそうです。視界は不断の3分の1ですので運転に注意ください」

韓国政局は「視界不良」に

 4月13日の総選挙(韓国では「第20代国会議員選挙」と呼ぶ)の結果、韓国の政局はこの日の天気のように「視界不良」になってしまった。

◇韓国総選挙の結果◇
セヌリ党     122(選挙直前146)
民主党      123(同102)
国民の党      38(同20)
無所属・その他   17
◇         ◇

 選挙結果についてはすでに報じられている通りだ。

 全300議席のうち、与党セヌリ党は122議席。選挙直前の146議席から大きく減らした。惨敗だった。

 無所属議員を入党させて第1党を確保する可能性があるが、重要法案の処理などでこれまで以上に手間取ることは間違いない。

与党の傲慢に厳しい審判

 14日付の大手紙は、1面トップにこんな見出しを掲げた。

 「セヌリ党惨敗…民心は傲慢を審判した」(毎日経済新聞)
 「セヌリ党が審判を受けた」(中央日報)

 1か月ほど前までは、今回の選挙は与党の楽勝とも言われた。朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領への支持率は就任3年目の大統領としては、依然高かった。

 さらに、競争相手の「共に民主党(民主党)」で路線対立が激化し、ベンチャー企業創業者出身者で若者などに人気が高い安哲秀(アン・チョルス=1962年生)氏らが脱党、「国民の党」を設立したのだ。

 戦う前から相手が分裂してくれたのだ。にもかかわらず、こんな結果になったのは、与党に対する有権者の「警告」がそれほど強かったからだ。

 有権者は投票日直前に繰り広げられた与党内の権力闘争に怒ったのだ。

与党楽勝のはずが・・・

 「楽勝ムード」だった与党では、直前の党公認候補選定作業で大混乱に陥った。

 大統領と近い党公認候補の選定責任者が、強引に党公認を決めていった。選挙区での支持率が高い有力候補を「党の正統性に合致しない」というあいまいな理由で次々と排除した。かわって大統領に忠実な人物を候補に選んだ。

 特に衝撃的だったのが、現政権で保健福祉部長官を務めた陳永(チン・ヨン=1950年生)議員と、前のセヌリ党院内代表の劉承旼(ユ・スンミン=1958年生)議員だった。

 2人とも朴槿恵大統領が野党代表時代に「秘書室長」を努めた側近だった。2012年の大統領選挙でも重要な役割を演じたが、「大統領との意見の違い」が表面化していた。

 陳永氏は閣僚に就任してすぐに年金制度問題を巡って青瓦台(大統領府)の幹部と意見が衝突した。大統領に直接説明することを求めたが、拒否され長官を辞任した。

 劉承旼氏は、院内代表になった後に、「増税なき福祉政策は虚構だ」と発言。これが大統領の基本政策を批判したとして辞任に追い込まれた。大統領からは「背任者」とまで言われた。

 政策的な意見の相違はあっても2人とも党重鎮で、良識派だった。政策通でもあり、当選可能性も極めて高かった。だが、党公認を得られなかった。

 「報復だ」。陳永氏はこうはき捨てて野党から出馬した。劉承旼氏は無所属で出馬した。2人とも当選したが、後遺症は大きかった。

与党への警告

 無理筋の党公認作業と、この過程で起きた党内の激しい対立、混乱を見て、「有権者は現政権に『フリーハンド』を与えることを撤回した。それどころか、選挙に勝ちそうだということで、意のままに候補を差し替えるやり方を『傲慢』『強権』と見て強い警告を与えた」(韓国紙デスク)のだ。

 だから大手紙の見出しにあるように今回の選挙結果は、第1野党の勝利というよりは、与党の惨敗だった。投票動向からもそういう有権者の意思がうかがえる。

 今回の選挙の投票率は58%で前回に比べて4ポイント近く上昇した。30代以下の若い有権者の投票率が上昇し、50代以上は下がったとの出口調査の結果が多い。

 30代以下は、セヌリ党内の権力闘争に反発し、さらに経済政策や雇用政策などへの不満から積極的に投票所に行き、セヌリ党以外に投票した。

 50代以上は本来は与党支持層だが、与党の公認過程での混乱に嫌気がさして今回は棄権したり他党の投票した例が多かったようだ。

「不敗選挙区」でばたばた敗れる

 特に、与党支持層の離脱は大きかった。

 本来は、与党の絶対的な支持基盤で「不敗選挙区」とさえ言われた大邱(テグ)や釜山、さらにソウルの富裕層が住む江南(カンナム)でセヌリ党候補が敗れるというこれまでは考えられなかった結果が出た。

 多くの有権者は、特にソウルや首都圏では与党に「警告」するために民主党に投票はした。だが、内紛が続いた民主党が絶対的な支持を得たわけでもない。

 本来は、民主党の牙城だった韓国南西部の光州や全羅南・北道で民主党は惨敗した。まずは与党に警告を与える。だが、民主党を全面的に支持するわけではない。その受け皿になったのが、国民の党だった。

 光州や全羅北・南道で圧勝したほか、比例区では民主党と並ぶ13人もの当選者を出した。与党セヌリ党や野党民主党の支持者から多くの投票を集めたのだ。

 総選挙で与党が惨敗したことで、政局は、2017年12月の大統領選挙に向けて動き出すだろう。

次期大統領選への明暗

 今回の総選挙でも、大統領選挙をにらんださまざまな明暗が出た。総選挙では与党は惨敗したが、これで2017年12月の大統領選挙まで与党が不利だと見る向きは少ない。

 韓国の人口構造上、50代以上の保守支持層が増えており、「今回の選挙も『警告』であって、与党や保守を見限ったことではまったくない」(韓国紙デスク)からだ。

 とはいえ、個別の選挙結果は、いろいろな影響を残した。与党内では、次期大統領選挙をうかがっていた有力者が、冷水を浴びた。

 党代表の金武星(キム・ムソン=1951年生)氏は、総選挙惨敗の責任を取って14日に党代表を辞任した。本人は当選したが、党内で朴槿恵大統領に近いグループと対立して混乱を増幅させた。出身地である釜山の他の選挙区で野党の躍進も許し、打撃となった。

 「政治一番街」と言われるソウルのど真ん中、鍾路(チョンノ)区で立候補をして次期大統領選挙の有力候補に浮上しようと狙った呉世勲(オ・セフン=1961年生)前ソウル市長は、事前の世論調査では当選が有力視されていたが、まさかの落選となった。

 逆に存在感を増したのは、与党の公認を得られなかったにもかかわらず大邱から無所属で出馬して大勝した劉承旼前セヌリ党院内代表だ。

 セヌリ党復帰は確実で、重責を担う可能性が高い。経済政策通で今回の「政治人生の危機」を乗り切ったことで、「次」の有力候補の1人になるだろう。

 劉承旼氏は、ソウル大経済学科卒で米ウィスコンシン大大学院で経済学博士号を取得した。韓国の国策シンクタンクである韓国開発研究院(KDI)の研究員を経て政界に入った。

 朴槿恵大統領が野党代表時代の秘書室長を務めるなど側近として頭角を現した。4選の政策通だ。

国連事務総長担ぎ出し?

 だが、それ以外には与党では、有力な次期大統領候補が見当たらなくなった。韓国メディアは、年末に任期切れとなる潘基文(バン・ギムン=1944年生)国連事務総長を担ぎ出すという話を報じている。

 外交官出身で、政治家としてはまったく未知数だが、知名度は抜群だ。大統領選挙でいつも重要な地域になる韓国中央部の忠清道出身でもある。

 だが、本人はまだ、政治に対しては一切発言していない。年末まで国連事務総長としての任期も残っている。それでも与党内は人材難で、今後さらに騒がしくなるだろう。

 野党はどうか。

 今回、大躍進した安哲秀氏は、有力候補として重要な第1関門を突破した。1か月前までは、設立したばかりの国民の党の存続を危ぶむ声も少なくなかった。与野党の「敵失」に救われたとはいえ、「第3の道」を示して存在感を発揮した。

 安哲秀氏は、釜山出身でソウル大医学部に進んだ医師だ。コンピューターに関心を持ってウイルス対策ソフトを開発して事業化した。この企業が急成長して、「韓国のベンチャー企業の代表」となった。

 2011年に呉世勲氏が「学校給食無料化」を巡って市議会などと対立して突然辞任すると、ソウル市長選挙出馬を宣言した。一時は圧倒的な支持率だったが、かねて親交があった弁護士の朴元淳(パク・ウォンスン=1956年生)氏も出馬の意向を示すと立候補を譲った。

 その後、2012年12月の大統領選挙への出馬を準備したが、このときも文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)氏に譲歩することになった。

安哲秀氏、今度は譲らず勝利

 今回も、脱党、新党結成後に「野党統一」の圧迫を受けたが、「セヌリ党でも民主党でもない第3の選択肢が必要だ」と最後まで譲らなかった。

 安哲秀氏の強みは、野党にも与党にも支持層を広げられることだ。今回も、選挙区の投票では「セヌリ党」「民主党」に投じながら、比例区では「国民の党」とした有権者が多かった。

 国会で大躍進したことで当面は、民主党との連携が焦点となる。次期大統領選をにらんでも、民主党を取り込むことが重要だ。民主党を分裂させたことでしこりは残ったが、40近い議席を獲得したこと、何よりも光州、全羅南・北道で強い支持を得たことは強みだ。

 さらに最後には「与党と手を組むウルトラCもあり得る」(韓国紙デスク)。

 民主党では、前回の大統領選挙で朴槿恵大統領に敗れた文在寅前代表の立場は微妙だ。

 文在寅氏は、安哲秀氏らの脱党の責任を取って党代表を辞任していた。だが、盧武鉉元大統領時代からのグループを率いており「事実上の党のオーナー」だ。

 選挙遊説にも積極的に動き、民主党は議席数は増やしたが、牙城の光州、全羅南・北道で惨敗した。文在寅氏は投票日直前にこの地域を2度にわたって遊説したが、これが逆効果となって惨敗したとの見方は強い。

 大統領選挙で野党候補が勝利するためには、この地域での支持が必須条件で、今回の選挙結果が手痛い。さらに自らのグループに、強硬な民主化運動出身者が多い。サラリーマンなど中道層の間で拒否反応も強いことも課題だ。

 日本では知名度がないが大統領の地元で「野党不毛地帯」である大邱から民主党候補として出馬して当選した金富謙(キム・ブギョン=1958年生)氏はダークホースに急浮上した。

 学生時代に民主化運動に参加して拘束されている。ソウル大政治学科卒後、すぐに政治の道に入った。1990年代前半には野党の職員として活動。一時は、セヌリ党の前身であるハンナラ党に所属し、首都圏の京畿道で2000年に国会議員に当選した。

 その後、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が率いた「開かれた我が党」に移ってさらに2回当選を重ねた。

 だが、2012年の総選挙では、それまでの選挙区を離れて、「地域政治の打破」を掲げ、与党の独占地域だった大邱で野党から出馬した。今回、雪辱を果たしたが、大邱で当選した意味は大きい。合わせて4回目の当選で、かなりの役割を演じるはずだ。

ソウル市長も動く?

 現職のソウル市長ということで、選挙には関与できなかったが朴元淳氏も、動き出すはずだ。

 自らに近い国会議員の数は減ったが、民主党所属でありながら、党を割った安哲秀氏との関係も悪くない。「野党統合」の動きが出た場合、キーパーソンになる可能性はある。

 韓国は1院制で国会議員の任期は4年だ。大統領は1期5年の任期だ。韓国では、大統領や閣僚は国会議員選挙に出馬できないし、選挙運動もできない。だから、朴槿恵大統領自身が選挙運動をしたり演説会に出たわけではない。

 それでも、今回の総選挙は、2013年2月に発足した朴槿恵政権にとって最初で最後の「中間評価」の国会議員選挙だった。

 1期5年の大統領制の韓国で、総選挙とは「政局時計」を巡る争いだ。

 現職の大統領にとっては、「中間評価」である総選挙で勝利して政権基盤を盤石にして2017年12月の次期大統領選挙までの政権運営をスムーズに進めたい。できれば、次期大統領選挙でも影響力を確保したかった。

 「政局時計」をゆっくり進め、政策遂行に集中したいのだ。

 これに対して野党は、与党を追い詰めて政局を一気に「次期大統領選挙」に進めたい。そういう意味で重要な選挙だった。

 与党が惨敗したことで、韓国の「政局時計」は、2017年12月に向けて動きを早めることは間違いない。朴槿恵大統領にとっては手痛い結果だった。

 

サウジは本当に原油生産調整をする気があるのか?
目指すは石油依存からの脱却?副皇太子の野望とは
2016.4.15(金) 藤 和彦
サウジ国王、 紅海にエジプト間架橋計画を発表
なぜサウジアラビアは原油の生産調整に慎重なのか。エジプト・カイロで会談したサウジアラビアのサルマン国王(左)とエジプトのシシ大統領(2016年4月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/HO/EGYPTIAN PRESIDENCY〔AFPBB News〕
「米国経済はまもなく『巨大な波』に襲われる。企業がデフォルトを起こし、景気後退はほとんど不可避だ」

 米ビジネスニュース専門ウェブサイト「ビジネスインサイダー」(4月7日付)は仏ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、アルバート・エドワーズ氏の警告レポートを掲載した。エドワーズ氏が注目しているのは米国企業の利益の急激な減少である。これにより多額の債務を抱えている企業が大量倒産に追い込まれるというのだ。

 また、4月8日付けロイターによれば、米国の主要500社の今年第1四半期の1株当たり利益は前年比7.6%減少するという。3四半期連続の減益となれば2008年のリーマンショック以来となる。

 2015年末時点の予測では今年第1四半期は約2%の増益に転じるものと見込まれていた。だが、原油先物市場の回復の遅れによる資源関連業種の低迷に加え、年初からの市場の混乱で金融業界も振るわない。

 今年第2四半期の米企業の業績は、原油価格の低迷で約2%の減益が続く見通しである。市場関係者は、底入れの兆しが出てきている原油価格がこのまま安定すれば第3四半期の米企業業績は約5%増に転じると見ている(4月10日付日本経済新聞)が、原油価格が下落に転ずれば米企業の業績は再び悪化してしまう。

 米格付け機関ムーディーズは4月4日、「米企業の資金調達能力が3月に悪化した」とする報告書を公表した。特にエネルギー部門で大きく悪化し、ジャンク債のデフォルトリスクが高まっている可能性があることが示された。4月5日付けブルームバーグも「米企業のレバレッジ上昇に伴いデフォルトによる損失が膨らむ見通しだ。現在のジャンク債のリスク報酬は十分ではない」と報じている。

 ジャンク債をはじめとする社債市場の不調によって、これまでのような「多額の借金をして自社株買いを行い株価を上げる」という“錬金術”の手法がとれなくなれば、過大評価されている株価が一気に下落するリスクが存在すると言えよう。

生産調整の実現に向けて動き回るロシア

 企業の体力が失われていく中で、米国経済は「今後の原油価格次第」との様相を強めている。

 原油相場は投機筋の思惑が絡み、1バレル=40ドルを挟んで振れ幅の大きい展開が続いている。市場関係者が注目しているのは、4月17日に有力産油国が増産凍結に向けて開催するドーハでの協議だ。

 今回は、ここに至るまでのサウジアラビアとロシアという2大産油国の対照的な動きに注目してみたい。

 事の発端は2016年1月28日、サウジアラビアが「OPECとして各国が原油生産量を5%削減する」と提案したことを受け、ロシアのノバテク・エネルギー大臣が「ロシアとしては2月の生産国会議に参加の意向である」と述べたことに始まる。

 そして2月16日、サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国のエネルギー担当大臣がカタールの首都ドーハで会合を開き、「原油生産量を1月の水準に据え置き、増産しない。ただし他の産油国も同意することを条件とする」ことで合意した。

 増産姿勢を強めるイランがこの合意にどう対応するのか注目が集まったが、3月13日、イランのザンギャネ石油大臣はロシアのノバテク・エネルギー大臣との会談で、「同国の原油生産量が日量400万バレルに達しない限り、原油の増産凍結に参加しない」考えを表明した。

 それを受けてロシアのノバテク大臣は、産油国間での調整に時間がかかると判断し、追加協議を3月20日(於モスクワ)から4月17日(於ドーハ)に変更したのである。

 ロシアはその後もノルウェーやメキシコに対しても生産調整に加わるように積極的に動くなど(メキシコは生産調整に消極的な立場を示している)、全体の取り仕切り役を引き受け、OPECと非OPEC産油国の総意をまとめ上げようとしている。

サウジが原油価格上昇への熱意を見せない理由

 一方、ロシアとは対照的に、いったんは合意したはずの生産調整に積極的な姿勢を見せようとしないのが、OPECの雄であるサウジアラビアだ。

 ロシアがイランの扱いに細心の注意を払っている最中の4月1日、ムハンマド副皇太子は「サウジアラビアが生産水準を維持するのは、イランを含む主要産油国が加わる場合に限定される」と発言して、上昇基調にあった原油価格に水を差してしまった。

 一連の動きについて本村真澄石油天然ガス・金属鉱物資源機構主席研究員は、「サウジアラビアは秩序構築者としての役割を放棄し、他の産油国に対する影響をほとんど失った。そのため、OPECという組織が形骸化した」と指摘する。

 サウジアラビアはロシア同様、原油関連収入が激減する中で軍事費が増大し、財政が大きく圧迫されている。昨年の軍事費が世界4位であるロシアは、シリアでの空爆を停止したことから軍事費削減の道筋が見えてきている。だが軍事費世界3位のサウジアラビアは軍事費削減に着手できていない。4月11日からイエメンでの停戦が発効したが、イエメン副大統領に強硬派が任命されるなど戦闘が実際に停止するかどうかは不透明だ。イランメデイアによれば停戦後もサウジアラビアの空爆が続いているという。

 イエメンでの空爆で毎月15億ドル以上の戦費を費やしているサウジアラビアの方が、ロシアよりも情勢が厳しいはずである。それなのに、原油価格上昇への熱意が感じられないのはなぜだろうか。

 その理由は、サウジアラビアのムハンマド副皇太子の発言から探ることができる。

 3月30日、ブルームバーグがサウジアラビアのムハンマド副皇太子にインタビューを行った。5時間に及んだインタビューの中でムハンマド副皇太子は、「サウジアラビアは石油の時代の終幕に備え、世界最大の政府系ファンド(SWF)を経済の中心に据えることで原油依存からの脱却を図る」という壮大な構想を明らかにしている。

 SWFの規模は最終的に2兆ドルを超すとしている。2兆ドルと言えば株式時価総額で世界トップのアップルやアルファベット(グーグルの親会社)、マイクロソフト、バークシャー・ハサウェイを変える大きさである。

 その皮切りが、国営石油会社のサウジアラムコの株式売却である。新規株式公開(IPO)は早ければ2017年に5%未満の株式を売却し、サウジアラムコを石油大手から複合的工業企業(コングロマリット)に変身させる予定である。同社の格式売却益を元手にSWFはサウジアラビア経済の主役として国内外で資金を投じる方針だ(同ファンドの国外投資比率は現在5%だが2020年までに50%に引き上げるという目標を掲げている)。

 ムハンマド副皇太子は、これにより「サウジアラビアの歳入の源は原油から投資に変わり、20年後にはサウジアラビアは石油に大きく依存する経済ではなくなる」と豪語する。

 このように建国以来最大の大改革に取り組もうとしているサウジアラビアが、増産凍結による原油価格の上昇は「原油立国から投資立国へ」という改革の足かせになるばかりか、「仇敵であるイランや米シェール企業が恩恵に浴するだけで実りが少ない」と考えている可能性は否めない。

 しかし、サウジアラビアで石油が発見されてからまもなく80年、長年にわたる政府からの援助に慣れている王族をはじめとする保守層が、ムハンマド副皇太子が行おうとしている大変革についていくことができるだろうか。サウジアラムコのIPOひとつをとっても、王族にとって虎ノ子とも言えるサウジアラムコの経営の実権を欧米資本に手放すことができるかどうか疑問である。また、上場すれば株主の利益を優先する必要が生じるため、サウジアラビアはこれまでのようなシェア重視の石油戦略を採れなくなる可能性が高い。

 若年層に人気があるとされるムハンマド副皇太子は、「予算の穴」を防ぐために2020年までに補助金の見直しや付加価値税・手数料の導入で年間1000億ドル増加させることを計画している。だが、国民の不満の高まりを甘く見ると予想外のしっぺ返しに遭うことだろう。

原油価格が20ドル割れすると何が起きるのか

 増産合意とあわせて市場関係者が注目している米国のシェールオイルの動向だが、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが公表した週間統計(4月8日終了週)によれば、石油掘削リグ稼働数は8基減の364基となった(ピーク時の4分の1以下)。だが、原油生産は1割程度しか減少していない。

 2015年後半以降、シェール企業の経営破綻件数が増加しているが、連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)を申請しても「DIPファイナンス」により、操業を続けているケースが多いことが分かってきた(DIPファイナンス=倒産企業が申し立て直後から計画認可までの期間において事業の価値を維持させるために必要な運転資金を融資する)。操業中の油井の追加生産コストが1バレル=17〜23ドル(4月4日付ロイター)であるため、原油価格が20ドル割れしない限り、シェールオイルの生産が高止まりする可能性が高いのである。このことは、増産合意が不発に終われば、原油価格が20ドル割れにならない限り世界の原油市場の需給調整が進まないことを意味するのではないだろうか。

 一方、原油価格が20ドル割れすれば、米企業の業績悪化に端を発して世界全体の株価が暴落する。そうなればサウジアラビアが描いている「原油から投資へ」とのビジョンが「絵に描いた餅」になってしまう。

「たかが原油、されど原油」

 サウジアラビア首脳が再度OPECの雄としての自覚を取り戻すことを願うばかりである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/46586


 

スーパーヒーローはいつどのような時に必要か
公開中『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の社会学
2016.4.15(金) 竹野 敏貴
「グッチ」、俳優ベン・アフレックの映画衣装提供
映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の主役ブルース・ウェインを演じる俳優ベン・アフレック〔AFPBB News〕
 キャプテン・アメリカ、スパイダーマン、アイアンマン、超人ハルク、グリーンランタン、X-メン、ウルヴァリン、デアデビル、マイティ・ソー・・・名だたるスーパーヒーローの中でも圧倒的に知名度が高いのがスーパーマンとバットマン。

 その2者対決が見られる『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)が劇場公開されている。様々なスーパーヒーローが共有する世界「DCエクステンディッド・ユニバース」での物語、『マン・オブ・スティール』(2013)に続く第2弾である。

 スーパーヒーローものと言えば、「子供向け」「くだらない」と一蹴する向きは少なくない。しかし、社会や政治と深く関わり、時代や流行に応じ、再生や変性を繰り返してきたキャラクターやプロットは、多くのことを考えさせる。

 不況に苦しみ、戦火忍び寄る1930年代の米国では、新聞漫画が人気だった。

スーパーマンが誕生した時代

 やがて、その多くは、一握りの若手作家の新作を合わせ、コミックブックとなるのだが、オハイオのティーンエージャー、ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターが、1933年に発表した作品のキャラクターには、新聞社も大手出版社もあまり興味を示さなかった。

 しかし、1938年、DC Comicsが権利を獲得、「アクションコミックス」創刊号に載せると、一大ブームを巻き起こすことになる。赤いマントをはおり、青い全身タイツの胸にはSのマーク。スーパーマンである。

 ただ飛ぶことはなく、パワーもそこそこ、架空の大都市「メトロポリス」で、ギャング、悪徳政治家、ブラック企業などに立ち向かう犯罪見張り人といった感じだった。

 両親も故郷の星クリプトンも失い、地球にやって来たエイリアンの物語は、移民国家米国の住民自身にも重なったのかもしれない。翌年、新聞漫画、さらには単行本となり100万部以上売れた。そして、ラジオドラマ。

 「弾より速く、機関車よりも強く、高いビルもひとっ飛び。空を見ろ、鳥だ、飛行機だ、いや、スーパーマンだ!」飛ぶことを始めたスーパーマンはアニメの主人公にもなった。

 DCは、1939年、ボブ・ケインの生み出した新たなキャラクター、バットマンを登場させる。

 幼い頃、目の前で両親を殺された「ゴッサムシティ」の大富豪実業家ブルース・ウェインが、マスクとマントをまとい、卓越した頭脳と鍛え上げられた肉体、ガジェットを駆使、悪を駆逐し、市民を守る。

 スーパーヒーローは次々と創造され、1941年には、女性ファンを増やそうと、不老のアマゾン族王女「ワンダーウーマン」の物語も登場する。

 スーパーヒーローは、第2次世界大戦中も大活躍した。Timely Comics(のちのMarvel Comics)のキャプテン・アメリカは、愛国心に燃え戦った。ワンダーウーマンもナチスを打ち負かした。

 1943年、バットマン初の実写映像作品となった15分ものの連続活劇でも、悪役は日本人だった。コミックブックは、兵士の手に渡り、元気づけた。

戦争プロパガンダに貢献

 スーパーヒーローは、銃後の士気を高め、古紙や屑鉄を集めるよう、戦時公債を買うよう、訴えた。戦争プロパガンダのごとき役割を果たし、戦時は売り上げが急増する「ゴールデンエイジ」だった。

 戦争は終り、読者の興味は、スーパーヒーローから、西部劇、ギャングもの、ホラーなどへと向かった。

 保守的となる世で、秩序の見張り人となったスーパーマンは、連続活劇の主人公となり、1951年、映画『スーパーマンと地底人間』(日本劇場未公開)で演じたジョージ・リーヴスは、続くテレビシリーズでもスーパーマンとなった。

 「Truth」と「Justice」、そして「American Way」のため、スーパーマンは奮闘し続けた。しかし、1954年、精神科医フレデリック・ワーサム博士の著書に始まるコミック排斥運動では、「反アメリカ」、「ファシスト」とさえ批判されることになる。

 非行少年の多くがコミックを読んでいたという調査結果を挙げ、コミックが非行の一因、と非難したのである。多くが賛同、編集者は上院で喚問された。

 政府の検閲を恐れ自主規制、「Comics Code Authority」マークが表紙に載るようになった。それは、性的表現、過剰な暴力に加え、「不道徳と見なされる行為」にも及び、結果、コミックは子供の読み物とのイメージが定着、反抗的若者文化のパワーの行き先を、ロックンロールに譲るようになる。

 1959年、6シーズン、スーパーマンを演じてきたリーヴスが急死する。公式発表は自殺。しかし、疑問を持つ者は少なくなかった。

 スーパーマンのイメージ脱却を望みながら叶わず、悩んでいたというリーヴスの死については、ミステリー『ハリウッドランド』(2006)が、いくつかの仮説を提示している。

 この作品でリーヴス役を好演、ベネチィア国際映画祭男優賞を獲得したベン・アフレックは、愛人役のダイアン・レインと『バットマンvsスーパーマン』で、バットマンとスーパーマンの地球での母親役として再共演している。

 リーヴスの死とともに、テレビシリーズは終わったが、コミックのスーパーマンは、翌1960年、バットマン、ワンダーウーマンなどとともに、DCオールスター「Justice League of America」創立メンバーとなった。

スーパーマン物語を雄弁に語る作品

 同様に、マーベルでは、キャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルクなどが集う「アベンジャーズ」が、1963年、結成されている。

 1966年、バットマンの実写テレビシリーズが始まった。擬音の吹き出しが画面に踊るポップな番組は人気となり、すぐさま映画版も作られた。

 一方のスーパーマンはブロードウェイ・ミュージカルとなったものの不発。不調からの脱出を果たしたのは、1978年のクリストファー・リーヴ演じる映画版だった。

 1作目と2作目をまとめて撮影していた作品は、製作日数も製作費もかさみ、プロデューサーと対立したリチャード・ドナー監督が2作目を途中降板、1作目も当初の予定とは違う仕上がりとなってしまった。

 とは言え、1作目は『マン・オブ・スティール』とともに、スーパーマンの物語の基本を知るには絶好。

 クリプトン星人の悪役ゾッドと戦う2作目も楽しめるが、善悪2人のスーパーマンが登場する3作目は微妙、核兵器廃絶という社会的テーマがあっても1987年製作の4作目は残念ながら失敗作と言わざるを得ない。

 そんな1980年代半ば、アメコミ界に、50年代以降激減していた大人の読者を呼び戻す才人たちの秀作が登場する。その1つが、ヒューゴー賞受賞唯一の漫画作品、英国人アラン・ムーア原作の「ウォッチメン」。

 「見張り人」を意味する題名のスーパーヒーローたちの皮肉に満ちた物語は、様々な社会的、科学的要素を含み、2009年、『バットマンvsスーパーマン』『マン・オブ・スティール』のザック・スナイダー監督の手により映画となった。

 ヒーローたちの活動で、米国はベトナム戦争に勝ち、リチャード・ニクソンは大統領3選、と歴史が変わっている。

 そして、1985年の「いま」、米ソ核戦争勃発の瀬戸際にある。そんななか、あるヒーローが殺害され・・・現実世界にスーパーヒーローがいたらどうなるか、オープニングタイトルバック最後に示される「誰が見張り人を見張るのか」という言葉が身に染みる。

スーパーヒーローの中にある人間味

 もう1人の鬼才フランク・ミラーの原作、作画による「バットマン:ダークナイト・リターンズ」は、より暴力的、より官能的、より内省的に、バットマンの世界を変えた。

 そのダークなイメージは、ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)にも影響を与えているが、さらに続く映画化作『バットマン・リターンズ』(1992)『バットマン・フォーエバー』(1995)『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997)ともども、荒唐無稽なファンタジーという側面が極めて強い。

 しかし、クリストファー・ノーラン監督が手がけた「ダークナイト3部作」となると、リアルな人間としてのダークサイドの描写が極めて強くなる。

 第1作『バットマン・ビギンズ』(2005)では、「バットマンの人格」形成に決定的影響を与えるブルースの少年期のトラウマが詳細に描かれる。

 ヴィラン(悪役)の闇も深い。続く『ダークナイト』(2008)でヒース・レジャーが見せた「ジョーカー」の予測不能の狂気。第3作『ダークナイト ライジング』(2012)のトム・ハーディ演じる「ベイン」の強烈な破壊力。

 もちろんファンタジーであることは変わらない。しかし、スーパーヒーローにもスーパーヴィランにも人間としての深みがある。どれも2時間30分前後の長編だが、卓越した演技陣の織りなすダークな世界は、見る者を全く飽きさせない。

 3部作を撮り終えたノーランは、続いて、『マン・オブ・スティール』の製作・原案を手がけた。

 2006年には、リチャード・ドナー監督路線の「続編」とも言える『スーパーマン・リターンズ』が製作されていたが、さらなる続編構想が広がらず、様々なスーパーヒーローが共有する「DCエクステンディッド・ユニバース」でのスーパーマン誕生物語を再構築したのである。

 そこに続く『バットマンvsスーパーマン』には、闇の騎士のゴッサムシティと鋼鉄の男のメトロポリスが共存している。ともに不公正な世界で正義を求めながら、決して価値観を同じくすることはない。

 根本的に世界観の異なるスーパーヒーローたちを巡る物語は、混迷深まるいまの世で、正義とは、善とは、利他とは、故郷とは、国とは、政治とは・・・様々なことを考える機会を与えてくれる。

(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)

(1173)バットマンvsスーパーマン (803)(再)マン・オブ・スティール (1005)(再)ハリウッドランド
(1174)ウォッチメン
バットマンvsスーパーマン
1173.バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 Batman v Superman:Dawn of Justice

(監督)ザック・スナイダー
(出演)ベン・アフレック、ヘンリー・カビル、ジェシー・アイゼンバーグ、エイミー・アダムス、ダイアン・レイン、ジェレミー・アイアンズ、ローレンス・フィッシュバーン
 スーパーマンは、消滅した故郷クリプトン星の生き残り、ゾッド将軍との戦いを勝利し、人類を消滅の危機から救った。

 戦いの場となったメトロポリスにいたブルースは、多くの人間が犠牲となり、街が破壊されるさまを目の当たりにし、異星人は人類への脅威であるとの認識を強める。

 18か月後、アフリカ。ロイスが武装勢力の取材をしている。しかし、同行していた男がCIA(米中央情報局)であることが露見。銃撃戦となり、ロイスも捕まってしまう。

 そこに現れたのがスーパーマン。ロイスは助けられた。しかし、この時の村の破壊の責任が、スーパーマンに向けられることになってしまう。

 執事のアルフレッドと武器商人について調べているブルース。億万長者レックス・ルーサーが経営する「レックス・コープ」との関係をつきとめるため、ルーサーのパーティに出席する。しかし、せっかくダウンロードしたデータを見知らぬ女性に盗まれてしまう。

 ブルースにはバットマンというもう1つの顔があった。そんなバットマンのやり方にスーパーマンは疑問を感じていた・・・。

 『マン・オブ・スティール』(2013)に続く、様々なスーパーヒーローが共有する世界「DCエクステンディッド・ユニバース」での物語第2弾。さらに、『スーサイド・スクワッド』『ワンダーウーマン』『ジャスティス・リーグ パートT』と続く予定である。

マン・オブ・スティール
(再)803.マン・オブ・スティール Man of steel 2013年米国映画

(監督)ザック・スナイダー
(出演)ヘンリー・カビル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン
(音楽)ハンス・ジマー

 長年の乱開発で爆発目前となっている高度な文明を誇る惑星クリプトン。科学者ジョー=エルは未来を憂い、息子カルを宇宙船にのせ地球へと送り出した。

 カンザス州スモールヴィルで、農夫ジョナサン・ケントに発見されたカルは、クラークと名づけられ育てられた。

 成人したクラークは、旅先のカナダでクリプトンの宇宙船と接触、自分が地球へとやって来た理由を知る。そして、爆発したクリプトンの生き残りゾッド将軍が地球へとやって来て・・・。

 『スーパーマン・リターンズ』(2006)に至るまでのイメージを放棄、新たに英国人俳優ヘンリー・カビルをスーパーマンに起用し、リブートした新装シリーズ第1弾。

 ケヴィン・コスナー、ダイアン・レイン、ラッセル・クロウなど、豪華メンバーが脇をかため、映像にも音響にも凝った作品に仕上がっている。

ハリウッドランド
(再)1005.ハリウッドランド Hollywoodland 2006年米国映画

(監督)アレン・コールター
(出演)エイドリアン・ブロディ、ダイアン・レイン、ベン・アフレック

 1959年6月16日。「アドベンチャーズ・オブ・スーパーマン」の主演俳優ジョージ・リーヴスがハリウッドの自宅で死亡しているのが発見された。

 ロサンゼルス市警は自殺と断定。しかし、自殺を信じないジョージの母は私立探偵ルイスに調査を依頼する。ルイスは、大手映画会社重役の妻との関係をつかむが・・・。

 一世を風靡したテレビのスーパーマン俳優の死を巡る探偵ミステリーである。

ウオッチメン
1174.ウォッチメン Watchmen 2009年米国映画

(監督)ザック・スナイダー
(出演)パトリック・ウィルソン、マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、ジャッキー・アール・ヘイリー、マシュー・グッド

 1985年.冒頭、ニクソン大統領が登場、米ソが核戦争勃発の危機にあることが示される。そして、テレビを見ていたスマイルバッジをつけた男が殺害される。

 タイトルバックに映し出されるヒーローたちの活躍、その死、引退。日本降伏に沸く米国、ケネディ大統領暗殺、ベトナム戦争、ニクソン3選・・・。

 スマイルバッジの男は、米国陰の力となってきたヒーロー「コメディアン」だった。事件捜査に乗り出していたヒーロー「ロールシャッハ」は、ヒーロー抹殺が謀られていると考え・・・。

 『300 スリーハンドレッド』(2007)に続き、ザック・スナイダーが描くアメコミの世界。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46594


 

 


ほら吹きと核爆弾:トランプと金正恩が煽る論争
2016.4.15(金) The Economist 英エコノミスト誌 2016年4月9日号)

核安保サミット共同声明、進化する過激派の脅威に警鐘
米首都ワシントンで開かれた核安全保障サミットで集合写真撮影に臨む各国首脳(2016年4月1日撮影)。(c)AFP/MANDEL NGAN〔AFPBB News〕
ドナルド・トランプと金正恩は核拡散の可能性を高めたがっているようだ。

 道徳的な観点から言えば、ドナルド・トランプ氏は金正恩(キム・ジョンウン)氏には似ていない。彼は子供を強制収容所に送ったりはしない。しかし、あの大言壮語の大立者(おおだてもの)とけんか腰の専制君主との間には、いくつか共通点がある。


 自画自賛する癖があること、事実の解釈が独特なこと、自分の国の周りに高い壁を築きたがることなどがそうだ。彼らはまた、北東アジアでの核拡散についての議論も2人がかりで巻き起こしている。

 北朝鮮が初めて核を手に入れた10年前には、多くの人が周辺諸国もすぐに追随するのではないかと懸念した。韓国、日本、台湾はいずれも高い技術力を持ち、脅威を感じる理由もある。しかし、この3者はまだ核武装していない。

 そして、金正恩氏が水爆だと呼んでいるものの実験をしたり、トランプ氏が「米国の防衛負担をなくすために日本と韓国は自前の核爆弾を持つべきだ」と説いたりしても、核保有に対する3者の自制は続きそうだ。

 国際戦略研究所(IISS)のマーク・フィッツパトリック氏は近著『Asia’s Latent Nuclear Powers(アジアの隠れ核保有国)』で、韓国、日本、台湾のうち核兵器を手に入れる可能性が最も高いのは韓国だが、実際に入手することはないだろうと論じている。

 韓国の世論調査では、回答者の3分の2近くが核武装を支持している。政治家の中にも賛同者がいる。現代財閥の創業家の出身で2012年の大統領選挙に出馬した経験を持つ鄭夢準(チョン・モンジュン)氏もその1人だ。

 北朝鮮が核実験を先日行った後、鄭氏は韓国に対し、核拡散防止条約(NPT)から脱退することと、北朝鮮を核交渉の場に引きずり出す唯一の方法として核爆弾の保有を目指すことを求めた。鄭氏は自身のブログで、それこそが「冷戦の教訓」だと記している。

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トランプの"暴言"に感謝してもし足りない日本 (2016.4.11 森 清勇)
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46596


パナマ文書と中国政治がハードランディングするリスク
2016.4.15(金) 黒瀬 浩一
「パナマ文書」の法律事務所、各国のスパイも利用 独紙報道
パナマの法律事務所モサック・フォンセカの中国・上海事務所(2016年4月6日撮影、資料写真)。(c)AFP/JOHANNES EISELE〔AFPBB News〕
 経済のハードランディング懸念が和らいだ中国だが、今度は、政治のハードランディング懸念が生じつつある。きっかけは急に勢いがついた習近平国家主席に対する批判だ。

 習近平は、毛沢民の絶対権力とケ小平の改革開放思想を足して2で割ったリーダーだと極めて高く評価されてきた。

 確かに新シルクロード構想や反腐敗運動は、経済発展のキャッチアップ段階を終え、「中進国の罠」の克服が最大の課題である中国にとって、正しい方向だ。

 その決断と実行は、世界のどの政治家もまねができないものだと高く評価して良いだろう。ところが、風向きが変わりつつある。

 3月の全人代では、檀上で後ろから習近平の肩をたたいて呼び止めるなど国家主席の権威をないがしろにする行動を王岐山がした。王岐山は、習近平とは幼少時代からの友人で、下放の経験を共有する盟友とされ、党中央規律検査委員会書記として反腐敗運動を陣頭指揮するトップ7の1人だ。

 また、習近平が自らを「同志」ではなく毛沢東以来の「革新」と呼ばせようとした目論見は失敗した。更に、一部メディアに全人代開催期間中に出た習近平に辞任要求する論文、国営通信社が流した「中国の最後の指導者」が「最高指導者」の誤字だとする記事、など1年前ならあり得なかったことが現実に起きている。

 背景はパナマ文書である可能性が高い。パナマ文書は、パナマの有力な法律事務所の顧客名簿やオフシェ勘定を使った蓄財の内容などがサイバー攻撃で流出したもので、2015年にその存在が知られるようになった。

 中身が中身だけに、ワシントンに本部のある非営利団体である国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative Journalists)が内容を精査して、一部が4月3日に発表された。

 各国のメディアはトップニュースの扱いで報道した。膨大な量の完全版は5月に正式に発表される予定だ。そのパナマ文書によると、習近平の親族が巨額の不正蓄財を行っていた可能性が高いことが暴露されている。中国国内ではパナマ文書は検閲されて見られない模様だ。

 今年の秋には6中全会が控えている。これは、習近平の後任の国家主席が誰になるかを方向付ける極めて大事な会議になるとされている。昨年8月には天津で爆発事故があり、習近平の後任の国家主席と目されていた共産党幹部が失脚した。

 このタイミングでパナマ文書がもとで習近平の権力基盤が大きく揺らぐこととなれば、中国の政治がハードランディングするリスクを意識せざるを得なくなるだろう。中国からの資本逃避は反腐敗運動の高まりと相関が高く、政治リスクが通貨変動リスクに結びつく可能性もある。政治の安定があって初めて安定した経済政策運営が可能なだけに、注意が必要な情勢だ。

 今のところ中国の金融市場に動揺の兆しは出ていない。しかし、パナマ文書の暴露から2日後には不適切な蓄財が暴かれたアイスランドの首相が辞任した。リスク回避のセンチメントが増大すれば、円高など資金フローがリスク資産から安全資産にシフトする可能性があることには、注意が必要だろう。

(*)本記事は「りそな銀行 エコノミスト・ストラテジスト・レポート 〜鳥瞰の眼・虫瞰の眼〜」より転載したものです。

(*)投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。本記事の情報に基づく損害について株式会社JBpressは一切の責任を負いません。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46592


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