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日経平均前引け、続落 503円安の1万6344円(日経新聞)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/610.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 18 日 13:17:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日経平均前引け、続落 503円安の1万6344円
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL18HIG_Y6A410C1000000/
2016/4/18 11:39 日経新聞


 18日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落し、午前の終値は前週末比503円94銭(2.99%)安の1万6344円09銭だった。円高と原油先物相場の急落を背景に投資家心理が悪化した。買いを手控える動きが広がり、小口の売りで下げがきつくなる主力株が目立った。熊本地震の影響で全国の完成車工場の生産を段階的に停止すると発表したトヨタは一時、同6.8%安まで下落した。日経ジャスダック平均株価は8営業日ぶりに反落し、午前の終値は同4円56銭(0.19%)安の2444円81銭だった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕


            ◇

東証後場寄り、下げ幅縮小 原油安・円高の売り一巡、地震懸念も下値に買い
http://www.nikkei.com/article/DGXLASS0ISS14_Y6A410C1000000/
2016/4/18 12:59 (2016/4/18 13:10更新) 日経新聞

 18日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は下げ幅をやや縮小している。前週末比520円安の1万6300円台前半で推移している。原油安や円高を警戒した売りが一巡、下値では政策期待への買いが相場を下支えした。JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も下げ幅をやや縮小した。

 先週末から相次いだ熊本地震で企業への影響が懸念されている。週明けの18日には多くの企業が地震への被害状況について発表、先行きの不透明感がやや薄らいで売りが手控えられた。

 前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約302億円成立した。

 12時45分現在の東証1部の売買代金は概算で1兆1477億円、売買高は12億6759万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1678で前引けからやや減った。値上がりは224、変わらずは48銘柄だった。

 トヨタやソニーが引き続き安い。ロームは後場に一段安だった。日産自や国際石開帝石は後場に入り下げ幅を縮小した。一方、前田建や日成ビルドが上昇した。ライトやカナモトが上げた。旭化成は後場に上げに転じる場面があった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

 

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コメント
 
1. 2016年4月18日 16:33:08 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[418]
日本株は大幅続落、産油国会合不調や円高、熊本地震余波−32業種下げ
佐野七緒
2016年4月18日 08:06 JST 更新日時 2016年4月18日 15:27 JST

18日の東京株式相場は大幅続落。産油国会合で増産凍結が見送られた上、20カ国・地域(G20)会合では日本の為替介入への妥当性が認められず、原油安や円高進行リスクを懸念する売り圧力が強まった。熊本地震によるサプライチェーンや観光需要などへの悪影響も警戒された。
  東証1部33業種は、地震関連保険の支払い増加などを見込む売りに押された保険株が下落率トップ。その他金融や銀行、証券・商品先物取引など金融株、輸送用機器や電機など輸出株、海運や電気・ガス株など32業種が安い。地震復旧需要を見込む格好で、建設1業種のみ上昇。
  TOPIXの終値は前週末比41.25ポイント(3%)安の1320.15、日経平均株価は572円8銭(3.4%)安の1万6275円95銭。下落率の大きさは1日以来、およそ2週間ぶり。
  SMBC信託銀行の山口真弘シニアマーケットアナリストは、「原油の増産凍結への合意が次回会合へ持ち越しになり、リスクを落とす流れになっている」と指摘。為替市場では円高も進み、「G20では円の介入に対し米国から完全にくぎを刺された印象。まだ下値リスクはあり、今後の決算への影響が懸念される」と話した。
  17日にカタールのドーハで開かれた石油輸出国機構(OPEC)加盟国や他の産油国が参加した会合では、増産凍結で合意できなかった。増産を計画するイランが欠席。事情に詳しい関係者によると、サウジアラビアがイラン抜きのいかなる合意にも同意しない姿勢を示し、協議が難航した。18日の時間外取引でニューヨーク原油先物は一時6.8%安と急落、1バレル=37ドル台を付けた。
  米ワシントンで14、15日に開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議の声明は、通貨の競争的な切り下げ回避を再確認する一方、為替相場の過度の変動や無秩序な動きが経済や金融の安定に悪影響を与え得る、との文言を盛り込んだ。麻生太郎財務相は、ルー米財務長官らとの間で無秩序な為替相場の動きは望ましくないことを再確認した、と発言。その後ルー長官は、日本は内需喚起に集中する必要があり、為替市場の動きは「秩序的だ」と言明した。
  きょうのドル・円相場は1ドル=107円70銭台−108円40銭台のレンジで推移と、15日の日本株終了時点109円60銭に対し、円高・ドル安方向に振れた。国内の長期金利は1カ月ぶり低水準を付け、新発20年債と30債利回りは過去最低を更新した。
  また、最大で震度7を観測した14日夜に続き、16日未明にも熊本県を震源にマグニチュード7.3の大規模な地震が発生、気象庁は熊本地震の「本震」が起きたとした。トヨタ自動車は17日午後、4月23日まで段階的に全国26ラインの稼働を停止すると発表。ホンダ広報によると、二輪車や発電機などを製造している熊本製作所を22日まで操業停止とする予定だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、トヨタ系列への減産に伴う利益への影響は3−7%と試算している。
  野村証券投資情報部の小高貴久エクイティ・マーケット・ストラテジストは、過去の震災発生時には「海外の資金を円に戻すことで円高になる経験則もある。サプライチェーンの寸断に伴う生産調整がいつまで続くのかも判明していない」とし、熊本地震の影響に懸念を示した。
  業種別下落率1位の保険については、ゴールドマン・サックス証券が15日、法人地震保険は損失発生の可能性があると指摘。今後判明する被害状況や一部工場で稼働停止に伴う逸失利益の補填(ほてん)などにより、保険金支払いが発生する可能性は否定できないと言及した。
  売買代金上位ではトヨタやソニー、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソフトバンクグループ、ファーストリテイリング、ファナック、村田製作所、富士重工業、マツダ、東京海上ホールディングスなどの下げがきつく、ソニーには東海東京調査センターの投資判断引き下げ、村田製には16日付日本経済新聞の報道を材料に、iPhone向け部品需要の減退観測もあった。下落率上位には熊本県内工場が停止中のルネサスエレクトロニクス、九州旅行需要への悪影響懸念でエイチ・アイ・エス、西日本鉄道、藤田観光が並んだ。
  半面、今後の熊本地震からの復旧需要を見込み、若葉建設や大林組、大成建設、太平洋セメント、鹿島、不動テトラなど建設、セメント関連銘柄は逆行して高い。東証1部の売買高は21億8206万株、売買代金は2兆1313億円。上昇銘柄数は209、下落は1696。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-17/O5SVAO6JTSEA01


米国株、近くて遠い最高値
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ニューヨーク証券取引所(NYSE) PHOTO: MICHAEL NAGLE/BLOOMBERG NEWS
By
SAUMYA VAISHAMPAYAN AND MIN ZENG
2016 年 4 月 18 日 15:10 JST
 今年の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が年初から5営業日の実績として過去最大の下げ幅を記録したが、現在は過去最高値をうかがう展開となっている。
 ダウ平均は2月に付けた年初来安値から14%上昇しており、この上昇相場で主要米株価指数は最高値を更新する可能性もある。米連邦準備制度理事会(FRB)が3月、年内の利上げについて一層の慎重姿勢を示して以来、株式相場の数カ月先の見通しは改善している。
 原油価格の回復も株高に拍車をかけた。米原油価格はダウ平均と同じ日に年初来安値をつけた。だが主要産油国が17日、カタールのドーハで行った協議で増産凍結の合意に達しなかったことを受け、こうした上げ幅は脅威にさらされている。今年の株式市場は原油価格が急落したときに売られる傾向がある。
 ダウ平均は最高値が射程圏内にある一方で、これまで何度もここまで来てハードルを越えられていない。世界の経済成長が依然低調で、企業決算の見通しが冷え込んでいることがその一因だ。
 昨年のダウ平均は8月に直近高値からの下げが10%に達し、2011年以来初めて調整局面入りした後、年末にかけて何度か最高値を試した。一時は15年5月19日に記録した過去最高値(1万8312.39ドル)まで2.2%に迫る場面もあった。
 現在のダウ平均は見慣れた水準に戻っている。先週は一部の大手米銀の決算がさえない結果ではあったが予想を上回ったため、ダウは銀行株主導で上昇し、1万7897.46ドルで取引を終えた。終値ベースの最高値を2.3%下回る水準だ。S&P500種指数も、15年5月21日に付けた終値ベースの最高値(2130.82)まで2.4%に迫っている。
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ダウ工業株30種平均の推移(左)とNYSEで52週高値を付けた銘柄数
 米株価指数が最高値を今回何とか超えられる兆しは複数あるとアナリストらは指摘している。
 株価の上昇は広範囲に及んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のデータによると、ニューヨーク証券取引所(NYSE)ではここ2カ月で値上がり銘柄数が値下がり銘柄数に比べ増えており、昨年5月の水準を上回っている。52週高値を付けた銘柄数も今年は増えている。いずれの数字も、足元の上昇相場が数少ない銘柄の大幅な値上がりではなく、多数の銘柄の上昇に支えられていることを物語っている。
 米国がリセッション(景気後退)入りする可能性が取りざたされていた年初に比べ、市場心理は改善している。米個人投資家協会(AAII)の最新調査(14日付)では、強気の見方を示す投資家の割合が27.85%に達し、1月14日の17.9%を上回った。
 だが、投資家は決して陶酔感に浸っているわけではない。AAIIが発表する強気の割合は、1987年の調査開始以来の平均である38.57%を下回っており、15年初めに記録した約50%には遠く及ばない。
 相場の強力な手掛かりとなる企業決算の見通しやバリュエーション(株価評価)が、一部の投資家を思いとどまらせている。
 ウェルズ・ファーゴ証券の株式ストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムズ氏は「(1-3月期決算への)期待はかなり低く、容易に超えられるものだが、株価の見通しを改善させるのが限界だ」とした上で、「市場の高値更新を正当化するには恐らく、利益予想が上向く必要がある」と述べた。
 投資家を慎重にさせるもう一つの要素は、2月半ば以降の株高をよそに、米国債など安全資産の価格が高水準を維持していることだ。指標銘柄の10年物米国債利回りは前週末に1.753%へ低下(価格は上昇)し、2012年夏に記録した終値ベースの過去最低まで0.4ポイントに迫った。
 各国中央銀行が景気活性化のため金融緩和策を実施する中、株式と債券の価格はいずれもここ数年で上昇している。FRBは利上げの方向に向かっているが、段階的に実施することを示唆している。欧州中央銀行(ECB)と日本銀行は景気てこ入れとデフレリスクの抑制に向け、緩和策を続けている。
 国際通貨基金(IMF)は12日、世界経済の成長見通しを再び下方修正した。
 ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、ジーウェイ・レン氏は、ここ2カ月は株式を購入しておらず、保有社債の一部を売却したと述べた。
 同氏は世界経済の成長が加速しなければ、株価が上昇し続けるのは難しいだろうと懸念している。「低成長、低インフレの世界では、金融システムが衝撃の影響を受けやすい。金融面の衝撃を和らげる最善の手段は経済成長だからだ」と語った。
関連記事
• 欧米株式市場の「恐怖指数」、格差広がる
• 先週の米国株は5週連続上昇、FRBのハト派姿勢で
• G20声明、根強い下振れリスク指摘−成長後押しへ財政出動
https://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CP211_ABREAS_16U_20160417181206.jpg

 

円全面高、原油急落受けリスク回避−ドーハ会合失望で資源国通貨売り
小宮弘子
2016年4月18日 09:25 JST 更新日時 2016年4月18日 15:38 JST
対ドルで一時107円77銭、11日の1年5カ月ぶり高値107円63銭に迫る
対ユーロでは121円72銭と2013年4月以来の水準まで円高進む

18日の東京外国為替市場では円が全面高。産油国会合による増産凍結の合意失敗を受け、原油先物や資源国通貨が急落する中、リスク回避に伴う円買いの動きが強まった。ルー米財務長官が日本の円売り介入をけん制するような発言をしたことも、円買いを後押しした。
  円はカナダドルやオーストラリアドルなど資源国通貨に対して前週末比1%以上上昇。対ドルでは早朝に1ドル=107円77銭と先週末のニューヨーク市場終値(108円76銭)から約1円値を切り上げた。その後、108円台半ばまで戻す場面も見られたが、円買い優勢の流れは変わらず、午後3時35分現在は108円03銭前後。円は対ユーロで一時1ユーロ=121円72銭と2013年4月以来の高値を付け、同時刻現在は121円91銭前後で取引されている。
  みずほ銀行国際為替部グローバル為替営業チームの竪智司次長は、ドル・円は産油国間で増産凍結の合意がなされなかったことや日米の為替へのスタンスにギャップがあることなどを手掛かりに売られており、「市場のセンチメント的にも下攻めがしやすくなったとは思う」と説明。欧米市場で原油価格がさらに下押ししたり、リスクオフムードがさらに高まったりした場合には、今月11日に付けた約1年5カ月ぶりの円高値107円63銭を割り込む展開になりそうだと語った。 

  石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の他産油国が参加したカタールの首都ドーハでの会合は、増産凍結で合意できなかった。増産を計画するイランは17日の同会合を欠席。ロシアのノバク・エネルギー相が会合終了後に記者団に語ったところによれば、サウジアラビアなど湾岸諸国が、イランを含む全OPEC加盟国が参加しない合意には同意しない姿勢を示し、協議は暗礁に乗り上げたという。
  増産凍結合意の失敗を受け、原油先物相場はアジア時間18日の時間外取引で急落。米株価指数先物も値下がりし、東京株式市場では日経平均株価が600円近い下げとなった。
  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、熊本地震の被害が拡大しており、交通網や生産への影響が出始めていることも株にとってポジティブではないと指摘。原油安の再燃など条件がそろって「ドル・円は重い展開」と説明した。 
   ルー米財務長官は15日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見で、「最近の円高にもかかわらず、為替市場は秩序を保っている」と述べた。これに先立ち、麻生太郎財務相はルー米財務長官らとの間で、無秩序な為替相場の動きは望ましくないことを再確認したと述べていた。
  IG証券の石川順一マーケットアナリストは、円買い圧力が強まっている背景には「日米当局の為替政策への態度で食い違いが示唆されたこと」もあるとし、月末に日本銀行の金融政策決定会合を控えて、「円高・株安やアベノミクス政策能力への批判が高まりかねず、日銀は動かざるを得ない状況」と指摘した。
  一方、クレディ・アグリコル銀の斎藤氏は、「ルー米財務長官の発言は為替介入全体を否定しているわけではない」とし、「通貨安競争に参加すべきではないと言っても、スムージングオペレーションであれば介入できないわけではない」と指摘。「財務省は過度な為替の変動には対処すると思う」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-18/O5SYFP6KLVR601


 
2016年4月18日 田中泰輔(ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー)
円は100円台の高値を試す 一見正しい円高指標にご用心
円安サイクルは2月早々に終わった。日本銀行のマイナス金利導入という円安政策が効かないことへの失望が契機となった。ただし、円高を招いた最大要因は米国の景気減速と金利先高観の後退である。米景気の堅調なくして日銀の追加緩和の円安作用は発現しない。 
拡大する
ドル円が120プラスマイナス5円のレンジを1年強続けた後に115円を割り込み、残されたもろもろのドル買い・円売りポジションに損失が出る領域にまで落ち込んだ。 
短期的には、新たにドル買いのリスクを取るより、相場の戻りでドルを売りたいとする円高圧力が優勢になる。ドル円に好材料が出ても、相場の戻りが限られると、失望からドル売りを呼ぶ。ドル円に悪材料が出れば、そのままドル売りが促される。こうしてドル円は110円を割り込んだ。 
ドル円が110〜115円のレンジに立ち直っていくには、短期筋のドル売りが一巡し、中期的に米国の景気拡大と利上げ継続の観測が復活する必要がある。当面は100円台で円の高値を試す地合いが続くだろう。 
最近は円高を正当化する要因や指標が数多く喧伝されているが、相場指標として推奨し難いものも多い。例えば、日米インフレ格差で算出されるドル円の理論値=購買力平価(PPP)。本来は10〜20年の長期の為替相場を評価するもの。2、3年以内の相場変動を読む中期指標(主に景気サイクルと金融マネー関連)とは区別する必要がある。 
PPPは計算の基準時点を変えるだけで値も変わる。2014年夏までは上図のように90円程度をドル円のPPPとし、ドル円がそこから大きく離れて100円台を上昇する余地は限られるとの見方が大勢だった。しかし中期的にPPPからどれだけ乖離するかは、米景気拡大と日銀の異次元緩和の相乗効果で評価すべき場面だった。 
実際に120円超へと上昇すると、いつしか別基準のPPP=105円程度が出回った。ご都合主義的に語られがちなPPPの特定水準が、短中期相場を磁石のように引き付けるものではない。 
日本の経常黒字が円高を招くとの見方も一見正しい。しかし、為替取引全体の中で経常収支関連のシェアは小さく、ドル円の中短期変動への影響も小さい。経常収支もドル円も景気サイクルに沿っ て変化し、前者が後者に1.5年先行する傾向がある(下図参照)。
今回も経常黒字が拡大して1年半が過ぎ、円も上昇しつつある。経常黒字の需給を円高の主因とみるなら1年半も円安相場に乗れなかった。経常収支にしろ、PPPにしろ、足元の円高評価とは時間軸が異なり、今後の相場の変節を読む実践指標としては使えない。 
田中泰輔) (ドイツ証券グローバルマクロリサーチオフィサー

http://diamond.jp/articles/-/89736


 


ゴールド・シルバー・レシオ、年初来の最低に−チャート
James Poole
2016年4月18日 15:50 JST

  世界最大の商品消費国である中国の景気安定化の兆しを受け、銀価格が上昇し、金1オンスで買える銀の量が昨年12月以来最も少なくなった。銀は先週、5.7%値上がりしたが、金価格は下落した。世界の銀需要の半分以上は産業用だ。
原題: Gold-Silver Ratio Drops to 2016 Low as China Stabilizes: Chart
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-18/O5TGRE6JTSE901


中国がウェブ購入への課税強化−粉ミルクのダノンなど外国企業に打撃
Rachel Chang
2016年4月18日 15:44 JST

海外のウェブサイトで購入された商品について税の抜け穴に対応
乳製品会社は原材料登録証明書の取得を18年から義務付けられる

海外のウェブサイト経由で購入される製品について中国当局は税の抜け穴をふさぐことを目指しており、フランスのダノンなど乳幼児向け粉ミルクの海外メーカー各社は、小さいながらも急拡大してきた販路を失う恐れがある。
  中国政府は一部の海外企業に有利になっていた電子商取引制度を抜本的に見直し、海外のウェブサイトで販売され、中国の消費者向けに海外から出荷された製品を対象に今月から実質11.9%の増税を実施した。
  海外に住む中国人が本土の消費者のためにオンラインで粉ミルクやおむつ、ビタミンを購入して課税を回避しており、中国当局はこうしたグレーマーケットに対する取り締まりを強化している。フォーサイス・バーのアナリスト、ジェームズ・バスカンド氏は「中国当局がグレーマーケット対策を進めている」と指摘し、海外企業は直接販売に動く必要があるとの見方を示した。
  中国財政省は13日、乳製品会社が国家食品薬品監督管理総局から原材料登録証明書を取得することを2018年から義務付けると発表した。
原題:China Tax Rules to Cool Gray Market for Danone, A2 Baby Milk (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-18/O5TF776JTSEQ01



商品相場全般が底入れ、中国への懸念緩和やドル高で−シティグループ
Bloomberg News
2016年4月18日 12:07 JST

中国の需要見通しの改善やドル相場の上昇、需給がより引き締まる兆しが示されていることから、商品相場下落の最悪期は脱したとの見方を、米シティグループが示した。
  ブルームバーグが18日受信したリポートでエド・モース氏らアナリストは「商品全般が事実上底入れし、通常の状態に戻ろうとしつつある兆候が増えている」と指摘。石油・天然ガス市場は回復しつつあり、中国の不動産市場の回復で工業用金属も上昇していると述べた。
  アナリストらは最近の中国の安定化の兆しについて、「広範囲にわたる金融緩和を背景とした不動産市場活動とインフラ投資の改善の結果である可能性が高い」との見方を示した。
原題:Commodities Have Seen Bottom as China Fears Ebb, Citigroup Says(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-18/O5T62O6JIK0O01


News | 2016年 04月 18日 11:01 JST 関連トピックス: トップニュース
原油下落や地震影響で株安円高が進行:識者はこうみる

[東京 18日 ロイター] - 18日の東京市場では、株安・円高が進んでいる。日経平均.N225は一時500円を超す下落となり、ドル/円JPY=EBSも108円を割り込む場面があった。

熊本地震で自動車・電機などの生産が大きな打撃を受けているほか、20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議後の日米間の為替認識をめぐる差異、原油増産回避の合意ができなかったことなど複数の要因が重なって、大きな市場変動となっている。識者の見解は以下のとおり。

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

産油国の増産凍結見送りはネガティブサプライズとなった。今回の会合自体、延期された上で開かれた経緯があったため、ある程度の根回しが進んでいるとの期待があった。サウジアラビアとロシアが合意したとの事前報道も市場の期待を高めていた。

原油はバレル当たり30ドル付近まで下落するリスクがあり、世界経済の下振れリスクが高まった。目先のドル/円は原油相場にらみとなりそうだ。円は上値を試す展開になりやすい。G20で米国が円相場は秩序的だとして、日本の当局による為替介入を容認しないスタンスを示唆した直後でもあり、投機的な円買いが進む可能性がある。

産油国間の溝の深さ確認された。サウジがイラン不参加に拒否反応を示したのは、原油安という経済問題より、積年の地政学的問題から政敵に塩を送るわけにはいかないということの方が大きいということだろう。

原油が下げ止まらなければリスク回避の円買いが進んで、ドル/円は年初来安値107.63円の下抜けもあり得る。介入はやりにくくなったものの、金融緩和は否定されていないだろう。円高が進むなら、追加緩和への思惑が高まりそうだ。

<SMBC信託銀行プレスティア シニアFXマーケットアナリスト 尾河眞樹氏>

この週末は、G20での円高修正への期待と、産油国による増産凍結合意への期待が、相次いで裏切られた。一方、国内では熊本地震が発生し、製造業への影響も懸念される。3つの要素が重なって、ドル/円は下押しされやすい地合いとなっている。

リスク回避ムードの中で投機筋の円買いに火がつけば、じわりと円高になり得る。年初来安値107.63円を割り込めば、105円の大台試しもあり得る。6月末までのドル/円レンジは105─114円とみている。

109円割れの水準は、日銀の14年10月追加緩和の前の水準に逆戻りとなり、アベノミクスへの懐疑的な見方が広がりやすい。日本サイドでは夏の参院選を前に、大規模な財政出動や、日銀の追加緩和への期待がドル/円の下支えになるだろう。

米国による円安けん制は非常にタイミングが悪かった。市場では、もともと円売り介入はできないとの見方が出ていたため、米国のけん制で一方的な円高が進むとは想定していない。ただ、原油安が米株式相場の押し下げにつながれば、リスクオフが強まりかねない。

結局、ドルは米国が利上げしないと上昇しない。米1─3月GDPが来週末に発表されるが、弱い結果が予想されており、利上げ観測は高まりにくい。市場の思惑が後退する中で急激な利上げは長期金利を押し上げてしまうため6月も想定しにくく、次の利上げは9月との見方にもなり得る。ドル/円の早期の反転上昇は難しそうだ。

<シティグループ証券 チーフFXストラテジスト 高島修氏>

ドル/円は直近安値107.63円を割り込みかねない情勢となってきた。2、3日中に107円前後、1、2週間では2014年12月以降形成したヘッド・アンド・ショルダー完成の下値めど105円前後が警戒される。

ドル/円の方向性は、原油や米株式、ブラジルなど海外の各市場が大崩れしないかどうか、海外市場の動向を受けて日本株がどのように反応するかを見極める必要がある。特に原油価格は50─60ドル台まで回復できるかが重要とみているが、今回のドーハの産油国会議で増産凍結に失敗したことはマイナス要因となる。

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、前回上海会合の基本スタンスを踏襲。麻生太郎財務相と会談した米国のルー財務長官は日本の通貨政策へのけん制ともとれる発言を行った。通貨政策面での失望は、原油安再開に伴うリスク回避の再発懸念と合わせて潜在的な円高要因となる。

熊本を中心に発生した大地震については、外為市場に対して短期的に影響はないとみている。

<SMBCフレンド証券 チーフストラテジスト 松野利彦氏>

為替が1ドル=107円台に差し掛かれば、日経平均が1万6000円を割れるのも致し方ない。G20で日本の当局による介入は困難になった。場合によっては105円台を目指す可能性もあるが、円買いポジションも相当積み上がっている。週後半は円高方向に進みづらくなるのではないか。

また熊本地震によるサプライチェーンの寸断は、回復が期待されていた4─6月の国内経済に対する下押し圧力となる可能性があり、懸念材料となっている。ドーハの産油国会合では増産凍結が合意に至らなかったが、そもそも合意できるか不透明な部分もあった。原油相場でも投機筋の買いポジションが膨らんでおり、利食いの動きが出やすい。

もっとも、当局による為替介入が難しくなったとしても、日銀の追加緩和は可能だ。地震の影響で、もたつく国内景気がさらに押し下げられるという話になるのであれば、日銀にとっても追加緩和の大義名分がそろうこととなる。ただ中身次第の面もある。市場の期待以上のものが出せるかがカギとなりそうだ。
http://jp.reuters.com/article/nikkei-oil-eq-idJPKCN0XF01E?sp=true


 

英EU離脱の影響、欧州全域の労働市場に波及か
ENLARGE
移民による労働力は英国の成長を支えたが、現在は懸念要因ともなっている PHOTO:CHRISTOPHER FURLONG/GETTY IMAGES
By
JASON DOUGLAS
2016 年 4 月 18 日 13:13 JST
 【ロンドン】オバマ米大統領は今週のロンドン訪問の際、英国に欧州連合(EU)残留を求めるとみられているが、大統領と同じく英国残留を求めている人々がいる。英国を除く欧州各国の求職者たちだ。
 英国経済は、EUが金融危機から脱却する際に強力な雇用創出力となり、自国民だけでなくポーランドの看護師からスペインのエンジニアに至る加盟28カ国の労働者を支援することとなった。
 エコノミストらによると、こうした労働力の流入は、英国経済成長の力となっている一方で、EU離脱(いわゆる「ブレグジット」)をめぐる議論が高まる中、英国内での移民の役割をめぐる懸念を高めてもいる。離脱の可否を決める国民投票は6月23日に実施される。
 離脱をめぐる議論の大半はこれまで、ブレグジットが英国に対して持つ意味に関するものだった。ただ、このところ焦点はより広がり、欧州全体への影響へと移りつつある。
 国際通貨基金(IMF)は先週、英国がEUを離脱した場合、地域だけでなく世界的に「深刻な」打撃があるだろうと警告した。
 エコノミストらによると、ブレグジットが実現した場合、欧州の貿易が影響を受けるほか、投資も圧迫され、EUの財政に穴があく恐れがあり、これを残された加盟国が埋めなければならなくなる。
 最終的なコストは英国が離脱の条件としてEUとの間でどのような合意に達するかに大きく左右されることとなる。
 ジェフリーズ・グループのチーフ欧州金融エコノミスト、デービッド・オーウェン氏は、ブレグジットは「英国だけの問題ではない」とし、「EU加盟国全体に影響するだろう」と指摘した。
 欧州における普通の人々にとって、ブレグジットによる経済的影響として最も大きく感じられるのは雇用の問題だろう。欧州有数の着実な雇用源の一つが断たれるとあってはなおさらだ。
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左:雇用増減の推移(赤:英国、紫:EU、ピンク:ユーロ圏)、右:出身国別に見た英国内就業者の増減(上からギリシャ、スペイン、イタリア、スウェーデン、ベルギー、オランダ、ポルトガル、フランス、ドイツ)
 英国はこれまでのところ欧州で特に魅力のある労働市場の一つとなっている。英語は欧州の人々であれば学校ですでに学習している。また、労働法が柔軟なため、雇用されやすい。さらに、ロンドンのような大都市は世界中から労働者を受け入れている。
 EU域内ではユーロ圏19カ国を中心に雇用が低迷している一方、英国の労働市場は活況を呈している。EUの統計機関であるユーロスタットによると、28カ国内での就業者数は依然としてピーク時だった2008年末の2億2500万人を約300万人下回っている。世界金融危機に加え、ユーロ圏のソブリン債務危機の影響も回復の足かせとなっている。
 このところ労働参加率が回復し、アイルランドやスペインなど落ち込みが特に激しかった国で最近は成長が見られるにもかかわらず、こうした状況に変わりはない。
 対照的に米国では、就業者数合計が2014年5月に危機前のピークだった1億3840万人を超え、現在は1億4370万人に達している。
 英国はユーロ圏に参加しておらず、ユーロ圏のソブリン債務危機による最大の影響は免れた。このため、リセッション(景気後退)以前の雇用のピークからさらに180万人就業者数を増やし、合計では3100万人が就業している。これに匹敵するのはEU最大の経済国ドイツだけだ。ドイツの就業者数は160万人増の4100万人に達している。
 英国統計局(ONS)によると、国内で増加した就業者数の約半分は欧州の労働者だ。英国内で就業しているEU市民は08年から70%近く増加し210万人になった。その多くがより高い賃金を求めて入国した東欧からの移民だが、自国内での就業が難しいため、こうした移民として入国した人数はずっと多い。
 EUは依然として景気回復の足取りが重いため、英国が離脱すれば今後数年間、失業率を引き下げることが難しくなるだろう。EUの労働者がどのように英国内で就業できるようにするかよく分からないが、英国は自国の労働市場の人気が高いことを必ずしもよく思ってはいない。EUを離脱した場合、欧州からの労働者流入を抑制するため、移民に対する新たな規制を模索するのはまず間違いないだろう。
 すでに英国のキャメロン首相は移民への福祉手当について新たな制限策を講じているが、これは移民抑制について有権者の要望に答える政府の姿勢を示すものだ。
 移民問題は、英国でEU離脱論が出る背景の一つとなっている。離脱推進派は、EUから離脱すれば国境で移民の流入を押しとどめることができると主張している。こうした見通しのため、すでに英国内で就業している欧州出身の労働者の間にも不安が広がっている。
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【第68回】 2016年4月18日 安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
物価を上げるのは国民さえ同意すれば、じつは簡単だ
日銀の黒田総裁の登場と共に実施された「異次元緩和」が4年目を迎えた
当初2年で2%の物価上昇を目指すと高らかに宣言したものの、その達成は3年経っても見通せない。今年2月には、従来の量的緩和に加えてマイナス金利の導入を行なったが、市場は消化しきれずにいる状態だ。 
しかし、単に物価上昇を実現するだけであれば、実は非常に簡単な方法がある。ただし、それは極めて危険な道でもある。 
力不足だった日銀の異次元緩和
GDPの成長率も低迷
◆図表1:国債の保有者内訳(2015年12月時点)
出所:日銀HP
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日銀は2013年4月、長期国債を年間約50億円買い入れることを軸とする大規模な金融緩和に踏み出した。その規模は2014年10月に80億円に増額されており、今や日銀の国債購入額は331兆円となり、国債全体の32%もの残高に達している(図表1)。 
◆図表2:物価上昇率推移
出所:総務省HP
しかし、当初「2年で2%」としていた物価目標の達成は4年目を迎える現在も視界不良であり、食料とエネルギー価格を調整したベースでさえ1%程度に留まる(図表2)。 
◆図表3:経済成長率推移
出所:時事ドットコムニュース
そして、GDPの成長率もこの1年間は低迷を続けている(図表3)。14年4月の消費増税が原因だとする説があるが、それから時間が経ってもなお消費が低迷していることから、消費増税だけにその原因があるとは言えまい。 
要するに、日銀の金融緩和だけでは景気を浮揚させることは困難であり、したがって物価の上昇も限定的だったことがわかる。 
そして年初来の世界市場の動揺もあり、日銀は2月にマイナス金利政策を導入したが、マイナス金利政策は国債を買い入れる量的緩和政策との相性が悪く、また、国民の間で評価が分かれる結果となっている( 連載第66回)。
物価を上げなければ不都合な事情!?
大規模な金融政策の背景
そもそも政府日銀が物価上昇を主要な政策目標にしているのはなぜだろうか。通常であれば、中央銀行は物価の上昇を抑え、通貨価値を安定させることを目標にしているのだが、いわゆる「デフレマインド」が蔓延し、待っていれば物価が下がるという人々の予想がある限り消費は増えず、企業の投資も進まないというのが政府日銀の公式な見解のようだ。 
このデフレマインドを、「待っていたのでは物価が上がってしまうから今消費しよう」「今投資しよう」という「インフレマインド」に変えれば確かに景気にプラスに働く可能性がある。これは、物価上昇という「期待」が実体経済に影響を与えることを狙った政策だと言えるだろう。 
そのため日銀は、大規模な金融緩和を行なって物価上昇を演出し、更には先行きの物価上昇期待を醸成しようと試みているのだが、先述の通り成功しているとは言い難い。そして、最近は少し円高に戻しているものの、円という通貨の価値が毀損した結果、ドルベースで表わされる経済規模等の国際比較で日本の地位は低下傾向にある一方、輸出が伸びているわけでもないので、GDPに与える外需寄与度も低い(図表3)。 
よく考えてみれば、物価というのは景気が良くなって需給がタイトになることで上昇するのであって、本来は物価を上げて景気を良くするというのは順番が逆だし、実効性があるかどうかは甚だ心もとない。それは、政府日銀が「期待に働きかける」という前代未聞な政策に賭けた結果に他ならない。 
では、政府日銀はそんなあやふやな政策効果のためにこれだけ大規模な金融緩和を行なっているのかと言えば、恐らくそうではない。景気が良くなるかどうかに関係なく、物価を上げなければ不都合な事情があるからこそ、異常な金融政策を取っているのではないだろうか。 
それは政府債務残高が1000兆円を超え、GDPの230%を超すレベル(2015年末時点)にある財政問題だ。これは過剰債務と言われるイタリアの149%、ギリシャの180%をはるかに上回る異常値だ。仮に政府債務を減らすことが政治的に極めて難しいとすると、政府債務の対GDP比率を下げるには、名目GDPを増やす必要がある。日本の場合はGDPも政府債務もほぼ円建てであるから、インフレを起こしてGDPの値を上昇させることができれば政府債務問題は解決してしまうことになる。 
正確に言うと、名目GDPは「実質GDP+GDPデフレーター(物価上昇率)」なので、インフレ率を上げれば名目GDPは上昇することになる。 
もちろん、「DGPデフレーター」は、輸入物価が最終的に国内価格に転嫁されるまでは輸入物価の上昇は反映しないし、CPIとは対象品目も異なるので、CPIの上昇率に比べて低くなる傾向にあるが、それでもやはりCPIをターゲットとした物価上昇を目指せば名目GDPが大きくなることに変わりない。そして、CPIよりDGPデフレーターの方が小さくなる傾向に鑑みると、より大きめのCPI上昇率目標を持つ必要がある。 
これは、国民の預貯金、あるいは低金利で保有していた国債の価値がインフレで目減りし(インフレ税)、その分を国家が収奪するに等しいのだが、歴史的に、政府債務問題が起こった国の多くは高いインフレによって解決を図ってきたのも事実だ。 
これは強烈な通貨安をもたらすが、日本の借り入れはほとんどが円建てなので問題ない。一方、国民の購買力が大幅に減少し、たとえて言えば、ニンジン1本が500円になったり、日本からの旅行者が海外で高い買い物をしなければならなくなる。そしてドルで比較される様々な国力の指標でも日本は大きく順位を下げることになるが、こうした国民の窮乏は政府債務問題を解決する上では仕方がないということだろう。 
「ヘリコプターマネー」を行えば
インフレを起こすことは極めて簡単
では、そのインフレはどうしたら起きるのか。冒頭で述べたように、日銀のここまでの金融政策ではその効果は十分に得られていない。日銀当座預金の残高を膨らませる量的緩和や、マイナス金利では目標とするインフレ率が実現しないことは既に実証された。つまり、「期待に働きかける」だけでは人々は動かないということだ。しかし、先述の「インフレ税」を払ってもいいという国民的理解があるならば、インフレを起こすことは極めて簡単なことだ。 
日銀がお金を刷って空からヘリコプターでお金をばらまけばいいのだ。それを人々がそっくり消費の増額に使うならば、消費支出は必ず増加し、必ず物価は上昇する。これを「ヘリコプターマネー」、略して「ヘリマネ」と言う。 
実際に行われるのは、日銀が国債を直接引き受けて、そのお金を政府が国民に配ることになる。やり方は減税や商品券の配布でもいいし、単にその分の財政支出を増やして公共事業として橋や道路を作ってもいい(単に穴を掘って埋めてもいい)。 
恐らく最も効率がいいのは、公共工事予算を増やすことだ。なぜならば、ヘリマネのように国民にお金を配っても、国民がそれをどれだけ消費に回すか(消費性向)は不明であるし、消費を全く増やさなければ何の意味もないのに対し、公共事業なら確実にお金が民間に行き渡るからだ(更に「乗数効果」と呼ばれるものもあるのだが、それは省略する)。 
象徴的に言えば、日銀が国債を引き受ける場合は、政府は全く資金調達の心配をする必要がないので、幾らでも財政支出を拡大できる。たとえば、今年度の一般会計予算は100兆円近い過去最大規模だが、これを倍増させることさえ、極めて容易にできる。ほぼ全額を公共工事に使えばGDPは必ず増加し、物価も必ず上昇する。更に過激な手段を用いるなら、日銀は国債ではなく政府が発行する「証文」「政府発行紙幣」など、無価値のものを100兆円引き受けて政府に100兆円を渡して公共工事に使ってもらってもいい。 
それなら日銀はその無価値な証文をあたかも価値あるもののごとく抱え込み、国は将来お金を返す必要さえない。このように、インフレは必ず起こすことができる。 
いいこと尽くしに見えるヘリマネだが
かなり乱暴な議論だ
3月16日付のFinancial Timesでもヘリマネに言及されるなど、最近こういう趣旨の主張をよく耳にするようになってきた。先述のように、高いインフレを実現すれば政府債務問題も一気に解消する。一見すると、いいこと尽くしの案のように見える。 
しかし、これはとても乱暴な議論だ。そもそも、努力しなくても誰かに天からお金が降ってくるような政策を採用することは、資本主義の原則を破り、政府が資源配分を歪めることにほかならず、極めてアンフェアだ。次に、政府が無制限の財政拡張を行なえるということは、もはや放漫財政に歯止めが効かなくなることを意味するので、政府債務はどんどん膨張する。 
そして、それが進むと総需要が異常に拡大する結果、ハイパーインフレーション(異常に高いインフレ率)が発生する確率が極めて高い。 
最終的には、国民の円建ての金融資産がインフレによって無価値になっていく(インフレ税)一方で、名目GDPの増加で政府債務問題が解決してしまう。そして、ハイパーインフレーションによって円の価値はどんどん下がり、世界の中で日本人の購買力は一気に低下し、ドル建てで比較される国力の比較でも大きく順位を落とすことになる。 
コンセンサスなしの財政拡張は危険
地道な成長戦略と産業の新陳代謝しか道はない
ヘリマネを行なえばインフレは簡単に起こせる。しかし、そのためには、国民がハイパーインフレーションによる痛みや、国力の低下を受容するというコンセンサスが必要だ。 
しかし、実は筆者が最も恐れるのは、こうしたコンセンサスなしに政府がじわじわと財政拡張を図ることだ。G7を前に補正予算が検討されるとの一部報道があるが、すでに実質的に日銀が国債を引き受けている状況において、財政をこれ以上拡張することの危険性を国民はもう少し理解すべきなのではないだろうか。 
繰り返すが、物価が上がれば経済が活性化するのではない。経済を活性化してこそ、結果的に物価が上昇するのだが、それを実現するための安易な方策などない。規制緩和など地道な成長戦略と産業の新陳代謝によって潜在成長率を上げていくしか道はないと筆者は考えている。その一環として、独立系PEファンドやVCの振興も、産業の新陳代謝を進める上で避けては通れない重要な施策であることは言うまでもない。 

http://diamond.jp/articles/print/89743


 
なぜ「消費税」という税が必要なのか
所得税とメリットデメリットを比較する
2016年4月18日(月)塚崎公義(久留米大学商学部教授)


 この記事は、「日経ビジネス」Digital版で4月19日からスタートする新コンテンツ「日経ビジネスベーシック」からの転載です。詳しくは こちら。
 来年4月、消費税率は8%から10%に引き上げられる予定です。ところが、景気の先行き不安を理由に、安倍晋三首相は引き上げを先送りするのではないかという観測が流れ始めました。
 ところで、個人が国に支払う税金としては、毎月の給与などから支払う所得税も重要です。消費税と所得税は、どのような特徴があり、なぜ区別して徴収されているのでしょうか。
所得税は貧富の格差を軽くする効果がある
租税および印紙収入の内訳(2015年度)

出所:国税庁レポート2015から作成
 所得税は、所得の大きさに応じて支払う税金です。所得に税率をかけて税金の額を算出しており、日本では、所得が多いほど税率が高くなる累進課税を導入しています。なお、所得税は税金を負担する個人が政府などに直接支払う税金なので「直接税」と呼ばれています。
 所得税のメリットは、高額所得者から多くの税金を集め、低所得者からは税金を集めない、という柔軟な対応ができることです。これにより、貧富の格差を是正することができます。特に、消費税が貧しい人からも税金を集めてしまうのと比較すると、そのメリットは重要です。
 所得税は累進課税なので景気の変動に大きく左右されます。例えば給与が200万円から400万円へと2倍になったとき、所得税は4万4000円から13万500円へと3倍以上に増えます(扶養家族などがいない場合)。もちろん、その逆も起こり得ます。景気が悪くなって人々の給与が減っても、税金が軽くなって手取り額の落ち込みを防ぎ、景気の下支えになるというメリットがあるわけです。
消費税は、働く意欲を阻害せず、脱税も難しい
 一方、消費税は買い物などの支出に対して支払う税金です。基本的に税率は一律で、今の日本では8%になっています。消費税は商品の代金などを支払うときに、店などに支払っていますが、店やその取引先を通じて、最終的には、政府に納付される仕組みになっています。税金を負担する人(消費者)と、税金を政府に納める人(売り手)が異なる税のことを「間接税」と言います。
 では、所得税と比較した場合、消費税のメリットや特徴は何でしょうか。
 消費税は景気が良くても悪くても、買い物などの経済活動の大きさに応じて徴収されるので比較的安定しています。つまり、消費税は税収を安定させるメリットがあります。
 消費税のもう一つのメリットは、人々の働く意欲を阻害しないことです。所得税を個人の立場で考えると、所得を増やすために頑張るほど、それに比例して税額が増えるのは、少し残念な気がしますね。まして累進課税では、頑張って働くほど税率まで上がるのですから、働く意欲が減退しかねません。それに比べると消費税は、働く意欲には影響を与えない、という特徴があります。
 また「今の所得は少ないものの、貯金を持っている高齢者」に課税できることもメリットです。少子高齢化により現役で働く世代が少なくなりつつあることを考えると、この世代に負担が集中する所得税よりも広く浅く課税できる点はメリットだと言えるでしょう。
 もう一つのメリットは、脱税が難しいことです。所得税は、収入や経費などでごまかす余地が大きく、本来よりも少ない金額しか税金を支払わない人が出てきます。その点、消費税は支払う代金に対する低率の税金なので、不正を働く余地を小さくできるのです。
 また、自営業者の所得税は経費の算入などでサラリーマンよりも優遇されている面があるので、以前からサラリーマンの不満がたまっていました。消費税は誰もが同じ条件で支払うので、不公平感が小さい点もメリットと言えるでしょう。
 最後に、良し悪しの問題ではありませんが、1989年に消費税が導入された当時の経緯としては、「他の先進国と比べて日本は直接税が多く、間接税が少ないので、その比率を是正する必要がある」という点から消費税の方が好ましい、という面もあったようです。
●所得税と消費税のメリット比較
所得税のメリット 消費税のメリット
・貧富の差が是正できる
(貧しい人は無税にできる)
・不況の深刻化を防ぐ機能がある ・税収が安定する
・人々の働く意欲を阻害しない
・広く浅く課税できる
・脱税が難しい
・自営業者優遇ではない
高所得者と低所得者の不満を抑える組み合わせ
 所得税は累進課税であるため、貧富の格差は縮小しますが、高所得者に不満がたまりやすい税金と言えます。消費税は、稼ぎに関係なく、できるだけ広く浅く税金を負担してもらう仕組みです。こちらは、低所得者が不満を持ちやすい税金です。
 どちらが優れているということではなく、税金や社会保障や生活保護などを全体として眺めたときに、「望ましい程度に格差が是正されている」組み合わせにしておくことが大切です。所得税の累進度合いを調節したり、所得税と消費税の比率を調節したりすることが、その時々で徴税を実施する政府の重要な役割となるわけです。
 財務省のホームページを見ると、税金で大切なのは「公平の原則」「中立の原則(個人や企業の選択を歪めない)」「簡素の原則」であると書いてあります。この観点からも、消費税と所得税の組み合わせは、比較的よくできた税体系だと言えるでしょう。
徴税の「世代間不公平」を生じさせないための増税
 現在、日本の政府は、大幅な財政赤字になっています。つまり、歳出(行政サービスに必要な費用)の方が税金などの収入よりもはるかに大きいので、差額を借金(国債の発行)で賄っているわけです。
 2016年度の予算を見ると、歳出が約97兆円、税収等が約62兆円となっており、差額の約34兆円が国債発行で賄われることになっています。日本人の成人はおよそ1億人いますから、1人当たりにすると、歳出が約97万円、税収等が約62万円、借金が約34万円、ということになります。
 毎年、新しい借金が積み上がってきたため、政府の借金の残高は1000兆円を超えています。日本人の個人金融資産は1700兆円ありますが、今や「日本人が銀行などに預けたお金の半分以上が、日本政府に貸し出されている」ということになっているわけです。
 このまま政府の借金が膨らんでいくと、「日本政府は借金が多すぎて破産する」という噂が流れて、株価が暴落するなどの問題が生じかねません。また、将来、政府が借金を返すために増税をするとすれば、「今の大人たちが作った借金を将来の大人たちが返す」という「世代間不公平」が生じます。そうならないために、なるべく早い時期に増税をする必要があると考えられているわけです。
働く現役世代ばかりに負担を押しつけない
 ではなぜ、増税の対象として消費税が取りざたされているのでしょうか。
 その理由としては、所得税が働く現役世代への課税であり、消費税が全員への課税だ、というところがポイントです。少子高齢化により、現役世代の人数が減っていくので、そこにすべての負担を押し付けるのは酷です。そうではなく、これからは貯蓄のある引退世代を含めた全員で負担していく必要がある、という考え方を土台にしているのが、現在の消費増税議論なのです。



「日経ビジネスベーシック」から
このコラムでは、「日経ビジネスBasic」に掲載した記事の一部をご紹介します。日経ビジネスBasicは、経済ニュースを十分に読み解くための用語解説や、背景やいきさつの説明、関連する話題、若手ビジネスパーソンの仕事や生活に役立つ情報などを掲載しています。すべての記事は、日経ビジネスの電子版である「日経ビジネスDigital」を定期購読すれば無料でお読みいただけます。詳しくはこちらをごらんください。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/041300033/041400007/?ST=print

 


市場リスクの必要資本は為替6.2倍、株式4.1倍も−バーゼル過小評価か
Silla Brush
2016年4月18日 12:39 JST
マーケット・リスク最低所要自己資本についてISDAが報告書
外為・株式デスクのリスクに対する資本要件引き上げの影響が大きい

バーゼル銀行監督委員会が今年1月に公表した「マーケット・リスクの最低所要自己資本」の最終規則について、トレーディング業務から生じるリスクをカバーするための資本要件引き上げの負担が過小評価されていると銀行業界が主張した。

  国際銀行監督当局者で構成するバーゼル銀行監督委は、債券やデリバティブ(金融派生商品)、他の証券のトレーディングから生じるリスクをカバーする総所要自己資本について、最終規則では現在の枠組みに比べて加重平均で40%増加すると推計。これに対し、国際スワップデリバティブ協会 (ISDA)が中心になってまとめた報告書は、現在の資本水準の最大2.4倍が必要との見積もりを示した。

  米銀JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループ、英銀バークレイズも参加するISDAのリスク・資本責任者マルク・ゲールブラン氏は、最終規則の影響の度合いについて、基準達成に必要な資本計算で内部モデルの利用を監督当局が銀行に認めるかどうかに左右されると指摘し、承認プロセス次第だが、所要自己資本は現在の水準の1.5倍から2.4倍に増える可能性があると予想した。

  ISDAによれば、銀行の内部モデルの利用が認められない場合、外国為替トレーディングデスクのリスクをカバーする所用自己資本は現在の6.2倍、株式デスクは4.1倍と、影響が最も大きくなる見通しだ。
  マーケット・リスクの最低所要自己資本に関する今回の改定は、2019年1月1日に発効する。バーゼル銀行監督委は、コメントを控えている。

原題:Banks See Capital Charges Spiking on Basel Market-Risk Rules (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-18/O5T6EZ6S972901


 
ギリシャリスク、EU離脱問う英国民投票にも影響
16日のIMF・世銀春季会合で話し合うラガルドIMF専務理事とドイツのショイブレ財務相 ENLARGE
16日のIMF・世銀春季会合で話し合うラガルドIMF専務理事とドイツのショイブレ財務相 PHOTO: DIMITRIOS MANIS/ZUMA PRESS
By SIMON NIXON
2016 年 4 月 18 日 15:41 JST

 【ワシントン】英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票まであと2カ月となる中、EUは身辺整理に乗り出した。いまから6月23日の投票日までの間、ブレグジットと呼ばれる英国のEU離脱を支持するような出来事は一つも許されない。国際通貨基金(IMF)は先週、英国のEU離脱は「(欧州)地域と世界への深刻な衝撃」につながるとの見通しを示した。

 身辺整理の手始めは、EUへの新たな難民流入を少なくとも当面ほぼ止めるためにトルコと3月にまとめた合意だった。これはブレグジットの支援材料だった難民問題への打開策だった。次の未完の作業は、ギリシャと国際債権団との救済措置をめぐる協議の行き詰まりを解くことにある。交渉がまとまらなければ、英国の国民投票が行われる6月にギリシャ債が償還期限を迎え、懸念が一段と深まる恐れがある。

 当地で週末に開催されたIMF・世界銀行春季会合の際、行き詰まりを解く努力がなされたが、支援協議はおよそ過去2年間と同じ障害に引き続き突き当たっている。ドイツと欧州北部の同盟諸国は、IMFも融資に賛成しなければギリシャにはこれ以上金融支援を行わないと主張している。一方IMFは、ギリシャ政府が厳しい改革に取り組み、ドイツがギリシャに対する大幅な債務軽減の容認に合意しなければ、融資は行わないとしている。いずれも譲ろうとはしていない。あるEU当局者はこれを「不信のトライアングル」と呼んだが、誰もまだこの問題の解決策を見いだしていない。

 IMFとEUは当地で少なくとも一つだけは合意した。ギリシャ支援の次の段階の目標をめぐる見解の相違をどのように解決するかだ。昨年夏にまとめた合意の下、ギリシャは2018年には利払い費用などを除くプライマリーバランス(基礎的財政収支)を国内総生産(GDP)比3.5%の黒字にすることになっている。欧州委員会は、この目標を達成するためにギリシャは、GDP比3%に相当するさらなる緊縮措置を今年講じる必要があるとみている。IMFはより悲観的で、目標達成にはGDP比4.5%相当の追加緊縮措置が必要だが、それは非現実的だと述べている。IMFはむしろ、GDP比1.5%に黒字目標を引き下げるよう主張している。IMFの推計では、これで必要になる追加緊縮はGDP比2.5%にとどまる。

 この妥協案もギリシャにとっては厳しいものになる可能性がある。両者は、当初の3.5%の目標を変えずに欧州委の見通しを基本とすることに合意したが、IMFのより暗い見通しが正しければ、ギリシャは不足を埋め合わせるために必要な追加緊縮に取り組み、恐らくその法制化が求められるだろう。

 今後はギリシャ政府次第だ。目標達成に必要な措置に同国政府は合意しなければならない。その措置は「信頼に足る」必要があるとIMFは主張している。3.5%の目標を達成しなければ、ドイツは債務軽減に合意しないだろう。債務軽減が合意されなければ、IMFは金融支援に参加できない。だが、IMFの言う「信頼に足る」との定義は、ギリシャの左派政権にとって大きな政治問題になるだろう。

 ギリシャは危機以降、目覚ましい財政改革を行ったが、ほとんどが従来の狭い課税対象に対する新たな課税によるもので、公的部門の雇用や賃金、福利厚生を守るために、裁量可能な費用を削減したにとどまっている。特にIMFによれば、ギリシャでは55%が所得税を免除されている。ポルトガルでは2%、アイルランドでは5%だ。一方、ギリシャの年金制度は同国政府にとって毎年GDP比10%相当の負担となっている。これは欧州のどの国よりもはるかに多い。

 IMFはこの状態は持続不能だと主張している。高所得者への懲罰的な課税で脱税と資本逃避が加速し、徴税率は低下している。一方、学校や病院の基本器材や社会基盤維持など必須の公共サービスへの支出が極端に削減されたため、ギリシャの経済・社会構造は崩壊している。IMFは、ギリシャの公的財政をいま強化する上で信頼できる唯一の方法は、課税対象の拡大と年金支出の削減だとかねて主張している。これを納得できるかたちで撤回できるとはとても思えない。

 ギリシャ政府が緊縮措置に取り組めば、長く約束された債務軽減を受けることができ、欧州中央銀行(ECB)の国債買入の適格性やECBからの低利の銀行融資枠の利用など金融条件を正常化する道筋ができる。だが、現状においてIMFとドイツ政府はどちらも、ギリシャにとって長く現実的な財政目標と債務削減時期について、まったく歩み寄っていない。ドイツ政府は、ギリシャ政府は機会さえあれば即座に借金を始めてまた浪費するのではないかと懸念している。

 不信のトライアングルを壊して5月中の合意につなげるには、ギリシャ政府とドイツ政府が共に譲歩するしかないが、いずれも政治基盤をかなり犠牲にする必要があるだろう。代替策は、ブレグジットという極めて現実的な可能性に直面していながらも、欧州がもう一度、グレグジット(ギリシャのユーロ圏離脱)を論じることかもしれない。

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米利上げに身構える新興諸国
メキシコのビデガライ財務公債相

By DAVID HARRISON
2016 年 4 月 18 日 13:27 JST

 【ワシントン】米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを先送りしたことは、多くの新興国にいくらか時間的猶予を与えた。だが、次の金利上昇の影響を和らげるには不十分との懸念がすでに高まっている。

 17日に閉幕した国際通貨基金(IMF)・世界銀行春季会合のため当地入りした新興国の財務相や中央銀行総裁は、金融市場のボラティリティー(変動率)が再び高まることに身構えていると述べた。エコノミストらは、FRBの次の利上げを6月半ばと予想している。

 メキシコのビデガライ財務公債相はインタビューで、「(米利上げは)あるだろう。新興国は備えるべきだ」とし、「われわれ自身は備えているが、それでも影響は及ぶと思われる」と語った。

 FRBは昨年12月、約7年ぶりに政策金利の変更に踏み切り、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25%引き上げた。今年は4回利上げする計画も示唆した。これが世界金融市場の変動を招き、安全性を求める資金が新興国から流出した。

 数カ月に及ぶ市場の混乱を経た先月、FRBは今年の利上げ回数予想をわずか2回に引き下げ、世界経済や金融市場の動向がリスクだと指摘した。これで市場は落ち着き、新興国には多くの投資家が戻った。

 ビデガライ財務公債相は「今年初めには何が起きようとFRBは(利上げを)進めるという見方があった」とした上で、「FRBの政策は経済指標次第であり、彼らが目を向けている指標の一部は世界経済だ。それが2月に極めて明確になり、多くの人が安心した」と語った。

 メキシコでは、年初の資金フローの急変動に原油安が重なり、メキシコペソの対ドル相場が2月に過去最安値を記録した。これを受け、政府は国内総生産(GDP)の0.7%に相当する歳出削減を発表し、メキシコ銀行(中央銀行)は予想外の利下げを実施するなど、珍しく協調した対応に踏み切った。それからペソ相場は安定し、インフレは引き続き中銀の目標範囲に収まっている。

 だがビデガライ財務公債相は、FRBの次の動きを今でも警戒していると語った。「われわれが直面している最も重要なリスクは、高いボラティリティーと資金フローの脆弱(ぜいじゃく)性だ」と言う。

 インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁はインタビューで、FRBの利上げ先送りは「若干の圧力緩和につながった」と述べた。足元の懸案は「他の国々は時間をうまく使えるのか、あるいはこの問題自体が各国の行動を超えるものなのか」だと話した。

 新興国の当局にとって一筋の光明と言えるのは、FRBが差し当たり新興国の懸念に同調しているように思われることだ。イエレンFRB議長は、世界経済の状況がFRBの今後の金利政策に影響すると繰り返している。

 他国の政策当局の多くはこの姿勢を好感しており、米国は金融政策をゆっくり引き締めつつも他国のことを忘れはしないという信頼感がいくらか生まれている。

 ラジャン総裁は「(FRBは)間違いなく一層の注意を払っており、さらに注意を払うと言明している。これは非常に歓迎すべき歩みだと思う」と語った。

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