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パナマ文書で名指しの商社幹部「脱税のレッテルでいい迷惑」(週刊ポスト)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/672.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 20 日 18:39:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           国際調査報道ジャーナリスト連合による「パナマ文書」HP  


パナマ文書で名指しの商社幹部「脱税のレッテルでいい迷惑」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160420-00000014-pseven-bus_all
週刊ポスト2016年4月29日号


 タックスヘイブン(租税回避地)の金融取引に関する大量の秘密ファイル「パナマ文書」が流出したことに頭を抱えているのは外国の要人だけではない。日本の大企業や個人の大富豪も、その名がいつ表に出るのかと戦々恐々としているはずだ。

 事の発端は、欧州有力紙『南ドイツ新聞』への匿名人物による情報提供だった。パナマの法律事務所モサック・フォンセカの内部文書が流出すると、各国メディアはその内容を一斉に報じた。

 報道によると、10か国の現旧指導者12人を含む公職者140人、国家の現旧指導者の親族61人の関係する法人などがタックスヘイブンを利用した金融取引に関わっていたことが文書から明らかになった。

 その中には、ロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平国家主席の義兄、アイスランドの首相、英国のキャメロン首相の亡父、さらにはサッカー選手のリオネル・メッシ、俳優のジャッキー・チェンなど、名だたる大物たちの名前があり、世界中に波紋を広げている。

 すでに、疑惑を指摘されたアイスランドの首相は辞任に追い込まれ、亡父が設立した投資ファンドから利益を得ていたことを認めたキャメロン首相も、イギリス国内で辞任を求める声が上がり、窮地に立たされている。

 日本ではセコム創業者の飯田亮氏の名前が報じられたほか、日本企業の名前が記された真偽不明のリストまでネット上で拡散している。

 その中には、航空、商社、小売り、金融業界のリーディングカンパニーなど、錚々たる大企業が名を連ねている。名指しされた商社の幹部は困惑を隠さない。

「いまの状況で名前が挙がるだけで“脱税企業”のようなレッテルを貼られてしまう。株価への悪影響も考えられるし、本当にいい迷惑ですよ」

 

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コメント
 
1. 2016年4月20日 22:23:46 : q931E3NW4E : Xao0gDyXwoc[88]
金の流れが不透明であれば、疑惑を受けて当然。
不健全な企業体質は暴露される。そして是正される。
なにもおかしくない。当たり前のこと。

誰かが匿ってくれることを期待して政府の法制に関する特権にべったり癒、もとい、寄り添っているのが、経団連。

これまでの正当性なんてものは数の論理を利用して幅を利かせて来ただけのものに過ぎない。
そこでの正しさとは「正しいから正しい」という何の根拠もないものだ。

そこに依存し続けるだけでよしとする、企業体質の人間の声はどこにも響かない。


2. 2016年4月21日 01:08:18 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[334]
世界に激震!「パナマ文書」の衝撃(大前研一)
【世界】「パナマ文書」の衝撃 租税回避問題に潜む深い影
 パナマの法律事務所から機密の文書が流出し、各国の首脳や著名人がタックスヘイブンを利用している実態が暴露された問題で、アイスランドのグンロイグソン首相は辞任を表明しました。この文書をめぐり政府首脳が辞任を表明するのは初めてです。
 この件について、日本政府は文書を調査する考えはないとしています。パナマを使っているのはヨーロッパ系や途上国が多く、アメリカ系は英領のグレートケイマンなどが多いので、日本のお金持ちの方たちはパナマをあまり使っていなかったかもしれません。
 今回の流出元はモサック・フォンセカという巨大な法律事務所です。支店だけで35カ国あり、パナマのようなところにペーパーカンパニーを作って、資産を隠蔽するという事務所です。パナマの大統領もここの関係者であると言われています。その事務所から、過去40年に及ぶ1150万件のEメール、財務情報、銀行口座情報が流出してしまったのです。

 南ドイツ新聞にこうした情報に興味はあるかというメールが届き、一体誰なのかと記者が尋ねると、自分は何者でもないと言ったというそのやり取りからスタートし、1年間に渡ってこれだけの多くの情報が送られました。200カ国、地域から登記された、21万4000件のオフショア法人が含まれ、南ドイツ新聞はびっくりして、これを自分たちで分析したら嘘だと言われる可能性があるので記者連合に委託し、手分けをして1年間かけて分析したのです。
 しかもその量は2.7テラバイトというから半端ではありません。140名の政府首脳級のほか、大富豪、スポーツ選手、テロ組織がリストアップされ、北朝鮮関係や、麻薬組織やイランなど、アメリカの制裁対象となっている組織や個人が入っています。ほかにもHSBCやUBSなど500を超える金融機関も含まれ、本当に半端ではない代物なのです。
 登場した人たちは、アルゼンチン大統領のマクリ氏本人や、アイスランドの首相本人、サウジアラビアの国王本人も入っていますが、国王に関してはお金を持っていてもおかしくはありません。ほかにもウクライナのポロシェンコ大統領なども入っています。そして習近平氏も、彼の妻の兄が実名で出てきてしまっています。

 さらに一番おかしいのはプーチンです。リストにあるのは古い友人の音楽家とされていますが、音楽家がなぜ2200億円も持っているのか不思議です。結局これはプーチンに対して賄賂を与えるので雑に扱える友達ということでしょう。プーチンは運悪くこのことがあった翌日に国民との対話が設定されていて質問をされたわけですが、「あれは古くからの友人で、音楽家で素晴らしい人だ、彼は海外で楽器を買ってロシアに持ち込んで、それをみんなに分けるということをしている」と語っています。しかしストラディバリウスを1000台買ってもそこまではいかないはずです。プーチンも非常に苦しい言い訳をしていました。
 また、アサド氏などは自分の国の人間を多数殺しておいて、何をやっているのかという気がします。イギリスのキャメロン首相は失敗しました。3回も違うと言っておいて、4回目に実は父親のお金があり、自分も35000ポンド持っているとし、税金は非課税国なので払っていないと言い出したのです。さらに元エジプト大統領のムバラク、マレーシアのナジブなどは息子の名前が出てきていますが、本人も2000億円ほどポケットに入れたと言われています。ほかにもメキシコ大統領のペーニャ・ニエト氏や、パキスタン首相のシャリフ氏など、オンパレードです。しかし、意外にアメリカ、日本、オーストラリアなどは出てきていません。

 この文書に登場するペーパーカンパニーの数を見ると、10万社を超える数に上っています。多くはヴァージン諸島、パナマ、ほかにはバハマ、セイシェル、ニウエ、サモアなどにあります。一方、文書に登場する仲介業社の所在国を見ると、香港には業者だけで37000社、スイスには34000社、英国には32000社もあります。これは確かに凄まじいものであり、今後数年に渡って相当多くの国に影響が出てくると思います。

 イギリスの場合には、キャメロン首相はもうもたないと思います。ちょうどEUに残るかどうかの投票を6月に控えていて、ついでに総辞職して選挙に向かうべきだと言われるほど、キャメロン氏への信用はなくなってしまっています。特に彼は税金問題を取り上げていて、タックスヘイブンは止めろと叫んでいた張本人なので、より厳しい批判にさらされるでしょう。
 こうした文書は今回に止まらず、今後も次々に出てくると思われますが、今のところ中国ではこの問題にとても神経質になっていて、このことを検索しようとしても弾かれてしまうように統制しています。NHKの番組を見ていても、この問題に触れると見られないようになっています。いつも雄弁な報道官も、ノーコメントの一点張りです。習近平氏の奥さんの兄がリストに載っているなど、確かにコメントしようがありません。
 この問題はCIAの文書などに比べても情報が膨大で、世界中の政治家その他が関係しているので、今後も半年から一年は影響が続くと思います。約50あるタックスヘイブンのうちの1つの法律事務所でこれだけなので、他の法律事務所からも出てきた場合にはもっとすごいことになる可能性があります。ただその結果として、こういうことはもう止めさせようということになり、全てコンピュータなどを使って透明にするところまでいかないと良くならないでしょう。
 日本のように税金の高い国は特にこうしたところへ行きがちですが、日本人は意外にそうは向かっていないようです。しかし税金が比較的低い国からもこうしたところへ逃げているのが現状です。また中国の場合は何れにしても国家の要人でも国家から逃げ出したいと思っている国なので、起こりうることでしょう。習近平氏の次にナンバー5とナンバー7が連座していることがすでに明らかになっていて、中国も救いがたい状況になっています。
【EU】ウクライナの連合協定めぐり国民投票 オランダで反対60%
 EUとウクライナが結んだ連合協定の是非をめぐる国民投票が6日、オランダで行われ、反対が60%と、賛成を上回る見通しです。
 これはロシアに対する制裁に対して、オランダは農作物などの輸出もあり関係が密であっただけに、経済的に打撃が大きいということで、このEU案には反対の立場が多く、60%が反対したということです。ロシアと寄りを戻そうという考えの人が多くなっているわけです。
 これは放っておくと意外にその方向に向かうと思います。ロシア側は他の国から輸入すれば間に合うということでなんとかやっているのです。ロシアは制裁によって困ってはいますが、実際にはその影響よりも油の値段が安いことの方が大きな問題なのです。ただ今回オランダが反対という結果になり、EUの結束がおかしくなることも予想されます。
【EU】英国EU残留世論調査 残留51%、離脱49%と拮抗
 英インディペンデント紙がまとめた世論調査によりますと、イギリスがEUに留まるべきと考えているイギリス人の有権者は51%、離脱は49%でした。
 この結果が投票までに、キャメロン首相のパナマ文書の影響を受けて、離脱の方に傾く可能性が高そうだと思います。ただ、離脱ということが投票で決まれば簡単に離脱できると思われていますがそうではなく、実際は最短でも2年かかります。
 かつてはグリーンランドの事例があります。グリーンランドはデンマークの一部ですが、自立権が与えられていて、デンマークとは異なり、離脱したいと言いました。小さな地域で人口も少ないのですが、離脱には3年かかっています。
 イギリスの場合を色々と分析してみると、最低2年かかることはわかっていますが、場合によっては8年から10年もかかるとされています。実際に離脱するまでにそれほどかかるとすると、イギリスに行っていた多国籍企業も危ないと思って大陸に移ってしまう可能性もあり、そのうちにイギリスはやっぱり離脱はやめたと言ってまた再投票することも考えられるのです。
 中途半端になるとどっちに行くかわからないものに投資などできないので、イギリスに対する投資は10年間止まってしまうことにもなりかねません。手続きにそれほどかかるということをまだみんな知らないのです。きちんとこのプロセスを説明し、時間がかかるという話になれば、全く活動が止まってしまう可能性もあるので、やめておこうということになると思います。キャメロン首相も頭が冷えた時には、この説明をやったらいいと思います。
講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
4月10日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

その他の記事を読む

ドルから金に流れるマネー(近藤雅世)

http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20160420-2/ 

 
パプアニューギニア、ドル不足の危機で融資要請
原油安と深刻な干ばつ、膨れ上がる財政赤字のトリプルパンチ
2016.4.21(木) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年4月19日付)

太平洋を3か月間漂流、パプアニューギニアの男性ら
パプアニューギニア・ケレマの海岸沿いの風景(2014年9月5日撮影、資料写真)。(c)AFP/ARIS MESSINIS〔AFPBB News〕
 南太平洋のパプアニューギニアが世界銀行に数億ドル単位の融資を求めている。原油価格の下落と関係した外貨危機と深刻な干ばつ、そして膨れ上がる財政赤字と戦うためだ。

 3億ドルの融資を求める動きは、パプアニューギニアが昨年暮れに債券市場で10億ドル調達するのに失敗し、米エクソンモービルが運営するガスプラント(総工費190億ドル)の建設、稼働のおかげで最近まで地域で最も好調だった経済が減速した後に出てきた。

 世界で最も文化的に多様だが最も探索されていない国の1つに数えられるパプアニューギニアは先週、主にコモディティー(商品)価格の下落が理由で2015年の政府の歳入が予想を21%下回ったと発表した。同国の困難は、弱含む原油価格と財政赤字拡大に襲われたほかの産油国経済のそれとよく似ている。

 「国際金融公社(IFC)は、市場における米ドルの流動性のためにパプアニューギニアの民間セクターが厳しい課題に直面していることを確認した」。世界銀行の一部門で、新興国の民間セクターを支援するIFCのパプアニューギニア担当カントリーマネジャー代理、ギャビン・マリー氏はこう述べた。「我々は交渉が1カ月続くと見ている」

 パプアニューギニアの商業銀行3行は、顧客が国際貿易を行うのを助けるために米ドルへのアクセスを与えてもらえるようIFCおよびパプアニューギニア銀行(中央銀行)と協議している。

 地元の報道機関ビジネス・アドバンテージ・パプアニューギニアの最近の調査によると、パプアニューギニアの企業経営者にとって、ドル不足が最大の懸念要因だという。同社は最大12億キナ(3億7800万ドル)の外貨取引が中央銀行で決済を待っていると推定されるとしている。

 だが、アナリストらは、IFCの融資確保はパプアニューギニアの財政難を解決しないし、外貨問題さえ解決しないと警告している。

 オーストラリアとパプアニューギニアの財務省に勤めた経験があるポール・フラガナン氏は「IFCの融資はバンドエイドだ」と言う。

 同氏によると、ドルの流動性の問題の一端は、中央銀行が為替ディーラーによる「不正利得」と呼ぶ問題に取り組むために市場に介入した2014年6月の決断に由来している。中銀はキナの売買レンジを設定し、それが約17%の通貨高をもたらした。この為替政策は経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)によって裏付けられないものだったとフラナガン氏は言う。

 「外貨供給量の増加につながる可能性が高いのは、急激な通貨安か、地元企業と外国人投資家の景況感の改善だけだ」(同氏)。

 景況感は、急激な原油安によって揺さぶられた。原油安は、エクソンモービルの液化天然ガス(LNG)プラントが2014年に稼働した後に流入すると見られていた歳入を落ち込ませた。パプアニューギニアのピーター・オニール首相に対する汚職捜査と関係した政情不安も心理を冷え込ませている。

 政府は死者が広範囲で出ているという報道を否定しているが、さまざまな支援機関は、1997年以来最悪の干ばつが農家に打撃を与え、遠隔地での栄養不良をもたらしていると話している。水不足は一時的にオク・テディの金山、鉱山を閉鎖に追い込み、政府の歳入を直撃した。

 「非常に難しい状況だ。雨不足が食糧不足と栄養不良をもたらした遠隔地では特にそうだ」。ケア・インターナショナルの人道担当ディレクターで最近パプアニューギニアから戻ったばかりのバーバラ・ジャクソン氏はこう話す。

 パプアニューギニアの中銀によると、2015年1〜10月期の財政赤字は21億4250万キナで、前年同期の18億3420万キナから増えた。アジア開発銀行(ADB)は、パプアニューギニアの年間成長率が2017年までに2.4%に減速すると予想している。2014年に達成した13.3%を大幅に下回る水準だ。

 パプアニューギニアの2016年予算で提案されている大幅な予算削減は、2020年までに政府支出を国内総生産(GDP)比23%に削減する(2015年実績は30%)。だが、来年実施される予定の選挙は、医療分野で40%、教育分野で23%という猛烈な予算カットの実行を阻むかもしれないとアナリストらは話している。

 パプアニューギニアは、膨れ上がる債務返済コストにも直面している。元利返済費用は今年、政府支出の10%に上昇する見込みだ。また、2018年に首都ポートモレスビーで主催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の準備に今後3年間で30億キナの費用がかかる。

 「財政管理は難題だ」。ADBのエコノミスト、ユレンドラ・バスネット氏はこう言う。「LNGプロジェクトの構造的変化とコモディティーの低迷、気候のインパクト――農業と鉱山閉鎖への影響――の一体化が深刻な課題を生まないだろうと言うのは、甚だしい過小評価だ」

By Jamie Smyth in Sydney
© The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/46656


 


NISAが加速する投資信託のデフレ化

若年層狙う低コスト商品が続々登場

2016年4月21日(木)上木 貴博

インデックス型投信の信託報酬は過去最安値に

各年に新規設定された投信の信託報酬の平均(出所:格付投資情報センター)
[画像のクリックで拡大表示]
 市場平均への連動を目指すインデックス型投信の信託報酬(運用管理費用、元本に対する年率で表す)が下がっている。格付投資情報センターによると、2015年に運用会社が新規設定したインデックス型投信の信託報酬平均は約0.3%。上のグラフの通り、これは過去最も低い水準だ。

 信託報酬は投資家が投信の保有中に支払う手数料だ。数年単位の長期投資において投信選びの重要な要素である。昨今、ネット証券を中心に「ノーロード」(購入時手数料なし)の投信も増えており、いずれも若年層の長期投資を促すことになりそうだ。

 投信の低コスト化の口火を切ったのは、三井住友アセットマネジメントだ。昨年9月、DC(確定拠出年金)専用投信4本の一般販売に踏み切った。DC専用は運用資金の流出入が小さいため、信託報酬は低く設定しやすい。また分配金を出さないので長期的に基準価額は上がりやすい(基準価格とは、投資信託の現時点での価値が単位口数あたりでいくらになるかを示すもの)。

 11月にはニッセイアセットマネジメントが既存のインデックス型投信の値下げで応酬。年末にはDIAMアセットマネジメントが、「業界最低水準の信託報酬」を売りにした新ブランド「たわらノーロード」を投入している。今年2月にはピクテ投信投資顧問が低価格アクティブ投信シリーズ「iTrust」で追従した。たわらとiTrustはネット専用商品であり、紙の販売資料や目論見書の印刷代が浮く。

親からの贈与が投資資金に

 運用会社同士による値下げ競争は、“デフレスパイラル”の様相を呈してきた。要因はいくつかある。1つはネット証券利用率の高まりだ。ネットやスマホでの投資に抵抗を感じる高齢者は、店舗を持つ証券会社で口座を開く。一方で、ネット専業証券には手厚いサービスよりも、コストにシビアな若年層が集まる。「ノーロード」や「信託報酬が低い」といったシンプルな商品特長はネット証券利用者に受け入れられやすい。投資家のニーズが低コストのインデックス型に移りつつあるのは確かだろう。

 もう1つの要因が開始3年目のNISA(少額投資非課税制度)である。同制度では投資から得られる利益に対して2割課せられる税金が免除される。NISA口座の投資上限は今年から100万円から120万円に引き上げられ、毎月10万円という、分かりやすい目安が生まれた。積み立て投資に向いた低コスト投信のニーズは高まっている。

 そして、昨年1月の相続増税によって進む資産移転だ。「贈与などで資金を手にした現役世代が投資を始めた」と見られている。若年層は短期の値上がり益や毎月の分配金狙いではなく、長期保有を前提に投信を選ぶため、やはり、長期で効いてくる信託報酬の高い安いが投信選びの鍵になる。

 国や証券業界は「貯蓄から投資へ」と長年訴えてきたものの、先進国と比べて日本の現金貯蓄率は高止まりしてきた。今後、マイナス金利が銀行からの資金流出を生めば、“デフレ投信”がその受け皿になりそうだ。

このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/042000320/?ST=print


 

日銀、英国のEU離脱可能性を懸念=関係者

By TAKASHI NAKAMICHI
2016 年 4 月 20 日 22:50 JST

 日本銀行は英国の欧州連合(EU)離脱の可能性に懸念を募らせている。EU離脱となれば円が急騰する恐れがあり、低迷する日本経済に打撃となるためだ。日銀に近い複数の関係者が明らかにした。

 関係者によると、英国のキャメロン首相が最近明るみに出た租税回避問題に巻き込まれたことを受け、日銀当局者は「英国のEU離脱(ブレグジット)」リスクを真剣に検討し始めた。キャメロン首相は6月の国民投票でEU残留を支持するよう英国民の説得にかかっているが、いわゆる「パナマ文書」の流出がその活動に影を落としている。

 関係者は、英国のEU離脱が決まれば欧州経済統合を疑問視する声が強まり、ポンドだけでなくユーロの需要も減退しかねないことが日銀内で懸念されていると述べた。そうなれば投資家は、安全資産と見なされている円へ資金を逃避させる公算が大きい。
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MY805_0308bo_M_20160308034647.jpg


カーニー英中銀総裁、「Brexit」はロンドン金融街のたそがれ
Craig Stirling、Simon Kennedy
2016年4月20日 15:44 JST

英国が欧州連合(EU)を離脱すれば、首都ロンドンの金融街シティーの世界の金融システムにおける優位は薄れるだろうと、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が述べた。
  同総裁は19日の議会証言で、EU加盟は国際的な銀行業界でのロンドンの地位を高めており、離脱すれば現在の支配的な立場が弱まるだろうとの考えを示した。
  同総裁は、離脱となれば「ロンドンが現在の地位を保つ可能性は低く、立場が強まる公算は小さい」と証言。「EU加盟とユーロ圏へのアクセスのたやすさが、有数の国際金融センターとしての地位を強化していることは疑いがない」とし、離脱しても金融センターではあり続けるだろうが、「形とその度合いは変わるだろう。つまり小さくなるだろう」と語った。
原題:Carney Says City of London’s Role Would Dwindle in Brexit Sunset(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-20/O5X5QD6JIJXG01

 

 
EU離脱でダウニング街の悪夢が始まる

移民規制もEU巨大市場も手に入らぬ英政権の混迷劇

2016年4月21日(木)FINANCIAL TIMES


左から、デイビッド・キャメロン英首相、ボリス・ジョンソン英下院議員兼ロンドン市長、アンゲラ・メルケル独首相(イラスト:Ferguson/Financial Times)
 6月24日の朝を迎えた――。英国は国民投票で欧州連合(EU)から離脱することを僅差で決めたところだ。歓喜に沸くBREXIT(英国のEU離脱)支持派がトラファルガー広場で英国旗を振っている。疲れ果てた様子のデイビッド・キャメロン首相は、ダウニング街10番地(英首相官邸)の外に姿を現し、国民の判断を尊重すると述べ、首相として続投する意向を表明する。

 欧州全土で株価市場が急落し、危機の雰囲気が一層深まっている。フランス、ドイツ両国政府は、今やEUが政治同盟に向けて決定的な一歩を踏み出すことが肝要だとする共同声明を出し、欧州の「経済政府」創設を約束する。

 エディンバラでは、スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相が、スコットランド人は投票でEU内にとどまることに投票したと指摘し、今後はスコットランド独立に関する2度目の住民投票を要求していくと発表する。

ボリス・ジョンソン氏が急遽、首相に就任するが…

 その後数日間、英保守党政権には内紛が吹き荒れる。続投するには首相の権威が傷つきすぎたことが明らかになり、キャメロン首相は辞任する。保守党は党首選挙の実施を決める。2度目の投票で、英下院議員兼ロンドン市長を務めるボリス・ジョンソン氏が、ジョージ・オズボーン財務相を破り、政権樹立を要請される。

 ダウニング街の階段では、新首相が新たな自宅に入る前にラテン語で話して報道陣をおもしろがらせ*、官邸に入る際に、玄関先の階段でつまずくようなそぶりを見せる。

*イートン校時代からラテン語を学んでいたジョンソン氏は、ラテン語は論理的な思考を身に付ける上で極めて効果があるとして、英国の公立校もラテン語教育を導入すべきだとの主張を展開していることで知られている
 ひとたび10番地に入ると、ジョンソン氏は紅茶を一杯出され、次に内閣官房長で英国官公庁を代表するジェレミー・ヘイウッド卿との面談のためにキャビネットルーム(閣議室)に案内される。内々にBREXITに反対していたことが知られているジェレミー卿は、礼儀正しいが、毅然としている。そして市場が混乱に陥っていることから、EU離脱の過程について何らかの明確さを示すことが急務だと新首相に進言する。

果たせない2つの約束

 ジョンソン氏が率いたEU離脱陣営は、2つの重要な誓いを立てていた。まず、「人の自由な移動」を定めたEUの法律から英国を離脱させることで、移民を規制すると約束した。また、英国が引き続きEUとの自由貿易を享受することも約束した。

 ジェレミー卿はやんわりと、この2つの約束は両立しないと指摘し、EUの域内市場はモノと資本、サービス、人の自由な移動に基づいていることを新首相に思い出させる。EUの法律では、これら4つの自由は切り離せない。スイスやノルウェーといった(EUに加盟していないが、EU市場への自由なアクセスを望む)国々は、労働者の自由な移動を受け入れなければならなかった。さて、英国はどちらにするのか。移民に対する規制か、それとも域内市場に対する完全なアクセスか。

 ジョンソン氏は、国民投票に向けた運動を展開している間は、お気に入りのジョークを繰り返すことで、この選択を受け流すことができた。自分は二兎(と)を追って、両方とも手に入れてみせる、としていた。だが、閣議室で一切れのビクトリア・スポンジケーキをつつきながら、新首相はついに現実の問題と対峙せねばならない。直感は、自由貿易の方が移民規制よりずっと重要だと言っている。ロンドン市長として、英国の首都が欧州からの労働力の流入に依存していることは知っている。だが、移民問題がEU離脱派陣営に勝利をもたらした争点だったことも分かっている。

 ノルウェー流の取引、つまり単一市場へのアクセスと引き換えに、英国が人の自由な移動を含めてEUの法律をすべて受け入れることは、自身の党にとって受け入れられないものだ。何しろ保守党は移民の規制と議会主権の回復を要求している。

カナダも参考にはできない

 ジョンソン氏はケーキから顔を上げて、「カナダはどうなんだ」と聞く。この質問を予期していたジェレミー卿は、悲哀と皮肉を交えながら、EUとカナダの自由貿易協定が英国にとっては手本とならない理由を説明し始める。

 まず時間の問題がある。英国がひとたびリスボン条約の第50条を発動し、EUから離脱する意向を発表したら、EUとの新たな貿易協定を交渉するのに2年しか時間がない。だが、EUとカナダの協定の交渉は2009年に始まった。ここで、ジェレミー卿は、ジョンソン氏が好むウッドハウス氏*流の言葉遣いを取り入れて、こう付け加える。「こう言うのは残念ですが首相、あのひどい協定はまだ批准もされておりません」。

* ユーモアにあふれることで知られる英国の作家(1881〜1975)
 ジョンソン氏が一瞬、うなだれた様子を見せたため、ジェレミー卿はたたみかける。カナダモデルの2つ目の問題は、工業製品については関税を廃止するが、サービスの真の自由貿易は保証しないことだ。しかし、とジェレミー卿はこうつぶやく。「ロンドン市長として過ごした時から、サービス、特に金融サービスが英経済にとって重要だという点はご存じですよね」と。

 ジョンソン氏は、もう仕方がないと腹をくくる。この際、ドイツに飛び、欧州の真の指導者に支援を請うしかない。ベルリンでは、アンゲラ・メルケル首相の温かい歓迎にうれしい驚きを覚える。メルケル氏は、英国の決断は残念だが、英国にとって公正な取引を確保するために最善を尽くすと言う。

 英首相は励まされてダウニング街に戻るが、その後何週間もベルリンから音沙汰がない。ようやく、電話が鳴った。相手はアンゲラおばさんだ。ただ、その口ぶりは残念そうだ。メルケル氏は、ドイツとしては、完全に自由な労働力の移動を必要としない形で単一市場への高度なアクセスを英国に与えたいが、欧州委員会がそれは違法だと言っており、欧州議会は聞く耳を持たず、フランスについて言えば……。

 ジョンソン氏がもう受話器を置いて、強いお酒をつごうとした時、メルケル氏が付け加えた。「助けになるかもしれないことが1つあります」。そこで長い沈黙が入る。「シリア難民を20万人受け入れることを検討するつもりはありますか」。

Gideon Rachman
( ©Financial Times, Ltd. Apr. 11, 2016)

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英国のEU残留派、離脱派を10ポイントリード=イプソスモリ調査

[ロンドン 20日 ロイター] - イプソスモリの世論調査結果によると、英国の欧州連合(EU)残留支持が49%で、離脱派を10ポイント上回った。

EU離脱の是非を問う英国民投票を前に、イブニング・スタンダード紙が20日、調査結果を伝えた。3月の調査では、残留派が離脱派を8ポイントリードしていた。

また調査結果は、投票率が低下すると、残留派と離脱派の差が6ポイントまで縮小し、離脱派に有利となることも示した。

同紙によると、イプソスモリの政治調査部門責任者、ギデオン・スキナー氏は「非常に接戦となっているが、どの国民投票でも現状維持が通常は有利だ」と話した。

調査は16━18日、1026人を対象に電話で行った。
http://jp.reuters.com/article/more-brittons-opting-to-stay-in-eu-idJPKCN0XH1VN

 

低インフレが賃金を抑制=マカファーティー英中銀金融政策委員

[ロンドン 20日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のマカファーティー金融政策委員は20日、賃金の伸びは総合インフレ率の低迷で抑制されているが、物価の上昇が加速すれば賃金増のペースも速まる可能性があるとの認識を示した。

委員は2月、賃金増のペースが自身の想定を下回っているとして、利上げへの支持を取り下げた。

この日の講演では、いずれかの段階で再び利上げを支持するとの見方を示したが、「今後数カ月の経済動向をめぐる不確実性はとりわけ深刻」として、時期については明言できないとした。

欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票をめぐる不透明感が今後数カ月、投資の足かせになる兆候が出ているとし、「夏にかけて国内総生産(GDP)の伸びがやや弱まる可能性がある」との見方を示した。

マカファーティー委員は、企業は値上げできないため、現在のインフレ率を賃金交渉の起点にしているとの話を耳にしたと指摘。原油安によるインフレ押し下げの影響がなくなれば状況は反転するとし、「インフレの持ち直しは賃金の伸び加速につながる」と述べた。

「賃金増が加速に向かう時期は、われわれのインフレ予想の変更に伴い後ずれしたが、われわれの見通しで3年目に目標を上回るリスクが依然として存在する」とした。
http://jp.reuters.com/article/britain-boe-mccafferty-idJPKCN0XH1VB


 

 

日本の格付け据え置き、マイナス金利で借入コストは低減=S&P
 
[東京 20日 ロイター] - スタンダード&プアーズ・レーティングズ・サービシズ(S&P)は20日、日本の長期ソブリン格付けを「A+」に据え置いた。また、アウトルックは引き続き「安定的」とした。

S&Pは、日本の格付けが豊かで多様化された経済や政治的な安定性、安定した金融システム、システム・ガバナンスの有効性や強い対外ポジションなどに支えられていると指摘。また、日銀の大量国債購入で70%の国債がマイナスの利回りで推移し、日本の債務借り換え率は世界で最も高い水準にあるが、こうした低金利は政府の借り入れコストの引き下げに直結するとしている。

また、今回の格付け据え置きは、消費税率の引き上げが来年度中に実施されることを条件とするものではないとの見方をしている。

「安定的」のアウトルックは、今後2年間の見通しとして、平均2%の名目経済成長率と国債の実効金利がマイナスであることから、政府債務残高の増加ペースが減速し、いずれは安定するとの見方を反映。今後、名目、実質ともに経済成長が力強さを増し、その結果、財政パフォーマンスが大幅に改善した場合には、格上げとなる可能性があるとした。一方、政府の対応が不十分であることにより、経済成長を持続させ、デフレを食い止め、結果として政府債務負担を安定化させることができないと判断した場合には、格下げとなる可能性があるとしている。

(Reporting by Hiroyasu Hoshi)
http://jp.reuters.com/article/japan-rating-idJPKCN0XH0Y4

 


日銀がマネー拡大しても民間融資は増えない

日銀依存の誤った幻想を斬る

2016年4月21日(木)小黒 一正

 (前回はこちら)  前回、「日銀が国債を全て買い切れば、『国民負担無し』で財政再建が終了する」といった主旨の言説が誤解であることを証明した。

 今回は、「日銀がマネタリーベース(現金+準備)を拡大すれば、民間銀行は貸出を増やすはずである」という主張も、「準備」(中央銀行が民間銀行から預かっている預金=日銀当座預金)が超過となっている現在の状況では成立しないことについて述べる。

 この理由は2つある。一つは現在の超過準備が異常な規模に達していること。もう一つは、現代の金融システムで資金決済の中核を担うのは「現金」でなく「預金」だからだ。その際、第1 の理由との関連では、「一定程度の超過準備があるとき、民間銀行が貸出を増やしても、準備は基本的に変化しない」という事実に関する理解が重要である。この理由や事実を把握するため、例えば図表1のケースで、家計AがB社の不動産を購入する際、民間銀行が家計Aに50の貸出を行う場合を考えてみよう。

図表1:

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 この場合、貸し手である民間銀行は一般的に、借り手である家計A向けに貸出50を実行するのに合わせて、家計Aの預金口座を開設し、そこに預金50をチャージする。このとき、民間銀行は、図表1の自らのバランシートの資産側に貸出50、負債側に預金50を追加する帳簿上の操作を行うだけである。これは「信用創造」の基本的な機能であり、民間銀行のバランスシートは、以下の図表2のようになる。

 その際、借り手である家計が、B社との不動産売買を決済するため、預金50を現金として引き出す可能性も完全には否定できないが、その可能性は高くない。大量の現金を資金決済のために持ち運ぶのは防犯上のリスクが極めて高いからだ。このため、不動産の買い手である家計Aは振込み手続きを行い、B社の口座に預金50を振り込むのが一般的だ。この時、民間銀行全体で見た準備や預金の総額は何も変わらない。

図表2:

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 つまり、民間銀行が融資を実施しても、日銀のバランスシートにおける準備の総額も基本的に変わらない。もっとも、「準備預金制度に関する法律」に基づき、民間銀行は家計や企業から預かった預金の一定割合(=準備率)を日銀当座預金に積み立てる義務を課されている。この義務を「法定準備」という。現在の「準備率」は最大でも1.3%に過ぎない。このため、貸出増に伴って預金が増し、法定準備が少々増加しても、それは超過準備を減少させることで吸収できる。ちなみに現在、約260兆円ある準備(2016年1月末)のうち法定準備は約10兆円とわずかだ。

 すなわち、「日銀がマネタリーベース(現金+準備)を拡大すれば、民間銀行は貸出を増やすはずである」旨の主張は、超過準備が現在のような状況では、ウソで誤解である。一定程度の超過準備があるとき、現代の金融システムにおける資金決済の中核は「現金」でなく「預金」であるから、民間銀行は基本的に日銀の支援を受けずとも、「信用創造」機能によって貸出需要に応えることができる。

 以上が理解できれば、次の事実も正しく理解できよう。
「マネタリーベース(現金+準備)は民間銀行が貸出を増やすか否かとは基本的に無関係」 「民間銀行が超過準備を日銀当座預金に無駄に滞留させているから、貸出を増やさないのではない」

貸出が増えないのは人口減少や高齢化が原因

 貸出が増えないのは、1)人口減少や少子高齢化で本当に貸出需要が極めて少ない、もしくは2)銀行の融資部門の審査能力や目利きが低下しているからであろう。貸出需要を増やすためには、少子化対策や移民で人口を増やす政策や、潜在成長率を高める新産業の創出や構造改革が必要である。また、「超過準備の付利があるから、貸出を増やさない」旨の指摘や、「超過準備の一部にマイナス金利を適用すれば、貸出を増やすはず」旨の指摘が誤解であることも理解できよう。

 むしろ、市場金利との比較で適切な水準まで「超過準備」の付利を引き上げずに抑制する場合、それは預金課税と実質的に同等の効果をもつという視点の方が重要である(関連記事「日銀が国債買い切っても負担なき財政再建はムリ」)。

 繰り返しになるが、日銀がマネタリーベース目標を維持し、民間銀行が国債の買いオペレーションに応じる限り、マクロの準備(日銀当座預金)は減少しない。例えば、A銀行がB製作所に100億円の貸出をすれば、B製作所のA銀行口座に100億円が入金されるだけなので、A銀行の仕訳は「貸出100 / 預金100」となる。バランスシートの両サイドが膨れ上がるだけで超過準備には基本的に影響しない(法定準備分は除いて考える)。

 その後、B製作所が100億円を引き出して設備投資すると、確かにA銀行の仕訳は「預金100 / 準備100」となって、預金が減り準備も減るが、B製作所から受注したC社のD銀行口座に100億円が振り込まれることになるので、D銀行の仕訳は「準備100 / 預金100」となり、D銀行の準備が同額増えることになる。民間銀行全体のバランスシートを見れば、結局何の影響もないことになる。

日銀の準備が減少はするケースは3つだけ

 なお、マクロの準備が減少するのは、次の3つの場合しかない。日銀に口座を持つのは、準備(日銀当座預金)をもつ民間銀行などの金融機関や、政府預金をもつ政府部門しかないからだ。すなわち、1)国債の売りオペレーションで日銀が保有国債を売却する場合、2)民間銀行から政府部門に支払いを行う場合、3)民間銀行が準備の一部を現金として引き出す場合の3つである。

 このうち、1)国債の売りオペレーションで日銀が保有国債を売却する場合の資金の動きは次のようになる。例えば図表3のケースで、日銀が金融政策として保有国債100の売りオペレーションを実行すると、以下の通り、日銀のバランスシートは図表3から図表1になって超過準備が100減少する。

図表3:

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図表1:(再掲)

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 また、2)は民間銀行が政府部門の発行する国債を引き受ける場合などに発生する。図表3で、政府部門が新たに国債100を発行し、それを民間銀行が引き受けるケースを考えてみよう。このとき、政府部門バランスシートの負債側では国債が100、資産側では政府預金が100、それぞれ増加する。この際、民間銀行バランスシートの資産側では国債100が増加する一方、資産側の準備が100減少する。

 準備が100減少するのは、民間銀行が国債100の購入費を政府部門に支払うためだ。この資金決済の結果、日銀バランスシートの負債側で準備が100減少し、政府預金が100増加する。その結果、政府部門・日銀・民間銀行のバランスシートは以下の図表4となる。

図表4:

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 このとき、図表3の準備は350であるが、民間銀行が国債100を引き受けると、図表4の通り、準備は250に減少する。ただ、これは一時的な現象に過ぎない。もし政府部門が新たな国債発行で得た資金100を年金給付として家計などに支出すれば、それは家計など民間銀行に保有する預金口座に振り込まれるので、民間銀行の預金が100増加する。

 その際、政府部門バランスシートの資産側では政府預金が100減少する。民間銀行バランスシートの負債側では預金が100増加する一方、資産側では準備が100増加する。準備が100増加するのは、政府部門が家計などの預金口座に資金100を振り込むためで、その結果、日銀バランスシートの負債側で政府預金が100減少し、準備が100増加する。

 結局、政府部門・日銀・民間銀行のバランスシートは以下の図表5の通りとなる。すなわち、民間銀行が国債100を引き受けると、図表4の通り、準備は250に一時的に減少するが、政府部門が国債発行で得た資金100を支出すると、図表5の通り、準備は図表3と同じ350になる。

図表5:

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 最後に、3)民間銀行が準備の一部を現金として引き出す場合はどうか。現代の金融システムの資金決済の中核は「現金」でなく「預金」である。何億円もの取引を現金で行うのは大変なので、このケースが現時点で発生する確率は低いと考える。

 だが、日銀が付利を適切な水準まで引き上げない場合、民間銀行は余裕資金(=超過準備)を現金として取り崩して貸出や内外の投資に振り向ける可能性があるかもしれない。日本銀行法第46条第2項に基づき、現金(日銀券)には「強制通用力」が認められているためである(関連記事「日銀が国債買い切っても負担なき財政再建はムリ」)。

 なお、マイナス金利政策の下では、日銀バランスシートの負債側にある「準備」の規模を長期的に維持することは難しい可能性があるという視点も重要である。この意味についても、最後に少し説明しよう。

 既に説明したように、民間銀行が貸出を増やすか否かにかかわらず、日銀がマネタリーベース目標を維持する限り、マクロで見た「準備」の残高は減らない。これは、日銀当座預金をもつ民間銀行などの金融機関のいずれかが必ずマイナス金利という「ペナルティー」を受けることを意味する。

 ただ、民間銀行などの金融機関がマイナス金利の負担を日銀に押し付ける方法もある。日銀がマネタリーベースをさらに拡大すべく「国債の買いオペレーション」を実施するときに、保有する国債をより高い価格で日銀に売却するのだ。マイナス金利に伴う負担を日銀に転嫁する。

 例えば、マイナス金利で合計5億円の損失が予測される場合、これまで100億円で日銀に売却していた国債を105億円で売却する。このように負担を転嫁することができれば、銀行などはマイナス金利の負担を免れることができる可能性がある。

 先般(2016年2月16日)スタートしたマイナス金利政策(NIRP)は、日銀当座預金を「基礎残高」「マクロ加算残高(法定準備を含む)」「政策金利残高」の3層に分割し、それぞれ「プラス金利(0.1%)」「ゼロ金利」「マイナス金利(▲0.1%)」の付利を適用する方式に改めた。ただし、マイナス金利の幅や適用範囲を含め、今回のマイナス金利政策は日銀の裁量に負う部分が多く、不確実性が消えることはない。

 この状態は明らかに「不安定な均衡」である。現在、マイナス金利が適用となる政策金利残高は約10〜30兆円に過ぎず、マイナス金利も▲0.1%という微小な幅であるため、超過準備を取り崩して現金として引き出す民間銀行の誘因は小さい。しかし、マイナス金利の適用範囲やマイナス金利幅が大きくなれば、現金として引き出す誘因は大きくなり、日銀が超過準備の規模を長期的に維持することは難しくなる。

 このため、日銀は、マイナス金利政策かマネタリーベース目標のどちらかを取りやめる必要性に迫られる可能性がある。もし日銀がマネタリーベース目標を取りやめる場合、日銀バランスシートの規模が縮小するので、日銀が保有する国債も減少する。

 その結果、政府部門バランスシートの負債である国債の一部と、日銀バランスシートの資産である国債が、統合政府バランスシート上で互いに相殺できた国債が減少するため、民間銀行が保有する国債が増加する。

 この場合、国債市場の需給関係が供給増に変化し、国債の価格が下落(=長期金利が上昇)する圧力がかかる。このような状況で、政治が財政再建や社会保障改革をしっかり進め、市場の信認を得ることができなければ、財政は厳しい現実に直面するはずである。

このコラムについて
子供たちにツケを残さないために、いまの僕たちにできること

 この連載コラムは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアムシリーズ)をふまえて、 財政・社会保障の再生や今後の成長戦略のあり方について考察していきます。国債の増発によって社会保障費を賄う現状は、ツケを私たちの子供たちに 回しているだけです。子供や孫たちに過剰な負担をかけないためにはどうするべきか? 財政の持続可能性のみでなく、財政負担の世代間公平も視点に入れて分析します。
 また、子供や孫たちに成長の糧を残すためにはどうすべきか、も議論します。
 楽しみにしてください。もちろん、皆様のご意見・ご感想も大歓迎です。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/216138/041500010/?ST=print

 

3月米中古住宅販売:予想以上に増加、価格は前年比5.7%上昇
Shobhana Chandra
2016年4月21日 00:41 JST 
3月の米中古住宅販売件数は前月比で予想以 上に増加した。春季住宅販売シーズンに向けて需要の底堅さが示され た。
全米不動産業者協会(NAR)の20日発表によれば、3月の中古住 宅販売件数(季節調整済み、価格を除き以下同じ)は前月比5.1%増の 年率533万戸。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は528 万戸だった。前年同月比は1.5%増加した。
中古住宅価格(中央値)は前年同月比5.7%上昇して22万2700ドル となった。
中古住宅在庫は3月末時点で198万戸。前年同月比で1.5%の減少だ った。販売に対する在庫比率は4.5カ月。前月は4.4カ月だった。
一戸建て販売は5.5%増加して年率476万戸。集合住宅は1.8%増 の57万戸だった。
地域別では4地域全てで販売件数が増加。北東部で11.1%増加し た。
統計の詳細は表をご覧下さい。
原題:Purchases of U.S. Previously Owned Homes Rebounded in March(抜粋)
あっlx
--取材協力:Chris Middleton.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-20/O5XT6B6TTDU501


サウジ:100億ドル借り入れで合意、財政赤字穴埋めで−関係者
Matthew Martin
2016年4月20日 15:33 JST

サウジアラビアは少なくとも15年ぶりの政府借り入れの条件について銀行団と合意した。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。
  関係者が匿名を条件に述べたところによると、サウジ政府は100億ドル(約1兆900億円)の融資でロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に約120ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上乗せの金利を支払う。期間は5年で月内に契約が調印される見込み。
  銀行団には米国、欧州、日本、中国の銀行が参加していると関係者らが述べた。サウジは当初、最大80億ドルの借り入れを目指していたが応募銀行が多く規模を拡大したという。同国は財政赤字穴埋めのため、他の資金調達先も探している。
原題:Saudi Said to Agree Terms on $10 Billion Loan to Fund Deficit(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-20/O5X4DA6JIJUO01


 

 
ロシア、原油価格40−50ドルでの財政運営を義務付けも−財務相
Andrey Biryukov、Anna Andrianova、Ott Ummelas
2016年4月21日 00:49 JST

ロシアは財政政策を刷新する計画だ。原油価格の変動から国内経済を守ることを狙い、新たな予算規律を設ける。
  シルアノフ財務相がモスクワで明らかにした案では、あらかじめ設定した原油価格を上回った場合に手にする歳入について、政府の支出を阻むメカニズムが盛り込まれる。設定される原油価格は1バレル=40−50ドル前後で、相場がこの水準を超えた際に受けとる追加収入は準備基金に蓄えられる。
  石油と天然ガスはロシアの輸出の約60%を占め、歳入のおよそ3分の1を稼ぐ。ルーブルとブレント原油の相関係数(60日ベース)は15日にプラス0.85と過去最高を付け、完全な相関を意味するプラス1に迫った。20日も0.81と依然高い水準にある。
  シルアノフ財務相は、財政再編措置がとられなければ原油価格が60−70ドルになった場合、ルーブルの実効レートが「深刻に」上昇するリスクがあると指摘。「中央銀行の手段のみで為替の実効を管理しようとするのは不可能だ」と述べた。
  同相によると、この案は秋に政府に提出される。当局はまた、年間で国内総生産(GDP)の1%に相当する財政健全化を模索している。
原題:Russia Braces for Post-Crash Era With $40-$50 Oil Link to Budget(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-20/O5XU2H6KLVR701


 

ヘッジファンド業界から資金大量流出、1−3月は09年以来の大きさ
Will Wainewright
2016年4月21日 00:51 JST


世界のヘッジファンド業界は今年1−3月に縮小した。市場のボラティリティ上昇がリターンを脅かし、投資家がヘッジファンドから引き揚げた資金の規模は2009年以来の大きさに達した。
  ヘッジファンド・リサーチの20日発表によると、業界からは1−3月に差し引きで150億ドル(約1兆6400億円)の投資家資金が流出し、運用資産額は2兆9000億ドルから2兆8600億ドルに減少した。これ以上の純流出が最後に記録されたのは09年4−6月の430億ドル。
  HFRIファンド加重総合指数によると、ヘッジファンドの1−3月のリターンは平均でマイナス0.7%。昨年全体ではマイナス1.1%だった。
原題:Hedge Funds Endure Biggest Outflows Since 2009 in First Quarter(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-04-20/O5XULW6K50YA01


 


社説】中国2つ目のバブル崩壊へ、今度は債券市場
迫り来るデフォルトの波に対応できるか
遼寧省大連市にある東北特殊鋼集団の工場で働く従業員(3月31日)

2016 年 4 月 20 日 18:11 JST

 中国北東部、遼寧省大連市にある東北特殊鋼集団の楊華董事長(会長)が3月24日に自殺した。その4日後、同社は1億3100万ドル(約140億円)の社債を償還できず、それからさらに2度のデフォルト(債務不履行)に陥った。今年に入ってから東北特殊鋼集団を含めて最低7社が債務不履行となり、中国の債券市場を揺るがしている。債券価格は下落(利回りは上昇)し、新規発行が相次いでキャンセルされた。長期的には市場の成熟につながるだろうが、中国金融システムの深刻な弱点があらわになった。

 最近まで、債権者への償還に行き詰まった国有企業は中央か地方政府からの支援を期待することができた。このため投資家は中国の証券は事実上の無リスク資産だと思い込み、社債と国債との利回り格差は過去1年で2007年以降の最低水準に下がった。

 昨年6月に中国株式市場のバブルがはじけて以降、安全なリターンを求める投資家が債券市場になだれ込んだ。経済成長の鈍化と企業収益の悪化にもかかわらず、昨年は3兆6000億ドル相当の社債が新たに発行された。これは2014年の2倍の規模だ。

 現在、二つ目のバブルがはじけようとしている。政府は、返済資金の調達を銀行融資に頼っている「ゾンビ企業」を退場させると公言している。国有の国家開発銀行は東北特殊鋼集団の事業拡大に融資したが、現在のところ債権者集会の調整に限定的にしか関与していない。

中国政府、試されるゾンビ企業退治の本気度
中国ゾンビ企業の再編と労働者の苦境
中国、ゾンビ企業一掃機会を逃す
 深刻な状態に陥った中国企業の多くは重工業セクターに入っている。これは政府が2008年以降に実施した景気刺激策の恩恵を享受した業界だ。政府は不動産デベロッパーに気前よく融資するよう銀行に促し、国有企業などに道路や空港を新設するよう後押しした。これが成長率と雇用を押し上げたが、製鉄会社や石炭会社やセメント会社は現在、債務を返済できなくなっている。

 今月6日にデフォルトに陥った中煤集団山西華c能源も注目に値する。石炭生産大手の中煤能源集団が株式の半分を保有していたからだ。中国鉄路物資は先日、債務弁済計画を見直しているとして社債の取引を停止した。同社は国有企業を統括する国務院国有資産監督管理委員会(国資委、SASAC)によって管理されている。数カ月前まで、こうした政府の後ろ盾を得ている企業がデフォルトに陥る可能性は非常に低いと見られていた。

 ある年代の中国人投資家なら1999年の似たようなエピソードを思い出すだろう。同国で最も財政力のある広東省政府が、主力の投資会社である広東国際信託投資公司(GITIC)のデフォルトを認めたのだ。GITICの抱えていた負債は47億ドル。最終的に同社は破綻し、債権者が回収できた金額はわずかにとどまった。この世代の投資家にとって、この破綻劇は政府の後ろ盾が債務保障にならないという教訓となった。

 あまりに遅すぎたにしても、こっそりと債券市場に戻ってきたモラルハザード(倫理観の欠如)を中国政府が一掃したことは称賛できる。いま差し迫った問題は、政府が透明かつ市場経済に根ざした方法で企業を再建できるかだ。

 社債保有者は、中国企業が数年にわたり累積してきた負債の一部に請求権を持つにすぎない。中国経済の広義の信用指標である社会融資総量は3月に15.8%増加して22兆4000億ドルとなったが、このうち新発社債は1075億ドルを占めていた。現在、中国の企業債務は国内総生産(GDP)の約160%で、米国の70%を大きく上回る。

 中国の銀行が発表した公式統計によると、各行が抱える不良債権は総資産の1.7%にすぎない。だが、これは悪化する問題を過小評価している。中国では、迫り来るデフォルトや破綻処理に向けた法規制の枠組みが依然として欠如している。

 政府は1999年、不良債権を資産管理会社に移管させることで、四大国有銀行の資本構成を組み直した。資産管理会社はデット・エクイティ・スワップ(DES、債務の株式化)や交渉を通じて債権の一部を回収した。だが今回のプロセスは一段と複雑になるだろう。銀行は危機を引き起こすまで不良債権を化膿(かのう)させておくのではなく、表面化した不良債権を自力で処理する必要があるからだ。

 最近のデフォルトと債券市場の動揺は中国政府への警告だ。対応に失敗すれば、危険な時期に金融システムへの信頼を揺るがしかねない。

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https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NP819_3china_M_20160419102440.jpg


セメントにみる中国の変わらぬ「過剰」問題
市場が縮小する中で巨大な新工場が建設される理由とは
 中国は11年と12年のわずか2年間で、米国が20世紀に作り出した量に相当するセメントを生産した。現在、中国のセメント生産能力の約4分の1は稼働していない ENLARGE
 中国は11年と12年のわずか2年間で、米国が20世紀に作り出した量に相当するセメントを生産した。現在、中国のセメント生産能力の約4分の1は稼働していない PHOTO: ASSOCIATED PRESS
By ANDREW BROWNE
2016 年 4 月 20 日 16:46 JST

 【玉泉(中国)】中国でいま、一番不要なものの一つは新しいセメント工場だ。

 著しく膨張していた不動産市場が2014年に崩壊して以来、無駄な在庫が積み上がっている。需要が完全に回復することはないだろう。都市部のスカイラインには、建設中のアパートの上で使われずに揺れているクレーンの姿が点々と見られる。中国政府は危機感を抱いて、鉄鋼やセメントといった業界の過剰生産能力の縮小を国家の優先事項だと宣言した。そのためのスローガンさえある。「供給側の改革」だ。

 それでも、北東部の工業地帯にあるセメント大手の国有企業、唐山冀東水泥は、日量7200トンの巨大施設の建設を開始している。ブルドーザーが低い丘に幅広い溝を掘り、工場への道を造っている。この工場はコンクリートに使用するセメントの大規模な過剰供給をさらに増幅することになる。

 このプロジェクトや類似の建設計画をみると、今年の中国で景気回復の兆候が長続きしない可能性が高い理由を、ある程度説明できるだろう。

 現在の景気回復は、短期的な経済成長率押し上げを願って奮闘する地方政府に支えられている。だがそれは、記録的な余剰を抱える建設関連業界への投資促進を意味するかもしれない。

 こうした無謀さは、国内経済をサービス業と消費中心に転換して舵を取り直そうとする中央政府の取り組みを無視する格好になっている。地方政府の当局者らは、中央政府の高級官僚からの指示を無視するのが得意だ。セメントを例にとっても、古くなった工場を閉鎖して新たな生産量を正当化する必要があるが、このプロセスは抜け穴だらけだ。

 黒龍江省での冀東水泥の工場の建設は地域社会にとっては思いがけない恩恵だ。飲食店は地元名物の熱々のソーセージ料理を工場の請負業者たちに出している。これほどの規模の工場になると、名声とともに、税収や雇用ももたらす。

 しかし、セメント業界は新たな工場に悲鳴を上げる。中国セメント協会の幹部は「全く理不尽だ」と嘆く。セメント価格の急落で昨年、2億6000万ドル(約283億円)の損失を計上した冀東水泥は質問に返答しなかった。

 急速に縮小する市場の中で、赤字企業がなぜ生産を拡大するのか。中国セメント協会の幹部は考えられる根拠を説明する。つまり、技術的に進んだ工場により、地域で最も効率的かつ費用のかからない生産者となり、競合他社から市場シェアを奪えると同社が考えている可能性がある。また、この工場が稼働するまでには、競合他社の一部が破たんしていると計算している可能性もある。

 中国セメント協会の幹部は「これはある意味、ギャンブルだ」と話す。

 確実なのは、セメント価格へのさらなる下押し圧力と、業界全体の困窮拡大だ。中国の工業の中心地であり不景気に見舞われた北東部で、これはありふれた話だ。

 しかし、中央政府にも責任はある。中央政府は引き続き市場原理よりも官僚的手法に頼っており、工業生産能力を削減するという方針をめぐって不明瞭なメッセージを送っている。

 結局、企業の賃金引き下げレースは、景気循環の上がり下がりに関係なく急速な景気拡大を必要とする政治システムの産物だ。共産党の正統性はそこにかかっている。習近平国家主席は市場原理に「決定的な役割」を与えることを公約しているものの、同政権はシステムの基本論理に手を付けない経済の青写真を公表している。

 2020年までの経済・社会の発展目標を示す「第13次5カ年計画」の下、必要な国内総生産(GDP)成長率(年率6.5%以上)を達成するために、中国は鉄鋼よりも半導体を、セメントよりもクラウドコンピューティングを、そしてクリーンエネルギーで動く自動車を後押しすることになるだろう。ただ、過去と同様に、そうした努力も中央政府が主導するものだ。

 ワシントンDCに本部を置くシンクタンク、戦略国際問題研究所の中国産業政策専門家スコット・ケネディー氏は、こうした新たな焦点分野も以前のものと同じように生産過剰につながる傾向があり、中国の製造業者と競合する国や地域の問題は増すだろう。

 ケネディー氏は、「問題は拡大する」と指摘。「経済成長は変動の激しいものとなるだろう」と続けた。

 中国の進歩的な改革主義者たちは、国家が産業から大幅に撤退することと不採算セクターでのさらなる企業破産が必要だと主張している。しかし、国家の政策立案者たちはこうした忠告を大いに無視してきた。昨年の株式市場暴落や人民元安などを受けて、習国家主席は市場に支配権を渡すことにますます懸念を強めているようだ。

 一方、セメント産業はますます深刻なトラブルに見舞われている。中国は昨年、世界のセメント生産の57%を占めていた。中国は11年と12年のわずか2年間で、米国が20世紀に100年かけて生産した量に相当するセメントを生産した。

 それでも、中国にある欧州連合(EU)商工会議所による最近の報告書によると、セメントの過剰生産を削減しようとする中央政府の取り組みにもかかわらず、こうした措置は「これまでのところ、問題の拡大ペースを鈍化させているだけだ」。中国のセメント生産能力の約4分の1は稼働していない。

 無駄は減りそうにない。中国が従来の経済成長戦略にしがみつく限り、今日のセメント問題は明日のコンピューター用半導体の危機となるだけだ。

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https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-NP704_cworld_M_20160418223525.jpg


3. 2016年4月22日 16:13:48 : 9qGNlrE83E : AqJE6uc62XY[68]
↑こんな長いコメとも思えぬものを貼りつける
魂胆は一体何なのかと思う私です…。

さて、パナマ文書に掲載の商社が「いい迷惑」
なんて言ったって、本当に身綺麗な商社なんて
あるんでしょうか?
武器輸出なんか堂々としているのに…。


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