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記者会見で笑顔を見せる東芝の綱川智・次期社長＝東京都港区で２０１６年５月６日午後５時４６分、宮武祐希撮影
＜東芝＞新社長に綱川氏昇格 室町社長は特別顧問に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160506-00000064-mai-bus_all
毎日新聞 5月6日(金)20時34分配信
経営再建中の東芝は６日、次期社長に綱川智副社長（６０）が昇格する人事を発表した。空席となっていた会長には、志賀重範副社長（６２）が就き、室町正志現社長（６６）は特別顧問に退く。６月下旬の株主総会を経て正式決定する。６日に東京都内で記者会見した綱川氏は「信頼回復と強靱（きょうじん）な企業体質への変革が私の使命」と抱負を語った。
今回の人事案は、社外取締役５人で構成する指名委員会（委員長・小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長）が人選を進めてきた。会見に同席した小林氏は「外部登用も検討したが、東芝を最も知っている社内から選ぶほうが良いと判断した」と説明。綱川氏について「経営の最終的な責任を背負えて、時代にそぐう方向性を示せる人物」と評価。会長職を設ける理由については「企業プレゼンス（存在感）の向上を社長と分担して担うポジションが必要」と説明した。
綱川氏は医療機器部門一筋で、２０１０年６月からの４年間は医療機器子会社「東芝メディカルシステムズ」の社長として同社の成長を主導した。昨年９月から経営企画部門を担当する副社長として、自らが育て上げた同社を予想を上回る金額での売却を決めた。その交渉手腕が評価された。
東芝は経営再建の３本柱に半導体、エネルギー、社会インフラを掲げる。いずれの事業も経験していない綱川氏は会見で「私にはしがらみのない経営判断や自由闊達（かったつ）な雰囲気を作り出すことが期待されている」と述べ、思い切った決断ができると強調。「長期的には事業ポートフォリオ（構成内容）を組み替えることも必要。勝てるところにシフトしたい」と意欲を示した。
しかし、経験がないだけに求心力を示せるかは未知数で、東芝の事業環境も楽観できない状況だ。原子力事業は１１年の東京電力福島第１原発事故以降、新規受注がない。半導体事業も１６年度からの３年間で累計８６００億円を投資する計画だが激しい競争にさらされ、売り上げ目標達成のめどは立っていない。
東芝は昨春に発覚した不正会計問題を受け、田中久雄前社長ら歴代３社長が辞任し、当時会長だった室町氏が昨年７月に社長に就任。経営再建のために約１万４０００人の人員削減や不採算事業の整理を進めてきた。室町氏は「経営責任を十分に感じている」と述べており、社長を退くことになった。株式の特設注意市場銘柄の解除を社長交代のタイミングの一つとしていたが、「（指定解除の）道半ばに悔いはない。執行役サイドからの要請に応じて、必要があればサポートしたい」と述べ、裏方に徹する考えを示した。【小川祐希、浜中慎哉】
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