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円高を加速する米政府とヘッジファンドの「緊密な関係」(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/444.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 10 日 08:35:10: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              為替市場では、ゴールデンウイーク中に円高・ドル安傾向が進展した


円高を加速する米政府とヘッジファンドの「緊密な関係」
http://diamond.jp/articles/-/90510
2016年5月10日 真壁昭夫 [信州大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■日銀に追い打ちをかけた
 米国財務省の為替報告書

 4月28日の日銀の金融政策現状維持の決定を受けて、為替市場では、ゴールデンウイーク中に円高・ドル安傾向が進展した。日銀の決定に追い打ちをかけたのが、4月29日に米国財務省が発表した為替報告書だ。

 為替報告書の中で米国財務省は、わが国を通貨政策の「監視リスト」に載せ、為替介入を強く牽制する姿勢を示した。それをきっかけに、海外のヘッジファンドなどの投機筋が一斉に円買い・ドル売りを仕掛け、一時、1ドル=105円台にまで円高が進んだ。

 今回の為替市場の動きは、円高というよりもむしろドル安と見るべきだ。これまでのドル安の動きは、2011年11月から2015年の年央までのドル高トレンドの反動と見るとわかりやすい。

 2008年のリーマンショック以降、下落傾向が続いていたドルは、2009年の年央以降、米国経済の回復基調が鮮明化するにつれて、強含みトレンドへと反転した。そのトレンドは2015年の6月まで続いた。

 しかし、中国経済の減速などの要因で原油価格が下落し、シェール革命に沸いた米国企業の収益が悪化すると、ドル高の負担が米国企業の重くのしかかった。2015年7月以降には、米国主要企業の収益が前期対比でマイナスに落ち込んだ。

 ここへきて米国の政策当局としても、ドル高傾向の転換を模索せざるを得なくなった。それに加えて、米国FRBの金利引き上げ時期の後ずれの思惑が高まったこともドル下押しの材料になった。

 ヘッジファンドや為替ディーラーなどはそうした状況に敏感に反応し、取引の薄いゴールデンウイーク中にドル売り・円買いを仕掛けた。それが今回の円急騰を演出した。

 リーマンショックから立ち直った米国経済は、2009年6月以降、原油高やシェール革命を背景に力強く回復傾向を歩み始めた。それに伴い、量的緩和策を続けていたFRBは、徐々に金融政策の正常化に動きだした。

 米国金利が強含みの展開を示すに従い、為替市場ではドル買いが活発化し始めた。その結果、ドルは2011年11月以降上昇トレンド入りすることになる。

■手のひらを返した米国
 曲がり角を迎えたアベノミクス

 対円でドル高を加速したのは、2013年春先に黒田総裁が打ち出した“異次元の金融緩和策”だった。日銀は非伝統的金融緩和策を実施し、金利を一段と低下させることで円安・ドル高を促進し、それを支えに株高を演出することに成功した。

 米国は、自国経済が堅調に推移している間はとても寛大な国だ。政策当局は、「ドルが高く、円が安くてもいい」と言ってくれる。しかし、一旦、自国経済の先行きに不透明要素が見え始めると、米国は手のひらを返す。

 米国の為替政策は、徐々にドル安にして自国企業の収益を支える方向へと大きく舵を切る。今回の為替報告書の中で、対米貿易黒字の大きい日本、中国、韓国、ドイツ、台湾の5ヵ国を監視リストの中に上げて、ドル高を強く牽制する姿勢を示した。

 監視リストに加えて5月下旬の伊勢志摩サミットを控え、わが国政府としては「実弾」による為替介入のハードルが上がったとみられる。そうした観測も、為替投機筋から円買い・ドル売りを仕掛けやすい条件の一つになった。

 為替市場の円安傾向に変化が見られると、わが国企業収益の先行きにも黄色信号が灯る。これまでの円安傾向でかさ上げしてきた、大手輸出企業などの収益状況に懸念が出るからだ。そうした流れを見る限り、これまでのアベノミクスの円安・株高のトレンドが曲がり角を迎えたと言える。

■米国政府のコバンザメ!?
 ヘッジファンドとの「緊密な関係」

 現在、世界の為替市場では1日に約5兆ドルの取引があると言われている。そのうち、ドルに係る取引が圧倒的シェアを占めている。取引の主体を見ると、ヘッジファンドや為替ディーラーなどのシェアがかなり高い。

 しかも、投機筋は一回当たりの取引量が大きいため、為替市場の動きに与えるインパクトは大きい。彼らが扱う通貨は基軸通貨であるドルが圧倒的に大きく、時に、彼らの売買動向が市場を乱高下されることもある。

 そうした投機筋が最も注目している要素に、米国をはじめ主要国の金利動向と経済政策がある。短期的に彼らのオペレーションでは、金利の低い通貨で資金調達し、その資金を高金利通貨で運用する、いわゆるキャリートレーディングの割合が高いケースが多い。

 特に最近、欧米諸国やわが国で積極的な金融緩和策が取られてきたこともあり、当該国の金融・為替政策に対する注目度が高まっている。

 ヘッジファンドのマネジャー連中と接触すると、彼らが米国の経済政策に並々ならぬ注意を払っていることがよくわかる。あるベテラントレーダーは、「われわれは米国政府のコバンザメみたいなもんだ」と言っていた。

 ヘッジファンドは米国政策の意図を敏感に読み取って、それに基づいて売買を行う可能性が高いということだ。逆に、米国政府としても、為替市場で政策意図を実現する場合、大手投機筋が政府の思い通りに動いてくれることは重要なメリットになる。

 今回、米国政府の為替政策が「ドル高容認から緩やかなドル安」へと動いたことは、彼らにとって見逃すことのできないビジネスチャンスになるはずだ。しかも、幸運なことに日本の連休前に、日銀が予想外の金融政策の現状維持を決めたことは、彼らのオペレーションを行ないやすくしたことに違いない。

■今後の為替動向
 基本的に円高傾向が続く!?

 ゴールデンウイーク中に円高が進んだことに対して、安倍首相や麻生財務大臣が「必要措置を取る」と口先介入を行った。一方、米国FRB関係者も、「6月の利上げを排除しない」との発言が出ている。

 米国の金利が上昇することはドルを上昇される要因になることもあり、取り敢えず、ドル円の為替レートは1ドル=106円台を中心に推移している(5月5日現在)。

 ただ、日本の政策当局の為替介入には大きな期待はできない。まず、先述した通り、米国財務省の為替報告書やサミット開催を控えていることを考えると、日本政府が「実弾」を使った大規模な為替介入を実施するにはハードルが高い。

 また、仮に日本政府が介入を行ったところで、これまでの歴史の中で、日本の単独介入の効果は限られている。投機筋は介入に対して、短期的に一旦持ち高を縮小するものの、少し長い目で見れば、日本単独の介入の効果が限定的であることを十分に理解している。

 彼らは少し様子見をして、他の主要国との協調体制ができていないと見れば、一斉に円買いを仕掛けてくる可能性が高い。とういうことは、基本的に、今後も円高傾向が続くとの読みができる。

 しかし為替レートは、所詮、二通貨の交換レートである以上、日米の経済・金融情勢を反映する。米国でインフレ圧力が高まり、FRBが金利引き上げを余儀なくされる可能性が高まると、基本的にドルは強含みの展開になりやすい。

 これからFRBの利上げ観測が高まると、投機筋もドルの売り持ちポジションを手仕舞うことが想定される。その場合には、一時的にドルが買い戻される。

 しかし、米国経済が予想外の好調を維持する展開にならない限り、基本的には昨年までのドル高の反動もあり、ドルの弱含み・円の強含みの展開になるだろう。それは、米国の政策当局の意図にも合致する流れだ。
 

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