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なぜ日本にできない財政再建・経済成長が、英国にはできたのか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/443.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 10 日 08:30:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

なぜ日本にできない財政再建・経済成長が、英国にはできたのか
http://diamond.jp/articles/-/90484
2016年5月10日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長] ダイヤモンド・オンライン


 ゴールデンウィーク期間中に欧州諸国を歴訪した安倍晋三首相は、G7メンバーの欧州首脳と次々と会談した。首相は、今月下旬に日本・伊勢志摩で開催される主要国首脳会議(G7)で、世界経済を成長軌道に乗せるために、金融緩和、財政出動、成長戦略を柱とする「G7版三本の矢」を提起することに、欧州首脳の理解を得ようとした。


 安倍首相は「三本の矢」の中で、特に「機動的な財政出動」の必要性を訴えた。しかし、マッテオ・レンツィ伊首相やフランソワ・オランド仏大統領から賛意を得たが、アンゲラ・メルケル独首相、ディビッド・キャメロン英首相は、財政出動に慎重な姿勢を崩さなかった。


 メルケル独首相は財政規律を重視する姿勢を強調し、「財政だけではなく、デジタル分野など民間投資のための環境整備が必要」と指摘した。そして、「財政の安定と構造改革を通じて、世界経済を確固たるものにしていく」と主張した。キャメロン首相も、「私は構造改革が非常に重要だと思っている」と述べた。そして「それぞれの国の事情を反映しつつ、政策をバランス良く協力して進めることが重要だ」という考えを示した。



 安倍首相は、記者団との会見で「金融政策、機動的な財政政策、構造改革をそれぞれの国の事情を反映させつつ、バランスよく協力していくことが重要であるという点で、各国首脳と一致できた」と会談の成果を強調した。だが、外交における「一致」とは、お互いのメンツを守り、お互いがそれぞれの国民に向けて説明ができるように、どうとでも解釈できる曖昧なものになるのが常である。


 この連載では、日英の金融政策、財政政策、構造改革を何度も比較してきた。それらの論考を振り返りながら、「政策をバランスよく進める」の解釈が、日英で実は真逆であることを示したい。


■キャメロン政権は解散権を封印して、
 発足直後から不人気な緊縮財政を断行
 
 まず、英国キャメロン政権の経済財政政策から振り返る。2010年総選挙の選挙公約でもあった財政再建を実現するために、キャメロン政権は、2010年6月に緊急予算「予算2010(Budget2010)」を発表した。


 日本で緊急な予算編成といえば、景気対策のための「補正予算」などの財政出動のことだ。だが、キャメロン政権の「緊急予算」はそれとは真逆で、公務員給与の2年間の凍結(年間33億ポンド減)、「児童手当」等の給付制度の3年間の凍結(年間110億ポンド減)など、4年で25%の歳出削減(総額300億ポンド減)を断行するものであった。


 また、2010年10月には、次の総選挙までの4年間の各省の歳出削減の見通しを記した「歳出レビュー」(Spending Review)を発表した。各省が平均で19%の歳出削減を行うことで、4年間で総額810億ポンド(約10兆5300億円)の歳出を削減する厳しい緊縮財政策であり、具体的には、年間70億ポンド(約9100億円)の福祉支出の削減、国・自治体合わせて公務員の1割(49万人)削減、公務員昇給の数年間凍結、国民年金の支給開始年齢の引き上げ、大学教育への補助金40%削減などであった。


 更に、2011年1月に付加価値税を17.5%から20.0%に引き上げることも発表された。英国では財政危機に対応するために、首相が増税を決断すれば、議会での審議も法律制定も必要なく、即日実行できる。これは、日本にはない首相の強力な権限である(第25回http://diamond.jp/articles/-/15428)。

 このような、過酷な緊縮策に対して景気への悪影響、失業率の悪化、社会的弱者への打撃などが心配された。キャメロン政権の支持率は低迷し、長期にわたって労働党に10%以上のリードを許すことになった。だが、キャメロン政権は支持率低迷に怯むことなく、緊縮財政策を継続し続けた。


 この連載で紹介してきたように、キャメロン政権は「2011年議会期固定法」を制定した。首相が「解散権」を自ら封印して、英国下院の会期を次回総選挙までの5年間と固定会期制とするもので、その狙いは不人気な財政再建を支持率低下に影響されることなく断行するためであった(第105回http://diamond.jp/articles/-/70884)。

■緊縮財政と構造改革を同時に行い
 経済成長を実現した


 キャメロン政権は、厳しい緊縮財政策の一方で、さまざまな経済政策を打ち出した。まず、医療、教育、国防などを「国家の最優先事項」として例外扱いし、所得税の控除額拡大や、法人税の引き下げ、などの減税を実行した。特に法人税は、2015年4月からは20%という先進国の中では非常に低い水準になった。


 また、住宅取得に政府保証を付ける住宅市場活性化や、法人税率のEU最低水準への引き下げによる海外企業の誘致や投資の積極的な呼び込み、量的緩和政策の実行などを巧みに織り交ぜた。それは次第に効果を現し始め、ロンドンを中心に住宅価格が年間3割近く高騰し、住宅バブルといわれる状況になった。また、中国を中心に海外からの投資が増え、鉱工業部門だけではなくサービス部門も成長率を押し上げた。


 その結果、2009年にはマイナス4.3%まで落ち込んでいた実質GDP成長率(対前年比)が、14年に2.6%まで回復した。12年1月には、8.4%だった失業率も6.5%まで下がった。そして、財政健全化自体は遅れ気味だったが、徐々に改善傾向となり、2018年度に財政黒字化が実現すると予測されるようになった。


 この連載で紹介してきたように、2015年5月の総選挙が近づくにつれて、キャメロン政権の経済財政政策は国民から高評価を得るようになり、長期間労働党の後塵を拝し続けてきた保守党の支持率は急回復し、総選挙当日に保守党は遂に大逆転した。保守党は28議席増で単独過半数(下院定数650)越えの331議席を獲得した勝利したのである。


 要するに、キャメロン首相が「財政政策、金融政策、構造改革のバランス」という時、それは、緊縮財政による財政規律の維持、大胆な金融緩和の断行、海外企業や投資の積極的な呼び込みなど民間活力を引き出す構造改革のバランス、という意味になる。そして重要なことは、財政・金融政策と構造改革を同時にスタートさせて、5年間かけて成果を出したということである(第130回http://diamond.jp/articles/-/15428)。

■「アベノミクス3本の矢」を振り返る


 一方、安倍政権が「財政政策、金融政策、構造改革のバランス」という時は、どういう意味になるのだろうか。まずは、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を振り返ってみたい。


 アベノミクス3本の矢の1本目・金融政策では、黒田東彦日銀総裁が、円高・デフレ脱却に向けて2%の物価上昇率を目標とし、資金の供給量を2年で2倍に拡大する「異次元の金融政策」を断行した。これは金利を下げることで為替を円安に誘導し、輸出企業の業績改善を狙うものだった(第58回http://diamond.jp/articles/-/35250)。

 第二の矢・公共事業については、2013年1月、12年度補正予算に盛り込む事業規模20兆円の緊急経済対策を発表し、民主党政権で減らされてきた公共事業の大幅な増額を柱に据えた。2012年度当初予算の公共事業関係費とほぼ同額の、巨額な財政出動であった(第51回http://diamond.jp/articles/-/30557)。首相は「実質GDPを2%押し上げ、約60万人の雇用を創出する」と宣言した。

 2013年度には、予算規模は過去最大規模の100兆円を超え、国債発行額は、民主党政権時に財政ルールとして定められていた44兆円を大きく上回る49.5兆円に達した。しかし、「アベノミクス」は国民に好感され、安倍内閣の支持率は60%を超えた(第58回・P2http://diamond.jp/articles/-/35250?page=2)。

 しかし、安倍政権は第3の矢・成長戦略については、まず「金融緩和」「公共事業」で景気を回復させて軌道に乗せてから、時間をかけて取り組む戦略を立てた。そして、経済財政諮問会議を復活させ、日本経済再生本部・産業競争力会議を始動させることで検討を本格化させたものの、検討された成長戦略は、歴代の内閣が取り組んだ成長戦略と変わりばえのしないものであり「日本企業の競争力強化策」なので、基本的に誰も反対しないものだった。その一方で「岩盤規制」を呼ばれた強固な既得権益に切り込むことはできなかったために、成長戦略は、乏しい内容でお茶を濁したと批判されてしまった(第52回http://diamond.jp/articles/-/31233)。

■度重なる景気対策で
 財政健全化の国際公約実現は遠のいた


 財政再建については、「2015年度までに国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の国内総生産(GDP)対比の赤字を10年度比で半減、20年度までに黒字化する」という財政健全化目標達成が「国際公約」となっている(第68回http://diamond.jp/articles/-/42362)。この実現の第一歩が、2014年から8%、2015年から10%に消費増税を行うことだった。

 安倍首相は消費増税に関して、2013年10月に、当初の予定通り消費税率を現行5%から、2014年4月に8%に引き上げると決断した。アベノミクス第一・第二の矢で経済状況が好転したためであった。財政再建に向けて、ようやく第一歩を踏み出したと言えたが、一方で首相は、増税によって明るさの見え始めた景気が腰折れするのを回避するために、様々な手を打った。


 例えば、2014年度予算編成では、各省庁が概算要求で軒並み前年度より大幅増の要求を行った。厚労省は、高齢化社会による社会保障費の増大を背景に、13年度当初予算に比べ3.8%増の30兆5620億円と、過去最大の予算要求を行った。一方、国土交通省は、一般会計総額13年度当初予算比16%増の5兆8591億円の概算要求を行った。自民党の厚生労働族や国土交通族が、党政調会の部会で予算獲得を後押しした。2014年度予算の一般会計の総額は、過去最大の95兆8823億円に達した。歳出で最も大きい社会保障費は4.8増の30.5兆円と、初めて30兆円を突破した(第73回http://diamond.jp/articles/-/46212)。

 一方、税制面に関しては、安倍政権は「法人税の実効税率引き下げ」を決定した。法人税を1%下げると5000億円の税収減になる。代わりの財源を確保できなければ、消費増税が無意味になり、15年度の財政健全化達成が困難になると財務省は強く抵抗したが、「景気の維持」「デフレ脱却」に拘る首相が押し切った(第68回・P3http://diamond.jp/articles/-/42362?page=3

 2014年10月、消費増税の経済への悪影響が顕在化してきた。2014年4-6月期のGDP速報値が前期比(年率換算)マイナス6.8%と大きく落ち込んだ。これに対して、10月31日、日本銀行の黒田東彦総裁は、マネタリーベース(通貨供給)を毎年80兆円に増やすなどの追加緩和を発表した。「黒田バズーカ2」と呼ばれたこの政策は、サプライズとしてはまずまずの戦果を上げたように見えた。だが、それでも11月17日に発表された2014年7―9月期のGDPの一次速報は、年率換算でマイナス1.6パーセントと、予想より悪かった。安倍首相は2015年10月に予定の消費税率の引き上げを先送りした。そして、その是非を問うために衆議院の解散・総選挙に踏み切った(第94回http://diamond.jp/articles/-/62382)。

 衆院選で大勝した安倍首相だったが、次は2016年7月の参院選に向けて、経済政策で支持率を回復させることを狙うために「一億総活躍社会」を打ち出した。しかし、各省庁は早くも「一億総活躍」の予算獲得に向けて動き始めた。そして、予算を狙った族議員やさまざまな業界が予算獲得を目指して跋扈する状況になった(第117回http://diamond.jp/articles/-/80592)。

 要するに、安倍首相は財政健全化の公約よりも、景気腰折れを防ぐための対策と選挙対策としての財政出動・金融緩和を続けてきた。結果として、財政健全化の達成は遠のいてしまっている。


■安倍首相の関心は消費増税延期と
 選挙前のバラマキへの「国際的なお墨付き」だけ


 安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、金融緩和の断行は英国と同じだが、財政政策と構造改革については、英国の真逆の政策である。景気対策・選挙対策としてのバラマキが続き、構造改革は先送りされてきた。これを換言すれば、「政策をバランスよく進める」とは、日英で意味が真逆であることを示している。


 おそらく伊勢志摩サミットでは、首脳会議の共同宣言に「政策をバランスよく進める」という、いかようにも解釈できる表現が盛り込まれることになるのだろう。しかし、首脳会議では財政政策について意見の一致はないまま、「バランス」は欧州と日本では、真逆の解釈がなされるのだろう。


 ただ、安倍首相は別にそれでいいのだろう。首相は、世界経済がどうなるかなんて実はなんの関心もないのだ。消費増税延期の空気を醸成するためにノーベル経済学賞受賞者の「お墨付き」を得ようとした首相にとって重要なことは、7月の参院選を前にして、消費増税の延期と、選挙対策としてバラマキを行うことに、「国際的なお墨付き」を得ることしかないのだから。


 

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コメント
 
1. 2016年5月10日 19:59:39 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1449]

>なぜ日本にできない財政再建・経済成長が、英国にはできたのか

金融ビジネスなどで大儲けし、儲けた金で移民を入れて底辺労働をさせ

しかも社会保障は切り詰めたからだろ

ただし若年層の失業率は上昇、移民がテロリストになり、brexitすれば、そう美味しい話は続かないだろう


http://www.nicmr.com/nicmr/report/repo/2013/2013win02.pdf

http://www.news-digest.co.uk/news/news/in-depth/7484-social-security-system.html


元気な高齢者と定年制度廃止

英国の社会保障制度とその変革

英政府は、年齢に関わらず働ける「エイジ・フリー社会」を目指し、今般「法定定年年齢(DRA)」の廃止に踏み切った。ただ真の目的は、膨張し続ける社会保障財政に歯止めを掛けることである。英政府は、急速な高齢化に対応し得る、次世代の社会保障制度を再構築することができるのだろうか。


社会保障制度のほころびとその補正

年齢差別が原因とみられる経済的損失は、年間310億ポンド(約4兆円)に上るとする報告もあることから、英政府は、1999年「雇用における多様な年齢層に関する行動規範」や2006年「年齢差別禁止法」など、これまでにも「エイジ・フリー化」に向けた政策を実施してきた。これらの政策は、行き詰まった社会保障制度の方向転換を試みる対策でもあることを看過すべきではない。  

高齢者の失業率増加は、社会保険費や社会福祉費を増大させ、社会保障財政の悪化に拍車を掛ける。英国は、2034年には65歳以上の高齢者が人口の2割以上を占めるとされ、また、2001年には年金受給者1人につき3.32人で支えていた労働者数が、2060年には2.44人にまで減少するとの研究結果もある。「From the cradle to the grave(揺りかごから墓場まで)」との掛け声の下、近代社会保障制度の先駆けとなる制度を構築した英政府が、高齢化に伴う制度のほころびをどう是正し、且ついかに強化していくのか、その力量が試される。

From the cradle to the grave
第二次大戦後、英労働党が掲げた社会福祉制度のスローガン。「From womb to tomb (子宮から墓場まで)」とも言われる。社会保障を充実させることを目的とした「生まれてから死ぬまで国民の面倒を見る」という社会福祉国家の構想。60年代、主要諸国の社会福祉政策の指針となり、財政・金融政策に基づく完全雇用を目指す「大きな政府」が主流となるが、失業率・医療費の増加、人口の高齢化などにより、社会保障費が国家歳出に占める割合が膨張。その後、歳出と課税、政府介入などを極力抑えた「小さな政府」への転向を試みる政策が見られるようになった。


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