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日本市場「危機のシグナル」!?大型株より小型株が買われている、その意味を読み解く(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/827.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 16 日 09:05:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


日本市場「危機のシグナル」!?大型株より小型株が買われている、その意味を読み解く
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48925
2016年06月16日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■株式市場の「構造変化」との見方も


このところ、日経平均株価の構成銘柄などに代表される「主力大型株」はいまひとつさえない。しかし、その一方で、東証マザーズに代表されるような「小型株」が大きく上げるという展開になっている。


従来から、「小型株」は不規則な動きをするため、その動きをファンダメンタルズで説明することは困難であるとされてきた(小型株のアノマリー)。そして、その「アノマリー」を利用した投資戦略の有効性についても、ファイナンスの分野で様々な研究がなされてきた。


この「小型株のアノマリー」の理由については、様々な仮説が提示されているが、代表的なものとしては、アナリストのカバー率が低く(要するに、証券会社等の企業アナリストの分析対象になっていない銘柄が多い)、様々な「情報」(チャート分析や企業情報など)が瞬時に株価に織り込まれにくいこと等が指摘されている。


だが、最近の小型株市場の動きは、このような従来の「アノマリー」では説明しにくい趨勢的な動きになっているのではないかという指摘がなされている。そして、株式市場関係者の中には、最近のこの「小型株の活況」を、日本の株式市場の「構造変化」ではないかとポジティブに考える人も出始めている。


ただし、筆者のような「マクロ屋」の観点からみると、1990年代後半の米国のITブーム期のナスダック市場に代表されるように、通常、小型株市場が活況になるのは、その国の経済に新たな成長余地(もしくは新しい「時代」を予感させる環境)が投資家の間で認識された時である(もしくは、信用保証の拡充など中小企業優遇の政策が出されたとき)。


確かに、個別の材料では、「自動運転やフィンテック、バイオなど様々な新技術の実用化が目の前にまで迫ってきている」という話がメディア等で踊るようになっており、「産業革命の再来」などのように喧伝されているが、経済指標を見る限り、それが現実にマクロ経済を動かす牽引力にはなり得ていないのもまた事実である。


例えば、米国のITブーム期には、フィリップス曲線が「左下方」にシフトし、生産性の上昇がマクロ統計で確認されていた(これについては、先週の当コラムを参照のこと)。今回の日本には当時の米国のようにマクロ経済指標に明確な変化が現れるには至っておらず、個別の材料も一過性のブームとして消え去る可能性も否定できない(フィリップス曲線の明確なシフトも確認されない)。


■リーマンショック後の日本株市場の特徴


そこで、小型株のパフォーマンスをくわしくみるために、東証マザーズに限定せず、日本の全上場銘柄の株式の時価総額で個別銘柄を5つに分類し、時価総額の下位20%に属する銘柄から成るポートフォリオを「小型株」とし、上位20%に属する銘柄から成るポートフォリオを「大型株」として作成されたデータをみてみよう。


まず、1991年1月を基準とした累積株式収益率をプロットしたのが【図表1】である。



これをみると、2009年までは、両者の動きは「つかず離れず」で平均すれば大体同じ程度の収益を上げていたことがわかる。だが、2009年以降、大型株はほぼ横ばいで推移しているのに対し、小型株は上昇ピッチを早め、両者のパフォーマンス格差は歴然としたものになっている。


ただし、ここで注意すべきは、一般的に小型株は価格の変動(ボラティリティ)が大型株に比べ大きい点だ。そのため、小型株投資は大型株投資に比べ、「大儲け」できる可能性があるものの、売買のタイミングを見誤ると逆に「大損」してしまうリスクもある。


そこで、大型株と小型株の投資のパフォーマンスを比べる際には、リスク(価格の変動率)を調整した平均収益率を用いるのが一般的である。この「リスク調整済み収益率」として一般的に用いられるのが「シャープレシオ」と呼ばれる指標であり、「株式収益率の平均値÷標準偏差(散らばりの指標)」で算出される。つまり「シャープレシオ」の高い銘柄ほど、より安定的に高い収益を得られる投資対象であることを意味する。


そこでさっそく計算してみると、1991年1月から直近(2016年4月)までの平均のシャープレシオは小型株が0.16に対し、大型株は0.17であった。すなわち、リスクを調整すれば、両者の収益性はほとんど変わらない結果となった。


だが、2009年のリーマンショック以降(2009年1月〜2016年4月)に限れば、小型株は0.24であるのに対し、大型株は0.00となり、小型株投資のほうがシャープレシオが高いという結果になった。つまり、リーマンショック後は小型株投資が有利であるというのは数字的には事実であった。


さらに、現実的な株式の投資戦略を考える場合には、単に「小型株」に属する銘柄を全部購入するわけではなく、その他の指標によってさらに銘柄を絞り込んでいくのがセオリーである。


ここでは、あらたに、@営業利益率(ここでは、ケネス・フレンチ氏が作成したデータベースを用いるため、営業利益率は、営業利益÷昨年度の自己資本で計算し、それに基づいて5つのグループに分類)、A順張り戦略(ここでは、直近1ヶ月を除く1年分の株価上昇率に基づき、5つのグループに分類)、B割高割安(ここでは、発行済み株式簿価を時価で割った比率に基づいて5つのグループに分類)の3つの基準を用いて、それぞれ、全銘柄を25のポートフォリオに細分化してみた。


その結果が【図表2〜4】である。





これをみると、どの指標で細分化しても、リーマンショック以降、中小型株のシャープレシオが上昇する一方、大型株のシャープレシオが低下している。


水準でみても、総合的に小型株のシャープレシオが高いことわかる。また、とりわけ営業利益率の高い小型株のシャープレシオが高いことがわかる(その他は、あまり明確な傾向は見出せない)。


このように、リーマンショック後の日本株市場は、営業利益率の高い小型株のパフォーマンスが突出して高い、という特徴を持つ。


実は、同様の計算を米国、欧州、APAC(日本を除くアジア・太平洋地域)の株式収益率についても行ってみたのだが、日本同様、小型株のパフォーマンスが良好だったのはAPACであった(【図表5〜7】)。





逆に米国では大型株の方がシャープレシオは高く(しかも全体的にリーマンショック後、シャープレシオは低下している)、欧州はリーマンショック後、大型株のシャープレシオは低下しているが、企業規模別でみた場合、シャープレシオの水準に大きな違いは見出せなかった。


一方、APACは小型株のシャープレシオの高さが際立っている。我々がメディアで目にする一般的な株価指数では、APACに代表されるような新興国の株価はさえないが、これらの指数には好パフォーマンスの小型株が含まれていない可能性が高いのかもしれない。


■小型株についての筆者の仮説


そこで、問題はなぜ、日本株とAPAC株で小型株のパフォーマンスが際立って良くなっているのかだが、筆者は以下のような仮説を立てたい(ただし、それが正しいという保障は全くない)。


かつては、日本の小型株は一部のマニアックな個人投資家が売買主体であったといわれているが、最近は、欧米のヘッジファンドがより高い運用リターンを上げるために参入しているとも聞く。


また、長期的な日本株市場の低迷で、ここ5年くらいで海外投資家の企業調査の体制も様変わりしている。かつては、アジアの中でも日本市場は「先進国市場」として特別扱いされており、海外の機関投資家の中には、日本の上場銘柄専門のアナリストやファンドマネージャーが数多くいたが、現在は、多くの投資家が、他のアジア新興国市場との兼任で日本株を担当するようになったと聞く。また、ベテランの日本株専門の投資家の多くが株式市場からの退出を余儀なくされたと聞く。


もし、そうだとすると、銘柄選択の基準が、アジア新興国と同じになってしまった可能性もあるのではなかろうか。アジア新興市場は、現在でも将来の成長性を重視した銘柄選択が行われていると思われる。それがそのまま日本株市場にも適用されるとすれば、日本株がアジア(ここでいうAPAC)市場同様の株価変動になってもおかしくないのではなかろうか。


これはあくまでも筆者の個人的な「仮説」に過ぎない。だが、マクロ経済的な観点では、少なくとも現時点で、日本が新たな成長ステージに入ったとは思えないため、小型株が活況となる理由が見出せない。また、現在、もてはやされている小型株の個別銘柄がアジアを中心とした新興経済圏の成長をうまく取り込めるとも思えない。


その意味で、筆者は、日本における小型株の活況をポジティブに考えることがどうしてもできない。むしろ、危ういものを感じざるを得ないのである。

 

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