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“安全資産”ではない円が買われる本当の理由 
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投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 04 日 12:14:06: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


“安全資産”ではない円が買われる本当の理由
2016年07月04日(月)塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
 大きな危機が発生すると、円高ドル安になる場合が多く、そうなるとニュース解説などでは「危機が発生したので、投資家たちがリスクを回避する姿勢を強めたため、安全資産である円が買われたものです」といった説明がなされます。円はドルより安全だから、ドルよりも円が買われてドル安円高になった、というわけです。しかし、円は本当にドルよりも安全な資産なのでしょうか?


iStock
円が安全資産だったのはリーマン・ショックの時

 リーマン・ショックの時、大幅なドル安円高となりました。リーマン・ショックは米国発の危機であり、米国や欧州の金融機関は大きな痛手を被っていました。そうした中で、日本の銀行は、不良債権が少なく、相対的に安全でした。その意味では、円が文字通りの安全資産だったわけです。そこで、「今日も安全資産である円が買われました」といった報道がなされていたわけです。

 しかし、リーマン・ショックが終わり、米国や欧州の金融機関が健全になってみると、円が安全資産という表現は不適切にも思われます。米国は、経常収支こそ赤字ですが、世界最強の軍事力を持っており、世界最大の経済力を持っています。

 一方の日本は、経常収支こそ黒字ですが、自衛力は限定的で、経済力も米国には遠く及びません。政府の財政赤字は巨額で、財政が破綻するのではないかと心配している人も少なくありません。そんな国の通貨が米ドルよりも安全資産だ、というのは理解不能です。

 そこで本稿では、危機が起きると円が買われる本当の理由について考えてみましょう。

経常収支黒字分は投資家が買っている

 貿易収支、経常収支が黒字の国では、輸出企業等が持ち帰ったドルを売りに出しても、輸入企業等が全部は買ってくれないので、残りは投資家が買うことになります。

 日本人投資家は、「円をドルに換えて、米国債を買おう。ドルを持っていると、円高になって損をするリスクがあるが、米国債は日本国債より金利が高いから、儲けを狙ってリスクをとろう」と考えてドルを買います。もちろん、金利だけではなく、「今のドルは安いから、暫く持っていればドルが値上がりするだろう」と考えてドルを買う投資家もいますし、米国の株などを買うためにドルを買う人もいますが、いずれの投資家も「今ドルを買えば儲けが期待できるから」という理由でドルを買っているわけです。

 外国人投資家の中にも、日本の銀行から円を借りてドルに換えて米国の株を買う人がいます。彼等は、「米国の銀行からドルを借りるより、日本の銀行から円を借りる方が金利が低いから利益が出る。返済するためにドルを円に換える時、円高ドル安になっていると為替差損を被るリスクはあるが、儲けを狙ってリスクをとろう」と考えるわけです。

 日本は長い間、貿易収支や経常収支が黒字でしたから、こうして内外の投資家に買われて行ったドルが巨額にのぼっています。こうしたドルは、「いつか円に換えなくてはならないドル」なので、「投資家のポジション」と呼びます。米国人が米ドルを持っているのは普通のことですが、米国人投資家が「日本人から借りた円をドルに換えて持っている」とすれば、それはその米国人投資家のポジションなのです。

 問題は、ドルのポジションを持っている投資家が、ドルを売りたくなった時に、ドルを買ってくれるのは他の投資家しかいない、ということです。つまり、巨額のドルのポジションが、投資家の間を行き来しているのです。

投資家の判断基準は「リスクとリターン」

 投資家が投資判断をする際に考えることは、どれくらいのリスクがあって、どれくらいの利益が見込めるのか(期待リターン、すなわちメリットがあるか)、ということです。「儲かりそうなら(期待リターンが大きいなら)、リスクをとっても構わない」という判断になるわけです。

 ここで大切なのは、期待リターンの大きさ、リスクの大きさと、今ひとつ投資家たちのリスクに対する考え方です。世の中には「リスクがあっても挑戦したい」という人と「リスクがあるならやめておこう」という人がいますし、同じ人でも局面によって判断が変わることもあります。投資家たちが「リスクがあってもリターンを狙って投資をしたい」と考える時、投資家たちが「リスク・オン」状態だと言います。反対にリスクを避けたいと考える時、「リスク・オフ」状態だと言います。

 投資家たちがリスク・オン状態の時は、多少期待リターンが少なくても、多少リスクが大きくても、投資を行ないますが、リスク・オフ状態のときは、多少期待リターンが高くても、リスクがあれば投資は行ないません。

今の円高は投資家のリスク・オフ化によるもの

 今回の英国のEU離脱というニュースに接し、投資家たちは「何か大変なことが起きるかもしれない。とりあえず為替リスクなどのリスクをとらずに、何が起きても困らないような状態でしばらく静かにしていよう」と考えました。「リスク・オフ」状態になったのです。

 そうなると、ドルの「ポジション」を持っている投資家は、ドルを売ろうとします。いつかはドルを売って円に換えなければならないというポジションを持っていると、円高ドル安になった時に損をしてしまうので、そうしたリスクを避けようとするわけです。

 問題は、ドルを買おうという投資家が少ないことです。投資家たちが「リスク・オフ」になっているわけですから、積極的に「米国債は金利が高いからドルを買って米国債に投資しよう」という投資家は少ないのです。そこで、売り注文が買い注文より多くなり、ドルは値下がりしていきました。

 ドルの値下がりが止まるのは、ドルが充分に値下がりして、投資家たちが「今ドルを買えば、大きな利益が見込めるから、リスクは避けたいけれど、こんなチャンスは見逃せない」と考えるようになった時です。

リーマン・ショック時はトリプルパンチだったが……

 リーマン・ショックの時は、投資家たちが極端なリスク・オフになりました。何が起きるか全くわからないので、今回と比べても遥かに明確に、とにかくリスクをとらずに静かにしていよう、という事だったわけです。

 加えて当時は、米国の景気が急激に悪化し、米国の金融が緩和され、米国の金利が下がりました。日本の景気も悪化しましたが、日本の金利はリーマン・ショック前からゼロだったので、日本の金利は下がりませんでした。そうなると、投資家たちにとって、「日本国債を売って米国債を買う」あるいは「ドルを借りる代わりに円を借りて投資をする」ことのメリットが小さくなります。

 投資家にとって重要なのは、日米の金利差なのです。米国の金利が高くても、日本の金利も同じくらい高ければ、わざわざリスクをとって米国債を買ったり日本から円を借りたりする必要は無いからです。

 ドルを持っていることのリスクが変わらないとすると、メリットが小さくなり、しかも投資家たちがリスク・オフになったのですから、ドルにとってはダブルパンチで売られることになったのです。

 さらに、冒頭に記したように、当時は円が文字通りの安全通貨でしたから、「米国や欧州では何か大変な事が起きるかもしれないが、日本は大丈夫だろうから、資産は日本円で持っていよう」と考えた投資家も多かったわけです。

 つまり、当時はトリプルパンチで大幅なドル安円高になったので、今回はシングルパンチですから、前回と同様の幅でドル安円高になることは到底考えられない、というわけです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7174  

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コメント
 
1. 佐助[3636] jbKPlQ 2016年7月04日 13:40:39 : 9zzRTyeBxk : 4eYUJw@wYHY[78]
ドルは円より高くなるには金本位制と産業革命を前倒しすると多極化の中心になる
しかしマイナス・ゼロ金利政策なら世界恐慌の二番底・三番底が発生してドルの暴落は止められない

「ゼロ金利政策」
日本が経験した90年代バブルの発生は、今回の世界信用危機の前兆でした。そして、その危機脱出のために、日銀は公定歩合のゼロ金利政策を採用しました。このゼロ金利政策こそ、今回の第二次世界信用収縮恐慌の炸裂威力と範囲を拡大した根因なのです。その破壊力の全貌は、いまだに明らかになっていません。

ヘッジファンドと投信が、金利ゼロの円を借りまくり、高金利の国の通貨と株や債権や石油や原材料を買いまくりました。そして、自己防衛のため短期間に売り逃げました。

ファンド投信が、高金利の通貨と債権から逃げ出し、多くの国の通貨と株債権が、パニック的に売られたために、その国の株は十分の一になり、石油や原材料は二分の一以下に暴落しました。

証券会社から元本保証を密かに約束されていたリストには、日本の大企業と富豪、そして、政治家と経済界の指導者が名前を連ねていました。米国のリーマン・ブラザーズの倒産は、サブプライムローンに関連していますが、世界のヘッジ投信は、いまだ無傷です。

基軸通貨が、キン離れすると、為替は固定制からフロート制に移行します。そして、世界の信用を膨張させ、バブル景気を発生させ破裂したのです。

すなわち外国からの資金が逃げ出すと、カネの流れが逆流して貸手の円ドルが上昇し、自国通貨は暴落するため、物価高騰・品不足・購買力激減で、経済は大混乱することが検証されたのです。

そのために「今回は第一次世界信用恐慌で発生しなかった二番底・三番底が発生します」今回は第二次世界信用恐慌の二番底が発生し、恐慌からの脱出が遅れることになります。

「マイナス金利政策」からアベノミクスで「世界恐慌の二番底」は絶対に避けられない
2008年の円の暴騰は、高金利の預金と債権と株高騰の国への投機資金が、円に逆流したため発生したことは、銀行家なら誰でも知っています。

政治や経済評論家は、日本がサブプライムローンやリーマンショックに巻き込まれない安全な国だと評価されたから、円が暴騰したのだとアト解釈して、それにしては、株の落ち込みが世界で一番ひどいと愚痴って笑われています。

ゼロ金利からマイナス金利の日本円はひっぱりだこなので、円は高騰をつづけるため、預金の全額保証を宣言していません。ドルの暴落は,逆にキンとのリンク,米国は第三次金本位制採用に反転すると、ドルは円より高くなります。

キンの、国家による争奪戦が発生して、キン価格が倍になります。三年ごとに、ユーロや円が、第三次金本位制採用を宣言すると、国家がキンの買い手になるため、二次三次のキン暴騰が発生します。国家が買い上げを宣言するとキン価格は10倍〜20倍になろう。膨張し続けた世界の信用は、キンに吸収されるというワケです。

経済現象は、結果と原因を転倒させると、常に需要と供給のバランスによってアト説明アト解釈できますが、需要と供給を決定する要素は異なっています。だから、現象から現象への連鎖や負のスパイラルのアト解釈は分かりやすくても、予測することができません。マイナス金利政策は金持ちも貧乏人の消費がさらに落ち込みます。

第二次世界信用恐慌は、2008年に世界のバブルが炸裂する19年も前に、その前兆として、日本でバブルを破裂させました。その原因は、日本がドルの信用膨張の最大の恩恵を受け、おとぎ話のカエルのお腹のように膨れ上がっていたからです。。今回の世界バブルの崩壊では、輸出の神風は吹いてくれません。しかも「日本商品の世界的優位性」の円が,円安では経済は成り立たない。


2. 2016年7月04日 15:15:22 : ccWmVLC7Uw : QBIEkdYFSm8[1]
それならマネタリーベースが急増しているのにドル円が今年はじめの120円が半年後の今が102円になっていることを説明してもらえますか?

3. 2016年7月04日 16:16:52 : EYCSp0M8Tw : qnio2lBwNco[228]
>投資家たちが「リスク・オフ」になっているわけですから、積極的に「米国債は金利が高いからドルを買って米国債に投資しよう」という投資家は少ないのです。そこで、売り注文が買い注文より多くなり、ドルは値下がりしていきました。

リスク・オフなら何故ドルを売って円を買うんだよ?
投資家のポジションか何か知らないが、リスクのあるものは買わねえだろ?
円のリスクが少ないから買うんだろ?
だから、円のリスクがなぜ少ないかを教えてくれよ。


4. 2016年7月04日 22:42:14 : gpBtlQpWh2 : xe2yIUfLDyI[28]
>米国は、経常収支こそ赤字ですが、世界最強の軍事力を持っており、世界最大の経済力を持っています。
>一方の日本は、経常収支こそ黒字ですが、自衛力は限定的で、経済力も米国には遠く及びません。政府の財政赤字は巨額で、財政が破綻するのではないかと心配している人も少なくありません。そんな国の通貨が米ドルよりも安全資産だ、というのは理解不能です。

ここがまず間違いです。世界最強なのかどうかはおいておいて、軍事力を持っている国が赤字なのです。そうなれば、軍事力をもって借金や赤字を踏み倒すのが世界の常道です。それがリスクです。ドル札も円札も要は債権なので、債権、つまり、借金を踏み倒す国の債権は、売れるうちに売られます。最後までババ債権を持ってたら踏み倒されてゼロにされますから。

債券を踏み倒そうにも踏み倒せなさそうな国、国民が馬鹿ばっかりで律儀に債権を返済しそうな国は、どんなに債権が積みあがっていても、必ず返ってくるので、ある意味”安全”なのです。それは通常の”安全”感覚とは違うのです。おわり。

エピローグ:もしも今後日本が軍事国家に転換した場合は、踏み倒す国になるので何千兆もの金融核爆弾が融解爆発するのはその時でしょう。世界恐慌どころでは済まないかも知れません。世界同時多発緊急心停止する可能性すらあります。危険な軍事国家が危機に陥る予想された未来ではなく、安全な国の”安全”神話が崩壊するのですから。


5. 2016年7月05日 11:19:05 : EYCSp0M8Tw : qnio2lBwNco[237]
>4  
国民が馬鹿ばっかりで律儀に債権を返済しそうな国は、どんなに債権が積みあがっていても、必ず返ってくるので、ある意味”安全”なのです。

判ったよ。そういうことなんだな。


6. 2016年7月05日 16:07:54 : bgCGd2DpGM : BIt8B49BbEE[43]
何言っているのか、さっぱりわからん。説明がへたくそ

7. 2016年7月05日 23:26:33 : MDL7dpQDY6 : LBCNwHP3kOo[1]
>>6
要約すると
今円高になるのは
日本企業が儲けて円に換えた時に売られたドルが
その時買ったドル買いポジションの投資家によって
イギリスショック通貨不安の恐怖で手じまいしたいがために
円に巻き戻されてるのが理由だということだな
以前と違って円そのものに信頼があるわけじゃないから
それほど円高にはならないだろうということだそうだ

8. 2016年7月08日 01:14:16 : Lnz9oh2X75 : dqAJzEme2uk[4]
マイナス金利のミクスを止めれば

金利差も、円高問題も吹っ飛ぶ、

死ぬも、生きるも、全ては金融緩和次第だ。

それにしても

日本人はボケッ−トしてるな。

君等は生きているのか??



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