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コラム:英EU離脱、新自由主義時代の終焉か=河野龍太郎 日銀「設備・人材ETF」買進む 春闘賃上2.27%過去2年下回る
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/601.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 06 日 18:15:22: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

コラム:英EU離脱、新自由主義時代の終焉か

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 6日] - 英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」選択は多くの人に大きな衝撃を与えた。だが、当社の各国エコノミストの分析によれば、2016―17年の国内総生産(GDP)成長率へのインパクトは、英国が累計で2.0ポイントに達するものの、ユーロ圏は同0.5ポイント、米国は同0.2ポイントにとどまる。

これらを前提にすれば、日本経済への影響は、円高や株安を考慮しても0.2―0.3ポイントにとどまる。大規模な追加財政が検討されているが、日本経済が完全雇用にあることを考えるのなら、極力控えるべきだろう。そもそも日本の成長率が低いのは、潜在成長率がゼロまで低下しているためであって、ブレグジットが影響しているわけではない。

ただ、短期的なマクロ経済への影響はともあれ、長期的に見ると、今回の出来事は相当に大きな影響を世界経済に及ぼす可能性がある。大げさに言えば、後に「歴史的転換」と呼ばれるかもしれない。

それは、1980年前後から米英などアングロサクソン諸国を中心に広がっていた新自由主義的政策がついに大きな曲がり角を迎えた可能性があるからだ。ジョン・メイナード・ケインズ卿の「自由放任の終焉」に倣えば、「新自由主義時代の終焉」と言うところだろうか。

<英国民投票はポピュリズム政治の極み>

今回、筆者が最も衝撃を受けたのは、グローバリゼーションの恩恵を享受していたはずの英国において、僅差であるにしても、離脱派が国民投票で過半数を獲得したという事実である。これは、大西洋を挟んで、英国と同様にグローバリゼーションの恩恵を最も享受してきた米国にも当てはまることではないのか。それが筆者の問題意識である。

事前に報道されていた通り、今回、英国でEU離脱を支持したのは、年齢的には中高年であり、階層的には低所得者層だ。反対に残留を支持したのは若者であり、中高所得者層である。英国でも「シルバー民主主義」が将来世代の選択肢を狭めたと、いずれ論じられるのだろうか。

離脱派が多数を占めたのは、頻発する欧州大陸でのイスラム過激派によるテロ事件も影響しているが、最大の理由は、経済統合によって、EU内でヒト、モノ、カネの移動が活発化していることである。その中でも、ヒト、つまり移民が急増していることにあった。

離脱を選択した低所得の中高年など、十分な人的資本を持っていない人たちは、経済統合が進み、移民流入が一段と増えれば、自らの所得がさらに目減りすると恐れたわけである。今回の国民投票実施についても、移民が急増する場合の緊急避難措置として、流入を制限する権利をEUが英国に認めなかったことが関係している。

とはいえ、帰結が複雑な政策の選択を直接投票に委ねたキャメロン英首相の責任は極めて重い。長期的な視点での熟慮が必要であるからこそ、我々は、このIT時代において直接投票の執行コストが大幅に下がっているにもかかわらず、「代表制」という一種の二重体制を維持している。

2015年5月の総選挙で勝利すればEU離脱を問う国民投票を実施するという公約を、キャメロン首相が掲げたこと自体が、ポピュリズム政治の極みだったのだ。

<サッチャー・レーガン革命との決別か>

経済的視点から言えば、EUに残留し、経済統合を一段と進めることが、英国にとって適切な選択だった。経済統合が進むと、分業の利益によって、一国全体の経済厚生は間違いなく改善する。これは、実質所得が増えると同時に、より多様かつ安価な財・サービスを購入することが可能となるためである。

しかし、経済理論も認める通り、その人が持つ人的資本など経済資源の性質によっては、経済統合が進むことで、大きなメリットを享受する人が存在する一方、デメリットを被る人も存在する。

成長分野に身を置き、スキルが高く所得の多い人、あるいはこれから新たにスキルを獲得できる若者は、経済統合(分業の進展)の過程で、より高い実質所得を獲得することが可能となるが、衰退産業に身を置き、低いスキルしか持っていない人は、経済統合の進展によって、むしろ実質所得は減少する。

ここで重要なのは、スキルの低い人の実質所得が減少するのは、海外に所得が移転するからではないことだ。自由貿易の結果、国内におけるスキルの高い人とスキルの低い人の評価の差がこれまで以上にはっきりとしたものになり、国内における分配構造が変わるというのが事の本質である。自由貿易で全体のパイが増える中で、スキルの高い人の取り分が相対的に高まり、スキルの低い人の取り分が相対的に低下するのである。

しかし、そのことが露骨に語られると、社会は分断の危機に陥る。排外主義的な政治家が、海外の低賃金労働に所得が奪われると主張するのは、政治的に受け入れられやすいことを直感的に認識しているためだ。

この問題に対し、主流派経済学は、分配問題には極力触れない形で、次のように論じてきた。自由貿易を推進することで、まずは一国の経済厚生(実質GDPの水準)を高める。その後、メリットを受ける人から、ダメージを受ける人に対し、資源配分を歪めないランプサム(一括)型の所得移転(例えば人頭税と負の人頭税)を通じて、ある程度の所得再分配政策を行う。

現実には、ランプサム型の所得移転は実行するのが難しいが、それでも多くの国では、自由貿易を追求すると同時に、所得再分配政策が取られてきた。ただ、米英などのアングロサクソン諸国において、1980年代初頭以降、むしろ所得再分配は弱められてきた。いわゆるサッチャー・レーガンの新自由主義革命である。

戦後、多くの国で、1970年代初頭まで比較的高めの成長が続いたが、その後、成長率が大きく低下した。これに対応し高い成長への復帰を狙って、小さな政府、民営化、規制撤廃、自由貿易などの政策がサッチャー・レーガン革命の下で推進された。資源配分を効率化させ潜在成長率を高めるための政策だけでなく、所得分配政策についても、よく稼ぐ人がさらに働くことを期待して、インセンティブを高めるため、最高税率も大幅に引き下げられ、所得再分配政策は弱められていった。

こうしたサッチャー・レーガン革命は、日本をはじめ先進各国にも大きな影響を与えたが、徹底した新自由主義的な政策が米英で可能だったのは、もともと両国で個人主義が徹底していたからだと思われる。新自由主義の元祖ともいうべきハイエクの思想を信奉したサッチャー首相は「社会というものはない、あるのは個人と家庭だけ」という名言(あるいは迷言)を残したが、他国であれば保守派政治家が絶対に口にはできない言葉である。

そうした新自由主義的な政策を人々が受け入れていたはずの英国において、今回、EU離脱が選択された。これは、人々が新自由主義的政策に反旗を翻し始めた証拠なのだろうか。反グローバリゼーションの流れが始まった兆候なのだろうか。

<ブレグジットとトランプ現象の共通点>

問題は、米国でも同様の動きが広がっているように見えることだ。筆者が懸念しているのは、排外主義的言動の多いトランプ大統領誕生の可能性である。米国の成長の源泉である移民については当初から否定的であり、最近では環太平洋連携協定(TPP)を見直すという立場から反対へとさらに踏み込んだ。

周知の通り、ドナルド・トランプ氏を支持するコア層は、グローバリゼーションによってダメージを受けた白人の中高年の低所得者層であり、それは、英国において、EU離脱を選択した人々と重なる。さらに、米国では、所得再分配による格差是正策はほとんど行われていない。英国では、ブレア時代に「第三の道」として、グローバリゼーションの推進と共に、格差是正策などが取られた。

評者が常日頃、意見を交わす米国人のほとんどが、エスタブリッシュメントであるからだろうか、皆、トランプ氏が排外主義的言動を続ける限り、高い支持率を維持し続けることはあり得ないと語っていた。だが、予想に反し、結局、共和党の大統領候補指名を確実にした。ポピュリスト的政策を嫌う彼らは今でもトランプ大統領誕生の可能性は低いと断言するが、我々が日頃接触する米国人の多くは、グローバリゼーションの恩恵を受けている人たちではないだろうか。

それでは、我々は米英、そして結局は世界において、新自由主義時代とグローバリゼーションの終焉といった現象を目にすることになるのか。

まず、新自由主義時代、グローバリゼーション時代の絶頂期だった2000年代まで時計の針を戻そう。当時、各国とも「大いなる安定(Great Moderation)」と呼ばれ、マクロ経済は好調に見えたが、生産拠点の新興国への移転は続き、先進国では製造現場は失われたままで、低所得者層に転落した人々は実質所得を継続的に増やすのが困難になっていた。当時の稼ぎ頭は、金融やIT、そして新興国関連であり、陳腐なスキルのままではジリ貧となる。

それでも、ブッシュ政権は、人々が「アメリカンドリーム」を叶えるべく、持ち家推進政策を進めたが、結局はそれがサブプライムバブルの原因の1つになった。その後、バブルは破裂し、金融システムの崩落を回避すべく、米英では、金融機関に資本注入を行うと同時に、アグレッシブな金融緩和が続けられた。

そもそも、米英でバブルが起きやすくなっていたのは、収益性の高い投資機会が減少し、潜在成長率そのものが低下していたためだ。しかし、バブルの崩壊で低い成長がもたらされたと考えた中央銀行は、インフレを醸成すれば、様々な調整がスムーズになり成長率が高まると考え、アグレッシブな金融緩和を進める。量的緩和(QE)時代の到来である。

QEによって通貨安と株高がもたらされるが、潜在成長率そのものが低下しているため、実質賃金の回復は緩慢で、むしろ原油高や通貨安などがもたらす輸入物価の上昇によって実質賃金の改善は遅れた。実質所得の回復が遅れ苛立つ多くの国民の目には、QEによって株価ばかりが上昇し、富裕層や大企業だけが恩恵を受けているように映ったはずである(賃金低迷の主因は潜在成長率の低下や労働分配率の低下であり、中央銀行の責任ではないのだが)。

グローバリゼーションのメリットを最も享受し、そして国際金融危機への対応が最もうまくいっていたと思われていた米国でも、保護主義的、排外的、反グローバリゼーション的な政治主張に人気が集まっているのは、こうした背景があるのだろう。

ブレグジットとトランプ現象には、他にも共通点がある。それは、反エスタブリッシュメントのうねりであり、英国では反ブリュッセル、米国では反ワシントンである。ヒラリー・クリントン氏がワシントン政治にどっぷりと浸かっている印象を持つことも、トランプ氏には有利に働く。

今後、金融市場では、極度の悲観と楽観の波が繰り返されると予想するが、いずれかの段階で、トランプ大統領誕生の可能性が決して低くはないことを織り込みにいく局面があるのではないだろうか。あるいは、実際に大統領選に勝利すれば、これまでのラディカルな発言を翻し、穏当な政策が打ち出されるのだろうか。

<「ヘリマネ」は大きな別の災厄を招くだけ>

さて、1930年代の危機の時代において、共産主義、全体主義の台頭を防ぐため、それまで自由放任主義的政策を取っていた米英が採用したのがケインズ政策だった。資源配分を歪める弊害はあるが、民主主義そして資本主義の存続にはやむを得ないと、時の為政者が判断したのである。

現在、先進各国では、金融政策が限界に達しているだけでなく、ドイツや一部北欧諸国を除くと、公的債務が大きく膨らみ、拡張財政も簡単には行えない状況となっている。こうした中、民主主義あるいは資本主義が直面する危機を避ける手段として、一部の専門家から提案されているのがヘリコプターマネーである。

しかし、ヘリコプターマネーはあまりに常習性が強く、一度手を染めると、抜け出すことは難しい。賢人政治が行われているというケインズ的政策の大前提(ハーベイロードの前提)が当然にして成立しない議会制民主主義の下では、結局、ヘリコプターマネーはポピュリズム政治に取り込まれ、大きな別の災厄を招くだけに思われてならない。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-ryutaro-kono-idJPKCN0ZM05P?sp=true


 


日銀の「設備・人材ETF」買い進む、投資家への浸透が課題


[東京 6日 ロイター] - 日銀による「設備・人材ETF」の買い入れが進んでいる。これまではJPX日経400.JPXNK400に連動するETFを購入していたが、今年5月以降、新規設定が相次いだことで、6月は日銀購入額の6割以上が流入したとみられている。もっとも、投資家の関心はまだ高いとはいえず、日銀の買いが「呼び水」にはなっていない。

<6月に約165億円を購入>

日銀は、2015年12月、量的・質的金融緩和(QQE)の補完措置として「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れると発表。購入枠は年間3000億円で、16年4月から購入を開始するとした。

ただ、当時は「設備・人材ETF」が上場しておらず、日銀は「当初は、JPX日経400に連動するETFを買入対象とし、この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合には、速やかに買入対象に加える」としていた。

日銀が公表している「設備・人材ETF」の買い入れ結果によると、日銀は4月、5月とも228億円を購入。そのほとんどがJPX日経インデックス400連動型上場投信(1591.T)などに流入したとみられている。

その後、5月に「NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信」(1480.T)と「ダイワ上場投信─MSCI日本株人材設備投資指数」(1479.T)が新たに上場。その後、6月29日上場の「MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信」(1485.T)を含めて適格ETFは6本まで拡大。日銀の購入額の一部が6月初旬から同ETFに向かっているという。

複数の関係者によると、日銀が6月に「設備・人材ETF」を購入した金額は約165億円とみられる。同月の購入分264億円の6割以上を占めた。

<投資家の関心喚起が課題>

もっとも「設備・人材ETF」に対する投資家の関心は高いとはいえない。足元の市場環境悪化に加えて、設備や人材に積極的に投資する企業の将来的なパフォーマンスに確信が持てないことも一因だ。

新指数の1つを手掛けたMSCI東京支店マネージング・ディレクターの内誠一郎氏は「企業にとって設備投資や人材投資はコスト。設備投資額の大きな銘柄で作った単純なポートフォリオは中長期的に市場をアンダーパフォームするというのは海外の学術論文でも示されており、業界では常識だ。指数化には多くの工夫が必要」と話す。

機関投資家の出足も鈍い。「視点としては反対するところではないが、新しいインデックスの採用はそれなりに勇気のいる作業。投資家としては、新指数が長期的な投資の質をきちんと捉えられるという確信が持てない限り、なかなか買えない」と新日鉄住金(5401.T)財務部で年金基金を運用する武南勲氏は言う。

仮に「設備・人材ETF」に多くの資金が流入しない場合、日銀による年間3000億円の同ETF購入が難しくなる可能性もある。日銀が買い入れるのは同ETFの純資産総額の半分までとしているためだ。

6月末の純資産総額は、6本合わせて850億円。新規設定額が大きかったDIAM ETF JPX/S&P設備・人材投資指数(1484.T)とダイワMSCI人材設備がそれぞれ300億円超と抜きん出ているが、他の4本はいずれも数十億円規模にとどまる。

ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾氏は「設備・人材ETF」の先行きに対し、「投資家への広がりは正直、未知数だ。GPIFが(国内株運用の指標に)JPX日経400を採用した時のようなきっかけがない限り、すぐに広がるというのは難しいのではないか」と述べている。

(植竹知子 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/boj-etf-idJPKCN0ZM0KL?sp=true


春闘賃上げ最終結果は2.27%、過去2年下回る=経団連集計

[東京 6日 ロイター] - 経団連は6日、今年の春闘の最終結果を発表した。賃上げ率(総平均)は2.27%、7497円だった。3年連続で2%を上回る伸びとなったものの、2014および15年の賃上げ率を下回る結果となった。

16年の最終集計は、21業種251社の大手企業(従業員500人以上、東証1部上場)のうち、集計可能な17業種118社(組合員数約65万人)の妥結結果をとりまとめたもの。

安倍晋三首相は第2次政権発足以降、政労使会議などを通じて企業への賃上げを要請してきており、賃上げ率は13年は1.83%、14年は2.28%、15年は2.52%と徐々に上昇率を拡大してきた。

ただ今年は、円高や世界経済見通しの不透明感の強まりもあり、大企業でも賃上げには慎重になったものとみられる。

(中川泉)
http://jp.reuters.com/article/jbf-idJPKCN0ZM0GI
 

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1. 2016年7月06日 20:31:19 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[510]
コラム:英ショックが招く世界経済の緩慢な衰退=熊野英生氏
熊野英生
熊野英生第一生命経済研究所 首席エコノミスト
[東京 6日] - 英国民投票の日は、肝を冷やした人が多かったことだろう。あのときは、リーマンショックの再来と叫ぶ人も多かった。しかし、時間の経過とともに、状況が少しずつ違っていることがわかってきた。

まず、実体経済はほとんど変わっていない。もともと英国は、米国の次に利上げをすると目されていた国である。英国が欧州連合(EU)との間で従来通りの自由な交易ができなくなるとしても、それは先の話だ。

次に、英国の次期首相選びとEUへの離脱通告、そしてEU側の対応などの政治運営はゆっくりとしか進まない。時々刻々と出来事が消化されていく市場のスピード感とは歩調が合わない。いったんは様子見で買い戻しとなるのも自然に思える。

7月1日時点の米国株式市場でダウ平均株価は、英国ショックの直前ピークをほぼ取り戻している。もちろん、ショックに伴って生じた円高がじわじわと打撃を与えることは心配だが、「日本経済への悪影響はいかに」と問いただした人々はきっと肩透かしを食らっていることだろう。超大型の補正予算が必要という意見も、振り上げた拳(こぶし)の落としどころが見えにくい。

<成長ポテンシャルは低下>

筆者は、英国発のショックが即座に表れてくる性質ではなく、じわじわと経済活動を脅かす点で油断してはいけないと考える。例えば、日欧の経済連携協定(EPA)交渉や、米大統領選挙後の環太平洋連携協定(TPP)などとの関係で、自由な取引を阻害する流れが強まったとみられる。欧州の不協和音はこれから顕在化するだろう。

11月の米大統領選挙もまたきな臭い。同様のリスクの火種が株価、為替に大きな変動を及ぼすのではないかという連想も働く。欧州の保護主義の兆しが、米国に飛び火したとき、波乱は本格化する。

まさしく世界の関心事の振り子が、経済から政治へと振れて、政治も収斂(しゅうれん)から分裂へと向かっているように思える。これらの変化は、ゆっくりと自由貿易のメリットを低下させて、世界経済のポテンシャルを低下させることだろう。

<ゆっくりと日本化する欧米>

もう1つ、変化のポイントとしてリスク回避志向を挙げたい。米株価などはうまくリバウンドしてきたが、米長期金利をはじめとして各国金利が異様に低下したまま戻ってこない。

表現を変えると、ゆっくりした悪い変化が起こったとき、短期資金はすぐに戻ってきても長期資金はすぐには戻ってこず避難を続けることになる。そこには金融政策が慎重になったという見通しの変更もあろうが、投資マネーが臆病になっていることもある。超低金利が投資マネーを刺激するよりも、膨大な資金が行き場をなくして滞留したまま続くという「不全」である。

こうした状況を眺めると、リーマンショックから8年が経過した欧米はゆっくりとカネ余りの先進国である日本をなぞって動いているように思える。一頃言われた金融政策の限界論はその代表例に見える。もしも米連邦準備理事会(FRB)が追加利上げを断念するならば、日本の2000年の経験が語られることになろう。

<経済成長が求心力を持てない時代>

常々、筆者は人々が激しい変化に直面したときは機敏に対応できても、ゆっくりとした変化には適切な対応が取れないと考えている。

英国のEU離脱は当初、金融市場で大騒ぎになったので、日本などでは高い関心が持たれたが、その成り行きがゆっくりだったために、自由貿易体制などが脅かされるデメリットがあまり意識されず、各国が自由貿易の原則を守ろうと一致協力できない。

経済成長が求心力を持っている時代には、自由貿易に歩調を合わせやすいが、各国の人々が民族主義や格差に心を奪われると、協調による成長のシステムには遠心力が働く。

また、リーマンショック後の危機対応は、投資銀行が過度なリスクテイクを行ったことの反省から、投機的取引を抑制するような規制強化だったが、おそらく、あれから時代は変わってしまった。現在はこれだけ過剰流動性を生み出しても、かつてのようなリスクテイクは行われず、経済成長率はいつまで経っても以前のようには飛躍しない。長期的な課題として、規制のあり方も今一度問い直す必要がある。

*熊野英生氏は、第一生命経済研究所の首席エコノミスト。1990年日本銀行入行。調査統計局、情報サービス局を経て、2000年7月退職。同年8月に第一生命経済研究所に入社。2011年4月より現職。

(編集:麻生祐司)

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-hideo-kumano-idJPKCN0ZM03M


2. 2016年7月06日 20:32:20 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[511]
焦点:日銀、円高・株安を注視 長期金利大幅低下で緩和効果波及の声

[東京 6日 ロイター] - 6日の東京市場でドル/円JPY=EBSが100円台に下落し、日経平均も一時前日比500円超下落してリスク回避行動が先鋭化した。英国の欧州連合(EU)離脱決定後にいったん鎮静化していた欧州市場の不安再燃が要因だが、日銀は今後の動向を冷静に見極める構え。

さらに円高・株安が進めば、経済・物価への深刻な影響が出かねないと警戒する声が日銀内にある一方、すでに長期金利がマイナス0.275%まで低下し、追加緩和の効果が波及しているとの見方もある。日銀は今後の動向を注視しながら、難しい「手綱さばき」を強いられることになりそうだ。

<円高の一段志向、企業業績に悪影響>

今週は8日の米雇用統計発表まで「様子見相場」が続くとみられていたが、英国の不動産ファンドの解約停止をきっかけにポンド/ドルGBP=EBSが急落し、イタリア系銀行の不良債権問題にもスポットが当たって、欧州金融システムに関する不安が一気に台頭した。

ただ、日銀内では債務問題が金融システム不安に直結したリーマン・ショックのような危機的な事態には陥らないとの見方が支配的で、世界経済への短期的な影響は大きくないとみている。

それでも、100円割れをうかがうまで円高が進行しており、この水準が継続するなら、企業収益の圧迫を通じた実体経済への悪影響が懸念されるとの声もある。

また、日銀ウオッチャーの多くは、円高による輸入物価の押し下げ効果などで、2017年度中に消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)が2%に達するとの見通しも先送りが避けられないと判断している。

日銀は今月公表予定の国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し改定なども踏まえ、日本の経済・物価の分析を進める。

現状では、世界経済の緩やかな回復基調に大きな変化がないとの前提に立ち、急激なリスク回避の動きも次第に収束に向かうと期待感を持ちつつ、注視するスタンスを維持している。

<長期金利の下がり過ぎ、銀行経営に打撃も>

もう1つ、日銀の政策判断に影響しそうなのが、足元で急速に進行する長期・超長期金利の低下だ。

日銀が1月に導入を決めたマイナス金利政策は、設備投資コストの低下による需要拡大を通じて実体経済に刺激を与え、内外金利差拡大による反射的効果としての円安進行などが期待されてきた。

年間80兆円の国債買い入れが、今後2─3年で限界に突き当たるとの市場の「政策限界懸念」の払しょくを狙った面もある。

しかし、実際には日銀の想定を上回るペースで長期ゾーンや超長期ゾーンの金利低下が進み、利回り曲線の平たん化は初めて経験するほどに進んだ。

日銀内には、マイナス金利政策の効果が浸透し、長期金利が低下していると受け止める見方がある一方、「利回り曲線がこれほどつぶれるとは思わなかった」との声も出ている。

利回り曲線の平たん化が進展し過ぎると、金融機関の利ざやを圧縮し、期間収益の下押し要因として市場に意識されかねないという副作用もある。

日銀は3月以降、金融調節で年限25年以上の超長期国債の月間買い入れ額を徐々に減額し、短い金利の引き下げと超長期金利の上昇を図りつつある。

だが、6日の東京市場では、イタリアの大手銀行の不良債権問題も加わり、銀行株は一時、日銀が量的・質的金融緩和(QQE)を導入する以前の水準に軒並み下落した。

市場関係者の一部には、仮に追加緩和が実行され、マイナス金利が深掘りされた場合、銀行株の下落が大きくなって株価全体の上昇効果が見込めない展開も予想されると話す。

日銀関係者の中には、追加緩和よりも金融調節の工夫で利回り曲線を立たせる方が効果的ではないかとの声もある。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/focus-boj-idJPKCN0ZM0UX?sp=true


3. 2016年7月06日 21:56:16 : 8GpZ8Ulr22 : P7qmfPkdXY8[21]
まともな理論だが話が長すぎる。簡潔にまとめられないような理論は不完全だ。

完全な理論はこうなる。

世界規模で膨張した金融資産の価値を労働価値に適合させるよう金融資産の価値が圧縮される時代になったと確信している。つまり労働価値は大きく変化しないが、資産は減価する。給料が上がらなくても物価はデフレ気味になり、資産価値が債務の圧縮で減少した分だけ貯蓄の取り崩しを意味する損失が発生することになる。


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