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日銀は死んだ - 小幡績 転機の日本経済(ニューズウィーク日本版)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/454.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 31 日 17:17:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀は死んだ - 小幡績 転機の日本経済
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160729-00174624-newsweek-int
ニューズウィーク日本版 7月29日(金)18時52分配信


 日銀は死んだ。

 自殺である。

 個人の自殺は、些細なことで行われてしまうことが多く、なんてもったいない、と第三者は思うし、周囲はやりきれない気持ちが残る。

 今日の日銀の自殺もまったく同じだ。

 なんのために自殺したのか。

 全く理解できない。

 もったいない。今日で日銀は終わってしまったのだ。日銀の死がこんな形で来るとは、思わなかった。やりきれない。

 本日、日本銀行は金融緩和の強化を決定し、公表した。

 それは、国債買入の増額でもなく、マイナス金利の深掘りでもなく、株を買うことだった。

 具体的には、ETFの買入額を6兆円に倍増させるものであり、それ以外の措置は、米ドルの調達の支援という、重要だがテクニカルなものであった。市場は、これに失望し、株価はいったん大きく下落、その後元に戻った。しかし、円高は進み、102円台を付け、その後、103円台に少し戻した。

 エコノミストや市場関係者、いわゆる有識者の反応は、物足りない、小規模緩和にすぎない、小出しの政策だ、量的緩和の限界を認めたことになる、量も駄目、マイナス金利も駄目、ということを示したに過ぎない、という批判が相次いだ。

 違う。

 日銀が力不足である、力の限界を見せた、力を使い果たした、というのではない。

 逆だ。

 自ら爆発してしまったのである。


■これは三途の川

 市場はETF6兆円なんて、ちっぽけなモノに過ぎず、それでは足りない、ということだが、それは間違いで、全く逆に、ETF6兆円などというものをしでかしてしまったのである。

 私の日銀の友人は、異次元緩和が始まった時に、ルビコン河を渡ってしまったんですよ、そうである以上、とことんやるしかない、と言った。私は、ルビコン河を渡った結果、どうなったか知ってて言っているのか、と反問した。

 今日は、三途の川を渡ってしまったのである。

 金融政策の目的とは何か。日本経済の健全な発展に資することである。物価の安定を図り、景気に不安があれば、金利の低下を通じて、企業や家計の消費や投資を刺激し、需要を増やすことである。

 株価のつり上げはどこにもない。株価を上げて、日本経済に何の意味があるのか。

 株価は低いより高い方が良い。消費も刺激される。しかし、それは株価を無理に引き上げること、バブルを作ることではない。それは持続的でないし、実体経済はついてこれないから、実際の経済には恩恵がない。経済が良くなって、その結果、企業の価値が上がり、株価全体が上がるということでしか、経済は良くならないのである。

 デフレ脱却と株式の買い支えと何の関係があるのか。

 ない。

 投機家が、政策によって株価が動く、しかも需給に直接響く、これは乱高下するネタが増えた、と喜ぶだけだ。今後も、政策決定会合ごとに、ETFの買い増しを催促する相場となるだろう。買い増しがなければ失望で暴落させ、あれば急騰させ、また催促のために材料出尽くしで下げさせる。それだけのことだ。

 株価変動が大きくなることは、経済にマイナスだ。不安定性を自ら増すことになる。

 そのコストとリスクを払って、実体経済には無関係な政策をとった。

 日銀は、実体経済を支える組織ではなく、「株価支援機構」に成り下がったのである。奇しくも、我々の年金資金を運用し着実に増やすことを委託されたGPIFが、株価支援機構に成り下がった結果、5兆円以上の損失を昨年度出してしまったことを発表した丁度まさに同じ日に、「株価支援機構」というニックネームを日銀は自ら進んで引き継いだのである。


■会見まで同じ時間

 GPIF理事長の記者会見と日銀黒田総裁の会見がまったく同じ3時半だったというのは、魂がのり移ったことの証しだったのだろうか。

 今後、日銀はまったく政策の効果を発揮できなくなるだろう。中央銀行として、自らの存在意義、自国経済の健全なる発展という目的を捨て去り、存在意義を自ら葬り去ったのだから。

 来月のジャクソンホール、世界の中央銀行関係者だけの最も重要な集まりで、日本銀行の人々はどんな顔をして、仲間のセントラルバンカーに会うのだろうか。彼らに葬儀でもやって貰うのだろうか。

****

 もう少し具体的に議論しよう。

 まず、日銀の黒田総裁は、ETF、株の買い増しだけを行うことをどう説明したのか。これがどうデフレ脱却、期待インフレ率の上昇にどう繋がるのか、どう日本経済を支えるのか。彼は記者会見では、「家計や企業のコンフィデンス(確信)の悪化を防ぎ、前向きな経済活動をサポートするため」と説明した。

 株価が一時的に上がることが支えになるのか。日銀が株を買うことが、人々を前向きにするのか。企業や家計ではなく、短期トレーダーの間違いではないのか。

 また、経済前提として、新興国経済の減速や英国の欧州連合(EU)離脱決定などを挙げて「不確実性が高まっている」と強調した。だから、追加緩和、緩和策の強化が必要になった、という説明である。

 奇しくも、米国中央銀行、FEDは昨日、世界市場の不安定要因はなくなった、リスクは低下した、と述べたばかりだ。震源地の欧州の中央銀行ECBも追加緩和はせず、直撃の英国ですらイングランド銀行は金利据え置きを決定したのに、である。

 なぜ、極東の日本だけが、英国EU離脱で危機になるのか。新興国経済がなぜ日本にだけ影響するのか。安倍首相の伊勢志摩サミットのデジャブである。

 さらに、そもそも、中央銀行で株式を購入しているのは、世界で日本だけである。日銀だけである。世界的には理解不能なのである。

 欧州はリスクのある国債を買って、国債市場の流動性を確保、金融の機能不全を解消し、米国では、金利低下で住宅投資を支えるために、住宅関連の長期債券を国債とともに買い入れた。しかし、社債を買い入れて、債券市場の金利低下を促すことはあっても、株式を中央銀行が買う例はどこにもない。しかも、6兆円という多額である。さらに日本の株式市場は、英国のEU離脱による下落を回復し、それ以前の水準に戻っているのに、である。世界的には株価は米国などで史上最高値を更新しているときに、である。

 まったく意味不明の株式買入という追加緩和だ。

 これを行った理由を、あえて日本銀行の執行部の立場に立って考えると、以下のようなストーリーしか思い浮かばない。

****

 もはや金融緩和は限界だ。拡大して経済によいことはない。副作用、リスク、コストを考えると拡大するべきではない。

 一方、これで何もしないわけにはいかない。金融市場の怒り、暴落、円高も怖いし、官邸に対しても、何もしない、というわけにはいかないだろう。何かは、アリバイ作りであったとしてもやらないわけにはいかない。

 では、何をするか。

 まず、もはや量的緩和は本当に限界だ。これ以上副作用を大きくするわけにはいかない。

 とりわけ、国債買い入れ増加額の増加は、政府の発表した28兆円対策と相まって、ヘリコプター・マネーの前哨戦を連想させる。したがって、これはできない。

 次に、マイナス金利の拡大は、-0.1%から-0.2%への変更なら、ほとんど効果もないが、実害もなく、金融政策の筋としても、金利引き下げだから、理論的には整合的だし、説明もつきやすい。もっともまともだ。

 しかし、金融機関、銀行の反発が怖い。前回、あまりに評判が悪く、三菱でさえ反旗を翻した。これは政府としても良くないから、官邸からも批判が来るだろう。だからできない。

 となると、質しかない。

 ETFの買い入れなら、またマーケットの流動性はあるから買い入れは出来るし、額からいってもたいしたことはなく、ほとんど実害はない。日銀の財務にとっても値下がりするとしても多少のことであり、減損額は生じたとしてもほとんどない。しかも、株式市場は喜ぶ。米国にも為替操作と言われない。誰にとっても悪くない。経済政策として意味はないが、誰にも迷惑はかからない。非難されない。副作用という実害ももっとも小さい。ほとんどない。

 これでアリバイ作りをしよう。

****

 こういうことではないか。

 それが最悪なのだ。

 実害は、日銀への信頼と金融政策の理念の死。

 自殺である。

 国債買い入れを増額しないのは良い。当然だ。財政にも、経済にもよくない。

 マイナス金利も拡大しない方が良い。これも当然だ。

 しかし、ETFを買って何になる。

 短期的な株価上昇だけだ。

 何のためだ。

 投機家たちを喜ばせるだけだ。

 最悪だ。

 株式市場、金融市場を弄んで、自分たちの利益のためだけに、金融政策を動きづらくする。そのような投機家のためだけに尽くす金融政策とは、いったんなんなんだ。

 マーケットに屈したのか。それは考えられない。マーケットに屈する必要は1ミリもないからだ。

 では、マーケットに屈した官邸に屈したのか。慮ったのか。

 株価対策以外に説明できない金融政策。

 最悪だ。

 そして、株価にもすぐに見放されるだろう。

 総会屋、ゆすりに屈したのと同じだ。

 たとえそれが官邸経由、あるいは勝手にそれを増幅させた日銀内部の慮りが理由であっても。それを振り払うために、マーケットを支配してきた黒田総裁がいたのではなかったか。

 日銀も、エコノミストも、経済学者も、まともな経済策論争も、言論も、すべて、今日死んだ。

 本当の終わりが始まった。

 ヘリコプターマネーよりは実害は少ないが、日銀は、精神的に殺されてしまったのだ。

 日銀にとっては、終わりの始まりではなく、終わりだ。

 今日は日銀の命日にとして歴史に刻まれるだろう。

小幡績

 

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コメント
 
1. 2016年7月31日 19:17:12 : 6jC6Ok4X3M : r9HiorRuc1w[657]
結局引き返す勇気が無いから、何時まで経っても同じことをやり続ける、日本の官僚の最も悪い面がこれだろう。

2. 2016年8月01日 01:56:08 : bdcWHc5lIs : Iey26BhC67o[98]
【今こそアベノミクスに否定的なエコノミストの意見を振り返ろう】

水野和夫(エコノミスト)×山下範久(歴史社会学者) (2014年)
「やっているフリをしながら、マーケットに気づかれないように、撤退する」
https://www.youtube.com/watch?v=10s_sQNOSTQ


3. 悪は必ず亡びる[96] iKuCzZVLgriWU4LRguk 2016年8月01日 19:12:14 : vCCNvduKp6 : rNt26SBcktw[54]
日銀が自殺したのは、三菱UFJが始める仮想通貨への移行のためだと思っている。
国の通貨発行権までアメリカさまに持って行かれるのだ。
だが、真の狙いはそこではなく仮想通貨にブラックボックス区域を作って、そこに
アメリカ支配層が自由に資産を隠すためだ。
これで、租税回避地に資産を隠す必要がなくなる。
庶民からは強制的に税金を奪うことが可能となる上、自分たちは脱税し放題だ。

だが、恐らくこれは上手く行かない。
遥か彼方の空から、連中の自由にさせない勢力が監視しているからだ。


4. 2016年8月01日 23:28:35 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2131]

>日銀が自殺
>なぜ、極東の日本だけが、英国EU離脱で危機になるのか。新興国経済がなぜ日本にだけ影響するのか
>ETFを買って何になる。短期的な株価上昇だけ

小幡が、政治・金融・経済の現実というものが理解できず

ほぼ脳死状態に陥ったということだけは十分理解できたよw


5. 2016年8月02日 06:34:35 : p6bkAfe4qE : OR7tLAXwVD0[2]
馬鹿が総裁やってりゃ、自爆もするさ。

6. 2016年8月02日 11:50:29 : nlvnyzGTAJ : XLFsGhHcIP8[52]
GPIF、日銀ともに官僚の出先機関だ。

国民年金の運用に株式50%などというのは狂気のさただ。
妥当な数字はポートフォリオ数%というところだろう。

株式の変動が10%だとするとポート全体への影響は5%になる。
100兆円ファンドだから5兆円だ。
しかもこれだけ巨額(50兆円)を売却出来ないので流動性ゼロの
運用となる。

日銀は異次元の緩和からルビコン川を渡った。
国内に投資意欲がないのに金融市場に資金供給してみてもその資金は
滞留(日銀の当座に)するだけの結果になる。
債券の利回りがゼロ以下になった今年金、損保、生保などあらゆる
資産は運用先を失い国内金融市場は死に態になっている。


7. ピッコ[1107] g3ODYoNS 2016年8月02日 13:28:40 : Ufrmv5hX8U : Y_KOUOHN1ZA[1]
株価維持のためにETFを買って株投資家を日本市場につなぎ留め、自分たち(黒田日銀)が今まで行ってきた間違った政策が「株暴落」という形で表面化しないようにしているだけ。 これは「物価の安定を図り、景気に不安があれば、金利の低下を通じて、企業や家計の消費や投資を刺激し、需要を増やす」という中央銀行の本来の業務とは無関係で、黒田総裁が自分の失政隠しのために日銀をまさに「私有化している」という姿だ。 さらに、黒田が異次元緩和の出口戦略を持ち合わせていないことも明白になった。 一日でも早くアベノミクスを止めなければならない。 それは株や国債の大暴落を招くだろうが、先延ばしすればするほど手に負えなくなり、日本が財政破たんする可能性さえ出てくる。

8. 名阪神高速浪速[144] lryN45BfjYKRrJhRkaw 2016年8月02日 14:24:38 : RaJaupWdvA : ugyQB7PHNW4[4]
>>4アホノミクス盲信のテメーこそ経済、金融の知識は高校生以下。

9. 2016年8月02日 15:41:24 : W0umuQPjfU : 36BmbHw_25Y[4]
汗水たらして、貯めた年金をハゲタカに食わす、カス共。世が世なら絞死刑だ。

10. 2016年8月02日 16:17:49 : tkx2n0qkXo : 1suTBfcyd6M[7]

黒田金融緩和砲発動!

韓国消滅!!!


11. 2016年8月03日 00:56:36 : RATpiZ8w7A : m9Rxm8xZ624[42]
アベノミクス量産のマイナス毒入り金利は金融封鎖の因、

日米市場、日米経済バイバスで米極右「新自由主義=NWO」の毒入り住宅に金を奪われ、雇用

デフレの直因となって、日米の経済を毒す。

米極右の毒入り住宅で毒された庶民の不満、怒りを同じ極右トランプが取り込んで、
極右の為の国家対立や戦争に誘導している。

アベノミクス全廃で、極右住宅問題も全廃となり、経済封鎖解除で金は庶民の手に

届く事になる。



12. 2016年8月03日 01:24:37 : HV5OehK4pk : OY2c7dFcJZc[68]
市場に馬鹿にされた追加。

アベノミクス廃案としてこそ日銀は息を吹き返す。
追加してしまったら、市場にも馬鹿にされ、死んだといわれて当然.



13. 2016年8月04日 00:31:01 : XRjEf1IxdA : Uxl4VdplUOo[1]
庶民の不満、怒りを同じ極右トランプが取り込んで、
極右の為の国家対立や戦争に誘導している。―――――
アベノミクス全廃で、極右住宅問題も全廃となり、経済封鎖解除で金は庶民の手に
届く事になる。

米市民が潤えば、極右トランプやサンダーズの出る幕がなくなり、対日緊張緩和となり
極右自民の改憲も不要となる。


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