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株価上昇を狙う日銀の政策に問題はないか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/525.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 03 日 08:15:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                    日銀が行うETF購入の増額に問題は?


株価上昇を狙う日銀の政策に問題はないか
http://diamond.jp/articles/-/97488
2016年8月3日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト] ダイヤモンド・オンライン


 7月28〜29日に開催された日本銀行の金融政策決定会合では、まず前回の本稿で指摘したように、マイナス金利の拡大は実行しないという賢明な判断をして、銀行を主とする金融機関のさらなる経営的な危機は回避された。

 予想された主たる対応案は、(1)マイナス金利の拡大、(2)国債買入枠の増額、(3)ETF(上場投資信託)の買い入れ増額の3つであったが、結果として(3)のETFの買い入れ増額のみを実施することになった。ETF、つまり株の購入を増額するということで、もはや金融緩和とは言えなくなっている。世界にこのような形で株式を購入している中央銀行はない。

 この状況はアベノミクスの金看板であった金融緩和政策を中心とした仕組みが限界に来ていることを示している。安倍首相は常に「アベノミクスは道半ば」を強調している。このような状況下、状況がギリギリになればなるほど、アベノミクスの本当の目的が見えてくる。それは主として「株高誘導」であり、その先にあるのは景気に刺激を与える「資産効果」である。

 黒田総裁は「必要なときはやる」といった発言をいつもしており、4月、6月、そして7月も、マイナス金利の拡大などの金融緩和を予想する向きもあり、その結果を見て株式市場や円為替相場は失望するといった展開が繰り返されてきた。

■マイナス金利拡大は無理筋
 国債購入額増にはやりすぎ感

 さて、最初に挙げた日銀の対応案のうち、(1)マイナス金利の拡大については、前回の連載で詳しく説明したが、これ以上のマイナス金利の拡大は、前回と同じように、国債金利を主たる収益源としている銀行の経営がさらに悪化し、株価全体も下落することとなるため、可能性は極めて低かった。しかも、副作用として国債金利までも低下し金融機関の収益は悪化し、株価全体の下落をもたらした。これ以上のマイナス金利導入は、銀行どころか株式市場の状況から考えても無理なのである。

 逆に、米国の中央銀行FRBは銀行にとって必要なのは正常な金利(イールドカーブ)の状態であることを認識しており、金利を上げていく(戻していく)ことを「正常化」と呼んでいる。経済危機の時、銀行の経営破綻が起きると、経済全体に与えるダメージは連鎖的に格段に大きくなる。それほど銀行の安定経営は経済にとって重要なのである。

 実際のマイナス金利政策は、言われているほど効果が大きくない。それは対象金額が少ないからである。実は、民間金融機関が日本銀行におカネを預ける「日銀当座預金」は(a)プラス金利適用部分の「基礎残高」、(b)ゼロ金利適用部分の「マクロ加算残高」と、今回新設する(c)マイナス金利適用部分の「政策金利残高」に分かれている(用語は日銀が使用しているもの)。

 (a)のプラス金利適用部分「基礎残高」とは、日本銀行が「量的・質的金融緩和」の下で各金融機関が預けている預金残高で、0.1%の金利が適用される。(b)ゼロ金利適用部分「マクロ加算残高」とは、各金融機関が預金保護のために預けている、いわゆる準備預金と、日銀が政策的に行っている貸出支援基金や被災地金融機関支援など公的資金の金額で、これはゼロ金利である。さらに(c)マイナス金利適用部分「政策金利部分」とは、前述2つの部分を上回る部分である。

 現在、日本銀行は年間80兆円国債を買い入れており、それと同額、預金が増える。増えた部分はマイナス金利適用部分の「政策金利部分」になるはずだ。しかし、現実には「マクロ加算残高」を増やして金融機関への影響を下げている。ということは効き目も少なくなるのである。

 対応案(2)の国債購入額の増加は、「総合経済対策」で発行される国債を結果的に購入するとの憶測も流れ、さすがにやりすぎではという感があった。さらには、市中からそれ以外の国債を買い入れる場合、国債をまだ大量に保有しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からさらに購入する可能性もあり、それはすなわちGPIFの空いた資金枠での株式購入につながる可能性も高い。しかし、現在、7月29日に発表になった損失の問題で、GPIFの株購入にテコ入れするスキームは困難さが漂う。

■ETF購入は「景気対策」に近い
 日銀の政策に限界、政府による構造改革が必須

 それならば、日本銀行が自らダイレクトに株式に買おうと、(3)株式のETF(上場投資信託)の購入額増額となった。株式の購入は、もはやもう金融政策とは言えない。これはインフレ率の目標2%とは明らかに直接的な関係がない。むしろ政府が担当している「景気」に対する効果の方が大きい。他の中央銀行でやっているところはない。

 さすがに個別企業の株式を購入すると、個別の企業の信用リスクを日本銀行が負うことになり、それはできないため、インデックスで買っているのである。しかし、株式のETF市場は約15兆円で、すでに毎年3.3兆円買っており、累計で約半分を買っている。この増額でETF市場はさらに日銀が買い進むことになる。もちろんETFが上昇すれば、裁定が働き現物株式市場も上昇する。

 景気(経済成長)を良くする=GDPを上げるためには、その6割を占める個人消費を増やすことが重要となってくる。それには直接的には2つのルートしかない。それは個人の収入が増えるか、個人が持っている株式などの資産の価格が上昇する時である。この資産の価格が上がるときに、消費もつられて増加する。これが資産効果である。

 しかし、株価上昇の資産効果は危うさも孕む。資産を持っている層と持っていない層で効果が違うのである。しかも、日本の場合には高齢者の方が資産を保有している。すなわち「格差」が広がり、資産を保有していない(低所得・若年層など)人々には別途対策が必要となる。また、株式市場が下落を続けると、持っている層は消費を引き締める「逆のギア」が入る問題もある。

 このように、やはり金融政策や従来の財政政策(財政出動)は限界で、いよいよ経済の改革に取り組まなければならなくなってきたようだ。地方が空洞化する中での企業の海外進出のような分かり難い政策ではなく、農業改革のように目に見える分かりやすい政策が望まれる。そのような分かりやすい改革政策こそが、日本を覆っている「将来不安」に対して効き目があるのではないか。安倍政権は憲法改正だけではなく、経済改革にも注力すべきである。ある意味、選挙を経て政権は安定しており、“改革”という政治的にマイナスなこともやりやすい状況であり、今がチャンスである。

 最近の救いは、財政支出を日銀が直接手当てする、いわゆる「ヘリコプターマネー政策」について黒田総裁が「必要性も可能性もない」と述べていることである。筆者が申し上げるのも大変失礼だが、最近の日銀は前例のない政策を行ってきて不安があったが、少し安心した。

 黒田総裁は、9月の日銀の金融政策決定会合で、「政策効果を総括的検証を行う」と述べている。これは日本では景気回復(経済成長率の上昇)なしでは、物価上昇率2%の達成は困難であり「達成時期」を外すものと考えられる。そうすれば、姿勢は示しながらも、無理な金融緩和と国債購入を行わなくて済む。現在でも、日本の国債発行残高の3割を日銀が持っている状態は、財政を中央銀行が支える「財政ファイナンス」といわれても仕方ないであろう。「ヘリコプターマネー政策」を不要と明言した黒田総裁は当然分かっていることであろうが。

(参考図書)『金融が支える日本経済』宿輪純一・櫻川昌哉共著(東洋経済新報社)

 

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コメント
 
1. 2016年8月03日 08:24:51 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2141]

>株価上昇を狙う日銀の政策に問題はないか

どんな経済政策にも副作用があるように

どんな金融政策にも副作用があるから、この手の批判は

現状から予測されるメリットとデメリットを比較しなければ全く意味がない

それに、そもそも株価上昇自体は最終的な狙いではないから的外れな批判だな

デメリットだけを取り上げて批判したり、危機を煽ってリスク資産投資に誘導するのが

赤カブ御用達のGlEyなどの経済芸人に多いパターンだから仕方がないとは言えるか



2. 2016年8月03日 10:32:10 : jBXdBvcmPY : loViQ5cnqVw[217]
上昇を狙うというより破滅を下支えしているにすぎない。日本だけの問題ではなく世界経済の破滅の問題だというのは内外の市場の動きを見ていればわかる。国内経済の話など誰もしていない。なお当面注目すべきインディクスは原油と思う。現在39ドル台、前回に続き、今度は何をして40ドル台に戻そうとするかな。

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