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日銀が露呈した「金融政策の限界」という異常事態(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/685.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 09 日 08:25:35: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀が露呈した「金融政策の限界」という異常事態
http://diamond.jp/articles/-/98283
2016年8月9日 真壁昭夫 [信州大学教授] ダイヤモンド・オンライン


■揺らぎが発生している
 日銀と金融市場の信頼関係

 今後の世界経済と金融市場の行方を占う上で最も重要なファクターは、米国の大統領選挙などの情勢だろう。恐らく、それと同じくらい重要な要素は、主要国の金融政策だろう。

 米国の米大統領選挙で、仮に共和党の候補であるドナルド・トランプ氏が当選すると、その影響はかなり大きいはずだ。今のところ、英国のEU離脱決定後の金融市場の混乱はひとまず収束した。しかし、ユーロ圏での反EU政党の躍進、英国とEUの離脱交渉の動向など不透明要素は枚挙に暇がない。

 ただ、政治の動きは気まぐれな人々が決めることを考えると、その展開を予見しづらい。「気にはなるが結果を見ないと動けない」というのが、多くの投資家の本音だろう。投票結果を確認し、その都度、対応を決定するのが現実的だ。

 一方、金融政策に関しては、ある程度の見通しを立てることができる。特に、英国のEU離脱決定後、主要国は先行きへの懸念を払しょくすべく、金融政策を重視して景気を支える姿勢を示している。

 従来は利上げの可能性もあったイングランド銀行(BOE)は、国民投票を境に金融緩和を志向した。欧州中央銀行(ECB)も追加緩和を進める可能性がある。年内の利上げの可能性を残した米連邦準備理事会(FRB)でさえ、ドル高、国際的な金融市場への配慮から、今後の政策運営には慎重だ。各国中銀の判断が、株価、金利(債券)、外国為替レートに影響し、ボラティリティ(価格変動率)は高まりやすい。

 そうした状況下で注目されるのは日銀だ。これまでサプライズ型の政策運営を行ってきた日銀と、株式や為替など金融市場の見方との間に溝が広まりつつある。冷静に考えると、日銀と金融市場の信頼関係に揺らぎが発生しているとも言える。日銀は、早期に市場との相互信頼の関係を再構築すべきだ。

■金融緩和による景気回復には限界があり
 限界という異常事態は修正の必要がある

 金融政策の基本的な役割は、金融システムの安定化や経済活動の円滑化を図ることだ。ただ、経済の発展段階によって、具体的な役割は少しずつ異なる。

 例えば、わが国の高度経済成長期(1954年〜73年)、重化学工業を中心に多くの産業が設備投資などのための資金を必要としていた。この中で、日本銀行は市中の銀行に対して資金を積極的に供給し、産業界の資金需要に応えた。

 1970年代初頭のオイルショックの時に景気が過熱しインフレのリスクが懸念されると、日銀は金利を引き上げて資金の需要を抑制し、景気の持続性を高めようとしてきた。これが、“物価の安定と金融システムの安定を支えることで経済の発展に貢献する”という、主要中央銀行の目的の根幹にある考えだ。

 基本的に金融政策が機能するのは、モノに対する需要が堅調であり、それが物価の上昇につながる状況だといえる。このようにして金融政策が経済成長を支えられる場合、多くの国民は成長がもたらす幸福感を謳歌することができるだろう。

 一方、昨今の金融政策の役割は相当に拡大してきたといえる。世界経済の状況を俯瞰すると、各国の輸出は低迷している。これは需要が弱く、期待インフレ率も高まりづらいことを示している。

 日銀は利下げや量的緩和、そしてマイナス金利などの導入によって短期から長期、超長期の金利を低下させようとしている。それによって、需要のみならず、株式などリスク資産の価格をも刺激しようとしている。例えば、株価が上昇すると、わたしたちは先行きに対して楽観的になり、お金を使うことに前向きになることがある。これが“資産効果”だ。

 ただ、こうした積極的な金融緩和は永続的に続けられるものではない。例えば、金融機関が日銀に国債を売却しなくなると、量的緩和策は続けられない。マイナス金利に関しても、金利の急低下が金融機関の収益を圧迫し、長く続けられる政策とは言えない。需要が低迷する経済環境下、金融の緩和で景気を回復させることには限界がある。限界という異常な事態はどこかで修正される必要がある。

■財政ファイナンスが進むと止めるのは困難
 際限ない金融緩和は国民の幸福感を低下

 7月の金融政策決定会合で、日銀は“質・量・マイナス金利”の3次元での追加緩和を期待した市場を裏切り、上場投信(ETF)の買い入れ倍増を軸とする追加措置を決定した。また、日銀は9月の会合で経済や物価情勢、これまでの金融政策の効果を総括的に検証すると表明した。

 この“検証”が何を意味するか、よくわからない。市場参加者は「3次元での追加緩和の見送りは、日銀が限界を認めたことの表れだ。マイナス金利凍結など金融政策の修正が進むのでは」と考え始めている。

 修正の可能性がある一方、更なる金融緩和が進むかもしれない。7月の決定会合後、黒田総裁は金融政策の修正の可能性を表向きは否定している。それだけに、更に強力な、際限なき金融緩和が進む可能性は排除しきれない。その筆頭格がヘリコプターマネーだ。

 これは理論上、金融政策と財政政策を融合し、同時に進める政策だ。政府が国債を発行し、日銀はそれを引き受ける。同時に、国債と引き換えに、新しく刷ったお札(通貨)を政府に渡す。これで無制限な通貨供給が可能になる。この時、国債の発行者(政府)=保有者(日銀)であるから、実質的に政府債務残高は増えない。

 このような政策が進むと、政府が対価を求めず国民に現金などを給付する(ばらまく)ことへの期待が、一時的に景気の高揚感をもたらすかもしれない。しかし紙幣の乱発は悪性インフレのリスクを高める。

 もっとも、デフレ環境下にあるわが国で、すぐに高率のインフレ=ハイパーインフレが進行するとは言いづらい。ただ、インフレはある時に急上昇することがあり、コントロールが難しい。

 そればかりか、いったん財政ファイナンスが進むと、止めるのは困難だ。財政ファイナンスで景気支援や軍備調達を進めた高橋是清は、財政の緊縮を進めようとした結果、軍部の怒りを買い2・26事件で暗殺された。また、最終的に国の借金を返済するのは国民だ。つまり、際限ない金融緩和は国民の幸福感を低下させることにもなりかねない。

■強弁を続け市場の虚を突こうとする日銀を
 市場参加者は警戒している

 そのような際限なき金融緩和のリスクを考えると、9月の会合での検証は金融政策を修正するチャンスだ。日銀はサプライズ重視の金融政策の限界を認めるべきだ。そして、強弁を排し、本音ベースでのコミュニケーションを進めて市場との信頼関係を回復すべきだ。

 2013年4月の量的・質的金融緩和は、2年を念頭に2%の物価を達成する、“短期決戦型”の金融政策だ。2014年の消費増税が景況感を悪化させ始めると、日銀は“サプライズ演出”をも重視した。2014年10月の追加緩和、2016年1月のマイナス金利導入は、投資家を驚かせて半ば強制的に金利低下、円安の圧力を高めようとした。これは、機能が停滞した筋肉に電気ショックを与えて無理やり動かそうとすることに似ている。

 短期決戦とサプライズ重視の金融政策をもってしても、わが国の需給ギャップはプラスには転じていない。足許では物価の基調が下ぶれている。この中、市場は政策の限界を懸念している。一方、黒田総裁は「追加緩和に限界なし」と依然、強気だ。

 そして、強弁を続け、市場の虚を突こうとする日銀を、市場参加者は警戒している。強弁が発せられるほど、市場の警戒心は高まり中銀への信頼は低下するだろう。信頼回復を選択するかは日銀の判断次第だ。日銀に対する市場の信頼がさらに弱まれば、際限なき金融緩和が経済を壊す恐れもある。

 すでに、債券ディーラー、ファンドマネージャーらは日銀が景気を支えるよりも、期待を裏切りボラティリティーを掻き立てる存在になりつつあるとみなし始めた。この状況は主要国の中でも例がない。日銀は市場を圧迫するほどの行き過ぎた金融政策を進めてしまった。その修正は、異常な事態が正常に戻ることを意味する。

 今なら修正は可能だ。そして、それは必要だ。日銀は、短期決戦とサプライズ重視の政策スタイルを改めて市場との信頼関係を回復するか、際限なき金融緩和に踏み込み出口を閉ざすかの分岐点に立っている。日銀が原点に立ち返り、金融政策の役割への期待を考え直すべきだ。それができるかどうかが、今後の経済を大きく左右するだろう。
 

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コメント
 
1. 2016年8月09日 09:47:06 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2208]

また、何の対案もない日銀叩きか

>金融緩和による景気回復には限界があり
>限界という異常事態は修正の必要がある

別に限界があるのは当たり前で、異常でも何でもない

もっと日本語を勉強しろよ

正しくは、

金融緩和政策(金利低下、QQE)だけで、名目および実質GDPの改善、雇用の改善、実質賃金の改善という

3つの経済指標を同時に改善しようとしても、その効果は、徐々に逓減していき、

いずれ、副作用の方が大きくなるということだ

そもそも金融政策に限らず、どんな政策でも、それだけに資源を投入し続ければ

いずれはマイナス効果がプラス効果を上回る(つまり限界に達する)


だから残り2本の矢、政府による効率的な財政政策と、特に構造改革(ただし時間がかかる上に、抵抗を排して実行するのは大変)が重要という当たり前の結論になる

実際、最近の黒田日銀も、限界(副作用)を考えて、過激な緩和策は控えるようになってきているから、ファンダメンタルに沿った円高が実現してきている

つまり、いくら日銀に、素晴らしい対策を要求したところで意味はなく、政府や企業、労働者に地道な努力を期待するしかないということだ


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