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縮む日露貿易が膨らます日本への憧れ 経済制裁が長引くとロシアの内向き志向は決定的に?(JBpress)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/165.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 18 日 00:31:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              ロシア・モスクワの宮殿(写真はイメージ)


縮む日露貿易が膨らます日本への憧れ 経済制裁が長引くとロシアの内向き志向は決定的に?
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47641
2016.8.18 菅原 信夫 JBpress


 昨年来、私たち日露貿易関係者の最大の心配は、貿易量の減少、特に日本からの輸出の減少である。


 日本から輸出金額で最大の割合を占める自動車は、2014年度から継続して対前年度比マイナスが続いている。特に中古車の輸出は2015年からは壊滅的とも言える状態に陥り、廃業する輸出企業も多い。


 こうした数字もさることながら、私たちの心配はもっと深いところにある。


 経済制裁を主因とする不況であれば、経済制裁が中止されれば、ロシア経済は元に戻る。しかし、2014年夏に始まり、この夏でいよいよ3年目に突入する西側の経済制裁とこれに対抗するロシアの自主的輸入制限は、ロシアの産業構造を変えつつある。


■ロシアの産業構造が激変中


 一例を挙げると、長らく死に体だったロシアの機械産業は、2014年以来、長い睡眠から目覚め、企業数も大きく伸びている。


 これは国家運営のため、必要不可欠な機械、部品は国産化してでも、供給を絶やすことはできない、という輸入代替の必要性から生じた復活と見ることができる。


 本年5月に開かれたロシアの工作機械関連の展示会としては最大級のモスクワ国際金属加工展には、記録的な数のロシア企業が参加した。


 商品的にはソ連時代に逆戻りしたような古典的な機械が新製品として展示されてるなど、技術的に見るものは少なくても、この精神的独立性の復活は大きく、このまま行けばかなり短期間で西側先進国並みの機械を製造することが可能になるだろう。


 日露貿易関係者の心配はここにある。


 ロシアが西側と同等と言える商品を今後数多く生み出すようになると、その分、日本からの輸出は減少、現地生産の必要性も低下していくのではないか、ということである。


 その結果としてのロシア人の西側への関心や憧れの低下、「西側離れ」という現象を恐れているのだ。


 JNTO(日本政府観光局)が毎年発表する訪日外客数推移という来日者数上位20カ国のランキング数字を眺めていたところ、ロシアに特徴的な傾向を認めることができた。


 ランキング表にあるすべての国において訪日者数が伸びていた2015年に、ロシアの数字だけが例外的に減少しているのだ。実数を並べてみよう。


■記録的な訪日観光客、ロシアだけ例外


2008年 6万6270(統計開始後の最大値)
2011年 3万3793
2012年 5万176
2013年 6万502
2014年 6万4077
2015年 5万4400
2016年 2万5400(1〜6月までの数字)


 経済制裁が始まったのは2014年の夏である。その影響が出てきたのが2015年、さらに2016年度の上半期は2万5400という数字で、このペースで年度末まで推移すると、年間訪日者数はせいぜい5万人程度での着地となる。


 記録的な来日者数で賑わう統計の中で、ロシアが唯一マイナスの影を落とす存在になっている。


 JNTOでは、ロシアからの訪日者減少について、次のように述べている。


 「その主原因は西側による経済制裁とエネルギー価格の低下であり、具体的には(1)円に対するルーブル価値の下落、(2)ロシア経済全般の低迷、である。したがい、この原因が除去されれば、ロシアからの来日者は再び増加が見込まれる」


 上記JNTO説を簡単に検証してみたい。


 まず(1)円/ルーブル換算レートの推移である。



ルーブルの対円レート


 2014年夏までは1ルーブル当たり3円というレートをほぼ維持できていたが、ウクライナ上空でのマレーシア航空機撃墜を契機とする、西側による経済制裁が始まる2014年7月以降、ルーブルは急激に対円レートを下げていく。


 現在は1ルーブル1.6円見当なので、2014年初頭から見ると約半額にまで下がっていることになる。安いルーブルは、航空運賃、日本における宿泊代、土産代などすべてに影響し、その結果として1万人もの来日旅行者の減少となって現れたと言える。


 次に(2)の、ロシア経済全般の低迷だが、筆者の見るところ、この点についてはそうとも言い切れない。現地でロシア経済を「感じる」と、景気はまだら模様で、好業績に企業規模の拡大を計画している企業もある。


 先日もある日系銀行のモスクワ支店の方との会話の中で、ロシア企業からの借り入れの申し込みが多く、この1年ほど大変忙しい思いをしている、ということで、西側報道から見られるロシアの景気概況とはかなり異なった様子が感じられた。


 現在、モスクワ都心部は2016年から3年間にわたる市街地改良計画「マヤ・ウーリツァ」(私の通り)による工事のため、大変な混乱状態にある。この工事のための巨額の資金は全額モスクワ市の財政出動である。


 この工事中に何度か豪雨の襲来があり、道路が冠水したため、本当にこんな工事が必要なのか、という疑問が市民の間で囁かれているとロシア紙が伝えている。


■公共工事の名プロジェクト


 しかし、経済制裁による経済規模の縮小というマイナス面をカバーするためには、効果的な方法と言えるのではないだろうか。3年間で1400億円を超える莫大な資金も、モスクワ市という巨大組織の予算からすれば、せいぜい1.5%程度にしかならないそうだ。


 その割には順調な市財政が多くの市民の目に止まるという、実は名プロジェクトと言えるのかもしれない。


 そのほか、一流レストランの混み方といい、タクシーの乗車率といい、少なくとも国内景気の定点観測だけでは、「経済全般の落ち込み」を確認することはできない。



モスクワ最大の繁華街トゥベルスカヤ通りが赤の広場と交わる一等地も、都市改良工事のため、無残な状態である。駐車中の車は、ベンツのタクシー群。モスクワ観光は規律の戻る今年秋以降をお勧めしたい


 冒頭で、国産化が再び始まった工作機械の話題に触れたが、荒っぽい言い方をすれば、これは全産業に及ぶ傾向であり、特にグルメ食品、生鮮食品の輸入を禁止されている食品業界においては極めて特徴的である。


 グルメ食品の国産化の一例として前稿では、モスクワのプライムステーキブームについて取り上げたが(「経済制裁で美味しくなったロシアの牛肉、今や世界一」)、昨今のロシア人は、海外の味を国産で実現する、というアイデアに夢中のようだ。


 そして、彼らの関心が向く先は、欧州、米国といった「憎き」西側もさることながら、アジア、特に日本への関心が再び高まっているように思える。


 先日、モスクワ日本センターが企画したロシアの若手企業経営者と在留邦人との交流会があった。ロシア側で参加者取りまとめをしているのは、大統領プログラム同窓会だ。


 この大統領プログラムマネージャーコースというのは、ロシア大統領府が中心となり1998年からスタートした、40歳までの若手ビジネスマンを対象とするマネージメント教育プログラムである。


 ロシアでの座学研修に、西側先進国でのインターンシップが付属しており、理論+海外での実体験を得ることができる。


 このプログラムに参加した若手ビジネスマンの中には、自分で起業する者、あるいは他社に経営トップとして転職するものもいる。


■日本も4000人受け入れ


 非常に優秀な成績でコースを卒業した人の中には、大統領府での勤務を持ちかけられることもあるそうで、参加者の真剣さ、質の高さには定評がある。日本政府は、日本センターを窓口として、これまで4000人以上のプログラム参加者を受け入れてきた。


 こうして訪日研修を体験した人々の中には、日本で得たアイデアをロシアで企業化する人たちも出てくる。先述した交流会は、そうして練り上げたロシア側のアイデアを日本人に披露する最初のチャンスでもある。


 その日、私に商品を見せてくれたのは、チェボクサール市のアナトリーさんだった。彼は、植物性食品、特に大豆製品の開発に注力しており、日本研修の合間には、日本における豆腐の販売の様子を各地で観察したという。


 今回、彼が製品化したのは、TOFUとは言うものの、豆腐から水分をほとんど全部搾り取り、カッテージチーズのような固形物にしたもの。



アナトリーさんが製品化した、ロシアのTOFU。カッテージチーズそのままの食感を再現したドライフルーツ(杏)入り(左)と角形で硬く固めたクラシック(右)。現在製品の改良も進めていて、プロジェクトを技術的に支援してくれる日本の食品企業を募集中である


 彼は日本のスーパーで売られている豆腐が、水分を多量に含むゼリー状の固体のみであることに注目し、そこから水分を抜き、長期間保存ができるタイプを作れば、ロシアでも豆腐を流通させることができるのではないかと考えたという。


 ロシアではミルクから作られたカッテージチーズが食卓の定番商品であり、これだけで昼食を終える女性も多いことから、乳製品アレルギーの人たち向けにTOFUを紹介したいと言っていた。


 早速試食をすると、カッテージチーズと変わらない味と食感である。彼はさらに、ドライフルーツやジャムなどを添加するべく、試作を繰り返しているという。


 もう1例を紹介しよう。こちらは日本に輸出するためには商品の日本語表記が不可欠という日本での講師の一言を受けて、制作された日本市場向けのバルティカビールの試作缶である。


 残念ながら実際には採用されなかったが、ロシア最大の生産量を誇るバルティカのような大企業でも、日本、という東方への意識をちゃんと持っていることに筆者は大いに感動し、本件を担当したA氏を激励したものであった。


 ただ、自社の表記をバルチカと書いたり、バルティカと書いたり、また注意書きで「妊娠中や授乳期の飲酒は」とすべきが「飲食は」となるなど、日本語専門家なしで翻訳したあとがありありの、ロシア的大味さが見え隠れする。


■日本人に解読不能な漢字を創作


 もっとも、漢字をポップなグラフィックアートと呼ぶロシアでは、Tシャツのデザインにも漢字やカタカナが使われ、中にはロシアで独創された、日本人には解読不明の漢字さえある昨今では、表記の仕方など小さなことなのかもしれない。



日本で販売される輸入ビール缶が英語表記であっても、あまり珍しくはないが、ロシア産ビールで、それも日本語表記となると、やはり物珍しさは認める。こういうものをそのまま受け入れる「夢追い人」がロシア人である


 要するに、経済制裁下のロシア人は自国内で味わえる小さな「エキゾティズム」に酔っているのだ。


 そう考えると、当初紹介された「日本市場向け」というのは全くのでまかせで、実は立派なロシア市場向けの試作缶だったのかもしれない。


 今回の記事に結論はない。ただ、1つ申し上げるとすると、ロシア人は、「失望」を知らない「夢追い族」たちということである。


 海外に行く機会がだんだん減っていく現在、彼らの代替策は国内で海外ムードを追求することのようだ。そして、その一部が食品という分野において、エキゾチシズムを具現した商品となり、人々の欲求をある程度満足させることに成功する。


 一部の人々はその方向を東に定め、日本をテーマとする商品を生み出そうと試作を繰り返している。


 しかし、この傾向が定着してしまうと、JNTOが推測しているようにはならないのではないか。すなわち、経済制裁が解けると、本当に来日者は再び増えるのだろうか。


 その頃、ロシア人は国産化された機械から生み出される日本風食品に舌鼓を打ち、海外に出かける、という行為に関心を示さなくなっているのではないか。


 結果的に日本を含む海外との貿易量は減少してゆくのではないかと心配している。



 

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コメント
 
1. 2016年8月18日 02:17:40 : 4wnaEWkfPM : Xyeda77IoQY[141]
ロシアは基本的に遺伝子組み換え食品ゼロの国である。米国からの食品は遺伝子組み換え表示がないから、ロシアの食品はこの点をえぐく訴求すれば日本の消費者に馬鹿受けする可能性十分とみる。

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