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黒田日銀総裁が示した総括検証のヒント 政策効果や目標未達要因と副作用 利上、欧州無関係 独首相、続投目指 独銀、要荒療治
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/673.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 9 月 02 日 20:59:50: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 


コラム:
黒田日銀総裁が示した総括検証のヒント

河野龍太郎BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 2日] - 最近、どこに行っても話題になるのは、9月20―21日の金融政策決定会合で日銀が行う「総括的な検証」である。市場では、政策変更にとどまらず、最終目標や操作目標の見直しなど、幅広い予想が飛び交っている。正直言って何が出てくるのか全く見当がつかない状況だ。

サプライズ戦略を続けた結果、市場との対話が事実上崩壊したことの表れであり、金融政策をめぐる思惑が市場の不確実性の原因となっている。コミュニケーション戦略の再構築には総括検証が不可欠だと思われるが、今や総括に対する思惑が大きな不確実性を市場にもたらしている。

こうした中、8月下旬に開催された米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、黒田東彦日銀総裁が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和による予想物価上昇率のリアンカリング」と題する講演を行った。

この講演から総括検証の方向性が多少見えてきたようにも感じられる。また、コミュニケーション戦略の再構築の一環として、総括検証に関し予見可能性を高めることを意図した講演だったようにも思える。

今回は、ジャクソンホール会議での黒田総裁講演から総括検証の方向性を読み解きたい。

<マイナス金利政策の撤回はない>

まずマイナス金利については、黒田総裁は「下限制約からは、まだかなりの距離がある」とし、「マイナス金利政策という新しい実践的な政策手段を取り入れたことによって、中央銀行は様々な負のショックへの対応において、より大きな自由度を獲得した」と述べた。

マイナス金利は、金融機関からは不評で、確かに政治的には発動は容易ではなくなっているのも事実だが、円高など外的ショックへの有効な対抗手段として、温存したいということが伝わってくる内容だ。総括検証でも否定的な見解を出すことはなく、マイナス金利政策が撤回されることはまずないと思われる。

興味深いのは、量的・質的緩和政策とマイナス金利へのそれぞれの評価だ。黒田総裁は、量的・質的緩和の経験は「インフレ予想の高まりによって実質金利が大幅に低下した」ことを示す一方で、名目の国債金利については「さほど大きく低下はしなかった」という見方もできると論じている。理論的な効果が疑われるマネタリーベース・ターゲットだが、波及のチャネルは明確にはされていないものの、効果は確かにあったと言う。

反対に、マイナス金利の導入は、イールドカーブ全体を大きく押し下げたと述べており、その理由として、潜在金利(ゼロ金利制約が無い場合に市場で成立すると考えられる金利水準)が実際の金利を大きく下回る状態において、マイナス金利政策が採用されてゼロ金利制約が取り払われたため、という仮説を展開している。

つまり、量的・質的緩和については、インフレ期待を高めたが、長期金利の押し下げ効果は小さかった一方で、マイナス金利政策については、ゼロ金利制約を取り払うことによる長期金利押し下げ効果は大きかったが、少なくとも今のところインフレ期待の上昇をもたらしていない、ということである。

さらに付け加えるなら、マイナス金利政策の影響でイールドカーブのブルフラット化を懸念する人が多いが、1月の導入でゼロ金利制約が取り除かれてしまったため、今後マイナス金利を深堀りしても、必ずしもイールドカーブのブルフラット化が生じるわけではないということも暗に主張しているように思われる。

こうした黒田総裁の見解については、異論も少なくないだろう。もし量的・質的緩和の長期金利の押し下げ効果が小さかったというのなら、長期金利の引き下げそのものについては、フォワードガイダンス効果だけで十分であり、長期国債を大量に買うことによるタームプレミアムをつぶす効果は小さかったということになりかねない。

マイナス金利についても、イールドカーブのブルフラット化は、ゼロ金利制約が取り払われた影響が大きいのだとすると、大量の国債を買うことでタームプレミアムをつぶす効果が小さかっただけでなく、フォワードガイダンス効果も小さかったということになりはしないだろうか。

<インフレ期待低下の本当の理由>

本稿の目的は、黒田総裁の講演内容に反論することではなく、講演から総括検証に関するヒントを探ることであるから、総裁の主張を前提に議論を進めよう。

黒田総裁の評価から導き出される1つの結論は、引き続き「量」を追求することでインフレ期待の上昇に努める一方、マイナス金利政策も継続して長期金利を低位に安定させることで、実質金利の低下を図り、ひいてはインフレ率の上昇を目指すというものだろう。

つまり、これまで打ち出した政策はどれも効果があり、可能なら現在の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の枠組みをそのまま続けるべきという結論となる。

ただ、黒田総裁も講演で認める通り、量的・質的緩和導入後のインフレ期待の上昇は持続せず、2015年秋以降、逆に低下が始まってしまった。ここで総裁は、インフレ期待低下の一因を、原油価格の下落に求める。本来、原油価格の変動は、長期的なインフレ予想に対して持続的な影響を与えるものではない。むしろ長い目で見れば、実質購買力の増加をもたらし、将来のインフレを高める可能性さえある。

しかし、日本の場合、インフレ予想が十分にはアンカーされていないため、「外的なショックに対する頑健性が低い」と言う。政策自体には効果はあったのだが、外的要因によって、インフレ期待が低下したということである。ここで黒田総裁がリフレ派的な見解を持つのなら、インフレ期待を再び高めるために、量的・質的緩和をもっと拡大すればよいということになる。とはいえ、問題は、国債購入が遠からず技術的な限界に達する可能性が高い点である。

「量」の限界の議論に入る前に、対外的理由で総括検証では直接触れられない可能性はあるものの、インフレ期待の醸成において重要な論点がある。それは為替レートだ。量的・質的緩和が長期金利の低下にはあまりつながらなかった一方で、インフレ期待が上昇したのは、理論的なチャネルはともかくとして、主に為替市場参加者の「期待」ないし「誤解」を通じ、「量」の拡大が大幅な円安をもたらしたためだと思われる。

ファンダメンタルズ・バリューを特定し難い為替市場においては、均衡レートからのかい離、すなわちバブルが発生しやすい。為替市場参加者にソロスチャートを信じる人が多く、ファンダメンタルズとは無関係な確信(=マネタリーベースの拡大が円安につながる)によってサンスポット的均衡が生まれたのかもしれない。あるいは皆がマネタリーベースの拡大が円安につながると信じているから自分もそれに乗っかるというケインズの美人投票的な自己実現的予想が形成されたのかもしれない。いずれにせよ、量的・質的緩和によって、円安バブルを醸成したことでインフレ期待が上昇したのだと筆者は考えている。

事実、2015年6月には実質実効円レートは1973年初頭以来の超円安水準まで下落した。仮にこの円安バブルがもう少し維持されていれば、物価水準が実際に上昇し、購買力平価の経路を通じ、実質実効円レートそのものは修正されるものの、名目為替レートはある程度妥当性を持つようになっていた可能性がある。しかし、現実には物価水準が大きく上昇する前に、円安バブルの崩壊が始まり、実質実効円レートの均衡レートへの回帰が始まった。

バブルだから単に弾けただけとも言えるが、系列相関の強い為替レートの場合、均衡からの大幅なかい離が数年にわたって続くケースも少なくない。超円安の裏側にあった米ドル高や中国人民元高に米国や中国の輸出企業が耐えられなくなったというのが円安修正の原因かもしれない。事実、2015年夏、2016年年初に国際金融市場が混乱し円高が進んだのは、人民元やドルが割高になったことが影響していた。

しかし、円安修正とそれに伴うインフレ期待の低下はそれ以前に始まっていたように見える。円安進展による家計部門への悪影響を憂う人が増え始め、国内でも円安進展が政治的問題になっていた。決定的だったのは、2015年6月10日に衆院財務金融委員会で黒田総裁自身が1ドル125円突破へのけん制発言を行ったことだ。インフレ期待の醸成を狙って円安バブルを膨らませていた張本人がけん制を始めたのだから、それは大きな転換になり得る。

為替市場参加者、特に海外勢の目には、円安誘導によるインフレ期待の醸成を行おうとしていた黒田総裁が反対勢力に屈したと映ったのではないだろうか。一度崩壊の始まった円安バブルを再度膨らませようとしても簡単にはいかない。これが行動経済学的観点からの筆者の解釈である。

<「量」からの撤退に2つの難問>

さて、今回の講演の最後で、総裁は「この枠組みをどう使って」物価安定目標を早期に実現するか、検討すると述べている。「量」「質」「金利」という枠組みそれ自体は、形式上変えることはないが、その中での重点の置き方は総括検証の結果や状況次第で変わり得るということだろう。

黒田総裁は「量」「質」「金利」のいずれについても、追加緩和の余地は十分にあると述べているが、「量」が長期金利を押し下げる効果は限定的で、インフレ期待の押し上げ効果も持続的なものではなく、かつ技術的限界が遠からず訪れるとすれば、マクロ経済政策論的には「量」の追求から距離を置き始めるというのが自然の流れである。

とはいえ、「量」からの撤退を始めるにおいて、日銀としては2つの問題を抱える。1つは、「量」そのものの拡大に郷愁を覚えるリフレ派のボードメンバーの存在だ。これに対しては、導入当初の効果を強調して、これらの委員の顔を立てた上で、かつ、国債買い入れの継続という形で、「量」という枠組みは残るという体裁にすることで対応するのではないか。例えば、マネタリーベース・ターゲットを棚上げすれば、ツイストオペを行うことで、金融取引の担保不足への対応として短期国債を放出した上で、長期国債の買い入れ額を増加させることが技術的に可能となる。

もう1つの問題は、より大きな問題だが、黒田総裁が重んじてきた「期待」への影響である。為替レートへの影響と言い換えてもよい。マクロ経済学的には捉え難い問題であり、効果が存在するとしても、それは行動経済学的な領域、もっと言えばバブルや心理学の領域の問題だ。その効力は急激に失われつつあり、ここで買い入れ額の減額の方向性を明確に示すとなると、円安バブル崩壊が加速し、インフレ期待の低下に拍車をかける恐れがある。

マクロ経済学では十分に説明できない政策に手を染めたしっぺ返しが生じているとも言えるが、日銀はそうした展開を回避するために、国債の買い入れ額をレンジ化し、かつ当面は現行ペースあるいはそれ以上のペースで購入する方針を示すといった、漸進的な手法を取らざるを得ないのではないか。その上で、長期金利や為替レートの安定が確認されれば、長期金利の上昇が生じない範囲内で、買い入れ額を徐々に減らしていくといった方法が考えられる。もちろん、偽薬効果がもはや存在していないのなら、こうした政策は不要であり、一気に金利ターゲットの転換を行うべきである。

また、検証結果を踏まえて、直ちに政策の変更が実施されるかは、現時点では不明だ。9月の会合では検証結果のみを公表し、量的ターゲットから金利ターゲットへの移行を匂わせた上で、市場の反応を探りつつ、実際の政策変更は10月の会合において、展望レポートも踏まえ、決定するという二段階方式が取られる可能性もある。

筆者が推察する通り「量」から「金利」重視へのレジームへの移行を進めたいと日銀が考えているのであれば、その方向性を総括検証で示唆した上で、9月は政策変更を見送り、円高が大幅に進む場合、10月に国債買い入れのレンジ化に踏み切ると同時に、マイナス金利を深掘りするといった対応も考えられる。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。

(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-ryutaro-kono-idJPKCN11811Q

 

日銀総括検証、政策効果や目標未達要因など3項目が柱=関係筋

[東京 2日 ロイター] - 日銀が検討中のマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)政策の「総括検証」では、成果の評価と2%物価目標未達の分析、マイナス金利導入後の評価と副作用のチェックの3点が大きな柱になる見通しだ。その中で、国内金利の利回り曲線が想定よりも平坦化した点に関するメカニズムの解明と効果と副作用に関する分析結果が、大きな部分を占めそうだ。

複数の関係筋がロイターの取材に答えた。それによると、1)過去3年半の景気・物価・株価・為替などへの影響を点検、2)物価が目標の2%に到達していない背景を分析、3)マイナス金利導入後の大幅な金利低下のメカニズムと効果と副作用の分析──が主な内容となる方向だ。

中でも、マイナス金利導入後にマイナス圏へと突入した10年最長期国債利回りJP10YTN=JBTCやゼロ%台となった20年債JP20YTN=JBTC、30年債JP30YTN=JBTCなど超長期ゾーンの金利を含め、利回り曲線の平坦化が想定以上に進んだメカニズムの解明が、大きな論点に浮上している。

ロイターとのインタビューの中で、桜井真審議委員は、マイナス金利導入によるイールドカーブ平坦化について「住宅投資が増えるなど実体経済への効果も出ている」が、「金融機関の収益などに影響があり、さまざまな意見があるのは承知している」「イールドカーブが予想を超えて下がったのは事実である。それによって効果はあったが、いろいろなコストも出てきた。それも踏まえて今後の政策の組み合わせを考えて行きたい」と強調した。

日銀内では、景気を押し上げたり、引き締めたりしない実質均衡金利の水準に着目。理論的に中期ゾーンなどではマイナス圏にあったが、従来は金利の下限がゼロ%であったため、下がり切っていなかった部分が、ゼロ金利制約が除去されたことで、顕現化したとの分析が出ている。

また、量的緩和とマイナス金利の併用によって、想定以上に金利全般が低下した可能性についても、その要因などについて分析を進めているもようだ。

こうした点に関連し、欧州中央銀行(ECB)ではクーレ理事が今年7月、講演の中でマイナス金利について「現時点で弊害よりも利益を多くもたらしている」との見方を表明。同時に「長期にわたる低金利は金融政策の波及効果を弱め、金融安定を脅かす可能性もある」などと指摘。日銀内の議論の動向に影響を与える可能性もあるとみられる。

日銀は、前回7月会合で上場投資信託(ETF)の買い入れ増額による追加緩和を決めるとともに、物価が目標の2%に到達していない現状を踏まえ、9月会合で政策検証を行うと明らかにしていた。

(竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/qqe-idJPKCN1180VI

 

 

米の利上げ協議、欧州では無関係=オーストリア中銀総裁

[アルプバッハ(オーストリア) 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるノボトニー・オーストリア中銀総裁は2日、米国経済はユーロ圏よりはるかに好調であり、米連邦準備理事会(FRB)が検討している利上げはユーロ圏では無関係だとの見方を示した。

ノボトニー総裁は、経済会議の合間に記者団に対し「米国は非常に高い経済成長を遂げている状態だ。インフレ率は目標の上限に近づいている。債務は拡大しているが、一方で失業率は大幅に低下している」と指摘。「米国は、成長モードに関してユーロ圏とはまったく違う。金利政策に関して米国でなされている協議、利上げということだが、これはユーロ圏にはまったく無関係だ」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/ecb-nowotny-rates-idJPKCN11819Y

 


アングル:独メルケル首相、支持率急低下でも続投目指す理由
 9月1日、ドイツのメルケル首相が、シリア内戦を逃れてきた数十万人の難民にドイツの国境を開放するという重大な決断を下してから、4日でちょうど1年がたつ。写真はイタリアのマラネッロで8月撮影(2016年 ロイター/Max Rossi)
 9月1日、ドイツのメルケル首相が、シリア内戦を逃れてきた数十万人の難民にドイツの国境を開放するという重大な決断を下してから、4日でちょうど1年がたつ。写真はイタリアのマラネッロで8月撮影(2016年 ロイター/Max Rossi)
[グライフスバルト(ドイツ) 1日 ロイター] - ドイツのメルケル首相が、シリア内戦を逃れてきた数十万人の難民にドイツの国境を開放するという重大な決断を下してから、4日でちょうど1年がたつ。この決断によって首相はいま、その指導力に批判や疑問が投げかけられている。

押し寄せる移民や難民を受け入れた際、「対処できる」と気軽に約束した首相の頭には、どのような考えがあったのか。

姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)からの絶え間ない批判や支持率低下に直面する中、首相は来年4期目目指し立候補するのか。そして、今月の地方選を切り抜けられるのだろうか。

首相がプレッシャーを感じているとすれば、表に出さないようにしているのだろう。ドイツと欧州、そして世界にとっての劇的な変化が進行中かもしれないが、メルケル首相に変化はみられない。堅実で少し退屈だが、何事にもうろたえることなく、何より勤勉だ。首相のファンにとって、これらの性質は最大の美点と言える。

だがCSUや、反移民の立場を表明している反ユーロ政党「ドイツのための選択肢(AfD)」などにとって、首相は頑固で、普通のドイツ人が感じている懸念に鈍感だ。

「首相の移民政策にはみんなとても不満を持っている」。首相が選挙活動で訪れた北部グライフスバルトに住む無職のヘルムート・シュレーダーさん(61)は言う。「あんな重大なことを、たった1人で決めてしまったなんて。ドイツは王国ではないのに」

<両極化する人物像>

有権者の言葉が示すように、移民問題とそれに対するメルケル首相の対応で、それまで愛情を込めて「ムッティー(ママ)」と呼ばれていた首相の求心力や安心感は変貌し、困惑や怒りを呼んでいる。

今週実施された世論調査では、首相が来年の連邦選挙後も4期目を続投することに反対との国民の割合が、全体の50%に上昇した。3分の2が、移民問題への対応に不満を示したという。

にもかかわらず、首相の4期目出馬は濃厚だ。第二次大戦以降に4選を果たしたのは、1990年にドイツ再統一を実現させたヘルムート・コール首相だけだ。

メルケル首相は続投に対する意志を公にしていない。CSUが連立支持と引き換えに、移民政策を変更するよう圧力をかけていることが背景にある。

だが首相の顧問らは、出馬の可能性は高いとみる。難民、英国の欧州連合(EU)離脱決定後の欧州、そして国内経済立て直し、といった課題がまだ解決していないと考えているからだ。ある顧問はこう話した。「もし首相が、いまの状態で4期目を務めたくないと言うなら、それは職務怠慢に当たる」

昨年難民問題で混乱はあったものの、首相率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)は、中道左派の社会民主党(SPD)を支持率で2桁リードしている。

メルケル氏個人の人気は、急落したとはいえ他国の指導者を大きく上回る。国内の右派には他に有力な後継者もいない。

それでも、最近1年間のメルケル首相はこれまでになく不安定にみえる。

移民や難民が押し寄せることを見通せなかったことや、EUとトルコとの難民問題対策に不備があったことを首相は認めた。

<大きな間違い>

英オックスフォード大学の歴史学者で作家でもあるティモシー・ガートン・アッシュ氏によると、メルケル首相の政治的な手腕は昨年、低下したようだという。アッシュ氏は「メルケル氏は、ドイツが欧州の主要国だからというだけでなく、氏個人の評判や蓄積した経験を考えても、欧州に不可欠な指導者だ」と主張する。

ただ「政治では、10年が上限だというのが世界的な慣行になっている」と言う。「任期が伸びれば伸びるほど、間違いを犯す可能性が高くなる。仏ド・ゴール元大統領、独コール元首相、英サッチャー元首相、トルコのエルドアン大統領、ロシアのプーチン大統領しかりだ。同じことがいま、実用主義で慎重なメルケル首相にも起きようとしている」と話す。

政治的余震も続いている。4日に実施される北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州議会選挙では、難民政策に反対するAfDが、州議会選としては初めてCDUを上回る支持を得る見通し。2週間後の首都ベルリンでは、CDUの支持率が歴史的低水準に落ち込むと予想されている。

メルケル首相の顧問は「いずれの選挙も、CDUにとってあまり良い結果とはならないだろう」とみるが、「それでもわれわれは前進しなければならない。首相は、国内と欧州で直面している難問から注意をそらすことはないだろう」と話した。

(Noah Barkin記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)
http://jp.reuters.com/article/germany-merkel-idJPKCN11815C?sp=true

 

ドイツ銀、一段の荒療治は必至か−CEOら幹部が週末会合と関係者
Ambereen Choudhury
2016年9月2日 11:07 JST

John Cryan, chief executive officer of Deutsche Bank AG, speaks during the Banks in Transition conference in Frankfurt, Germany. Photographer: Martin Leissl/Bloomberg
「ドイツ銀の経営陣は必死だ」−アナリストのハイン氏
改革を昨年10月始動も株価半減、コメルツ銀とも合併協議と関係者

ドイツ銀行のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は、同行立て直しを1からやり直す。昨年に新戦略を発表したものの、同行の時価総額は半分以下に減ってしまった。
  事情に詳しい関係者によると、クライアンCEOと幹部らはこの週末の会合で再編の進展を検証する。ドイツ銀はコメルツ銀行と合併の可能性について先月協議したが、両行ともにタイミングが適切でないという結論に至ったと別の関係者が匿名を条件に8月31日に明らかにした。
  欧州最大の投資銀行を運営するドイツ銀は、資本要件が強化されトレーディング収入が減少する時代への適応に手こずっている。クライアンCEOは昨年10月に改革始動の戦略を示し、リスク資産や大量の人員を削減すると同時に配当も停止した。だが株価は先月に過去最安値を更新。このところ明るみに出た動向は、同CEOが一段の荒療治を検討してもおかしくない状況を示唆している。
  フェアリサーチアルファバリューのアナリスト、ディーター・ハイン氏は「ドイツ銀の経営陣は必死だ。現在の戦略ではだめだと認識しており、どのような可能性があるかを探っている」と話す。

  クライアンCEOは、ドイツ銀がコメルツ銀との合併の可能性を検討したとの報道があった8月31日、欧州の銀行には利益率と競争力改善のために再編が必要だと指摘しながらも、ドイツ銀は今はパートナーを求めていないと発言。統合を行わないとすれば、同CEOは追加資産の売却や投資銀行での一段の削減を迫られるかもしれない。
  協議の非公開を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、ドイツ銀は資産運用部門の非中核業務の一部からの撤退を検討する可能性がある。同部門の大部分を売却する計画はないという。
原題:Deutsche Bank’s Cryan Weighs Drastic Steps as Revamp Sputters(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-02/OCUQRO6K50YB01


 

【債券週間展望】長期金利低下か、日銀緩和姿勢の確認が上昇に歯止め
船曳三郎
2016年9月2日 16:27 JST

今までカーブ押し下げたのが何だったのかと言うことになる−岡三証
国内投資家がどこで買いを入れるのかが重要−JPモルガンAM

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/ioEmlyeIoIjw/v2/-1x-1.png

来週の債券市場では長期金利の低下が予想される。金融政策に対する不透明感から超長期ゾーンを中心に利回り上昇が続くが、日本銀行の黒田東彦総裁と中曽宏副総裁の講演で金融緩和姿勢が確認されれば、利回り上昇に歯止めがかかるとの見方が出ている。30年債入札は投資家需要の強さを確認する上で注目されている。
  10年物国債343回債利回りは、8月31日に付けたマイナス0.085%からマイナス0.06%まで上昇して1日の10年債入札を迎えた。入札結果は予想を上回ったが、超長期ゾーンの売り圧力を受けて利回り低下も一時的。2日は超長期債の大幅続落を受けて、新発344回債利回りがマイナス0.02%と3月16日以来の高水準を付けた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「市場では日銀の3次元緩和にスポットが当たり、20年ゾーンくらいまでは相場が戻っていく可能性がある。30年債は弱い入札になるリスクがある一方、5年債入札は日銀の追加緩和期待から相対的にしっかりで無難か」と指摘。黒田総裁の講演については、「3次元緩和に限界がないことや金利低下のポジティブな効果を強調するだろう」と予想する。

  今週の超長期債相場は大幅下落。新発20年物157回債利回りが0.42%、新発30年物51回債利回りは0.52%、新発40年物9回債利回りは0.57%と、いずれも3月下旬以来の高水準まで達した。三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、「日銀会合で長期国債の買い入れがどうなるかという不透明感が重し。40年債の発行増への警戒も根底にある」として、「金利の上昇のめどに対する感覚がつかみづらくなっている」と言う。

日銀正副総裁の講演

  日銀の黒田総裁は5日、中曽副総裁は8日に講演を行う予定。岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀にイールドカーブを立たせたい意図があったとしても、それをはっきり言うことはない上、今までカーブ全体を押し下げてきたことが何だったのかと言うことにもなる。住宅ローン金利にも影響が出る」と指摘し、「金融緩和姿勢が緩むことはなく、むしろ強化する方向をにおわせる。超長期債利回りの上昇にも歯止めがかかる」と予想する。
  財務省は6日に30年国債入札を実施する。発行額は前回と同額の8000億円程度。償還日が前回債より3カ月延びて回号が新しくなる。表面利率は前回債の過去最低0.3%から引き上げられる可能性がある。8日には5年国債入札が予定されている。発行予定額は前回と同額の2兆4000億円程度。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、30年債入札について、「証券会社は金利上昇やテーパリング観測で不安感が出ているが、プラス利回りが残っているゾーンなので、国内投資家がどこで買いを入れるのかが重要」と指摘。5年債入札について、「日銀がマイナス金利政策をやめないのであれば、現在の金利水準は低過ぎることはない」と言う。
市場関係者の見方
*T
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*米金融政策を占う上で重要な8月の米雇用統計は若干弱い結果になるのではないか
*こうした結果を受けて、市場では日銀の3次元緩和にスポットが当たる
*長期金利の予想レンジはマイナス0.08%〜ゼロ%
◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
*ドル・円相場の動きで超長期ゾーンは振らされやすい。米金融政策の見通し次第
*2年債と10年債の入札がしっかりだったことから、5年債入札は無難か
*長期金利の予想レンジはマイナス0.08%〜ゼロ%
◎BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジスト
*30年債入札が弱くて投げが出たりすると10年債利回りは一時的にプラス圏も
*超長期ゾーンの日銀買いオペが入り、州後半には市場も落ち着いてくる
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%〜プラス0.03%
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*投資家の慎重姿勢で利回り低下余地は限られるが、下値不安は小さい
*30年債入札は無難に消化。生保・年金資金の安定的な買い続いている
*長期金利の予想レンジはマイナス0.07%〜ゼロ%
*T
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-02/OCUUDW6TTDSG01

 

 

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コメント
 
1. 2016年9月02日 21:44:53 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2560]

河野龍太郎は、赤カブ御用達に比べると、大分まともだが

>もし量的・質的緩和の長期金利の押し下げ効果が小さかったというのなら、長期金利の引き下げそのものについては、フォワードガイダンス効果だけで十分であり、長期国債を大量に買うことによるタームプレミアムをつぶす効果は小さかった

長期国債買いの目的は、単なる金利引き下げ効果だけではなく

実は財政ファイナンス効果もあったということだろうな

>マイナス金利についても、イールドカーブのブルフラット化は、ゼロ金利制約が取り払われた影響が大きいのだとすると、大量の国債を買うことでタームプレミアムをつぶす効果が小さかっただけでなく、フォワードガイダンス効果も小さかった

本来、黒田は、ここまで追い込まれるとは予想していなかったはずだから

こちらは欧州からの外的ショックに対抗するための窮余の一策かつ、

欧州での効果を期待した、日本における新たな実験だと解釈するのが妥当だろう


>インフレ期待低下の本当の理由 円高
>超円安の裏側にあった米ドル高や中国人民元高に米国や中国の輸出企業が耐えられなくなった

8月の円高進行は、これらに加え、欧州情勢の不透明化も効いている

>円安修正とそれに伴うインフレ期待の低下はそれ以前に始まっていた
>黒田総裁自身が1ドル125円突破へのけん制発言を行った

これはドル円の投機的な上昇を抑制するものではあるが、

それだけでは100円を切るような円高を説明するには不十分だな

米国リセッションリスク、NewNormalと世界経済の低迷、米利上げの不透明感なども

大きく効いているだろう

それに円高が投資や消費を冷やす経路の説明にはなっていない

米国では、ドル高になったからといって、同じようなことにはならないことからも明らかだから

↓に書いたように、その背後の日本で顕著なメカニズムも考えるべきだろう
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/671.html?c1#c1


>もう1つの問題は、より大きな問題だが、黒田総裁が重んじてきた「期待」への影響である。為替レートへの影響
>国債の買い入れ額をレンジ化し、かつ当面は現行ペースあるいはそれ以上のペースで購入する方針を示すといった、漸進的な手法を取らざるを得ないのではないか

個人的には、こちらの可能性が高く、これに政府の財政政策などがミックスして効果を上げることで期待を高めようとすると見ているが、


>偽薬効果がもはや存在していないのなら、こうした政策は不要であり、一気に金利ターゲットの転換を行うべき
>「量」から「金利」重視へのレジームへの移行を進めたいと日銀が考えているのであれば、その方向性を総括検証で示唆した上で、9月は政策変更を見送り、円高が大幅に進む場合、10月に国債買い入れのレンジ化に踏み切ると同時に、マイナス金利を深掘り

こちらの可能性も確かに否定はできないな

いずれにせよ、検証の結果、どう政策の枠組みが変わるか(変わらないか)は、興味深い


2. 2016年9月03日 19:59:21 : Wnc6oSvgYA : @SAV2f9Nl3c[310]
スマートに 黒田を庇う 専門家

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