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日銀の「新緩和政策」と「総括的な検証」を読み解く(nikkei BPnet)
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/611.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 26 日 10:14:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

日銀の「新緩和政策」と「総括的な検証」を読み解く
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160926-34990163-bpnet-ind
nikkei BPnet 9月26日(月)9時43分配信 


文=池田健三郎(経済評論家 政策アナリスト)

●日銀の「新緩和政策」と「総括的な検証」の中身

 今月(2016年9月20-21日)の日銀金融政策決定会合の決定をごく簡単にレビューしておくと、先ず過去の政策に対する「総括的な検証」については、(1)「量的・質的金融緩和」導入後3年間の経済・物価動向と政策効果については、実質金利を低下させ金融環境の改善をもたらすことにより、経済・物価を好転した(物価の持続的下落という意味でのデフレは解消)ものの、(2)目標とする2%の物価上昇率は実現できていないとした。

 また、マイナス金利政策については、国債買入れとの組み合わせにより、短期のみならず長期金利も大きく押し下げ、その有効性が明らかになったと結論付けた。

 この「総括的な検証」は、あくまで日銀の「自己評価」であるため、当然ながら自身の取り組みを全肯定あるいは全否定する筈もなく、どのみち「これまでの政策は一定程度の効果をあげたが、物価上昇目標は未達であった」という結論が導き出されることは予め想定されたことである。

 次に、今回の決定事項のポイントは、(1)新たに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」(実際には「長短金利操作およびマイナス金利付き量的・質的金融緩和」)を導入し、<a>イールドカーブ・コントロール(長期金利操作=10年物国債金利がゼロ%程度を維持するよう国債を買入れ)を行うとともに、<b>オーバーシュート型コミットメント(CPI上昇率が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース拡大を継続)を実施する、(2)マイナス金利の深掘りは行わない(現状維持)、(3)ETFとREITの買入額は維持、といったところである。

なぜ長期金利操作を枠組み変更メニューに加えたか
 この発表を受け、筆者の頭に様々な疑問が浮かび上がったが、主なものは、「なぜ長短金利の操作を行うイールドカーブ・コントロールを枠組み変更のメニューに加えたのか」と「インフレ目標達成期限はなくなったのか」という2点である。

【疑問点1:イールドカーブ・コントロールについて】

 その第一は、今回、新規導入されることとなった「イールドカーブ・コントロール」に関してである。

 先ず、従来は日銀自身、「市場で決まる長期金利を完全にはコントロールできない」としてきたにもかかわらず、何故、今回の金融政策の枠組み変更のメニューに加えたのかということである。率直に言って、これは(少なくとも形式的には)従来の日銀的な常識を覆す変化といえよう。

 事実、日銀のウェブサイト上にある「日本銀行の金融調節を知るためのQ&A」をみると、次のような記載がなされている。

Q6. 長期金利は誘導しないのですか?

 長期金利の形成は、資金の需要量と供給量のバランスだけでなく、将来のインフレ率に対する市場参加者の予想や将来の不確実性等によって大きく左右されるため、オーバーナイト物金利のように資金量を調節して誘導することは容易ではないのです。むしろ、長期金利の形成は市場メカニズムに任せて、そこから市場参加者の予想等に関する情報を読み取れるようにすることが、とても重要なのです。

 このように、長期金利のコントロールが容易ならざるものであることは、日銀自身が力説してきたところである。それゆえ、今後は金利形成を市場メカニズムに完全には委ねず、中央銀行の政策ターゲットとすることの妥当性・有効性について詳細な説明がほしいところである。

 次に、その長期金利を概ね現状程度(ゼロ%程度)で推移するよう、国債の「買入れ」を行うという部分であるが、まず何故、現状程度(ゼロ%程度)の金利水準が望ましいのかという点がよく分からない。これについて日銀としては、「望ましいイールドカーブの水準は、毎回の決定会合で経済・物価情勢に基づいて決める」ので、足元の情勢にかかわらず一定水準に金利を固定させるペッグ制を採るのではなく、機動的・弾力的に判断するからよかろうということなのかも知れない。

量的緩和政策との整合性が問われる可能性も

 また、「ゼロ%程度の水準を維持」しようとする場合、上下両サイドのリスクを勘案するのは当然のことである。

 仮にイールドカーブに過度の上方圧力がかかった際には、長期国債の「買入れ」での対処となる(誘導目標と実勢値との乖離が甚だしい場合には買入れ規模が大きくなり、いわゆる「国債買入れ限界論」が台頭する可能性もある)が、逆にイールドカーブに過大な下方圧力が生じた場合は当然、「売却」となる。

 発表文には「買入れ」としか記載がないが、「売却」となればこれはもはや金融緩和ではなく引き締めとなり、量的緩和政策との整合性が問われる可能性も出てこよう(上述の「総括的な検証」において日銀は「イールドカーブの過度な低下、フラット化は広い意味での金融機能の持続性に関する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」点には留意すべしと述べている)。

 日銀がこの二面性から目を背けているとは考え難い。とはいえこの局面においてストレートに「買入れもしくは売却」とはさすがに発表できなかったとみえ、そのあたりに日銀の苦悶が滲み出ているとの見方もできよう。

 さらに言えば、政策目標達成のためには無制限でオペを実施するとしながらも、国債買入れ額は概ね現状程度のペース(残高ベースで年間+80兆円増加)を維持する、とした点もやや分かりにくい。長期金利のコントロールという未踏の世界へチャレンジするに際し、年間買入れ額に縛りを設けたのでは実効性を担保できない可能性を指摘されるのは当然であろう。

 発表文では「(80兆円を)めどとしつつ」とあるので、あくまで「めど」であって、「絶対ではない」というロジック、あるいは「あくまで残高ベースで80兆円」なので途中段階でのフローの上振れ・下振れは当然ありうるということなのかもしれないが。

なぜインフレ目標達成期限はなくなったのか

【疑問点2:なぜインフレ目標達成期限はなくなったのか】

 疑問点の第二は、従前のインフレ目標達成という文脈から「時間的要素を排除したのか」という点である。

 これまで日銀は「2年でインフレ率2%」といったような、ゴールの時期と合わせてインフレ目標を設定していたところであるが、今後は2%を「安定的に持続するために必要な時点まで」緩和を継続する、といった言い振りに変えている。

 このことからすると、日銀は今回、これは「2%にするのだという、一段と強い意思を示した」と説明をしているものの、実際には政策目標から「いつまでに」という時間的要素を排除し、「できるだけ早期に」という表現に後退させたと読めなくもない。

 ただ、今後の金融緩和は「オーバーシュート型」に変更されたのだから、オーバーシュート(行き過ぎ=物価上昇率が2%を超えるような事態)が起きても、それが一時的であれば緩和は続けられ、CPI上昇率が「安定的に」2%を超えるまでマネタリーベース拡大が継続される。そこで、「安定的に」と判断されるまでの期間(指標が不安定に推移するような期間)を予見することは困難という前提に立ち、敢えて時間的コミットを外したのだという理解も出来なくはあるまい。

 もっとも、従前の物価目標が「ワンタッチでもよいからとにかく2%達成」といった「瞬間芸」を指向するような概念であったとも考え難いところではある。

 以上から今回の政策決定を概括すると、上述の総括的検証を踏まえた新たな枠組みの導入とはいいつつも、全体としては従来の金融政策の方向性を踏襲したものであり、各論レベルでは長期金利を操作目標に標榜するといった一定の変化はありながらも「大きな方針転換」とまでは言えないのではないかと筆者は捉えている。

明白な追加緩和を伴わない政策手法の効果は限定的

 無論、イールドカーブ・コントロールやオーバーシュート型コミットメントといった「新メニュー」を追加するなど、政策当局としての日銀の苦心の跡は窺えるものの、そもそも従前より金融政策は「アート」とも言われ、あらゆる要素を勘案し、中央銀行としてなしうる調節手段を駆使して物価安定という目標達成をめざす総合芸術のような活動であり、その本質は変わらない。

 今回のイールドカーブ・コントロールやオーバーシュート型コミットメントにしても、従前の政策手段のなかに存在しなかったものを新たに考案したのではなく、従来から持っていた「アート」の個別手法に新たな名称を付け、1つの政策手法として再提示したと捉えたほうがよいかもしれないのである。

 こうしたことから、今回のような、明白な追加緩和を伴わず、個別の政策手法に名称を貼りつけて目新しさを演出する、いわば「ラベリング」の効果は自ずと限定的なものにならざるを得ない気がしており、マーケットの反応も、マイナス金利の深掘り回避による銀行・生保株の上昇など一部に動きはみられたものの、為替相場では当初の円安効果がすぐに剥落するなど、これまでのところさほど大きなものではないようだ。

 いずれにせよ、今回の「総括的な検証」で日銀が提示したように、デフレ脱却のためには「フォワード・ルッキングな期待形成」を図ることこそが重要であり、これは金融政策のみでは実現しえないので政府の果断な政策対応が不可欠である。この点、日銀は「政府の財政運営、成長力強化の取組みとの相乗的な効果により、日本経済をデフレからの脱却と持続的な成長に導くものと考えている」とやんわり述べるにとどまっているが、金融緩和政策の限界論に対峙するうえでも、今回の検証を機にもう少し具体的に踏み込んで政府に注文を付けるくらいでもよかったのではと感じている。

池田 健三郎(いけだ・けんざぶろう) 経済評論家 政策アナリスト

1968年神奈川県横須賀市生まれ。金沢大学法学部卒、早稲田大学大学院政治学研究科(公共経営専攻)修了。1992年日銀に入行し国際局・金融市場局など主要部局にて研鑽を積む。1999年より民間シンクタンクに活動の場を移し、経済評論家・政策アナリストとして現在に至る。シンクタンク大樹総研(株)所長のほか、消耗戦型営業の撲滅を目指す生産性向上サポート企業である(株)WEIC社外役員。著書に『金融政策プロセス論』(日本公法)、『郵政亡国論』(ワニブックスPLUS)等がある。
 

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コメント
 
1. 2016年9月26日 14:22:24 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2733]

赤カブ貼り付けにしては珍しく

大分、まともな分析だが

逆に言えば、既に他で言いつくされていることでもある


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