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何故、日本企業には終身雇用+年功賃金制が浸透しているのか?(経営者online)
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/235.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 10 日 15:20:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             何故、日本企業には終身雇用+年功賃金制が浸透しているのか?(写真:Thinkstock)


何故、日本企業には終身雇用+年功賃金制が浸透しているのか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161010-00000012-konline-bus_all
経営者online 10月10日(月)14時26分配信


■終身雇用制と年功賃金制が普及にいたるまで

古くから普及していると思われている終身雇用と年功賃金制。実はその歴史は意外と浅く、採用する企業が増えたのは昭和に入ってからであり、本格的普及は戦後まで待たなければならない。

まもなく終戦70年を迎える今日、日本の産業や経済は戦後の高度成長期とはまったく違う様相を呈しており、雇用や賃金に対する考え方も大きく異なるのは自明の理であろう。今回は昔を紐解きながら終身雇用や年功賃金制が、今後どのようにあるべきかを考えてみたい。

■産業革命以前の雇用制度と賃金体系

まず、終身雇用や年功給が普及する以前はどうであったのかを江戸時代まで遡ってみる。支配階級であった武家は代々相続する家督による報酬が主で、家格に左右されるにせよ年功による多寡はない。まして江戸末期、幕府や各藩の財政状況は逼迫の極みにあり、加増は特殊なケース以外ほとんど考えられなかった。但し、家督を相続した者はその禄高の継続が約束されるという一種の終身雇用制であったことは事実である。

翻って、手に職を持つ「工」の世界。職人は若いころには高い技術を持つ親方につき、自身の技術を高めて最終的には独り立ちして看板を上げる。腕が良ければ報酬も高いといういわゆる能力給のシンプルな社会構造に属していた。

商いを専らとする商人層でも、まず丁稚奉公から店に入り、商売のイロハを少しずつ学び、人脈を広げ、徐々に重要なポストに就いてゆくのが普通である。商いの技術に優れたものはその後、番頭、大番頭と取り立てられることもあるが、やはり能力給である。

■終身雇用制と年功賃金制の関連

このように、明治初期以前には年功による賃金加増という概念はなかったが、産業革命が日本に到来してからこの様相が劇的に変化する。

官営会社、国策会社などの大規模な工場や、大手資本による鉱業が産業革命により急拡大するのに伴い、大量の労働者が必要となり売り手市場が常態化。せっかく手間と時間をかけて育成した工員や鉱員が賃金の高い職場を求め、他社へ簡単に移ってしまうということが当たり前の状況にあった。

これに頭を悩めた経営者は、社会保障と福利厚生に着目した。当時は国家による支援がなく、ひとたび事故や病気に見舞われれば、労働者は生活する糧を失ってしまい路頭に迷うことになる。経営者は自社での社会保障や福利厚生が他社より充実していることや、長く勤めても安心を提供できるということを強調し、技術労働者の安易な離職を防ごうとしたのが終身雇用制導入の考え方である。

さらに、終身雇用が広がるに伴い、古くから働いている労働者は新たに徴発された労働者より技術的にも生産性でも上であるのに、同等の賃金では不満だとの声が起こり、それを解消するために導入されたのが年功賃金制で、当初はあくまでも能力給の一種として考えられていた。

■年功賃金制は見なし能力給

この「先に働き始めたほうが後から来たものより技術的には上」のはずであるという、「見なし能力給」は戦後の特需時代に農村から大量に集めた労働者の査定を簡便にするためにシステム化され、いろいろな業種に広がりを見せる。
雇用者にとって年功賃金制はシンプルな制度で手間がかからず、被雇用者にも理解してもらい易いシステムであったため、ブルーカラー、ホワイトカラーを問わず企業が採用していったのである。

ところが、環境の変化が著しい現代社会ではこの「見なし能力給」が適正と思えない職場が増えてきているのも事実だ。パソコンを触ることもできない古参正社員がいる一方、新人のほうが労働力として役に立っているという、雇用者からすると笑えない話さえ出始めている。

そもそも、終身雇用は能力を高めた社員にできるだけ長く勤めてもらおうとするシステムであり、年功給の本質も能力に応じた処遇であったはずだったのが、制度だけが一人歩きしてしまい会社の生産性に結びつかないという現象を引き起こしているのである。

■有期雇用と能力給は福の神? それとも疫病神?

さらに追い討ちをかけるのが安価な労働力を提供する派遣社員やアルバイトの拡大である。仕事が細分化されて単純化された結果、誰にでも代替できる「作業」となり、技術力や知識の深さを必要としなくなった。

特に管理部門での作業にこの傾向が強く、オフィスワークの非正規雇用には女性が多いので筆者は個人的にピンクカラー(Pink collar)による侵食と呼んでいるが、近年では大企業ではもちろん、小規模な事務所でも派遣社員に頼っているところが多い。
経営側から考えると単純な付帯作業は派遣やアルバイトなど安価な労働力で済ませたいというところが本音であろう。

こう考えると、派遣社員の業種拡大や無期限化は経営側にとっては良い事ばかりに思えるかもしれないが、筆者は簡単には同意できないのである。

■終身雇用制と年功賃金制の今後

正社員と非正規社員のもっとも大きな違いのひとつは企業への忠誠心である。一見すると誰にでも代替できるような仕事でも、忠誠心を持ってこなす人材の集団とまったく持たない集団ではその生産性やアウトプットに大きな違いが出ることは様々な調査により明らかにされている通りであり、さらに仕事の質だけではなく、ツイッター投稿での問題に代表されるような、企業の価値を損なう行為をするのも忠誠心の有無によるところが大きい。

また、長期的視野を持って企業の将来を展望するならば社員の忠誠心というのは単なるコストだけで片付けられない重要な資産のひとつであると筆者は考える。故渋沢翁が「人こそ力なり」、故松下翁が「よき人を擁する事業は繁栄する」と述べたように、企業の成長は人で左右されるからだ。

10年後20年後をどのように生き残ってゆくかを考えることができる賢明な経営者がいる限り終身雇用制がなくなることはない。ただ、今の惰性にまかせた「見なし能力」による賃金制度は社員の忠誠心の向上を阻害こそすれ貢献しているとは到底思えない。実際の能力に即した処遇をきちんと丁寧に行うということこそが企業の発展には重要なのだ。

 

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