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トヨタがEVを投入せざるを得ない事情 技術経営――日本の強み・韓国の強み 背景にあるのは環境規制や補助金制度 
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/520.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 11 月 10 日 01:31:46: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

トヨタがEVを投入せざるを得ない事情

技術経営――日本の強み・韓国の強み

背景にあるのは環境規制や補助金制度
2016年11月10日(木)
佐藤 登

決算会見で説明するトヨタ自動車の伊地知隆彦副社長(写真:ロイター/アフロ)
 先週、機会があって韓国を訪問した。現代自動車や韓国電池工業会の面々と話をしたが、サムスン電子がスマホ爆発の原因について何ら新たな発信や報告がないことに対して、不満を募らせていた。大企業だけにサムスン電子の動向には、皆、目を光らせている。

 その現代自動車だが、現在3つの苦悩を抱えている。1つはメディアでも報じているように、労働組合の力が強いことだ。生産現場でのストライキの断行が経営を圧迫している。現代自動車労組は今年のはじめから10月末までに24回のストを行った模様だ。現在、ストは中断しているものの、労使交渉の結果によってはストが再開される可能性もあるとのこと。現代自動車は2007年から現在まで賃金を50%以上引き上げてきたにもかかわらずのストであり、それだけ組合の強さを物語っている。

 2つ目は、米国市場でのシェアが減少していること。現代が米国市場に打って出た「ソナタ」が、ホンダの「アコード」やトヨタの「カムリ」を追い越し、北米市場で高い評価を受けていた時代は過去の話。今や、ソナタに続く戦略旗艦車の存在感が薄くなっている。

 そしてもう1つは、自動車の電動化と自動運転の両輪で、日米欧に遅れをとっていること。この3つ目の課題は、これからの自動車各社が生き残りをかける大きな柱となるだけに、現代自動車として早急に戦略を立てることが必要であろう。

究極はEVかFCVの狭間で

 このように、各社が重要視する自動車電動化の領域において、今週、大きなニュースが報じられた。トヨタ自動車が、2020年までに電気自動車(EV)の量産体制を整え、EV市場に本格参入するという内容だ。

 これまでトヨタは電動車両(xEV)では全方位戦略をとってきたものの、2012年以降、EVに関しては、単独での商品(テスラとの共同事業では一部展開)を市場に打ち出して来なかった。下の図に示すようにあくまでもxEVの主役はハイブリッド車(HV)とし、究極の環境車としては燃料電池車(FCV)に重きを置いており、EVには消極的であった。これは取りも直さず、国内外の市場で消費者が食指を伸ばす商品群ではないことを知っていての話であったからだ。この考え方はホンダでも同様である。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246040/110800037/p1.jpg
xEV群における各国・各社の対応

 一方、日産自動車はEVで先行してはいたものの、HVやプラグインハイブリッド車(PHV)での存在感は乏しい。さらに、FCVの開発はこれまで進めてきたものの、最近、開発延期を判断した。EV開発を加速し、EV領域での業界のリーダーを狙う戦略を強めた格好である。

 しかし、最近の各国の環境規制や補助金制度を鑑みると、必ずしも消費者視線だけでは戦略を立案すべきではないという状況が見え隠れする。11月8日に開催された記者会見でトヨタの伊地知隆彦副社長は「究極のエコカーはFCVという考えは変わっていない」と述べる一方で、「ゼロ・エミッション達成にはEVの選択肢がある」と改めてEVにも注力する姿勢を明らかにした。トヨタが大きく方向を変更せざるを得なかったのも、環境規制や補助金制度が大きく影響しているわけだ。

 例えば、米国カリフォルニア州のゼロエミッション(ZEV)規制は、2018年から一段と強化される。トヨタとホンダが主流として進めてきたHVが、ZEV車の対象から外されるのだ。さらにはカリフォルニア州以外の他の州でも同規制の導入の検討が進んでいる。

 HVはエンジンが主動力なので、ZEVの定義に含まれないというのが、カリフォルニア大気資源局(CARB)の言い分だ。しかしその裏には、HVに関してはトヨタとホンダが圧倒的に強すぎるという、政策的な背景も少なからずあるだろう。

 HVが外されることによって、対象車はEVと共に、PHV、FCVの3カテゴリーに限られた。そしてZEV規制は18年以降も段階的に強化される予定。大手・中堅自動車各社が25年には、これらの車種群で販売台数の22%以上を占めるように規制される。

 トヨタは新型プリウスPHVを間もなく発売する。2012年の同PHVに搭載したリチウムイオン電池(LIB)は総エネルギ―量が4.4kWhでEV走行は26.4qであった。新型ではLIBエネルギー量を2倍の8.8kWhとし、EV走行で60q以上を可能とする設計とした。このような仕様にしたのは、2つの理由がある。1つはEV走行の距離が短いという消費者の意見を反映したこと。そしてもう1つは、中国をはじめとするxEVへの補助金制度においてPHVならEV走行が60q以上を優遇することだ。

 このようにトヨタがEVも強化する路線を敷いた背景には、ZEV規制、欧州のCO2規制、中国の環境規制と補助金政策などがある。しかし、それだけではない。日米欧韓の自動車各社がEVを商品化して市場に出してきた場合に、消費者にとってトヨタのEVが選択肢にないことは、エコカーの覇権を世界で握りたいトヨタにとっては許されないのだ。

 今後、電池やデバイスが進化し、また車体の軽量化が進めば、EVの航続距離は拡大し、価格も安くなる。環境規制を追い風に受けながら、EVが各国の市場で認知度が高まるものと予想される。その大波はFCVの波より先に来るはずだ。

 とすれば、EVに冷ややかだったホンダも戦略的対応が必要になってくるであろう。HVをエコカーの主軸と置くスタンスを変える必要はないだろうが、各種規制とEVが各社から供給される2020年以降、商品がないというわけにはいかないはずだ。

中国政策補助金終了後の行方は?

 上記のように、各社のエコカー戦略に大きな影響を及ぼすと思われる中国政府の補助金制度だが、現在、中国が直面しているPM2.5問題(冬場の暖房で使用する低質炭消費増大にて深刻化する)などに対しては、中国市場でのEVの拡大は何ら解決策にならない。それどころか、低質低効率石炭発電量を増大させPM2.5を一層拡散させるシナリオとなることは、以前にも記載したとおりである。

 EVは中国ローカルメーカーにとって参入障壁が低かったこと、海外自動車メーカーが積極的にEVを事業化していなかったことが、中国政府がEV優遇政策を進めてきた根源であったが、これも2020年までの時限立法として終わりが来る。補助金を狙ってローカルの新規参入自動車メーカーや電池メーカーがひしめき、補助金詐欺まで横行しているのが実態で、その分、補助金枠の先食いが進み、2020年を迎えないまま補助金制度は終焉を迎える予測もある。

 そうなると、中国市場において消費者のマインドはより使い勝手の良いHVやPHVに動くものと予測される。中国でxEVの生産を開始しつつある日系自動車各社にとって、中国ローカルに手厚い補助金制度の終焉は今後の追い風となるだろう。

 一方で、EVも選択肢の中に入れておく必要のあるトヨタやホンダにとって、中国をはじめとする世界の各市場に最適な商品を供給する戦略は、開発費や開発陣人材の確保の点でも大きな課題がある。ましてや、自動運転の実用化もスピード競争を強いられている中、従来からの既存技術に対するエンジニア以外に期待が寄せられる。

 逆に、開発原資が潤沢ではない中堅規模の自動車各社や、海外勢でも電動化に遅れをとっている自動車メーカーは、生き残りをかけた戦略構築や大手と連携するシナリオ作りが急務である。同時に、EV一本足打法に特化しているテスラのEV事業も大きな影響を受けるに違いない。


このコラムについて


技術経営――日本の強み・韓国の強み

 エレクトロニクス業界でのサムスンやLG、自動車業界での現代自動車など、グローバル市場において日本企業以上に影響力のある韓国企業が多く登場している。もともと独自技術が弱いと言われてきた韓国企業だが、今やハイテク製品の一部の技術開発をリードしている。では、日本の製造業は、このまま韓国の後塵を拝してしまうのか。日本の技術に優位性があるといっても、海外に積極的に目を向けスピード感と決断力に長けた経営体質を構築した韓国企業の長所を真摯に学ばないと、多くの分野で太刀打ちできないといったことも現実として起こりうる。本コラムでは、ホンダとサムスンSDIという日韓の大手メーカーに在籍し、それぞれの開発をリードした経験を持つ筆者が、両国の技術開発の強みを分析し、日本の技術陣に求められる姿勢を明らかにする。  

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コメント
 
1. 2016年11月10日 21:45:43 : C4nhwMcfAc : pXB8iz5IT_Y[42]
トヨタは巨大な部品メーカーのピラミッド構造を持ち、それが競争力の源泉になっている。それを維持するために、部品点数の多い内燃エンジン搭載自動車でなければならないから、これまでハイブリッドカーでやってきた。だが、ZEV規制では、車体にエンジンが残ること自体を否定する。最初は、「こんな規制、非現実的だから撤回されるさ。」とタカをくくっていたトヨタだが、そうでないことに気づき、狼狽している構図が目に浮かぶ。

そのため、渋々ながら電気自動車を出すことにした。何とかZEV規制に間に合わせたいと思っているようだが、電気自動車はガソリン車やディーゼル車とは勝手が違うのである。トヨタは、そのことに気づいて、これまで電気自動車から逃げてきたのである。

ところがフォルクスワーゲン、BMW、ダイムラー・ベンツのドイツ民族資本系自動車メーカーが、電気自動車に全力投球すると決定した。これにより、トヨタは電気自動車から逃げることができなくなったのだ。

トヨタ博物館には、世界初の量産型電気自動車である三菱アイ・ミーブが収蔵されている。自動車メーカーは他社製品を買ってテストしているから、トヨタも買ったんだろう。そして試用した結果、うちの顧客層には向かないとして、ハイブリッドカーで行くことにしたのだろうと推測する。

●その三菱アイ・ミーブだが、実はうちに中古車があります。毎日乗ってます。そのアイ・ミーブ。新車時の5分の1の価格で買いました。5年で5分の1に暴落すると言うことは、中古車市場で屈指の不人気車と言うことです。

1年間、乗っていたら理由が分かります。大抵の人は、いやになって売り飛ばすんじゃないかな。それくらい、不満が噴出する自動車なんですよ。

充電走行距離が短いのですが、夏の冷房は更に短くなります。もっと酷いのは冬の暖房で、とてもじゃないけど使えません。このため、冷暖房なしで乗っています。これだけでトヨタの顧客層には無理だと分かります。

トヨタの自動車は、冷暖房が優秀です。季節を問わない快適さが、トヨタの強み。それで顧客を増やしてきたのだから、それらを我慢しなければならない電気自動車など、売ってからディーラーに怒鳴り込まれるのは必至で、顧客に媚びるトヨタの「最も嫌う製品」であることは否定できません。

それでも北欧ノルウェーでは電気自動車の普及率は高いのですが、欧州では寒い冬でもアイドリング禁止とあれば、厚着して乗っていますから。

●充電距離が短いと書きましたが、寒い冬は暖房つけなくても更に短くなります。理由は充電池の能力が低い気温で低下するためで、トヨタの顧客だったら「これは故障だ。どうしてくれる ! 」とディーラーに怒鳴り込むことになります。この件については、ハイブリッドカーでも似ているのですが、まだエンジンが載っているので何とかなります。

超保守派のトヨタが電気自動車を嫌う理由も分かりますが、顧客まで「超保守派」に洗脳されてしまいましたから、日本国内では電気自動車が普及しないのです。

●電気自動車最大の問題は、中古車になってからの価格の暴落でしょうね。トヨタは、中古車の価格が高いことをセールスポイントにして売り上げを伸ばしてきましたから。これにより、古くなっても顧客の資産価値を損なうことがないとされてきました。故障が少なく、品質が高い。長期間使用できる高い耐久性。それらがトヨタの中古車人気を支えてきました。

しかし電気自動車は、中古車になってから暴落する。かつて、これと似た例がありました。ブッシュ父がトヨタに迫って、シボレー・キャバリエを輸入販売した。これの中古車価格が暴落。顧客の不満を抑えるために、トヨタ本社がディーラーの下取り価格を補填したそうです。それで無理やり乗り換えてもらったとか。

電気自動車の場合も同じことになりますが、乗り出してすぐ不満が出ますから、そうはいかないでしょう。ディーラーも、売ってから怒鳴り込まれるような製品を売りたくない。しかし、電気自動車から逃げていた時代は去りつつある。これからは、顧客に充分説明してでも売らねばならない時代が来る。それが21世紀なのです。

トヨタのビジネスモデルは、20世紀のものですから、これから新時代に向けてどう切り替えていくか、御曹司社長にとって最大の試練がやってくるでしょう。


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