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早稲田卒の25歳大手損保社員が「過労死」した(nikkei BPnet)
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/701.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 11 月 16 日 10:58:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

早稲田卒の25歳大手損保社員が「過労死」した
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161116-35785291-bpnet-life
nikkei BPnet 11/16(水) 9:56配信


■過労死は「集団リンチ」

 ここ1か月半、電通の20代前半の女性社員の「過労自殺」について、多くの新聞やテレビ、インターネットなどが報じました。それにより、「長時間労働」を否定する世論や空気が以前よりは強くなりつつあるかに見えます。

 しかし私は、「長時間労働批判キャンペーン」により、事の真相が見えなくなってしまうのではないか、と思っています。したがって、前回「電通「過労自殺」を「ないもの」にしようとする人たち」と前々回「電通の「過労自殺」議論で、抜け落ちていること」の記事において、「過労自殺」や「過労死」が起きる「前段階」に着眼すべきと書いてきました。

 というのも、この前段階で、上司などからのパワハラやいじめ、退職強要、退職脅迫、セクハラなどが何らかの形で行われている可能性が高いのです。周囲の社員や企業内労組の役員らも、見て見ぬふりをしている疑いがあるからです。

 上司などは、ターゲットにした人の意識をなえさせ、精神などを潰していきます。ときには、脳の働きや機能を不全に追い込みます。周りは、当然、ほおかむり。それが臨界に達したとき、狙われた人は死を迎えるのではないか、と私はみています。

 これは、一種の「集団リンチ」であり、「職場内DV」であり、「殺人類似行為」といえるのではないでしょうか。残業時間を規制したところで、この闇にメスを入れない限り、形を変えて同じことが繰り返されるはずです。

 今回も、その「前段階」について、私の考えを述べます。

■大手損害保険会社で過労死した男性のケース

 まず、一例を挙げます。1989年11月19日、25歳で死亡した男性がいます。遺族は、「過労死によるもの」と受け止めています。会社は、それを認めていないと思われます。

 男性は早稲田大学を1987年3月に卒業し、87年4月に大手損害保険会社に入社。横浜支店に配属され、営業に携わっていました。入社2年目、東京都中野区のビルで開かれた会議中に倒れ、病院に運ばれましたが、死亡。遺体は、最寄りの野方警察署に運ばれました。

 この死を、私は、1991年に発売された「日本は幸福(しあわせ)か―過労死・残された50人の妻たちの手記」(全国過労死を考える家族の会 ・編集) で知りました。内容は、1970年代〜80年代に、過労死や過労自殺で夫や子どもを亡くした遺族(主に妻や母)が、手記という形で過労死について語っているものです。

 私がこの本を読み終えたのが、1998年。50人の過労死・過労自殺の中で、当時20代後半だった私がもっとも真剣に読み込んだのが、前述の営業マンの男性の母親が書いた数ページです。この男性に、私の年齢が近いことも関心をもった大きな理由です。

 その中から、「過労死の前段階」について考えるうえで参考になる箇所をいくつか、抜粋します。( )は、私が補足したものです。

■なぜこんな死に方をしたのか

 母親が息子である男性が死亡した日を思い起こし、書いたものです。

 (野方警察署の)うす暗い署内の廊下を通り、階段を下り、裏口の古びたプレハブのバラックの前に立った。いまから何が起こるのか? 錠をはずし、線香のにおいのなか、白いひつぎのなかに息子の姿があった。4、5人の、上司であろう人たちが、悲しみというより、夫と私のようすを興味深そうに見ていた。

 「勝っちゃん(息子である男性のこと)……」。私は涙も出なかった。どうしてこんなところにいるのか、どうして、自分がこんな立場にいるのか。頭のなかが空白になるとは、こんなことをいうのでしょうか。(P22)

 母親が、男性が亡くなる前のことを思い起こしたものです。

 (19)88年8月、(実家のある静岡県の)焼津に帰ってきたとき、いままで楽しい話が多かった彼(亡くなった男性のこと)が、「支社長が変わると仕事のやり方も変わり、毎日夜遅くまで残業で、とても疲れる」と言った。89年1月、妹娘の結婚式前夜に(実家に)帰ってきたときは、家に着くなり、そのまま床にたおれ込んだ。翌日式の時間ぎりぎりまで死んだように眠っていた。

 「お兄ちゃん、大丈夫?」

 「うん、大丈夫、大丈夫。俺、会社辞めようと思うんだ。転勤届け出してもだめだしね」

 そう言いながらも、翌日の仕事のためにまた横浜へ帰っていった。そして、11月19日、とうとう2度と帰らぬ人となってしまった。(P22〜23)

■いくら頑張ってもそれ以上を要求される職場

 男性が過労死になる前、母親に話した言葉を、母親が回想して書きあらわしたものです。

 大企業といっても、俺たちのように真面目に勉強して入った者より、縁故での入社が多いのにはガッカリした。タイムカードもなく、残業は給料締切日前日に自分で書いて提出。しかも1か月30時間まで。あとはいくらやってもサービス残業。土曜日も午前中は仕事。たまの休日も、一人で出社している支社長にときおり呼び出される。会社訪問の説明会とはまったく違うんだ。(P23)

 母さんには分からないよ。俺の気持ちは。いくら一生懸命やっても次にはかならずそれ以上を要求されるんだ。疲れたよ。(P23)

 損保会社の業界では、〇〇〇〇は〇位なんだけど、神奈川だけは〇位なんだ。〇〇〇〇に越されるな。負けるな。これが、合い言葉なんだ。とにかく異常だよ、うちの会社は。ハードだよ。母さんには俺の顔見せられないよ。目の下にはくまができてしまっているんだ。疲れたよ。ゆっくり寝たいよ。(P23〜P24)

 〇には、会社名や数字が書かれてあります。今回の記事では、空欄にします。会社名などを実名として盛り込むとき、その会社に確認することが望ましいのです。前々回の記事「電通の「過労自殺」議論で、抜け落ちていること」では、三菱重工業を実名で書きました。これは、裁判などで記録が残っているためです。今回、取り上げた男性の遺族は、この損害保険会社と裁判をした痕跡がありません。労災認定を求め、労働基準監督署などと争ったことを見つけることもできませんでした。

 実は、1990年代後半、私は男性のことを取材しようと、この損害保険会社の広報課に取材交渉をしましたが、断りを受けました。その時点で、男性が死亡し、10年ほどが経っています。「その頃のことを詳細に把握しているものがいない」という回答を、広報課から受けました。これらを踏まえ、匿名としました。

■つねに行動を監視し私物のように扱う上司

 次は、男性の会社員時代の日々を母親が思い起こし、書いたものです。上司によるパワハラやいじめと思える記述もあります。そのいずれもが、「前段階」を考えるうえで、意味の深いものです。このくだりが、過労死を考えるうえでもっとも大切と私は考えています、長い労働時間に、精神的な強いストレスを与える人がいるのです。その多くは、私の観察では上司です。

 息子のノルマは異常だった。いつもみんなより一ケタ多かった。朝から支社長の机の前に立たされて、たびたび小言を言われていた。昼間は外回りをし、毎日夜遅くまで、一人書類の整理に追われていた。いつも息子の机の上は書類の山だった。月末から月始めは、(帰宅が)午前2時、3時になることもあった。たまに早く帰っても、どこからかけてくるのか、夜中12時ころ支社長から電話がかかってくる。そして執拗に、自分の納得のいくまで電話を切らないという状態だった。

 また、ポケットベルを息子にだけ持たせ、つねに行動を監視し、まるで自分の私用物のように扱っていたという。それは異常なほどだった。もちろん、土曜日も日曜日も、友人がアパートに泊まった日にも呼び出しの電話が何度もあったという。日曜日の朝、焼津市の自宅(実家のこと)へも「早川君そちらに帰っていますか」と電話がかかってきたこともある。(P24)

 医師の診断は、「どこも悪くはないようだけど、一度検査をしたほうがよい」とのことだった。その週の土曜日に検査の予約を入れた。しかし支社長の呼び出しで、とうとう行くことができなかった。倒れる何日か前から食事もとらず、食べても吐いてしまう状態が続いていたという。(損保の)代理店へ行っても、「疲れた」と言って、なかなか立ち上がれないようすだったそうだ。(P24〜P25)

■過労死の代償は20万円の弔慰金

 (男性が倒れ、死亡し、その遺体が運ばれた東京中野区の)野方警察署に若い女性がいた。「ああ君か。早川君(男性のこと)とつきあっていたのは。君はまだ若い。すぐにまたいいのが見つかるよ」。私(手記を書く母親)の前で彼女の肩をポンとたたいた支店長。

 「亡くなる前一週間を調べたが、彼は暴飲暴食だ。女の子と遊んだり、マージャンをやったり。マージャンをやらなかったら死にはしなかった。しかも早川君からみんなを誘ったんだ。彼は過労死じゃない。じゃあ、そういうことで」。アパートの整理に行った私と娘(男性の妹)に、さも迷惑だといわんばかりの捨てゼリフを残し立ち去った横浜支店の課長。娘と泣いた。

 「うちのお兄ちゃんは、そんなお兄ちゃんじゃない」(P25)

 警察の勧めで死因特定のため、翌日司法解剖。結果は「形態学的に説明できない突然死」。執刀医も、「あえて言えば急性心不全だが、どこも悪いところはなく、因果関係が説明できない」と言った。(P26)

 息子の死後、会社が遺族である私たちに支払ったのは、退職給与金26万8928円と弔慰金20万円だった。会社の指示に従い、上司の命令のままに働き、命まで失ったのに、その死の責任は会社にはないのか。残された家族の悲しみは、いったいどうしたらよいのか……。(P26)

■職場での「いじめ・嫌がらせ」が4年連続で最多に

 これらは、遺族による手記であり、会社側の言い分は載っていません。書かれてあることがすべて事実と言い切ることも私にはできません。しかし、手記のところどころから、今回の電通の「過労自殺」と重なるものがあるように思えるのです。前々回、取り上げた三菱重工業や、過労死遺族の馬渕さんの夫のケースとも、重なるところがあります。それぞれの事件が起きた時代は違います。月日が経っても、本質は変わっていないのです。

 忘れてはいけないのは、ここ10数年、個別紛争が増えていること。厚生労働省は、8月に「平成27年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。総合労働相談の件数は8年連続で100万件を超えました。総合労働相談のうち、「いじめ・嫌がらせ」が6万6566件と、4年連続で最多となっています。

 過労死や過労自殺を「いじめ・嫌がらせ」をはじめ、パワハラ、セクハラ、退職強要などと同じものとして位置づけるべきなのです。さらには、あいまいな人事評価や、その評価に異議を申し立てることができないことなども、根っこは同じです。賃金の決定や人事異動、配置転換、職種転換などにも、社員の側が意見すらいえないという点ではつながっています。多くの職場では、会議などで上司と意見を激しく闘わせることも、十分にはできないはずです。これもまた、実は関係があることなのです。

 これらの一連の、ゆがんだ構造がある限り、犠牲者は生まれ続けます。「過労死」や「過労自殺」は、この構造が凝縮された形で現れるものであり、特異なものでもなければ、めずらしいものでもないのです。残業などの労働時間のあり方に目を向けるほどに、この本質が見えなくなっていきかねません。むしろ、そこを利用してくる人たちが政府中枢や財界、一部の労働界、有識者にいます。すでに、それを意識した発言をメディアなどで始めています。

■企業が隠ぺい体質を助長する危険性も

 私は、その議論や現在の報道のあり方に疑問を感じています。そこで、ある弁護士に、電通の「過労自殺」をテーマに取材交渉をしました。近く、取材をさせていただくことになりました。その弁護士は、今回の電通の事件に、少なくとも次のような問題を指摘していました。

 「長時間労働」「ステータスのある職場で横行する、いわゆるやりがい搾取」「パワハラ、アルハラ」「女性的であると同時に、男性的であることを求められる女性労働者」

 今回の事件により、企業が隠ぺい体質を助長する結果となったり、労働者を請負契約にして法適用を免れようという流れが加速したりする可能性があることも指摘しています。長時間労働の法的な規制に反対はしないものの、それだけで、過労死・過労自殺などの問題を克服するのは難しいのではないか、とも考えているようでした。

 読者の皆さんが、この弁護士に、過労死・過労自殺について尋ねたいことがあれば、書き込みの欄に質問を簡潔に記入してください。弁護士の取材の際に、回答をしてもらえるように試みます。数が多い場合は、こちらで選ぶことをいたします。その旨、ご理解ください。

(文/吉田 典史)
 

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コメント
 
1. 2016年11月16日 13:46:40 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[3252]

最近はメンタルの弱い人間が自殺すると過労死バッシングが起こるから、

今後、大企業では、採用時のメンタル面のスクリーニングが必須になってきそうだ

こうして、さらに採用リスクは上がり、生産性は下がり、コストが転嫁されることになる



2. 2016年11月16日 15:49:51 : Lh1Beos3X2 : 8cSNzXbzgQk[1]
>>1

もはや吐き気を感じるほどのコメント
人間性を疑わざるを得ない

企業がとばっちりを受けたような書き方
過労死自殺されると生産性とコストが悪化して迷惑だってか?


3. 2016年11月16日 16:23:46 : mLC15AFAOI : chvRzkznsJM[2]
>>1

産経や読売ばかり読んで、自民党に投票してると、おまえのような人非人になる。

いい見本。


4. 2019年4月28日 19:40:05 : 6KiUALiH2Y : NTNnc2FGWVN2SWM=[29] 報告
一見パワハラに見えるセクハラは実際は多いと思うね。早い話が「俺の女になれ、言うとおりになるまでいじめ続けるぞ」ということだよね。あほな管理職がどれだけ日本のホワイトカラーの生産性を低下させているか、科学的な調査がされていないのも不思議なことだ。

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