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末期がんの医師であり僧侶が実践する「いのちのケア」(プレジデント)
http://www.asyura2.com/16/iryo5/msg/307.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 18 日 11:06:00: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                   田中雅博・普門院診療所内科医師、西明寺住職
 

末期がんの医師であり僧侶が実践する「いのちのケア」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160918-00020216-president-bus_all
プレジデント 9月18日(日)6時15分配信


 医師であり僧侶という稀有な経歴の持ち主として、長年がん患者さんの死に対する苦しみに向かい合ってきた田中雅博先生。2年前、自身が進行期のすい臓がんであることがわかりました。栃木県にある西明寺の住職として、また普門院診療所の医師として、自らの命と向き合いながら、患者さんの「いのちのケア」に取り組んでいます。

■「いのちのケア」をしていた本人に進行がんが

 私は内科医でありながら僧侶です。実家が代々寺の住職だったのですが、檀家のない寺なので、医師と僧侶の二足のわらじでやっています。

田中雅博・普門院診療所内科医師、西明寺住職

 国立がんセンターで内科医として勤務していたときから、がんの患者さんを数多く診てきました。告知された患者さんが、一様に「死にたくない」「死ぬのが怖い」と苦しむ姿を見て、医学という科学だけでは治すことのできない、何か大切なものが必要だと感じました。その大切なものとは、「死ぬ」という苦のケアであり、最近では「いのちのケア」と呼ばれています。以来、「いのちのケア」の必要性について、勉強会を持ったり、実際に患者さんの悩みを聞く場を設けるなどしながら30年以上訴え続けていました。

 そんな私に2年前、進行期のがんが見つかりました。ステージ4bのすい臓がんでした。このステージに入ると、生存期間の中央値がどれくらいであるかで、できる治療が限られていることも把握しています。私としては冷静に「いよいよ来たか」と受け止めています。

 手術で腫瘍部分を取り除いてもらった後、EBM(=Evidence-Based Medicine 根拠に基づく医療)で手術後の再発予防として有効性が証明されているTS-1という抗がん剤を使いました。しかし半年後に肝臓転移で再発しました。抗がん剤は、最初のうちは有効でも、ある程度使用すると効かなくなってきます。そうしたら次に有効性が証明されている治療へと移ります。しかし、それもやがて効かなくなる……、こうして一定期間を経て抗がん剤の種類や組み合わせを変えながら治療をするのが、一般的な抗がん剤治療です。私の場合も同様で、再発の後に、抗がん剤併用療法の組み合わせを2種類行いましたが、それも効かなくなり、もはや承認されている治療法がなくなってしまいました。

 すでに覚悟はできていますし、今は「いのちのケア」が広まるために力を尽くしています。幸いなことに、多くの人が賛同してくれているので、とても嬉しく思っています。

■人文学という非科学の重要性

 緩和ケアの創始者であるデイム(英国叙勲女性)・シシリー・ソンダースは、緩和ケアにおける痛みには4種類あると言いました。ひとつ目は身体に感じる「肉体的な苦痛」、2つ目が不安や怒りなどの感情が伴う心の痛みである「情緒的な苦痛」、3つ目が病気により仕事を失ったり、社会的な活動が制限されることでおこる「社会的な苦痛」そして、4つ目が「スピリチュアル・ペイン」と呼ばれるものです。これは、最近「いのちの苦しみ」という訳語が普及しつつありますが、自分という存在が失われる苦しみ、「死にたくない」「死ぬのが怖い」という苦しみです。このような「いのちの苦しみ」の緩和において、デイム・シシリー・ソンダースは「死にゆく人の尊厳」を目標にしました。そして彼女は「尊厳」という言葉を「本人が自分の人生に価値を見いだすこと」と定義しました。

 EBMは医学という科学を根拠にしていますが、20世紀末にNBM(=Narrative-Based Medicine 物語に基づく医療)という言葉が誕生しました。本人の人生の物語に価値を置く医療です。患者の「語り」を傾聴し、共感し、受容してくれる人が必要です。この役割ができるのは人文学を学んできた人たちです。素晴らしい物語は、長い歴史の間に選ばれて、古典になります。古典を学んで如何に生きるかを問う学問を人文学といいます。医者は医学という科学を学んで資格を得ます。人文学という非科学は医師免許を取得するのに必要ではありません。NBMには物語の専門家が必要なのです。

 欧米では消防署や警察署や軍隊や刑務所、そして医療機関にも「チャプレン」という人たちがいます。チャプレンという言葉はキリスト教由来ですが、民主主義の国では信教の自由が保障されているので、仏教その他の宗教者のチャプレンもいます。患者さんに寄り添い、患者さんの「語り」を傾聴し、いのちのケアに取り組む人たちです。

 日本の医療現場にもチャプレンが必要なのですが、残念ながら不在です。医療費に、チャプレンの分の人件費が含まれていないため、病院ではチャプレンを雇用できないのです。欧米では、医療費によらず寄付によってチャプレンの活動を支えている国もあります。しかし、日本では憲法89条(国立以外の教育、慈善、博愛の事業、宗教等に公金使用を禁ずる)が縛りとなっており、多くの私設機関は寄付を集められないのです。

 明治維新以前、日本では仏教僧侶がこの役割を担っていました。仏教には臨終行儀があります。昔から、仏教では看取ることを修行としていたのです。

■いのちのケアに取り組む人たちが現れた

 お釈迦様は、「我」というこだわりこそが苦しみなのだと説きました。我という執着を離れる仏教は、仏教自身に執着せず、あらゆる宗教(価値観)を尊重します。これが多くの日本人の価値観であり、キリスト教などの一神教のような特定の価値観にこだわる宗教ではありません。このことは「般若心経」にも説かれています。私たち日本人にとってなじみのある「般若心経」は、まさに「いのちのケア」の経典です。(普門院西明寺のホームページに般若心経の解説が掲載されている。http://fumon.jp/material/)

 逆境の中ではありますが、嬉しいことに、日本にもいのちのケアに取り組もうとしている人たちが現れました。ひとつは全国青少年教化協議会による臨床仏教師です。もうひとつは、2011年3月の東日本大震災をきっかけに臨床宗教師(日本版チャプレン)の集まりができたのです。現在、東北大学その他、8つの大学が参加して「日本臨床宗教師会」が設立され、日本版チャプレンを育てています。事務局は東北大学の「実践宗教学寄附講座」です。寄附講座とは、文字通り、寄付によって成り立っている講座です。東北大学は国立大学ですから寄付控除を受けることができます。この講座が継続して、多くの臨床宗教師が育ってくれることを願っています。

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田中雅博(たなか・まさひろ)
普門院診療所内科医師、西明寺住職
1946年栃木県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業後、国立がんセンターへ。研究所室長および病院内科医として勤務。83年父の急逝に伴い退職、西明寺の住職に。大正大学大学院博士課程で仏教を学ぶ。90年境内に緩和ケアを行う普門院診療所を建設する。著書に『いのちの苦しみは消える』(小学館)、『般若心経の秘密』(電気情報社)、『軽やかに余命を生きる』(角川書店)など。
普門院西明寺のサイト http://fumon.jp/
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普門院診療所内科医師、西明寺住職 田中雅博 取材・構成=田中響子

 

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コメント
 
1. 2016年9月18日 22:53:26 : 4KDxdO8DtE : m_EjDprMHgE[14]
盤若心経の解説、もっとまともな解説をしてほしいものだ。

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