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ドイツでも蔓延する「トランプ現象」の正体 貧富の格差が、国家を分裂へと導いている(Reuters)
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/224.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 03 日 08:29:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

           デア・シュピーゲルの3月12日号と3月19日号の表紙


ドイツでも蔓延する「トランプ現象」の正体 貧富の格差が、国家を分裂へと導いている
http://toyokeizai.net/articles/-/112162
2016年04月03日 Reuters 東洋経済


[4月1日 (ロイター)] - 「デア・シュピーゲル」誌の表紙がドイツの雰囲気を少しでも表しているとすれば、このヨーロッパ最大の国は爆発寸前である。

3月12日号において、このヨーロッパ最大部数を誇るニュース雑誌は「分断された国家」に関するカバーストーリーで、国内の拡大する所得格差を特集した。カバー写真は、金箔の部屋にいる一組のカップルと、その下にある狭苦しい地下室で身をかがめているその他大勢の人々を表していた。

続く3月19日号では、「『Wutbuerger』の台頭」を特集した。Wutbuergerとはドイツ語の「激怒」と「国民」という言葉を組み合わせた新たな造語で、政治の現状に怒り狂っている人々を表している。ヘッドラインは、絵具を浴びせられたドイツのアンゲラ・メルケル首相のイメージの上で「上層部は私たち全員に嘘を付いている」と叫んでいた。

■拡がる貧富の格差

誰もがその存在を認めたくなかった大きな貧富の格差や有権者の反乱は、アメリカに限ったものではない。先進国全体で日々の生活の収支を合わせるのに苦労する中間層が増えており、その一方でグローバリゼーションの負け組は、誰がその責任を負うべきかを知っている非主流派の政治家を支持することで自らを表現しようといる。社会的平和や政治的中庸の典型であった現代ドイツも、その例外ではないのだ。

経済協力開発機構 (OECD) は昨年、「私たちは転換点を迎えた」と警告した。34の加盟国の所得格差は過去50年間で最大の水準にあるとOECDは報告書で述べている。OECD全体で、人口の10%にあたる最も裕福な人々の平均所得は、最も貧しい10%の人々の9倍にも及ぶ。これは25年前の7倍より拡大している。

ヨーロッパには、アメリカの洗練されていない資本主義や、アメリカが輩出する自慢ばかりする人々を嘲笑う長年の習慣がある。しかし、特にドイツ人は自分たちの社会はかつて信じていたほど公平でなく、大衆主義者の戯言の影響を受けないわけでもないことに気付き始めている。

第二次世界大戦以降、西ドイツはひとつには共産主義の東ドイツに対抗するため、またひとつにはアドルフ・ヒトラーの台頭を招いたある種の過激主義に対する防壁をつくるため、その有名な社会福祉体制を構築した。「合意」こそが、ドイツ流の政治の代名詞になった。

■ワーキングプアの出現

東ヨーロッパの共産主義が崩壊し、1990年にドイツが統一されると、西ドイツの成功モデルがそのまま国の東半分に移されるものと思われていた。しかし、ドイツ経済はグローバル化が進む経済の中で苦戦していたため、メルケル首相の前任者であるゲアハルト・シュレーダー氏は、国の競争力を高めるための抜本的な改革の一環として社会福祉を大幅に削減せざるをえなかった。

失業率は低下し、ワーキングプアが出現した。旧東ドイツの大部分は西に追い付くことができず、民主主義の約束に裏切られたと感じ、憤った下層階級が形成された。

調査によると、今のドイツは多くの人が思うより遥かにメリカに類似している。所得格差を測るいわゆるジニ係数はドイツでは76であり、ユーロ地域全体の69に比べてアメリカの80に近い。

モルガン・スタンレーが作成した先進国20カ国のランキングにおいてドイツは6番目に不平等で、これは5番目のアメリカのすぐ次の位置だ。ちなみに1位から4位は、スペイン、ギリシャ、イタリア、ポルトガルである。

ドイツ経済研究所のマルセル・フラッシャー所長は、ドイツの所得格差についてだけでなく、社会移動に対する体制の障壁についても懸念を示している。「上位10%は問題視していない」とフラッシャー所長は「ディー・ツァイト」新聞に語った。「下位40%が取り残されているのが問題である」。

フラッシャー所長によると、堅固な経済指標やワーキングプアへの政府移転支出がひどい状況を覆い隠している。ドイツの政治家層は教育やインフラに投資するより、社会福祉に100億ユーロ追加で支出することで格差を取り繕うことを選んでいると彼は話した。「だいぶ前から私たちはカーストではないとしても、階級のある社会になってしまった」。

ドイツの社会経済の両極化は政治的表現を見付けつつある。難民危機がドイツを襲う丸1年前の2014年秋、自身を「PEGIDA」、つまり「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」(Patriotic Europeans Against the Islamization of the Occident) と呼ぶ団体が、東部の都市ドレスデンで集会を開くようになった。

■AfDがドイツ東部3州の議会で議席を獲得

抗議運動は拡大し続け、その矛先はメルケル首相が率いる政府や「嘘つきのマスコミ」、ヨーロッパに避難して機会を求める外国人へと向けられた。

ギリシャ債務危機の最中に設立されたEU懐疑派の政党「ドイツのための選択肢」(Alternative for Germany、AfD) は、PEGIDAが発する不満の声に乗じてその目的を改め、移民に対する排斥感情を背景に体制と戦うことにした。2014年には、その新興政党はドイツ東部の3つの州議会で議席を獲得した。先月の地方選以来、AfDは国の半分の州議会で選出され、来年の国民投票ではドイツ連邦議会で議席の獲得を目指している。

「ドイツの政治的相互作用を支配する慣習は驚異的な速度で変化している」と「デア・シュピーゲル」誌のDirk Kurbjuweit副編集長は最近のエッセーで書いている。中道右派のドイツキリスト教民主同盟と中道左派のドイツ社会民主党の二党体制は脅かされている。

同誌の世論調査によると、ドイツ人の57%が「上層部は結局好きなようにやるのであって、私の意見は考慮されない」という意見に同意している。AfDの支持者では88%が同意した。AfDはFacebook上で25万5000件以上の「いいね」を獲得しており、フォロワー数はドイツキリスト教民主同盟とドイツ社会民主党の合計数を上回っている。従来のメディアでは自分の意見が無視されていると感じている人々にとって、Facebookは人気の公開討論の場になっている。

AfDの支持者と、ドナルド・トランプ氏が率いる共和党内の反乱の間の類似性は無視しがたい。いずれの運動も、有権者の移民やテロ、権力者のおごりに対する恐怖への本能的な反応である。どちらもソーシャルメディアがもたらす電子的なエコーチェンバー (似たような意見が反響しあう空間) で勢いを増している。

「政治的公正」への抗議は、政策決定の代わりに起きているのである。アメリカ同様、ドイツでは移民、特にイスラム教徒の移民への強い非難は、彼らが比較的少ない地域で最も支持を獲得している。

■無視、否認、不信

ドイツとアメリカのエリート層の反応も似ている。無視、否認、不信である。「ニューヨーク・タイムズ」誌のコラムニスト、デヴィッド・ブルックス 氏が先月、自身がトランプ氏の支持者と「社会的に交流してなく、十分に注意深く耳を傾けていなかった」と認めた時、ドイツの主要報道機関の編集委員会がAfDに対して取った態度について話していたといってもおかしくない。

自由主義社会は経済的に不安定な時に危機に晒される。政治の中枢部は中間層が強い時に安定している。しかし、十分な数の人々が負けていると感じた時、社会的対立は避けられない。大衆主義者はこれを餌にして両極化を推し進める。

AfDやトランプ氏などが支持するような非自由主義の天国は既に存在している。ロシアだ。今日のロシアは、絶大な権力を有する指導者が治める、反ユートピア的国家像を提供している。ここでは都市の自由主義者は閉じ込められ、中間層は大富豪と多数の下層階級の間の限られた人々であり、「愛国主義の」メディアは四六時中、恐怖や憎しみを撒き散らしている。

偶然にも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が3期目に出馬した時のスローガンのひとつは「ともに偉大なロシアへ」であった。

Lucian Kim/1996年よりドイツ、東ヨーロッパ、旧ソ連から報道しているジャーナリスト。コソボやアフガニスタン、ジョージア、ウクライナの紛争を取り上げてきた。当記事の主張はKim氏個人のものである

 

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