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長年中東で働いてきて感じるのは、最後は民衆の意思が政治を動かすということ〜桜木武史さんの美香賞受賞/川上泰徳
http://www.asyura2.com/16/kokusai14/msg/106.html
投稿者 仁王像 日時 2016 年 5 月 31 日 20:03:00: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

長年中東で働いてきて感じるのは、最後は民衆の意思が政治を動かすということ〜桜木武史さん、第3回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞/川上泰徳
ジャーナリストが仕事として成り立たない日本/川上泰徳2016年05月31日(火)
http://www.newsweekjapan.jp/kawakami/2016/05/post-16.php
(抜粋)

<トラック運転手をして取材資金を貯めるという桜木武史さん(37)が、第3回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞。受賞作の『シリア 戦場からの声』は緊迫感ある優れた作品だが、彼の状況は、日本でジャーナリストとして生きることの難しさを象徴している> (写真は2014年、シリア北部のアレッポで反政府組織の兵士と行動を共にする女性記者)

 シリアで取材中に銃弾に倒れたジャーナリスト、山本美香さんの遺志を継ぐ山本美香記念国際ジャーナリスト賞は今年、シリア内戦を扱った『シリア 戦場からの声――内戦2012-2015』(アルファベータブックス)の著者であるジャーナリストの桜木武史さん(37)に贈られた。山本さんの誕生日である5月26日に日本記者クラブで授賞式と、記念シンポジウム「戦場で取材する意味」があり、私も選考委員として参加した。

 賞選考会では、候補作4点のなかで、5人の選考委員全員が最高点を付けた桜木さんの本が満票での受賞だった。シリア内戦が始まった2012年4月、反体制デモが続いていたダマスカス郊外の町ドゥーマに旅行者ビザで1か月滞在した桜木さんは、民衆デモと、政権による弾圧、それに対する反体制派の武装闘争の始まり、さらに政権軍による制圧という内戦の初期の状況を取材した。

 その後、反体制派支配地域であるシリア北部のアレッポに3度入り、政府軍の空爆を受ける地域の状況を伝え、さらに反政府組織に従軍してアサド政権軍と銃撃で対峙する前線にも行った。さらに、2015年4月に過激派組織「イスラム国」(IS)が撃退された後のクルド人の都市コバニを取材している。

私は講評の中で桜木さんの著書について、「紛争の地に身を置き、自分の足で歩き、人々の生の声を聞いた記録である。ジャーナリストは何のために危険な紛争地に向かうのか、という昨今の問いに対する一つの答えがあり、事実に迫ろうとするジャーナリストのひたむきさを実感できる仕事である」と評した。

 他の選考委員の評価も紹介しよう。

「『シリア 戦場からの声』は刻々と変化するシリアの今をもっとも身近に感じさせてくれる作品だった。世の関心がシリアに向いていない頃からダマスカスやドゥーマに入り、昨日まで普通の市民だった反体制派の兵士や家族の声に耳を傾け、複雑きわまりない国情と市民蜂起の背景を何も知らない読者と同じ目の高さで描き出すのに成功している」(最相葉月・ノンフィクション・ライター)

「桜木武史の取材法は徹底している。自分の足で歩き、観て、聞いて、感じたものを書く。虫のように這いずり回り、内部の目線で書く。反政府側に感情移入し過ぎるのではないかと気になるが、政府側からも取材している。また反政府側の不条理な面、行動も容赦なく書いている」(関野吉晴・探検家、武蔵野美術大学教授)

「戦火の中、必死で生きる人たちの肉声を記録してきた桜木氏の生き方に強い共感を抱いた。地べたを這いまわるような取材姿勢もいい。『この内戦で犠牲となっているのは誰なのか』。彼の視線は常に人びとに向けられている」(野中章弘・アジアプレス・インターナショナル代表)

「総身で受けとめた戦場と人びとの生死の実相をともかく伝えたい。著者のその切迫した思いが結晶した作品として高く評価したい。アサド政権と戦う側への一体感が強すぎる表現も見られるが、ダマスカスで会った政権支持者の声もすくい上げており、冷静な視点も失っていない」(吉田敏浩・ジャーナリスト)

私が長年中東でジャーナリストとして働いてきて感じるのは、最後は民衆の意思が政治を動かすということである。普段、政治を支配し、政治的な意思として出てくるのは、政治指導者や宗教指導者、権力を持つ政治組織である。しかし、民衆の怒りや不満が募って噴き出せば、独裁者にも、秘密警察にも抑えきれなくなる。ジャーナリストが現場で拾う実感を伴う民衆の声の中に、将来を求める意思がうごめいている。

記念シンポジウムの中で、ジャーナリストを多数抱えるアジアプレス代表の野中さんは、「フリーのジャーナリストの生活が成り立たないような状況がどんどん進んでいる。アジアプレスでも80年代、90年代には多くの若い人が集まったが、いま20代のジャーナリストはおらず、この10年ほど新しいジャーナリストの参加はない」と厳しい状況を語った。

 私が関わっている中東は、紛争や政変が続き、世界のジャーナリストが仕事をする場所であった。いまでもシリア内戦やイラクの混乱など中東で起こっていることが、難民問題やテロ、さらにエネルギー問題や経済危機として世界に波及しかねない。いま中東の状況を知らなければ、世界の危うさを実感することはできない。中東で仕事をするジャーナリストがいなくなれば、世界に対する日本人の理解は、実感を伴わないものになる。ジャーナリストとして桜木さんが置かれた状況は、日本社会の知的貧困を示している。

『シリア 戦場からの声――内戦2012-2015』
 桜木武史 著
 アルファベータブックス

・Re: 世界史は世界権力のみが担ってきたわけではない。世界の民衆も対等な関係で深く関わってきた
 http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/624.html
 投稿者 仁王像 日時 2011 年 3 月 26 日 13:18:42: jdZgmZ21Prm8E
 

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